小説

これがホントのハネムーン(第六大陸/花束)

 ども、月よりの使者、たいちろ~です(ウソです)。
 先日、”宇宙で暮らす道具学”という本を読みましたが、この中に月面でコンクリートを作る方法というのが載っていました。月の砂(レゴリス)に水を加え、太陽熱による処理を行うと、コンクリート状の建材ができるとのこと。つまり、技術的には月面に建物を作ることは可能とのことです(*1)。へえ~~~
 ということで、今回はこの技術を使って月面に結婚式場を作るという”第六大陸”の紹介であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所の花屋さんで見つけたミニ花束です。






【本】第六大陸(小川 一水 ハヤカワ文庫)
 極限環境下での建設事業で実績のある御鳥羽総合建設が受注したのは、月面での結婚式場”第六大陸”。依頼主はレジャー企業の会長、桃園寺閃之助とその孫娘 妙。工期10年、総工費1500億円の民間企業版宇宙開発の行方は? そして妙と現場監督(?)青峰との恋の行方は?
 2004年、第35回星雲賞日本長編部門を受賞した名作です。
【花】花束
 花束と言うと結婚式のブーケ(bouquet)を連想されるかもしれませんがこれはフランス語。英語では”a bunch of flowers”。
 題名に”花束”はつく小説としては”アルジャーノンに花束を(*2)”がありますが、この原題は”Flowers for Algernon”です。

 ”月面に結婚式場を作る”というと、コミカルな小説と思われるかも知れませんが、”第六大陸”は日本を代表するといっても過言ではないハードSFです。
 この小説の中での技術面でのブレイクスルーは”トロフィー”といわれるハイブリット型のロケットエンジン。現在のロケットの輸送コストは低軌道(高度350~1400km)ですら1キロの荷物に170万円ほどかかるとのこと(宇宙エレベータ協会HPより)。”トロフィー”はこれをペイロード(積載重量)10倍、製造コスト1/20にする技術。

 もうひとつの”ブレークスルー”である水の確保ですが、これは2009年10月9日にNASAの月クレーター観測機「エルクロス」が月の南極付近面に水があるか(*3)の調査を行いました(National Geographic Newsより)。”第六大陸”でも建築現場を南極に設定しています。本書の発行は2003年ですがちゃんと抑えるべきところを抑えているのはさすが。
 水があれば、生存に必要な酸素、推進剤としての水素の作成が可能になります。月の重力が1/6であることと、アポロ世代のおぢさんはアポロ11号の月着陸船の小ささから(*4)、帰りの燃料って少なくて済むと思っていますが、実際にはそれなりに必要。つまり燃料の現地調達ができれば、帰りの燃料を地球から持っていく必要がなくなるので打ち上げコストの削減、あるいは持っていく荷物を他のものに振り向けることができ、こちらでもコスト削減につながります。
 また、上記のレゴリスを使ったコンクリートの作成も、月に水があればわざわざ地球から持っていく必要がないので、こちらもコスト削減につながります。普段、何気なく飲んでいる水ですが、けっこう水って偉大なんですね。

 で、こういったことが民間企業でできるかというと、経済原理から言うと投資・回収ができるかどうかにかかっています。本書中では、中国の宇宙船に同乗させてもらう費用が大人一人20億円、機材等の運送コストだけで現状の技術では1.2兆円の試算としています。これを上記のコスト削減で、月までの運賃を1億円、総工費1500億円に圧縮して事業化していますが、これとて本書の中では1億円のお金を払う人を月4人20年間確保する必要があるとのシミュレーション結果。
 私見ですが、私は事業としては成立すると思います。1億円というと大金ですが、結局それでも行ってみたいという気持ちがある人がいる限り、それを抑えることはできないでしょう。それに、現在の企業の広告宣伝費を考えれば懸賞としても出せない価格ではないかと。それに低重力化での素材産業、科学実験等の需要は相当にあるのではないかと見ています。

 それでも、民間企業である以上重要なのは資金繰り。この計画では工期10年と見積もっていますが、逆に言うとそれまで大きな収入が見込めないということ。施工主の妙さんが過労で倒れたとき、第3のブレークスルーがあります。それは、妙さんの病室に届けられた無数のお見舞いの花束

  Take care of yourself,Moon Princess.--A.B.Navamukungman KL
  聞いたこともない名前だった。マレーシアからのものらしい。
  次のカードのもそうだった。次も、その次も。
  個人名もあれば、第六大陸に関係していない企業からのものも
  どこかの国の公人のものもある。

   (中略)
  数百の花束。優しさの海。名も知らぬ人からの声。
  妙は呆然とする。こんな応援は予測していなかった。
(本書より)

 つまりは、”人の想い”こそがブレークスルーの原動力なんですね。
 これを受けて、妙はさらに先に進むことになります。

 ”なぜ、宇宙開発に莫大な税金を使うのだ”という議論は昔からありますが、とどのつまりは”行ってみたいから”という純粋な気持ちを超えるものはないのかもしれません。もっとも、それでは稟議書が書けないのがお役所のつらいとこなんでしょうが(*5)。
 むしろ、妙さんのように個人資産を使ってでも計画を推進するほうがいいのかもしれませんんね。宇宙旅行のコストを劇的に下げるといわれている宇宙エレベータにしても、総工費は1兆円程度とのこと(*6)。この程度の費用であれば、ビル・ゲイツなら5~6ケ作れます

 まじめな話、数百万円、豪華客船クルーズ程度のお金で宇宙に行ければ相当な需要があるでしょう。私だって退職金で言っちゃうかも・・・

《脚注》
(*1)技術的には月面に建物を作ることは可能とのことです
 現実的にはクリアすべき課題(水の確保、製造プラントの建築、それらの輸送コスト等)が山積みですが、できるとわかればやってみたくなるのが人間の性。
 レゴリスの解説は大阪市立科学館のホームページをどうぞ。
(*2) アルジャーノンに花束を
 ダニエル・キイスによるSF小説。知的障害の為、幼児並の知能しか持たないが心の優しい青年チャーリーは、手術により天才的な頭脳を持つにいたる。しかし、この手術には致命的な欠陥があり・・・
 最終章にある”アルジャーノンのお墓にお花をあげてください”は涙なしには読めません。名作です。
(*3)月の南極付近面に水があるか
 水がないと思われている月ですが、水を主成分とする彗星が月に衝突し、かつ太陽の当たらない南極のクレータの影であれば氷の形で存在するのではないかと推測されています。
(*4)アポロ11号の月着陸船の小ささから
 高さ7m、最大重量 15.5t。"APOLLO MANIACS"のホームページにCGなどが掲載されていますので、ご興味のあるかたはどうぞ。
(*5)それでは稟議書が書けないのが~
 ダムが必要とかそうでないとかの議論をするよりよっぽど建設的ではないかと思ってしまします。それに経済的な波及効果も大きそうですし。
 いっそのことロケット開発の予算を文部科学省から国土交通省に移管したらどうでしょうね。ロケットだって交通機関なんだから。
(*6)総工費は1兆円程度とのこと
 宇宙エレベータとは、静止軌道から丈夫な糸(テザー)をたらしてエレベータで宇宙に出るというもの。試算は宇宙エレベータ協会によるものです。理論的には高校物理程度のものですし、技術的にはカーボンナノチューブの発明でまったく空想上のものではなくなってきています。
 ちなみにビル・ゲイツの個人資産は580億ドル、日本円にして約6兆円です(2008年度フォーブス長者番付より)

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介護としてのロボットの未来(旅立つ船/ニワトコ)

 ども、カゼで4日間寝たきり状態だったたいちろ~です。
 単身赴任者にとってやはりつらいのが病気をすること。寮におじさんとおばさんがいるので、”困ったら言って下さい”とは言ってもらっていますが、なんでもかんでもお願いするワケにもいかないし。
 こんな時にメイドさん、もとい、お世話をしてくれるロボットなんかがいればいいな~と思ってしまいます。
 ということで、今回のお題は”介護とロボット”であります。

Photo
写真は”蓼科山麓阿呆陀羅日乗”のホームページより。
ニワトコの実の写真です。
”蓼科山麓阿呆陀羅日乗”は蓼科付近の写真がいっぱい載っていて素敵なホームページです。こんなとこ住みたいな~



【本】旅立つ船(アン・マキャフリー&ラッキー 創元SF文庫)
 7歳の女の子、ティアを襲った全身麻痺の難病から救う方法、それは”殻人(シェルパーソン)(*1)”として宇宙船に生まれ変わることだった・・・
 マキャフリーの名作”歌う船”の第二作目”歌う船”のブログはこちらから
【花】ニワトコ
 漢字で書くと”接骨木”。難読漢字なんでしょうね、きっと。
 昔は接骨の治療に”ニワトコの枝を黒焼きにして、うどん粉と食酢を入れて、練ったものを患部に厚く塗って、副木(そえぎ)をあてて押さえておく”というのがあったそうです。(e-yakusou.comより)

 これでも、元山岳系のクラブにいたので、骨折した時の対処というのも練習します。骨折部分を木の枝など硬いもので固定し、担ぐか担架で山を下ろすというのが基本。さすがにニワトコの木を探すまではしませんが。
 で、”この副木に関節とモーターを着ければ、骨折していても自分で歩けるのではないか”という発想が出てくるわけで、外骨格型のロボットというかサイボーグの原型(*2)になります。

 一言で介護のロボットとまとめていますが、正確には”介護するロボット”と”介護される人を支援するアシスト機構”に分かれます。上記の副木の例は後者の例ですし、今回ご紹介している”旅立つ船”の主人公のティアが使っている可動椅子(モトチェア)も後者の延長にあります。スペックとしては以下のとおり。

  制御方法:舌あるいは目の動きで制御するスイッチ。
       コマンドを出す時には”椅子”または”腕”と言う必要がある
  駆動部分:コマンドにより、視線の方向への前進
       事前にプログラミングで指定した動きを行う腕

 小説では、これが技術の限界とのこと。現実には筋電位や神経電位を測定することでもう少し進んでいるようですが、素人目にはどうも可動させることよりマン・マシンインタフェースの確立のほうが難しいように思われます。

 実際に介護をしたわけではありませんが、寝たきりの人を抱えてのベッドの移動とか、お風呂に入れたりするのは結構力仕事のようで、こちらの方向でも開発が進んでいるようです。筑波大学システム情報工学研究科の山海研究室で開発しているロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)なんかを見ているとかなり実現化が進んでいるようですし。技術的には介護をするのも、要介護者をアシストするのも同じようなものみたいです。

 ネタバレになりますが、”旅立つ船”の最終章では”殻人(シェルパーソン)”であるティナが遠隔操作する人間タイプのロボットが登場します。これは自分のためというより(*3)、相棒であるアレクサンダーのため。
 遠隔操作できる距離に制限はありますが、練習すれば人間のような動き、皮膚から完璧な入力ができる、どんなタイプでもお好みのままという優れもの。同じぐらいの女性より体重が”数キロ重たいぐらい”ってわざわざ説明するとこなんか、やっぱり女の子だな~ 面白いのが、下記のティナのセリフ

  ティナ:頭脳船の契約を清算するくらいの莫大な費用がかかるから、
      マーケットがないからって

       (中略)
  ティナ:私の計画が外にも伝わって、マーケットができたの!
      契約を清算できるのに、今の仕事に満足して
      解約しない殻人がどれだけいるか知ってる?

 コンピュータ屋の観点から言いますと、ハード、ソフトとも開発費用や生産設備などに莫大な固定費が必要ですが、物理的なハードの原材料やソフトの媒体費用などの変動費は単位当たりではあまり掛かりません。つまり、マーケットが存在して量産効果が見込めればこの手のものはかなり低価格で消費者に提供できます。
 介護される人用のロボットを個人で利用するなら、現在の年金などの状況を考えると、月額で数万円程度のコストでないと難しいかも(*4)。逆にいうとこのレベルの価格で普及できるなら膨大なマーケットボリュームが見込まれます(*5)。

 まあ、宇宙を飛び回るサイボーグ船というのは実現するまで相当かかりそうですが、介護用ロボットではSFが現実を追い越している部分もあって、古典SFを読んでいるとそういったことを知る楽しみもあります。

 ”旅立つ船”は前作の”歌う船”同様名作ですが、人間としてのティアが登場する分、映像化しやすいかも。ぜひアニメ化して若い人にもファンを広げてほしいものです。

《脚注》
(*1)殻人(シェルパーソン)
 ”歌う船”の世界では脳幹を取り出して金属のカプセルに収納し、シナプス接続して機械をコントロールするという技術が確立しています。これを宇宙船の制御として利用したものが”頭脳船(ブレインシップ)”です。
(*2) 外骨格型のロボットというか~
 皮膚にあたる部分に、重量を支える骨格と筋力を補助するモータなどの装置をつけたもの。SFでは、ロバート・A・ハインラインのSF小説”宇宙の戦士”に登場する”パワード・スーツ”が有名。
 なお、医療・介護分野で使われているものは、パワーアシストスーツと呼称されることもあるのだそうです(Wikipediaより)
(*3)自分のためというより
 前作の”歌う船”の主人公ヘルヴァは生まれてすぐ殻人になりますが、ティナは7歳まで肉体を持っていたので、それなりの想いはもあるのでしょうか。こういった微妙な違いがSFファンにはたまりません。
(*4)月額で数万円程度のコストでないと難しいかも
 月額2~3万円、保守料や消耗品の費用を月額の10%、耐用年数5年、税金などが発生しない前提で計算すると、本体価格を100~150万円程度で販売する必要があります。これは現在日本で販売されている軽自動車の価格帯に匹敵します。
 上記のHALは現実に大和ハウスでリースしてくれるそうですが、価格はわかりませんでした。
(*5)膨大なマーケットボリュームが見込まれます
 2009年度の日本人口の中で65歳以上の人は約2876万人。仮に5%の人がこのシステムを利用すると対象マーケットは約144万人。
 144万という数字は、ベストヒット商品であるトヨタ自動車のプリウスの08年度国内販売台数(約7.3万台)のおむね20倍弱に相当します。
 何気にこういうことを計算してしまうのが企画担当者の度し難いところ。わかっちゃいるんですけどね・・・

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確実に『お父さんなんか大嫌い!』がぶっ飛んでくるな(三匹のおっさん/スタートレック/ミツマタ)

 ども、”おじさま”と呼ばれてみたいおぢさんたいちろ~です。
 おじさま、おじさん、おっさん、おっちゃん、このビミョ~な言語感覚に想いをはせつつ、クラリス(*1)、もとい、”三匹のおっさん”のご紹介であります。

Thumb写真は”染織 -造形遊び- ブログ”よりミツマタの写真。
ごらんのように、3つの又に分かれています。





【本】三匹のおっさん(作 有川 浩、イラスト 須藤 真澄 文藝春秋)
 定年後、ゲーセンに再就職した剣道の達人、柔道家で居酒屋の元亭主、機械をいじりの天才の工場経営者。3人のおっさん+孫と娘の高校生コンビによるご近所版スーパー戦隊?小説。年金貰ってのんびりしているだけがおぢさんではないんですよ~
【DVD】スタートレック
 アメリカのSFテレビドラマ。日本では1969年に初放映。カーク船長率いるU.S.Sエンタープライズ号による宇宙探検の物語。STO(Star Trek The Original Series)の作成から40年以上を経て、いまだに新作が作成されるという人気シリーズです。
【花】ミツマタ(三椏 三又)
 枝が必ず三つに分岐する、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木。英語の”oriental paperbush(東洋の紙の低木)”からもわかるように紙の原料になります。

 三人組のおぢさんといえば、伝説の時代劇”三匹の侍(*2)”とか年のわかるネタもありますが、やはり、スタートレックの3人組カーク船長、Mr.スポック、ドクターマッコイなんかが思い出されます。調べてみるとアメリカでの放映が1966年で、カーク船長役のウィリアム・シャトナーは当時35歳、設定上は30歳前半なのでおぢさん扱いすると怒られそうですが、観ているこっちは小学生なので充分おぢさんです。
 いつの間にかあっさり抜いてるんだもんな~。昨日、渡辺謙(*3)と同い年と知って愕然としたとこだし・・・

 話は戻って、三匹のおっさんとスタートレックの3人組ってけっこう相似形なんですよね。パッっと見、そうは見えませんが。

〔清田清一(キヨ)=カーク船長〕
 定年後、ゲーセンに再就職した剣道の達人。おっさん3人組のリーダー的な役どころ。ヤクザまがいの男を撃退する胆力と知恵、孫にウザがられながらも尊敬を勝ち取っていくというなかなかの人格者でもあります。
〔立花重雄(シゲ)=ドクターマッコイ〕
 柔道家で居酒屋の元亭主だけあって、客あしらいなんかにも長けているムードメーカー。3人のたまり場でもある居酒屋でしょっちゅう呑んでいるようですが、店の後を任せた義理の息子にはあれこれ言わない節度も持ち合わせています。けっこうできそうでできないんですよ、これって。
〔有村則夫(ノリ)=Mr.スポック〕
 機械いじりの天才の工場経営者。頭脳派ながら、改造スタンガンによる”エレクトリカルパレード"という必殺技をお持ち。清一の孫、祐希いわく「三匹の中で最も危ねえおっさん」。そういえば、Mr.スポックもナーブ・ピンチ(*4)という必殺技があったな・・・

 べつにドラマに限らず、現実でも”リーダー”、”ムードメーカー”、”頭脳派”の組み合わせによるプロジェクトって上手くいくんですよね。”リーダー”がいないと方向性が定まらないし、”ムードメーカー”がいないとギスギスするし、”頭脳派”がいないとイケイケドンドンでブレーキがかからないし。そういった意味では両作品とも絶妙な配置であります。

 ところで、則夫とMr.スポックとの違いは娘の早苗ちゃんを溺愛していること。早苗ちゃんと祐希くんのキスシーンには激昂。まあ娘を持つ父親としてわからんでもないですが、スタンガンを振り回すのはね~。
 清一と重雄が則夫を説得というか面白がるシーン

  清一:口うるさい親父は娘に嫌われるぞ。
     あんな場面を見てて口なんぞ出そうもんなら、まず間違いなく
  重雄:ああ。確実に『お父さんなんか大嫌い!』がぶっ飛んでくるな。
     一週間や十日は口すらきいてもらえないこと請け合いだ

 おぢさん、いや娘を持つお父さんは何時までたっても大変です。

 花で取り上げたミツマタは、特に日本では紙幣の原料になります。登場する若者がカネに絡んだ悪さをするヤツが多いのに、おっさんたちはけっこうお金には淡白。自警団を作っていろんな事件を解決するものボランティア感覚ですね。年をとるということは現世的な欲望を離れて自由に生きることを知る道程でもあるのでしょか?
 できればこういうおっさんになりたいものです。

 ”三匹のおっさん”は、相変わらずのストーリ・テリングとキャラ設定のサエを見せる有川 浩の一品。須藤 真澄の初期の頃のゆうきまさみを思わせる早苗ちゃんのイラストもかわいいし。
 ”大人のためのライトノベル”とも言える作品です。ぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1) クラリス
 ルパン三世に登場する可憐なヒロイン。16歳のクラリスがルパンを「おじさま」と呼んでいます。かつて、この”おじさま”というセリフだけを集めた”クラリスのおじさまカセット”なるものが実在しました。
(*2)三匹の侍
 1963年~69年にフジテレビで放映された時代劇。出演は丹波哲郎、平幹二朗、長門勇、監督は五社英雄と今考えるととんでもない豪華メンバーによる作品。子供のころよく観てました。
(*3)渡辺謙(わたなべ けん)
 日本を代表する俳優。1959年10月21日生まれ。”ラストサムライ”(2003年)でのサムライ勝元盛次、”バットマン ビギンズ”(2005年)のテロ集団”影の同盟”の首領ラーズ・アル・グール役で国際的にも有名。
 この秋公開の”沈まぬ太陽”で主演。この日本航空の大変な時に・・・
(*4)ナーブ・ピンチ
  首のところを押さえることで相手を一瞬で気絶させるワザ。中学校の時、やたら握力が強いヤツがいて、こいつがよくマネをしてました。気絶まではしませんが、やたら痛い!

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アマゾンがターミナスになる日(ファウンデーション/パピルス)

 ども、積読がたまってしょうがないたいちろ~です。
 図書館に本屋にB○○K○FFにと本探しに余念のない毎日ですが、おかげで本がたまる一方です。フィリップ君のように脳内本棚がある人や(*1)、ビルひとつ本棚代わりに持っている女の子(*2)はいいですが、一般の本読みにとって本の置き場所というのは切実な問題。で、電子書籍も場所をとらなくていいんですが、なかなか手が出なくて。
 そうこうしている内にAmazon.comから電子ブックリーダ”Kindle”が日本でも発売されることになりました(2009年10月19日発売予定)。当面は英語書籍のみだそうですが、日本の本が読めるようになったら買うかな~これ。B○○K○FFめぐりも趣味のひとつなのでいつでも読めるということと、ぶらぶらしながらふと手にとって見るというのの違いってけっこう微妙です。

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写真は草津市水生植物公園のHPから。
パピスルの写真。行ってみたいな~この公園。





【本】ファウンデーション(アイザック・アシモフ  早川文庫)
 滅亡の危機に直面した銀河帝国。この危機を予言した心理歴史学者のハリ・セルダンは滅亡の後に続く3万年の暗黒時代を千年に短縮するために、宇宙の知識を集めた銀河百科辞典を編纂する”ファウンデーション”を辺境の惑星”ターミナス”に設立する。
 ”銀河帝国興亡史”の第一作。
【花】パピスル(Papyrus)
 ”紙(paper)”の語源であるカヤツリグサ科の植物。記憶媒体としてのパピルスは古代エジプトではすでに利用されていたとのこと。現存するパピルス文書の最古のもの(デルヴェニ・パピルス)は紀元前340年のものだそうです。

 さて、この”Kindle”ですが、その有用性の本質はパソコンもどきで文章が読めることではなく、その後ろにある28万冊以上のタイトル。同じく”Googleブック検索”も著作権問題が決着すれば、絶版書を含む膨大な書籍(*3)がいつでも読めるようになります。

 ということで、久しぶりにアイザック・アシモフの”ファウンデーション”を読んでみました。このお話に出てくる”銀河百科辞典”というのは、惑星ターミナスに移住(追放された)科学財団”ファウンデーション”が編纂する百科辞典のことです。第一巻が発行されるまでに55年の歳月を要し、以後も改版がつづいているという膨大なもの。
 これだけ見ると、ウィキペディアに似ているようですが、ウィキペディアはだれでも編集に参加できるオンライン百科事典なのに対し、銀河百科辞典はむしろ”人類の英知の避難所”という意味合いが強いです(設立時点)。
 ちなみに、ウィキペディアを運営しているのは非営利団体”ウィキメディア財団(Wikimedia Foundation Inc)”。こちらもファウンデーションです。

 1巻目の”ファウンデーション”では、コンピュータを使ってる記載はありませんが、それは当たり前で、最初に雑誌に掲載されたのは1942年とのこと(訳者あとがきより)。"ENIAC(*4)"よりも前のことです。重要なのは、アシモフといえどこの当時に現在のコンピュータネット社会を予想できなかったということより、小説が書かれたのが第二次世界大戦当時という背景の中、戦後の復興には科学技術が不可欠であるというイマジネーションを持っていたことでしょう。

 その後、東西冷戦とその終結により知識が世界レベルで拡大していくわけですが、拡散している知識がネットワークによって手元ですぐに見ることができるというのは、私のような知識集約型のブログを書く人にとってはとっても助かります。
 単なるオタク的な知識だけかもしれませんが・・・

 グーグルもアマゾンも本をスキャンして読者に提供するというサービスを提供していますが、利便性のほかにも知識の散逸を防ぐとか(*5)の意味でも、ありかなと思っています。それにネットで見れると本が売れなくなる(書店という流通経路を含めて)ので困るとの意見もありますが、レンタルビデオ店のようにひとつのマーケットを形成するようになったりとか(*6)、音楽の有料配信サービスがビックビジネスになっているように(*7)、時代に合わせてサービスのデリバリ形態は変わっていくのはある意味必然だと考えます。
 パピルスという記憶媒体は、中国で発明された紙に取って代わられたそうですが、紙もまたいつかは違う媒体に取って代わられるんでしょうね。レコードなんかも発明されて100年強でCDになっちゃたし(*8)。

 ま、現在のファウンデーションであるアマゾン、グーグル、ウィキペディアが今後どうなっていくかはわかりませんが、コンピュータネットのインフラとして人類の発展に貢献して欲しいな~と、コンピュータサイエンス志望の娘の進学希望を見ておどうさんは思ってしまうわけであります。

《脚注》
(*1) フィリップ君のように脳内本棚がある人や
 ”仮面ライダーW”(テレビ朝日系 2009年9月~)に登場する主人公のひとり。頭の中に本棚があってなんでも検索できる"人間Google"のような人。
(*2) ビルひとつ本棚代わりに持っている女の子
 小説”R.O.D”に登場する稀代の本読み”読子・リードマン”のこと。この女性はほとんど本棚にするためだけに神保町にビルを1つ丸ごと借り切っています。愛書狂(ビブリオマニア)にとっては垂涎の的。
(*3)絶版書を含む膨大な書籍
 本というものがどれぐらい存在するかというと、日本の書籍、雑誌に限定しても図書が約905万3千冊、逐次刊行物が約1,247万4千点。この数は日本で発行される書籍を保管する義務のある国立国会図書館の蔵書数(平成19年年度末現在)なので、これをやや上回るぐらいと見てよいでしょうか。
(*4)ENIAC(エニアック)
 世界最初のコンピュータのひとつ(異説もあるので)。ペンシルベニア大学で初めて公開されたのは1946年のことです。
(*5)知識の散逸を防ぐとか
 帝国データバンクの調査によると、2008年に倒産した出版社は52社。その出版社の本は絶版になってしまうでしょうから入手はますます困難になります。
(*6)レンタルビデオ店のように~
 日本レコード協会の調査によると2008年度のCDレンタル店舗数は3,051店舗、CDの総在庫枚数は約4,022万枚と今や一大マーケットになっています。
(*7)音楽の有料配信サービスが~
 2008年の有料音楽配信の総売り上げは約905億円(前年比120%)、ダウンロード件数は約4億8000万件。同じく日本レコード協会の調査より。
(*8)レコードなんかも~
 現在の円盤型のレコードの発明は1887年。CDがコンシューマー製品として発売されたのは1982年、CDの生産枚数がLPレコードを逆転したのが1986年のことです。ちなみに、音楽配信の売上高がシングルCDを上回ったのは2006年。


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新型インフルエンザ対策は引きこもりに限る(赤き死の仮面/糸杉)

 ども、新型インフルエンザ対策担当のたいちろ~です(これは本当)。
 ここのところ、毎週のように本人や家族が新型インフルエンザに罹患したとの連絡が入ってきます。死亡に至るような大事になっていないのが不幸中の幸いですが、家族が罹患した場合でも、3日間の自宅待機で様子を見る決まりになっています。
 まあ、人にうつさないことが肝要なのですが、逆に言うとうつされないためにはあまり人ごみの中に行かないことも有効かと。
 ということで、今回ご紹介するのは、病気にかからないために集団で引きこもりをした人たちの話”赤き死の仮面”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所の園芸店にて
糸杉の一種、ゴールドクレストです




【本】赤き死の仮面(エドガー・アラン・ポー ちくま文庫他)
 赤死病の感染から逃れるために、プロスペロ公は騎士、貴婦人1,000人とともに城郭風の大伽藍の中に閉じこもる。そして友人たちを楽しませるために開催した仮面舞踏会の最中、デスマスクをした人物が登場する・・・
 原題は”The Masque of the Red Death”。”赤死病の仮面”
と訳されることもありますが、タイガーマスクに敬意を表して(*1)表題は”赤き死の仮面”の方にしました。
【花】糸杉(いとすぎ)
 ヒノキ科イトスギ属の総称。別名セイヨウヒノキ(西洋檜)。ゴッホが好んで描いたのはこの木です。
 植木によく使われる”ゴールドクレスト”も糸杉の仲間(ホソイトスギ属)。
 花言葉は”死、哀悼、絶望”です。

 ”赤死病”は、”黒死病=ペスト”からのイメージなんでしょうが、ペストは治療法が確立していなかった(*2)14世紀のヨーロッパでの大流行では、全人口の3割が命を落とすほどの恐ろしい病気でした。

 新型インフルエンザはここまですさまじくはないと願いたいですが、それでも私の担当している新型インフルエンザに対する事業継続計画(*3)では”人口の約25%が発病し、従業員が最大40%が欠勤、致死率は0.5%~2%”を前提としています。
 まあ、何かの前提をおかないとこの手の計画は立てられませんが、実際に家族が発病しないまでも、体調が思わしくないといわれた時に会社に出勤するどうかというとどうでしょうね。家族からは”私を見捨てて会社に行った!”と一生言われそうだし・・・

 話は戻って、”赤き死の仮面”ですが、プロスペロ公はなかなか容易周到な人物のようで、充分な糧食は言うに及ばず、道化師、即興詩人、踊り手などの娯楽も用意しています。地震などでは3日分の食料と水を備蓄するようによく言われていますが、こういったところは見習いたいもの。娯楽でいうと、私は部屋に2~3年分は楽しめる本が備蓄されています(*4)。
 まあ、パニック対策として出口の閂(かんぬき)を溶接するのはちょっとやりすぎのような気がしますが・・・

 ただ”公”という以上、為政者のはずですが、”領民を見捨てて自分達だけ助かろうという性根はどうなのよ”と思っちゃいます。案の定、プロスペロ公たちには悲劇的な終末を迎えることになります。まあ、”死”は等しく誰にでも訪れるということでしょうか、人の思惑をあざ笑うかのように。

 今日(2009年10月11日)は、エドガー・アラン・ポーの葬儀がボルティモアで執り行われるそうです。当時の葬儀にはわずか10人程度しか参列しなかったそうですが、今回は国内外から数百人のファンや関係者が参列される見込みとのこと。人の運命なんてわからないものです。
 そういえば、ゴッホの糸杉も”死の予感”のように語られているようです。こちらも不遇の人生を送った人ですが、まさか現在になって自分の絵が100億円以上の値段がつくとは思っても見なかったんでしょうね。

 ”赤き死の仮面”は文庫本版で11ページの掌編小説ですので、すぐに読めます。ポーやゴッホの運命を思いながら読むのもいいかもしれません。

《脚注》
(*1) タイガーマスクに敬意を表して
 ”タイガーマスク”(原作 梶原一騎、作画 辻なおきの漫画、アニメ)に”20世紀の吸血鬼”と呼ばれる残虐レスラー”赤き死の仮面”というのが登場します。
 どっちかというと知ったのは、こっちのほうが早かったんで・・・
(*2) 治療法が確立していなかった
 伝染病院に隔離され、抗生物質による治療が行われる。有効な薬品としてストレプトマイシン、テトラサイクリン、サルファ剤等があげられる。適切な治療がなされれば死亡率は20から0パーセントに下がる。(Wikipediaより抜粋)
(*3)事業継続計画(Business Continuity Plan, BCP)
 災害が発生した場合に最低限継続するのに必要な”重要業務の決定”、”復旧までの時間”、”復旧対策”、”教育・訓練”などを計画すること。
 災害と言っても地震、パンデミック(病気の大流行)によって想定が大きく異なるので、実際に作るとなるとかなり大変な作業になります。
 上記の数字は厚生労働省の”新型インフルエンザ対策ガイドライン”に準拠。
(*4)2~3年分は楽しめる本が備蓄されています
 いわゆる積読です。いつ読むんだ?

