映画・テレビ

ビジネスシーンでも使えそうな”ジャック・リーチャー”の名言 かな?(警鐘/UH-1 ヘリコプター)

 ども、学校で真面目に訓練(勉強)しなかったのであまり出世しなかったおぢさん、たいちろ~です。
 さて、最近”ジャク・リーチャーシリーズ”にはまっています。この小説は元軍の憲兵隊少佐で今は放浪者の”ジャック・リーチャー”がいろんな事件に巻き込まれてそれを解決するハードボイルドな話ですが、軍のメソッドを使って行動するせいかビジネスでも通じそうな名言がけっこう出てきます。”ビジネスも一種の戦争だ”なんて青いことは言いませんが、読んでるとけっこう役に立つというか一度は使ってみたい名言ってのがちらほら。
 ということで、今回ご紹介するのはジャク・リーチャーシリーズの原作第三作”警鐘”から拾った名言集であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。アメリカ軍横田基地のUH-1ヘリコプターです

Uh18180622


【本】警鐘(リー・チャイルド、講談社文庫)
 ”ジャック・リーチャー”を探しに来た私立探偵が殺された。彼の捜索を依頼したのは元上司で恩人でもある”リオン・ガーバー中将”の娘で、かつて恋心をいだいていた”ミセス・ジェイコブ”こと”ジョディ・ガーバー”であった。二人がヴェトナム戦争中にヘリコプターの墜落で行方不明になった”ヴィクター・ホビー”の生死を調べることになるが、その影に会社の乗っ取りを企む陰謀と国家機密に関わる黒い闇が広がっていた・・・
【乗り物】UH-1 ヘリコプター
 アメリカのベル・エアクラフト社が開発した汎用ヘリコプター。愛称”ヒューイ”。本書は現代(原書は1999年発刊)とヴェトナム戦争(~1975年)の間をいったりきたりするんですが、UH-1は物語のきっかけとなったヴェトナム戦争中の撃墜シーンで登場。この機体は1959年にアメリカ陸軍で採用され、ベトナム戦争でも活用され、モデルチェンジを重ねつつ現在でも自衛隊を始め現役で活躍中という超ロングセラー機。ほんとに軍って物持ちいいですな~~


 さて、ビジネスでも使えそうな名言を

〔当面の仕事に集中しろ〕
 悪漢に待ち伏せされている中、ジョディをオフィスに送り届けるリーチャー。相手があまりに隙だらけなので反撃できそうなんですが・・・ というシーンでの言葉。
 当たり前のようですが、色々仕事をしているとこっちのほうもうまくいきそうだとか目移りしることもままあります。状況しだいなんで絶対ではないんですが”二兎を追うもの一兎も得ず”とも言いますし。

なにごともなめてかかるな、って
 上記の悪漢が思いもよらぬ攻撃を仕掛けてきた時のリーチャーの言葉。優秀な刺客を送り込んでくる可能性を失念したことに対しての反省の弁。”リオンにこのヘマを見られていたら私に失望しただろう”とのこと。”油断大敵”とも言いますし

〔われわれの見るところ、SASですね〕
 捜査のためにかつてヴィクターの同僚だったデヴィット将軍を訪れたリーチャー。そこの基地で門番をしていた軍曹に”将軍はどんな感じの人だ”と質問。で、軍曹の答えがこれ。SASは”Stupid Asshole Sometimes(*1)”の略で日本語だと”ときどき愚かなことをするアホなやつ”。あまりお上品な言葉じゃなさそうですが、リーチャーは”好意的”との評価

  自分をみくださずにきちんと接してくれれば、
  こちらも協力的になれる上官、ということだった

上官たるもの、部下には多少の隙を作っとかないといけないのかも。”優れたリーダーは部下に弱みを見せる”とも言いますし。まぁ、逆も言うんですけンド・・

〔勇気のあるやつは、恐怖心を克服できる男だ。ヴイックは、何も感じない男だった〕
 同じくデヴィット将軍がヴィクター(ヴイック)を評しての言葉。勇気があることと、なにも感じないことば別で、ヴィクターは後者だと。それでも(それゆえ)、ヴィクターって人はヘリのパイロットとしては優秀だったようです。”恐怖は心を殺すもの(*2)”とも言いますし。

〔狭いグラウンドで、これが野球というものだと教わって、
  つぎにはメジャー・リーグでプレーさせられるようなものだ〕

 同じくデヴィット将軍の言葉。訓練所でトップの成績で卒業した若き日の将軍ですが、実戦ではヴィクターのほうが優秀だったと。ヴィクターは”UH-1 ヒューイ”のパイロットとしてヴェトナム戦争に赴き、実戦に即したやり方を開発してそれが標準操作手順に採用されるほど優れていたとのこと。ヴィクターの優秀さを表すのに使ったのがこの言葉。

  私たちは訓練ですべてを学んだ。言わば極めた。
  だが、じつはあんな訓練はなんの役にも立たなかった
  狭いグラウンドで、これが野球というものだと教わって、
  つぎにはメジャー・リーグでプレーさせられるようなものだ

で、自分達がそうだったようになんの準備もなく若者たちを戦場に送りたくないと将軍はヘリの養成所の運営やってます。まあ”実戦証明済み(*3)”が重要とも言いますし

〔なぜまちがったなどと考えるな。ただまちがいを正せばよい〕

 拉致されたジョディを助けるために閉じ込められている部屋の前で悩むリーチャーが思い出したリオンの言葉。前作の”キリング・フロアー(*4)”でも、犯人探しや原因分析ななど”そんなことはあとでやればいい”という言葉が出てきますが、どうも陸軍のメソッドは行動第一主義のようです。”First things first(最初にやるべき大切なことは最初に)”とも言いますし

〔一度だけ訊け、どうしても必要なら二度訊け。だがぜったいに三度訊いてはならない〕
 上から続いて部屋に突入したリーチャーが悪漢の部下を捕まえて、”協力するか、死ぬか”を選択させる質問をしたシーン。この言葉はリオンの教えから。二度訊いても抵抗するようなら何度訊いても無駄だから時間を浪費するなということでしょうか? これが敵ならまあ許されるかもしれませんが、部下との間でここまで厳しくやったら、けっこう軋轢ありそうだな~~ ”仏の顔も三度まで”とも言いますし。(仏様は優しいので一回分増量のようです)

〔放浪の最大のよさは、選択肢などいっさいないことを
  幸せな気分で受動的に受け入れることなのだ〕

 リオンに遺産として家を譲られ、ジョディと良い雰囲気になっているリーチャーのモノローグ。このまま、ジョディーと一緒に暮らすか放浪の旅に戻るか逡巡するシーンから。 結局、リーチャーが怪我で入院したこともあって、ラストシーンはジョディーと一つ所に落ち着くような雰囲気ですが、次回作があるってことはやっぱり放浪生活にもどんだろうなぁ

 ということで、次回作は映画の原作にもなった”アウトロー(*5)”に続きます

《脚注》
(*1)Stupid Asshole Sometimes
 ”Stupid”は愚かな、ばかな、”Asshole”は直訳すると”尻の穴”でスラングとしては”嫌な奴”
(*2)恐怖は心を殺すもの
 ”デューン 砂の惑星”(フランク・ハーバート、早川文庫)より
(*3)実戦証明済み
 ”コンバットプルーフ(Combat Proof)”、”バトルプルーフ(Battle Proof)”とも。武器などが実戦で使用され、その性能や信頼性などがカタログスペックどおり(またはそれ以上)であることが証明されること。ビジネス現場で学校の成績が良いからといって、実績が上がるかというとそうとは限んないんでしょう。それ以前に”学校の成績が良かったかどうか”なんて話題がそもそも出てきませんし。
(*4)キリング・フロアー(リー・チャイルド、講談社文庫)
 ジョージアの田舎町で元軍人、今は放浪者の”ジャック・リーチャー”は身に覚えのない殺人容疑で逮捕される。釈放された彼だったが、殺された男が兄であり、財務省で通貨偽造を捜査していたことを知る。彼は刑事部長の”フィンレイ”と女性巡査の”ロスコー”とともに見えない敵に迫っていく・・・ 詳しくはこちらをどうぞ
(*5)アウトロー(監督 クリストファー・マッカリー、主演 トム・クルーズ、パラマウント)
 ピッツバーグ近郊で起きた銃乱射事件で、元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕される。証拠はすべて揃い、事件は解決へ向かうかに見えた。しかしバーは黙秘を続け、「ジャック・リーチャーを呼べ」と紙に書いて要求する・・・
 2012年にトム・クルーズ主演で公開された映画。原作では9作目。

ジャック・リーチャー=ハードボイルド+ウェスタン?(キリング・フロアー/偽札)

