架空のもの

ジェインは俺の嫁! または嫉妬するコンピューター(エンダーの子供たち/ペケニーノの樹)

 ども、私のアイウアはどこにあるんでしょう? のおぢさん、たいちろ~です。
 DVD版”エンダーのゲーム”(*1)から始まった ”エンダー・シリーズ”。やっと完結編です。長かったよ~ 長かったよ~ なんせ文庫で7冊分(*2)。
 ということで、今回ご紹介するのはやっと完結しましたオースン・スコット・カードの”エンダー・シリーズ”の第四作”エンダーの子供たち”であります。
(今回もかなりネタバレですのでご注意ください)


写真はたいちろ~さんの撮影。ペケニーノの樹です
って、そんなわけありません。尾瀬の鳩待峠付近のうろ(洞)のある樹です。

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【本】エンダーの子供たち(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 デスコラーダを破壊すべく発進した粛清艦隊は惑星”ルジタニア”の目前に迫ってきた。知的生命体”ペケニーノ”、かつて人類を滅亡の淵に追いやった”バガー”の”窩巣女王”、そして”エンダー”たち人類。彼らはそれぞれに生存の道を探っていた。
 エンダーの義理の息子”ミロ”とエンダーの無意識が生み出した”ヴァレンタイン”は移住する惑星を探しに、同じく生み出された”ピーター”と植民星パスを離れた”シー・ワンム”は宇宙を統べる”スターウェイズ議会”を動かして破壊命令を止めようとしていた。そんな中、コンピューターの中に生まれた知性”ジェイン”はその機能を停止させられようとしていた。そして、”死者の代弁者”ことエンダーの行動は・・・
【花】ペケニーノの樹
 ”エンダー・シリーズ”に登場する架空の樹木。父樹はペケニーノの死体から生えてきて、生前のペケニーノの知性を引き継ぎ(第三の生)、母樹はその中の 空洞(うろ)でペケニーノの幼体を育てるという設定。人間も閉じ込められるそうなので、写真のような感じでしょうか?


 とまあ、あらすじを書いてはみましたが、本編では”エンダー”はほとんど良いとこなし。奥さんは教会に逃げ込んでセックスレス宣言だし、最後は”アイウア”が抜け出ると死んじゃって塵になっちゃうという”ドラキュラか、あんたは!(*3)”な最後だし・・
 で、完結編でキーパーソン(コンピューターだけど)に躍り出たのが”ジェイン”でしょうか。ジェインはアンシブル・ネットワークという宇宙の間でタイムラグなしに会話できるというコンピューターの中に生まれた知性。元々はエンダーのやってたコンピューターゲーム(美少女ゲームじゃないです)から発生した一種の人工知能ですが、ちょっと違うのは上記にも出てくる”アイウア”というのを持っています。”アイウア”てのはエンダーの世界では自分が自分であるための”魂”みたいなもんと思ってください。完結編では”スターウェイズ議会”が”ジェイン”=コンピューターネットワークを停止させる前にいかにアイウアを含めて”ジェイン”のバックアップをとるか、いかに復活させるかというのがキーの一つになってます。

 結果的には、ジェインのアイウワは生き残り新しいネットワークに再度インストールされるんですが、ジェインが生き残るために入った場所というのがエンダーの無意識によって生み出された若い”ヴァレンタイン”の中。言ってみれば、バーチャルな存在だった”俺の嫁”が生きている身体を獲得したようなもんです。
 しかしまあ、”ジェイン”てのはけっこうモテモテなんですな。エンダーが奥様の”ノヴィーニャ”ともめる原因の一つが彼女のジェインへの嫉妬だったし、若いヴァレンタインやワンムがピーターの相手として嫉妬するのもジェイン。殿方お二方はあまり自覚はないようですが、傍から見れば美少女ゲームにはまる旦那に嫉妬する奥様的な構図。ただ、ジェインってそんじょそこらのゲームキャラじゃないです。まさしく宇宙規模でのコンピューターネットワークを基盤にしているだけあって、惑星間ネットワークのハッキングはやるわ、遺伝子レベルでの暗号解析はやるわ、果ては光速宇宙船で何十年レベルの距離を瞬時にワープさせるわと八面六臂(*4)の大活躍。最後にはルジタニアに向けて発射された”リトルドクター”という惑星破壊規模の能力を持つ爆弾を敵の宇宙船の中に転送する(*5)という離れ業までやってのけます。

 でも、そんなスーパーレディのジェインでも、嫉妬を感じるんですな

  いざ、ピーターの -- エンダーの --アイウワ所在を確認すると、
  ことは思った以上に簡単だとわかった。
  というのも、ピーターのワンムのフィロトは、絡み合っていたのだ
  ふたりのあいだには、小さな網の目ができていた

   (中略)
  そして、そのまま<外側>へ押し出すと、ジェインはふたりのむすびつきが
  よりいっそう強まるのを感じた
  肉体のみならず、もっと奥深くにある自我レベルの目に見えないリンクまで

   (中略)
  ジェインはちくりと嫉妬を感じた

 コンピューターが発達して自我を持つに至った時、はたしてコンピューターにも”嫉妬”が発生するんでしょうか? コンピューターに”俺の嫁!”的な愛情を求めるなら愛情の発露の形態としての嫉妬なんてのもありそうだな~ これが高じてストーカーみたくなったら嫌だけど・・・

 本作は完結編ということで、一応はハッピーエンドになってます。今までの謎の解決編でもあるんですが、いろいろツッコミどころ満載。なぜ超未来の話(なんせ、人類が宇宙進出してから3,000年!)にもかかわらず、中国や日本の文化を色濃く反映した植民星社会になっておるのだとか、宇宙規模でビジネスをするツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任侠的組織になっているのかとか(*6)。
 でも、これ話し出すと長くなりそうなので、今回はここまで

 ”エンダー・シリーズ”本編はここまでですが、本編以外でもサイドストーリーがあと3冊(邦訳分のみ)あるんですが、ちょっとお休み。なんせ、ほかの本も溜まりまくっているので・・・