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一杯、一杯、また一杯(李白詩選/エゾノツガザクラ)

 ども、これでもけっこうおつまみを作るが上手いたいちろ~です。
 今回のお題は”家飲みが好き!「おうち居酒屋」のいいところ教えて!”ですが、まあ、お金のかからないところと、そのまま寝てしまえることですかね。お酒を呑まないと寝れないので(アル中か!(*1))、だららんとした休日にはもってこいです。
 ということで今回ご紹介するのは”李白詩選”より、”山中与幽人対酌(山中にて幽人と対酌す)”であります。

Ezono
写真は北海道)大雪山のエゾノツガザクラ。
大学時代の友人からいただいたものです。
”たぶん”との注釈がありましが、まあかわいいからいいか。





【本】李白詩選(李白 岩波文庫)
 ”一斗の酒を飲めば百篇の詩が吐き出す”という中国盛唐の呑ん兵衛詩人、李白の詩集。漢文の授業で習った”黄鶴樓にて孟浩然を送る(*2)”の作者。覚えてますか?
【花】エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜)
 ツツジ科か!ツガザクラ属の常緑小低木。北海道~東北地方以北の高山帯の適度に湿り気のある岩場や草地に群生する高山植物。

 山中与幽人対酌    山中にて幽人と対酌す
   両人対酌山花開  両人対酌すれば 山花開く
   一杯一杯復一杯  一杯一杯 また一杯
   我酔欲眠卿且去  我酔いて眠らんと欲す 卿 しばらく去れ
   明朝有意抱琴来  明朝 意あらば 琴を抱きて来たれ

現代語訳
 山中で隠者と酒を酌み交わす
   我らふたりが酒を酌み交わせば 美しい花が咲く
   ついつい我らは、一杯一杯、また一杯と杯を重ねた
   「ああ、私はすっかり酔ってしまったよ、
   眠くなったから、ひとまず帰ってくれないか?
   そして、明日の朝、気が向いたなら、琴を抱いて来てくれ。」

          (春蘭さんのHP”花木蘭”より)

 けっこうわがままな李白さんですが、私も飲んだら寝るほうなので気持ちはわかります。”眠くなったら寝る”のが私の主義なので、夕方から呑んでる日曜日なんかは、サザエさんが終わったころにはすでに寝ているという健康的なのか不健康なのかわからん生活を送っております。

 お酒はというと家でひとりで呑むか、知人とうだうだ話をしなが呑むのが好きですね。ど~でもいいような話をだらだらするのもおつなもの。その人の隠れた一面が見えたりして面白いものです。ただ、最近おつまみが減って、酒が増えているのが困りモノ(*3)。さすがに何を話したか記憶にないほど呑むことはないですが、電車の乗り過ごしなんかしょっちゅうです。

 逆にダメなのが、スナックとかおねいさんのいるお店。別に人見知りというわけではないんですが、根が関西人なので女性がいるとついつい受けよう精神が出てしまうので、かえって気づかれします。同じ意味でカラオケもあんまり好きではありません。次に歌うのをどれにするかにはまって、お酒に集中できないし・・・
 その点、家だと気を使う必要もないし、李白さんのように自然にかこまれて、なんのしがらみもなく友人と呑めるんであれば最高です!

 李白の詩の中にある”山花開く”ですが、何の花かはわかりませんが、高山植物から”エゾノツガザクラ”をチョイスしました。なんとなく、お銚子をひっくり返したように見えたので。 ま、本物のお銚子がこんだけ空いたらヘベレケでしょうが・・・

 ところで、HPをいろいろ見ていると”小烏(こがらす)草子 漢詩四コマ劇場”みたいに漢詩を4コママンガにした変り種もありました。どうも、堅苦しいイメージのある漢詩ですが、こうやってみると結構肩の力を抜いて読めるので面白いですよ。
 でも、英訳されるとどうもねえ

  A couple exchange cups,
    mountain flowers open.         
  One cup one cup,and one cup.

          (”渓閃さんのHP”より引用)

 いや、英文として正しいのはわかってるんです。でも、カップルがエクスチェンジ(交換)は男どおしの怪しい関係っぽいし、ワンカップは、なんとなく”ワンカップ大関”を連想しそうだし(*4)。

 ”李白詩選”は真剣に読むというより、暇な時にパラパラめくるよう、もっというとブログのネタ用に買ったりなんかして。日常的には漢詩なんか読むことないので、たまにはいいかな~と。

《脚注》
(*1) アル中
 アルコール依存症のこと。Wikipediaの説明では”薬物依存症の一種で、強迫的に飲酒行為を繰り返す精神疾患”と怖い表現になってます。
(*2) 黄鶴樓(おうかくろう)にて孟浩然(もうこうねん)を送る
 (黄鶴楼送孟浩然之広陵)
 ”故人西のかた 黄鶴樓を辭し”で始まる惜別の歌。”七言絶句”の形式ですが、あったな~こういうのも。
 全文は、関西詩吟文化協会のHPでどうぞ。
(*3)最近おつまみが減って、酒が増えているのが困りモノ
 だいたいパーティなんかでは料理の減り方が平均年齢のバロメーターで、若いモンのパーティだと料理なんかどんどんなくなっていきますが、年寄りのパーティでは料理がほとんど手付かずで残ってしまいます。
 モッタイナイ!
(*4)なんとなく”ワンカップ大関”を連想しそうだし
 べつに、渓閃さんがどうのということではありません。神社仏閣にある英文の説明がな~~んとなく違和感があるのと同じでしょうか。


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歌う船、宇宙の中では平気なの♪(歌う船/くるみ)

 ども、サイコミュによるパソコン操作を目指しているたいちろ~です(ウソです)(*1)。
 まあ、サイコミュうんぬんはともかく、考えただけで機器制御を行う”ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)”というのは現実に研究されている技術ということが日経新聞に載っていました(*2)。
 で、この技術を宇宙船に応用したらどうなるかということで、今回ご紹介するのが宇宙SFの名作”歌う船”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
くるみの中身。ケーキ素材のコーナーで売ってました。
ところで、殻付きのくるみはどこで売ってるんだ?









【本】歌う船(アン・マキャフリー 創元SF文庫)
 生まれつき機械の助けがなければ生きられないヘルヴァは、自らの肉体を金属の殻に封じ込め優秀なサイボーグ宇宙船に生まれかわった。宇宙を駆け抜け、困難なミッションをこなし、だが女の子を心を持つ”歌う船”として。
 みずみずしい感性の光る宇宙SFの名作。
【花】くるみ(胡桃)
 硬い殻の実をつけるクルミ科クルミ属の落葉高木の総称。家具などで使われるとウォールナット(walnut)。日本に自生している種類は”オニグルミ”だそうです。
 花言葉は、”知恵、野心、知性”など。

 ずいぶん昔に読んだんですが、たまたま図書館で見つけて久しぶりに読みました。いや~、良かったですね。

 主人公のヘルヴァは生まれつき体が不自由なため、肉体を耐久チタニウムの殻に入れた殻人(シェル・ピープル)として宇宙船”XH-834号”の頭脳になります。初めて宇宙船になったのが16歳の誕生日。普通だったら高校生です(しかも、染色体パターンからの推測によると美人とのこと)。

 初めて一緒のクルーとなった初恋の人”ジェナン”を事故で失うエピソードや(歌った船)、体を入れ替えてシェイクスピアを演じる話とか(劇的任務)、宇宙船=女の子という感性的な部分と、宇宙船=パイロットというお仕事的部分がうまくミックスされています。
 ジェナンの願いは自分という船に乗ってくれる素敵なパートナを見つけて宇宙を旅すること。最後には口ケンカばっかりしてるけど、パロランというパートナを見つけるハッピーエンドになっています。(でも、旅の途中にケンカばっかししてそうだけど・・・)

 ジェナンが肉体を持つチャンスがあった時の会話

  パロラン 絶好のチャンスだ、お嬢さん。
       生まれ変わるんだ・・・ カーラの身体に入って

        (中略)
       そのチタニウムの貞操帯からきみを出す
       一生に一度のチャンスだと思ったからさ
  ジェナン この船としてのあたしには、あなたたちには想像もつかないほどの
       肉体的力と肉体的自由があるわ。
       あたしは考え、感じ、息をする。

 パロランのジェナンに対する、人間としての肉体を持たせて上げたいという想い、機械のように扱われることに対する不満がないまぜになって、でも、自分が宇宙船であるというジェナンの誇りへの共感など、なかなか哲学的ともいえるお話です。

 ”硬い殻につつまれた知性”ということで、花には”胡桃”を取り上げてみましたが、外が硬いといって中が硬いとは限らないもの。外の硬さは中身の繊細さを覆い隠すためにあるのかもしれません。

 ところで、表題の”宇宙の中では平気なの♪”は”アタックNo.1”の主題歌から。今の人には主人公の”鮎原こずえ”は上戸彩かもしれませんが、おぢさん世代にとってはやっぱり声は”小鳩くるみ(*3)”さんです
 単なる”くるみ”つながりです、すいません。

 ”歌う船”は原書の初出が1961年と半世紀近く、日本語訳も84年と四半世紀前の本ですが、今読んでも充分楽しめる傑作。今の若い人ならライトノベル感覚で読めるかもしれませんね

《脚注》
(*1) サイコミュでパソコン操作~
 ”サイコミュ”とはガンダムシリーズに登場するニュータイプの脳波であるサイコウェーブを利用し、機器制御を行う技術のこと。物理的に手足を使うという制限がなく、実用化できれば究極のマン・マシン・インターフェースといえます。
(*2) 日経新聞に載っていました
 日経新聞 2009年9月27日 サイエンス欄に掲載されていました。
(*3)小鳩くるみ
 おぢさん世代には童謡歌手としても有名。”アタックNo.1”主題歌は大杉久美子さんですが、小鳩くるみさんが歌われているバージョンもありますが、さすがにお上手。
 YouTubeでどうぞ♪

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恋には我身の命もいらぬ(夜叉ケ池/インパチェンス)

 ども、電車賃がなくてなかなか自宅に帰れない単身赴任のたいちろ~です(*1)。
 会社の出張だと交通費は気になりませんが、自腹となるとやはり往復2万円は結構な出費(*1)。なかなか連休とかないと帰れない状態です。
 ということで、今回は別れ別れの恋人=竜神を扱った泉鏡花の”夜叉ケ池”のご紹介です。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所の公園に咲いていたインパチェンスです。












【本】夜叉ケ池(泉 鏡花 岩波文庫他)
 大昔に竜神と人間の間に交わされた契約。それは「竜神がその力を封じ続けるには日に3回鐘をつくこと」。その鐘を撞き続ける若い夫婦と、村人たちとの対立。そして恋に焦がれる竜神”白雪”の想い。
 泉 鏡花の代表的な戯曲。
【花】インパチェンス(Impatiens)
 アフリカのタンザニアからモザンビークにかけての高原地帯に分布する一年草。別名、アフリカホウセンカ(鳳仙花)。語源は、ラテン語の”impatient 我慢できない”から。花言葉は”豊かさ”のほかに”短気”などもあります。

 で、なんでこんな。大正時代の戯曲(*1)を読む気になったかというと、最近読んだ野村美月の「”文学少女”と月花を孕く水妖」のモチーフがこれなんですね。
 こちらのほうは別のブログで書きましたので省略しますが、本歌(*3)である”夜叉ケ池”はというと2つの恋の交錯する幻想的なお話です。

 人間のお話は学生の荻原晃と村娘の百合が竜神との約束に従って鐘をつく役目を引き継ぎますが、日照りに悩む村人たちは百合を竜神への雨乞いの生贄に捧げようとします(*4)。

  晃  生命に掛けても女房は売らん、
     竜神が何だ、八千人が何(ど)うしたと!
     神にも仏にも恋は売らん。

 かたや、竜神の白雪は遠く剣ケ峰にいる恋人の妖怪に会いたいものの、人間との約束のため、鐘がつかれている間は夜叉ケ池から離れられない身(*5)。

  白雪 人の生命が何う成ろうと、其(それ)が私の知ることか!
     恋には我身の命もいらぬ。
     (中略)
     あこがれ慕ふ心には、冥土(よみじ)の関を据ゑたとて、
     夜のあくるのも待たれうか

 目先の利益のため、他人を平気で犠牲にできる代議士や村人たちと、恋人に会いに行きたい気持ちが我慢できず、村人の犠牲をいとわない白雪はある意味相似形なのかもしれませんが、我が身をも犠牲の内に考える白雪と一方的に他人に犠牲を強いる村人ではやはり深みが違います。

 で、誰を犠牲にしなくても家に帰れるのに帰らないおとうさんは”我慢できない”という名をもつインパチェンスの花を見ながら、交通費の捻出をしみじみ考えるのであります

 泉 鏡花の名前は知っていましたが、読むのは今回が初めて。食わず嫌いというか、こんなに面白い話だとは思っていませんでした。大正期の文章ですが、戯曲だけあって言葉のリズムが流れるようで思いの他すらすらと読めます。私が読んだのは”鏡花幻想譚”に収録されたものですが、解説や振り仮名もあって読みやすかったです。他に収録されている”天守物語”、”海神別荘”もお勧めです。

《脚注》
(*1) 大正時代の戯曲
 泉 鏡花(いずみ きょうか)は、明治後期から昭和初期にかけて活躍した小説家、戯曲作者。”高野聖”や”婦系図”が代表作。近代における幻想文学の先駆者ともいわれています。”夜叉ヶ池”は1913年(大正2年)に発表。
(*2) ”文学少女”と月花(げっか)を孕(だ)く水妖(ウインディーネ)
    (作 野村 美月 イラスト 竹岡 美穂 ファミ通文庫)
 「悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください」
 そんな”文学少女”こと遠子先輩に呼ばれて行った先では80年前の殺人に端を発する因縁の事件だった。
 ライトノベル系の推理小説。
(*3)本歌
 本歌取りは、有名な和歌を自作に取り入れて作歌を作る和歌の作成技法の1つ。
 ”文学少女シリーズ”は主人公の遠子さんが古今東西の文学に精通した人なので、有名な小説をモチーフにしています。
(*4)竜神への雨乞いの生贄に捧げようとします
 処女を裸にして牛の背中に縛り付けて夜叉ヶ池に追い立てるというもの。あまりいい趣味とはいえません。
 ちなみに晃の友人学円によると、雨が降るのは牛の背中の犠牲を見るに忍びないので天道が泣くからとのこと。
(*5)夜叉ケ池から離れられない身
 白雪が夜叉ケ池から動くと大雨、洪水によって多くの生命が失われることになるそうです。


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やさしいコスモスの作り方(神様のパズル/キバナコスモス)

 ども、最近、花図鑑で花の名前を調べはじめたたいちろ~です(*1)。
 近所の道端にキバナコスモスが咲いていました。まだまだ暑い日が続いていますが、そろそろ秋の花が咲き始めました。
 誰かが植えたように見えなかったので、たぶんこぼれ種かなにかで芽が出たように思われますが、はかなげなイメージのコスモスですが、けっこう元気に育っています
 ということで、今回の本のご紹介は”神様のパズル”。同じコスモスでも、こちらはコスモス=宇宙(*2)を作るお話です。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所に咲いていたキバナコスモスです。













【本】神様のパズル(機木 伸司 ハルキ文庫)
 ひょんなことから、人工受精で生まれた天才少女穂瑞沙羅華(ほみずさらか)と一緒にゼミで「人間は宇宙を作ることはできるのか?」を研究することになってしまった落ちこぼれ大学生、綿貫君の苦悩の日々・・・
 2002年、第三回小松左京賞受賞作、08年に谷村美月主演で映画化。
【花】キバナコスモス(Yellow Cosmos)
 原産地はメキシコ。同じコスモスですが、ピンク色のものとは交配する事はできないのだそうです。コスモスの花言葉が”乙女の心”に対し、こちらは”野生的な美しさ”です。

 きっかけになったのは、量子力学の聴講生の老人の疑問。

  あなたは何ともないのですか?
  宇宙がどうしてできたかも知らずに生きているということが。
  そしてこんな根本的なことも分からずに
  死ななければならないということがですよ。

 宇宙を作ろうとした物理学者、穂瑞沙羅華の疑問

  私が知りたかったのは、自分のことだったのだ。
  自分は何故生まれてきたのか。何故生きているのか。
  こうして生きているのに、
  自分とは何かもわからないで私はここにいる。
  私はそれを知りたかった。

 引用が長くなりましたが、この疑問を突き詰めると”創造主”、つまり神様に行き着くんですね。意外なようですが、物理学者って神様が好きなようです。本の題名にもなった”神様のパズル”は物理学者アルベルト・アインシュタイン(*3)の言葉。
 きっと、無から宇宙を作り出し見つめる瞳っていうのは、神の視点なのかもしれません。もっとも、人間がコスモスを愛でるように、神様が人間を慈しみの目でみてくれるとは限りませんけどね(*4)

 余談ですが、小説の最後に穂瑞がカラオケで歌うのが”君の瞳に恋してる(*5)”。この曲の原題は”Can't Take My Eyes Off You”。日本語に直訳すると”あなたから目をそらすことなんかできないわ”。
 なかなかオシャレなオチです。

 久しぶりに読みましたが、けっこう面白いSF小説です。最新の物理学用語がポンポン飛び出しますが、ガジェットと思って読み飛ばしてもOK。わかればもっと面白いのかもしれませんが、原始物理学なんて素人の手に負えるもんじゃありません。
 本書でも言っているように、原理なんか知らなくても音楽は美しい調べを奏でてくれるんだから

《脚注》
(*1)花図鑑で花の名前を調べはじめた~
 間違いを書いてはいけないので、基本的には公園や園芸店などのプレートで確認していますが、道端に咲く花もきれいなので載せ始めました。でも、植物の同定(生物の分類上の所属や種名を決定すること)ってけっこう難しいです。
(*2)コスモス=宇宙
 植物のコスモスは”Cosmos”。英語では宇宙も”Cosmos”ですが、元になっている世界、宇宙、秩序を意味するギリシャ語では”kosmos”です。ちょっと違うけど、ま、いいか、書き始めちゃったし。
(*3)アルベルト・アインシュタイン
 相対性理論の基礎を築き上げた20世紀を代表する頭脳。”神はサイコロを振らない”もこの人の言葉。
 けっこうおちゃめなところもあって、舌を出している写真が有名。2008年にノーベル賞を受賞した物理学益川敏英が舌を出したのはこれのパロディです。
(*4)神様が人間を慈しみの目でみてくれるとは限りません
 宇宙創成SFの古典といえば、エドモンド・ハミルトンの”フェッセンデンの宇宙”ですが、こちらは惑星規模の災害をおこしたりとかやりたい破壊したりと放題。
(*5)君の瞳に恋してる
 1967年に発表されたオールディズの名曲。オリジナルを歌ったのは、フランキー・ヴァリ。


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うなじの色香は清楚な君にこそ似合う(”文学少女”と月花を孕く水妖/ナデシコ)

 ども、女性のしぐさにドキッとしても、そこからの未来が見えないたいちろ~です。
 今回のお題は”ドキッとする異性のしぐさ、表情は?”ですが、髪をかき上げてうなじを見せるしぐさですね。ただし、さらさらのロングヘアに隠れた白いうなじでないといけません。最近はショートヘアか、髪の毛をくくっている女性が多いので、できる人少ないのが残念ですが。
 マニアックなチョイスで申し訳ない。


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写真はたいちろ~さんの撮影。
植木市のナデシコ(トコナツ)。








【本】”文学少女”と月花(げっか)を孕(だ)く水妖(ウインディーネ)
  (作 野村 美月 イラスト 竹岡 美穂 ファミ通文庫)
 「悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください」
 そんな”文学少女”こと遠子先輩に呼ばれて行った先では80年前の殺人に端を発する因縁の事件だった。
 泉鏡花(*1)の”夜叉ヶ池”(*2)をモチーフにしたライトノベル系推理小説。
【花】ナデシコ(撫子)
 万葉集や枕草子などにも出てくる古くから日本でも愛でられていた花。秋の七草の一つでもあります。
 花言葉は”いつも愛して、思慕、純愛”など。というより、キョンキョンのほうが有名かな?(*3)


 実は高校の時に、このうなじの髪のかき上げるしぐさがとっっても色っぽい友人(ただし男)がおりまして、もはや芸の粋(*4)に達しておりました。けっこう女の子からも人気があって、頼まれるとよく披露をしておりました。
 今でこそ、髪の毛があるだけで感謝するおぢさん世代ですが、高校時代は1970年代半ばですから、男もみんなロン毛(*5)。こやつも肩にかかるぐらいのロングで、元々色白だったのでとってもせくすぃ~なポーズでした。あくまで男ですけど・・・

 で、うなじを見せるシーンですが、たまたま読んでいた「”文学少女”と月花を孕く水妖」に登場する大金持ちのお嬢様、姫倉麻貴先輩がこれをやっております。足までとどくロングヘアをかきあげてうなじにあるうろこのような痣を見せるために。遺伝的に現れる一族の証なのだそうですが、物語のキーワードになっています。
 余談ですが、私の首にも小指の先ほどの薄い痣がありますが、娘にも同じようなのがあるので、確かに遺伝するんでしょうね。

 ”文学少女シリーズ”の作者、野村 美月さんはロングヘアーにこだわりがあるのか、主人公の遠子先輩も足までとどく、こちらはツインの三つ編み。

  文学少女ののシンボルの乙女の黒髪が、
  心葉くんの目には、
  白く見えるって言うのね、そうなのね?

 今や絶滅に瀕している三つ編みですが、竹岡 美穂さんの水彩画っぽいイラストではとても美しく描かれています。

 で、作品の中にそっと登場するのが一輪のナデシコ。本書の中でなにも説明がないのでなぜ出てくるのか不思議でしたが、花言葉の”いつも愛して、思慕”というので納得しました。こういった細やかな配慮というのもいいですね。

  ”文学少女シリーズ”は主人公の遠子先輩が文字通り文学に精通しているだけあって、人間失格(太宰治)、オペラ座の怪人(ガストン・ルルー)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)など古典の名作がモチーフになっています(*6)。
 ジャンルでいうと推理小説になりますが、むしろ古典文学から犯人たちの心のひだを読み解くのがこのシリーズの魅力。あまり本を読まない若い人たちにもお勧めのシリーズです。

 ところで、会社の女性に”うなじを見せて”とか言ったらセクハラになるんでしょうね、きっと・・・

《脚注》
(*1)泉鏡花の”夜叉ヶ池”
 泉鏡花は”高野聖”、”婦系図”などを書いた、明治後期~昭和初期の小説家。ペンネームの”鏡花”は”鏡花水月(鏡に映った花や水に映った月のように、目には見えながら手にとることができないもの)”から。なので小説の表題に”月花”が入ります。
(*2)夜叉ヶ池
 地元の娘・百合と、萩原晃、物の怪の白雪、封じ込められた竜神による悲恋の物語。今、図書館から借りてきて読んでます。
(*3)キョンキョンのほうが有名かな?
 1982年にデビューしたなんてったってアイドル”小泉今日子”のこと。”ヤマトナデシコ七変化”を1984年9月にリリース。私が入社した年です。最近は”グーグーだって猫である”に主演されているので、いかに息の長いアイドルかがわかります。
(*4)芸の粋
 ゲイではありません。念のため。
(*5)男もみんなロン毛
 吉田拓郎が「僕の髪が肩までのびたら結婚しようよ」と歌ったのが1972年のことです。、武田鉄矢が”3年B組金八先生”でロンゲの先生を演じたのが1979年です。
(*6)古典の名作がモチーフになっています
 人間失格は"文学少女と死にたがりの道化(ピエロ)”に出てたので久しぶりに読み返しました。ブログはこちらから


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うちの奥様がね、(刑事コロンボ/蘭)

 ども、”うちの奥様がね、ブログを始めました”のたいちろ~です(*1)。
 そんなことより、今回のお題は”あなたが好きな「名探偵」は誰ですか?”ですが、私のイチオシは中年の星、”刑事コロンボ”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。
胡蝶蘭(こちょうらん)です。
近所の園芸店にて。








【本】刑事コロンボ(W・リンク、R・レビンソン) 
 ロサンゼルス市警察署(*1)のコロンボ警部を主人公としたアメリカのTVドラマ及び小説。テレビドラマではコロンボ役をピーター・フォークが好演しました。推理モノとしては1970年代を代表する作品のひとつです。
【花】蘭(ラン)
 鑑賞、贈答に用いられるラン科植物。英語名は「Orchid(オーキッド)」。胡蝶蘭やカトレアなどがが有名です。花言葉は”美人、優雅な女性”など。
 前から不思議に思ってたんですが、どうしてスナックの開店祝いというと蘭なんだろう?


 前回、”奥様、ブログを始めました!”のブログを書くときに、”私のブログに時々登場する正体不明の「奥様」”という紹介をしたんですが、このネタモトが”刑事コロンボ”。
 コロンボ警部はロサンゼルス市警察署・殺人課勤務。よれよれのレインコートと安葉巻、ボサボサの髪の毛と斜視が特徴で、一見すると冴えない中年のおっさんですが、これが、超一流の犯人達が実行した完全犯罪をささいなヒントから暴いていくというストーリー。
 で、コロンボ警部の口癖が”うちのカミさんがね、”。ほとんどどうでもよさそうな雑談ですが、その中かからヒントを見つけだすのはさすがにコロンボ警部。うだつのあがらない中年のおっさんだとおもって油断してたら痛い目にあいます。でも、カミさん、一度も画面に出たことないんですね~(*2)、スティーブのようなお方です(*3)。

 ちょうど、ブログネタに読んでいたのが”悪の温室(原題 The Greenhouse Jungle)”。犯人はお金持ちの蘭の収集家です(*4)。蘭を育てるために大金が必要になって犯行を企てるんですが、お金持ち、蘭を”娘たち”と呼ぶ紳士、60歳のナイスミドルとけっこうなセレブルイティです。

 余談ですが、花の趣味ってジャンルによってはお金かかるんですよね~。私のように会社の寮の庭で適当に野菜なんぞ作っている分にはしれていますが、モノによってはとんでもなく高いものもあります。
 私の奥様は、テーブルコーディネータのお手伝いをしていたことがありますが(*5)、花の値段を聞いて”マジですか!”と言ったことがあります。その後、トレンディドラマで独身OLの部屋にとても大きな花をディスプレイしているのがありましたが(*6)、”いったい幾ら給料もらってるん?”とつっこんでしまいました。

 話はもどって、力の抜けたコロンボ警部と、スタイリッシュな犯人の会話がこの作品の魅力。中年のおやじ(*7)をピーター・フォークが好演。それに、日本語吹き替えを担当した小池朝雄(*8)がまたいい。飄々とした語り口がとてもピーター・フォークとあいまってコロンボ警部のキャラクターを魅力的なものにしています。

 40年近く昔の作品ですが、小説は作品によっては現在でも入手可能。無くても図書館とかをさがせばたぶんあると思います。TVシリーズは”完全版 コンプリートDVD-BOX(しかも小池朝雄版)”等がありますので、ぜひご覧ください。推理小説としても、エンタテインネントとしても楽しめる気軽に楽しめる作品です。

《脚注》
(*1)ロサンゼルス市警察署
 三浦和義のロス疑惑事件、マイケル・ジャクソンの死亡事件を担当するなど、日本でも意外とおなじみです。
(*2)一度も画面に出たことないんですね~
 ”ミセス・コロンボ”という作品もありますが、原作者のW・リンク、R・レビンソンによると別物とのこと。
(*3)スティーブのようなお方です
 ”世界の料理ショー”で顔を見せない謎のスタッフ。グラハム・カーの会話の中にしかでてきません。詳しくはこちらのブログからどうぞ。
(*4)犯人はお金持ちの蘭の収集家です
 推理小説で犯人をバラすのは、たこ殴りにされてもしかたのない行為ですが、刑事コロンボは倒叙物というまず犯人が描かれて探偵がいかに犯人と犯行(トリック)を明らかにしていくかを楽しむ形式。”悪の温室”では最初の12ページ目に犯人が出てきます。
(*5)テーブルコーディネータのお手伝い~
 テーブル上に花や食器をディスプレイするお仕事。デパートなどの食器売り場などにあるテーブルセッティングなどをされています。この説明で合ってますか、奥様。
 当時お世話になっていたのは”丸山洋子テーブルクリエーション”を主宰されている食空間プロデューサー、丸山洋子さんです。
(*6)トレンディドラマで~
 今井美樹主演の”あしたがあるから”だったかな~。まじめに見たわけではないのでうろおぼえです。突然フラワーアレンジメント事業の部長に抜擢されたOLのお話。
 1991年とバブル期にTBSで放映されてましたが、それでもそんなに給料高かったのかな?。私が安月給だっただけかもしれませんが。
(*7)中年のおやじ
 中年、中年言ってますが、ピーター・フォークがコロンボを演じ始めたころはまだ40代前半です。
(*8)小池朝雄
 日本の俳優、声優。ピーター・フォークのほかにジーン・ハックマンなども担当されています。1985年に54歳の若さで亡くなられました。
 ちなみに、亡くなられた後のコロンボ役は声が似ているということで石田太郎が担当しましたが、やはりオールドファンには小池朝雄が忘れられません。
 YouTubeより”刑事コロンボ/策謀の結末”。コロンボ警部は5分過ぎに登場。


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15532回目の夏休み!(涼宮ハルヒの憂鬱/アサガオ)

 ども、夏休みの宿題はとっとと片付ける派のたいちろ~です。
 でも、全部終わらせずにちょっとだけ残すんですね、これが。で、最後にあわてることになります。”三つ子の魂、百まで”と言いましょうか、仕事も同じで8割がた片付けて最後までやらないので、結局最後にわたわたします
 あと、毎日やる観察日記なんかも苦手。定番といえば”アサガオの観察日記”ですが、この手の宿題はいきなり時間がワープします
 ということで、今回ご紹介するのは夏休みの宿題ネタとして”涼宮ハルヒの憂鬱”から”エンドレスエイト”のご紹介。エイトは夏休みの8月であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所で撮影したアサガオです。組み合わせが面白いので写真とってみました。




【本】涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流 イラスト いとうのいぢ 角川スニーカー文庫)
 ちょ~パワフルな女子高生、涼宮ハルヒは「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶ」ために”SOS団”を結成。宇宙人、謎の転校生、時をかける少女にふつ~の高校生(*1)による非日常系学園コメディ。ある意味SF。
 平野綾(*2)のCVでアニメ化され、こちらも大ヒットしました。
【花】アサガオ(朝顔)
 ラッパ型の花を咲かせる夏の風物詩とも言える花。英語では”morning glory(朝の栄光)”、意外なことにヒルガオ科サツマイモ属です。
 花言葉は”短い愛、はかない恋、愛情のきずな、固い約束”など。


 子供のころ、夏休みといえばけっこう長く感じたものでした。さすがに残り2週間ぐらいになると子供ながらに”そろそろ終わりかな~”ぐらいは思いましたが。で、今回の”エンドエスエイト”は夏休みの終わりの2週間を延々15532回繰り返すというお話。なぜこんなことになったかというと、涼宮ハルヒが夏休みにやり残したことがあるから。この無限ともいえるループを抜け出すために”涼宮ハルヒがやりたがっていることを探して実行すること。そのために、彼らは夏休みを遊びまくります。でも、ちょっとは勉強せい、高校生たち!