 ども、ハードボイルドものけっこう好きなあるおぢさん、たいちろ~です。
 夏休みのヒマつぶしということで、DVD大処分。溜まってるのを何本か見まして、その中にトム・クルーズ主演の”アウトロー(*1)”と”ジャク・リーチャー(*2)”の二本立て入ってました。こういうドンパチやってるアクション物ってのもけっこうお気になんですが、wikipedia読んでるとどうも原作と映画ではキャラが違っていると。原作だと巨漢でダークなキャラを小柄で明るいトム・クルーズが演じているということで(*3)、こりゃ原作も読んでみんことには!
 ということで、今回ご紹介するのはジャク・リーチャーシリーズの原作第一作”キリング・フロアー”であります。
 しかし、映画版の原作は9作目だというに律儀に1作目から読みだすって、ビブリオマニアの因果なとこなんでしょうかねぇ


写真はたいちろ~さんの撮影。横須賀海軍基地にあるATMです
偽札の写真を載っけたかったンですが、そんなの持っていると警察きそうなんで・・

P8050463


【本】キリング・フロアー(リー・チャイルド、講談社文庫)
 ジョージアの田舎町で元軍人、今は放浪者の”ジャック・リーチャー”は身に覚えのない殺人容疑で逮捕される。釈放された彼だったが、殺された男が兄であり、財務省で通貨偽造を捜査していたことを知る。彼は刑事部長の”フィンレイ”女性巡査の”ロスコー”とともに見えない敵に迫っていく・・・
【道具】偽札(ニセ札)
 偽造貨幣。細かく言うと偽造された貨幣が”偽金(贋金)”でそのうち紙幣の偽造が”偽札”。当然ながら偽造又は変造のみならず使っても(まあ、使うために作るんですが)犯罪行為です。対象には自動販売機などの機械も含まれます。
 本書の中で偽札を作成する4つの問題として”印刷機、金属板(原版)、インク、紙”とありますが、実際に偽造防止のため、紙、インク、透かし、ホログラムなどかなり高度な技術が使われています。これに対応するATM等なども高度な技術が採用されているのでほとんど偽造紙幣が使えない仕様になっています。”ほとんど”というのは鑑別技術自身がトップシークレットのため、一般市民どころか機械を作っている社内でも一部の関係者以外どうやってるのか知らないからです。


 さて、原作読んでみた感想なんですが、ジャック・リーチャーって”ダークなキャラ”というより”ハードボイルド”と”ウェスタン(西部劇)”の今風なハイブリッドって感じでしょうか。

〔減らず口はハードボイルドな男の特権!〕
 ”ハードボイルド”てのはタフガイな探偵が犯人とガチでやり合うってものありますが、その魅力の一番ってのは”名文句”言い換えると”減らず口”にあるんじゃないかと。読んだ中だと海外では”フィリップ・マーロウ”、日本だと”沢崎”あたりがいいですねぇ(*3)
 本書に出てくるジャック・リーチャーの減らず口から

  浮浪者じゃない。放浪者だ、フィンレイ。えらいちがいだ

   (尋問をする刑事部長のフィンレイに)

  働きたくないからさ。十三年働いたあげくが、このありさまだ
  軍の言いなりになっていた気がする
  だから、もうごめんだ。これからは自分のやりたいようにやる

   (”どうして働いていないんだ”というフィンレイの質問に対して)

  三人だけだ。四人目は生かしておいて、質問に答えさせる
   (留守中の家を4人の犯人に襲われたロスコーの”四人とも殺した?”という
   問いに対して)

  ゴキブリ退治の薬をまくとき、なにか感じるか?
   (犯人5人を返り討ちにしたことに対して問い詰めるフィンレイに対して)

 いや~、渋いですな。特に2番目なんかは定年退職後にさらに働けとか奥様に言われたら、言い返すのに使ってみたい名言です。

〔流れ者はウェスタンの基本フォーマット〕

 ある日、どこからか流れ者がやってくる。困っている町の人を助けるために町を支配する悪者をやっつけて、またいずれかへ去っていく・・・ ウェスタンの基本フォーマットです。子供の頃に見た”シェーン(*4)”なんかが代表作です。
 ジャック・リーチャーも同じく”放浪者”。どっかからやってきて悪の組織と対決するってのはウェスタンの基本フォーマットって感じですね。本書ではロスコーとけっこういい雰囲気でチョメチョメしてますが、最後どうすんだろ~な~って読みながらも気になってました。

〔一介の民間人のはずが、問答無用で犯人を射殺してますが・・・〕
 当たり前ですが、アメリカや日本の警察官というのは地方公務員です(警察庁は国家公務員)。ウェスタンに出てくる保安官というのもまあ郡とかの公務員。これに対しウェスタンに出てくる”賞金稼ぎ”というのは調べてみたら州法務省の許可を受けた民間業者(許可のいらない州もあるらしい)。
 で、我らがジャック・リーチャーと言えば、元軍人ではあるものの完全な民間人。事件に関係した発端は完全に巻き込れ型で、殺されたのが兄とかでなければたぶんそのまま町を出てった可能性のが高そう。にもかかかわす襲ってきた敵をあっさり射殺してんですな~~ いいんだっけ、これ?
 考えると、私立探偵の前職って警察官という設定はよくあるんですが、これだと職業倫理として”逮捕(生きて捉える)”が前面にでるのに前職が軍人のリーチャーだと”まず自分が生き残る(ためには相手を殺すのもやむねし)”っていう発想になっちゃうんでしょうかね。
 ジャック・リーチャーの行動原理をまとめたセリフがこれでしょうか

  状況判断。長い経験から、私は状況判断をする術をみにつけていた
  予期せぬことが降りかかったら、時間をむだにしてはならない
  どうしてそんなことになったのかなどと考えてもしかたがない
  だれかのせいにしてもしかたがない
  だれが悪いのか突きとめようとしてもしかたがない
  二度と同じまちがいをしないためにどうすればいいか考えてもしかたがない
  そんなことはあとでやればいい
  生き残りたかったら、まずは状況判断をすることだ
  事態を分析する。マイナス面を見定める。プラス面はなにかと考える。
  それをしたうえで、あとからほかのことをするチャンスを見つければいい

 引用が長くなってすいません。でもこのセリフ、すごくアバウトに聞こえるかもしれませんが、ビジネスでも犯人探しとか原因究明やってて判断が遅れるってのが、実はあったりなんかして・・・

 ”ジャック・リーチャーシリーズ”、けっこうはまりました。まだ、続編あるんで読んでこっと!

《脚注》
(*1)アウトロー(主演 トム・クルーズ、監督 エドワード・ズウィック、パラマウント)
 ピッツバーグでライフルによる無差別殺人事件が発生した。元アメリカ陸軍のスナイパー、ジェームズ・バーが容疑者として逮捕されるが、彼は弁護のために元米軍憲兵隊捜査官で、現在は流れ者のジャック・リーチャーを呼ぶことを要求する。
 ジャック・リーチャーシリーズの第9作を原作とする映画第1作
(*2)ジャク・リーチャー(主演 トム・クルーズ、監督 エドワード・ズウィック、パラマウント)
 ジャック・リーチャーの後任、スーザン少佐が国家反逆罪で逮捕される。リーチャーは彼女の無実を証明し、元部下を殺害した真犯人を追い詰めるべく捜査を開始する。そこには政府の陰謀が隠されていた・・・
 ジャック・リーチャーシリーズの第18作を原作とする映画第2作
(*3)海外では”フィリップ・マーロウ”、日本だと”沢崎”~
 ”フィリップ・マーロウ”は、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に登場する探偵。ハンフリー・ボガート主演の映画なんか渋いですな~~
 ”沢崎”は原りょうの”沢崎シリーズ”に登場する探偵。極端に寡作な作者なので作品数は少ないですが、ハードボイルド小説としてはイチ押しです
(*4)シェーン(主演 アラン・ラッド、監督 ジョージ・スティーヴンス、パラマウント)
 流れ者のシェーンは悪徳牧畜業者のライカーに苦しめられるジョー一家の息子”ジョーイ”の為ライカー立ち向かい、彼を倒した後にワイオミングの山へと去っていく・・・
 去っていくシェーンに必死に呼びかけるジョーイのシェーン! カムバック!”は映画史に残る名シーン

なんとなく”さよならジュピター”みたいな科学の大風呂敷を広げたような話が減っているんじゃないかな~~って気がします(さよならジュピター/国際宇宙ステーション)

 ども、機会があったら宇宙に移住するのも悪くはないかな~と考えてるおぢさん、たいちろ~です。
 一般の人がリアルな”生活圏”として認識できる空間ってどんなもんでしょうか? たかだか150年前の江戸時代だと”藩”とか”村”、明治時代で”アジア大陸”、大正、昭和の世界大戦をへて”世界”、”宇宙船地球号(*1)”という概念は20世紀後半になってからじゃないかと思います。”スペースコロニー(*2)”ってのを日本で一般化したのが”機動戦士ガンダム”だとすると”居住空間としての宇宙”ってたかだか40年弱ぐらい。まだてきてませんけど。で、将来”5億人の人類が宇宙に住むようになったら”という世界が登場したらどうなるか?
 ということで、今回ご紹介するのはそんな世界を舞台にしたSF小説”さよならジュピター”であります。

