家庭菜園

ハイエンドマシンなんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです(ジオン軍の失敗/腋芽(わきめ))

 ども、パッケージ拡販担当をやってたおぢさん、たいちろ~です。
 まがりなりにもコンピュータ用のアプリケーション販売ってをやってますが、これには2つの流れというか考え方があります。ひとつは”お客様の仕様(*1)にあわせてカスタマイズを加える”ってやり方と、もうひとつは”お客様の仕様をパッケージに反映させる”というやり方。言い換えると、前者はバリエーションを増やす、後者はバージョンをUPするということになります。
 まあ、一長一短あるんですが、どちらも上手くやらないとコストばっかかかることになります。で、うまくやらなかった事例として参考になりそうなのが、今回ご紹介する”ジオン軍の失敗”であります。

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写真はたいちろ~さんの作成。庭のトマトにできた腋芽です。


【本】ジオン軍の失敗(岡嶋 裕史 アフタヌーン新書)
 ”機動戦士ガンダム”の一年戦争時のジオン公国において、なぜかくも多様なモビルスーツが開発されたのか?(*2)
 プラモを売りたいが為のバリエーションではなく(たぶん)、いろんな種類の機体を作ってしまう技術屋さんの性に政治決着の尻拭いと、製品開発のリアルでもありがちな失敗を描いた本です。
【家庭菜園】腋芽(わきめ)
 トマトなんかを育てると、本枝と支枝の間に第三の枝が出てきます。これを腋芽といって、ちゃんととらないと、ムダな枝ばっかり増えて実が充実しなくなります。家庭菜園の基本ですが、ついついサボりがち(反省しています)


 バリエーションを増やすというやり方は、良く言うと状況に合わせて個別に改良を加えていくことなので、短期的には効果が上がります。上記の例でいうとお客様の固有事情に合わせて変更をするので、その分のお金がもらえれば売上も上がりますし、お客様にとってパッケージより使いやすいものになります。
 ただ、このやり方の問題は、複数のバリエーションが同時に存在するので共通的な仕様変更(法制度対応とか)があると短時間で複数のお客様に対応する必要があるし、ソースコードの管理も大変になるので、長期的には利益を圧迫することになりかねません(*3)。
 ガンダム世界でのこの例が大戦初期の名機”MS-06F ザクⅡ”。当時のTVアニメ版では通常の緑ザクとシャア専用の赤ザク(MS-06S)ぐらいですが、後のOVAを含めるとかなりのバリエーションが存在するとのこと。まあ、ガンダムってオープンソース的なところがあるので(*4)、全てが製作者側の意図ではないんでしょうが、本書では生産ラインの増殖や、開発リソースの分散の問題点を指摘しています。
 実際のビジネス現場から見ても、この指摘は正鵠を得ていると思います。

 じゃあ、バージョンアップ型がいいかというと、長期的にはソースコードが少なくメンテナンスコスト自体は減少するとか、先行のお客様のノウハウが反映されているので使いやすいとかのメリットはありますが、短期的にはお客様の要望に対応しないことになるので、基本性能がそれなりのレベルに達していないと売れないという課題もあります。また、仕様に対するある程度の割りきりがないと、限りなく肥大化するリスクがあるし、旧バージョンのサポート問題もあります。一般のパソコンユーザの方はピンとこないかもしれませんが、ビジネスユースではけっこう古いOSが現役で動いていたりするので、どこまで過去に遡ってサポートするかを見極めないと、こちらも動作保障のためのテスト工数が膨らみかねません(*5)。その辺は割り切りの良い外資系とウェットになんとかしようとする国産系の違いが如実に出たりなんかがでて面白いですが。

  ガンダム世界でのこの例が水陸両用機の最高傑作”MSM-07 ズゴック”。優秀性を評価されながらも、現場の意見を取り入れたための開発遅れとか、高コスト化とか、作者の岡嶋 裕史の採点は辛め。

  だが、やはり技術開発はどこかで見切りをつけなければならない。
  製品というものは、精査すれば常に問題点を内包するものだし、
  改善の余地のあるものである。
  しかし、改善要求にすべて対応していては、いつまでたっても製品は完成しない。
  完成したとしても、あらゆる機能を盛り込んだ使いにくい
  あるいは現実的な値段でないものになる。

              (本書より抜粋)

 つまり意味のないハイエンドなシステムってのは、フラッグシップ的な位置づけはともかく、ビジネスには寄与しないことになりかねません

 誤解の無いように言っときますが、実際に会社の中でものづくりをやっている人は真摯に取り組んでいるんでいて、より良い製品を作ることに情熱をかけています。ただ、腋芽をちゃんと取らないとムダなエネルギーばっかり使って実を結ばないように、適度な剪定をしないと良い結果には結びつきません。これは技術者の問題というよりマネジメントの問題。なので、マネジメントについては開発をしない営業とか、予算責任者を参加させないとまずいんじゃね? と思うのはそんなに間違っちゃいないと思うんですが・・・(*6)。

 ”ジオン軍の失敗”という名前からオタク本かと思われるかもしれませんが、立派な失敗学のビジネス書です。裏表紙の解説に”立てよ! エンジニアよ!”とありますが、ガンダムファンであればエンジニア以外の人にも読んで欲しい本であります。