 というわけで、優等生の謎の転校生、小泉くんですら夏休みの宿題が終わっていない状態。みくるさん、そろそろ受験勉強しなくていいのか? 主人公のキョンにいたっては何もやっていないと豪語するしまつ。
 でも、解決の糸口が”夏休みの宿題”です。あんまり書くとネタバレになるので、このへんにしておきますが、とっても面白いお話です。

 ま、人に意見ができるほどまじめな高校生の夏休みをすごしたわけでもないわけで、でなければ、大学受験に2回も失敗しませんって。そう思えば、今年受験の息子と娘のほうがよっぽどまじめな夏休みを送っております。

 ”エンドレスエイト”は涼宮ハルヒの憂鬱シリーズの”涼宮ハルヒの暴走((第5巻)”に収録されていますが、ブログを書こうと思って原作を探したんですが腐海に沈んでしまい(*3)この巻だけが見つからないぞ!
 ということで、インターネットで調べながら書きました。

 原作、アニメ、コミックと角川お得意のメディアミックスで展開されていますので、お好みのものをどうぞ。どれをとってもすっごく面白いです。


《脚注》
(*1)宇宙人、謎の転校生、時をかける少女にふつ~の高校生~
 長門 有希さんは、簡単に言えば宇宙人(アンドロイドかも)、古泉 一樹くんは転校してきた超能力者、朝比奈 みくるさんは未来から来たタイムリーパー(タイムパトロール?)。主人公のキョンはなんのとりえもないふつ~の高校生です。
 宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊んでいるんですが、涼宮ハルヒはそのことをぜんぜん知りません。このへんがお話を面白くしています。
(*2)平野綾
 写真集は出すわ、グラビアには出るわと、今やアイドル並の人気を誇る人気声優。他の代表作は”らき☆すた”の泉こなたさんとか。でも、”半分の月がのぼる空(ドラマCD版)”の夏目小夜子さん役も捨てがたいです。
(*3)腐海に沈んでしまい
 押入れという名の本棚。下の段はほとんど、上の段も半分以上本で埋まってしまいました。ほとんど未整理で突っ込んでいるので、ブログを書くにあたって本を探すのが一苦労です。本の整理も夏休みの宿題かな?
 余談ですが、先日の地震(2009年8月11日の駿河湾沖での地震)で、崩れてきた数千冊の本に押しつぶされて亡くなられた女性がいらっしゃいました。さすがに私もまだこのような神の領域には至っておりません。

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聖地巡礼、赤福氷!(半分の月がのぼる空/赤福氷/砲台山)

 ども、かき氷はウィスキー派(*1)のたいちろ~です。
 さて、今回のお題は”かき氷で一番好きな味は何?”ですが、個人的には練乳とかカルピスとは乳製品系が好みです。でもこれでは面白くないのでちょっとひねって地域限定、夏季限定(*2)の”赤福氷”をご紹介。
 なんでそんなマイナーな食べ物を知っているかというと、”半分の月がのぼる空”で主人公の少年、少女がデートで食べに行っているからです。

Aka_koori_pic_01 0807263 左の写真が赤福氷。赤福のホームページから
右は砲台山から望む伊勢市。たいちろ~さんの撮影です。



【本】半分の月がのぼる空(橋本紡 電撃文庫)
 病弱な文学少女,秋庭 里香(あきば りか)と、へたれだけどやるときはやる戎崎 裕一(えざき ゆういち)の伊勢を舞台にした”Boy Meets Girl”のライトノベル。
 いつ死んでもおかしくない里香の病状から、ハッピーエンドが約束されていない恋愛小説。でも、”生きている限りがんばれ!”とお父さんは思ってしまうのです。
【旅行】伊勢の赤福氷
 写真ではわかりませんが、抹茶のかき氷の底に赤福餅がはいっています。私は抹茶がだめなので(*3)ムリいってみぞれ味にしてもらいました。
【旅行】砲台山
 里香と裕一がつきあうきっかけになった山。正式名称は”虎尾山(とらおやま)”。2008年に訪れた時は工事中だったので、道を探すのにずいぶん苦労しました。


 実は、”半分の月がのぼる空が面白いよ”と紹介してくれたのは、友人の高校生の息子さん。いや~、はまりました。主人公の秋庭 里香は、病弱、ツンデレ、ロングヘアという三拍子そろった正統派文学美少女!(*5)
 で、この本を読んで昨年伊勢に行ってまいりました。いわゆる財力にモノをいわした大人の聖地巡礼Part2(*6)です。

 伊勢神宮の内宮、外宮(げくう)、砲台山などをまわって、伊勢うどんと、まんぷく食堂(小説ではまんぷく亭)のからあげ丼を食しました。で、仕上げが”赤福氷”! 熱射病になりそうな炎天下を自転車で走り回っていたので(*7)、とってもおいしゅうございました。
 伊勢に在住の方か小説を読まれた方でないと伊勢神宮以外は何の話かわからないかもしれませんが、こういった小説の舞台になった街に行くのはけっこう好きです。”時をかける少女”の尾道とかメジャーな観光地もありますし、NHKの大河ドラマなんかだと街ぐるみで観光誘致しています。
 だから、ライトノベルやマンガだからといってヲタク扱いするのはいかがなものかと・・・
 
 ”半分の月がのぼる空”は全8巻とけっこう長いですが、意外と伊勢の狭い範囲がモデルになっています。里香が病弱なこともあって、舞台が病院のシーンが多いですがその分文学作品が多くモチーフになっています。特に2巻に出てくる”銀河鉄道の夜(*8)”なんかはいいですね。仲良しのジョバンニとカンパネルラは、里香と裕一の淡い付き合いを連想させますし。二人の乗った銀河鉄道を病院のベットから見上げる里香なんてのはとっても絵になります。
 そういえば、昨日、鉄道ヲタクの友人と呑んでまして、”いわて銀河鉄道”の話が出ましたね。こんど乗りに行ってみようかな。


 ところで、”半分の月がのぼる空”って、ライトノベルとしては唯一「原作小説・漫画・ドラマCD・アニメ実写ドラマ(*9)・実写映画」の6分野で作品化されているとのこと(Wikipediaより)。にもかかわらず、昨年伊勢を訪問したときはほとんど観光化されていませんでしたね。工事中だったこともありますが、砲台山の看板すら出ていなかったし。でも、この本のファンらしい学生がちゃんと4名も来てました。
 ”伊勢神宮”だけを観光資源だよりにしているとしっぺ返しを食いますよ。少しは鷲宮町(*10)を見習って欲しいものです。

 イラストの山本ケイジの絵がいかにもラノベ系なので、おぢさんが電車の中で素で読むには恥ずかしいかもしれませんが、けっこうのめりこめます。虚心坦懐に読んでください。


《脚注》
(*1)かき氷はウィスキー派
 さすがに反則かと思ったので本編では書いていませんが、正確には冬の飲み物。氷点下の雪山でパウダースノーをコップに入れてウィスキーを入れるのが正しい飲み方。学生時代はこれをやりたいがために雪山に登っていたといっても過言ではありません。
(*2)地域限定、夏季限定
 赤福のホームページによると、4月24日(本店のみ6月26日)からの夏季限定で、食べることのできる店も三重県で6ケ所、名古屋で2ケ所のみです。
(*3)私は抹茶がだめなので
  たいがい好き嫌いはないんですが、抹茶だけはダメ。でも、奥様は日本茶インストラクター(*4)の資格保有者なんですね~~
(*4)日本茶インストラクター
 日本茶インストラクター協会による資格試験があります。この協会は日本茶の更なる普及活動の推進を行うことを目的に設立されたNPO法人。
 奥様によると、資格保有者はお茶屋さんの人か、農政担当の公務員が多いとのこと。
(*5)病弱、ツンデレ、ロングヘヤーという~
 すいません、おもいっきりストライクゾーンど真ん中なんです。
(*6)聖地巡礼Part2
 Part1は”鎌倉にうさまんを食べに行く”。こちらは桜庭一樹の”荒野”から。詳しくはこちらで
(*7)自転車で走り回っていたので
 内宮、外宮など、少し離れているのでレンタサイクルを借りて回りました。自転車で移動するには適当な距離ですが、夏に行かれる方は水分補給をしっかり取ってください。
(*8)銀河鉄道の夜
 宮沢賢治による童話の傑作。孤独な少年ジョバンニと、友人カムパネルラの二人が銀河鉄道に乗って旅をするという物語。少年の友情、銀河鉄道の車窓から見える星々のイマジネーションが文学少女の心をがっちりとらえているのか、本書のほかに野村 美月の“文学少女シリーズ”なんかにも出てきます。私もこれらをきっかけに読みました。
(*9)実写ドラマ
 橋本淳に、石田未来に、吉野公佳にとけっこうなメンバーが出演していますが、ロケ地は伊勢市ではなく栃木県佐野市。このへんにも伊勢市の脇の甘さが見受けられます。
(*10)鷲宮町
 埼玉県の北東にある町ですが、この街にある”鷲宮神社”はアニメの”らき☆すた”に登場したことで初詣の参拝客が2007年の13万人から09年には県内第2位の42万人となりました。今では、”平成のお伊勢参り”と称されるそうです。
 いわゆる”萌えおこし”の代表例。詳しくは、北海道大学観光学高等研究センター研究チームのHPをご参照ください。

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不完全な死体が輝く時(ぼくらの世界/松葉 他)

 ども、昨日、高校時代の友達と呑みにいってたたいちろ~です。
 さて、今回のお題は”線香花火のような、はかなく切ない思い出”ですが、涙腺のゆるんだ中年のおぢさんにこのネタはいけませんぜ! 泣いてしまうやろー(*1)
 高校時代って、卒業という約束された別れに向かってひた走るもの。でも、今でもこうやって会えるっていうのはすばらしいことなんでしょうね。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の松葉。


【本】ぼくらの世界(栗本薫 講談社文庫)
 ぼく栗本薫、ぼくが書いた「ぼくらの時代」という推理小説が、かの有名なシャーロッホームズ賞を貰うことになったんだ。ところがその授賞式で殺人事件が起こって・・・
 モラトリアム青年、薫くんに、過去の夢を捨てきれない老作家、老作家を見返すことだけが人生の目的になった作家志望の青年・・・
 それぞれの登場人物が夢と挫折をもった推理小説的青春小説。
【花】牡丹⇒松葉⇒柳⇒散り菊
 調べて初めて知りましたが、線香花火って先に玉ができる時を”牡丹”、火花をちらす時を”松葉”、激しく燃える時を”柳”、消える直前の”散り菊”というのだそうです。


 ”ぼくは不完全な死体として生まれ、完全な死体になる(*2)”と言ったのは寺山修司。昨日会った友人達は、高校2年生のときに知り合ったんで、実際に一緒だったのはほぼ2年間。完全な死体になるまであとどれぐらいかはわかりませんが、おそらく人生の何十分の一の時間。でもかけがいのない時間
 今では子供達が高校生になって、こちらは親の立場になりましたが、子供達はそんなすてきな高校生活を送ったんでしょうか?


 栗本薫さんが亡くなられたのをきっかけに、改めて”ぼくらシリーズ(*3)”を読み返しています。ちょうど昨日読んでいたのが3作目の”ぼくらの世界”。この作品は主人公の栗本薫がシャーロック・ホームズ賞を受賞して作家としてデビューし、友人のヤスヒコは結婚し、同じく友人の信はインドに旅立つエピソードが書かれています。かつては”三位一体”とまで言われたグループがそれぞれの道を歩き出すところで終わっています

  その夢は消えたけれども、そのかわり、ぼくも走る。
  信も、ヤスも、走っていれば、
  いつかきっとどこかで会えるにちがいない。
(本書より)

 結局、人は生きている以上、前に進まざるを得ないんでしょうね。河に浮ぶ木の葉が自分ではなにもしなくても、川下に流れていくように。

  甲野乙骨は意気軒昂と、書きあげられら出版界が震撼するはずの大作について
  話していたではないか
  彼には老いたりといえど気概とも、夢もあるのだ。
   (中略)
  ただひとつ云えるのは、
  ぼくは、死ぬときまで次作の構想をねりつづけていた正史のように死にたい(*4)、
  ということだけだった。(本書より)

 栗本薫さんが亡くなられた時もやはりこう思われていたのでしょうか。今回出席した友人も”グインサーガの続きはどうなるのか?(*5)”と言ってました。

 チャップリンではありませんが、老いてなお”次こそが最高(*6)”といえる気持ちを持ち続けることが大切なのかも。線香花火のように、”もう一回光るかな?”という期待と不安こそが刹那の美なのかもしれません。

 でも、そんなことを考えなくてもあってくれるのが友達でもあるんでしょうけどね。

 追記
  出席できなかった元カノからのメール
   ”あっかんべ~


《脚注》
(*1)泣いてしまうやろー
 元ネタは若手お笑いコンビ、Wエンジンの”惚れてまうやろー!”。こういったシチュエーションコメディって、けっこう好きです。
(*2)ぼくは不完全な死体として生まれ、完全な死体になる
  昭和十年十二月十日に ぼくは不完全な死体として生まれ
  何十年かゝって 完全な死体となるのである

  そのときが来たら ぼくは思いあたるだろう
  青森県浦町字橋本の 小さな陽あたりのいゝ家の庭で
  外に向って育ちすぎた桜の木が
  内部から成長をはじめるときが来たことを
  子供の頃、ぼくは 汽車の口真似が上手かった
  ぼくは 世界の涯てが
  自分自身の夢のなかにしかないことを 知っていたのだ
    寺山修司 ”懐かしのわが家”より
(*3)ぼくらシリーズ
 栗本薫、石森信、加藤泰彦を主人公とする推理小説。”ぼくらの時代(第24回江戸川乱歩賞受賞)”、”ぼくらの気持”、”ぼくらの世界”の三部作のこと。
(*4)正史のように死にたい
  推理作家”横溝 正史”のこと。”犬神家の一族”をはじめとする名探偵”金田一耕助”の生みの親。
 ちなみに、並び称される松本清張の作家デビューは40歳を超えてからなので、おぢさん世代も捨てたもんではありません
(*5)グインサーガの続きはどうなるのか?
 栗本薫のヒロイック・ファンタジー小説。2009年7月現在で正伝が127巻、外伝が21巻とギネス非公認ながら、単一の作家では世界最長の小説。まだ読んでいませんが、栗本薫の死去に伴い今後どうなるかはSFファンの注目するところです。
(*6)次こそが最高
 喜劇王チャップリンに対して、「あなたの代表作は何ですか?」という記者の質問に対するてチャップリンの答え。
 「NEXT ONE(次回作だ)」

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名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ(終戦のローレライ/椰子)

 ども、ふるさとの岸を離れて単身赴任中のたいちろ~です。
 さて、今回のお題は”あなたが海で聴きたい曲は?”ですが、おそらく、このネタで最も暗い選曲”椰子の実(*1)”でしょうかね。
 夏の海といえば、TUBEにサザンに加山雄三にと、明るい曲が目白押しというになにゆえにこの曲かというと、私の住んでいる町の夕方にこの曲がかかるんですね。ちょうど”夕焼け小焼け”のノリです。

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写真はたいちろ~さんの撮影
神戸のハーバーランドにて




【本】終戦のローレライ(福井晴敏 講談社文庫他)
 ナチス・ドイツが開発した特殊兵器「ローレライシステム」をした潜水艦伊五〇七(*2)は、3発目の原爆投下を阻止すべく、単身アメリカ軍に挑む・・・
 2005年に香椎由宇(仮面ライダーの妻)主演により”ローレライ”の名で映画化。
【花】椰子の実
 英語ではココナッツ (coconut) 。果実は繊維質の厚い殻に包まれていて、中に大きな胚乳(お菓子なんかで使われる部分)があるのが特徴。
 ジャイアント馬場が得意としたプロレスのワザに”椰子の実割り(ココナッツクラッシュ)”というのがありましたが、本当にこれで割れるかどうかは不明。


  名も知らぬ 遠き島より
  流れ寄る 椰子の実一つ
  故郷(ふるさと)の岸を 離れて
  汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)


 この曲の作詞は島崎藤村(*3)。椰子の実の漂泊の旅に自分が故郷を離れてさまよう憂いを重ねて読んだという詩です。(全詩はこちらから
 いや~、単身赴任のおとうさんとしては、心にしみる名曲です。

 で、今回の本ですが、この曲がモチーフのひとつになっているのが”終戦のローレライ”。軍事小説のヒットメーカ、福井晴敏が終戦をテーマに扱った作品です。
 テイストとしては、”沈黙の艦隊”に”機動戦士ガンダム”をぶち込んで”宇宙戦艦ヤマト”でかき回したような作品(*4)。ま、これだけ聞いて話の想像がつく人がいらたお化けでしょうから解説を少し。
 潜水艦に搭載された「ローレライシステム」とは、主人公、パウラ・A・エブナーの水を媒介とした感知能力を見える化するシステム。そのお兄さんが、元ナチス親衛隊士官のフリッツ・S・エブナー。ガンダムのシャア少佐とセイラさんを彷彿とさせるお二人。パウラの能力はララァっぽいし(*5)。
 このシステムをたよりに、アメリカ軍の艦隊に阻止する絶望的な戦いを挑むことになります。

 で、この物語の中でエブナーが歌うのが”椰子の実”の歌。

   思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
  いずれの日にか 国に帰らん


 索敵の切り札である「ローレライシステム」を切り離したあと、沈没していく艦の中で歌われるこの曲は感動的なシーンです。
 映画で使われているヘイリーの”モーツァルトの子守唄”も捨てがたいですが、音楽の使われ方としては、原作のほうが好きですね。

 ”終戦のローレライ”は文庫本4冊とけっこうなボリュームですが、一気に読めました。映画”ローレライ”の原作ということで、基本的な話の流れは同じですが話の広がりは原作のほうが上。映画でも2~3部作にしてもいいから原作のエピソードをもっと入れて欲しかったです。
 日本の叙情歌が小説でこれほどまでに上手く使われている例はなかなかありません。
 映画を見た方にも、そうでない方にもお勧めの一冊です。

 ところで私は、いずれの日にか 家族の元に帰ることができるでしょうか?


《脚注》
(*1)椰子の実
 上ではスタンダードなところで”夏川りみバージョン”にリンクしますが、ジャズ風の”姿月あさとバージョン”とか妙に明るい”矢野顕子バージョン”もあります。お好きなアレンジでお楽しみ下さい。
(*2)伊五〇七
 ”伊XX”は、大日本帝国海軍の潜水艦につくナンバー。
 ちなみに、東宝の特撮映画の傑作”海底軍艦”に 登場するスーパーメカ”轟天号(ごうてんごう)”の番号は”伊403”。”ドリルは男のロマンだ!”の原点のひとつ。
(*3)島崎藤村
  詩集”若菜集”、小説”夜明け前”などで知られる詩人、小説家。”若菜集”に収録された”初恋”は高校時代にどきどきしながら読みました。
(*4)”沈黙の艦隊”に”機動戦士ガンダム”をぶち込んで~
 ”沈黙の艦隊”はかわぐちかいじによる潜水艦マンガの傑作、”機動戦士ガンダム”はニュータイプ(一種の超能力者)による戦いを描いたロボットアニメの金字塔、”宇宙戦艦ヤマト”は松本零士原作のSFアニメの名作。完結編で沖田艦長とともに自沈。
(*5)ガンダムのシャア少佐とセイラさんを彷彿とさせるお二人
 そういえば、福井晴敏は、”∀(ターンエー)ガンダム”のノベライゼーション”月に繭 地には果実”とか書いてるし。アニメは見ていませんが、ノベライゼーションはけっこう面白かったです。

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昔ここで働いていてね、かわいい女だった(さよなら、愛しい人/サルビア)

 ども、愛のさすらい人、たいちろ~です。
 さて、今回のお題は”あなたは愛したい派?愛されたい派?”ですが、まあ、愛する派でしょうか。なぜなら、”愛するって耐えること”なので(*1)、未だに離婚をしていない忍耐の人である私は愛する派の人なのでしょう。もっとも、奥様も同じことを言っていますが・・・
 ということで、今回紹介する本は愛する男の悲哀を描いた”さよなら、愛しい人”です。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店にあったブルーサルビアです





【本】さよなら、愛しい人(レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 早川書房)
 刑務所から出所したばかりのマロイは、8年前に別れた恋人ヴェルマを探しに黒人街の酒場にやってきたが、そこで殺人を犯してしまう。偶然、居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、逃亡したマロイと女を探して事件に巻き込まれていく・・・
 ハードボイルド史上もっとも有名なマーロウものの第2作。原題は”Farewell, My Lovely”。2009年に村上春樹の訳(*1)で出版されました。
【花】サルビア
 シソ科の一年生。赤いサルビアの花言葉は”あなたのことばかり思う”、青いサルビアの花言葉は”永遠にあなたのもの”です。


 銀行強盗で8年の刑期を終えて出所したへら鹿(ムース)・マロイは2m近い大男で、酒場の用心棒を投げ飛ばすほどの怪力の持ち主。でも、昔の恋人”ヴェルマ”のことを話すときはとっても純なんですね。表題の”昔ここで働いていてね、かわいい女だった”は、マロイがマーロウに恋人を説明するときのセリフ。おそらくこのセリフのおかげで、マーロウは金にもならない苦労を背負い込むことになりますが、言ってみればそれこそがハードボイルドの真骨頂かもしれません。

 以前に書いたサム・スペード(*3)もそうですが、ハードボイルドとは”タフガイ”、”やさしさ”、”己の心情への忠実さ”

  If I wasn't hard,
   I wouldn't be alive.
  If I couldn't ever be gentle,
   I wouldn't deserve to be alive

  しっかりしていなかったら、生きていられない。
  やさしくなれなかったら、生きている資格がない
(*4)
    (”プレイバック”より 清水俊二訳)

 だから、ハードボイルドの男達って愛されるんでしょう。
 時として利用される愛もありますが・・・
 この本に登場するマロイにしても、8年間同じ女性を愛し続けて、裏切らたとわかっても死を称揚と受け入れているし、マーロウにしても女性の罪を告発するのは己にある矜持によるもので、決して恨みによるものではありません。
 (あんまり書くとネタバレになるので、このへんで)

 そんなマーロウに愛を捧げる女性”アン・リオーダン”も登場しています。マーロウ自身、口が悪いというか相当な毒舌家で、現実にマーロウのようなセリフをはけば嫌われるのは必至ですが、それを補ってあまりある魅力的な男性です。

  アン  :みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、
       首を絞め、顎に一発食らわせ、体を麻薬漬けにする。(中略)
  マーロウ:遠慮するなよ、言いたい事は言った方がいい
  アン  :私はキスされたいのよ。ひどい人ね。

 言わせて見たいものです。

 さて、ハードボイルドなマーロウですが、以外と花の記述も見られます。作中で繰り返し出てくるのが”サルビア”。マーロウがぶちのめされる場所でもサルビアの匂いがしています。
 で、調べてみてわかりましたが、サルビアの花言葉が”あなたのことばかり思う”、”永遠にあなたのもの”。まさにマロイを思わせる花言葉です。私も含めてほとんど知られていない知識でしょうが(*5)、こういった細かいとことろを知っていると、単なるタフガイな男達の物語でない面を楽しめるかも。


 ”さよなら、愛しい人”は、”ロング・グッドバイ(*6)”に続く村上春樹訳によるマーロウものの2冊目。ぜひ、”大いなる眠り(*7)”なんかも訳して欲しいです。なにはともあれ、古典的名作がまた読まれることは喜ばしいことです。

 迷走の上の解散とか、麻生降ろしが出たり引っ込んだりとか(*8)、なんだか芯が通っていないことが多い昨今、こういった己に忠実な男達の物語なんかもいいですよ。
 お勧めの一冊です。


《脚注》
(*1)”愛するって耐えること”なので
 有名なフレーズの割には出典を知らなかったので調べてみたところ、浅丘ルリ子のシングルレコード”愛の化石”のフレーズでした。浅丘ルリ子は耐え切れず石坂浩二と離婚しました。
(*2)村上春樹の訳
 それまでは清水俊二訳が有名。邦題は”さらば愛しき女(ひと)よ”。どちらかというとこちらの邦題のほうが好きです。
 ちなみにルパン三世TV第2シリーズの最終話のタイトルが”さらば愛しきルパンよ”。監督は宮崎駿で”風の谷のナウシカ”や”天空の城ラピュタ”の原点が垣間見える作品です。
(*3)サム・スペード
 ダシール・ハメットによるハードボイルド小説に登場する私立探偵。詳しくはこちらをご参照ください。
(*4)しっかりしていなかったら、生きていられない~
 日本では、角川映画”野生の証明”のキャッチコピーのほうが有名。
  男はタフでなければ生きて行けない。
  優しくなれなければ生きている資格がない

(*5)私も含めてほとんど知られていない知識でしょうが
 私が知らなかっただけかもしれません。外国だと常識なのでしょうか?
(*6)ロング・グッドバイ
 原題は”The Long Goodbye”。オールドファンにとっては”長いお別れ”といったほうがとおりがいいかも。邦題としては、こちらのほうが気に入っています。
(*7)大いなる眠り
 原題は”The Big Sleep”。余談ですが、この題名の連想で、”さらば長き眠り(原 尞)”も読みました。日本のハードボイルド小説の傑作”沢崎シリーズ”の一冊。マーロウへのオマージュが感じられます。こちらもお勧め。
(*8)迷走の上の解散とか~
 このブログは2009年7月23日、麻生内閣解散の直後です。まあ、この人も身内からボコボコにされた末に、解散権という最後の矜持を守った解散劇と言えなくもないですが・・・

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人は脳によってのみ生くるにあらず(ポポイ/挿し木)

 ども、不況のおり最近首が危ないたいちろ~です。
 さて、以前に書きましたが私の本の選び方は”本に載っている本を数珠繋ぎに読む”というのをよくやります。で、今回ご紹介するのは桜庭一樹の”書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記”から倉橋由美子の”ポポイ”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店にあったパインアップルです
植木鉢に植えられている人の首に見えないこともありません。




【本】ポポイ(倉橋由美子 新潮文庫他)
 元首相の邸宅に押し入った美少年は仲間により首を切り落とされて果てる。その首は科学の力で生かされて元首相の孫娘・舞が面倒を見ることになるのだか・・・
 現代版”ドウエル教授の首(*1)”といったところでしょうか。
【家庭菜園】挿し木
 茎・葉・根などの一部を切り取って、挿し床に挿すことで増やしていく園芸の手法の一つ。樹木ではサツキ、ハーブだとローズマリー、果実だとパインアップルなどが代表。Wikipediaの解説によると”クローン技術の元祖”。


 ジャンル的にはSFなんでしょうが、倉橋由美子って歴史的仮名遣い(*2)で物語を書く人なので、どの時代の話なのかわからないような不思議な酩酊感に襲われます。文体だけだと最初は明治の話かと思って読み始めましたが、三島由紀夫(*3)が出てきて昭和40年代後半の話のようであり、ワープロやポジトロンCT(*4)とか出てくるので昭和後期の話のようでもあり。

 登場人物も二面性というより混沌といった感じ。主人公の舞は、婚約者がいる貞淑なお嬢さんのように見えて複数の男に抱かれているし、この婚約者も冷徹なマッド・サイエンティストっぽいし。”ポポイ”こと美少年テロリストの首も哲学的なのかそうでないのか? 一番常識人らしいのが全身マヒに近い元首相のおじいさんだし。

 首だけになっても科学の力で生かされているというのは、球根の水耕栽培というよりも、挿し木といった感じでしょうか。遺伝子的には挿し木は元の株と同じものだそうですが、首だけになった人間の挿し木は元の人間とは異なる意識を持つ新しい生命のようです。

 首だけになった元テロリストの言葉

  ボクノ頭脳ニハ宇宙ノアラユルトコロカラ絶エズ光ヤ宇宙線ト一緒ニ
  宇宙情報ガ降リカカッテクル。
   (中略)
  要スルニ、今ノボクハ宇宙カラ聞コエテクル音楽ノヤウナモノニ
  ボク自身ヲ開放シテヰル

 これに対する元首相のコメント

  例ヘバ、神、私、宇宙、意識、存在、生命、真実、自由、永遠、救ヒ、平和、
  超越、死、再生、メッセージ、人間、世界、善悪、正邪、美醜・・・
  ソレニ比喩的表現ノタメノイクツカ具体的ナモノヲ指ス言葉・・・
  ソレダケアレバドンナ神秘的思想デモ語レル。


                         (本書より引用)

 夢見がちなテロリストとリアリスムのかたまりのような政治家の対比が興味深いです。
 SFとは”サイエンス・フィクション”のほかに”スペキュレイティブ・フィクション(*5)”の略だとする意見もありますが、まあ、好き嫌いは分かれるでしょうね。私はけっこう好きです。
 映像化するなら、押井守(*6)あたりに監督をさせれば面白いかも


 最後に同じく元首相の言葉から

  自我ヲササエテヰルノハ記憶、ツマリ過去ノ貯蔵庫ダ。
  人間ハ現在ヲ生キルノデハナクテ、
  コノ過去ノ貯蔵庫カラ引キ出シタモノヲ消費シテ生キテヰル。

 私のような知識集約型のブログでは、過去の作品の知識をいろいろ引っ張り出して書いています。でも、どんどん新しいものを読んでいかないとストックが尽きてしまうしな~
 なんだか、因果なこと始めちゃいました