写真はすべてたいちろ~さんの撮影。
余市の宇宙記念館”スペース童夢”にある国際宇宙ステーションの模型です

Photo


【本】さよならジュピター(小松左京、徳間文庫他)
 22世紀前半、地球人口は185億人を数え、太陽系空間には5億人近い人々が暮らし、イノベーションの70%、エネルギーの40%を宇宙に依存していた。太陽系開発機構は、外惑星地域のエネルギー問題を解決すべく木星を”第二の太陽”とする”JS計画”を推進していた。一方、彗星の減少を調査するため飛び立った宇宙船”スペース・アロー号”の事故から、太陽へのピンポイント・クラッシュする”ブラック・ホール”が発見される・・・
【旅行】国際宇宙ステーション
 (ISS International Space Station)
 アメリカ合衆国、ロシア、日本、カナダ、欧州宇宙機関が協力して運用している宇宙ステーション。地上約400km上空を秒速約7.7kmで飛行中。2011年7月に完成し、現在では6名体制で4~6ケ月交代で滞在しているとのこと(wikipediaより抜粋)
 カテゴリは”旅行”にしてますが、気軽に行けるとこではないです、はい。


 この前、映画版”さよならジュピター”(*3)の話を書きましたが、本書はそのノベライゼーション。ノベライゼーションと言っても小松左京御大が自ら書いたというもの。しかしまあ、映画とノベライズでここまで評価が分かれるってのも珍しいでしょうな。”黒歴史”だ”青春のトレラウマ”だの言われる映画版と、星雲賞の日本長編部門賞を受賞したノベライズと。まあ、映画が詰め込みすぎなのは確かですが、そこまでボロクソ言わんでもいい出来だと思うんですがねぇ・・・

 さて、この小説の面白さっていうのは、当時の科学力の延長にあるイマジネーションの壮大さでしょうか。ニュートリノを使った木星太陽化を中心に、宇宙空間を居住するスケースコロニーや月面や宇宙空間にある基地、ヘリウム3・重水素による核融合推進宇宙船、冷凍睡眠による長期間宇宙航行などなど。脱出船団(エクソダス・フリート)には乗員数130万~250万人、総数千隻の大船団が60組、行き先は5.9光年離れたバーナード星(*4)、到着は60年後! まだ、居住できるかどうかの調査すら終わっていない星への移住計画ですから、かなりハイリスクなプロジェクトですが・・・

 で、本書の最大の見せ場はもちろん”木星”を爆発させてブラックホールのコースを変更させるという”木星爆破計画(JN計画)”。将来、人類の科学でそんなことができるかどうかはわかりませんが、それを”できそう!”と思わせちゃうところが小松御大のすごさです。まあ、究極の自然破壊と言えなくもなく、積極的に推進する人(太陽系開発機構の本田英二たち、世界連邦大統領)、積極的に妨害する人(本田英二の恋人のマリアたちテロリスト、大統領の政敵の上院議員)、”なにもせんほうがええ(*5)”を決め込む人(ジュピター教団のピータ)。こういったポリティカルとか人間模様みたいなのがちゃんと背景としてあるからこそ小説版って評価されんですかね(逆に言うとこのへんが描き切れなかったのが映画版の低評価につながっているんでしょうか)

 ところで、この小説が書かれたのは1982年(映画公開が1984年)と34年前とそれなりに昔の作品なんですが、改めて読み返してみると、SFというかSFと科学の感じ方ってずいぶん変わったような感じがします。
 木星爆破50時間前に。世界連邦大統領(映画版では森繁久彌)と副大統領が交わす会話。”神に祈りますか?”という副大統領に対しての大統領の答え

  いや-- 不遜なようだが、今度ばかりはそんな気になれない・・
  むしろ・・・ 人類の叡知と技術にむかって祈りたい・・

   (中略)
  これまで何度か、一人で祈りたくなったり、神にすがりたくなった事はあった
  だが、今度の場合はなぜか・・・
  突然、この宇宙の中に、神というものはいないのではないか、と思うようになった
  人間は・・・ 所詮、
  この宇宙では、神なしでやって行かなければならないのではないか、と

 当時って、”たとえ空想科学であっても、その科学に信頼を寄せて未来を拓くという”時代だったんでしょうか。今ではその”空想”がとれて、あながち絵空事でなくなった反面、物語の世界において科学を超える”空想”がなんとなく希薄になってきているような気がするのは、私だけでしょうかね

 ・人工の大地となる”スペースコロニー”はできなかったけど、
  恒常的に人がすめる”国際宇宙ステーション”はできた
 ・七つの威力の”鉄腕アトム”はできなかったけど、
  等身大のヒト型ロボット”Pepper”が街に登場した
 ・人智を超える”人工知能”はまだできていないけど
  越えられそうなシンギュラリティ(技術的特異点)がもうすぐ来そうな雰囲気
 ・万能薬や、不老長寿の秘薬ではないけど
  医療を飛躍的に発展させる”iPS細胞”や遺伝子操作がもうすぐ実用化しそう

 確かに、科学が空想に追いつきつつある昨今、ぶっとんだ”空想”科学の物語を描きにくい時代なのかもしれませんが、なんとなく”さよならジュピター”みたいな科学の大風呂敷を広げたような話が減っているんじゃないかな~~、私が読んでないだけかもしれませんが・・・

 おぢさん世代のSFファンとして、ちょっと昔のSFを読んでそんなことを感じた次第です。面白い本ですので、若い人もぜひご一読のほどを

《脚注》
(*1)宇宙船地球号(Spaceship Earth)
 この言葉を有名にしたバックミンスター・フラーの著書”宇宙船地球号操縦マニュアル”が書かれたのが1963年。地球資源の有限性を研究したローマクラブの”成長の限界”が発表されたのは1972年のことです。
(*2)スペースコロニー(Space Colony)
 ジェラルド・オニールらによって”宇宙空間に作られた人工の居住地”というアイデアが誕生したのが1969年、一般に知られるようになったのは1974年にニューヨーク・タイムズ誌に掲載されてから(wikipedia)。島3号とよばれるシリンダー型のスケースコロニーを舞台にした”機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)”の放映が開始されたのは1979年のことです。
(*3)映画版”さよならジュピター”(総監督 小松左京、主演 三浦友和、東宝)
 ストーリーはほぼ本書にそっていますが、初稿で映画化すると3時間半を超えるため、大幅にカットされました。前後半で作ればもうちっと評判が良かったかもしれませんねぇ・・
 詳しくはこちらをどうぞ
(*4)バーナード星
 1916年にアメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナードにより発見された。へびつかい座にある2番目に太陽系に近い恒星系。実際に英国惑星間協会 (BIS) が1973年から行った”ダイダロス計画”という恒星間原子力推進宇宙船の想定目標だったとのこと。
(*5)なにもせんほうがええ
 同じく小松左京の”日本沈没”より。日本人の海外脱出に関するレポートを作成させた渡老人が、結論の一つとして山本総理に伝えた言葉。SFの中でも屈指の名セリフだと思います。

小松左京のような偉大な天才であっても、時には失敗する! でも、面白い映画とは思うんですけどねぇ(世界が終る前に BISビブリオバトル部 3/さよならジュピター/NC工作機械)

 ども、過去の消える消しゴムが欲しいおぢさん、たいちろ~です。
 人間、おぢさんになると一つや二つは人に言えない過去ってのがあるモンです。犯罪だとか誰かを罠にはめたとかって重い話じゃなくって、”黒歴史”のたぐいのこと。まあ、”若気のいたり”ってやつ。たわいのないコトではあるんですが、今考えると相当”痛い!”とか。
 最近はまっている”BISビブリオバトル部”って小説にでてくる朝日奈先生ってのがまさにこのパターン。堅物の世界史教師が表の顔なら、裏の顔はというとマニアックなクラブの生徒を上回る特撮オタクだったりとか。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな朝日奈先生大爆発の回”世界が終る前に BISビブリオバトル部 3”&往年の名(迷)SF映画”さよならジュピター”であります。


写真はすべてたいちろ~さんの撮影。
2015年国際ロボット展より。けん玉するロボットです

Photo


【本】世界が終る前に BISビブリオバトル部 3(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。<驚異の翼(ウィング・オブ・ワンダー)>伏木空、<愛の伝道師(ラブ・ミッショナリー)>小金井ミーナなど、本好きが集まるクラブ。
 空たちは小金井ミーナに頼まれてコミックマーケット(*1)のお手伝いをすることに。そこにクラブの顧問に就任予定の朝日奈先生が登場。なりゆきで先生の友達の特撮オタクの連中との宴会に参加することになるが・・・(空の夏休み)
【DVD】さよならジュピター(総監督 小松左京、主演 三浦友和、東宝)
 木星を第二の太陽にすることで、太陽系外延部のエネルギー問題を解決する”JS計画”。それは宇宙を破壊する行為だと一部の団体から非難をされていた。一方、彗星の数の減少を調査するために派遣された宇宙船”スペース・アロー”が謎の遭難をする。その原因は太陽系に近づきつつあるマイクロブラックホールだった。人類はこの危機を回避するため、JS計画を変更し木星をマイクロブラックホールにぶつけることでそのコースを変えるという”JN計画”を発動する・・
【道具】NC工作機械
 NC工作機械とは数値制御(NC numerical control)により可動部を制御する機械のこと。最大の特徴は人間がやるのと違ってコンピュータによりまったく同じ動作を繰り返すことができます。最近のだとけん玉までやっちゃいます。