《脚注》
(*1)仕様
 まあ、コンピュータ業界でこれほど便利な言葉はありません。
 設計フェーズにおいて、どのようなインプットでどのように処理してアウトプットを出すかとかを決めるのを”仕様決め”と言います。すべての仕様を決められれば理想的ですが、なかなかそうはいかないのがプロジェクトの常。そうなると人間は往々に自分の都合の良いように解釈するので出来上がってみて”それはこうじゃない”といった齟齬が発生してしまいます。なので、仕様を最初にいかにきっちり決められるかがリスク回避の最重要課題。
 とはいってもバグを”仕様だ!”と言い切るのは論外ですが・・・
(*2)なぜかくも多様なモビルスーツ開発が開発されたのか?
 とはいえ一点もののマシンがバトルする従来のアニメから見れば、同一機種を複数で運用するとか補給とかいう兵器運用思想を持ち込んだのは画期的ではありました。
(*3)長期的には利益を圧迫することになりかねません
 あえて売上と利益を別けて書いているのは、いったん作ったアプリケーションにも維持するためのメンテナンスコスト(要員の人件費や管理費等)がかかっているので、売上が上がってもそれ以上にコストがかかって利益が上がらないという状況が発生するからです。
(*4)オープンソース的なところがあるので
 簡単に言うと、ソースコードを公開し大勢の人間がアプリケーションを開発して再頒布できるのがオープンソースです。
 今でこそメジャーな設定の”ミノフスキー物理学”ってのも、元々は発行の雑誌”月刊OUT 別冊 ガンダムセンチュリー”(みのり書房)に掲載された解説が後付けで公式設定となったもの。
 同人誌活動のハイエンドといえなくもないですが・・・
(*5)動作保障のためのテスト工数が膨らみかねません
 ビジネスユースのサーバーではデータベースソフトやミドルウェアがからんで来るのでかなり条件が複雑。とりあえず動くけどバグが出ても直せないとかいう状況も発生します。
(*6)開発をしない営業とか、予算責任者を~
 一般論ですが、営業は”この機能だと幾らぐらいで、これぐらいのユーザにしか売れない”という総売上側からものを考えるのに対し、開発者は”この機能を作るにはこのぐらいの費用がかかるので、それを回収できるには幾らぐらいの金額で何ユーザに売る必要がある”的なコストありきの考え方をします。
 なので、マネジネントの人はこの両方から落とし所を考えないと、結果的にとんでもないビジネスプランが出来かねません。

さあ、検索を始めよう。キーワードは?(フィリップくん/同定/謎の赤い実)

 ども、花のブログを書いているおぢさん、たいちろ~です。
 先日、奥様と買い物帰りに公園を歩いておりましたところ、赤い実のついている木を指して”これは何の木? どんぐり?(*1)”との質問がありました。
 いや~、ドングリはないと思うぞ!
 こういった花に関するブログを書いているのを知ってか知らずか、気軽に聞かれるんですが、植物の同定って難しいんだぞ~~~
 ということとで、今回のお題は”植物の種類を調べてみましょう”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。左から、赤い実(葉に斑なし)、赤い実(葉に斑入り)、花です。
皆さんも考えてみてください。

【DVD】フィリップくん(仮面ライダーW)
 二人で一人の仮面ライダーWの主人公の片割れ。頭脳労働担当。これだけ働いてギャラは一緒でしょうか?(*2)
 得意技は「地球の本棚」といわれる脳内データベースを検索することによる推理です。
【家庭園芸】同定(どうてい)
  生物の種名や、化学物質が何であるかを決定することを”同定”といいます。
 特に樹木は見た目だけ分類するのはとっても難しいです。どこまで細かく別けるかにもよりますし。
 たとえば、今の時期”桜が咲いた”とよく言いますが、日本の桜の品種は600種類以上あって、開花時期も微妙に異なります。

 さて、私の場合、調べモノというとYahoo!やGoogle、Wikipediaを多用しますが、基本は”テキストサーチ”という文字による検索になります。
 フィリップくんのように”さあ、検索を始めよう”でさくさく調べモノができればよいんですが、なかなかそうはいかないもの。写真から判断できるキーワードとしては

  赤い実が冬にできる
  葉に小さなとげがある
  斑入りの種類もある
  小さな花が穂のように咲く

 ぐらいでしょうか。
 ちなみに、Wikipediaで”赤い実”といれると56件ヒットします(*3)。
 斑入りというのは、葉に白い部分がまじっている状態のことですが、これも同じ種類で緑一色のものと、斑入りがあるので(実際、公園では並んでありました)、これが同じ種類かどうかは葉の形とか総合的に判断する必要があるんですね。
 ことほどさように、同定するというのは難しいんです。
 フィリップくんも、検索でヒットしたあと、本を見て確認しているし・・・(*4)

 で、結局は記憶からあたりをつけて調べることになるんですが、これは知っているとか、見たことがあるとかが前提になりますんで、経験がモノをいう世界になります。今回の赤い実は見たことなかったんですが、”斑入りの葉っぱ”に覚えがあったんで、そっちで調べてみました。

 おかげで、”確かこの木はネームプレート付きで、あのへんにあったハズ”というおぼろげな記憶を頼りに公園中駆け回るハメになります。いちおう、人様に教えるとかブログにのっけるとかをするには確証がないといけないと思っているんで”裏をとる”ことは欠かせません。このブログでは園芸店で撮った写真をけっこう載せていますが、これは裏をとる作業がなくていいから。決して、手抜きをしているわけではありません。ええ、手抜きじゃないんですってば・・・

 さて、能書きが長くなりましたが、今回の赤い実の正体は”アオキ”です。

【花】アオキ(青木)
 ミズキ科アオキ属の常緑低木。秋から赤く卵形の実がなります。
 ちなみに、紳士服の”AOKI”は創業者が青木さんなので関係ありません。

 最後に真面目な注意ですが、シロウト判断で植物を口には入れないこと。秋になるとキノコ狩で、毒性のあるキノコを食べるという事故がありますが、生兵法はアブナイです。ブログで載せる分には間違ってていても訂正ができますが、病気になっては”ごめんさい”ではすみませんので、ご注意を。

 ところで、これ、アオキで合ってますよね?

《脚注》
(*1)どんぐり?
 ”どんぐり”とは、クヌギ・カシ・ナラ・カシワ・クリなどブナ科の果実の総称。公園にはこれらの木があるので、まったくハズレという訳ではないんですが・・・
 ちなみに、奥様は”トロッケンゲビンデ”という木の実や花などを使う工芸品作成の先生をやっています。
(*2)これだけ働いてギャラは一緒でしょうか?
 ”お染ブラザーズ”こと海老一染之助・染太郎師匠のギャグ。
 ”おめでとうございま~す”は、お正月のお笑い番組の風物詩だったんですけどねぇ。
(*3)”赤い実”といれると56件ヒットします
 植物だけを検索の表示順に並べると、ハナミズキ、サクランボ、セイヨウヒイラギ、イイギリ科、タラヨウ、カマツカ、ビタンガ、アカモノ、イチイ、ナナカマドなどが出てきます。
 検索にヒットしなくても、南天、千両、万両など、赤い実をつける木は他にもいっぱいありますが、これは”赤く熟す”とか表記方法が違うためです。
(*4)本を見て確認しているし・・・
 検索で出てきた内容は”本”の形で提示されますが、あの本には何が書いてあるんだろう?