《脚注》
(*1)DVD版”エンダーのゲーム”
 (出演者 エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、監督     ギャヴィン・フッド、ウォルト・ディズニー・ジャパン)
  人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。る侵攻をかろうじて撃退した。その第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)なんせ文庫で7冊分
 文庫で7冊分(新訳版では8冊)がどんなもんかというと千差万別。京極夏彦みたく1冊1000ページ超え(分冊版だといきなり3~4冊に別れる!)なんてのもありますが、ちょっと昔の文庫って1ページあたりの文字数がやたらと多いんですな。エンダーはそれほどじゃないですが、1冊読むのに4~5日かかりました。
(*3)ドラキュラか、あんたは!
 クリストファー・リーのドラキュラ映画だったかなぁ、このネタ。そう言えば、ドラキュラに血をかけると復活するというのもあったような・・ フリーズドライのような人です。
(*4)八面六臂(はちめんろっぴ)
 ”面”は顔、”臂”は腕の事。転じて多方面で力を発揮するたとえです。阿修羅の仏像みたいな”三面六臂”が言葉の元らしいですが、実際に”八面六臂”の仏像は存在しないんだそうです。へ~~
(*5)敵の宇宙船の中に転送する
 前々から気になっているんですが、転送される物体の運動エネルギーってどこに消えちゃうんでしょうか? 
 地球上の物体は相対的には停止しているように見えますが実際には24時間で地球を1周しているので、仮に赤道直下(緯度0)の物体を東京(北緯35度)に転送した場合、運動エネルギーがそのまま保存されてると速度差が発生するので、実体化した瞬間に時速300kmつまり新幹線並みの速度でぶっ飛んでくことになります。計算あってるかなぁ
(*6)ツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任?的組織になっているのかとか
 ツツミ一族でルジタニア粛清艦隊を止めるよう一族に提言するのが”ツツミ・ヤスジロウ(堤・康次郎?)”、決定を下す族長が”ツツミ・ヨシアキ=セイジ(堤・義明=清二?)”。よく西武グループからクレームがつかなかったものです

いやー、見た目でデザインしたら偶然空を飛ぶ形をしてたんだと思うよ(ナウシカの飛行具、作ってみた/メーヴェ)

 ども、折りたたみ式携帯電話でスタートレックごっこをやっちゃった(*1)おぢさん、たいちろ~です。
 小説であれ、漫画であれ、アニメであれ作品に登場したモノを実際に見てみたいという思いはまあ、誰にだってあります。コスプレに向かえばおとなしいモンですが(おとなしいか?)、ガンダムなんかだとシャレにならない人が集まるし(*2)、鉄腕アトムだとコンプレックスになったりなんかします(*3)
 まあ、この手のものは現在の技術では初手から”出来ね~”ってのから、出来そうで出来ないものも多いです。が、”出来なさそうで、作ってみたらで来ちゃった!”ってものもたまにはあります。
 ということで、今回ご紹介するのは実際には飛びなさそうで実は飛んじゃったものを作っちゃった人の本”ナウシカの飛行具、作ってみた”であります。
 飛びます! 飛びます!! (片岡鶴太郎のモノマネ風に)

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上の画像は”風の谷のナウシカ”に登場するメーヴェ
下の動画はYouTubeより。ナウシカのメーヴェを飛ばす八谷和彦さん。


【乗り物】メーヴェ
 宮崎駿監督の”風の谷のナウシカ”(スタジオ・ジブリ)に登場する架空の飛行機というかモーターパラグライダーみたいなもの。”メーヴェ”とはドイツ語で”カモメ”のことだそうですが、確かにカモメを彷彿とさせる美しいフォルムです。ナウシカもこれに乗って”私はカモメ(*4)”とか言ったんでしょうか?
【本】ナウシカの飛行具、作ってみた(八谷和彦、幻冬舎)
 サブタイトルが”発想・制作・離陸--- メーヴェが飛ぶまでの10年間”とあるように、ナウシカに登場するメーヴェを10年がかりで作成した八谷和彦による”OpenSkyプロジェクト”のノンフィクション。八谷和彦という人は実は”ポストペット(*5)”の開発者でもあります。


 さて、このリアルメーヴェ、アニメに登場するよりはやや大ぶりですが(*6)(アニメ版は推定全幅5m 重さ12kg、リアル版は9.63m 88.6kg)、ちゃんと飛びます。しかしまあ、アニメ雑誌”アニメージュ”への連載開始が1982年、ジブリの映画の公開は1984年ですからほぼ30年がかりでジェットエンジン付きメーヴェが初飛行したことになります。実際に八谷和彦がメーヴェを作ろうと思い立ってからでも10年がかりですがら、大したモンです。

 あと下世話な話ですがお金。試作用リモコン機、人が搭乗できる初号機のM-01、エンジンなしのM-02、エンジン付きのM-02Jと合わせて9,000万円以上の費用がかかってるんだとか。会社の事業としてだそうですが、利益の見込めないプロジェクトにも関わらずここまでお金をかけるってのは、けっこういい性格してます。

 でも好きなんですよね~~、こういったバカバカしいプロジェクト(褒め言葉です!)に突っ込んでって完成させちゃう人って。まあ、”おちゃめなプロジェクトX(*7)”とでも言いましょうか。
 それに、この人はメディアアーチストだからか形から入るってものあって、ナウシカのコスプレ作って女性に着せたりとか。こういうのがあるとコスプレってのもまんざら捨てたモンじゃないかと(ご本人はコスプレではないと言ってますが・・)

 加えてすごいのはやはり宮崎駿監督。メーヴェというのは形としては無尾翼機という分類になります。巻末にあさりよしとおの”無尾翼機のひみつ”という”まんがサイエンス(*8)”の出張版がついてますが、その中で無尾翼のことを評して

  あさりちゃん:この飛行機の場合は?
  あやめちゃん:そんなの カッコいいからに決まってるでしょ!!
  あさりちゃん:なるほど-- そういう設計思想だったのね
  まなぶくん :いやー、見た目でデザインしたら偶然空を飛ぶ形をしてたんだと思うよ
  よしおくん :それを言っちゃオシマイよ

てな会話をしています。本書では宮崎監督は”メーヴェは実際には飛ばないと思っている”といった話を書いていますが、それでも実際に飛ぶものができちゃうんだから、やっぱり宮崎駿って人はずば抜けたデザインセンスの持ち主なんでしょうね~~