 特撮オタクのオッサンたちの宴会にて。ネタのふったのは朝日奈先生。高遠るいの”ミカるんX”(すいません、観てないんでわかりません)から映画”さよなら ジュピター”の話題に。おおっ、懐かしいぞ! 公開は1984年3月なので私がちょうど会社に入社したころだぞ!
 時、あたかもSFブームの真っ最中。1978年の”スターウォーズ(エピソード4)”に”未知との遭遇”、1979年の”機動戦士ガンダム(ファースト・ガンダム)”、1981年には今や伝説となった”DAICON 3(*2)”の開催。この流れを受けて、”日本沈没”の小松左京原作・総監督が撮る映画だぞ! 面白くないはずがないゾ!
 でもね~、この映画の評判ってあんまし良くないんですよね~~

 宴会で”さよなら ジュピター”に関する空のなにげない質問

  伏木空:そんなに面白かったんですか?
  ミーナ :空・・・ それは地雷だよ
       うちのパパも、酔うと愚痴るんだよ。『ジュピター』のこと。
       ”あれは俺の中学時代の最大のトラウマだ”って
  朝日奈先生:伏木・・ お前にこの世の真理を教えておいてやる
      この世に完璧な人間なんかいない!
      小松左京のような偉大な天才であっても、時には失敗する!
      駄作も作る! 人間だからな

 そっから先は『ジュピター』の愚痴のオンパレード!!! いいとこもいっぱいあるんだけど、それ以上にツッコミどころ満載! ムダに長いシーンが多すぎだとか(*3)、ガジェットの使い方がダサいとか、ヒッピーっぽい教祖様が時代とずれてるだとか、とか、とか
 まあ、確かにストーリーにいろんなものを詰め込みすぎで謎ときまでいってないとか(クジラっぽい声を出しながらただよっているだけのジュピター・ゴーストって結局なんだったのかとか、ジュピータ教団に内通してたのは誰だったのかとか)、移動時間がめちゃくちゃ(視察団が75日かけて到着した木星まで、他のシーンではほとんどタイムラグを感じさせずにいっちゃってるとか)、妨害工作があるのがわかっているのにセキュリティ甘すぎだろうとかいろいろあるんですが、そんなに言うほど悪い映画とは思えんのだけどなぁ

 この映画なぜだかTSUTAYAのレンタルに入っていなくて、DVDも1万円近くしてたんでも一度観たいと思ってても観れなかったんですが、2016年7月に2,700円の廉価版の”名作セレクション”で販売開始。さっそく買って観ました(ひょっとして、DVDをまともに買うのは初めてかも?)

 改めて観たんですが、それなりに面白いし、当時の水準からすればけっこう画期的だったと思うんだけどな~~

〔モーション・コントロール・カメラぐらい使わせろ!〕
 映画のパンフだったか、ムック本だったかに載っていたのが上のセリフ。モーション・コントロール・カメラってのはコンピュータ制御とサーボモータを使ってカメラをコンロールして撮影をするシステム。アメリカでは”スターウォーズ”で開発されたばかりの最新技術です。当時の日本ではまだなくて、これを使って映画を撮らろってのが上記のセリフです。実際には”アマダ”の”ティーチングプレイバックロボット”、いわゆるNC工作機械が流用されたとのこと(wikipediaより)。どのような機械だったかはDVDのメイキング映像をどうぞ。

〔主役の天才少年のカルロス主任、ハリーポッターのそっくりさんです〕
 この映画、主役クラスを含め登場人物がやたら外国人が多いんですな。昔の日本に”無国籍映画(*4)”つーのがありましたが、まさに”多国籍映画”とでもいいましょうか。主人公の三浦友和はともかく、恋人のマリア、JS計画を推進する総裁、主任クラスなどがほとんど、外国の人(日系人含む)。まあ、ムハンマド・マンスール(*5)ってのもいましたけど・・ 素粒子工学の権威の天才少年のカルロス主任なんて、今観るとハリーポッター役のダニエル・ラドクリフのそっくりさん
 自動翻訳機が実用レベルに達しているとはいえ、英語でがんがん喋ってる(字幕付き)ってのは当時の日本映画じゃ珍しかったんじゃないかな。だいたい、ちょっと前ですが”宇宙戦艦ヤマト(1974年)”なんて、超国家的プロジェクトにもかかわらず日本人ばっか乗っけて戦うことにほとんど違和感なかったんですから。

〔コンピュータグラフィックがCray-1ではないか!〕
 いまでこそフルフルで映画がつくれちゃうコンピュータグラフィックスですが当時まだ黎明期。DVDに収録されているプレスブックによると当時日本に2台しかなかったスーパー・コンピュータ”Cray-1”を使ったとのこと。今の人にはピンとこないかもしれませんが、当時のCray-1と言えばスーパーコンピューターの代名詞といっても過言ではない存在。ビジュアルで超性能のコンピュータが円筒形の形をしていたら、それは間違いなくCray-1からのインスパイアです。

〔TOKYO-3なんて、今観てもいけてるデザインだと思います〕
 日本特撮映画のお家芸だったミニチュアワーク。この映画でも宇宙基地やら宇宙船やらいっぱいでてきます。木星軌道上にあるミネルヴァ基地、長距離高速宇宙船”スペース・アロー”、木星を爆破する核融合反応装置とか、とか、とか メカデザインの担当はこの分野の草分けにしてトップスター、スタジオぬえの”宮武一貴”モビルスーツの原型となった”宇宙の戦士(ロバート・A・ハインライン、ハヤカワ文庫)”の表紙のパワードスーツをデザインした人(といってもおぢさんしかわかんないか・・)
 出色なのは長距離貨客宇宙船”TOKYO-3”第三新東京市のモトネタになってるとの話もある名宇宙船。オープニングで上部からなめるように登場するシーン。メインデッキを配した本体軸に遠心力により重力を発生させる居住区(分離飛行可能)、巨大なタンクにメインエンジンと今観ても、まったく古さを感じませんな~~

 この映画を観たオタクたちの不幸は、観る前の期待値があまりにも高くてそのギャップが埋めきれなかったことでしょうかねぇ。なんたって、総監督・原作・脚本が小松左京、ブレストメンバーが豊田有恒、山田正紀、野田昌宏、 伊藤典夫、横田順彌、高千穂遥など、メカデザインが宮武一貴、音楽が羽田健太郎ですぜ! 期待するなと言う方がムリです。今だったら、原作に福井晴敏、総監督に庵野秀明と押井守、特撮に樋口 真嗣、メカデザイナーに出渕裕、ブレストに田中芳樹に冲方丁に谷川流にゆうきまさみを集めて映画作らせるようなモンです(このラインナップもそれはそれで物議をかもしそうですが・・・)
 黒歴史だトラウマだ言ってますけど、今の水準で観てもけっこう面白い映画だと思うんですけどねぇ・・・

 ”BISビブリオバトル部”では、全員でこの映画の主題歌”VOYAGER~日付のない墓標(*6)”の大合唱! 