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惑星規模の家庭菜園?!(メイキング・オブ・ピクサー/苔/ジェネシス計画)

 ども、井上直久画伯(*1)の教え子だったたいちろ~です。(これは本当)
 息子がプレステ3を買いまして、ゲームをやっているのを後ろから見ていましたが最近のコンピューターグラフィックス(CG)ってすごいですね。BASICの点々でお絵かきしていた世代(*2)としてはCPUの無駄遣いとしか思えませんが、科学技術の進歩には娯楽が欠かせないんでしょう。
 ということで、今回ご紹介するのはフルCGアニメを作った人たちの本”メイキング・オブ・ピクサー”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
庭にある苔。上空から見た森林に見えなくもないので。






【本】メイキング・オブ・ピクサー(デイヴィッド・A・プライス  早川書房)
 アニメーション映画監督ジョン・ラセター(John A. Lasseter)を中心に、”トイ・ストーリー”、”Mr.インクレディブル”などを生み出したピクサー(Pixar Animation Studios)の歴史をつづったノンフィクション。
【花】(こけ)
 一般的には地表や岩の上にはいつくばるような植物。耕作などすると育たないと思われているので、君が代では”苔むす”は長い時間のたとえになっています。
【家庭菜園】ジェネシス計画
 ”スタートレックII カーンの逆襲”に登場するテラフォーミング計画。
 テラフォーミングとは、人為的に人の住めない惑星を地球に似た環境に造り変える技術のことです。”ジェネシス計画”では物質を分解し再構築することで短時間に改造するころができますが、現実的な技術でやろうとすると火星の場合なら極冠の氷を溶かして、苔などの藻類をばら撒いて酸素を作ってと、100年~10万年程度の時間がかかるそうです。
 まあ、究極の農耕技術ということで・・・

 この会社の前身である”ルーカスフィルム(ILM)”時代に作成したのが、上記の”スタートレックII カーンの逆襲”に登場する”ジェネシス計画”のテラフォーミングシークエンス
 宣伝用でも使われたこのシークエンスは当時のSFファンにとってまさにセンス・オブ・ワンダーなシーンでありました。
 そう感じたのは私だけではないようで、このシーンのイメージは”DAICON4(*4)”のオープニングアニメを経て、”電車男(*5)”のオープニングにつながっていくことになります。

 さて、ピクサーは、今でこそフルCGアニメ作成の会社として有名ですが、元々はグラフィックス専用ハードウェアやレンダリング(お絵かき)ソフトを作っていた会社です。というか、CGアニメを作りたいがためにコンピュータ会社を隠れ蓑にしていたといったほうが正確でしょうか。

 主人公のジョン・ラセターはアニメ監督ですが、ピクサーにはコンピューターグラフィックスの技術者が山のように出てきます。本の前半は1970年代のコンピューター技術史、後半はアニメーション史になっています。おそらくこの本を読まれる方は映画ファンが多いんでしょうが、コンピュータ屋としては前半もけっこうGoodです。”トイ・ストーリー”の画面解像度はわずか1,536×922ピクセル(*6)だそうですが、当時、SUNのコンピューター117台で1フレーム45分から20時間かかったとのこと。 こうやって考えると、動画をリアルタイムで処理しているプレステ3がいかにハイスペックなマシンかということが良くわかります。

 ただ、テクノロジーの進歩が、アニメーションとしての面白さとイコールかというと必ずしもそうではありません。キャラクターや動き、そしてストーリーの面白さがアニメーションの命。技術は動きの面白さなんかを進歩させますが、それはアニメの一要素にすぎないことが後半を読むと良くわかります。
 ま、建物を作れば輸出産業化を推進できるなんてハード偏重の発想より、人材育成といったソフトに金をかけるほうがよっぽどいいんじゃないかと私は考えますがね。

 この本はコンピュータグラフィックスの黎明期から実用期にかけての技術史として読むか、新しい分野としてのコンピューターアニメ史と見るかはそれぞれの好みでしょうが、どちらで読んでも面白い本です。

《脚注》
(*1) 井上直久画伯
 ”イバラードシリーズ”やジブリのアニメ”耳をすませば”の美術を担当された画家。以前、私がいた高校の先生をされていて美術を教えてもらいました。これでもけっこう美術の成績は良かったんですよ。
(*2) BASICの点々でお絵かきしていた世代
 パソコン黎明期のグラフィックは640×200ドット、表示色8色というシロモノでした。これでお絵かきするにはBASICのLINEコマンドや、PAINTコマンドとアセンブラで組んだ中間色を出す命令を組み合わせる必要がありました。
 当然インターネットでプログラムをダウンロードなんてあるわけもなく、雑誌に掲載されているプログラムを自分でせこせこ入力することになります。
 ラムちゃん(*3)なんかよく載ってたよな~
(*3)ラムちゃん
 高橋留美子の漫画”うる星やつら”のヒロイン。トラ柄のビキニスタイルで空を飛びまわる姿が1980年当時大ヒットしました。
 以前、ハロウィンでこのコスプレをしたお嬢さんの団体がいましたが、リアルでやられるとさすがに目のやり場に困ります
(*4)DAICON4
 1983年に大阪で開催された日本SF大会のこと。このオープニングアニメを作成したのが、のちにエヴァンゲリオンを作成した”ガイナックス”を設立することになります。
(*5)電車男
 全国のヲタクを勘違いさせたTVドラマ。本編は見ていませんが、オープニングアニメはYouTubeで見ました。
(*6)1,536×922ピクセル
 ピクセル(画素)は画像を構成する点々のことで、画面が横1,536ケ、縦が922ケの点々で構成されていることを表します。デジカメ風にいうとだいたい1.4メガピクセル。今や携帯電話に付いてるカメラ機能ですらあたりまえに撮れる解像度です。
 ひとつの点々の色は光の三原色(赤、緑、青)に分解してして3バイト(24ビット)を割り当てるので、上記の例だとだいたい4メガバイトの記憶容量になります。
 これを圧縮技術を使ってサイズを小さくするので、実際にはだいたい0.5メガバイトくらいの容量に収まります(静止画で換算の場合)。
 奥様から質問がありましたので、この場を借りてお答えしました。

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神の国と地上の国をつなぐ”窓”(ギャラリーフェイク/出窓)

 ども、パソコン自作派のたいちろ~です。
 今回のお題は”あなたにとってWindowsの魅力ってなに?”ですが、まあ、フリーソフトが充実していることでしょうかね。大概のことが無料でできるので、ビンボ~関西人にはとっても助かります。あと、自作派にとっては関連の技術本が充実していることでしょうか。(でも、ホントはMacに憧れてるんですが・・・)