 本書は、日本の航空技術史の話だとか、東日本大震災の話だとか、上記のあさりよしとおや堀江貴史も参加する”なつのロケット団”の話だとか寄り道もいっぱいあって面白い本です。風の谷のナウシカファンにはぜひ。


《脚注》
(*1)折りたたみ式携帯電話でスタートレックごっこをやっちゃった
 ”スタートレック”(製作 ジーン・ロッデンベリー)に登場するコミュニケーターという通信機はパカッと蓋が開く構造になってて、折りたたみ式携帯電話みたいな形をしています。このタイプの携帯電話を初めて持った時に
  カークより エンタープライズ
とか言って遊んだのは私だけじゃないと思うんですが・・・
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(*2)ガンダムなんかだとシャレにならない人が集まるし
 2009年に開催された”GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト”では当初予想の150万人を大幅に上回り415万人以上の人が集まったんだとか。その一人が私です、すいません。
(*3)鉄腕アトムだとコンプレックスになったりなんかします
 何かで読んだんですが、ロボット工学をやってる人って自分の作ったロボットを”鉄腕アトム”と比較されるのってとってもつらいんだとか。
 まあ、なんとか二足走行をクリアした技術レベルからすりゃ、10万馬力で空を飛び、善悪を見分けられる電子頭脳なんかを期待されるのはつらいでしょうなぁ・・
(*4)私はカモメ
 1963年にボストーク6号に搭乗した女性としては世界初の宇宙飛行を行ったソ連の宇宙飛行士テレシコワの言葉。この言葉は彼女が宇宙で発した最初の言葉で、最初に聞いた時は”ロマンチックな人だな~”とか思ってましたが、これは彼女の個人識別用コールサイン”チャイカ(ロシア語でカモメ)”だったから。知らん方が良かった知識かも・・
(*5)ポストペット(PostPet)
 ある世代には懐かしいかわいい系メールソフト。今のLINEユーザーには想像しにくいかもしれませんが、1990年代後半の愛想もなんもないメールソフトの中で、かわういテディベア”モモちゃん”がメールを運んでくれるというソフトは画期的でした。
(*6)アニメに登場するよりはやや大ぶりですが
 本書によると飛行機が飛ぶ重量は速度の2乗と翼面積に比例するので、条件にもよりますがおおむねこれぐらいの大きさになるんだそうです。
(*7)プロジェクトX
 NHKで2000年~05年に放映されたドキュメンタリー番組。技術者達が苦労の末にプロジェクトを成功させるという物語は実に中年のおぢさん達の琴線に触れるモノでした、はい。
(*8)まんがサイエンス
 学研の”5年の科学”、”6年の科学”に連載されていたあさりよしとおの科学学習漫画(現在は”大人の科学マガジン”に連載)。子供向けの本ですが、大人が読んでも面白いんですね~、これが。お勧めです。
 ちなみにあさりよしとおは”なつのロケット(白泉社)”というマンガも書いています。

シュワちゃん版”トータル・リコール”のリメイクというより”ブレードランナー”思い出しちゃいました(トータル・リコール ファレル版/ブレードランナー/未来の車)

えっと、今回何の話をするんでしたっけのおぢさん、たいちろ~です。

 そうそう、前回の”トータル・リコール シュワちゃん版”に続きコリン・ファレル版のお話です。

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 写真は映画からの車のカット。
 上は”トータル・リコール ファレル版”、下は”ブレードランナー”より。


【DVD】トータル・リコール(主演 コリン・ファレル、 ソニー・ピクチャーズ)
 世界大戦により地上の大半は居住不可能となり、富裕層のブリテン連邦と貧困層はコロニーに居住する地球。ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は妻のローリーと平凡な生活を送る労働者だったが、見知らぬ女性と逃亡しようとする夢に悩まされる。ある日、記憶を売るというリコール社を訪れるが・・・
 アーノルド・シュワルツェネッガー主演で1990年に映画化されたもののリメイク版。原作はフィリップ・K・ディックの短編小説”追憶売ります”。
【DVD】ブレードランナー(主演 ハリソン・フォード、 ワーナー・ホーム・ビデオ)
 2019年、酸性雨が降りしきるロサンゼルス。
 強靭な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド=”レプリカント”が5体、人間を殺して逃亡。解体処分が決定したこの5体の処刑のため、警察組織に所属するレプリカント専門の賞金稼ぎ=”ブレードランナー”であるデッカード(ハリソン・フォード)が、単独追跡を開始するが・・・
 公開は1982年と30年以上前の映画ですが(*1)、傑作です。
 原作はフィリップ・K・ディックの小説”アンドロイドは電気羊の夢を見るか?”。
【乗り物】未来の車
 未来の車のイメージというと、車輪ではなく空中に浮いてるイメージがあります。
 トータル・リコール版のは道路にそって浮く仕様、ブレードランナー版は道路に関係なく飛んでいくんで小型飛行機といた方が良いでしょうが、フォームは完全に”車”です。”ブレードランナー”の舞台は2019年なのであと6年。道路交通法はどうなってるんでしょうか?


 で、コリン・ファレル版の”トータル・リコール”を観た感想ですが、シュワちゃん版”トータル・リコール”のリメイクというより、”ブレードランナー”のイメージじゃね?!

 ネタバレになりますが、ストーリー自体は舞台設定が火星とコロニー、政府との対立構造の違いとか、レジスタンスが普通の人間とミュータント(今なら作れんだろうなぁ)の違いとかいろいろありますが、”かりそめの記憶をインプットされたダグラス・クエイドの戦い”という点で所は同じ。録画されたメッセージをクエイドに送ったり、変装装置のシーンがあったり(*2)、敵のボス”マサイアス”とクエイド=ハウザーの関係とか、3つおっぱいのおねいさんの登場なんかも同じです。追跡用の通信装置が脳内のカプセルから手に埋め込まれた装置に変わったり、仮想空間を装っての対決のヒントが医者の汗から彼女の涙に変わったり、うまく前作をモディファイしてるシーンもあります。

 でも、全体のイメージって、やっぱり”ブレードランナー”なんだよな~~
 映画に出てくるクエイドの住むコロニーのイメージ。設定はオーストラリアですが、しんしんと雨が降る中に傘をさして歩く人々英語、中国語、ハングル語の看板が街にあふれ・・・ このシーンってまさに”ブレードランナー”のロサンゼルスのイメージなんですね。酸性雨の降る街に傘をさして歩く人々看板には日本語に中国語に英語。日本語を話すオヤジのいる屋台もあったりと(*3)オリエンタリズムあふれる街ってとこそっくりなんですが、原作者が同じとは言え(*4)やっぱりディストピアのイメージってこうなるんでしょうか?