  私があなたと知り合えたことを 私があなたを愛してたことを
  死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから・・

 なんだかんだ言っても、この愛すべき特撮オタクのオッサン達は、この映画を愛してたんだろうし、観た=知ったことを誇りにしてんだろうな~~ と思ったりします
 SFファンとそうでない人にはぜひ観て欲しい映画です。

《脚注》
(*1)コミックマーケット
 東京ビックサイトで夏冬に開催される同人誌即売会。コスプレとかもあるそうです。行ったことないけど(誘われたことはあんですけどね~~)
 ”オタクの祭典”みたいな扱いをされることの多いイベントですが、3日間で参加者55万人(2015年夏)、サークル数3万5千と、あの東京ビックサイトをもってして1日あたり来場者数最大というハンパね~規模のイベントです(ちなみに来場者数最大のイベント”東京モータショー”の2015年度実績は11日間で81.3万人です)
(*2)DAICON 3
 全国のSFファンが集まる”日本SF大会”、この中で大阪で開催されるのが”DAICON(大阪のコンベンション)”です。1981年の”DAICON 3”のスタッフが岡田斗司夫、オープニングアニメーションを作ったのが大阪芸術大学在学中の庵野秀明山賀博之現在のSF、アニメシーンをけん引する人材が登場しています
(*3)ムダに長いシーンが多すぎだとか
 やり玉に挙がっているのが主人公を演じる三浦友和の”無重力セックス”
  あのしょぼさはどう表現すりゃいいんだ?
  しかも、やけに長いんだよ。観ててすげー気まずい
  削れよ! 意味ないだろ

とまあボロクソ。当時の三浦友和といえば、国民的アイドルの山口百恵と結婚した直後(結婚は1980年、山口百恵は当時21歳。早婚だったんですなぁ)。今でいうなら、広瀬すずと電撃結婚したアイドルのに~ちゃんがその直後に別の女優さんとエッチシーンがあるようなもの。この映画の評判悪い原因がこのへんにあるのかも・・
(*4)無国籍映画
 舞台は日本のはずなのに、やっていることはどこの国のことだかわからない映画。往年の小林旭主演の”渡り鳥シリーズ”とか。ちゃんと観た事ないけど、それなりに面白そう・・
(*5)ムハンマド・マンスール
 演じるは名優”岡田真澄”。日本人名ですが、日本人とデンマーク人のハーフだそうです。ニュースなんかで”ムハンマド”という名前がでると一瞬この人を思い出しちゃうほどインパクトありました
(*6)VOYAGER~?日付のない墓標
 作詞・作曲・唄:松任谷由実。1984年にリリースされたユーミン20枚目のシングル。1983年リリースのアルバム”VOYAGER”には収録されてなくて、1998年ベストアルバム”Neue Musik(EMIミュージック・ジャパン)”に収録。名曲です。

”ああ、伊藤さんなら、こっちで新作書いてるよ”、”それは・・・ 私が読みたいです”(幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2/地獄八景亡者戯)

 ども、心の持ち方だけは青春のおぢさん(*1)、たいちろ~です。
 世の中には”青春××”というサブジャンルがあります。青春ミステリーとか青春恋愛小説とか。特徴としては主人公自体は高校生だったり大学生だったりすることでしょうか。でも、小説にまったく大人が登場しないってことはまれなわけで、むしろ主人公を超えちゃうような大人のバイプレーヤーってのがいたします。
 ということで、今回ご紹介するのは高校生のビブリオバトル部がメインの小説なのにおじいちゃんやらおかんのがキラリと光っちゃってる小説”BISビブリオバトル部 2”であります。


写真はたいちろ~さん撮影。
日本テレビのイベント”超汐留パラダイス! 2016SUMMER”より
笑点(*2)”のブースです

20160810


【本】幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。<驚異の翼(ウィング・オブ・ワンダー)>伏木空、<燃える氷(バーニング・アイス)>埋火武人、<双面の話者(ヤヌス・トーカー)>安土聡、<愛の伝道師(ラブ・ミショナリー)>小金井ミーナ、<科学の魔女(ウイッチ・オブ・サイエンス)>菊地明日香など、本好きが集まるクラブ。今回のビブリオバトルのテーマは”戦争”。このテーマに対しそれぞれがチョイスした本は・・・
【DVD】地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)
 死んだ喜六が冥土への旅で三途の川や、賽の河原など地獄の風景出てくる前半、閻魔様の裁定で地獄行になるものの得意技で乗り切る後半とフルに演じると1時間を超える落語の大ネタ映像はこちらからどうぞ


 主人公の高校生からして二つ名を持つ本好きの集まりなんですが、そんな若者を手玉にとるんだから大人だってけっこうマニアックなのかも。今回のご紹介は埋火武人のじーちゃん、おかん、クラブの顧問(予定)の学校の先生です

〔ああ、伊藤さんら、こっちで新作書いてるよ(by じーちゃん)〕
 次回のビブリオバトルのテーマ”戦争”の本を考えていたSFマニアの”伏木空”。そこでであったのが死んだはずの埋火武人のじーちゃん(埋火武雄)。この人がまた弩のつくSFマニアでさっそく2人は意気投合。最近のSF作家の話をする空との会話

  じーちゃん:そうかあ。いいなあ。そんなにいろんな作家がデビューしてるのか
        もう少し長生きして、読んでみたかったなあ

  伏木空  :あと、亡くなられたけど、伊藤計劃さんという方も・・・(*3)
  じーちゃん:ああ、伊藤さんなら、こっちで新作書いてるよ
  伏木空  :それは・・・ 私が読みたいです

 これはもう”地獄八景亡者戯”の世界だ! ”地獄八景亡者戯”にあの世の寄席ってネタがあって、古今東西の名人上手が勢ぞろい、これは面白くないはずがない! 桂米朝師匠が生前に演じているくすぐりに、”桂米朝”という看板がかかっているのを見て

  米朝という名前で死んだ噺家はないと思いますが、あれはまだ生きてるンとちゃいますか?
  よう見てみなはれ、肩のところに”近日来演”と書いてある

 まあ、あの世で笑点の大喜利やってると思えば想像つくかも。なんてたって司会だけでも七代目立川談志、前田武彦、初代三波伸介、5代目三遊亭圓楽と超豪華なラインナップ。これで面白くなければウソでっせ! 近日来演(自主規制)とか・・・

〔でも、意外ねえ。武人って、このメンバーの中じゃ”受”っていう認識なの?
 (by おかん)〕

 埋火武人の家で合宿をすることになったビブリオバトル部の面々。男性陣は2人ひと組でお風呂を使わせてもらうことに。ここで目がランランなのがボーイズラブ大好きの小金井ミーナ。どういう組み合わせになった興味しんしん。

  だってえ、気になるじゃないですかあ。
  サト×ギンか、サト×タケか、ギン×タケか

空から”だから実在の人間で掛け算しないでください(*4)”のツッコミに対して武人のおかん(埋火いずみ)がつぶやいたのが上記の

  でも、意外ねえ。武人って、このメンバーの中じゃ”受”っていう認識なの?

埋火武人は食卓に突っ伏しかけていますが、おかんからこのツッコミされればまあ、気持ちはわからんでもないです。でも、おかん世代ってけっこうこの分野ではあなどれんかもしれんな~~ 高校生の息子(次男)がいるってことはだいたい40代後半ぐらい? 1970年代の生まれだとすると、少年愛の世界だとか耽美だとかホモネタご幼少のみぎりにはけっこうこのてジャンルに手を出してたかもしれません。なんたって、1970年代と言えば”トーマの心臓(萩尾望都 1974年)”、”風と木の詩(竹宮惠子 1976年)”、”パタリロ!(魔夜峰央 1978年)”とそうそうたる名作が登場、耽美派の雑誌”JUNE(ジュネ)”の創刊は1978年”人間で掛け算”カルチャーの源流がこのあたりかもしれないしね。

〔『2199』じゃ、ガミラスを滅ぼさなかったから、カットされたけど(by 先生)〕
 最後に登場願うのは世界史の教師にしてビブリオバトル部顧問(予定)の朝日奈先生。第一作”翼を持つ少女 BISビブリオバトル部1(山本弘、東京創元社)”では堅物教師という評判ながら実は特撮オタクをカミングアウト。まあ、真面目一辺倒と思っていた先生がいきなり”仮面ライダークウガ”の蘊蓄たれだしたら驚くだろ~な~
 で、今回は伏木空の紹介した”馬の首風雲録(筒井康隆、扶桑社文庫)”に対するツッコミ。空に対して”現実の戦争で、兵士を殺した敵のために泣くなんてあると思いますか?”という質問をするんですが、この質問に対しての空と先生の会話

  朝日奈先生:我々がしなければならなかったのは戦うことじゃない。愛し合うことだった
  伏木空  :?
  朝日奈先生:ああ、お前らの世代じゃ知らないか
        昔の『宇宙戦艦ヤマト』の台詞だ。ガミラスを全滅させた後、
        古代進が自分たちのやったことを後悔して言うんだよ
        『2199』じゃ、ガミラスを滅ぼさなかったから、カットされたけど

 ”宇宙戦艦ヤマト(監督 松本零士)”は1974年放映(もう40年以上前!?)で昭和40年生まれの先生がリアルタイムで観てた世代ってのはわかりますが、”宇宙戦艦ヤマト2199(総監督     出渕裕)”って2012年ごろなんでホント直近ですぜ! 当時ブームを起こした作品なんで旧作を引き合い出すのはいいとして、いいおっさんが”2199”をさらっと引き合いに出すあたりなかなかあなどれません。まあ、私も観ましたけど・・・

 本来のビブリオバトルのテーマ”戦争”とは関係のない話をぐだぐだ書いてますが、本本来のバトルの本の紹介も面白いです。本好きのぜひご一読のほどを


《脚注》
(*1)心の様相だけは青春のおぢさん
  青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相をいうのだ。
  優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
  怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心
  こういう様相を青春と言うのだ