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写真はIRIS GARDENING.comより。
出窓に飾っている花です。










【本】”ギャラリーフェイク”より”天国の窓”(細野 不二彦 小学館)
 贋作の美術品を扱うアートギャラリー”ギャラリーフェイク”のオーナー”藤田玲司”を主人公とした美術漫画。第41回(1995年度)小学館漫画賞受賞。
 ”天国の窓”はビックコミックス版の第7巻に収録。
【家庭菜園】出窓
 窓を外側に張り出す形で設置してあるので、棚として利用でできます。一般的に日当たりがいいので鉢植えを置いて眺めるには最適。ただ、水廻りには注意。

 ところで、”Windows”って、技術本やビル・ゲイツをおちょくった本は多いんですが(*1)、意外と”Windows”そのものをネタにした名作って以外とないんですよね。ということで、今回は数少ない作品として”ギャラリーフェイク”より”天国の窓”をご紹介。

 ”天国の窓”のあらすじは以下のとおり。

 マルチソフト社で世界的大富豪の会長”ギルバート・ベイカー”は余命いくばくもない母のカーシャの願いにより”窓の絵”を探すことになる。どんな名画でも母を満足させられないベイカーは、”ギャラリーフェイク”のオーナー”藤田玲司”に依頼する。
 藤田は”窓の絵”の意味を理解するが、美術に興味のないベイカーの依頼を断る。
 しかし、母の依頼ということで一枚の絵を持参するが、それは古びた1枚の”聖画像(イコン)”だった。

 カーシャ おまえは働きすぎなのよ、ギル
      ときには休息も必要だわ。
      そして、祈りなさい。
      ”窓”はいつでもわたしたちと共にあるの。
      わたしたちのすぐ身の周りにね。

       (中略)
 藤田玲司 イコンは神の国と地上の国をつなぐ”窓”であると言います
      信者はイコンの前で十字を切り、顔を寄せ
      イコンに接吻するのです

 絵の中に広がる”窓”が”Windows”、”聖画像(イコン)”が”アイコン(*3)”と、オペレーティングシステムとしての”Windows”のアイデアの元になっているようなエピソードになっているところが物語としてもとても秀逸です。

 本来、”窓”というのは採光や換気のための開口部であると同時に、部屋の中から外を見るための部分でもあります。まあ、最近のマンションのように窓の外にはビルや空しか見えないようであれば、出窓に花を飾るというのはけっこう良い趣味だと思いますね。外と中の間(はざま)にある空間に植物を配置することで潤いと広がりを演出できます。クーラーとかで部屋の中では四季のうつろいを感じられない昨今、花の開花が季節の流れを感じさせてくれますし。

 でも、仕事で使うパソコンの”Windows”って、潤いないよな~。”Word”と”Excel”と”PowerPoint”だらけじゃあね(*4)。その分、デスクトップの背景に凝っていたりして。会社でもこのへんは理解しているようで、セキュリティにうるさいわりには、デスクトップアクセサリーには肝要です(*5)。
 ちなみに私は西村しのぶ(*6)の花と女性のイラストを多用しています。

 ”Windows”にしろ、出窓にしろ、センスを活かして使えるといいですね。

《脚注》
(*1) ビル・ゲイツをおちょくった本は多いんですが
 ビル・ゲイツはマイクロソフト社の共同創業者・会長にして世界一のお金持ち。
 本名は”ウィリアム・ヘンリー・ゲイツ三世(William Henry Gates Ⅲ)”という偉そうな名前とのこと。知らなんだ。
 ビル・ゲイツをおちょくった本としては唐沢なをき(*2)なんかがあります。
(*2) 唐沢なをき
 ”週刊アスキー(アスキー・メディアワークス)”にパソコン漫画”電脳なをさん”を連載する漫画家。けっこうマニアックなネタが多いですが、トンデモ本評論の”と学会”メンバの唐沢俊一が実兄なのであたりまえか。
(*3)アイコン
 パソコンで使う”アイコン (Icon)”は キリスト教で神や天使や聖人を模した絵や像であるイコン(ギリシャ語)の英語読み。
 ですので、このエピソードは美術的、宗教的には的確なものだと思われます。
(*4)”Word”と”Excel”と”PowerPoint”~
 マイクロソフトのオフィスツール。仕事では必須ソフト。今ではこれぐらいできないと、パートで採用されるのも難しいとのこと。私が入社したころはパソコンの出始めぐらい(1984年)ですので、ワープロができるだけで”おぉ~~”と言われたぐらいでしたので、隔世の感があります。
(*5)デスクトップアクセサリーには肝要です
 さすがにエロエロなのを使うと怒られるでしょうけど。これは趣味の良し悪しというよりセクハラでクレームになります。
(*6)西村しのぶ
 兵庫県出身の漫画家。神戸のお嬢さん方のラブストーリーを描いた”サード・ガール”などが代表作。
 公式HPの”下山手ドレス別館”ではファッショナブルなお嬢さんと花をモチーフにしたイラストが載せられていて随時更新されているので、これを使っています。イラスト自体は素敵なんですが、”おまえのイメージに合わん!”という理由で会社では不評です。


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お花畑を作ること、それが僕の仕事だった(史上最強のロボット!/PLUTO/お花畑)

 ども、ロボット大好き人間、たいちろ~です。
 現在、コンピューターの会社に勤めておりますが、実はロボットの会社(*1)が希望だったんですね。でも”文系は採用しない”との方針でしたので、頭脳のほうを担当する今の会社に勤めております。
 ということで、今回の本の紹介は”史上最強のロボット!”&”PLUTO”の2本立てであります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
作中での「プルートウ」の名前の由来にちなんで、近所のチューリップのお花畑です。





【本】史上最強のロボット!(高橋 智隆、柳田 理科雄 メディアファゥトリー)
 ロボットクリエイターの第一人者 高橋 智隆とベストセラー”空想科学読本シリーズ”の著者 柳田 理科雄による”史上最強のロボットとは何か”をテーマにした対談集。
【本】PLUTO(浦沢 直樹、手塚 治虫 小学館)
 アトム、ゲジビト、エプシロン・・・世界でも最高水準のロボット7体が次々に破壊されるという事件が発生。その影にうごめく謎のロボット”PLUTO(プルートウ)”とは?
 手塚治虫の”鉄腕アトム”から「地上最大のロボット」を原作に浦沢 直樹がリメイクした作品。
【家庭菜園】お花畑
 ガーデナーの憧れながら、お花畑と言われるためにはそれなりの面積がいりますし、四季を通じて花を咲かせるにはバックヤードに複数の花を準備するか、大量に花を購入するなど相応の財力が必要。
 最近、公園の花を盗んでいく不逞の輩がいますが、これは立派な犯罪です