《脚注》
(*1)ドウエル教授の首
 ”ソ連のヴェルヌ”ことアレクサンドル・ベリャーエフのSF小説。
 首だけになって生きているドウエル教授の物語。子供のころに読みましたが当時はSFではなく”少年空想科学小説”と呼ばれてましたね、確か。
 読もうかと思ったんですが、子供向け以外はほとんど絶版状態です。
(*2)歴史的仮名遣い
 ”美少年でせう?”とか、”それはさうでせう。首は生きてゐるんですから”とか。
(*3)三島由紀夫
 1970年11月25日、陸上自衛隊東部方面総監部(市ヶ谷駐屯地)のバルコニーで自衛隊決起(=反乱)を促す演説をしたあと割腹自殺。”ポポイ”の中でもこのエピソードが取り上げられています。
(*4)ポジトロンCT
 コンピュータ断層撮影のこと。”CTスキャン”といたほうがとおりが良いかも。画像処理はコンピュータの性能に依存するそうです。1971年に作成された原型の画像作成は大型計算機で2.5時間かかったそうですが、現在ではほぼリアルタイムに画像を確認できるんだそうです。
 なんで、こんな説明をしてるかというと、コンピュータ屋にとってコンピュータの性能というのは時代のイメージとけっこう結びついてるんですね。
(*5)スペキュレイティブ・フィクション(Speculative fiction)
 サイエンスフィクション(空想科学小説)に哲学的な要素を取り込んだもの。思弁小説(しべんしょうせつ)。思弁とは”経験に頼らず、純粋な論理的思考だけで、物事を認識しようとすること(大辞泉)”。
(*6)押井守
 ”攻殻機動隊”、”スカイ・クロラ”などを手がけた映画監督。小難しい理屈をこねまわすアニメを作らせたらこの人の右に出るものはいません。宮崎駿と並び、名前だけでお客を呼べるカリスマ監督であります。

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文学少女たちよ、永遠であれ!(青年のための読書クラブ/ブーゲンビリア)

 ども、おぢさんのための読書クラブ部長、たいちろ~です。(ウソです)
 今回で、ちょうどブログ100本目のネタになります。まあ、始めて7ケ月ですんで、3日に1本ぐらいです。多いんだか少ないんだかわかりませんが・・・
 ということで、100本目記念(というわけではないですが)、今回のご紹介は桜庭一樹の”青年のための読書クラブ”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店のブーゲンビリア。
まだ花は咲いていません




【本】青年のための読書クラブ(桜庭一樹 新潮社)
 お嬢さん学校”聖マリアナ学園”の変わり者集団”読書クラブ”のメンバを主人公とした連作集。浮世離れしていそうで社会の縮図たる学園内に起こる決して”正史”に残らない”黒歴史(*1)”をつづった物語です。
【花】ブーゲンビリア
 オシロイバナ科に属する熱帯性の低木。花びらに見えるところは葉(包葉)で、真ん中の小さい部分が花。花言葉は”情熱、あなたしか見えない”など。ご年配の方には小柳ルミ子の”星の砂(*2)”といったほうがとおりがよろしいかと。


 偶然今週読んだ本で、別に狙ったわけでないんですが、私のブログの趣旨ととても合っています(*3)。
 5本の連作集ですが、哲学的福音南瓜書、苺の香水、ブーゲンビリアの花などのガジェットがいっぱい出てくるし、主人公たちの所属する読書倶楽部にしてからが、学園の雑木林の裏にある崩れかけた赤煉瓦ビルの中だし。
 それぞれの話の底本が、”シラノ・ド・ベルジュラック”、”マクベス”、”緋文字”、”紅はこべ”といった古典作品(*4)。主人公の一人”烏丸紅子”も烏(からす)=黒と紅=赤で、スタンダールの”赤と黒”っぽいっし。

文学少女シリーズ(*5)”なんかもそうですが、やはり読書する美少女というのは、古典的名作なんかも読んでいて欲しいものです。別にマンガを読んじゃいけないってことではなく、幅の広い読書は幅の広い人格と趣味を養うものだとおぢさんは思っているわけです。
 もっとも、同じ文学美少女でも、ツルゲーネフの”初恋”の本の中に投げナイフを入れているなんて物騒な人もいましたが・・・(*6)

 私の本の選び方というのは”本に載っている本を数珠繋ぎに読んでいく"ほうなので、"青年のための読書クラブ"のような本は古典に接するきっかけにとてもいいです。というか、こういったきっかけでもないかぎり、なかなか古典を読む気にならなかったりして。
 元々、週刊誌をほとんど読まない人なので、書評とかブックレビューなんてのをほとんど見ません。こんなブログを書いているわりには、人の紹介する本の情報というのはあんまり気にしない方です。でも、今回ご紹介している桜庭一樹だと”書店はタイムマシーン(*7)”のようなブックレビューを集めた本なんかは読みますけど。ただ、傾向があっているかどうかはその時の気分しだいです。

 本書最後にある、桜庭一樹から文学少女たちへのメッセージより
  
  乙女よ(そして青年たちよ!)、永遠であれ。
  世がどれだけ変わろうと、どぶ鼠の如く、走り続けよ。
  砂塵となって消えるその日まで。
  雄々しく、悲しく、助けあって生きなさい。


 文学少女というと、物静かに本を読んでいるというイメージがありますが(*8)、この小説に登場する少女たちか、ここ一番ではけっこうアクティブ。学園のアイドル”王子”をプロデュースする演出するアザミさんとか、巨大な乳房の迫力で生徒会を追い返すきよ子さんとか、怪盗”ブーゲンビリアの君”の永遠(とわ)さんとか。
 文学少女たちはしなやかに、かつしたたかに学園生活を送っています。

 現在、文学少女の貴女にも、かつて文学少女であった貴女にもオススメしたい1冊です。


《脚注》
(*1)黒歴史
 ”無かったことにしたい事、されている事”を表すスラング。例としては崖の上のポニョ(スタジオジブリ)の主題歌を歌う”藤岡藤巻”のまりちゃんズ時代なんてのがあります。
(*2)星の砂
 1977年に発売された小柳ルミ子のシングル。作詞は”サンデーモーニング(TBS)の関口宏、作曲は”ヒデとロザンナ”の出門英とけっこうな組み合わせです。知らなかった・・・
(*3)私のブログの趣旨ととても合っています
 ”花と本のブログ”です、いちおう。まあ、オタクっぽいネタが多いのはご愛嬌ということで。
(*4)”シラノ・ド・ベルジュラック”~
 それぞれ著者は、エドモン・ロスタン、ウィリアム・シェイクスピア、ナサニエル・ホーソーン、バロネス・オルツィ。”マクベス”は昔読みました。”シラノ”と、”紅はこべ”は今回を機に図書館で予約中。
(*5)文学少女シリーズ
 野村美月による推理小説系ライトノベル。ファミ通文庫より発売中。古典文学をモチーフにしており、この本のおかげで、人間失格(太宰治)や、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)を読み返すことになりました。
(*6)ツルゲーネフの”初恋”の中に~
 ”愛と誠(原作 梶原一騎、作画 ながやす巧)”に登場する美少女にして影の大番長(死語)”高原由紀”のこと。愛読書がツルゲーネフの”初恋”。でも、このマンガのおかげで”初恋”も読みましたね。
(*7)書店はタイムマシーン(桜庭一樹 東京創元社)
 副題は”桜庭一樹読書日記”。稀代の本読みである桜庭一樹の読書歴&直木賞受賞ごろの日常生活をつづったエッセイです。
 この本に載っていた” ポポイ (倉橋 由美子)” は次に読む予定。
(*8)物静かに本を読んでいるというイメージがありますが
 ”涼宮ハルヒの憂鬱”に登場する無口キャラ、長門有希さんとか。でも、この人もここ一番では万能の人なんですよね。

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荒野に女子あり、十九にして心すでに朽ちたり、たから白銀色に染めちゃった(ファミリーポートレイト/姫林檎)

 ども、最近白髪(しらが)の増えたたいちろ~です。
 さて、今回ご紹介するのは桜庭一樹の”ファミリーポートレイト”です。いや~やっと読めました。元来図書館派の私なので、半年待ちですよ!
 話題作がリアルタイムで読めないのはつらいですが、がんばっていきまっしょい!


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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店にあった姫林檎です
まだ青いですがこの大きさでも、ちゃんと実がなってます




【本】ファミリーポートレイト(桜庭一樹 講談社)
 ママのマコと娘のコマコ。第一部は二人の逃避行、第二部は大都会という荒野を流離うコマコの物語。文壇バーでお話を創るコマコ、文学賞を受賞するコマコがなんとなく桜庭一樹と二重写しになります。
【花】姫林檎(ひめりんご)
 別名”犬林檎”。見たことはありませんが白い花が咲くそうです。調べてみると実は元々鑑賞用で”最近は食べられるものもある”とのこと。花言葉は”名声、誘惑”。


 物語は5歳のコマコが母親のマコとコーエー(公営住宅)から逃げ出して、いろんな場所に移り住むところから始まります。城砦のような町の病院の診察室、若い女性死んだ時、女性の代わりに初夜を迎える儀式をする港町、養豚場の町など。
 母親と死に別れて、実父に引き取られて女子高生になったコマコは姫林檎のような同じ学校の女子生徒とレズビアンの関係になったりします。

 コマコは見分けがつかない同じようなといった意味で女子高生の恋人のことを”姫林檎”といっていますが、姫林檎は小さい姿ながら、ちゃんと成熟していて、しかも観賞用の品種といったところはイマドキの女子高生とよく似ているのかも
 だから、女子校生をつまみ食いしちゃいけないんですってば!(*1)。

 卒業したあと文壇バーでアルバイトをしますが、その時の髪の毛が”面白いから”という理由で白銀色にそめたりしています。表題の”十九にして心すでに朽ちたり”のオリジナルは中国中唐期の漢詩人李賀(りが)の詩”陳商に贈る”より。

  長安有男兒   長安に男児有り
  二十心已朽   二十にして心已(すで)に朽ちたり
   (中略)
  何必須白首   何ぞ必ずしも白首(=しらがあたま)を須(ま)たん

 解説は”枕草子-まくらのそうし”のホームページに詳しく載っていますが(*2)、母親を亡くして虚無的になっているコマコとこの詩がなんとなく重なったので、この詩を表題にしました。

 この後、失踪したり、文学賞をとったり、結婚したりしていますが、物語はコマコが母親のマコから自立する物語であるとも言えます。

 印象的だったのセリフですが

  作家とはある種の、自覚的な多重人格者のことだ。
   (中略)
  生きる痛みが、物語を必要とする人間・・・
  つまりは作家と読者を生むのだ。

 つまりブログを書いている自分というのは

  読者としての自分
  ブロガーとしてブログを書く自分
  オタクな文章を書く自分
  古典文学に耽溺する自分

 の重合体なのかもしれません。

 結論:ブロガーとは救われない人種である・・・


 ”ファミリーポートレイト”は最近脂ののっている桜庭一樹の最新作(*3)。読んで損のない一冊です。


《脚注》
(*1)女子校生をつまみ食いしちゃいけないんですってば!
 もちろん、私はそんなお行儀の悪いことはしてません。なんせ、娘が高校生なもので。
(*2)解説は”枕草子-まくらのそうし”~
 この詩をインターネットで調べると、やたらと”アストロ球団”が出てくるんですね。そりゃ掲載されてたのは知ってましたけど・・・
 ”アストロ球団”は、原作 遠崎史朗、作画 中島徳博による空前絶後の格闘技系プロ野球漫画。1972年に週刊少年ジャンプに掲載(私が中学の頃ですよ!)
こちらの引用は
  花の都に男子あり 二十にしてはや心朽ちたり 
  すでにして道ふさがる 何ぞ白髪を待たん
(*3)最近脂ののっている桜庭一樹の最新作
 別に桜庭一樹さんが太ったという意味ではありません。念のため。

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男性とってに女性は、大人にとって子供は永遠の謎である(アルキメデスは手を汚さない/ハンゲショウ)

 ども、血塗られた人生を歩むたいちろ~です。
 今回のお題は”女の人の車内メイクってどう思う?”ですが、なんか、舞台裏を見せられているようで(*1)、あまり好きではないですね。DVDでも”メイキング・オブ・XX”という特典映像がありますが、本編が面白くてこそのメイクングであって、本編なしでいきなりメイキング映像だけ見せられてもな~という感じです。
 まあ、女性からすると”電車の中の見ず知らずのおぢさんに本編を見せる義理はない!”と言われそうですが。
 でも、同じ遅刻しそうで時間がないシチュエーションながら、”パンをかじりながら走る少女”ほどロマンを感じないのはなぜでしょうね?


Hangeshou

写真は”青木繁伸さんのHP”より。
ハンゲショウです。



【本】アルキメデスは手を汚さない(小峰元 講談社)
 1973年、第19回江戸川乱歩賞受賞作。テーマは”近頃の若いモンは!”
 中絶失敗による女子高校生の死亡、弁当による薬物中毒事件、姉の愛人の失踪、その裏に見え隠れする高校生の影・・・
 青春推理小説のさきがけとなった作品です。
【花】ハンゲショウ(半化粧、半夏生)
 ドクダミ科の多年性植物。名前の”半化粧”の由来は葉の一部を残して白く変化する様子から。古くはカタシログサ(片白草)とも呼ばれていたそうです。


 時間がないとはいえ、まったくスッピンというわけでもないでしょうから”半化粧”状態かな?ということで、今回の花はハンゲショウ(半化粧)です。実物を見たことはないですが、写真を見で見ている限り、確かに半分お化粧をしている花魁を連想させますね。
 さて、今回の本は古名の”カタシログサ”⇒”シラクサ(*2)”からの連想でシラクサ生まれのアルキメデスを扱った”アルキメデスは手を汚さない”です(*3)。

 1973年と35年以上前の推理小説ですが、この本を読み返すきっかけになったのが、前回書いた”ぼくらの時代”から。確か、この2冊とも読んだのが高校、大学ぐらいだったので、ほぼ主人公と同じ世代でした。

 で、テーマが同じ”世代間のギャップ”。
 ”ぼくらの時代”の著者、栗本薫は1953年生まれで江戸川乱歩賞の受賞者としては最年少(当時)、”アルキメデスは手を汚さない”の小峰元は1921年生まれで受賞当時は50歳過ぎ(*4)という違いはありますが、テーマは

  栗本薫(若者代表):大人には若いものの気持ちはわからない
  小峰元(大人代表):最近の若者は何を考えているかわからない

と、ほとんど同じ読書感です。

 でも、これって今でもまったく同じ構図なんですよね~
 今回の”女の人の車内メイクってどう思う?”にしてからが、大人vs若者になりそううだし。いかに人間のやっていることに進歩がないかがわかります。
 ウソだと思うなら、多少の風俗的な違いを無視して(*5)”アルキメデスは手を汚さない”を読んで見られるとわかります。現在書かれたといわれてもまったく違和感ありません。

  アルキメデスが発明した殺人機械は、大勢のローマ兵を殺した
  彼は殺人機械を発明しただけで、実際に操作したのはシラクサの兵士たちだ
  だから、アルキメデスの手は汚れていないといえるだろうか
(*6)

 もうひとつの本書のテーマですが、これも現在でも通じる警句。モノであれ、組織であれ、何かを作り出す大人としてかみしめておきたい一言です。

 ”アルキメデスは手を汚さない”は現在でも通用する青春小説の傑作だと思います。小峰元の作品は本書を除いて絶版状態だそうですが、もったいないですね。お読みになりたい方は図書館でお探しください。

《脚注》
(*1)舞台裏を見せられているようで
 ”サードガール(西村しのぶ)”でポーチから落とした口紅にてれる美女というシーンてのがあります。ボーイフレンドが
 ”うっかり舞台裏をのぞいてしまったのかな
とモノローグしていますが、これぐらいの奥ゆかしさがあるほうが好きであります。
(*2)シラクサ(Siracusa)
 イタリア共和国のシチリア島東岸に位置する都市。自然哲学者のアルキメデスはシラクサの出身。行った事はないですが、世界遺産である”パンターリカの岩壁墓地遺跡”があったりとよさそうなところです。
(*3)”カタシログサ”⇒”シラクサ”からの連想で~
 かなり強引な展開ですが、元々”アルキメデスは手を汚さない”の紹介用に調べていてシラクサからシロクサに行き着きました。そのあとコマネタのお題に引っかかったんですが、こんなケースは実は珍しいです。
(*4)小峰元は1921年生まれで受賞当時は50歳過ぎ
 青春推理小説を何作も書かれていますので、読んでいた当時はもっと若い人だと思っていました。
(*5)多少の風俗的な違いを無視して
 たとえば、JRが”国鉄(日本国有鉄道)”になっていたり。ちなみに国鉄が民営化してJRとなったのは1987年。今年(2009年)に入社する新入社員が生まれたあたりの年なんですね・・・
(*6)アルキメデスが発明した殺人機械は、大勢のローマ兵を殺した~
 紀元前4世紀初頭、シラクサの僭主ディオニュシオスはカルタゴに対して戦争を仕掛け、シチリア島全域を支配することに成功。シラクサ出身であるアルキメデスの発明品の中には、古代ローマによるシラクサの包囲に対抗するための軍事兵器もあった。シラクサは3年間持ちこたえたが、紀元前212年陥落。この戦争中に、アルキメデスは殺された。(Wikipediaより抜粋)。
 すいません、世界史苦手なんです。

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帰りなんいざ、田園まさにあれなんとす(帰去来の辞/仙台の田舎)

 ども、単身赴任のおとうさん、たいちろ~です。
 さて、今回のお題は”都会と田舎、住むならどちらがいい?”ですが、”都会で働いて田舎に暮らす”でしょうか。実は単身赴任で東京で働いて、自宅は仙台とこれに近い生活をしています。ただ、”都会で働いて”がない家族は仙台が気に入っていて東京に来てくれません。このままだと定年まで単身赴任でしょうか
 ということで今回ご紹介するのは”田舎暮らしの本”。まんま”田舎暮らしの本”という雑誌もありますが、最近軽めの本が続いているので今回は古典から”帰去来の辞”にしました。

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写真はたいちろ~さんの撮影
仙台の田舎。あけびを取りにいった時に撮影しました



【本】帰去来の辞(陶淵明 とうえんめい)
 魏晋南北朝から宋(南朝)時代の人(365年~427年)。後世”隠逸詩人”、”田園詩人”と呼ばれた文学者。
 ”帰去来”と聞いてさだまさしを連想した人(*1)はおそらく40代以上の方かと。タイトルのオリジナルはこれです。
【旅行】仙台の田舎
 仙台市といえば、東北のニューヨーク、東北の自由の女神と言われる”伊達政宗像”がありますが、ちょっと車で走るとけっこうな田舎です(*2)。


 〔原文〕
   歸去來兮
   田園將蕪胡不歸
   既自以心爲形役
   奚惆悵而獨悲

 〔書き下し文〕
   帰りなんいざ
   田園将(まさ)に蕪(あ)れなんとす なんぞ帰らざる
   既に自ら心を以(もっ)て形(からだ)の役(しもべ)となす
   奚(なん)ぞ惆悵(ゆうちょう)として独(ひと)り悲しむや


 〔現代語訳〕
   さあ、早く帰ろうよ
   故郷の田園がいまにも荒廃しそうなのに
   どうして帰らずにいられよう
   自ら求めて精神を肉体の奴隷と化してしまっているのに
   ひとりくよくよと嘆き悲しんだところで、どうなるものでもない

      ”中国名詩選 中(岩波文庫 松枝 茂夫 編)”より引用
        ※全文は”壺齋散人”のHPでもごらんいただけます

 これは、陶淵明が役人生活を止めて故郷へ帰った時の詩。淵明、41歳です。
 田舎に帰ろう。世俗との交わりを絶ち、再就職なんか望まない。親戚との話や音楽や読書を楽しみに余生を送ろう。春には田んぼに出かけ、季節の移り変わりを喜ぶ。そしてゆるゆると天命の尽きるを待とう。
 そんな詩です。

 今年で年金受給資格者となったおぢさんとしては、定年後はこうありたいです
 
 私自身、”北の国から”的田舎(*3)に住んだことはないですが、やはり定年後は仙台に戻るのもいいかも。私は図書館とBOOKOFFとTUTAYAがあれば、どこでも生きていけます

 それにガーデニングなんぞを趣味にしていると(*4)、季節の流れというか、人の都合でない世界というのを感じます。食べるのに困らない程度にお金があれば、こういう隠遁生活にとっても憧れます。現役時代は出世を望まず、定年してからも贅沢を望まず、晴れた日には庭仕事をし、雨の日には読書を楽しむ(*5)。事情が許せば(*6)、今からでもそんな生活がしたいです。

 だから、ちゃんと年金はくださいね!


《脚注》
(*1)”帰去来”と聞いてさだまさしを連想した人
 さだまさしが1976年に発売したソロ1枚目のオリジナル・アルバム。
 ”多情”仏心”、”第三病棟”、”童話作家”、”転宅”など、初期の名曲が収められています。
(*2)東北のニューヨーク~
 漫才師”U字工事”のネタ。最近の若手の中ではけっこう気に入ってます。
(*3)”北の国から”的田舎
 さだまさしの主題歌『北の国から〜遥かなる大地より〜』つながりで。別に舞台になった富良野が田舎だと言ってるわけではありません。
 大学時代、私の友人が第一シーズン(1981年放映)のロケに出くわして、エキストラとして出演しています。
(*4)ガーデニングなんぞを趣味にしていると
 カッコつけて言ってますが、キュウリ、トマト、シソなど食べられるものしか植えていません。
(*5)晴れた日には庭仕事をし~
 だから私のブログのタイトルは”晴耕雨読”です
(*6)事情が許せば
 住宅ローンと、子供の学費が残っているので事情が許してくれません

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ライトノベルよ、私は還ってきた!(時をかける少女/ラベンダー)

 ども、時をかけるおぢさん、たいちろ~です。(だから、ウソだってば)
 さて、前回に引き続き”時をかける少女、今回は文庫版の紹介です。

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写真はたいちろ~さんの撮影
ラベンダーの苗。ハーブ園にて



【本】時をかける少女(筒井康隆)
 中学3年生の芳山和子(よしやまかずこ)は、ラベンダーの香りをきっかけにタイムトラベル能力を身につける。その原因を探るために、タイムトラベルするが・・・
 初出は1965年、1972年の書籍化(鶴書房)を経て、76年に角川文庫より出版。
 原田知世、内田有紀などにより映画化、仲里依紗でアニメ化されたジュブナイルの傑作
【花】ラベンダー
 主に紫色の小さな花がかたまって咲く良い香りの代表的なハーブ。60年代まではそれほど知られていなかったそうですが、”時をかける少女”で使われたことで一般に知られるようになったとのこと。


 今の若い人に”ジュブナイル(juvenile)”といってもピンとこないかもしれませんが、今でいう”ライトノベル”のご先祖さまにあたります。
 中学生から大学生あたりまでをターゲットにした小説ですが、呼び方の変遷としては
  ジュブナイル ⇒ ヤングアダルト/ジュニア小説 ⇒ ライトノベル
ぐらいでしょうか?

 こう書くと”子供よりちょっと上の人向け”ぐらいの感じでしょうが、かつては食えないころの(?)SF作家(*1)がキラ星のような作品を出してたんですね。主だったところをあげると

 筒井康隆:時をかける少女、家族八景(七瀬シリーズ)、緑魔の町 など
 光瀬龍 :夕ばえ作戦、暁はただ銀色 など
 眉村卓 :なぞの転校生、ねらわれた学園、まぼろしのペンフレンド など
 星新一 :ボッコちゃん、悪魔のいる天国、気まぐれ指数 など

 この後、新井素子(*2)などヤングアダルトの時代を経て、現在のライトノベル全盛期を迎えます

 面白いのは、今のライトノベルとのビジュアルな扱いの比較

 ジュブナイルの多くは角川映画や、少年ドラマシリーズ(*3)で映像化されています

  角川映画:時をかける少女(原田知世 監督:大林宣彦)
       ねらわれた学園(薬師丸ひろ子 監督:大林宣彦)(*4)
  少年ドラマシリーズ:
       タイム・トラベラー(時をかける少女)
       夕ばえ作戦、暁はただ銀色
       なぞの転校生、まぼろしのペンフレンド
       気まぐれ指数

 ライトノベルは言うまでもなく、今や深夜アニメ原作の定番。
 ”涼宮ハルヒの憂鬱(原作 谷川 流、表紙 いとう のいぢ)”、”灼眼のシャナ(原作 高橋 弥七郎 表紙 いとう のいぢ)などが代表格。

 逆に違うのが表紙の扱い。今でこそ”表紙のイラストが売上げに影響する(*5)”と言われていますが、当時はあまり意識はなかったように感じます。
 ”時をかける少女”も最近では、角川文庫版の表紙はエヴァンゲリオンの貞本義行、角川つばさ文庫版はいとうのいぢになっているし。時代の流れを感じます。

 そういえば、ファウスト(講談社)の2008年SUMMER号で筒井康隆の小説にいとうのいぢのイラストの作品が載った時、「文学史上の”事件”が発生!」というキャッチコピーが出ていましたが、古い本読みにとってはむしろ先祖がえり。
 ”ライトノベルよ、私は還ってきた!(*6)”といった感じです。

 余談ですが、この手のブログを書いていて意外とたいへんなのが、”この本の表紙は誰が書いているか?”を調べること。古い本の表紙の装丁に関する情報ってあまりないんですね。読んだ本と表紙のイメージというのが結びついてるんですが。今回の”筒井康隆 全文庫”みたいにまとめてくれているホームページはとっても助かります。

 昔ですが、この本を読んで庭にラベンダーを植えていました。
 けっこう本を読みますが、花を植えるきっかけになる本というのはなかなかないんですよ。そういう意味でも、傑作です。


《脚注》
(*1)食えないころの(?)SF作家
 かつては、”士農工商SF作家、ハヤカワこけたらみなこけた”といわれてました。
 ハヤカワとは、SF中心の出版社”早川書房”のこと。スターウォーズ(日本での公開は1978年)などによるSFブーム以前の話です。
(*2)新井素子
 高校2年でデビューしたSF作家、ぬいぐるみフリーク、方向音痴。
 代表作は、グリーンレクイエム、星へ行く船シリーズ、結婚物語など多数。
(*3)少年ドラマシリーズ
 1972~83年にNHKが放映した小中学生向けのテレビドラマシリーズ。当のNHKにすらほとんど映像が残されていないという幻のお宝映像てんこもりのシリーズです。
 原作には、新田次郎、北杜夫、曽野綾子、灰谷健次郎、宮沢賢治、石坂洋次郎、萩尾望都なんてのが名前を連ねています。
(*4)ねらわれた学園
 ちなみに、TV版の主演は原田知世。
 今なら、”世界の中心で、愛をさけぶ”で、映画版が長澤まさみ、TV版が綾瀬はるかといった例に匹敵するぐらいすごいことです。
(*5)表紙のイラストが売上げに影響する
 川端康成の”伊豆の踊子”の表紙を”ジョジョの奇妙な冒険”の荒木飛呂彦が、芥川龍之介の”地獄変”、夏目漱石の”こころ”、太宰治の”人間失格”を”DEATH NOTE”の小畑健が、ジュール・ヴェルヌの”十五少年漂流記”の表紙を”電影少女”の”桂正和”が書く時代です。
(*6)ライトノベルよ、私は帰ってきた!
 モトネタは”、”機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY”より。 ”ソロモンの悪夢”の異名を持つ敵キャラ、アナベル・ガトー少佐の名セリフ。
  再びジオンの理想を掲げるために”
  「星の屑」成就のために!
  ソロモンよ、私は還ってきた!


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恋と愛の違い? 世界の中心で叫ぶかどうかだよ(世界の中心で、愛をさけぶ/ユリ)

 ども、愛のさすらい人、たいちろ~です。
 今回のお題は”「恋」と「愛」の違い?”ですが、これは簡単、叫ぶのが”愛”、忍ぶのが”恋”です。
 ということで、今回ご紹介するのは”世界の中心で、愛をさけぶ”です。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所のユリです






【本】世界の中心で、愛をさけぶ(片山恭一)
【DVD】世界の中心で、愛をさけぶ(主演 森山未來、長澤まさみ)
 小説は300万部突破、映画は観客動員数620万人の大ヒット作。
 高校2年生のアキ(亜紀)とサク(朔太郎)の出会い、なんということのないデート、無人島への旅、そして病に犯されたアキをつれての逃避行。
 切ない初恋と別れの物語です。
【花】ユリ(百合)
 花言葉は”威厳 純潔 無垢”。キリスト教では白いユリは聖母マリアの象徴(マドンナリリー)として描かれています。


 いや~、長澤まさみ、はまりました。
 確かにかわいい子なんですが(*1)、それより健康的でふつ~の高校生ぽかったのがすごく印象的でした。なんていうか、一緒にいるだけで楽しい時間を過ごせそうというか。

 映画版で有名なのは、病気で倒れたアキをオーストラリアへ連れて行く空港のシーン。
  アキ:行けないの?
  サク:行けるよ、この次は
  アキ:ないんだっては、この次なんてないんだっては
     まだ大丈夫だよ、まだ大丈夫だよ、
     生きてるよ、まだ私生きてるよ
  サク:アキ、アキッ!
     助けてください 助けてください! 助けてください!

 つぶやくようなアキの恋、慟哭するようなサクの愛

 でも、私としては、重じい(*2)の写真館でウェディングドレスを着て笑っているアキのほうがいいな。ユリのブーケなんか持っていないけど、そんなことはどうでもいいぐらい、素敵な笑顔です。
 
 現実にいっしょに着たウエディングドレスもいいですが、いっしょに着せてあげられなかった初恋の人とのウエディングドレスというのも感慨深いものがあります。

  恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす
   (山家鳥虫歌 岩波文庫)

  しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
   (平兼盛 小倉百人一首)

 恋と、愛、どちらがいいのか、未だにわかりません。

 ”世界の中心で、愛をさけぶ”は、今さらお勧めと言うのもはばかられる名作。
 ”瞳を閉じて(*3)”を聴くと今でも涙してしまいます。

  だから、柴咲コウなんか出さなくてもいいから、長澤まさみをもっと出せ!