 サミュエル・ウルマンの”青春”という詩です。だいたいこの詩を引っ張り出した時点ですでにおぢさんです。青春まっただ中の若者は青春について語ったりなんかしませんって。
(*2)笑点
 日本テレビで放映中、放送開始50周年を迎えた超長寿お笑い番組。このたび”笑点50年史(ぴあ)”という本も出ました。まだ読んでないけど。
(*3)伊藤計劃さんという方も・・・
 伊藤計劃(いとうけいかく)は日本のSF作家。デビュー2年、34歳で病没。代表作は”虐殺器官(早川書房)”、”屍者の帝国(河出書房新社)”、”ハーモニー(早川書房)”など。読みたい作家なんだけど、まだ読めてないな~~
(*4)だから実在の人間で掛け算しないでください
 ボーイズラブの世界では”攻×受”がお約束。どっちを受にするか攻にするかは逆カプ不可の深刻なテーマみたいです、ようわからんですが・・・

ジブリ映画観てないだけで、ひっどい言われようだなオイ!!(木根さんの1人でキネマ2/トトロパン)

 ども、実はあんまし映画を観てないおぢさん、たいちろ~です。
 わりとノーマルな趣味の一つに”映画鑑賞”ってのがあります。映画館で見るもよし、DVDを借りるもよし、ネットをつないでソフトオンデマンド(エッチなコンテンツ会社じゃありません)で観るもよし。
 こんだけ便利にコンテンツを見られる昨今、問題は”何を観るか?”でしょうがこれとてみんなが観ている”マジョリティ”と、あんまし見ている人いなさそうな”マイノリティー”の格差が発生します。もし”映画好き”と思われている人が王道にしてマジョリティーたる”ジブリ映画(*1)”を観ていなかったら??
 ということで、今回ご紹介するのは暗い過去を持つ映画マニアを描いたマンガ”木根さんの1人でキネマ2”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
近所で見つけたトトロパン(説明不要)です

0927


【本】木根さんの1人でキネマ2(アサイ、白泉社)
 木根真知子、三十(バキューン)歳、独身。趣味 映画鑑賞。実態は映画愛をこじらせちゃってる残念な人。会社の同僚との呑み会で好きな映画を聞かれたり、同窓会では”殺したい過去”に直面したりとあい変わらす苦悩する映画マニアです・・・
【食べ物】トトロパン
 丸んまる体に、ネコミミに、くりくり目玉と髭をつけたらトトロパン♪
 以前何かで読んだ気がすんですが、”子供に愛されるキャラ”って”子供でも簡単に描ける”ってのがあるそうです。ドラえもんなんかが典型例。昔のアニメってエンディングに”絵描き歌”みたいなのあったんですが、今でもあんのかなぁ?


 さて、今回のお話は呑み会で出た部下からの質問

  木根課長はどのジブリ映画が一番好きですか?

 あるんですよね~~、こういう悪意のない偏見。典型的なのは”プロ野球はどのチームのファンですか?”。まあ、私自身が関西出身なので”阪神タイガース”ぐらいの答えを期待されてるんでしょうが、はっきりいって私、プロ野球は大嫌いです。正直にそう答えると一瞬、空気が凍るんですが・・・ い~じゃんかよ~、別にプロ野球嫌いなおぢさんがいたってよ~~ 

 で、上記への木根さんのお答え

  ごめんなさい、ジブリ映画1本も見た事なくて

 これに対する部下のリアクションといえば

  普段、映画見ない人だってジブリは見ますよ! 日本人なら誰でも見ますよ!
  家にTVなかったんですか!?
  宗教上の理由!?
  医者に止められてた!?
  アニメがお嫌いとか・・・
  カリスマ監督の権威に楯突きたい・・・?

さすがに木根さんは

  ひっどい言われようだなオイ!!

と思ってますが、そうですよね~~ 見なかったのは

  特に理由なんてないんだけどにゃ~~

 どんな趣味でもジャンルまで分けてくと合う合わないってのは出てきます。木根さんはただ不良なゾンビ映画に惹かれて、優等生のジブリ映画はなんとなく見る気が起きなかっただけで。。私も多少は映画見ますが、”アナと雪の女王”観てないし、”ハリーポッターシリーズ”は映画どころか原作すら読んでません(*2)。”アナ雪は”ディズニーは思い入れないから観てないだけだし、”ハリポタ”はファンタジー系が苦手なだけで、大した理由があるわけじゃないんですが。

 で、木根さんの本音(さすがに一席ぶってませんが)

  自分の見たい映画を片っ端から見るから映画マニアなのよ!!

まあ、”自分の見たい映画”をどうチョイスするかってのは、あります。人から勧めてもらうとか、本やネットで評判を見るとか。私も会社の本仲間から”池波正太郎、面白いよ~~”とか言われると”読んでみよっかな~~”って気になるし(*3)。逆に”これを読め!”とか言われると、どんな面白い話だって面白くなくなりそうだし。夏休みの読書感想文の宿題なんてまだやってんでしょうか? あれって完全に逆効果のような気が・・・(*4)

 木根さんに降りかかってくる災難ってのが”お勧めの映画を紹介する大会”(木根さんいわく”地獄の門”)。宴会がいつのまにか大バトルに・・・ それを見た木根さんの過去の回想

  あれが私なのか・・・
  ケツの穴の狭さ故、他人を受け入れなれなかった私の姿なのか・・

映画であれ本であれ人に趣味の世界をお勧めするって難しいんですよね。ましてや抑えの聞かない学生時代なんかにやらかした話ってと~~ってもハズいし・・・(*5)

 この大バトルを終わらせるために木根さんが使った滅びの言葉

  人それぞれでしょ

まっ、確かにね! ジブリ見てないと言いながらしっかり”バルス”してるのが笑えますが・・(*6)

p.s.
 なみに私の推しは”ルパン三世 カリオストロの城”です!!!

《脚注》
(*1)ジブリ映画
 調べてみたところ、スタジオジブリの設立って1985年と老舗に比べると思ってたより後発(いったん解散して徳間書店の事業部化、再度会社としてスタートしたのは2005年)。宮崎駿の代表作”ルパン三世 カリオストロの城(1979年)”は東京ムービー新社の、”風の谷のナウシカ(1984年)”はスタジオジブリの前身”トップクラフト”の、”未来少年コナン(1978年)”は”日本アニメーション”の製作。宮崎駿監督=ジブリ映画みたいに思ってますが、意外にそうとも限んないんですね~~
(*2)”アナと雪の女王”観てないし、”ハリーポッターシリーズ”は~
アナと雪の女王〕監督 クリス・バック、ウォルト・ディズニー・ジャパン
 観客動員数 2,000万人以上、DVD売上枚数 300万枚以上
ハリーポッターシリーズ〕(シリーズ累計)
 観客動員数 7,800万人以上、DVD売上枚数 1,189万枚以上
現時点での正確な数字が公表されている訳ではないんで、ネットで大きそうな数字をひろってみました。これ以外にTV放映もされてるんで、ハンパね~数字であることは確かです。
(*3)”池波正太郎、面白いよ~~”とか言われると~
 作家とかジャンルとか一度読みだすとハマるほうなんで、喰いつくとあとがたいへん。”剣客商売(新潮文庫)”とか”真田太平記(新潮文庫)”とか読んで見ないんだけど冊数がハンパね~からな~
(*4)夏休みの読書感想文の宿題なんてまだやってんでしょうか?
 まあ、名作ではあるんでしょうが、予定調和な結論を子供に書かせて面白ンでしょうかねぇ 作文読まされる先生だって面白いんですか? むしろ夏休みに読んだ本を紹介する”ビブリオバトル”みたいなのやったほうがよっぽど盛り上がると思うんですが・・
(*5)抑えの聞かない学生時代なんかにやらかした話って~
 高校時代に”ガンダムにおけるニュータイプのありようが云々~”て話を延々と(以下略させてください m(_ _;)m )
(*6)しっかり”バルス”してるのが笑えますが・・
 ”バルス”は”天空の城ラピュタ(監督 宮崎駿、ウォルト・ディズニー・ジャパン)”でシータがパズーと共に唱える滅びの言葉。目がぁ~~、目がぁ~~

DVD全国発売されたから、5月4日はスターウォーズ記念日!(スターウォーズ フォースの覚醒/ひよこ)

 ども、5月4日はさっそく”フォースの覚醒”のDVDを借りに行ったおぢさん、たいちろ~です。
 近所のT○UT○YAに開店30分くらいの時間で借りに行ったんですが、たいがい大量に並べてあるのにもう残り僅か。なんとか借りれましたがみんなどんだけ早くから来てんねん!!
 奥様からは”フォースの覚醒って、この前映画館に観に行ったのでしょ?”と冷ややかなリアクション。い~じゃんかよ~、面白いんだから! それにDVDはDVDの見方っつ~のもあるわけで!!(*1)、
 ということで、今回ご紹介するのはSF映画の金字塔”スターウォーズの第七作”フォースの覚醒”であります。


 写真はたいちろ~さんの撮影。平等院近くの宇治川で見かけたアヒルのひよこ(たぶん)