 ”史上最強のロボット!”の中で、最強を、”巨大な”、”格闘に強い”、”速い”、”しぶとい”、”賢い”、”魅力的な”、”コストパフォーマンスの高い”というテーマで話を進めています。
この中で、コストパフォーマンスにからめてロボットの普及の条件みたいな話をしています。

 高橋 実は人間が行っている労働をロボットにやらせたとき、
     時給換算でペイできる仕事は、
     ぶっちゃけそっち系(*2)の仕事しかないといわれています

 つまり、物事が社会に広がる過程は”マニア⇒金持ち⇒一般人⇒特殊用途”とのこと。 高橋 智隆は”ガンダム30周年記念オフィシャルブック”の中でも言っていますが、介護ロボットやレスキューロボットが最初にくるのはうそっぱちだと。
 で、我等が史上最強のトボット”鉄腕アトム”はどうかというと、”権力と天才的頭脳を持つマニア”の天馬博士が生みの親(*3)。元々アトムは交通事故で死亡した天馬博士の息子の姿を模して作られたものなので、作成した動機は完全に個人的なもの。でも、その能力は明らかにオーバースペックです。息子の代わりにするだけなら10万馬力とか、空を飛ぶとか、お尻にマシンガンとかは不要のはず。でも、こういう機能を組み込んでしまうところがマニアなんだろうな~。気に入らないとサーカスに売っちゃうし・・・(*4)

 かたや、PLUTOも元々は砂漠を緑化するために作られた地球改造用のロボットで、こちらも完全に当初の目的が見失われています。
 表題の”お花畑を作ること、それが僕の仕事だった”はPLUTOの頭脳であるサハドの言葉。植物学を学ぶロボットだったので、本来だったら田や畑の花の世話をするいわばガーデナーのお友達になっていたはずなのに。

 これはロボットのせいではなく、人間の業なんでしょうかね。だいたい”最強ってなに?”っていうことを考えること自体がその表れかもしれません。本書での最後で最強のロロボットについてこんなことを言っています。

  柳田 カール・ルイスと大山倍達と大鵬を並べてみて(*5)
      その能力をあわせ持ったアスリートがどんなものかと考えてみても、
      その答えが出ないのと同じですね

 結局、自分の好きなロボットが最強と思っているのが一番平和なのかもしれません。 もっとも、”一番普及するロボットは何か”と聞かれたら、キューティーハニー(*6)と答えてしまうだろうな~、と”anume on bossa(*7)”を聞きながら考えてしまうわけです。

《脚注》
(*1) ロボットの会社
 富士通ファナック(現ファナック)です。ま、四半世紀前のことですので、時効でしょうけど。
(*2) そっち系
 いわゆるえっちぃ系です。
 VTRやインターネットに限らず、社会への普及にはエロエロは欠かせないようです。
(*3)天馬博士が生みの親
 元科学省長官。本書の中で、アトムの値段を10兆円(開発費こみ)と言っていますが、アトムの生まれた2003年(平成15年)の現実の文部科学省の一般会計歳出額は全部で6.3兆円しかないので、実際にできたとするとすごい権力者と言えます。
(*4)気に入らないとサーカスに売っちゃうし・・・
 間違いなく国家資産のはずですが。サーカス団が買えるぐらいだから相当お安かったはず。通常なら払い下げの稟議書が通るとは思えません。
(*5)カール・ルイスと大山倍達と大鵬を並べてみて
 カール・ルイス
  アメリカの元陸上競技選手。10ヶオリンピックメダル(うち9つが金)
  10の世界選手権メダル(うち8が金)を獲得した史上最高のアスリート。
 大山倍達(おおやまますたつ)
  ”神の手”と称される最強のカラテ家。ビール瓶の首から上の部分を手刀
  で切り落すとか、牛を素手で倒すとかその強さの伝説に事欠かない人。
  極真会館の創設者でもあります。
 大鵬(たいほう)
  優勝32回、45連勝などを記録した昭和の大横綱。
  当時の子供の好きなもので「巨人・大鵬・卵焼き」といわれるほど大人気を
  人気を博しました。
(*6)キューティーハニー
 永井豪原作のロボットマンガ。美少女タイプにして変身能力のあるという設定なので、着せ替えゴッコをして遊ぶマニアは多そうです。ちょっとエロエロだけど!?
(*7)anume on bossa
 岩男潤子のアルバム。”キューティーハニー”も収録。往年のアニメ主題歌がボサノバ風にアレンジされていて、イージーリスニングとして聴くにはいいアルバム。


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実践!無農薬家庭菜園入門(実践!行動ファイナンス入門/虫食い)

 ども、い~かげんに家庭菜園をやってるたいちろ~です。
 仕事柄、経済書も読むんですが、最近はまっているのが”行動ファイナンス”という学問です。一言で言うと”人間は時として非合理的な行動をとる”ことを前提とした経済理論ですが、けっこう面白いんですよ、人間がいかにこりない生き物かということがわかって。
 ということで、今回の本のご紹介はバブルの高い授業料の果てに生まれた入門書”実践!行動ファイナンス入門”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影。
庭のバジルとバッタ(真ん中やや右)。
いっぱい虫に喰われてしまいました。





【本】実践!行動ファイナンス入門(真壁 昭夫 アスキー新書)
 著者は信州大学経済学部ですが、元々は第一勧業銀行、メリルリンチに勤めていた人(*1)。そのせいか、行動ファイアンスの本としては、初心者向けにかなりわかり易い内容になっています。
【家庭菜園】虫食い(虫喰い)
 文字通り虫に食われるものから、病気などまで原因はさまざま。見た目は悪いし、収穫量も減るなどガーデナーを悩ませる虫食いですが、無農薬の証でもあります。最近は野菜も高いので贅沢も言ってられません。