 ガジェットなんかもそうで、たとえば映画に出てくる車。シュワちゃん版の流線型の車に対し、ブレードランナーもファレル版もやや丸みを帯びてて前輪部が前方へ突き出してるってのはデザインとしては同じ系列でしょうか?
 写真をよく見ると、ブレードランナーの事務所ビルって、トータル・リコールに出てくるザ・フォールのエレベーターに似てるし

 記憶の操作という意味ではブレードランナーにも、レプリカントを開発したタイレル博士の姪の記憶を与えられたレプリカント”レイチェル”という女性が出てきます。
 デッカードの部屋でレイチェルがピアノを引くシーンがあります。

  デッカード:ピアノが聞こえた
  レイチェル:私が弾いたの。習ったのは タイレルの姪かもしれない
  レイチェル:上手だったよ

 ”トータル・リコール”ピアノが弾けないはずのクエイドが見事に弾きこなし謎を解くシーンがあります。ピアノの上にハウザー(CG)の映像が現れて

  ハウザー:今、これを見ていたら君はかなりヤバい
       だが、ここへ来たなら俺の勘が当たった
       君の中にまだ俺が残っている

 こういったおしゃれな演出はシュワちゃん版にはなくて、むしろブレードランナーからのオマージュっぽいです。ま、筋肉ムキムキのシュワちゃんがピアノ弾くってのも違和感ありますけど。

 そもそも、”トータル・リコール”って映画は”記憶=過去って何?”ってある意味哲学的な命題を含んでるんですが、扱い方が違ってますね。
 まずはファレル版から。リコール社の技師がクエイドに装置の説明をするシーン。

  クエイド:現実そっくり?
  技師  :現実とは脳による”知覚”です。
       我々は視覚情報ではなく、脳に直接記憶させます。本物ですよ。
  クエイド:幻想は しょせん幻想だ
  技師  :そうですね、客観的には。でも、人の心は主観的です。正反対ですよ

 同じシーンのシュワちゃん版だとこうなります。

  クエイド:臨場感は?
  技師  :本物の記憶と同じです
  クエイド:ウソだろう?
  技師  :脳が本物と区別できないリアルな記憶です

シュワちゃん版はどちらかというと”臨場感”という効果を気にしているのに対し、ファレル版の方が”幻想”が主観と客観により異なると言った哲学的な会話になってます。
 これが”ブレードランナー”になるとこんな感じ。タイレル博士がかりそめの記憶を持つレプリカント”レイチェル”の状況をデッカードに説明する会話

  タイレル博士:感情が目覚めてきた。そのために何かいら立っている
         数年分の経験しかないからな
         過去を作って与えてやれば、感情も落ち着き制御も楽になる
  デッカード :過去、記憶のことか、
         (Memories.
          You’er talking about memoires)


”Memories”を”過去”と”記憶”で訳している翻訳が秀逸です。

 ”トータル・リコール”は、シュワちゃん版とファレル版を並べてみて、モトネタをニヤッとするのもいいですが、”ブレードランナー”も合わせて見るのも面白いかも


《脚注》
(*1)30年以上前の映画ですが
 本作と同じ1982年に公開された映画というとSF映画の名作”E.T.”、アニメでは”機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編”、青春映画の傑作、大林宣彦監督の”転校生”や、”鬼龍院花子の生涯”、”蒲田行進曲”など。
 シルヴェスター・スタローンが”ロッキー3”,”ランボー”に、アーノルド・シュワルツェネッガーが”コナン・ザ・グレート”に主演するなど肉体派の時代でもありました。(”ターミネーター”はちょっと遅れの1984年)
(*2)変装装置のシーンがあったり
 シュワちゃん版では物理的なマスクがファレル版では3Dコンピュータグラフィックスに変更されてます。詳しくは前回のシュワちゃん版でどうぞ。
(*3)日本語を話すオヤジのいる屋台もあったりと
 ちょっと気になったのは、”ブレードランナー”の日本語が”トータル・リコール”ではハングルに置き換わってること。日本に対する世界の評価が落ちてきてるんでしょうか?
(*4)原作者が同じとは言え
 3作とも原作はSF作家のフィリップ・K・ディック。
 映画を公開順に並べると”ブレードランナー”が1982年と一番先なのであながちそうでもないんでしょうが・・・

うちも作ってくんないかなぁ、秘密基地は男のロマンですし(「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!/東京スカイツリー)

 ども、100億円単位のビジネスと数万円単位のお小遣いのギャップに悩むおぢさん、たいちろ~です。
 毎年、入社の新人のお世話係をしています(これは本当)。
 で、私んとこのお仕事の説明をするんですが、ついこの前まで数万円ぐらいのアルバイトしかしたことない新人に100億円単位のビジネスを言ってもピンとこないでしょうから、なにがしかの対比物(スケール)を使って説明をします。最近よく使っているのが”東京スカイツリー”。このタワーの総事業費が650億円ということで、これが1本建つの建たないのという話です。
 まあ、リアルな建物だとこんなもんという金額がありますが、SFやアニメに出てくる建物がいくらぐらいなのかというと??? 実はこんな疑問にまじめに答えている本があります。ということで、今回ご紹介するのは前田建設ファンタジー営業部の本”「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!”であります

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 写真はたいちろ~さんの撮影。東京ソラマチからの東京スカイツリーです。


【本】「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!(前田建設ファンタジー営業部 幻冬舎)
 前田建設ファンタジー営業部の4人が”マジンガーZの格納庫(*1)”だの”銀河鉄道999の高架橋(*2)”だのをまじめに作ったとするといくらかかるかを計算するシリーズの第3弾。今回の施工対象は「機動戦士ガンダム」に登場する地球連邦軍の秘密基地(総司令部)のジャブロー(*3)、はたしていくらで出来るのか??
【旅行】東京スカイツリー
 東京都墨田区押上に立つ634mの電波塔。
 建設費約400億円、総事業費約650億円。2008年7月14日に着工、4年弱の歳月をかけて2012年5月22日に開業、東京の新名所になりました。そういえば、会社の女性の人がおじいちゃんとおばあちゃん連れてくっていってたなぁ。