0478

【DVD】スターウォーズ フォースの覚醒
 (主演 デイジー・リドリー、ハリソン・フォード、監督 J・J・エイブラムス)
 ”A long time ago in a galaxy far,far away(以下略)”で通じる説明不要のスターウォーズ・サーガの最新作。
 銀河帝国崩壊から約30年後。帝国残党が組織する”ファースト・オーダー”に対抗するためレジスタンスの”レイア将軍”は最後のジェダイの騎士”ルーク・スカイウォーカー”の探索を命じる。データを持つドロイド”BB-8”を偶然拾ったことから廃品回収業のレイで生計を立てていた”レイ”はこの戦いに泣きこまれることに。彼女の窮地を救った脱走兵”フィン”や密輸業者に逆戻りした”ハンソロ”、”チューバッカ”とともに・・
【動物】ひよこ
 にわとりやアヒルなどのひな(幼鳥)の呼称。
 孵化直後のひな鳥には”インプリンティング(刷り込み)”という生まれた直後に目の前にあったものを親だと認識してしまう現象があるそうです。


 映画館にて。のっけからジョン・ウィリアムズの”スターウォーズのテーマ” おぉ、戻ってきたぞ!感満載。そっからは”スター・デストロイヤー、でっけ~(*2)”とか、ミレニアム・ファルコンのドックファイト、カッコイ~!とか、ハン・ソロ老けたけどヒ~ロ~ とか。まあ、大きくなったとはいえテレビの画面って映画館とは比べモンにはなんないし、大音量でぶちかまされるし、なんてったって3Dだし!! みたいな。
 でも、落ち着いてお家でDVD観てると、やっぱし違う面が見えてくるな~~


〔実は影の主役は”BB-8”だったりして〕
 ルークと共に活躍したドロイド”R2-D2”。任務にあくまで忠実な頑固者(物?)ですが、一方Xウイングのナビゲーションからデス・スターのハッキングまでこなすという万能な側面も。かたや”フォースの覚醒”では”レイ”と冒険を共にする新しいドロイド”BB-8”が登場。ところがこの”BB-8”って先代”R2-D2”と違ってあんまし役に立ってないな~~ スターキラー基地攻略戦ではポーの搭乗するXウイングのナビゲーションをやっておりますが、あとはメモリチップを抱えて逃げ回ってばっかりで(*3)。でも、かわういんだな~ これが。砂漠の真ん中で拾われて優しくしてくれたレイに任務そっちのけてついてちゃうし。インプリンティングかおまいわ! と突っ込んじゃいそうな
 スリープモードの”R2-D2”によりそう姿とか、ルークの居場所を示した地図をいっしょに投影するシーンとか観てると、”メカフェチ”というより”メカ萌え~”のレベルでしょうか。
 ”BB-8”ってころころ転がる丸いフォルムに白を基調にオレンジのカラーリング。これってモロにあひるのひよこちゃん! カワウイ!!


〔実はファースト・オーダーってとってもお金持ち〕

 銀河帝国に変わって、今回の悪の組織は”ファースト・オーダー”。銀河帝国の”残党”っていう設定になっとりますが、これって”残党”ってイメージからほど遠い経済力の持ち主みたいです。
 かつて、企画のお仕事をやっていた性で”これを作るのにいったいいくらかかるんや?”って考えることがあります。で、今回の映画で”ファースト・オーダー”が大盤振る舞いしているのが”スターキラー基地”。恒星系まるごと吹き飛ばすという剣呑なシロモノ。星を丸ごとくりぬいて作ったビーム兵器で、駐留艦隊はいるわ、惑星レベルのシールドはあるわと規格外の超兵器です。で、これを作るにいったいいくらかかるんや! テクノロジーレベルがぜんぜん違うので比較は難しいですが、たった15.1Km、海底トンネルだけだと9.6Kmぽっちしかない”東京湾アクアライン”ですら総事業費が約1兆4,409億円かかったそうですが(wikipediaより)、惑星ごとの工事となると何千兆円レベルでもおっつかないんじゃない??
 スターウォーズ・サーガでは”金”なんつ~みみっちい話はでてきませんが、戦争(冷戦状態でも)ってのは莫大なコストがかかるもの。”ファースト・オーダー”は少なくとも”残党”なんていう生易しい単語ですませられないほど広大な経済圏を背後に持っているものと思われます。

〔実はスカイウォーカーの家系って子育て失敗の歴史〕
 今回の悪役”カイロ・レン”。レイア・オガーナを母に、アナキン・スカイウォーカー(ダース・ヴェイダー)”を祖父に持つという強いフォースの一族の末裔。この人がまたやんちゃモンで、ダース・ヴェイダーを崇拝するわ、部下の失敗にキレるとライトセーバーであたりを壊しまくるわ、最後には実の父親であるハン・ソロを殺すわというとっても危ないにーちゃん!
 でも、よくよく考えるとスカイウォーカーの家系って子育て失敗の歴史なんですな。アナキン・スカイウォーカーもエピソード1ではとっても良い子だったのにエピソード3では師の”オビ=ワン・ケノービ”を裏切ってシスの暗黒卿になっちゃうし(エピソード6では新しい師の”皇帝パルパティーン”も裏切っているし)
 その息子、同じくジェダイの騎士”ルーク・スカイウォーカー”。甥っ子のレイを預かっていたものの子育てに失敗、彼に次世代のジェダイをレンに殺されて、責任感じて宇宙のどっかに引きこもり状態
 唯一まともそうなのが”レイア・オーガナ”。惑星オルデランではオーガナ家のプリンセス(今でもC3-POは間違えて”姫”と呼んでるし)。帝国元老院の議員でもあったというエリートんんですが、現在の職業はレジスタンスの将軍。正義の味方の立場とはいえ平和な人生とは程遠い人です。ダンナのハン・ソロとの間に生まれたレンをルーク・スカイウォーカーに預けることになったのはこの二人して子育てに失敗したから。

  ハン :もっと、ちゃんと向き合ってやるべきだった
      でも、俺達は自分の世界に逃げ込んだ
  レイア:そうよね
  ハン :俺達は息子を、失った

まあ、母親が危険と隣り合わせのレジスタンスのリーダ、父親が一匹狼の密輸業者とあっては、子育てに向く家族とは言いにくそうですなぁ・・・

 映画館で観るとミレニアム・ファルコンのドックファイトとかレイとレンのライトセーバーのちゃんばらとか、派手なシーンに目を奪われがちですが、お家でDVDで観るとけっこう突っ込みどころ満載ですなぁ。まあ、こういう見方をしちゃうってのもSFファンの悲しい性ではありますが・・・


《脚注》
(*1)DVDはDVDの見方っつ~のもあるわけで!!
 オタキング”岡田斗司夫”がかつて”その場でほとんど一回限りしか見れなかったアニメが、VHSの登場により保存しリピートやスロー再生が可能になったことで見方か変わった”といった趣旨のことを書いています。今やVHSどころかソッコーネットに動画がアップされる時代ですが、昔は流れて消えていく泡沫(うたかた)が当たり前だったんですよ~
(*2)スター・デストロイヤー、でっけ~
 本作に登場する”スター・デストロイヤー ファイナライザー”は全長3,000m(3Km)”。ダースベイダーの乗船する”インペリアル級スター・デストロイヤー”の全長が1,600mなのでほぼ1.9倍。デザインはほほ同じなので体積比だと(約6.6倍!)。ちなみに人類が保有する最大の宇宙建造物”国際宇宙ステーション(ISS)”は全長73m、全幅108.5mにすぎません。
(*3)メモリチップを抱えて逃げ回ってばっかりで
 キャタピラ移動でのたのたしていたR2-D2に比べてかなり俊足なのは確か。ファースト・オーダーのTIEファイターから必死に逃げ回るレイとフィンとほとんど同じスピードで転がってます

確かに名曲だけど”母の日”のBGMに”人間の証明のテーマ”はアカンやろ!(人間の証明のテーマ/麦わら帽子)

 ども、母の日と言われてもあんまし母になんもせんかったおぢさん、たいちろ~です。
 最近、バラエティやCMに昔のドラマやアニメの曲が使われてるのをよく聴きます。まあ、雰囲気合ってるのもあれば、考えオチのものもあったりしてけっこう面白いです。先日テレビのバラエティを見てると”母の日”のネタにこの曲が・・・

  Mama,Do you remember
  the old straw hat you gave to me

人間の証明のテーマ”です。確かに”母”は出てくるし、スローバラードな名曲ですが、映画を見た人間からすりゃ、母の日にこの曲はアカンやろ! と思わず突っ込みいれちゃいました
 ということで、今回ご紹介するのは昔懐かしい角川映画(*1)”人間の証明”から”人間の証明のテーマ”であります。