《脚注》
(*1)確かにかわいい子なんですが
 1999年度の”東宝シンデレラオーディション”で史上最年少の12歳(小学生)でグランプリになったというのは、DVDを見た後に知りました。
(*2)重じい
 アキとサクが訪れる写真館の主人。とっても素敵な爺さんです。演じるのは山崎努。そういえば、山崎努はdocomoのCMで”池と沼の違い”の解説をしてました。
(*3)瞳を閉じて
 ”世界の中心で、愛をさけぶ”の主題歌。作詞、作曲、歌は平井堅。名曲です。

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そうか薫くん、死んじゃったんだ・・・(ぼくらの時代/桜草)

 ども、いつまでも(気持ちだけは)若いたいちろ~です。
 2009年5月26日、作家の栗本薫さん(中島梓)が膵臓癌のため死去されました。 今回のお題は”追悼 栗本薫”ということで、”ぼくらの時代”をご紹介します。

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写真は桜草
季節の花 300”のホームページより






【本】ぼくらの時代(栗本薫 講談社)
 ぼく栗本薫、22歳、みずがめ座。某マンモス私大の3年生--バイト先のKTV局内で発生した女子高校生連続殺人事件をロック・バンド仲間の信とヤスヒコで解決しようとするんだけど・・・(講談社文庫 旧版の背表紙より)
【花】桜草(さくらそう)
 春先に咲くサクラソウ科の多年草。桜の花に似ていますが、桜とはまったく別物で、春先に咲く花ぐらいの意味だそうです。


 ”ぼくらの時代”は1978年に第24回江戸川乱歩賞を受賞。講談社文庫で読んだので、たぶん1980年代の前半ぐらい。ちょうど私も大学生だったはずです。当時は、小峰元(*1)とか、青春推理小説をよく読んでましたので、その一連でこれも読みました。

 小説の登場人物の”栗本薫”は男性でロックバンド”ポーの一族(*2)”のメンバーで長髪の二枚目。仲間の信はぼうぼうの長髪に山羊ひげ、ヤスヒコはアフロ・パーマ。
 髪の毛の話で、刑事の長さんと口論になっています。

 長さん:ましてロックだか何だか、気狂いみたいなものにうつつを抜かしている
     フーテンどもですからね。
     (中略)
     女みたいになよなよしやがってさ。
     あたしが総理大臣なら、ひとり残らずとっ捕まえて
     アタマ、たたっきって、軍隊にぶちこんでやるところなンだが
 信  :アタマの長さで、人間の値打ちが決まるんなら、
     昔の武士はみんなヤクザョ。
     ロックやるのが不良なら、
     ベートーベンだって、モーツァルトだって、
     生きてた当時は流行歌の作曲者だったのョ。(本書より)

 この小説の底流にあるのは、世代の違いによる生き方、感じ方の違い
 象徴的なのがTV局のディレクターの原田氏、40歳。発表年度とあわせると、38年ごろの生まれになりますので、おそらく戦後教育の第一世代かと。

 原田氏:しかし、ぼくはぼくの兄貴やおやじの世代のように、
     あたまっから、
     あんな頭しやがってと頑として否定もできない。
     するだけのせぼねができあがるまえに、
     何もかも変わっちまったからね
(本書より)

 実在の栗本薫は、1953年生まれと私より6歳年長、小説の栗本薫は私より2歳年長ですので、ほぼ同じ世代。
 世代で見ると長さんが戦前、原田氏が戦後第一世代の代表でしょうか。浅間山荘事件(*3)を学生運動の終焉と見ると、実在の栗本薫が学生運動の最後の世代、小説の栗本薫や私は学生運動に遅れた世代になります。
 
 語るべきバックボーンを持たない世代というのは幸せなのかもしれませんが、背骨のない世代であるのも確か。決して”俺達の若いころはお国のために鉄砲担いで~”とか、”ヘルメットにゲバ棒で機動隊とケンカして~”なんていう自慢話(?)を聞きたいわけではないんですけどね。

 もし、小説の栗本薫が実在の人物なら、現在は50歳すぎのはず。やっぱり”近ごろの若いモンは”とかいってるんでしょうか? 生きていれば、実在の栗本薫に書いて欲しかったような気もします。”おっさんの時代”とか。

 話は飛びますが、花言葉をいろいろ見てますと”桜草”の花言葉に”若い時代と悲しみ”というのがありました。そういえば、花屋さんでは春の早いときに売ってましたね。いろんなところにいっぱい咲いていたのに、写真、撮り損ねてました。
 栗本薫も江戸川乱歩賞の受賞者としては当時最年少で、本もいっぱいでています(*4)。ちょと似てるかなと思うと嬉しいです。でも、読み損ねているのが多いのもちょっと残念。
 読み損ねたといえば、”日本のまるペ(*5)”と言われた”グイン・サーガ(*6)”はどうなるんでしょうか? いつでも読めると思っているうちに結局、読まないままになっていました。今後はまだ未定とのことですが(YAHOOニュースより)、日本沈没の例もあるので(*7)、書いて欲しいような、欲しくないような・・・

 久しぶりに”ぼくらの時代”を読み直しましたが、30年前に自分達が言われていたこと、言っていたことが、今では立場が逆転して同じことを言ってるんですね。
 おぢさん世代としては、若い人にお勧めしてよいものやら・・・

 文末にはなりますが、謹んで、栗本薫さんのご冥福をお祈り申し上げます。


《脚注》
(*1)小峰元(こみねはじめ)
 1973年に”アルキメデスは手を汚さない”で第十九回江戸川乱歩賞を受賞。
 アルキメデス、ピタゴラス、ソクラテスなど、歴史上の哲学者などの名前を表題にした推理小説を多数発表しました。”アルキメデス~”意外はほとんど絶版とのこと(Wikipediaより)ですが、もったいない話です。
(*2)ポーの一族
 吸血鬼のエドガ、アラン、メリーベルを主人公とした萩尾望都の漫画。作中にも殺された女子高生を加えてバンド名を”メリーベルとポーの一族”にしようという話がでてきます。
 こういった、マンガネタがさらっと入っているところもけっこう受けてました。
(*3)浅間山荘事件
 1972年2月、河合楽器の保養所”浅間山荘”に連合赤軍がたてこもった事件。学生運動が大衆から離反した決定的なできごとでした。
 余談ですが、この事件当時の警察庁長官が後に副総理となる後藤田正晴、警備実施及び広報担当幕僚長が後に作家、初代内閣安全保障室長となる佐々淳行(さっさ あつゆき)です。
(*4)本もいっぱいでています
 約30年間に、新刊だけで約400冊の作品を出されたそうです(Wikipediaより)
(*5)日本のまるペ
 世界最長の小説”宇宙英雄ペリー・ローダン”シリーズのこと。2009年5月10日現在で、ハヤカワ文庫から360巻出版されています。
 高校の時、誕生日に1巻と10巻と20巻をプレゼントされたことがありますが、はっきりいってこれはイジメです。
(*6)グイン・サーガ
 栗本薫による、豹頭の戦士であるグインを主人公としたヒロイック・ファンタジーの大河小説。2009年6月現在、ハヤカワ文庫から正伝が126巻、外伝が21巻出版されています。ギネス非公認ながら、一人の作家の書いた世界最長の小説。
(*7)日本沈没の例もあるので
 小説の”日本沈没(第一部)”は小松 左京のベストセラーですが、第二部は谷 甲州が執筆。もっとも、小松左京はご存命です。
 余談ですが”日本以外全部沈没”は、筒井 康隆の小説です。

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元祖、二世将軍の行方は?(右大臣実朝/鶴岡八幡宮の大銀杏)

 ども、地縁にも血縁にも縁のないたいちろ~です。
 前回、”地価融解”という本を扱ったブログの中で”アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ”という太宰治の”右大臣実朝”の一節を引用したので、今回はこの本をご紹介。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
鶴岡八幡宮の大銀杏(2009年2月15日)。




【本】右大臣実朝(太宰治 ちくま文庫 他)
 太宰治による、鎌倉幕府の第三代征夷大将軍”源実朝”をモデルとした小説。
amazon.comの紹介では”強い憧洒と新近感をもって精神の貴族のすがたを描いた長篇”とありますが、武家の棟梁が”貴族”と呼ばれること自体が堕落ではないか?
【旅行】鶴岡八幡宮の大銀杏(いちょう)
 鶴岡八幡宮は鎌倉市にある神社、武家源氏の守護神。大銀杏は樹齢千年余といわれる大木で、源実朝はこの木の陰に隠れていた源頼家の子公暁に殺害されたとされています。

 ”源実朝”のプロフィールを簡単に紹介するとを
   鎌倉幕府を開いた”源頼朝”と、初代執権 北条時政の娘”北条政子”の子
   12歳で鎌倉幕府の第三代征夷大将軍に就任(世襲による二世
   武士として初めて右大臣に任ぜられる
   歌人としても知られ(*1)、家集として金槐和歌集を編纂
   鶴岡八幡宮で兄の源頼家の子”公暁”に襲われ死亡、享年28歳。
   源氏直系の最後の将軍となり、以後、執権の北条氏が幕府の実権を握る

 日本史と古文の時間で習いましたが、覚えてますか?(*2)

 太宰治の小説では、源実朝が17歳のころから、公暁に暗殺されるまでを描いています。確かに、”私人”としては教養人であり、人間的にはいい人なんでしょう。太宰自体はかなり好意的な書き方をしています。しかし、武家の棟梁という、”政治家=公人”としてみると、堕落していく様子のように私は読めました。

  アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。
  人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。


 これは、冒頭近くで平家の物語を聞きながら”平家ハアカルイ”に続く言葉。源実朝に言わしめています。
 のちに、右大臣就任というが外見的には明るさの絶頂期(*3)の直後である建保7年(1219年)1月27日に源頼家の子公暁に殺害されます。まさに、明るさは滅びの色だったわけです。

  祖母上(*4)だって言っている
  あの子は生まれつき、白痴だったのです、と言っていた
(本書より)

 公暁の言葉です。実の母がわが子を白痴扱いするのもどうかと思いますが、人間的な聡明さと、政治家としての資質はまた別なのかも。本書中に源実朝が宋(中国)へ渡る計画をたてるエピソードが出ていますが、1年の将軍の不在をいさめる人に対し、

  タッタ一年ノオ留守番モデキヌヨウデハ、重臣ノ甲斐ガアリマセヌ(本書より)

と答えるようでは、政治家の発言としては問題でしょう。北条政子という人は、母親としてではなく政治家としての冷徹さが勝っていたのかもしれません。

 昨今、二世議員をどうするかとの議論がいろいろ出ていますが、問題は本人ではなく周辺にあるのでは? 私個人としては、職業選択の自由が保障されている以上”政治家になるな”という議論には賛成しかねますが、かといって政治家の資質が遺伝するとも思っていません。”息子、娘だから”といって無条件に世襲を受け入れるほうが問題ですし、それを公約で縛らざるを得ないという実態こそがもっと問題だと思います。

 結局、公暁に殺害されるわけですが、その場所が鶴岡八幡宮の大銀杏。本殿に上がる石段の横にあります。たまたま今年の2月に訪れた時にとった写真ですが、ぜんぜんそんなこと知りませんでした。源実朝が殺されたのは1月なので、こんな大木ではないにしても季節的にはほぼこんな感じだったんでしょうか。

 余談ですが、太宰治という人、自殺未遂、心中未遂、薬物中毒と無頼派の作家として有名ですが、意外にも青森県下有数の大地主の息子で、政治家を輩出している名家の出身です。本人も東京帝国大学(現東京大学)文学部に入学しているので、できが悪かったわけではないんでしょうが、人間的にはいろいろあったんでしょうね。

 私が読んだのは図書館で借りた”ちくま文庫”に収録されたもの。たまには、昭和初期の名作に触れるのもいいかも。ただ、読まれるのであれば新字体、現代かなづかい版のほうをお勧めします。これより前に旧漢字版を読みかけましたが、挫折してちくま版を借り直しました。

 まあ、なんだかんだ、偉そうに書いていますが、この言葉を知ったのは実は”キャプテンハーロック(*5)”の最終回だったりして・・・


《脚注》
(*1)歌人としても知られ
   世の中は  常にもがもな  渚漕ぐ  あまの小舟の  綱手かなしも(新勅撰集)
  小倉百人一首より
(*2)覚えてますか?
 私はほとんど忘れてました。
(*3)外見的には明るさの絶頂期
 この時点で、政治の実権は執権である北条家に移っていました。ある意味丸投げ状態です。
(*4)祖母上
 源実朝の母、北条政子のこと。
(*5)キャプテン・ハーロック
  松本零士のマンガ、及び登場する宇宙海賊。自由に生きる男のかっこよさを体現しています。ここで言っているのはTVアニメ版(チーフディレクター りんたろう)の最終回のこと。

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つまりはよき本読みとなれ(書店はタイムマシーン/どくだみ)

 ども、中年ビブリオマニア(愛書狂)、たいちろ~です。
 単身赴任でヒマをもてあましておりまして、相変わらずの読書三昧です(*1)。大体年間で図書館から借りる本が100~150冊、買っている本(*2)がその2~3倍ぐらいはあります。毎週、近所のB○○K○FFをこらしめに行くんですが、ついついこらしめられてしまうんですね(*3)。
 で、今回のお題は”本の置き場所”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
近所に咲いていたドクダミ




【本】書店はタイムマシーン(桜庭一樹 東京創元社)
 副題は”桜庭一樹読書日記”。2007年3月から2008年2月と、桜庭一樹が”赤朽葉家の伝説”で直木賞候補、”私の男”で直木賞を受賞したころに読んだ本を日記形式で書いた本。読書傾向が違うのかあまりかぶった本はありませんでしたが、面白いです。
【花】ドクダミ
 湿った半日陰地に自生する宿根草。花に見える白と黄色の部分は一見可憐ですが、特有のにおいがあります。乾燥させたものは十薬(じゅうやく)という生薬名で、煎液には利尿作用、動脈硬化の予防作用などがあるそうです。ベトナム料理ではザウザプカーという香草になります。(詳しくは”どくだみパラダイス”をご参照ください)


 桜庭一樹の”書店はタイムマシーン”という本を読みました。この人は年間400冊の本を読むそうです。知人との会話で、年間に読む本の数で私以上だった人は十指に満たないぐらいですが、それでも桜庭一樹はダントツに多いです。
 で、問題になるのは”本の置き場所”。桜庭一樹がちょうど直木賞をとった直後だったと思いますが”情熱大陸”のインタビューではこぎれいにしたテーブルを映していました。でも、実態は”魔窟の女”だそうです。
 部屋に本棚を置くと圧迫感があるので廊下において、カニ歩きで入っているとの事。巻末の座談会でも
  二度と読まないであろう本は処分しているんですけど
  さすがに限界なので広い部屋に引っ越そうと考えています。
と言っています。

 本読みにとっては笑えん話というか、切実な問題なんですね~
 お金さえあれば、書斎用にマンションを借りたいというのは本読みにとっての夢であります
 かく言う私も、結婚した時に2階に置いてあった本を処分したところ、1階の部屋の両親から”障子が開きやすくなった(*4)”と言われました。

 本がやっかいなのは、いつの間にか増殖していること
 植物にたとえると”ドクダミ”のようなものです。ドクダミは匂いがきついことを除けば花はきれいですし、生薬になるなど有益なんですが、意図せずに生えるとこんなやっかいな雑草はありません。強靭な生命力で、ちょっとでも根が残っているとあっというまに庭じゅう増殖します。

 本も同じで、有益なんですが、意図せずに増えていくんですね~~~
 ましてや、”ブログで使うかもしれない”とか思うと処分もできなくなりますし。でも、結局こらしめられてしまうんですね、これが。

 文末ですが、本書の中で紹介されている、祖父と少年が本を買うのを見たときのエピソード。(本書より)

  君、なに何読んでいるの、なに何読んでいるの、
  と後ろから覗きもうとするが、ついに書名がわからなかった。
  わからないが、君よ、若い人よ、
  愉快で偏狭で頑固でおっちょこちょいな、
  つまりはよき本読みとなれ、
  と後ろから無言で、フンフン、フンフンと祝福する。


 さて、ブログも書き終わったことだし、B○○K○FFでもこらしめに行きましょうか!


《脚注》
(*1)単身赴任でヒマをもてあましておりまして~
 ”だったら、浮気でもすればいいじゃん!”というご意見もあろうかと存じますが、そんな金も度胸もありません。第一、お金があれば、ブログなんか書かずに遊びに行ってますって・・・
(*2)買っている本
 基本的には図書館で借りられる本は図書館で借りますので、勢い買うのはコミックということになります。ちなみに借りている分の本代を計算したところ、住民税をはるかに超える金額になりました。
(*3)こらしめに行くんですが
 ”一緒に遭難したい人(西村しのぶ 主婦と生活社)”より。
 「こらしめる」とは、商品を徹底的に見るだけ見て買わないこと。意に反して買っちゃった場合「こらしめられてしまったわね」とうそぶくことになります。
(*4)障子が開きやすくなった
 つまり家の梁(はり 横木のこと)が歪むほど本があったということです。

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雨ニモマケズ、風邪ニモマケズ(宮沢賢治詩集/日々草)

 ども、”俺、体弱いねん(*1)”のたいちろ~です。
 2~3週間前から風邪をひいていて直りません。この時節、会社を休んだりしたら何を言われたもんかわかったものではありませんので(*2)、無理して出社していますが・・・ 
 今回のお題は”インフルエンザ予防してる?”ですが、一応マスクをしています。もっとも、予防というより人に風邪をうつさないためですね。


0067_40068_3写真はたいちろ~さんの撮影。
左は近所の園芸店の日々草
右はそのポップ広告



【本】宮沢賢治詩集(新潮文庫)
 岩手県出身の宮沢賢治(詩人・童話作家・農業指導家)の詩集。”春と修羅”等を収録。”雨ニモマケズ”は何かの詩集に収録されているのかと思っていましたが、没後に発見された遺作のメモなのだそうです。
【花】日々草(にちにちそう)
 マダガスカルが原産の一年草。抗がん剤の原料だそうですが、脱毛などの副作用があり、素人が扱うのは危険とのこと。花言葉は”友情、楽しい思い出”など。


 近所の園芸店で”日々草”が売っていました。
 ポップ広告がこれ。

  雨ニモマケズ夏ニモマケズ
   病気ニモマケヌ丈夫ナ
  日々草ヲワタシハ植エタイ


 オリジナルの宮沢賢治は

  雨ニモマケズ 風ニモマケズ
  雪ニモ夏ノ暑ニモマケヌ
  丈夫ナカラダヲモチ
  欲ハナク
   (中略)
  サウイフモノニ
  ワタシハナリタイ

 今回は、”風邪”と”風”をかけたネタです。
 ただ、それだけです。
 申し訳ない。


《脚注》
(*1)俺、体弱いねん
 今の若い人にはピンと来ないかもしれませんが、紳助・竜介の島田紳助のネタ。昔はつなぎにリーゼント姿で「ツッパリ漫才」をやってました。
 動画ではこのネタは出ませんが、今観てもおもしろいです!
(*2)会社を休んだりしたら~
 近所の私立洗足学園で女子高生がインフルエンザを発病しました(2009年5月20日)。今、インフルエンザにかかったといえば”女子高生と濃厚接触者した”と言われかねません・・・

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同性愛者には、目に見えない翼があるんだよ(翼人たち/ハエトリグサ)

 ども、”ブログ界のバンコラン少佐(*1)”こと たいちろ~です(ウソです)。
 先日、植木市に行きましたところ、珍しく食虫植物を売っているお店がありまして、”ハエトリグサ”なぞありました。で、たまたま今読んでいる本”翼人たち”に食虫植物のことが書いてありましたので、今回はこの本のご紹介。
 お題は”同性愛者の翼”です。


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写真はたいちろ~さんの撮影。
植木市で見つけたハエトリグサ



【本】翼人たち(森 奈津子)
 普通のOLの未来子(みきこ)は同性愛者の男岸田から、同性愛の世界の秘密の話を聞かされる。かつての高校の友人桃枝と再会することで、本人も同性愛者であったことを発見し・・・
 ”シロツメクサ、アカツメクサ(光文社文庫)”に収録。
【花】ハエトリグサ(蠅捕草)
 北アメリカ原産の食虫植物。葉を素早く閉じて獲物を捕食する。英語では葉の縁のトゲをまつ毛に見立てることから”Venus Fly Trap(女神のハエ取り罠)”。


 同性愛者の男、岸田さんによると、同性愛者の背中には、目に見えない翼があるんだそうです。

  背中のあたりを見ながら 目をゆっくりゆっくりとすがめていくと
  ある瞬間に、その翼が見えるんだよ
 (本文より)

 私自身は、そっちのケはないので見たことはありませんが、素敵なイメージだと思います。迫害される世の中から、おおらかな別世界に対する憧憬の現れが翼とのこと。

  これは、逃亡のための翼なんだよ
  しかも、役立たずの (本文より)

 時々、背中から翼が生えて、窓から飛んでいくイメージを見ることがあります。別に仕事に行き詰っているとかいうわけではありませんが、つまらない浮世を離れて大空を飛んでいけたらい~な~と。空中浮揚(*2)ではなく、やはり翼があって、はばたいて、滑るように飛んだりするのがいいですね。もっとも、その翼のイメージがコウモリというのが難ですが・・・(*3)

  だけどいつか気付くでしょう その背中には
  遥か未来めざすための羽根があること
 (*4)

 ”翼人たち”では逃亡のための翼といっていますが、背中の翼には未来への飛翔というイメージもあります。同性愛者の未来はよくわかりませんが、まあヒカル・スールー(*5)の例もあることですし、以前よりは社会も寛容になっているのではないかと。
 昨今の、腐女子ブーム(*6)を見ていると、美形のカップリングへの妄想は(以下自主規制)。

 話は食虫植物に戻ります。高校の友人で同性愛者の桃枝さんにせまられた時シーンで、
  下着の内側に、熱く息づくものがあった
   (中略)
  ひそやかに脈打ち蜜をしたたらせる肉食の花のイメージが、
  脳裏でちらついた
 (本文より)

 特に何の花とは書いていませんが、ハエトリグサっぽいですね(*7)。そういう目(どんな目だ!)で見ると、確かにハエトリグサってけっこう卑猥かも。トゲトゲの凶悪さが先に立ちますが、女性のそれだとイメージすると、男性をくわえ込んだそれは(以下自主規制)。

 森 奈津子の本は、”先輩と私”もそうですが、公立図書館でも借りることのできる官能小説です。
 お好きかどうかは本人の資質しだいですが、たまに読むにはいいかもです。


《脚注》
(*1)バンコラン少佐
 魔夜峰央の漫画”パタリロ!(白泉社)”に登場するMI6(イギリス情報局秘密情報部)所属の凄腕エージェント。”美少年殺し(びしょうねんキラー)”の異名を持つ同性愛者です。
(*2)空中浮揚
 レビテーション(Levitation)と呼ばれる超能力をイメージしています。
(*3)その羽のイメージがコウモリというのが難ですが・・・
 いわゆる”デビルマン(永井豪)”ですね。
 大魔神サタン(12枚の翼を持つ堕天使)やシレーヌのほうが美しいんですが、美しすぎて私には合いません。
 そういえば、デビルマン=不動明とサタン=飛鳥了って、今なら絶対BL(ボーイズラヴ)のネタだろうな~。受け攻めの意見は分かれそうだけど。
(*4)だけどいつか気付くでしょう~
 ”新世紀エヴァンゲリオン(TV版)”のオープニングテーマ。歌 高橋洋子 作詞 及川眠子 作曲  佐藤英敏。
最近は”あのうた2”でromiがカバー。ボサノバテイストのアレンジがお勧めです。
(*5)ヒカル・スールー
 ”スタートレック(オリジナルシリーズ)”に登場するU.S.Sエンタープライズ号の主任パイロット。演じたジョージ・タケイは同性愛者であることをカミングアウトし、2008年にパートナーと挙式しました。
(*6)腐女子ブーム
 ”猫とホモさえあれば、それで充分”(となりの801ちゃん 小島アジコ)
(*7)ハエトリグサっぽいです
 あのトゲトゲのある部分は”葉”ですが、それをつっこむのはヤボというものです。

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認めたくないものだな、自分の酒の上の過ちというものを(長恨歌/海棠)

【本】長恨歌(白居易)
 中国・唐の時代、白居易によって作られた長編の漢詩。唐代の玄宗皇帝と楊貴妃のエピソードを歌ったものです。引用すると長いので、ご興味のある方はWikipediaに全文と現代語訳が載っていますので、そちらをご覧ください。
【花】海棠(カイドウ)
 春に淡紅色のちいさな花を咲かせる中国原産の落葉小高木。花言葉は”艶麗(えんれい)”。近所の園芸店で売っていましたが、写真を撮りそこねました。

Photo
写真は”SozaiRoom”より





 ども、酔いどれ中間管理職のたいちろ~です。
 昨日も呑んでました。今日も今、飲み会から帰ってきたところです。

 ところで、草なぎ剛さんのすまっぱ事件(*1)がすごいことになっています(2009年4月25日現在)。酒の上とはいえ、いい大人のやることではないのは確かですが、個人的には逮捕はちょっと行き過ぎかな~と思います。保護でしょう、普通は。
 ”マスコミが騒ぎすぎだ”とテレビのワイドショーでも取り上げていました。

 まあ、”私 脱いでもすごいんです(*2)”というほど肉体に自信がないので、この手の失敗はしたことないですが、酒と失敗は双子の兄弟のようなものでしょうか。

 と、いうことで今回のお題は”酒の上での失敗”。

 私の場合、酒を飲むと眠くなるタイプなので、よくやるのが電車の乗り過ごしです。
 以前、出張に行った時、おお酔っ払い状態で三原からとなりの広島まで新幹線で移動しました。駅で降りてタクシーに乗って運転手さんに”バスセンターまで(*3)”とお願いしたところ、”ここですよ”とのお返事。恥をしのんで”すいません、ここどこですかぁ?”とお聞きしたら、”博多ですよ!”
 仕方がないので駅にもどってベンチで休んでいましたら、ホームレスのおじさんが”100円ちょうだい”と寄ってくるので、しかたなくホテルを探して泊まりました。広島出張のはずが、おみやげが博多名物”明太子”だったので、奥様におもいっきりバカにされました。

 乗り過ごし距離 第1位:広島~博多間  281km
 乗り過ごし距離 第2位:新大阪~岡山間 180km
 乗り過ごし距離 第3位:東京~千葉往復  79km
と、乗り過ごし距離ではダントツの第1位です。

 さて、”酒、花、失敗”の三題話ということで、今回の花は”海棠(かいどう)”です。

  海棠の眠り未だ足らず

 唐の玄宗皇帝が、酔ってまだ眠そうな顔で現れた楊貴妃(ようきひ)を見て言った言葉から。楊貴妃は世界三大美女(あとふたりはクレオパトラと小野小町)の一人ですが、やはり美女は酔っても美女なんですね。
 両頬がほんのり色づき,瞳は夢見るごとくうっとりと、酔いのさめきらないなまめかしさを見てとのことですが、薄紅色の花をつける「海棠」にたとえるセンスは見習いたいものです

 ただ、この言葉は恋人に言ってもらってこそ華。呑みつぶれていびきかいてるね~ちゃんが自分で言おうもんなら”だ~~って寝とれ!”とツッコみましょう(*4)。
 ましてや、電車を乗り過ごすようなおぢさんが言っても、何の意味もありません。

 その後、いろいろあって玄宗皇帝は楊貴妃の殺害を許可することになりますが、そのエピソードを長編の漢詩にまとめたのが白居易の”長恨歌”になるわけです。

  在天願作比翼鳥
  在地願為連理枝

  天にあっては願わくは比翼の鳥となり
  地にあっては願わくは連理の枝となりましょう

 ”比翼の鳥”、”連理の枝”というのは源氏物語にも引用されていて、古典の授業で習った(ような気がします)が、出典はこれだそうです。
 結婚式の主賓のおっちゃんあたりが使いそうなネタですが、願いだけで愛が続かないのが世のままならないところ(*5)。でも、大切なことなんでしょうね、こういう気持ちは。
 ところで、楊貴妃は、玄宗皇帝の寵愛を受けたことが安史の乱の原因となったということで”傾国の美女”とも呼ばれて言います。
 現在のようにセクハラに厳しい視線が向けられる中、酔っ払って何かしようものなら、良くて”警告の美女”、悪くすれば”訓告の美女”、最悪は”(解雇)通告の美女”になりかねません。
 
  認めたくないものだな、自分の酒の上の過ちというものを(*6)

 と言って、認めてくれるほど、今や世間は甘くありません。
 酒は呑んでも飲まれないことが肝要です。

 では、最後に一言

  世の中に 酒と女はかたきなり どうぞかたきにめぐりあいたい
           (江戸時代の狂歌師 太田蜀山人の言葉)


《脚注》
(*1)すまっぱ事件(素まっ裸事件)
 SMAPの草彅 剛さんが全裸でさわいでいたとして、公然わいせつの現行犯で逮捕された事件(2009年4月23日)。私は草なぎさんのファンなんで、ぜひ復活して欲しいと思ってます。
(*2)私 脱いでもすごいんです
 エステサロンTBCのコマーシャルより。1995年に放映。主演は北浦共笑(きたうら ともえ)さん。ぜひ、確認をさせていただきたいものです。
(*3)バスセンターまで
 広島、福岡を訪れたことのない方のために説明しますと、博多のバスセンタは博多駅のすぐ横、広島のバスセンタはJR広島駅から3km近く離れた場所にあります。ちなみに、広島バスセンター横には広島市民球場がありましたが、2009年年10月に閉館になりました。
(*4)自分で言おうもんなら~
 ”笑う大天使(川原泉 白泉社文庫)”の中で、猫かぶり女子高生 和音さんが養育係の俊介さんにこれを言って、”ふふん!”と鼻で笑われるエピソードが出てきます。
 ”海棠の眠り未だ足らず”の詳しい説明は”はなだより”をご参照ください。
(*5)願いだけで愛が続かないのが~
 私は今でも愛していますよ、奥様。公式見解としては・・・
(*6)認めたくないものだな~
 機動戦士ガンダムのシャア少佐の名言。使い古されたネタで申し訳ありません。

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山あり、海あり、温泉あり、風光明媚で食べ物も美味(プラチナタウン/仙台/けやき)

【本】プラチナタウン(楡 周平 祥伝社)
 総合商社部長の山崎鉄郎は、財政再建団体(*1)入り直前の緑原町の町長を引き受ける羽目に。起死回生の策として打ち出したのが企業誘致に失敗した土地に、老人のための街を作る計画。表紙はコメディーっぽいですが、りっぱな新社会派小説
【旅行】仙台
 宮城県の県庁所在地。人口約100万人で東北地方の中心的存在。伊達政宗の城下町、仙台七夕などで有名。
【花】けやき(欅)
 ニレ(楡)科の落葉高木。定禅寺通り(仙台市)のけやき並木などが有名。逆三角形に枝が伸びて、夏は葉が繁り、冬には落葉します。夏に木陰を作り冬は日当たりが良くなりますので、大きな庭があればぜひ植えてみたい木です。

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写真はたいちろ~さんの撮影
等々力公園のけやき(冬)





 単身赴任のおぢさん、たいちろ~です。単身赴任については、”遠距離恋愛”と見得を張っていますが(*2)、単に、家族が一緒に引っ越してくれなかっただけ。家族は仙台に住んでいますが、仙台という街は家族ならずとも住むにはとってもよい所です。
 ということで、今回のお題は”ふるさと自慢”

 仙台市(宮城県)のいいとこをあげると、

〔気候が温暖〕
 東北地方ですがそんなに雪がふりません。夏も涼しいです。住んでみて判ったんですが、仙台七夕が盛り上がるのは、夏の終わりの祭りなんですね。七夕が過ぎるとだんだん秋の気配になります。関西出身者にとっては信じられない感覚(*3)。
〔適度に都会で、適度に田舎〕
 東北唯一の政令指定都市であり、それなりに百貨店や、飲み屋街なども充実しています。まあ、車で30分も走ればけっこう田園風景になりますけど。
〔温泉が多い〕
 秋保温泉、作並温泉、ちょっと離れますが、鳴子温泉など温泉が豊富。日帰りであれば1000円程度で温泉旅館を利用できますので、温泉フリークの私としては嬉しい限りであります。
〔海あり、山あり、観光地あり〕
 松島海岸、宮城蔵王、鳴子渓谷、伊達政宗ゆかりのスポットと、遊びに行くところには事欠きません。
〔食べ物がおいしい〕
 石巻、気仙沼などの漁港があり、魚介類は豊富。昔は唯一、牡蠣だけは食べれませんでしたが、仙台に住んでから大好物になりました。
 一ノ蔵、日高見、浦霞といった日本酒も豊富です。