 この本(シリーズ)の面白い所は、前田建設工業株式会社(*4)という現実にある建設会社が、現在の技術を使って対象の建築物を作ったらいくらかかるかの見積もりをまじめに算出している点。こういう冗談のような話をまじめにやるっての、好きですねぇ
 本書で扱っているのは”ジャブロー”にあるアッガイドーム(アッガイというモビルスーツに破壊される偵察用ドーム)や、モビルスーツ”ジム”の工場など。

 上記のアッガイドームなんて、映画版では一瞬で破壊されてますが(*5)、設定資料のないドームの大きさをアッガイとの比較から推定し、破壊の様子からその為にコンピュータシミュレーションを他社にお願いしてその素材を決定し、施工方法を決定しとやっていることは極めて合理的な判断をしています。もっとも画面の大きさが正確とは限らないので要注意ですが・・・(*6)
 ちなみにこのアッガイドームのお値段は8,190万円とのこと。量産前提とか運送費を考慮してないとかはありますが(*7)、民生品ならもう少し安くできそうですので宝くじが当たったら建ててみたいなぁ

 モビルスールのジム工場の見積もり、246.9億円。工場建設にかかわったことないのでわかりませんが、高いんだか安いんだか。
 実在しないモビルスーツの組み立てにどれぐらいの設備がかかるのかを想定するために、わざわざコマツ(*8)まで取材に行ったりと、やってることはしごくまじめ。取材を受ける方も大変でしょうが、意外にガンダムファンがいてノリノリだったりするのもご愛嬌です。組み立て工場だけでなく試験場までちゃんと作ったりとかしてるのってやっぱし巨大マシンを作っている会社ならではのアイデアを反映してるんだなぁと感心。

 あと面白かったのは、ジャブローが秘密基地になる前はなんだったかの仮設。スペースコロニーを作るための閉鎖空間実験場=”バイオスフィア2”のちょ~でかいやつという発想は秀逸です。”バイオスフィア2”というのはアメリカ合衆国アリゾナ州に本当に建設された巨大な密閉空間で、人類が宇宙空間に移住する場合、閉鎖された狭い生態系で生活することができるかを実験する建物です。実際には地中の微生物の影響で酸素不足になるなどさまざまな原因で失敗に終わったそうですが、この失敗を踏まえた実験を日本でやった科学者の話なんかがあったりしてます。
 たしかに膨大なコストをかけて建設するスペースコロニーをいきなり作るってことはないでしょうから、こういった基礎研究も必要なんでしょうねぇ。

 ”「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!”は建設とかあんまし詳しくない人でも充分楽しめる本です。というかばかばかしいことをきわめてまじめにアプローチする余裕を面白がる本。お勧めです。

 余談ですが、お金があればうちも秘密基地作ってくんないかなぁ。秘密基地は男のロマンですし

《脚注》
(*1)マジンガーZの格納庫
 往年の名作アニメ”マジンガーZ”。汚水処理場(プールみたいなの)の水が割れてマジンガーZが登場するシーンはインパクトありましたが、それを忠実に再現する建物を作るといくらかかるかを算出したモノです(シリーズ第1作)
(*2)銀河鉄道999の高架橋
 宇宙を走る列車”銀河鉄道999”が地球を離れる時に使った線路を作ったらいくらかかるか算出したモノです(シリーズ第2作)。幻冬舎文庫版の本の題名は”高架橋編”になっているので、そのように書きましたが、カタパルトかと思ってました。
(*3)ジャブロー
 南米アマゾン川流域にあるとされる地球連邦軍の基地。地下の鍾乳洞を利用したという設定ですが、本書内では天井までの高さが200m、モビルスーツやホバークラフトがドンパチできる巨大なもの。素で地下空洞を作ると膨大な工数がかかりますが、天然モノを利用すればかなり削減できます。
(*4)前田建設工業株式会社
 東証一部上場の準大手ゼネコン会社。減少はしているものの連結売上高3,133億円、連結従業員数3,731名(ともに2012年3月決算)というリアルな企業です。
(*5)映画版では一瞬で破壊されてますが
 機動戦士ガンダムの劇場版”哀・戦士編”(総監督 富野由悠季、バンダイビジュアル)に登場。ホントに一瞬で破壊されています。
(*6)画面の大きさが正確とは限らない~
 ガンダムに出てくるモビルスーツはスペックが公開されているので比較は可能です。実際、画面に定規を当てて測っているそうですし。
 ただ、”ガンダムの手って、意外と小さいんです”で書きましたが、演出上の理由からかかなり巨大に書かれてたり。ガンダムの手は人が寝そべって乗れるほどでかくないとか・・・
(*7)運送費を考慮してないとかはありますが
 場所がアマゾン、秘密基地という性質上、搬送用道路が整備されているとは考えにくいので、輸送は空輸がかなり使われてそう。運送費はばかにならないと思いますが・・・
(*8)コマツ
 建設機械のシェアでは日本で1位、世界で2位を誇る株式会社小松製作所のこと。
 連結売上高 1兆9,817億円の超優良企業です(2012年3月期)。

なんで女子高生がこんなイラストが好きだったんだろう?(千夜一夜物語/ジャスミン)

 ども、春の香りを楽しむおぢさん、たいちろ~です。
 近所にジャスミンの花が咲きました。小さくて白い花が群がって咲くのがとっとも可憐です。なにより甘い香りが特徴で、この季節なら離れていてもすぐ気がつきます。ジャスミンティー(*1)と言えばおわかりになるかと。
 ところで、ジャスミンはその可憐さのせいか、女性の名前としてもよく使われます。その代表例がディズニーの”アラジン”に登場するヒロインの”ジャスミン”。ということで、今回ご紹介するのは”千夜一夜物語”であります。
 あっ、デカレンジャー(*2)でも良かったかも・・・

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写真はたいちろ~さんの撮影。近所のジャスミンです。

【本】古沢岩美画集 千夜一夜物語(ノーベル出版)
 日本の画家(1912~2000年)。
 裸婦像や超現実主義絵画を残した人ですが、私が知っているのは”千夜一夜物語”のイラストの人です。
【花】ジャスミン
 モクセイ科ソケイ属の植物の総称。漢字では茉莉(まつり、まり)茉莉花(まつりか、まりか)。原産地はアジアからアフリカの熱帯あるいは亜熱帯地方。ジャスミンの語源はペルシャ語に由来するそうなので、”アラジン”に使われるのはたぶん正解です。