 いちおうこれでも経済学部の出身なんですが、経済学の前提条件は”人は、あらゆる情報を知っていて、合理的な行動をとる”というものです。非合理の極みであるバブルを経験した今なら”嘘やろ~”と思われるでしょうが、当時としてはこれが当たり前だったんですね。そうしないと分析できないから。
 その当時からひねくれいていた私は、”ゲームの理論の金融への応用”(*2)なんてどっちかというと異端の卒論を書いていましたが。

 ”合理的な行動をとる”というのはコンピュータとなじむのか、その後の金融工学に発展するわけですが、その結果が望ましいかどうかは別問題。行き過ぎちゃったのがLTCM(*3)です。でも、ブラックマンデー(*4)で同じような失敗をしているのに、けっこう懲りていないんですよね、これが。

 従来の経済学に対して”人間は非合理的な行動をとる”という、どちらかというと心理学的なアプローチが”行動ファイアンス”になります。

 うちの庭にあるバジルの例をとると、こんな感じです。
①バジルの葉っぱが2枚増える嬉しさより、2枚虫に喰われるほうが悲しみが大きい。
②バジルの葉っぱが20枚の時と40枚の時では、同じ2枚でも虫に喰われた悲しみが異なる。
③家族ありと独り者ではバジルの葉っぱ1枚ごとの満足度が異なる

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 ①というのは価値関数といって、図を見ていただければわかる様に、マイナスとプラスでは満足度の増減が非対称になるという考え方です。株式なんかで”損切りして早くしたほうがいいのになかなかできない”というのがこれで、悲しみが大きいので損切りして手仕舞えないとか。時間がたてば元に戻るとか(マイナスした点からの上昇は喜びが大きい)思って問題を先送りにしちゃったりします。
 ②はリファレンスポイント(参照点)といって、考えの基準になる点のこと。バジルだと大きく育ったあとだと2~3枚ぐらい虫に喰われても鷹揚に構えていられますが、買ってきたすぐの5~6枚しか葉っぱがないときには慌てて虫とりするようなもの。

③はフェア・バリュー(公正価格)といって、”これぐらいの価値があるはず”ぐらいの意味。金融工学なんか、これを算出するための学問のようなものです。
 ただ、これも前提条件によっていろいろで、バジルの例だと、”この日当たりだとこの程度の大きさ”という外的要因もあれば、”家族4人だから20枚程度欲しい”、”独りモンだから10枚もあれば充分”とか、立場での違いもでてきます。

 学問ですので、ちゃんと理論的、統計的な説明はされますが、根本は人の感じ方がどうかといったもの。数理統計学というより、心理歴史学(*5)に近いでしょうかね。

 ”ごちゃごちゃ言ってる前に農薬をまかんかい!”と言われそうですが、これはこれで体に対するリスクがあるので、どっちを選択するかでまた考えどころとなるわけです。
 私の場合は、単身赴任でかつ週に1回もバジルを使う料理をするればいいほうなので、(つまりフェア・バリューが低い)ので、虫に喰われるままにしています。単にめんどくさがりという意見もありますが・・・

 ほとんど理系化していた経済学ですが、文系に揺り戻しがあったようなものです。行動ファイアンスの本が増えてきていますので、ビジネスマンとか株とかを買おうかと思っている人は読んでおいたほうが良いかと思います。

 

《脚注》
(*1)第一勧業銀行、メリルリンチに勤めていた人
 第一勧業銀行はみずほフィナンシャルグループに統合、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに吸収されました。昔の銀行員は”安定した職業”の代表だったんですけどね・・・
(*2)ゲームの理論の金融への応用
 ゲームの理論とは”制約された条件の下で、複数の人々が目的を達成するためにどのように行動するか”を研究する学問です。当時の経済学部ではあんまり話題になりませんでした。元祖はコンピュータの基礎理論を確立したフォン・ノイマン。
 私の卒論のテーマはかっこよく言うと”非規制状態における金利決定メカニズムの分析”ですが、内容はチープ。よくこれで卒業させてくれたものです。
(*3)LTCM
 LTCMはノーベル経済学賞のマイロン・ショールズとロバート・マートンが加わった金融工学のスペシャリスト集団によるヘッジファンド。1998年に破綻。
(*4)ブラックマンデー
 1987年に発生した世界的な株安現象。コンピュータのプログラム売買による連鎖的な売り注文が株価暴落を加速させた理由の1つと言われています。
(*5)心理歴史学
 SF作家アイザック・アシモフの”ファウンデーションシリーズ”に登場する架空の学問。
  ランダムに行動する人間が、社会的、経済的な刺激に対する感情や反応に規則性を見出し、人類全体の行動を予測するというもの。アシモフは気体の分子運動論をヒントに考えたものだそうです。


 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

己(おの)が信用を失いし時に死したり(銀行の墓碑銘/徒花)

 ども、銀行向け営業担当のたいちろ~です。
 ここのところ、経済関連の本がないので(*1)久々にこの分野から”銀行の墓碑銘”のご紹介であります。文字どおり、バブル崩壊後に消滅した銀行の経緯を集めた本ですが、まさか銀行が潰れるなんて思っても見ませんでした、バブルが弾けるまでは

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写真はたいちろ~さんの撮影
徒花のひとつ、みょうがの花です





【本】銀行の墓碑銘(有森 隆 講談社)
 三和銀行、大和銀行といった現在メガバンクに集約された都銀から、解体された北海道拓殖銀行、清算された第二地銀まで、死屍累々の銀行のノンフィクション。
 各章のタイトルが”見せしめ”、”実験”、”言いなり”、”同族”、衰弱”、放縦”。言いえて妙ながら、なさけなくなります。
【家庭菜園】徒花(あだばな)
 咲いても実を結ばずに散る花。転じて、実(じつ)を伴わない物事のこと。
 ニンニク、ヒガンバナ、ミョウガ、ナガイモ、キンモクセイなど。


  銀行は眠る。数奇なる運命にも生きし銀行、
  己(おの)が信用を失いし時に死したり。
  さあそれもみな自然の数ぞ、
  昼去りて夜の来るがごとくに。


 ヴィクトル・ユーゴー風に書いてみましたが(*2)、これだけやってりゃ信用をなくして潰れるのもあたりまえやな~というのが正直な感想。

 かれこれ四半世紀ほど銀行相手の商売をやっておりまして、実はこの本に登場する銀行を担当したこともありました。何名か直接お会いしたこともありますし、別の銀行ですが個人的なつながりのある銀行もあります。
 銀行の方の名誉のために申し上げますが、私の知る限り銀行の大半はまじめに仕事をされております。まあ、商売上ではかなりきつい要求をされるケースもありますが・・・  でも私的な利益のために何かをされるような方は一人もいらっしゃいませんでした。