 さて、今回の本は、”プラチナタウン”。仙台市近郊の村が、これらのメリットを活かして高齢者誘致をするお話です。

 プラチナは、”お金を持ってるシルバー層=プラチナ”で、工場誘致に失敗した用地にハッピーリタイア高齢者の街を建設するといったアイデアがベース。ビジネスプランとしては、なかなかに秀逸です。手元に本がないので、覚えているものからピックアップすると

 ①比較的富裕な高齢者の誘致  ⇒ 人口の増加 
 ②介護するための人の誘致   ⇒ 雇用の創出
 ③自然を活かした娯楽の提供  ⇒ 強みを活かす戦略
 ④住宅、商業施設等の建築産業 ⇒ 産業の創出
 ⑤地元流通/農漁業の活性化  ⇒ 地場産業の活性化
 ⑥リバースモゲージ(*4)による資金調達 ⇒ 資金計画の提案
 ⑦東京から新幹線で2時間   ⇒ 利便性の強調

 あながち荒唐無稽という訳でもありません。私が、昔住んでいた近くに印旛村というところがありますが、病院とニュータウンを中核に、バリアフリーの街づくりというのをやっていました。
 東京から電車で1時間程度かかりますので(*5)、通勤にはちょっとしんどいですが、会社勤めがなけば関係ありませんし、逆に何かあったときに家族が来るのであれば近い距離とも言えます。
 なにより、日本医科大学千葉北総病院(*6)があるのが強み。年をとるとどうしても病院のお世話になることが増えますが、近くに大きい病院があると安心できます。

 実際にやるとなると、いろいろハードルは高いでしょうが(*7)、八方塞がりの状態を打破するのは、これぐらいのブレイクスルー(*8)な発想もありかと。


 ”プラチナタウン”は自治体職員の方は読んでみて損はない1冊です。
 ただ、実際にやってみて、さらに財政赤字を増やすのだけは勘弁してください。


《脚注》
(*1)財政再建団体
 オブラードで包んだ言い方ですが、要は、破産状態の地方自治体。最近だと、北海道夕張市が2007年にこれになりました。比較的豊かに見える宮城県でさえ、破綻の可能性が示唆されています。
(*2)人には”遠距離恋愛”と見得を張っていますが
 たまには”妻とは別居中なんだ・・・”とかなんとか言って、おねいさんを口説いてみたいものです。
(*3)関西出身者にとっては信じられない感覚です
 関西ですと”お盆を過ぎると海にクラゲが出て泳げない”という話題が出ますが、仙台人にはお盆過ぎに泳ぎに行くという発想自体がありません。
(*4)リバースモゲージ
 持家を担保に融資を受けるシステム。老後の生活資金調達方法の一つとして注目されています。住宅ローンと違い、限度額に達するまで毎月一定額を受け取ることができ、死亡した後に担保となっていた不動産を売却して借入金を一括返済する仕組みです。
(*5)東京から電車で1時間程度かかりますので
 あと電車賃が高いのが難点。乗り換えはないですが、都営浅草線~京成線~北総公団線と3社またがりなので、日本橋駅~印旛日本医大駅で1,170円かかります。
(*6)日本医科大学千葉北総病院
 TVドラマ”ブラックジャックによろしく”(佐藤秀峰 TBS)や、”コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-(フジテレビ)”のメインロケ地だったそうです。
(*7)実際にやるとなると~
 やはり最大のネックは人材。”プラチナタウン”はフィクションですが、元総合商社部長のノウハウ、プランニング力、人脈がフルに活かされています。このようなブッとんだ事業は生半可な人間にできるものではないのかと。
(*8)ブレイクスルー
 進歩、前進、また一般にそれまで障壁となっていた事象の突破を意味する英単語(Wikipedia)。 もっとも危険なビジネス用語のひとつです。10人いて10人賛成する意見はブレイクスルーとは呼べません。最初はアホ扱いされる覚悟が必要です。ただし、うまくいったら”勝てば官軍”。

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チューリップでバブルを連想するようになったはの何時からだろう(ソロスは警告する/おやゆびひめ/チューリップ)

【本】ソロスは警告する (ジョージ・ソロス 講談社)
 伝説の投資家、ジョージ・ソロスの書。副題は”超バブル崩壊=悪夢のシナリオ”。サブプライム問題の初期の段階で今日の状況を予期しているのはさすがです。
【本】おやゆびひめ(アンデルセン)
 花から生まれた親指ほどの小さい女の子が、苦労の末に幸せになるという、代表的な童話。下のアフリエイトの本は、立原 えりか、いわさき ちひろ版です。
【花】チューリップ
 春を代表する花。幼稚園時代には一度は描いたことがあるはず。花言葉は”華美”、”恋の告白”など。オランダのイメージが強いですが(オランダの国花です)、原産地はトルコなど中近東だそうです。

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写真は、たいちろ~さんの撮影。
近所の公園にて。



 確か”悪魔の逆三角形”(*1)といった呼び方だったかと思いますが、下記のような詐欺の手口があります
 ある人数を2グループに別けて、半分の人に”一週間後にA社の株が上がる”、残りの半分に”株が下がる”というメールを出します。一週間後に、当たったほうのグループに同じことを繰り返して行きます。そうするとある期間”必ず当たる預言者”を生み出すことができます。A社の株は、市場で変動するものであれば、日経平均だろうが、為替相場だろうがなんでもかまいません。そこで”ある人数”が最後の一人になるまで何週間ぐらいかを近似させると、下のようになります(*2)。
  1000名程度のe-Mailを持つ素人: 10週間(        1,024名)
  証券アナリスト会員数 約2.3万人: 14週間(      16,384名)
  MIXI会員数   約1630万人: 24週間(16,777,216名)
 別に証券アナリストやMIXIがこんなことをやるとは言っていません。ただ、預言者というのはその気になれば人為的に作り出すことが可能であると言っているだけです。現在では、e-Mailアドレスさえ入手できれば、メールを出す限界コストはゼロに近いので、コスト的には実現可能かもしれません(*3)。

 ところで、予言めいたものを、世界に冠たるファンド・マネージャー、ジョジ・ソロスが言っているとなると話は違ってきます。で、今回の本は”ソロスは警告する”です。

 ジョジ・ソロスはクォンタム・ファンド(*4)の創設者にして、世界有数のお金持ちですが、この本の主張はお金儲けではなく、「再帰性」を中心とした哲学の本に近いです。

 「再帰性」を簡単に説明すると”固定した現実のありようがあって観察する人の理解が得られる(認知機能)ことと、観察する人の理解が現実社会に影響を及ぼす(操作機能)ことが双方向に影響しあうことで、理解・操作のいずれも確たる結果を生み出せなくなる”というもの。 

 ”需要と供給の一致するところで、価格が決まる”(*5)ということを社会の時間に教えてくれましたが、覚えていますか? 経済学の基礎ですが、実は”需要や供給と価格の関係を全員が正しく知っている”、”需要と供給は相互に関係なく決まる”と、現実社会ではけっこうムリめな前提に立っています。
 「再帰性」によると、人は不完全な知識しかない状態で、相互に干渉しあうので、価格は一意には決まらなくなります。ほかの人ならともかく、大物ファンドマネージャーがこんなことを言い出すのは(*6)意外以外のなにものでもありません。

 ご興味のあるかたは本書を読んでください。もっとちゃんと説明しています。
 後半は、今後の経済動向の見通しを述べていますが、私としては、前半の「再帰性」の部分のほうが面白かったです。

 「再帰性」に興味のある方、今後の世界経済を心配している方にはお勧め。
 ただし、この本を読んで、投資で一儲けしたいのであれば、それは自己責任です。

 ところで、チューリップと言われて、バブルを連想するようになったのは(*7)、いつごろからでしょうか
 子供のころは、おやゆびひめ(*8)だったのに・・・
 大人になるということは、知りたくもないことを知ってしまう道程なのかもしれません。

【重要なお願い】詐欺の手口について
 私自身は”詐欺の被害にあわないためには、詐欺の手口を知ることも重要”と考えているので、あえて書きましたが、絶対に実行しないでください。
 また、個人情報の流出は上記のようなリスクを含んでいることを充分ご認識ください。重ねてお願いするものです。


《脚注》
(*1)悪魔の逆三角形
 ”ラシャーヌ”か、”パタリロ”(魔夜峰央 白泉社文庫)だったと思いますが、手元に本がないので確認できませんでした。
(*2)何週間ぐらいあるかを近似させると~
  2の乗数ですので、手元の電卓で計算できます。
 等比級数的に増えるので、27週目で1.3億人と日本の人口を、33週目で86億人と世界の人口を超えます。まあ、変動なしというケースもありますが、単純化のために”上がる”、”下がる”の2パターンで計算しています。
(*3)限界コストはゼロに近いので~
 限界コストとは、1件増えるたびに増加するコストのこと。同じことをはがき(1枚50円)で計算すると1000名で約5万円、1680万人だと、約8.4億円かかります。
(*4)クォンタム・ファンド
 1970年の設立。ファンドは10年間で3,365%のリターンを出したそうです。1979年度の日経平均株価(6569.47円)からバブルピークの1989年12月29日(最高値 38,957.44円)の10年でさえ593%ですので、いかにすさまじいパフォーマンスかがわかります。
(*5)需要と供給の一致するところで
 価格が上がるほど手に入りにくくなる”需要曲線”と、価格が上がるほど供給が増える”供給曲線”の交わるところがモノの価格(均衡価格)です。レアもののアイテムに、ヤフオクで高い価格がつくと考えていただければよろしいかと。
(*6)大物ファンドマネージャーが~
 ファンドでは、適正価格からの乖離を分析して利益を得ています。代表的なものがブラックーショールズ方程式による適正価格(オプション・プレミアム)の計算です。Wikipediaに式が掲載されていますが、素人が理解できるしろものではありません。
(*7)バブルを連想するようになったのは~
 オランダで起こったチューリップ・バブルのこと。オスマン・トルコから輸入されたチューリップの球根に異常な高値がついて、その後、大暴落しました。バブルを扱っている本には必ず出てくる事例です。400年近く前のことですが、人間のやるこた、あまり変わっていません
(*8)おやゆびひめ
  このブログを書くにあたり、図書館の絵本コーナーで確認したところ、イラストは確かにチューリップの花ですが、意外なことに魔法使いのおばあさんがくれた花の種は”オオムギ”になっています。

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さよならだけが人生だ(唐詩選/梅と桜)

【本】唐詩選
 唐(7世紀~10世紀初頭)の詩選集。杜甫、李白、王維などの詩が多く掲載されています。編纂は明の李攀竜(りはんりょう、1514年 - 1570年)と言われています。
 共通一次(*1)以来、この分野はめっきりご無沙汰で・・・
【花】梅と桜
 ともに春を代表する花。花見といえばサクラですが、奈良、平安時代では梅を指すことの方が多かったようです。


2009021501 20090327 写真は、たいちろ~さん撮影。
左は鎌倉東慶寺のしだれ梅(2009年2月15日)
右は近所の桜(2009年3月27日)
まだ開花にはちょっと早いかな・・・



 私は、某社の企画関連セクションに所属しておりますが、現在の配属は3回目になります。さすがに、3回目ともなると、”恥ずかしながら帰って参りました(*2)”状態であります。

 3回目の配属ということは、2回は送別会をやってもらったということ。
 1回目の送別会の時ですが、景気づけに”いくぞー 1!、2!、3! ダーッ!”(*3)と言うところを、”いくぞー 3!、2!、1! ダーッ!”とカウントダウンをやってしまいました。
 あ~、恥ずかし! でも、”闘魂ビンタ”でなくて良かったか・・

 ということで、今回のお題は”さよならだけが人生だ”。

 原文は晩唐の詩人、于武陵(うぶりょう)の「勧酒(酒を勧む)」ですが、井伏鱒二(*5)の訳が有名。古典の時間だと思って、お付き合いの程を。
 ここ、試験にでるぞー(*4)

原文(*6)
 勧君金屈巵  君に勧む 金屈巵(きんくつし)
 満酌不須辞  満酌 辞するを須(もち)いず
 花発多風雨  花発(ひら)いて風雨多し
 人生足別離  人生 別離足る

井伏鱒二訳(厄除け詩集より引用)
 この盃を受けてくれ どうぞなみなみつがしておくれ
 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ


問題(1)
 ここに記されている”花”は何でしょうか。

 ”月に叢雲(むらくも)、花に風(*7)”というぐらいなので、井伏鱒二訳は桜で間違いないと思いますが、于武陵のほうはどうでしょか? 于武陵は9世紀の中国の人ですので、梅の可能性が高いです。どなたか、正解をご存知の方いらっしゃいますか?

 この詩の解説は”耽読翫市 ─ 国語教師のブログ”に掲載されていますので、まじめな受験生の方はこちらをどうぞ。現役の国語の先生だそうですので、わかりやすく解説されています。


問題(2)

 さて、今年の春に私の3回目の送別会はあるのでしょうか???


《脚注》
(*1)共通一次
 正式名称は”大学入試共通第一次学力試験”。1979年~89年に実施された、現在のセンター試験の前身。年齢がわかるネタです。
(*2)恥ずかしながら帰って参りました
 元日本兵、横井庄一氏が太平洋戦争終結から28年目(1972年)にグアム島で発見され、帰国しました。”恥ずかしながら~”は、帰国時の挨拶で、この年の流行語になりました。これも、年齢の判るネタだな~。
 最近、”よっこらしょ”を”よっこいしょういち”と言うモトネタです。
(*3)いくぞー 1!、2!、3! ダーッ!
 ご存知、アントニオ猪木です。ちなみに、”1!、2!、3! ダーッ!”は商標登録されているそうです。
(*4)ここ、試験にでるぞー
 学校の先生の切り札のひとつ。仕事がら社内講師を時々やりますが、まず第一の目標は生徒を授業中に寝かさないことです。
(*5)井伏鱒二
 小説家。「ジョン萬次郎漂流記」、「山椒魚」など。読んでないな~。
(*6)原文
 金屈巵(きんくつし)は黄金の盃、満酌は、なみなみと注ぐこと、不須(もちいず)は必要がない(必須の須)です。
(*7)月に叢雲(むらくも)、花に風
 世の中の好事には、とかく差し障りが多いことのたとえ。叢雲はむらがり立つ雲、花嵐は、桜の花の盛りのころに吹く強い風、その風で桜の花が散り乱れること。

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処女を失うとき(文学少女と穢名の天使/椿)

【本】“文学少女”と穢名(けがれな)の天使(野村 美月 ファミ通文庫)
 物語を食べちゃうぐらいに愛する遠子先輩を主人公とする“文学少女”シリーズの第4作目。クリスマス間近の街から消えた、音楽高校に通う少女をめぐるミステリー。
【花】椿
 花言葉は、”完璧な魅力”、”理想の恋”など。サザンカ(山茶花)と似ていますが、椿は冬から春にかけて咲き(春の季語)、花が丸ごと散る(落ちる)(*1)のに対し、サザンカは秋の終わりから冬にかけて咲き(冬の季語)、花びらが個々に散ります。

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写真は、椿の花とつぼみ。
たいちろ~さん撮影。寮の庭にて



 寮の庭で椿が咲きました。そろそろ、春なんですね。
 寮には椿とさざんかが植えてありますが、実は今年、寮のおばさんに聞いて初めて両方あることを知りました。まあ、こういったブログを書くようになってから興味を持ち出したことです。

 ところで、椿って”女性の花”という気がしませんか?
 資生堂のコマーシャルのように、椿と女性はとてもイメージが合っているように思います。写真を見ていただければ判りますが、大輪の赤い花は言うに及ばず、花開く直前のつぼみでさえ、官能美を感じてしまいます。

 椿を扱った作品として有名なのが”椿姫”。デュマ・フェスの戯曲、ヴェルディのオペラですが、浅学非才の悲しさで読んでません。ということでラノベファンの私としては、”椿姫”をモチーフにした“文学少女と穢名(けがれな)の天使”をご紹介します。

 ライトノベルの形態をとっていますが、中身はしっかりした推理小説。名探偵役の”文学少女”こと遠子先輩は、古今東西の名作を素材に事件の核心に迫るというストーリー。話の題材はガストン・ルルーの”オペラ座の怪人(Le Fantome de l'Opera) ”ですが、椿姫のストーリーも大きくかかわってきます。
 キーワードは”椿”。これ以上はネタバレになるので言えませんが、ヒントをひとつだけ。”椿姫”の原題は”La traviata(ラ・トラヴィアータ)”。「道を誤った女」という意味です。

 ところで、椿のもうひとつの特徴として、”花が丸ごと散る(落ちる)”というのがあります。女性のイメージとあいまってか、かつてのマンガでは、
 ”椿の花がぽとりと落ちる”=”処女を失う、恋人との初めての夜
という表現がお約束でした。

 これと同じような表現が”朝チュン”。スズメのさえずりが、一夜を過ごした男女の後朝の別れ(*3)の表現でした。朝をつげる鳥という表現はけっこう昔からあるようで、ロミオとジュリエット”でも使われています。二人が迎えた朝のシーンでは、

  まだ朝じゃないわ。
  あなたのおびえた耳をつらぬいたのはナイチンゲール(小夜鳴き鳥)よ、
  ひばりじゃないわ

といってジュリエットがロミオを引きとめようとするシーンがあります。
(セリフは「藤原竜也×鈴木杏バージョン」より)

 昔はこういった修辞的な表現に、けっこうロマンチシズムを感じてたんですね。
 少女マンガでも平気でえっちぃシーンが出てくる昨今、ギャグのネタにされてしまうのはちょっと悲しいです(*4)。
 使われなくなった言葉を「死語」といいますが、使われなくなったマンガ表現も「死画」とかいうんでしょうか

 “文学少女”シリーズは、気軽に読める推理小説としても、良い作品だと思います。また、モチーフに使われた原作を併せ読むのも、読書の幅を広げる良いきっかけになろうかと(*5)


《脚注》
(*1)花が丸ごと散る(落ちる)
 ”落椿(おちつばき)”といいます。首が落ちる様子を連想させるので、お見舞いに持っていくことはタブーとされているそうです。
(*2)資生堂のコマーシャル
 SMAPの歌う”Dear WOMAN”のコマーシャルのこと。美しい女性たちが、さらさらのロングヘア(好きです!)をなびかせて歩くさまはとってもButifulです。ちなみに、資生堂のシンボルマークは「花椿」。
(*3)後朝の別れ
 「きぬぎぬのわかれ」と読みます。相会った男女が一夜をともにした翌朝。また、その朝の別れという意味(大辞林より)。
  後朝の濡れて別れし東雲ぞ(宇津保)
(*4)ギャグのネタにされてしまうのは~
 一例として木村紺の”巨娘(講談社)”から。焼き鳥屋で働くジョーさん(♀)は”うちのメニューにも、スズメいれっかなー”とつぶやいています。
 木村紺は”神戸在住(講談社)”の作者でもありますが、画風や、カット割は同じなのに、こんなに違うテイストの作品を書くのは驚きです。
(*5)モチーフに使われた原作を併せ読むのも~
 他にも、人間失格(太宰治)、嵐が丘(エミリー・ブロンテ)、友情(武者小路実篤)など。私はこれをきっかけに人間失格と、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)を読みました。


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ハードカバーの皮をかぶった美少女文庫(先輩と私/百合)

【本】先輩と私 (森奈津子 徳間書店)
 主人公の光枝さんは、官能小説を書いては妄想に浸る女子大生。オナニストの阿真理先輩とレズビアンの華代先輩たちを交えたエロエロ小説。Amazonでは”爆笑スラップスティック・レズビアンコメディ長篇”となっていますが、犯罪だぞ、これ!
【花】百合(ゆり)
 花言葉は「威厳」、「純潔」、「無垢」。聖母マリアの象徴(マドンナ・リリー)だそうです。日本では、球根を”百合根”として茶碗蒸しに入れて食します。ちなみに、”じゃりん子チエ”(*1)に登場するお好み焼き屋のおっちゃんは百合根さん。

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写真は”カサブランカ(百合)”

近所のホームセンターで、たいちろ~さん撮影。


 現在、深夜の3時です。森奈津子の”先輩と私”を了読しました。なぜ、こんな時間に読んでいるかというと、本日、図書館に返却さばならないからです。私自身は”通勤電車=書斎”派なのですが、いや~、この本は10ページで挫折しました。
 ハードカバー(正確にはソフトカバー)だし、表紙はラノベほどは萌え系でもなかったので、油断してました。まあ、森奈津子ですし、多少はえっちぃ話とは思っていましたが、仮にも公立図書館で貸している本ですからまあ大丈夫だとは思っていましたが、甘かったです。
 これではまるで美少女文庫(*2)ではありませんか!

 ということで、今回は本の内容というより”本と表紙”がお題であります。

 このブログを書くにあたり、本を調べることが多いのですが、意外に情報が少ないのが本の装幀(装丁 そうてい)の情報。以前、”ロミオとジュリエット”のお題で書いたときは、装幀担当の金子國義(*3)の情報はなんとか見つかりましたが、角川文庫版渡辺淳一の表紙(村上芳正が担当(*4))は結局、BookOffまで本を調べに行ってやっと確認できました。

 確かに、出版社が違えば表紙も変わりますし(*5)、時代によっても変わる(*6)ことがあるのでしょう。でも、昨今のライトノベルのように、イラストで売上げが変わる例もあるので、もっと大切にしてもよいのではないかと思います。本読みとしては、”あの表紙の本”で覚えているケースも多いんですよ。

 最近では、いとうのいぢ(*7)、竹岡美穂(*8)のように、文庫本の表紙/イラストの画集がけっこう売れていたりしてます。ラノベ系ではアニメ化を意識したような表紙も多く、ビジュアルという意味ではメディアミックス戦略には合っているのでしょう。出版不況の昨今、成長著しい分野ではあります。

 特徴的な作家と表紙担当の例をあげると
高橋弥七郎
 一貫してラノベ系。”灼眼のシャナ”はイラストレーターのいとうのいじが担当。
桜庭一樹
 ラノベ作家時代は、”GOSICKシリーズ”の武田 日向(マンガ家)のようにかわうい系イラストでしたが、直木賞作家になってからは文学系に。”荒野の恋”(ファミ通文庫 イラストはミギー)では、第3部を加筆して”荒野”(文藝春秋)で出版した時点で、ラノベ色はまったく消えちゃっています。
有川浩
 ラノベ作家ですが、1冊目の”塩の街” (電撃文庫)を除くとラノベ系の表紙は皆無。出版もハードカバーがメイン。”図書館戦争シリーズ”にいたっては、登場人物紹介のイラストページはあるものの、顔は描かれていないという徹底ぶり。イラスト担当は徒花スクモ。

 近頃は、イラストとコミック化の作家ですら別れている例まででてきています。
 上記の”灼眼のシャナ”では、コミック化を笹倉 綾人が担当。”図書館戦争シリーズ”では、アニメ化にあたり、キャラクター原案が上記の徒花スクモ、キャラクターデザインを作画監督の中村悟が担当。コミック化は、”LaLa”(白泉社)、で弓きいろが、、”コミック電撃大王”(アスキー・メディアワークス)ではふる鳥弥生が別々に担当と、以前では考えられないようなことまで起こっています。

 この、作家と表紙担当の関係でもっとも先進的なのが、上記の美少女文庫や、2次元ドリーム文庫(*9)。 背表紙に作家とイラストレータの名前が併記されています。まあ、えっちぃ系はイメージが重要なのでわからんでもないですが、ここまで来ると作家より表紙担当のほうが有名だったりする例もあります(*10)。

 ”先輩と私”は、読むんでしたら、おうちでどうぞ。カバーさえかければイラストはほとんどないので、電車の中で読めないことはないですが(*11)、変に興奮して、チカンの疑いをかけられるのは得策ではありません。

 えっ、百合の話はどこにいったって? ”先輩と私”は百合(*12)のお話です


《脚注》
(*1)じゃりん子チエ(はるき悦巳 双葉社)
 大阪を舞台にした”ウチは日本一、不幸な少女”チエちゃんが主人公のコミック。1981年に、吉本オールスターで映画化。チエちゃん役の中山千夏とテツ(父親)の西川のりおのははまり役です。監督はスタジオ・ジブリの高畑勲。
(*2)美少女文庫
  官能小説の老舗、フランス書院が発売している文庫本レーベル。Wikipediaでは”ジュブナイルポルノ”という記載になっていますが、ライトノベルのえっちぃ版といったほうが合ってます。若くてかわうい女の子が表紙(主人公)なのが特徴。
 すいません、デキゴコロで読んでしまいました。
 だから、引かないでください・・
(*3)金子國義
 画家。退廃感のある画風が特徴。0嬢の物語(レアージュ 河出書房新社)、富士見ロマン文庫、家畜人ヤプー(沼正三 幻冬舎アウトロー文庫)など、官能小説の表紙を担当。こちらのHPで見る事ができます。
(*4)村上芳正
 渡辺淳一、原田康子の初期の角川文庫版表紙などを担当。繊細な線が北海道文学のイメージによくマッチしていて好きでした。この人も「家畜人ヤプー」の装画を書いているそうです。
(*5)出版社が違えば表紙も変わりますし
 出版社単位では装丁を合わせていることが多いですが、例外として、椎名誠+沢野ひとしのように、出版社が変わっても組合しが同じという例もあります。
(*6)時代によっても変わる
 メディアミックス戦略の雄、角川春樹は、映画の発表にあわせて、表紙を映画のシーンに変えてました。さすがに裏表紙にCMを載せるのは不評だったらしく、ほどなくやめています。
(*7)いとうのいぢ
 ”灼眼のシャナ”(高橋弥七郎 メディアワークス)、”涼宮ハルヒシリーズ”(谷川流 角川スニーカー文庫)の表紙、イラストを担当
(*8)竹岡美穂
 ”文学少女シリーズ”(野村美月 ファミ通文庫)の表紙、イラストを担当。
(*9)2次元ドリーム文庫
 キルタイムコミュニケーションが発売している文庫本レーベル。美少女文庫に比べてファンタジー系のHノベルが多いように思われます。
 だから、引かないでってば・・・
(*10)作家より表紙担当のほうが有名~
 マニアックな業界なので、なにを持って有名をするかはご意見はあるでしょうが、出版件数を見ているとイラスト担当に固定ファンがいるのではないかと。
(*11)電車の中で読めないことはないですが
 かねがね不思議に思っているんですか、駅のキヨスクに置いてあるフランス書院文庫(大人が主人公の官能小説)って、売れてるんでしょうか?
(*12)百合
 女性同士の同性愛、いわゆる 「レズ」の隠語。対をなすのが「ホモ/ゲイ」の隠語の「薔薇」。「ホモ」と「ボーイズラヴ(BL)」の関係は、もはや神学論争です。


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ジャズとライラック(青年は荒野をめざす/荒野/ライラック)

【本】青年は荒野をめざす(五木 寛之 文春文庫)
 ジャズ・ミュージシャンを目指すジュンは、”自分のジャズに欠けている何か”を探すために旅に出る。ソビエト(*1)、北欧、パリのでのさまざまな人々との出会いを通して成長していく青春小説の傑作。
【本】荒野(桜庭一樹 文藝春秋)
 ”すこしの孤独は、ここちよいのだ”をご参照
【花】ライラッ
 モクセイ科ハシドイ属の落葉樹。フランス語ではリラ。でも呼ばれる。”ライラックまつり”の開催される札幌市の木でもあります。白いライラックの花言葉は”年若き無邪気さ、青春の喜び”、紫は”恋愛のはじめての喜び”

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写真は、”北の国から通信@HOKKAIDO-北海道”より



  ジャス   = アメリカ、黒人音楽、ハングリー・アート
  ライラック = 北国の花、北海道、渡辺淳一(*2)

 先日、桜庭一樹の”荒野”を読みました。で、主人公の悠也くん(中学校1年生)の愛読書”青年は荒野をめざす”を30数年ぶりに再読しました。今回は”青年は荒野をめざす”のお話。

 和歌の世界には、”本歌取り(*3)”という技法がありますが、悠也くんの行動も、”青年は荒野をめざす”に多大なる影響を受けていることが改めてよくわかりました。

 ”青年は荒野をめざす”の主人公のジュンは、自分のジャズを見つけるために、ジャズ喫茶でアルバイトをしながらためた10万円を持ってナホトカ行きの船に乗ります。そこで出会った麻紀、ジャズプレイヤーのフィンガー氏を始め、ケン、クリスチーヌといった個性的な人々たちとの出会いを経て、アメリカへ渡る船の上で話は終わっています。

 ジャズはアメリカなんでしょうが、ソ連、北欧といった凍てついた国々は、ジャズの持つ”熱さ”と、自分をクールに見つめる”冷徹さ”をうまくミックスさせています。それに、ライラックの森の中でスチュワデス(*4)のお姉さんと初エッチしているし。

 ”青年は荒野をめざす”の掲載は、解説によると平凡パンチ(*5)ということなので、読者層は大学生以上であったと思われます。ですから、中学校1年生でこの本を読んでいた悠也くんは相当早熟だったんでしょうね。多感な時期にお母さんの再婚という出来事があって、自分の居場所を求めてアメリカ留学をしたものと思っていましたが、意外とそんなことが無くても、この男の子は家を出ていたかもしれません。

 身も蓋もない言い方ををしてしまうと、この小説は”自分探しの旅”でもあります。最近のフリ-ターや、ニートの話にも”自分探し”というのがでてきますが、”最近の若者は”なんて、非難がましくいえた義理ではありません。おぢさん達だって、若いころは似たようなものです。
 ただ、大きく違うのは、昔はインターネットやパソコンすらなかった時代なので、”書を捨てよ、町へ出よう(*6)”しかなかったんですね。内向きには、本を読んだりレコードを聞くか、古いギターをポロンと鳴らすぐらいしか(*7)することがなかったので、勢い外向けにアクティブにならざるを得なかったんでしょうか。今のおぢさんが若いころにインタ-ネットがあったら、今の若者と同じことをやってるかもしれません。まあ、こうやってブログを書いてること自体、まんまかも。

  安全な暖かい家庭、バラの匂う美しい庭、友情や、愛や、優しい夢や、
  そんなものの一切に、ある日突然、背を向けて荒野をめざす。
  だから彼らは青年なのだ。それが青年の特権なのだ。

 終章で、教授職や家庭を捨てて蒸発した通称”プロフェッサー”が、ジュンたちとアメリカを目指す船の上で語る言葉です。
 おぢさんたちが、ウルマンを持ち出すと危険ですが(*8)、さすがにプロフェッサーが語ると重みがあります。