 素直に、ディズニーの”アラジン”をやればいいんでしょうが、山ちゃんのはっちゃけたジニー以外に印象がないので(*3)、ちょっとひねって原作版のほうから。
 でも、”千夜一夜物語”の原作って、シェヘラザードが1001夜に渡って物語するのでかなりの超大作。文庫版で10巻以上が当たり前のボリュームです。
 実は、原作の”千夜一夜物語”って読んだ事なかったりします。特に”バートン版 千夜一夜物語”(大場正史訳)ってのが大人向けっぽくって。絵が古沢岩美という画家の人。実にセクシーというか色っぽいというか・・・

 今回ご紹介するのは”古沢岩美画集 千夜一夜物語”なんですが、意外なことにあとがきをみると、この本までは主人公のイラストはみんな西洋人だったそうです。古沢岩美はこれを東洋人にして、”イスラムの世界を象徴するモスク、コーランの甲高い祈りの声まで絵の中に閉じ込めてみたかった”とのこと(あとがきより抜粋)
 そうすると、実にセクシーで、退廃的で、享楽的で、残酷な作品になります。たとえばこんな感じ。

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左は”ハルン・アル・ラシッド教主とオマンの商人アブ・ハサンの話”(ちくま文庫版11巻の表紙)、右は”少女と父”(ちくま文庫版9巻の表紙)


 有名な話の船乗りシンドバットや、今回のアラジンにしてもけっこうえぐいイラストになります。

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左は”アラジンまたは不思議なランプ”、右は”船乗りシンドバットと軽子のシンドバッド”


 ディズニー版に出て来るランプの精”ジニー”は歌って踊れるゆかいなおっさんというイメージがありますが、古沢岩美版だと、夢に出てきたらうなされそうな悪役顔だし(ピアスとかしてちょっとおしゃれかも?)。シンドバットにしても、悪役はちゃんと串刺しにして焼いて食べる(レアっぽいけど)とこなんか念がいってます。


 ところで、この本を紹介してくれたのは、高校時代に女性の友人からで、”高い本だったけど、買えて嬉しい!!!”と言ってました。(ちなみに定価で18,000円します)。
 ずいぶん後になって、たまたま古本屋で同じ本を見つけたので買ってみましたが、なんで女子高生がこんなイラストが好きだったんだろう? 今だに謎です。


 まあ、妻の不貞で女性不信になった王様にシェヘラザードが寝物語にする話なので、ディズニー的な勧善懲悪的な話のはずがないんだろうな~ 今度、まじめに読んでみよう。 古沢岩美画集は1979年出版とすでに絶版、中古品で買っても3,500円以上と入手は難しいですが、図書館あたりを探すと読むことはできます。
 バートン版の”千夜一夜物語”自体は現在でもちくま文庫で入手できますので、真面目に(?)読んでみたい方はこちらのほうもどうぞ。


《脚注》
(*1)ジャスミンティー
 ジャスミンの花と緑茶などをブレンドして作ったお茶。中国茶のイメージがありますが、緑茶のブレンドなので日本茶の系列にもはいりそうです。
 どうなんでしょう、日本茶インストラクターの奥様?
(*2)デカレンジャー
 ”特捜戦隊デカレンジャー”は2004年に放映された”スーパー戦隊シリーズ”第28作目。宇宙警察モノです。
 デカイエローを担当する通称”ジャスミン”のお名前は礼紋 茉莉花(れいもん まりか)。だからジャスミン。
 演じたのは木下 あゆ美さんですが、そういえはこの人は仮面ライダーWでも刑事さん役をやってました。
(*3)山ちゃんのはっちゃけたジニー以外に印象がないので
 日本語版の”ジニー”の声を演じたのが、山ちゃんこと山寺 宏一。
 とてもエヴァンゲリオンの加持リョウジと同じ中の人とは思えん・・・

深夜のお食事、”美女の生き血”ってダメですか?(宇宙で暮らす道具学/ラズベリー)

 ども、ミッドナイトブロガーたいちろ~です。
 おおむねブログは深夜か早朝に書いています。頭を使う(使っているか?)作業なのでシュークリーム分(*1)が不足してきますから、本当はシュークリームを食べたいところです。でも買い置きがないので、チョコレートやジャム付きトーストなどを食べています。ということで、今回のお題”深夜に食べたくなるものは何?”ですが、答えは”甘いもの”であります。
 ところで、深夜にお食事をする人といえばこのお方、”吸血鬼”。で、今回のお話は唐突に”吸血鬼と宇宙飛行”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
左はラズベリーの実、右はこの実で作ったジャムです(実、ジャムとも私のお手製)
とってもぶらっでぃ~~

【本】宇宙で暮らす道具学(宇宙建築研究会 雲母書房(*1))

 ”道具学”となっていますが、宇宙船、軌道エレベーター、から宇宙基地等まで、多くの宇宙で暮らす技術を紹介しています。各項目も短く写真も多用されているので、この分野の広範な知識を理解するには良い本。
【花】ラズベリー
 フランス語ではフランボワーズ。甘ずっぱい実がとても美味しいですが、生の実はあまり売っていません。栽培はそんなに難しくないので、自分で育ててみるのもよいかも。ラズベリーケトンという香り成分にはカプサイシン(唐辛子に含まれる)の3倍の脂肪燃焼効果があるそうですが、砂糖いっぱいのジャムにして食べたら意味あるのかな?