 それでも銀行という組織で見た時には行くとこまで行っちゃったんでしょうね、あのバブルの時代ていうのは。
 銀行というところは典型的な規制業種(*3)で、非常に”他の銀行は何をしているのか?”を気にされます。商売の上でも、他の銀行の事例とか実績が非常に重要になります。逆に言うと突出したことをやるのを非常にいやがります(*4)。でも、他の銀行がやっていることを”自分のところだけはやらない”という決断もしにくい体質ですね。

 まあ、そういう業種ですので、あの時代はみんな似たり寄ったりだったのかもしれません。潰れたかどうかは言ってみれば程度問題だったのかも。そういった意味では同情の余地がないわけではないですし、行政側の対応も決して完璧であったとは言いがたい(*5)ですが、それでもひどすぎるぞ、この本での事例は!
 むやみに不動産融資につっこんだり、査定をごまかすために先のない追加融資をしたり、ノンバンク経由で総量規制をすり抜けたり、ヤ○ザ屋さんにいいように利用されたり。
 リゾート開発につっこんだ北海道拓殖銀行、機関銀行化した国民銀行、一族内紛の末もはや犯罪ともいえる平和相互銀行などなど、よくもまあ、こんな無茶苦茶ができたものだと思います。

 徒花(あだばな)という言葉があります。これは咲いても実がならない花のこと。私が植えている中ではみょうががこれにあたります。写真を見ていただければわかりますがみょうがの花は地面から直接咲きます。この下のつぼみたいなのが普段そうめん等の薬味になる部分なんですが、花が咲くとこの部分がすかすかになってしまいます。

 バブルという徒花に翻弄された銀行もこれによく似ています。悪の花が咲いたことで、本来国民経済に利用されるべき部分がすかすかになって、実もならずに終わってしまう・・・ 先人達が戦後復興をへて育ててきた銀行をこんな形で潰してしまうのは忸怩たるものがあります。
 私自身は銀行救済に公的資金を導入することに必ずしも反対する立場ではありませんが、せっかくお金を使うのだから今度はちゃんと育って欲しいものだと願います。


 会社員として、かれこれ25年以上銀行と付き合ってきました。ちょうど金融の自由化からバブルの萌芽、成長、崩壊を経て失われた10年、そして再度の”100年に一度の金融危機”まで。
 最近は景気が上向いてきたとの報道もありますが、バブルのころも同じ様なことを言っていました。決して楽観できるような状況ではないと思っています。
 あれだけ高い授業料を払ったんですから、少しは学習効果を発揮しましょう。そういった意味では過去の失敗を冷静に考えるには良い本です。

 でも、あと10年先にこれと同じ本を読みたくはないものです


《脚注》
(*1)経済関連の本がないので
 別に読んでいないわけではないんですが、ネタになりにくいのでパスしてただけです。
(*2)ヴィクトル・ユーゴー風に書いてみましたが
 この詩はユーゴー作”レ・ミゼラブル”の最後に出てくるジャン・バルジャンの墓碑銘の引用です。(豊島 与志雄訳 岩波文庫)
 原文は
  彼は眠る。数奇なる運命にも生きし彼、
  己が天使を失いし時に死したり。
  さあそれもみな自然の数ぞ、
  昼去りて夜の来るがごとくに。
(*3)規制業種
 許認可権を握る大蔵省(当時)が金利から店舗の出店までを徹底して管理をしていた時代です。その見返りとして護送船団方式という”銀行は潰さない”政策がとられていました。
 今は昔の話です。
(*4)突出したことをやるのを非常にいやがります
 かつて、城南信金が日本で初めて”懸賞金付き定期預金”を発売した時、よってたかってバッシングしましたが、ヒット商品になるとあっというまにみんな類似商品を発売しました。1994年のことです。
(*5) 行政側の対応も決して完璧であったとは言いがたい
 人には平時をうまくこなすタイプと乱世に強いタイプがありますが、国家公務員の大半は典型的に前者のタイプ。そうでなければ公務員なんかになりゃしません。
 すいません、偏見です。

人は脳によってのみ生くるにあらず(ポポイ/挿し木)

 ども、不況のおり最近首が危ないたいちろ~です。
 さて、以前に書きましたが私の本の選び方は”本に載っている本を数珠繋ぎに読む”というのをよくやります。で、今回ご紹介するのは桜庭一樹の”書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記”から倉橋由美子の”ポポイ”であります。

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写真はたいちろ~さんの撮影
近所の園芸店にあったパインアップルです
植木鉢に植えられている人の首に見えないこともありません。




【本】ポポイ(倉橋由美子 新潮文庫他)
 元首相の邸宅に押し入った美少年は仲間により首を切り落とされて果てる。その首は科学の力で生かされて元首相の孫娘・舞が面倒を見ることになるのだか・・・
 現代版”ドウエル教授の首(*1)”といったところでしょうか。
【家庭菜園】挿し木
 茎・葉・根などの一部を切り取って、挿し床に挿すことで増やしていく園芸の手法の一つ。樹木ではサツキ、ハーブだとローズマリー、果実だとパインアップルなどが代表。Wikipediaの解説によると”クローン技術の元祖”。


 ジャンル的にはSFなんでしょうが、倉橋由美子って歴史的仮名遣い(*2)で物語を書く人なので、どの時代の話なのかわからないような不思議な酩酊感に襲われます。文体だけだと最初は明治の話かと思って読み始めましたが、三島由紀夫(*3)が出てきて昭和40年代後半の話のようであり、ワープロやポジトロンCT(*4)とか出てくるので昭和後期の話のようでもあり。

 登場人物も二面性というより混沌といった感じ。主人公の舞は、婚約者がいる貞淑なお嬢さんのように見えて複数の男に抱かれているし、この婚約者も冷徹なマッド・サイエンティストっぽいし。”ポポイ”こと美少年テロリストの首も哲学的なのかそうでないのか? 一番常識人らしいのが全身マヒに近い元首相のおじいさんだし。

 首だけになっても科学の力で生かされているというのは、球根の水耕栽培というよりも、挿し木といった感じでしょうか。遺伝子的には挿し木は元の株と同じものだそうですが、首だけになった人間の挿し木は元の人間とは異なる意識を持つ新しい生命のようです。