 桜庭一樹の”荒野”を読まれる方には、ぜひあわせて読んでいただきたい一冊。でも、中学1年生にはちょっと早いかな。


《脚注》
(*1)ソビエト
 この小説が書かれたのは、1967年。ニッポン放送で深夜放送の”オールナイトニッポン”が始まった年でもあります。当然、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の時代です。現在のロシア連邦を考えると隔世の感があります。
(*2)渡辺淳一
 今でこそ、恋愛小説の大家ですが、元々は北海道のお医者さんで医学小説を中心に執筆していました。イメージは”リラ冷えの街(新潮文庫)”から。初期のころはほぼ全作読んでましたが、”失楽園”で黒木瞳様をヌードにして以来、ほとんど読まなくなりました。
(*3)本歌取り
 有名な和歌(本歌)を取り入れ、その背景として用いることで、奥行きを与える表現方法。小説や音楽では”オマージュ”がこのたぐいです。
(*4)スチュワデス
 原文ママ。キャビンアテンダント(CA)のこと。英語圏ではフライトアテンダントというのが一般的とのことです。スッチーとの合コンは若いサラリーマンの憧れですが、一度も実現しないまま、この年になりました。ちなみに、私の同僚に、一人目、二人目の両方の奥様がスッチーという人がいます。
(*5)平凡パンチ
 1988年に休刊となりましたが、かつては”週刊プレイボーイ”と並び称された青年誌。印象ですが、プレイボーイが娯楽色が強かったのに対し、平凡パンチはファッション、カルチャーに重点があったように記憶しています。当時の高校生としては、本屋さんでこれらの雑誌を買うのにとってもドキドキしてました。純情だったんですね~。
(*6)書を捨てよ、町へ出よう(寺山 修司 角川文庫)
 こちらも時代を代表する寺山修司の代表作。五木寛之と同世代の詩人にして小説家。
伝説的アングラ劇団”天井桟敷”主宰でもあります。
 現在、読書中なので詳細は別のお題で。
(*7)古いギターをポロンと鳴らすぐらいしか
 吉田拓郎の”結婚しようよ”より。あっ、プロポーズをしている分、アクティブか!
(*8)ウルマンを持ち出すと危険ですが
 アメリカの実業家、詩人であるサミュエル・ウルマンの「青春」という詩のこと。
  青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。
   (中略)
  人間は年齢を重ねた時老いるのではない。理想をなくした時老いるのである。
   (後略 Wikipediaで全文が読めます)
 若者は、青春について語ったりしないものです。


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すこしの孤独は、ここちよいのだ(荒野/北鎌倉のうさまん)

【本】荒野(桜庭一樹 文藝春秋)
 日本人形みたいな女の子、山野内荒野(こうや)の中学生から高校生までを描いた恋愛小説。ブンガク作品っぽくしていますが、前半はファミ通文庫(*1)で発刊されたりっぱなライトノベルです。
【旅行】北鎌倉のうさまん
 茶寮”風花(KAZAHANA)”のメニューにあるウサギの形をしたお饅頭。ふかふか、あつあつの皮に包まれた白あんが美味。お饅頭というより上品な点心といった感じです。アイスコーヒーとセットで800円。お店は、JR北鎌倉から”あじさい寺”として有名な明月院へ行く道の途中にあります。(グルメWalkerでの紹介HP

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写真は、たいちろ~さんの撮影。左から鎌倉小町通り、うさまん、風花の看板。

 今日、鎌倉に行ってきました。目的は”うさまんを食べに”です。
 ”うさまん”は、桜庭一樹の”荒野”に登場する主人公の荒野さんがお友達と食べに行くスィーツ。 ”ええおっちゃんが、わざわざ鎌倉まで、お饅頭を食べに行くか?”という突込みがありそうですが、財力にまかせた聖地巡礼(*2)はオトナの特権です!(といっても電車賃 片道500円ちょっとですけど)

 お店のマスターに聞いてみたところ(聞くか、ふつー?)、桜庭一樹のサイン入りの”荒野”を持参された方もいらっしゃっとのこと。
 マスターの説明によると”荒野”に登場する”うさまん”は、鎌倉ニュージャーマンの”かまくらカスター”と、風花の”うさぎ饅頭”をあわせた桜庭一樹のオリジナルとのこと。ちなみに、”かまくらマスター”はブルーベリー味もありますが、うさぎの形はしていないそうです。小町通りの”かの鎌倉”では店内で食することもできるようです。

 さて、このお話の主人公の荒野さん。恋のお相手は悠也くん。悠也くんは、お父さんの再婚相手の連れ子にして、同級生です。中学校1年生にして、”青年は荒野をめざす(*3)”を愛読し、ジャズ好きなど、精神的には青年です。
 お父さんは(*4)、娘には”蜻蛉(かげろう)のようなと”いわれていますが、有名な恋愛小説家(ちょっと、えっち系)。でも、娘の名前が”荒野”というのは、ちょっとおかしなネーミングセンスだぞ。
 
 お父さんの再婚に伴って、荒野さんと悠也くんは同居することになりますが、裕也くんだけ離れ済むことに。最初は”年頃だしね、”って言われて怒っていますが、けっこう気に入ってしまったようす。そのあと、すぐにアメリカ留学、都内の全寮制の高校に進学。いっしょに住んでいた時間は短いですが、その分、二人でのデートが初々しくてよいです。
 まあ、ライトノベルなので、エッチな展開はありませんが、ちゃんとキスまでしているのはお約束。

 お題の”すこしの孤独は、ここちよいのだ”は、裕也くんが出て行ったあと、離れですごす荒野さんのモノローグ。

 十二歳の荒野には、まだわからなかった
 裕也が・・・ あの少年が、なぜ離れで心地よさそうにすごしていたか。
  (中略)
 いまはちょっとだけ、去年の、十二歳だったあの少年の思いがわかるような気がしている。
 つまり、すこしの孤独は、ここちよいのだ。


 ”酒と本の日々”の単身赴任のお父さんとしては、心にしみるフレーズです。
 お饅頭を食べに、気軽に鎌倉まで出かけていけるし。
 こうでも思っていないと、単身赴任はやっていけません・・・

 発行順では
  荒野の恋(荒野 第一部) 2005年 ファミ通文庫
  荒野の恋(荒野 第二部) 2006年 ファミ通文庫
  私の男(*5)        2007年 文藝春秋
  荒野(書き下ろし第三部) 2008年 文藝春秋
 になります。
 まあ、明るい”私の男”といったところでしょうか?(*6)
 ライトノベルとして読んでも好し、ブンガク作品として読んでも良しです。

《脚注》
(*1)ファミ通文庫
 ファミ通はエンターブレインが発行の家庭用ゲーム専門雑誌。ファミ通文庫は同社ライトノベル系文庫レーベルです。最近では、“文学少女”シリーズ(野村美月)がお勧め。
(*2)聖地巡礼
 コミックやアニメに登場した場所を散策することを聖地巡礼といいます。オタクな趣味と思われるかもしれませんが、今やその手の集客力は侮れません。”らき☆すた”に登場した鷲宮神社の初詣客は10万人単位で増加しますし、(2009年度は42万人で埼玉県内2位)、トトロの家のモデルが全焼(2009年2月14日)が全国ネットで放映される時代です。
(*3)青年は荒野をめざす
 五木寛之原作の小説。ただいま改めて読書中なので、詳細は別のお題で
 学生時代は、”蒼ざめた馬を見よ”、”青春の門”、”戒厳令の夜”、”四季・奈津子” など、五木寛之はよく読みました。まあ、青春のバイブルといったとこでしょうか。
  作詞 五木寛之、作曲 加藤和彦で、ザ・フォーク・クルセダーズが同名の曲を歌っています。
(*4)お父さんは~
 ”私の男”もそうですが、桜庭一樹の書く父娘関係はどっか歪んでいます。家で、娘のことを”黒猫ちゃん”と呼ばせているし。私んちでこんなことやったら、娘は口きいてくんないだろうな~。それに、
  恋知らぬ、猫のふりなり 玉遊び(正岡子規)
と言えるほど、お父さんはまだ、達観できてないぞ!
(*5)私の男(桜庭一樹 文藝春秋)
 第138回、直木賞受賞作。
 桜庭一樹はライトノベル作家を人前で堂々と言えるようにしてくれた功労者です。
 その喜びは”「桜庭一樹が好き」と言えるしあわせ”で書いてます。
 (このブログはココログニュース(@nifty)にも取り上げてもらいました!)
(*6)明るい”私の男”~
 ライトノベル(LightNovel)のライトは”軽い”のほかに、”明るい”という意味もあります。和製英語ですが、最近はinternationalに通用するとのこと(Wikipediaには英語のページが存在します)

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いつの世にも、バラは咲き、そして枯れる(ロミオとジュリエット/シクラメン)

【本】ロミオとジュリエット(シェイクスピア 角川文庫他(*1))
【DVD】ロミオとジュリエット(出演: オリヴィア・ハッセー, 監督: フランコ・ゼフィレッリ)
 説明不要の恋愛悲劇の名作。最近では、レオナルド・ディカプリオ、鈴木杏、古くは鉄腕アトムで”ロビオとロビエット”というのもありました。定番はやはりオリヴィア・ハッセー版。
【花】シクラメン
 冬になると、羽を半開きにした蝶々のような形の花が咲きます。花言葉は”はにかみ”、”遠慮がち”。意外にも、もともとは香りはしない花だそうです。和名は”豚の饅頭(ブタノマンジュウ)”ですが、女性にこれを言うと嫌われます。

Photo
写真は、たいちろ~さん。近くの園芸店にて

 


 冬になると、花の種類が減りますが、その中でも代表的なのがシクラメン。会社の近所のカレッタ汐留にも、鉢植えがたくさんおいてありました。シクラメンといえば、おぢさん世代にはやはり”シクラメンのかほり(*2)”が印象的です。

  ためらいがちに かけた言葉に 驚いたように ふりむく君に
  季節が頬をそめて 過ぎてゆきました


 ”単なるナンパやん!”とか、風情のないことを言ってはいけません。花言葉のように、”はにかむような少女との淡い想い”を胸に抱いて、おぢさんたちは青春してたんですよ。あのころに戻れるなら、僕は何を惜しむだろう・・・

 歌っているのは、布施明。最近の若いお母さま方には”仮面ライダー響鬼(ひびき)”の主題歌(*3)を歌った人といったほうがわかりがいいかも。この人は歌手としても有名ですが、ハリウッド女優、オリヴィア・ハッセーと結婚したことでも有名。オリヴィアは、”ロミオとジュリエット(1968年版)”のジュリエットを演じた女優さんです。ということで、今回は”ロミオとジュリエット”のお話。

 今回のブログを書くにあたって改めてみましたが、やっぱりオリヴィアがかわうい!
ジュリエットは14歳になる直前との設定ですが、その時のオリヴィアは15歳だったそうです。

お題は、”ロミオとジュリエット 愛のテーマ”(*4)の一節

  いつの世にも バラは咲き そして枯れる
  若さも同じこと やがて うつろう


  The world wags on  A rose will bloom  It then will fade
    So does a youth  So does the fairest maid

 初めてロミオとジュリエットが出会うシーンで歌われています。

 このシーンのジュリエットは、まだどこかに幼さを残した少女。漆黒のロングヘアに、つぶらな瞳、ぎこちないダンスすら愛おしさを禁じえません。見つめるロミオの息遣いすら、胸を締め付けられます。

 でも、仮死の薬を飲むシーンになるころには、大人の女性すら感じさせます。

 蕾が花開く一瞬の刻(とき)を切り取ったような輝き

 オリヴィアが名女優なのか? すべての女性がそうなのか?
 我が家のお嬢様も高校3年生ですが、やはりこんな刻を迎えるのでしょうか?
 父親にとっては、永遠の謎です。

 ”ロミオとジュリエット”の花といえば薔薇でしょうが(*5)、シクラメンとの話のつながりも思いのほかありました。
 今回のお話は、自分でも、とても気に入っています。

 ”ロミオとジュリエット”は映像、音楽とも永遠の名作、この映画に限っては吹替ではなく英語のほうがいいです。日本人には照れてしまうセリフでも、英語と字幕であれば、すんなり心に染み込んできます。最高のお勧め!


《脚注》
(*1)角川文庫他
 角川文庫版の表紙の絵は、金子國義。この画家は、かつて富士見ロマン文庫という、海外の古典的ポルノ小説のレーベルで表紙を数多く手がけていて、古い本読みとしては、と~っても違和感があります。絵としては名画なんですけど。
(*2)シクラメンのかほり
 1975年の日本レコード大賞受賞曲。作詞・作曲は”歌う銀行員”小椋佳。この人は第一勧業銀行(現 みずほ銀行)に在職する傍ら、シンガーソングライターとして”さらば青春”、”俺たちの旅”などの名曲を出しています。
(*3)”仮面ライダー響鬼(ひびき)”の主題歌
 エンディングテーマの”少年よ”(作詞 藤林聖子 作曲 佐橋俊彦)。響鬼自体は玩具の売り上げはふるわなかったそうですが、パーカッションを多用した音楽は、高いクオリティだと思います。
(*4)ロミオとジュリエット 愛のテーマ
 ニーノ・ロータの名曲。甘く切ないメロディです。
 歌詞は”Little Sheep”から転載させていただきました。
(*5)”ロミオとジュリエット”の花といえば~
  名前? 薔薇は、別の名前で呼んでもその香りは同じ
  ロミオがロミオでなくても あの方のすばらしさに変わりはない
  その名を捨てて 
  そのかわりに 私のすべてをあたなのものに
 有名なバルコニーのシーンでの、ジュリエットのセリフです

今回は、脚注が少ないです。人は感動すると口数が少なくなると、改めて知りました。



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鋼鉄に閉じ込められし魂(エイトマン/タバコ)

【本】エイトマン(原作 平井和正、作画 桑田次郎 扶桑社文庫他)
【DVD】エイトマン(TBS 1963~64年放映)
 射殺された刑事・東八郎は、谷博士によって人格、記憶をスーパーロボットの電子頭脳に移植され、私立探偵にして警視庁捜査一課の八番目の男”エイトマン”として甦り、悪人や、他のロボットを戦うSFアクション。
【花】タバコ
 大きな葉っぱなのは知っていましたが、実物を見たことはありません。それもそのはず、葉タバコの栽培はたばこ事業法により、契約した農家だけしか栽培できません。園芸店で売っていないはずです。

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写真は”花の公園・俳句 ing”より



 @Niftyのココログで”あなたを熱くさせたロボットアニメは?”というお題があり、投稿することにしました。順当なところでは、ガンダム、エヴァンゲリオンあたりでしょうが、ひねくれもののおぢさんとしては、ぐっとしぶく”エイトマンなぞのネタを。

 あらフィフ世代は、日本のアニメ黎明期の生き証人です。イコール、ロボットアニメにどっぷりはまった第一世代でもあります。この時代のロボットを人工知能の観点(*1)で分類すると、以下の3パターンになります。

鉄腕アトム:自立思考型
 日本初の連続テレビアニメにして、ロボットの代名詞。原作は手塚治虫。1963年より放映。自分の判断で行動できるロボットの原点です。日本人に ”ロボット=良き隣人”のイメージ(*2)を持たせた功労者。
鉄人28号:有人操作型
 リモコンで操作される巨大ロボット。原作は、横山光輝。1963年より放映。大日本帝国陸軍の秘密兵器という設定が時代を感じます。後に搭乗型のマジンガーZ,ガンダムなどを含め、ロボットアニメのメインストリームになります。
人格移植型:エイトマン
 人間の人格、記憶をロボットに移植するタイプで、広義ではサイボーグ(*3)といえなくもないですが、生体を利用していない違いがあります。数は少ないですがキャシャーン(*4)、ロボットではないですがアルカディア号(*5)などがこれに当たります。

 で、人格移植型にのみ発生するのが、人間としてのアイデンテティの問題。つまり、”自分は人間なのか、ロボットなのか?”という問題です(*6)。人間としての自意識があるため、本人は”人間だ”と思いますが、実際は鋼鉄の体を持つという矛盾。サイボーグであれば、生身の”脳髄”を持ってるので、人権を主張できますが、それができない故に、性格に暗い影を与えることになります。

 今回のエイトマンはまさにこの典型。原作の平井和正は1960年代を代表するSF作家の一人で、”ウルフガイシリーズ(*7)”、”サイボーグ・ブルース(*8)”、”幻魔大戦(*9)”といった秀逸なSF作品を書いています。人間のダークサイドを鋭くえぐるような作風が特徴。
 作画の桑田次郎のシャープな線は、ハードボイルドなエイトマンとよくマッチしています。平井・桑田のコンビで、”デスハンター(*10)”などを残しており、マンガというより、劇画に近い作風なのかもしれません。
 TVアニメ版の脚本家も豊田有恒(時間砲計画、宇宙戦艦ヤマトの原案)、半村良(石の血脈、戦国自衛隊など)といったキラ星のようなSF作家が参加しており、骨太なストーリー展開になっています。

 何回かリメイクされていて、最近では”8MAN infinity”(*11)が続編の位置づけで連載されました。

 エイトマンで有名なガジェットといえば、”タバコ”。原子炉を冷却する強化剤という設定で、吸うと元気になります。サム・スペイドの時にも書きましたが(”烏丸丸太町?”の項をご参照)、やはりハードボイルドな男にはタバコがよく似合います。禁煙車両、タバコ税値上げ等、喫煙者には住みにくい世の中ですが、どうせ吸うなら、あのようにカッコよく吸いたいものです。

 1960年代のSFマインドを感じたい方にはお勧め。ウルフガイシリーズなと、この時代の平井和正作品は傑作が多いので、気に入られたら、あわせて読まれることも良いかと思います。


《脚注》
(*1)人工知能の観点
 コンピュータを何に使っているかの問題で、姿勢制御ひとつとってもコンピュータなしにロボットはの存在はありえません。
(*2)”ロボット=良き隣人”のイメージ
 手塚治虫の偉大なのは、その作品を通じて多くの人々の人生に大きな影響を与えていること。日本のロボット学者の大部分は鉄腕アトムに何らかの影響を受けているそうです。(*3)サイボーグ
 身体の機能を、機械などの人工物に代替させることで、身体の補助や強化を行った人間の事。サイボーグ009が有名。
(*4)キャシャーン
 ”新造人間キャシャーン”(タツノコプロ)の主人公。東鉄也は人間と融合することで”不死身の体=新造人間”になります。納谷 悟朗(宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長の声優)のオープニングが渋いです。
(*5)アルカディア号
 松本零士の漫画”宇宙海賊キャプテンハーロック”、”銀河鉄道999”に登場する宇宙戦艦。大山トチローは死後、アルカディア号の中枢大コンピューターにその魂を宿しています。
(*6)自分は人間なのか~
 大山トチローは悩んでいませんが、これは作品の中で”機械化人=人間”という社会的コンセンサスが取れているからと推測されます。
(*7)ウルフガイシリーズ
 満月になると不死身の体になる”人狼”犬神明の物語。最近、泉谷あゆみの作画でマンガ化されています。
(*8)サイボーグ・ブルース
 殉職した黒人警官アーネスト・ライトは、サイボーグ特捜官として再生しするという、ロボコップのご先祖様のような作品。
(*9)幻魔大戦
 石森章太郎との共作で少年マガジンに連載。宇宙消滅を企てる幻魔と超能力者の東丈、プリンセス・ルナ、サイボーグのベガ、宇宙人のフロイの戦いを描く。多くのバージョンあり。
(*10)デスハンター
 原作の小説は”死霊狩り(ゾンビーハンター)”。田村俊夫は、謎の生命体”デス”に憑依され不死身となった人間を滅ぼしていくというなかなかに陰惨な物語。林石隆が素敵です。
(*11)8MAN infinity
 原作 七月鏡一、作画 鷹氏隆之の漫画。旧エイトマンの登場人物以外に、林石隆、リープ、アーネスト・ライトといった、平井・桑田作品の登場人物がてんこ盛り!


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烏丸丸太町?(マルタの鷹/サンフランシスコ)

【本】マルタの鷹(ダシール・ハメット 早川書房他)
【DVD】マルタの鷹(主演:ハンフリー・ボガート 監督: ジョン・ヒューストン)
 サン・フランシスコの私立探偵サム・スペードが、黄金の鷹像をめぐる争いに巻き込まれるハードボイルド小説の傑作。
【旅行】サンフランシスコ(San Francisco)
 、アメリカ合衆国西海岸にある、カリフォルニア州の北部に位置する都市。意外にも、カリフォルニア州の州都はサンフランシスコでも、ロサンゼルスでもなく、サクラメントです。州知事は、アーノルド・シュワルツェネッガー。

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写真は”ゆんフリー写真素材集”より



 会社のお嬢さんから年賀状をいただきました。美しいヨットハーバーの写真に、”MALTA"の文字が。”烏丸丸太町?(*1)”と聞きましたら”それば違います!”とのこと。で、”マルタの鷹のマルタ?”と問い直すと、”それは知りません!!”と言われました。で、今回は”マルタの鷹”のお話です。
 (ちなみに、昨年旅行に行ったマルタ島の写真が正解です。い~な~~)

 ”マルタの鷹”はダシール・ハメットのハードボイルド小説。私はマーロウ派(*2)なので、今まで読んだことはありませんでしたが、これを機会に本とDVDを見ました。

 いや~、はまりました。

主人公のサム・スペードは頭脳明晰にして、敵の仲間割れを誘う狡猾さ、依頼人の美女に愛されたりとモテモテなのに、自分の矜持のためにその女性を警察に逮捕させるクールさと、なかなかに屈折した人物です。
 DVDで、サム・スペードを演じるのはボギーことハンフリー・ボガート(*3)。また、これがかっこいい! 1940~50年代を代表する名優ですが、みごとに男のダンディズムを体現しています。紙巻タバコを巻くシーンも実にさまになってるし。

 本の題名は”マルタの鷹”ですが、マルタ島は出てきません(*4)。で、旅行としては舞台となったサンフランシスコを。

 サンフランシスコは、今でこそシリコンバレー(*5)、UCバークレー(*6)とコンピューター業界とのつながりのイメージが強いですが、スペードが私立探偵をしているわ、沖合いにアルカトラズ島(*7)があるわ、ショーン・コネリーとニコラス・ケイジがカーチェイスをするわと(*8)、映画の舞台としてはけっこうハードな街です。
 でも、ゴールデンゲートブリッジ、ロンバード・ストリート、フィッシャーマンズワーフなど、見所の多い良い所です。奥様にせがまれて実際に行ってみましたが、風光明媚な素敵な街です。アメリカの中では比較的日本に近いので、観光で訪問するにはお勧めです。

 最近ははるな愛(*9)やオネエ系がブームですが、”強い男を感じてみたい”とお思いの女性にはお勧め。DVDは”カサブランカ”と2本セットで500円(宝島社)と、レンタルビデオで借りるよりお徳です。

 年賀状をくれたお嬢さんは、ラテン系の男性がお好みとのことですが、たまにはこんなのもいいですよ。

《脚注》
(*1)烏丸丸太町
 京都市中京区(なかぎょうく)の地名。”からすままるたまち”と読みます。鳥(とり)ではなく、烏(からす)、四角の真ん中に線がありません。阪急電車の駅があるので関西人にはおなじみですが、関西地区以外の人には放出(はなてん)と並んで読めない地名の筆頭。もちろん、海はありません。
(*2)マーロウ
 フィリップ・マーロウ。レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に登場するロサンゼルスの私立探偵。最近では”ロング・グッドバイ(長いお別れ)”が村上春樹訳で出版されました(早川書房)。マーロウの名セリフ「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」(角川書店 「野生の証明」のキャッチコピー)はぜひ私生活でも言ってみたいものです。

(*3)ボギーことハンフリー・ボガート
  ”ボギー”はハンフリー・ボガートの愛称。沢田研二の”カサブランカ・ダンディ”で、
 ボギー ボギー あんたの時代はよかった 男がピカピカのキザでいられた
と歌っているあれです。”カサブランカ”もボガード主演の名画です。
(*4)マルタ島は出てきません
 ”マルタの鷹”は、聖ヨハネ・ホスピタル騎士団がスペイン皇帝からマルタ島を下賜されるしるしとして献上した鷹の像のこと。ほとんど、インディー・ジョンズの世界かも。(*5)シリコンバレー
 アップル、インテル、オラクル、サンマイクロ、Yahooと世界有数のIT企業があります。
(*6)UCバークレー
 正式名称は”カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)。高い時計塔のある、たいへん美しいキャンパスですが、同時にノーベル賞受賞者を多数輩出する世界有数の難関校でもあります。
 年配のコンピュータ技術者にはバークレー版UNIX”BSD(Berkeley Software Distribution)”を開発した大学として有名。
(*7)アルカトラズ島
 ここにはかつて脱獄不可能といわれた連邦刑務所があり、かつて暗黒街のボス、アル・カポネが収容されていました
(*8)ショーン・コネリーと~
 映画”ザ・ロック”より。アルカトラズ島を占拠したテロリスト軍団に、FIBの化学兵器スペシャリスト(ニコラス・ケイジ)と、アルカトラズ島を脱獄した男(ショーン・コネリー)が戦いを挑む。ショーン・コネリーの存在感が圧巻。そういえば、ショーン・コネリーは、”アンタッチャブル”で、カポネとも戦ってましたね。
(*9)はるな愛
 この人をTVで見て以来、新人女性アイドル(に見える人)が登場するたびに、奥様にに”この人女性?”と聞くようになりました。

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なんとなく、プチリッチ(なんとなく、クリスタル/東京物語/仙台初売り)

なんとなく、プチリッチ

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写真は”気ままな歳時記”より




【本】なんとなく、クリスタル(田中 康夫 河出書房新社 他)
 通称、”なんクリ”。前長野県知事にして作家の田中 康夫のデビュー作。主人公は東京に暮らす女子大生の由利さん。かとうかずこ(*1)が主演で映画化されました。
【本】東京物語(いしかわじゅん ジャイブ 他)
 1989年から93年に週間プレイボーイに連載。フリーライターのコマくんと女子高生の彼女の小夏ちゃんをめぐる恋愛物語?。沖縄にスキューバに行ったり、映画に出演したり、ビンボーなはずなのに、けっこう優雅なTOKYOライフを送っています。
【旅行】仙台初売り
 仙台では(*2)、1月2日(*3)に豪華な福袋や大幅ディスカウントをするバーゲンセールがあります。文化文政時代(1800年ごろ)には始まっていたそうです。

 あけましておめでとうございます。たいちろ~です
 本年もよろしくお願いします。

 今年の2日に仙台初売りに行ってきました。寒い中、朝6時から店の前に並びました。(開店は7時から)。大体300番ぐいらいですが、有名店では徹夜で並ぶ人もいるとか。収穫はというと
 奥様:千本引き(*4)で、1万円投資して、1万円の商品券と”引き分け”
 長女:お目当ての店の福袋が売りけれで”負け”
 長女:千本引きで、1万円投資して、2万円の商品券”勝ち”
と、長男の一人勝ちでした。

 そのあと、アウトレットモールに行きましたが、長女が”ブランド物(*5)のサイフを買って!”と言い出しました。”誕生日も、クリスマスも我慢してたから、お年玉とあわせてということで。50%Offだしheart02”との主張。結局買わされました。(といってもお金を出したのは奥様ですが)
 ちなみに、長男も”スウェットが欲しい”と言い出しましたが、こちらは”ユニクロへ行け!”の一言でおしまい。

 私自身はファッション感覚を母親のおなかの中に置いたまま生まれてきた人なので、こちらの素養がほとんどありませんが、読んだ本の中から”なんとなく、クリスタル”をご紹介。
 08年12月23日のブログ(ブログを始めて1ケ月になりました)で、なんクリの話題を書いたので、あらためて読みました。

 1980年に発表された”なんクリ”は時代的には、ほぼ私や奥様と重なります。(作者の田中 康夫は1956年生まれ)。もっとも、こんなおしゃれな生活はしてません。主人公の由利さんは女子大生ですがファッションモデル、彼氏の淳一さんは大学生でけっこう売れ筋のバンドリーダー。それぞれ、収入があり、両親もお金持ちなので、学生ながらプチリッチな生活をしています。ファッションは原宿や渋谷とか、散歩は麻布十番とか、六本木のディスコ(*6)に行ったりとか、休憩8800円のホテル(*7)で浮気してみたりとか。
 ブランドモノやファッションスポットにあふれた世界は”おしゃれ”というより”バブル前夜の浮揚感”なのかもしれませんね。きっと、この小説を読んで東京に憧れた人も多いんでしょう、とんぼ見たいに(*8)。

 あと、同時代的にはいしかわじゅん(*9)のコミック”東京物語”。なんとなくフリーライターライターを始めた独楽彦(コマくん)の目を通して、なんとなく若者の憧れるような生活を送っています。それにコマくんてもてるんですね、クリスマスイブはマルチブッキングだし(で、女の子たちを怒らせて別れてしまうのに、次の年も同じこととやってるし)。トップアイドル(10*)と浮気もしちゃってます。

 当時、クリスタル族(*12)だったお母さんには”なんクリ”を、そうでなかったお父さんには”東京物語”がお勧めです。
 就活中の学生さん(*13)は、就職先が決まってからのほうがいいです。その優雅さが頭にきそうなので。

 あっ、今回は脚注が多い! なんクリの祟りか?!