 以前、何かの短編で吸血鬼が宇宙飛行士になる本を読んだんですが(*4)、確かに考えてみると吸血鬼属性ほど宇宙飛行士に向く生き物っていないですね。強みがより強みに、弱みが弱みにならないんでしょうから。吸血鬼属性は諸説ありますが、主だったところをまとめてみると以下のようになります。

食事は血液だけでOK
 人間が生きていくためには食事が必要ですが、毎日同じものでは飽きてしまいますし、調理をするためのギャレーも必要です。なんでもチューブに入れてペッタンコというわけにはいきませんので保存するための場所もそれなりに必要になります。
 しかし吸血鬼の場合、血液があればOK。液体ですので保管場所も少なくても大丈夫ですし調理スペースも不要、空間利用効率から見てもベストな選択です。

棺桶の中で冬眠状態になれる
 長期間の宇宙飛行では酸素などを節約するために、”2001年宇宙の旅(*5)”では船員が長期間の冷凍睡眠になっています。しかし吸血鬼の場合には、こんな大げさな装置を使わずとも自分の意思で冬眠状態になれる様子。ドラキュラの映画なんかで棺桶の中で寝ているシーンでてきますがあれです。
 映画によっては灰になったドラキュラが生き血で復活するなんてのがありましたが、こうなってくると棺桶すら不要なのかもしれません。

コウモリ、狼、霧などに変身出来る
 人間というのは以外と移動速度は遅くて、最高速度で時速37.6Km、長距離で時速20.4Km、巡航速度で時速4Km程度です(*6)。
 これに対し狼は最高速度の時速70kmなら20分間、時速30km前後まで速度を落とせば一晩中獲物を追い回すことができるのだそうです(Wikipediaより)。もちろん人間はコウモリのように道具なしで空を飛ぶことはできません。
 荷物の搬送などもあるので車両は必要でしょうが、ちょっとした移動であれば、コウモリ、狼に変身できる吸血鬼のほうが走破能力としては人間をはるかに凌駕しています。でも、霧に変身できるってな? まあ、凶暴な敵から逃れるためにはすごい能力なんでしょうけど・・・

 逆に弱点として太陽の光に当たると灰になるとか、十字架に弱いとかありますが、太陽光は遮光型の宇宙服を持っていけば済みますし、十字架は逆に持っていかなければいいだけの話です。白木の杭を心臓に打ち込む、銀の弾丸を撃ちこむと死ぬというのがありますが、そんなことされりゃ人間だって死にます。

 ”宇宙で暮らす道具学”には人間が極限状態である宇宙で生存するためのさまざまな道具が出てきます。最大のネックは運送コストが高いことなので、軽量化、コンパクト化が図られていますが、吸血鬼を宇宙飛行士にすればかなり改善余地があると見込まれます

 てなことを、夜食のラズベリージャムを塗ったトーストとトマトジュース(*7)を飲みながら、うだうだ書いているわけであります。
 ホントはそんなことをしているより、絶世の美女の首筋に牙を突き立てながら、めくるめく官能の夜を(以下、自主規制)

《脚注》
(*1)シュークリーム分
 シュークリームそのものが持つ成分。シュークリーム分が足りなくなると疲労や集中力・思考力の低下等の症状が現れる。出典は”あずまんが大王”。詳しくはこちらのブログをどうぞ。
(*2) 雲母書房
 ”うんも”ではなく”きらら”と読みます。”きらら”と聞いて”まんがタイムきらら(*3)”を連想された方もいらっしゃるでしょうが、こちらは介護、福祉、医療などを主なジャンルとする出版社です。
(*3)まんがタイムきらら
 芳文社から出版されている萌え・癒し系コミック誌。最近では”けいおん”、”GA”、”ひだまりスケッチ”など、深夜アニメの原作コミックを出しています。雑誌は読んでいませんが、単行本化されたのはけっこうお気に入りで持っています。なにもすることのない時にぼ~~読むには良い作品が多いです。
(*4)何かの短編で
 星新一だったかな~ どなたかご存知じゃありませんか?
(*5)2001年宇宙の旅
 原作アーサー・C・クラーク、監督スタンリー・キューブリックによるSF映画の名作。宇宙船ディスカバリー号による木星探査の航行中、活動しているのは船長のデビッド・ボーマン、フランク・プールの2名ですが、それ以外に3名が人工冬眠中。
 ”2001年宇宙の旅”のブログもありますので、ご興味のあるかたはこちらから。
(*6)最高速度で時速37.6Km~
 最高速度は2009年度に100m走でサイン・ボルトがマークした9秒58、長距離は2008年にマラソンでハイレ・ゲブレセラシェがマークした2時間03分59秒から計算しました。もちろん100m走で1時間も走るわけではないですし、歩行についても1時間に10~15分程度の休憩が必要なので、あくまで理論値です。
(*7)トマトジュース
 、藤子不二雄のマンガ”怪物くん”に出てくるドラキュラは血の変わりにトマトジュースを飲んでましたね。これで代替できればとっても安上がりなんですが。


 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

生きてりゃ、もう一杯ぐらい喰えるさ(機動警察パトレイバー/うどんげ)

 ども、ヒガシマルのうどんスープは必ず関西で買う(*1)こだわりのたいちろ~です。

 ”ここで会ったが優曇華(うどんげ)の華咲く春の心地して(*2)”

 ということで、今回のお題は”うどんとそば、好きなのはどっち?”。
 関西人にこのネタ振りますか! もちろん”うどん”です。

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たそがれ時せまる立ち喰いそば屋。撮影はたいちろ~さん。
でも、なんで立ち喰いは”うどん”ではなく”そば”と言っちゃうんでしょうね。




【本】機動警察パトレイバー(原作 ゆうきまさみ、監督 押井守、バンダイビジュアル)
 急増するレイバー(汎用人間型作業機械)犯罪に対し、警視庁は警備部特殊車両二課”パトロールレイバー中隊”で対抗するというリアル系ロボットマンガ&アニメ。ロボットという点を除けば、ショベルカーによるATM強奪犯罪に対し、ブルドーザのパトカーで対応するようなもの?!
【花】うどんげ(優曇華)
 3000年に1度花が咲き、その時に金輪王が現世に出現するという空想上の花。もちろん、うどんとは何の関係もありません。


 さて、関西のうどんと関東のそばと思われますが、全国を股にかける私としてはあまり正確ではないと思っています。西日本でも兵庫の出石そば、東日本でも秋田の稲庭(いなにわ)、群馬の水沢のうどんときれいに分かれるわけではありません。むしろ、薄口か濃口かの出汁へのこだわりこそ本質かと
 以前、”xx定食 そば付き”というのを注文したら関東風濃口醤油のうどんが出てきたので別のメニューに変えさせたことがあります。関西人にとって、これは「ヒンズー教徒がベジタブルカレーを注文したのにビーフカレーが出てきた(*3)」ようなもの。この行為は人類文明に対する冒涜です。