 首だけになった元テロリストの言葉

  ボクノ頭脳ニハ宇宙ノアラユルトコロカラ絶エズ光ヤ宇宙線ト一緒ニ
  宇宙情報ガ降リカカッテクル。
   (中略)
  要スルニ、今ノボクハ宇宙カラ聞コエテクル音楽ノヤウナモノニ
  ボク自身ヲ開放シテヰル

 これに対する元首相のコメント

  例ヘバ、神、私、宇宙、意識、存在、生命、真実、自由、永遠、救ヒ、平和、
  超越、死、再生、メッセージ、人間、世界、善悪、正邪、美醜・・・
  ソレニ比喩的表現ノタメノイクツカ具体的ナモノヲ指ス言葉・・・
  ソレダケアレバドンナ神秘的思想デモ語レル。


                         (本書より引用)

 夢見がちなテロリストとリアリスムのかたまりのような政治家の対比が興味深いです。
 SFとは”サイエンス・フィクション”のほかに”スペキュレイティブ・フィクション(*5)”の略だとする意見もありますが、まあ、好き嫌いは分かれるでしょうね。私はけっこう好きです。
 映像化するなら、押井守(*6)あたりに監督をさせれば面白いかも


 最後に同じく元首相の言葉から

  自我ヲササエテヰルノハ記憶、ツマリ過去ノ貯蔵庫ダ。
  人間ハ現在ヲ生キルノデハナクテ、
  コノ過去ノ貯蔵庫カラ引キ出シタモノヲ消費シテ生キテヰル。

 私のような知識集約型のブログでは、過去の作品の知識をいろいろ引っ張り出して書いています。でも、どんどん新しいものを読んでいかないとストックが尽きてしまうしな~
 なんだか、因果なこと始めちゃいました


《脚注》
(*1)ドウエル教授の首
 ”ソ連のヴェルヌ”ことアレクサンドル・ベリャーエフのSF小説。
 首だけになって生きているドウエル教授の物語。子供のころに読みましたが当時はSFではなく”少年空想科学小説”と呼ばれてましたね、確か。
 読もうかと思ったんですが、子供向け以外はほとんど絶版状態です。
(*2)歴史的仮名遣い
 ”美少年でせう?”とか、”それはさうでせう。首は生きてゐるんですから”とか。
(*3)三島由紀夫
 1970年11月25日、陸上自衛隊東部方面総監部(市ヶ谷駐屯地)のバルコニーで自衛隊決起(=反乱)を促す演説をしたあと割腹自殺。”ポポイ”の中でもこのエピソードが取り上げられています。
(*4)ポジトロンCT
 コンピュータ断層撮影のこと。”CTスキャン”といたほうがとおりが良いかも。画像処理はコンピュータの性能に依存するそうです。1971年に作成された原型の画像作成は大型計算機で2.5時間かかったそうですが、現在ではほぼリアルタイムに画像を確認できるんだそうです。
 なんで、こんな説明をしてるかというと、コンピュータ屋にとってコンピュータの性能というのは時代のイメージとけっこう結びついてるんですね。
(*5)スペキュレイティブ・フィクション(Speculative fiction)
 サイエンスフィクション(空想科学小説)に哲学的な要素を取り込んだもの。思弁小説(しべんしょうせつ)。思弁とは”経験に頼らず、純粋な論理的思考だけで、物事を認識しようとすること(大辞泉)”。
(*6)押井守
 ”攻殻機動隊”、”スカイ・クロラ”などを手がけた映画監督。小難しい理屈をこねまわすアニメを作らせたらこの人の右に出るものはいません。宮崎駿と並び、名前だけでお客を呼べるカリスマ監督であります。

貧困のない生活”家庭菜園がある”(グラミン銀行を知っていますか/家庭菜園)

貧困のない生活”家庭菜園がある”

20081124saien  私の菜園(単身赴任寮のですけど)

 今は冬なので、あまり植物はありません。左はピーマン、右のでかいのはアスパラガスです。




【本】グラミン銀行を知っていますか(坪井ひろみ 東洋経済新報社)
 ムハマド・ユヌス氏の始めた貧困者向け銀行のルポタージュ。貧困女性の立場からの報告は、とても勇気づけられます。
【植物】家庭菜園
 家庭で野菜などを植えること。四季の移ろいを感じるには良い趣味と思います。

 仕事がら、金融関係の本をよく読みます。が、グラミン銀行の名前を知ったのはつい最近のことです。メガバンクでも、10年前は”どこだったっけ?”な世の中ではありますが、グラミン銀行は日本の銀行ではありません。また、サブプタイムで話題のアメリカや、ヨーロッパの銀行でもありません。グラミン銀行はバングラディシュ(*1)にある、マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした無担保融資を行う銀行です。

 バングラディシュといっても知らない人も多いでしょうし、知っていても”貧しい国”(*2)ぐらいしかイメージがないかも知れません。で、なんでこのような話をしているかというと、グラミン銀行の決めている貧困の定義(*3)に、”家庭菜園がある”という項目があったからです。
 人口の60%以上が農業の国なので、生活の為に野菜を育てているんでしょうが、この定義でいくと、日本人はほとんど貧困なのでしょうね。ほとんどの人がマンションのベランダでプランターの野菜ぐらいしか植えられない日本は、いかに”地に足がついていない”生活をしてるのかと思ってしまいます。気持ちがあっても趣味として家庭菜園すらできないのは、思っているほど豊かな生活なんだろうかね?

 ”金融支援でXX兆円”のニュースに”なんだかな~”と思っている人にはお勧めです。お金のありがたみを再認識できます。

《脚注》
(*1)バングラディシュ
   旧東パキスタン。首都はダッカ。
(*2)貧しい国
   一人当たりのGDPは1,900ドル(2003年)。
   ちなみに日本は34,023ドル(2007年)で、日本の約5.6%。
(*3)貧困の定義
 1.トタン屋根のある家をもつ
 2.家族全員にベットがある
 3.安全な飲み水が手に入る
 4.衛生的なトイレをもつ
 5.就学年齢に達した子供が全員学校に通える
 6.冬用の暖かい衣料が十分にある
 7.蚊帳がある
 8.家庭菜園がある
 9.生活がどんなに苦しいときでも食料不足にならない
10.家族の大人の働き手全員が十分に収入を得られる機会をもつ

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