《脚注》
(*1)かとうかずこ
 1981年の本映画がデビュー作。宮崎県の東国原知事(当時 そのままんま東)の元奥さんといったほうがわかりやすいかも。以外と知事に縁のある人です。
(*2)仙台では
 正確には、旧仙台藩(旧一関藩含む)の領域です。不当廉売にあたる可能性がありますが、公正取引委員会は伝統行事の特例として地域を決めて認めているそうです。詳しくは公正取引委員会のホームページをご参照ください。
(*3)1月2日
 メガストアが1月1日から開店するようになり、一時期地元の商工会ともめていたようですが、結局「元旦通常営業」、「2日仙台初売り」ということで落ち着いたようです。また、元旦は仙台市内は閉店、以外は開店と区別しているところもあります。
(*4)千本引き
 1000人限定のくじ引き。私がやったのは1本1万円で、特等が大型TVかブルーレイレコーダ、はずれが1万円の商品券と、まあ損はしない仕組みです。
(*5)ブランド物
 四国にある某県と同じ名前のブランド。お土産で、坂本龍馬の巾着袋を”○ーチのバック”といって奥様にプレゼントしたが、スル~されました。
(*6)ディスコ
 最近は言わなくなりました。今は”クラブ”。伝説のディスコ”ジュリアナ東京”は91年~94年なのでもう少しあと。バブルの象徴のように扱われますが、実際にブームになったのは、バブル崩壊後です。
(*7)休憩8800円のホテル
 私が出張で泊まるビジネスホテルがだいたい6~7000円ぐらいですから、とても高く感じます。友人の話ですが、普通のホテルは1日1回転しかしませんが、ラブホテルは何回転もするし人件費も安いので、当たればとても儲かるビジネスだそうです。
(*8)とんぼ見たいに
  死にたいぐらいに憧れた、花の都”大東京”
 長渕剛のミリオンセラー。最近は清原和博のテーマソング。
(*9)いしかわじゅん
 今はマンガ評論家として有名ですが、れっきとした漫画家です。この人は”フロムK”という、やたら注釈の多いエッセイマンガも書いています。
(*10)トップアイドル
 この子が、ヌード写真集を出すエピソードがあります。18歳の宮沢りえが”Santa Fe”でヌード写真集を出したのが1991年。アイドルのヌード写真集の先駆けです。当時はちょとしたパニックでした(*11)。
(*11)ちょとしたパニック~
 150万部の売り上げはいまだに芸能人写真集の1位だそうです。作中では、”実用”と”保存用”で複数買ったとのこと。いまのオタクの人が”鑑賞用”、”保存用””布教用”と複数買いをするハシリだったのかも。
(*12)クリスタル族
 ブランド物に身を包んだ女子大生はこう呼ばれていました。シャネラー(シャネルをこよなく愛する人たち)は90年代前半なので、もうちょっと後です。親になって思うのは、”当時の親もお金かかっていたんだろうな~”ということです。
(*13)就活中の学生さん
 リクルートワークス研究所による08年4月現在の調査によると09年大卒者の求人倍率は2.14倍ですが、そんなにあるのかな?。急速に景気が悪くなっているので、厳しさは増す一方です。子供たちの就職時期までに、景気が持ち直してくれるといいんですが、親としては・・・
 なんクリ時代よりすこし後ですが、87年3月卒の求人倍率は2.34倍でした(男女合計(*13))
(*13)男女合計
 数字のトリックです。男女雇用機会均等法改正前(~1999年)ですと、男女の求人倍率の差は大きい年だと2倍以上の開きがあります。

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巣ごもりにお勧め(銀河英雄伝説/黄色い薔薇)

巣ごもり(*1)にお勧め

Photo
写真はSozaiRoomから



【本】銀河英雄伝説(田中芳樹 徳間デュアル文庫他)
 銀河帝国の常勝”ラインハルト・フォン・ローエングラム”と、自由惑星同盟の不敗の魔術師”ヤン・ウェンリー”の戦いを軸に、フェザーン自治領主”アドリアン・ルビンスキー”を加えた宇宙SF版三国志(*2)。
【花】黄色い薔薇
 Wikipediaによると、バラが歴史に登場するのは古代バビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』だそうですが、黄色い薔薇は比較的新しく1900年とのことです。

 明日、26日は私の会社の仕事収めです。今年は9連休ということで、長い休みに最適な本ということで、”銀河英雄伝説”の紹介です。

 銀河英雄伝説は、田中芳樹原作で、上記の説明に”宇宙SF版三国志”とありますが、”赤壁(レッドクリフ)(*3)”ブームの中、SFという固定概念をはずせば、SFファン&三国志ファンの両方楽しめる一粒で二度おいしい小説です。それもそのはず、田中芳樹は中国の歴史物も数多く執筆しており、”SFはどうも・・・”という中高年の方はそちらをどうぞ。

 本編が文庫本で20冊、外伝が9冊となかなかに読み応えのあるSF小説で、1日に3冊ずつ読んでも10日は十分楽しめます。ちなみに原作にほぼ忠実にアニメ化もされており、劇場版アニメ3作、OVA本編110話、外伝52話とこちらも大量。24時間ぶっと~しで見ても、まる3日もかかります。ガンダムじゃあるまいし(*4)。

 さて、これだけ長い小説だと花の話題にも事欠きませんが、今回は帝国軍を代表して、ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥のエピソードを。
 ”疾風ウォルフ(ウォルフ・デア・シュトルム)”の異名を持つ良将ですが、お父さんは造園業者との設定。その割には花言葉に疎く、奥様のプロポーズに”黄色い薔薇”を持っていくお間抜けなところがあります。”黄色い薔薇”の花言葉は”変わらぬ友情(*5)”。今なら、”家族割しましょう”と口説く時に”ただともがいいね!”言っているようなもの(*6)。世のお嬢さん方も、プロポーズのお断りに、胸ポケットに黄色い薔薇を挿すぐらいのセンスは欲しいものです(まあ、男性から見れば断られるには変わりありませんが・・・)。ちなみに、ミッターマイヤーはプロポーズを受けてもらって、ちゃんと結婚しています。

  ”読んでから見るか、見てから読むか(*7)”ですが、活字中毒者は原作から、アニメ、クラシック派(*8)はアニメ版からが良いです。

 小説版は2007年から創元SF文庫版(カバーイラストは星野之宣)が出ていますので、こちらが入手しやすいですが、アニメ版と両方見たいのであれば、徳間デュアル文庫(カバーイラストはアニメと同じ道原かつみ(*9))がお勧め。中古でよければAmazon.com他で入手可能です。

 ”無人島に持って行きたい本”という質問がありますが、私はためらわずこれです。

《脚注》
(*1)巣ごもり
 本来は鳥などが巣にこもっていることですが、転じて休みなどに家に閉じこもってすごす事。不景気の産物。無職の人がやると”引きこもり”になります。
(*2)三国志
 曹操(魏)、孫権(呉)、劉備(蜀)の三国が争覇を争って戦う中国古典にして、水伝に並ぶ人気のある物語。私は吉川英治版(講談社)で読みました。
(*3)赤壁(レッドクリフ)
 Mission: Impossible Ⅱの ジョン・ウー監督により映画化。長江の赤壁での総力戦を描く。三国志のもっとも盛り上がるエピソードのひとつ。。
(*4)ガンダムじゃあるまいし
 CSのアニマックスがアニメ”機動戦士ガンダム”を2009年1月1日0時~21時30分まで全43話を一挙に放映すること。放映する方もいい度胸してますが、見る方もそれなりの根性が必要です。
(*5)変わらぬ友情
 ほかにも”不貞”、”嫉妬”もあるようです。どれにしてもプロポーズ向きではありませんね。
(*6)”家族割しましょう”と~
 ソフトバンクのサービス。CM、白戸家の”兄フラれる”編をご参照
(*7)読んでから見るか、見てから読むか
 角川映画の第二作『人間の証明』(1977年)のキャッチコピー。日本のメディアミックス(小説、映画、テレビなど異なるメディアの組合せ)の代表的な成功例。当時の角川春樹はプロデューサとしての天才性を遺憾なく発揮しています。
(*8)クラシック派
 BGMがほとんどクラシック。マーラ、ラヴェル、ワーグナーなど、クラシックの名曲が綺羅星のごとく出てきます。
(*9)道原かつみ
 漫画家。道原かつみ版のコミックもあります。ただし、アドリアン・ルビンスキーは色っぽいおねえさん。後半の展開をどうするつもりでしょう?


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愛しても愛しても、ああ他人の妻(人間失格/さざんか)

愛しても愛しても、ああ他人の妻

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写真はたいちろ~さんの撮影



【本】人間失格(太宰治 集英社文庫他)
 第一の手記(自分が道化であると告白)、第二の手記(酒、煙草、淫売婦と左翼思想に溺れる告白)、第三の手記(自分はもはや人間を失格したのだと告白)からなる私小説形式のフィクション。
【花】さざんか
 名前は中国語でツバキ類山茶(さんさん)が訛ったものに由来するそうですが、学名もCamellia Sasanqua(属:ツバキ、種:ササンカ)です

 寮の庭に赤い花が咲いたので、寮のおばさんに聞いたところ”さざんか”とのこと。で、今回はさざんかのお話。

 さざんかといえば、やはり大川栄策さんの”さざんかの宿”(*1)。童謡”たきび”(*2)の印象から、冬にがんばって咲いている元気よさそうな印象でしたが、実物をじっと見るとピンク色の薄い花弁がはかなげで、幸せ薄そうな”さざんかの宿”のほうがイメージにあっています。花嫁衣裳の白でなく、情熱の赤でなく、それでいて桃色の薄絹をまとったようなほのかなお色気みたいな。表題の”愛しても愛しても、ああ他人の妻”は”さざんかの宿”のサビの部分ですが、日本の奥ゆかしい不倫のありよう(*3)にはぴったりです。
 カラオケおぢじさんの定番ソングですが、ただ、場所を選ばないと大騒ぎになります。会社の忘年会で、美人の人妻がいたりするところで歌ったりなんかすると、昨今セクハラと言われかねません。

 不倫の本となると、フランス書院文庫(*4)方向に行っちゃいかねませんので、今回は文学作品の”人間失格”を。(Wikipediaで不倫を見ると”不倫がテーマとなった小説”に出ています)
 ”恥の多い人生を送ってきました”で始まる日本で最も有名なこの小説の主人公は、逃避のはてに人妻に手をだすわ、心中事件をおこすわ、モルヒネ中毒になるわで、もう”ドロドロやね(*5)”状態です。不倫といった色気のある話ではありません。最近、改めて読みましたが、よく学校で紹介するよね~、といった感じです。

 ”人間失格”は最近良く売れているそうです。なんでも、集英社文庫で”DEATH NOTE(*6)”を連載した漫画家 小畑健が表紙を担当したからとのこと。表紙の絵で売り上げが上がるんだから、ライトノベルのことを云々言われたくないですね(*7)。ちなみに、この路線で、 地獄変 (芥川 龍之介)、こころ(夏目漱石)を小畑健が、伊豆の踊り子(川端康成)を荒木飛呂彦(*8)が表紙を執筆しています。

 最近読んだ理由は、"文学少女と死にたがりの道化(ピエロ)”(*9)に出てたから。やっぱしそっち系かといわれそうですが、私はこういうテレフォンショッキング(*10)的な本の選び方をよくします。本歌取(ほんかとり)であったり、背景の類似性を示唆したりとか使い方はさまざまですが、意外な本が意外な本に繋がったりして面白いものです。

 ”人間失格”を今さらお勧めは不要でしょうが、気分が落ち込んでいるときには読んではいけない劇薬です。

《脚注》
(*1)さざんかの宿
 1982年の大ヒット曲。作詞 吉岡治、作曲 市川昭介
 ちなみに、作曲の市川昭介は”いなかっぺ大将”の主題歌も手がけています。なるほど、もろに演歌だし、歌っているのは天童よしみだし。
(*2)たきび
 ”さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき”
(*3)奥ゆかしい不倫のありよう
 奥様へ。決して不倫に憧れている訳ではありません。念のため。
(*4)フランス書院文庫
 日本を代表する官能小説のレーベル。人妻、OL、女教師が、○○したり、××したりしています。登場する女性が比較的高年齢なのが特徴。低年齢(女子高生とか)が好きな方は美少女文庫というレーベルがあります。ええ、読んでませんともさ。
(*5)ドロドロやね
 板垣恵介の格闘コミック”バキシリーズ”(少年チャンピオンコミックス)に登場する合気柔術の達人、渋川剛気(しぶかわ ごうき)の名セリフ。相手に脳震盪をおこさせたあとの一言。
(*6)DEATH NOTE
 少年ジャンプに連載されて大ヒットしたコミック。名前を書かれた人間は死んでしまうという死神のノートをめぐる物語。私は読んでいませんが、中学生の長男がはまっています。
(*7)ライトノベルのことを~
 ライトノベルは表紙(多くは萌え絵)の出来、不出来で売上がかわるといわれています。いわゆるジャケ買い(表紙のイラストだけ見て衝動的に購入してしまうこと)。でも、おぢさんが買うにはちょっと恥ずかしいぞっと。
(*8)荒木飛呂彦
 漫画家。代表作は”ジョジョの奇妙な冒険”。Amazon.comの”ユリイカ 総特集=荒木飛呂彦(2007年11月臨時増刊号)”の紹介文では”若沖や光琳などに比して遜色ないものである”と評価している。
(*9)"文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)
 野村美月のライトノベル(ファミ通文庫)。ジャンルとしては推理小説ですが、嵐が丘(E・ブロンテ)、友情(武者小路実篤)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)といった有名な小説をモチーフにしています。
(*10)テレフォンショッキング
 お昼のバラエティ”笑っていいとも!”の人気コーナー。ゲストが次のゲストを紹介していく形式ですが、意外な人が意外な人を紹介するのも魅力。

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とめてくれるな おっかさん(窯変 源氏物語/イチョウ)

とめてくれるな おっかさん
 
081208s01_308120804_3桜通りから、名古屋タワーを見上げる
(たいちろ~さん撮影)







 【本】窯変 源氏物語(橋本 治 中央公論社)

 光源氏のモノローグによる橋本版”源氏物語”。上品な松花堂弁当を、いきなりハンバーガーに変えたような食感です(*1)。
【植物】イチョウ
 銀杏(ぎんなん)。遠目に金色に見えるのになぜ”銀”かというと、英語で”ginkgo"の聞き間違いだそうです。Wikipediaで調べて初めて知りました。

 先日(2008年12月8日)、名古屋に出張に行ってきました。桜通りを名古屋駅に向かって歩きますと、イチョウ並木の向こうに名古屋タワーズがきれいに見えていました。
 ということで、今回はイチョウの話。

 イチョウは東京都、神奈川県、大阪府の木に指定されています。その関係なのか、東京大学のシンボルマークはイチョウの葉をデザインしていますし、私の母校である大阪市立大学の大学祭は”銀杏祭(ぎんなんさい)”です。
 表題の”とめてくれるな おっかさん”は、学生運動全盛期の1986年、東京大学駒場祭のポスターで使われたキャッチコピー。全文は””とめてくれるな おっかさん 背中のいちょうが 泣いている 男東大どこへ行く”。

1968年東 大駒場祭ポスター(”デジタルももんが”へのリンク)

 このキャッチコピーの作者が、当時、東大生で、後に”窯変 源氏物語”を執筆する橋本治。で、今回の本は”源氏物語”です。

 先日、会社でいっしょに仕事をしてる女性のMさんと呑みに行きましたが(奥様へ、浮気ではありません。念のため)、この人がとっても源氏フェチでして、原典からタカラヅカ(*2)まで、滔滔と語っていただきました。私としては、”桐壺(*3)”と”雨夜の品定め(*4)”ぐらいしか素養がありませんが、もう一人いた頭が光源氏(*5)のおじさんは、けっこうこの分野に博識で、話が盛り上がっていました。
 私が”窯変 源氏物語”を読んだのは、文庫になる前の版ですから、1991年ごろです。今でこそ、平家物語などの古典訳で有名ですが、当時は”桃尻娘(*6)”の作者のイメージが強く、橋本治氏の作品を読んだのはこれが初めてでした。もっとも、源氏物語自体がいろんな評価があるので(*7)、根っこは同じなのかも。

  ”気軽に読める源氏物語”とお勧めしたいとこですが、すいません、私は途中で挫折しました。

PS.Iさんへ
 借りてる”あさきゆめみし(*8)”ちゃんと返すからね。

《脚注》
(*1)食感
 出展は”文学少女シリーズ”(野村美月 エンターブレイン)。主人公の天野遠子さんは文学の感想を食べ物の味で表現します。
(*2)タカラヅカ
 宝塚歌劇団。関西在住のお母さんは、一度は娘を入団させる夢を見ます。2008年11月に月組公演で、『夢の浮橋』を上演中。
(*3)桐壺
 源氏物語の第一帖。高校の古典の時間の必須項目。”いづれの御時にか”だけはみんな知っています。
(*4)雨夜の品定め
 第二帖”帚木(ははきぎ)”の一節。古典的えっち~話。
(*5)頭が光源氏
 ”顔”が光源氏ではありません
(*6)桃尻娘
 青春官能小説だそうですが、読んでません。のちに竹田かほりの主演で、にっかつロマンポルノで映画化されました。もちろん、見てません。
(*2)源氏物語の評価
 国文学の山脇さくらさんのコメント(西村しのぶ著 ”VOICE”より)
  なーんか、「源氏物語」ってさ、際限なくエロチックよ。大学院で研究なんて名目で、こんなえっちなこと追求してていいのかしらって思うものー!!
(*8)あさきゆめみし
 大和 和紀版の源氏物語。講談社漫画文庫他に収録。瀬戸内寂聴さんも高く評価しているそうです。


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「沈む」んじゃなくて「潜る」(クジラの彼/てつのくじら館)

「沈む」んじゃなくて「潜る」

Tetuokujira3 写真は”Vessel And Ships”から




【本】クジラの彼(有川 浩 角川書店)
 ”合コンで知り合った彼氏は潜水艦乗り”というありそでなさそな設定。題名の”「沈む」んじゃなくて「潜る」”は、付き合うきっかけとなったキーワードです。確かに船乗りに「沈む」はないですよね。
【旅行】てつのくじら館
 海上自衛隊呉資料館。呉市にあります。潜水艦や海上自衛隊の仕事が詳しく説明されています。入場は無料。

 今日(2008年12月6日)のココログニュース ”もう読んだ?ライトノベルが今すごい”で私のブログを紹介いただきました。どうもありがとうございます。
 ということで、”大人も楽しめるライトノベル”のご紹介として、11月30日の”図書館戦争”の作者でもある”クジラの彼”をご紹介します。

 この本を読んだあとに、”てつのくじら館”を訪問しました。展示されている潜水艦”あきしお”を見ると”鉄のクジラ”とはまさに言いえて妙です。潜水艦は停泊中も大半が水中にあるので、写真で見ても大きさがよくわかりませんが、76.2mの黒い船体を下から見上げると、その存在感は圧巻です。
”あきしお”でこれだから、”やまと(*1)”はどんだけでかいんでしょうか! 

 潜水艦の中も見学しましたが、居住区画は狭いです。男所帯なので、本作の中でも”潜水艦乗りはくさい!”との記述がありますが、しょうがないですね。鋼鉄のパッケージの中で長時間生活するのですから、強靭なメンタリティの持ち主でないと務まらないでしょう。”暗いよ、狭いよ、怖いよ~(*2)”ではできない仕事です。
 隣の、”大和ミュージアム”(呉市海事歴史科学館)と合わせて、広島にお出かけの際はぜひ見学してください。

 作品ですが、有川浩さんの作品に特有の”ハードな設定、でもラブコメ”しています。”レッド・オクトーバーを追え(*3)”とか、”終戦のローレライ(*4)”とか、潜水艦の出てくる物語は、本質が兵器なのでハードな話が多いですが、中に乗っているのは生身の人間なんですよね。出航したら連絡も取れないと、お付き合いする相手としては大変でしょうが、彼女の聡子さんには幸せになって欲しいものです。
 彼氏の春臣さんは、”海の底(*6)”にも出いていますので、こちらも合わせてお読みください。ゴジラシリーズへのオマージュです。

 ”彼氏から携帯電話もメールも来ない!”とぶーたれているお嬢さん方にお勧めです。

”てつのくじら館” 公式ホームページ

《脚注》
(*1)やまと
 潜水艦マンガの名作、”沈黙の艦隊(かわぐちかいじ 講談社)”に登場する潜水艦。全長120m。体積だと”あきしお”の約4倍。
(*2)暗いよ、狭いよ、怖いよ~
 暗所恐怖症・閉所恐怖症。出展は”うる星やつら(高橋 留美子 小学館)”の面堂 終太郎から。会社の新人教育の時、”めんどくさい”を”しゅーたろー”と言う人がいましたが、意味が解ったのは私だけでした。
(*3)レッド・オクトーバーを追え
 トム・クランシーの海洋軍事小説(文芸春秋)。ショーン・コネリー主演で映画化されました。ジャック・ライアンシリーズ(パトリオット・ゲーム、今そこにある危機 他)の第1作。
(*4)終戦のローレライ
 福井晴敏の戦記小説(講談社)。”ローレライ”の題名で映画化されました。香椎 由宇の映画デビュー作。あっという間に仮面ライダーがさらって行きました(*5)。
(*5)仮面ライダーがさらって行きました
 結婚相手のオダギリ ジョーは”仮面ライダークウガ”の主役。世のお母さん方を仮面ライダーファンにした立役者です。

(*6)海の底

 有川 浩の自衛隊三部作の「海」に当たる小説(メディアワークス)。怪獣映画のノリですが、ラストはちゃんとラブコメしています。

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アラふぉ~、アラふぉ~、らりるれロン♪(Around40/結婚物語/四つ葉のクローバー)

アラふぉ~、アラふぉ~、らりるれロン♪(*1)

Kuroba











写真は”フリー写真ブログもってって!”から

【CD】Around40~アラフォー~(ソニーミュージックディストリビューション)
 40歳の女性向けのコンピレーションアルバム。松田聖子、杏里、今井美樹等の曲を収録。”アラフォー”は2008年度の流行語トップテン年間大賞を受賞しました。
【本】結婚物語(新井 素子 角川書店)
 作家の陽子さんと、広告代理店勤務のたーさんの、プロポーズから結婚までを描く、SF作家新井素子さんの実録風体験的小説。あとがきで、”小説です”と言いきっていますが、当時のファンは実話だと思っていました。
【花】四つ葉のクローバー
 幸運のシンボル。花言葉は、「Be Mine」(私のものになって、私を想ってください)。

 先日、奥様から”Around40のCDを借りてきて”とのリクエストがあり、TUTAYAでレンタルしました。ジャケットが”四つ葉のクローバー”ということで、今回はクローバのお話。

 調べてみますと、四つの葉は、「希望」「信仰」「愛情」「幸福」とか、十字架をあらわすとか、いろいろ意味がありますが、、幸運をもたらすところは同じです。(*2)
 でも、ガーデナーから見ると、けっこう生命力の強い雑草なんですよね。夏にちょっと油断すると、小さな隙間にもすぐ生えてくるし、茎のわりに葉っぱが大きいくて結構めだちます。ロマンのない話ですいません。

 で、”Around40”に収録されている小比類巻かほるさんの”Hold On Me”が本のほうのテーマです。実は、この曲、テレビドラマ”結婚物語(日本テレビ 1987年)”のテーマソングです。
 主演の陽子さんを沢口靖子さん、たーさんを陣内孝則 が演じています。陽子さんのお父さん役の小林稔侍さんも、いい味を出していました。沢口さんは第1回「東宝シンデレラ」でグランプリ(*3)ということで、清純派のお嬢さん役が多かったですが、この役は天然系の役どころ。のちの”タンスにゴンゴンのコマーシャル(*4)”の片鱗がかいま見られます。
 原作は角川文庫から3冊でています。図書館にあった文庫の表紙はさべあのまさん(*5)、BookOFFで見つけたのは,沢口さんがあられちゃん眼鏡(*6)をかけているものでした。Amazon.comで見ると絶版になっているようですが、これを機会に復刊しませんかね。ついでにDVDも出ないでしょうか?

 娘がもうすぐ結婚するお父さん、結婚前の苦労が薄れてきた奥様方にお勧めです。
 ただ、ゼクシィ(*7)の代わりにはならんでしょう。

《脚注》
(*1)アラふぉ~、アラふぉ~、らりるれロン♪
 出展は、ロックミュージシャンにしてスーパーヒーロー3人組”スーパースリー(ハンナ=バーベラプロダクション 1967年放映)”の主題歌から。原曲は”らりほ~”。アメリカンカートゥーンと日本語感覚のベストミックス。名曲です。 

スーパスリーの主題歌

(*2)四つの葉のクローバの意味
 HP”四つの葉のクローバ”より
(*3)「東宝シンデレラ」でグランプリ
 沢口さんと同年の準グランプリが斉藤由貴さん、2000年には長澤まさみさんが受賞しています。
(*4)タンスにゴンゴンのコマーシャル
 沢口さんは、大阪府堺市出身。この関西弁のほうが、地かもしれません
(*5)さべあのま
 漫画家。代表作は”モト子せんせいの場合”など。まるっこいキャラクターの表紙がかわいいです。
(*6)アラレちゃん眼鏡
 ”Dr.スランプ”(鳥山明)の主人公、アラレちゃんがかけている、黒縁、大型の眼鏡。今は細眼鏡がはやりですが、80年代前半はこのタイプが大流行しました。ちなみに、お世話になった先輩がこの眼鏡とオーバーオールをご愛用で、みんなから”アラレちゃん”と呼ばれていました。コスプレイヤーじゃありませんけど。
(*7)ゼクシィ
 結婚カタロク誌。厚い、重い、安い(08年12月時点の首都圏版で、本編が1200ページ弱+おまけ2冊付きで500円)。

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かみつれの花が咲いたら(図書館戦争/かみつれ)

かみつれの花が咲いたら(*1)

20081130komomiru

写真は”Keiの想いの部屋”から




【本】図書館戦争(有川 浩 メディアワークス)
【コミック】図書館戦争(有川 浩 ふる鳥 弥生 アスキー・メディアワークス)
      図書館戦争(弓 きいろ 有川 浩 白泉社)
【DVD】図書館戦争(プロダクション I.G 角川エンタテインメント)
 検閲から本を守るために図書館とメディア良化委員会が武力闘争する時代。図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)の活躍を描く。過激な作品名ですが、でもラブコメ。原作は第39回星雲賞(*2)日本長編作品部門を受賞。
【自然】かみつれ
 カモミールまたはカモマイル。リンゴの果実に似た匂いがあり、アロマオイルや、ハーブティにつかわれます。

 ”図書館戦争”のDVD Vol.4を観ました。この中でかみつれの話題がありましたので、今回はかみつれのお話。

 ハーブ栽培が趣味なので、昔植えたことがあります。リンゴに似たさわやかなにおいのする、”香りのカーペット”を作ろうと思って。そのあと引っ越しをしたので、野望は潰えましたが、来年もこの場所にいたら、がんばってみましょい。
 ”図書館戦争”の作中では、かみつれは図書隊のマーク(*3)に使われています。選定したのは創設者にして基地指令の奥さんが好きだったからですが、花言葉は”逆境に耐える”、”逆境の中の活力”ということで、なかなかに意味深い選定です。

 ストーリーは”図書館とメディア良化委員会が検閲を巡り武装化して戦う”とういうハードな設定ですが、ベースは”図書館の自由に関する宣言”の思想です。私たちが大切にしないといけないものを守る戦いに身を投じる隊員たちの活躍を描くアクションものです。

 でも、けっこうラブコメなんですよね。”熱血バカ”こと笠原 郁さんと、”怒れるチビ”こと堂上 篤さんの。郁さんの図書隊への志望動機が、高校生の時、本の没収に抵抗した郁さんを助けた図書隊(郁さん曰く、”私の王子さま”)にあこがれて、というのも素敵です。これが、ラブコメの伏線になっています。
 本編では、郁さんが”アホか!”と堂上さんにしょっちゅう叱られていますが、まわりからは過保護に見られているようです。両方とも根が熱血なのでくっつくまで紆余曲折ありますが、結局にたもの同士です。(小牧 幹久さん(*5)の談)
 別冊では、”武闘派バカップル”全開です。

 ちなみに私は、小牧 幹久さんのファンです。

 図書館を愛するすべての人にお勧めです。
 原作の有川浩の作品ははずれがないので、ぜひ他の作品もご愛読ください。

図書館戦争 公式ホームページ

《脚注》
(*1)~の花が咲いたら
 出展は”あらいぐまラスカル(日本アニメーション 1977年放映)”の主題歌から。元気のでる名曲です。ちなみにラスカルの声が野沢雅子さん(ドラゴンボールの孫悟空の中の人)は驚きです。
(*2)星雲賞
 日本SF大会の大会の参加者の投票によって選ばれる賞。”日本沈没(小松 左京)”など、良作が目白押しです。
(*3)図書隊のマーク
 かみつれの花と本を組み合わせています。具体的には公式ホームページを参照下さい。 徽章(階級章)もかみつれの花と本の組み合わせです(原作の最後にまとめて掲載されています)
(*4)図書館の自由に関する宣言(抄)
 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
    第1 図書館は資料収集の自由を有する。
    第2 図書館は資料提供の自由を有する。
    第3 図書館は利用者の秘密を守る。
    第4 図書館はすべての検閲に反対する。
  図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
(*5)小牧 幹久
 ”笑う正論”。堂上さんの同期で副班長。DVD版の声は石田 彰氏(エヴァンゲリオンの”渚カヲル”の声といえばわかる人も多いかも)。郁さんの入隊のきっかけの事件を知っており、ときどきくすぐりを入れてます。

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”桜庭一樹が好き”と言えるしあわせ(赤朽葉家の伝説/鉄砲薔薇)

”桜庭一樹が好き”と言えるしあわせ

【本】赤朽葉家の伝説(桜庭一樹 東京創元社)
 「山の民」に置き去りにされた超能力を持つ祖母、元暴走族の漫画家の母、ニートな娘の3代にわたる女性たちによる大河小説。
【植物】鉄砲薔薇
 調べてみましたが、どうも架空の薔薇のようです。

 会社員の読書時間といえば、通勤時間と相場がきまっていますが、Around50(アラフィフ)のおぢさんが電車の中でライトノベルを読むのは、正直しんどいものがあります。ブックカバーは必須アイテムで、イラストのページは急いで読んだりして・・・・

 で、今回は”私の男(*1)”で直木賞を受賞した桜庭一樹さんです。
 私自身は乱読派なのであまりジャンルは気にしませんが、さすがに”ライトノベル、好きじゃ~”と大声で叫ぶ(*2)勇気はないですが、それでも最近読んだ本でライトノベル作家を上げるのはあらぬ誤解を招くのではないか心配です。(とはいっても、普通の会社員がラノベ作家をそんなに知っているとも思えませんが)
 で、ライトノベル出身の桜庭一樹さんが直木賞で一般に認知されたのは喜ばしいことです。ただ、この人の作品って、暗いのが多いんですよね。ライト(Light=明るい)ノベル作家なんですけど。

 受賞作の”私の男”もそうですが、今回の”赤朽葉家の伝説”もです。長じて千里眼奥様、今で言うセレブになる赤朽葉万葉さんにしても「山の民」に置き去りにされた過去の持ち主だし、漫画家の母、毛毬も男を寝取られ続けるし、連載完了後に死んじゃうし。娘の瞳子さんはニートぎみだし。

 作中の鉄砲薔薇は「山の民」の象徴のような書き方がされています。自殺した人を人知れず埋葬する山の民の墓所に咲き乱れる鉄砲薔薇と、山の民の末である万葉さんの臨終の床で、銀髪にばら撒かれる鉄砲薔薇。なぜ、薔薇に鉄砲をつけたかわかりませんが、山の民=山窩(サンカ)=山間の非定住者=猟師の連想でしょうか。

 しあわせだったかどうかうかがい知れない祖母と母の人生ですが、娘の瞳子さんには、ぜひ平凡な人生を送って欲しいものです。

 家族を中心とした大河小説は読みたいけど”大地(*3)”は重たし~、とか、昭和から平成にかけての時代風俗を地方から見たいと思っている人にはお勧めです。

《脚注》
(*1)私の男
 第138回直木賞を受賞した桜庭一樹の傑作。 親娘の秘めたる関係とか、ライトノベルでは出せない内容です。
(*2)xx好きじゃ~ と大声で叫ぶ
 ”めぞん一刻”から。酔っ払った主人公の五代 裕作が、ヒロインの音無響子さんに叫ぶ言葉。
(*3)大地
 パールバック作。百姓から金持ちになり、没落していった家族3代の物語。新潮文庫で4冊の大河小説。


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