 個人的に好きなのは讃岐うどん。大阪の比較的やわらかめのうどんに薄口醤油の出汁、おあげさん、コロッケなどを入れた暖かいのもいいですが、讃岐うどんの腰の強さを生かした生醤油とすだちのざるうどんもいいです。時々、香川県の高松に出張に行きますが、かならずうどんを食べます。安いですし。

 さて、うどんやそばを扱った本や映画となると山ほどありますが、今回は”機動警察パトレイバー”から。第5,6話の”二課の一番長い日”には立ち喰いそば屋が3回も出てきます。さもありなん、このアニメ版の監督は押井守(*4)。のちに”立喰師列伝(*5)”という映画を撮る人です。
 自衛隊を率いて反乱を起こす敵キャラは甲斐 冽輝(かい きよてる)。”立ち喰いのプロみたい”と言われていますが、ロボットアニメ史上有数の”おとなの魅力を持った敵役”と思います。反乱が失敗した時のセリフが、

 はははは、事は終わった
 二人から始めて、ここまで準備するのに20年
 生きてりゃ、もう一回ぐらいやれるさ


 このふてぶてしさこそが悪役の真骨頂!
 何かあると、すぐ挫折感が先に来る昨今、ぜひ言ってみたい一言です。

 ”機動警察パトレイバー”の第一作は1988年と20年前の作品ですが、今観ても充分面白い作品。”うる星やつら ビューティフルドリーマー(*6)”と並んで押井守の初期監督作品の名作です。


《脚注》
(*1)ヒガシマルのうどんスープは必ず関西で買う
 ヒガシマル醤油の薄口うどんスープといえばの関西では定番のロングセラー商品です。都市伝説の類かもしれませんが、関東と関西で味が違うとのうわさがあります。
 今でも関西在住の義母が宅急便で送ってくれます。
(*2)ここで会ったが優曇華(うどんげ)の華咲く春の心地して
 講談、落語で登場する敵討ちの口上。3000年に一度咲くという優曇華の花に遭遇したような好機という意味。
(*3)ヒンズー教徒が~
 ヒンズー教にとって、聖なる牛の肉を食べるのはタブーです。インドやネパールに旅行に行かれる方はご注意を。
(*4)押井守
 宮崎駿と並び、名前だけで客を呼べるアニメ監督。主な作品は”うる星やつら”、”攻殻機動隊”、最近では”スカイ・クロラ”など。”赤い眼鏡”などの実写も撮ります。独特の暗い世界観と理屈っぽいセリフ回しが大好きです。
(*5)立喰師列伝
 ”立喰師”とは飲食店でうんちく、説教、話術、奇行など様々な手段を用いて店員を圧倒し、その隙に飲食代金を支払わずに店を出る者のこと。押井守の妄想から生まれた架空の職業(Wikipediaより)。押井守の小説及び2006年にアニメ映画化。
(*6)うる星やつら ビューティフルドリーマー
 高橋留美子原作のアニメ。1984年公開。どこまでが現実か、どこまでが夢なのか?アニメで表現された”胡蝶の夢”。個人的には同年に公開された”風の谷のナウシカ”よりも高い評価をしています。

”桜庭一樹が好き”と言えるしあわせ(赤朽葉家の伝説/鉄砲薔薇)

”桜庭一樹が好き”と言えるしあわせ

【本】赤朽葉家の伝説(桜庭一樹 東京創元社)
 「山の民」に置き去りにされた超能力を持つ祖母、元暴走族の漫画家の母、ニートな娘の3代にわたる女性たちによる大河小説。
【植物】鉄砲薔薇
 調べてみましたが、どうも架空の薔薇のようです。

 会社員の読書時間といえば、通勤時間と相場がきまっていますが、Around50(アラフィフ)のおぢさんが電車の中でライトノベルを読むのは、正直しんどいものがあります。ブックカバーは必須アイテムで、イラストのページは急いで読んだりして・・・・

 で、今回は”私の男(*1)”で直木賞を受賞した桜庭一樹さんです。
 私自身は乱読派なのであまりジャンルは気にしませんが、さすがに”ライトノベル、好きじゃ~”と大声で叫ぶ(*2)勇気はないですが、それでも最近読んだ本でライトノベル作家を上げるのはあらぬ誤解を招くのではないか心配です。(とはいっても、普通の会社員がラノベ作家をそんなに知っているとも思えませんが)
 で、ライトノベル出身の桜庭一樹さんが直木賞で一般に認知されたのは喜ばしいことです。ただ、この人の作品って、暗いのが多いんですよね。ライト(Light=明るい)ノベル作家なんですけど。

 受賞作の”私の男”もそうですが、今回の”赤朽葉家の伝説”もです。長じて千里眼奥様、今で言うセレブになる赤朽葉万葉さんにしても「山の民」に置き去りにされた過去の持ち主だし、漫画家の母、毛毬も男を寝取られ続けるし、連載完了後に死んじゃうし。娘の瞳子さんはニートぎみだし。

 作中の鉄砲薔薇は「山の民」の象徴のような書き方がされています。自殺した人を人知れず埋葬する山の民の墓所に咲き乱れる鉄砲薔薇と、山の民の末である万葉さんの臨終の床で、銀髪にばら撒かれる鉄砲薔薇。なぜ、薔薇に鉄砲をつけたかわかりませんが、山の民=山窩(サンカ)=山間の非定住者=猟師の連想でしょうか。

 しあわせだったかどうかうかがい知れない祖母と母の人生ですが、娘の瞳子さんには、ぜひ平凡な人生を送って欲しいものです。

 家族を中心とした大河小説は読みたいけど”大地(*3)”は重たし~、とか、昭和から平成にかけての時代風俗を地方から見たいと思っている人にはお勧めです。

《脚注》
(*1)私の男
 第138回直木賞を受賞した桜庭一樹の傑作。 親娘の秘めたる関係とか、ライトノベルでは出せない内容です。
(*2)xx好きじゃ~ と大声で叫ぶ
 ”めぞん一刻”から。酔っ払った主人公の五代 裕作が、ヒロインの音無響子さんに叫ぶ言葉。
(*3)大地
 パールバック作。百姓から金持ちになり、没落していった家族3代の物語。新潮文庫で4冊の大河小説。


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