 写真はたいちろ~さんの撮影。公園に忘れられた麦わら帽子。演出なしてこんなふうに忘れられていました。

8045135

【CD】人間の証明のテーマ(BRIDGE-INC)
 映画”人間の証明”で使われた主題歌。作詞・唄は映画で殺された黒人青年”ジョニー・ヘイワード”を演じたジョー・山中。作曲は”大野雄二”。大野は映画版の音楽監督も務めておりますが、”ルパン三世”のテーマ音楽も手掛けた人で映画を見ているとなんとなくルパンっぽいテイストが流れていたりします
【道具】麦わら帽子
 麦わらで作った帽子。英語だと”straw hat(ストローハット 藁+帽子)”。ジョニーの発音だと”ストウハ”。昔は松崎しげるの影響か”夏の美少女”ってイメージだったんですが(*2)、今では海賊王志願の少年なんでしょうかね


 まずは”人間の証明”の予告編から。


”人間の証明”のあらすじ

 ホテルのエレベーター内で胸部を刺されたまま乗り込んできた黒人青年”ジョニー・ヘイワード(ジョー・山中)”が”ストウハ”という謎の言葉を残して死亡した。遺留品は古ぼけた麦わら帽子と”西條八十詩集”。事件を追う”那須警部(鶴田浩二)”、”棟居刑事(松田優作)”、”横渡刑事(ハナ肇)”らはやがて有名ファッションデザイナーの”八杉恭子(岡田茉莉子)”にたどり着く。

 、森村誠一の原作が1975年、映画版は角川映画第二作として1977年に公開。もう40年近く昔になるんですな~~ そりゃ若い人は知らんはずです。

 この映画の主題歌として使われているのが”人間の証明のテーマ”です。歌詞は

  Mama,Do you remember
  the old straw hat you gave to me
  I lost the hat long ago
  flew to the foggy canyon

(直訳)
  お母さん、覚えていますか、あなたがくれた古い麦わら帽子を
  昔、私が霧深い谷に飛ばしてしまって、失くしたあの帽子を

この歌詞の元になっているのが、西條八十の”ぼくの帽子”

  母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
  ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
  谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

 映画ではおでん屋の客を演じる大滝秀治がこの詩を朗読する場面がありますが、大滝がいい味出しています

 ここまで読んでると、え~話や!と思われるかもしれませんが、なぜ”母の日”に合わないかと言うと、この映画に出てくる”おかん”がめっちゃ悪い人なんですな。ネタバレになりますが、母を慕っている息子を殺すわ、溺愛する息子は海外逃亡させるわと。
 まあ、原作が1975年とまだ戦後の混乱期を引きずっている時代ではありますが、許される犯罪ではないですなぁ。 映画はそれなりに綺麗にまとめてはいますが、母の日前に金曜ロードショーとかで放送される映画じゃね~な~

 まあ、母の日を離れてみれば、往年の松田優作はかっこいいし、鶴田浩二は渋い演技を見せてるし、ハナ肇も意外な名演技を見せてるし。岩城滉一がへたれなに~ちゃんを演じているのはご愛嬌(*3)。
 今見てもけっこう面白いので、よろしければどうぞ


《脚注》
(*1)角川映画
 当時の角川書店社長”角川春樹”が製作した映画シリーズ。テレビCMを多用して書籍と映画を売り込むというメディアミックスのはしりにして最大の成功事例の一つ。角川書店はニコニコ動画などのコンテンツビジネスを展開した”ドワンゴ”と経営統合して”KADOKAWA”に。 元々、この手のDNAはあったんでしょうね。
(*2)松崎しげるの影響か~
  黄色い麦わら帽子の女の子 今年も逢えるかな 夏の日出遭った女の子
 ”黄色い麦わら帽子(作詞 ちあき哲也、作曲 中村泰士、唄 松崎しげる)”。いや~甘酸っぱいですなぁ 聞かれる方はこちらをどうぞ
(*3)岩城滉一がへたれなに~ちゃんを演じて~
 同じく角川映画の”野性の証明(原作 森村誠一)”では舘ひろしがへたれなに~ちゃんを演じてます。角川春樹ってロック歌手が嫌いなんでしょうか?

※”名作童話 西條八十100選”は読んでません。ネットで調べたら”ぼくの帽子”が載っているようなので、記載しました

私が面白いと思った映画こそが最高に面白い映画なのよ!!(木根さんの1人でキネマ/ステレオスコープ)

 ども、オタクではありません、趣味が読書なだけのおぢさん、たいちろ~です。
 同好の志とでも言いましょうか、人が付き合うきっかけに”同じ趣味”ってのがあります。男女のお付き合い以外にも就活に役に立つことも(*1)。
 その中でありふれている趣味の一つが”読書”(*2)。ところがこれも蓋を開けてみるとぐちゃぐちゃなんですな。お堅い所では経済書や歴史モノや技術書、エンタメではSFに推理小説に恋愛小説、一大ムーブメントのライトノベル、これにマンガを加えりゃ魑魅魍魎の世界なんですな~ これが人によってかなり濃淡あって。私はわりと手あたり次第に読む派ですがファンタジー系は苦手とか。
 ことほど左様に”読書”とひとくくりにすると大外しするリスクもあるんですが、同様なのが同じくありふれた趣味の”映画鑑賞”。”スターウォーズ”みたいに社会現象みたいのもありますが、ホラー系なんかだとかなりマニアック?。
 ということで、今回ご紹介するのは映画マニアの苦悩を描いたマンガ”木根さんの1人でキネマ”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
明治村に展示されていたステレオスコープ(ホームズ型ビューアー)

1050433


【本】木根さんの1人でキネマ(アサイ、白泉社)
 木根真知子、三十(バキューン)歳、独身。趣味 映画鑑賞&映画ブログの作成。会社では美人で有能な課長さんですが、その実態は映画愛をこじらせちゃってる残念な人。彼女の元に映画を見ない同僚の佐藤さんが転がり込んできて・・・
【道具】ステレオスコープ
 1枚の写真を右目で、もう1枚を左目で見ることで1つの映像が立体的に浮き上がってもせるという秘密道具。写真のステレオスコープは1910年頃のものだそうですが、原理的には現在の”3D映画”と同じです。


 はっきり言いますが、木根さんの苦悩はよくわかります。映画であれ読書であれ一つの趣味でくくれるほど簡単じゃないんですな~ ”映画観に行こうか?”といって恋愛映画を観に行くか、SFを観に行くかではぜんぜん違うし。ましてや同居人が映画に興味のない人だったらそうとうイラっとくるんだろうなぁ ましてや木根さんけっこうマニアックなネタをふってくるし。ということで本書からそんなネタを

〔ターミネーターは何作目が面白いか?〕
 第一話で”ターミネーター”をブログにアップした木根さん。”ターミネーター3”に星4つをつけたらリツイートが”ターミネーター2のが面白いですよ”。”ターミネーター1の方が好き”と返せば

  1の方がいいってババァの思い出補正www

い~じゃね~かよ~ 若き日のシュワちゃん不気味~~ とか、サラ・コナーがんばれ! とか言ってもよ~~ そりゃ今のCGに比べりゃSFXは荒いかもしんないけど、30年前にそんなこと期待すんな! ジェームズ・キャメロン監督がこの映画でブレイクしなけりゃ”タイタニック”も”アバター”も”エイリアン2”もなかったんだぜ!!


〔スターウォーズはどの順番で観るか?〕
 商談中にいきなりスターウォーズ7のネタバラシ話を始めたお客さんと部長。予告編を観ないと心に決めた木根さんが、暗黒面に堕ちてまで振ったネタが”スターウォーズはどの順番で観るか?”。”フォースの覚醒”が公開されるまで6つのエピソードだったスターウォーズですが(*3)、エピソード4から始めるという異例な構成のため、ストーリーの時系列で観るか、公開順に見るかは確かに話題です(作中ではなんと5からというおっさんも)。このおっさんたちがノリノリで、書類を丸めてライトセーバーにして、しかも擬音の”ブォン”付きで!
 まあ、私もリアルタイム世代なんで気持ちはよくわかります
 ちなみにこの部長、12月18日はお休みをとりました(*4)


〔なぜマニアって生き物は自分の趣味をアピールしたがるのか?〕
 中学時代を思い出して恥ずかしさのあまりピクピクしてしまう木根さん。なんたって読んでる雑誌が”スターログ”。”キネマ旬報”だってけっこうマニアックなのによりによって”スターログ”ですか?! 
 ”スターログ(Starlog)”ってのはアメリカの月刊SF映画雑誌の日本版。1978年にツルモトルームより出版され87年に休刊。99年に竹書房から再度発売されたけど2006年に再度休刊。なので、読んだことある人はけっこうなオールドSFファンでしょうなぁ。(ちなみに木根さんは竹書房版と思われます)。
 こちらから表紙をごらんいただけますが、ツルモトルーム版だと表紙がダースベーダーにスポックに(レナード・ニモイのファーストシーズンのほう)にスーパーマン(クリストファー・リーヴのほう)だもんな~ 回を重ねるごとにどんどんマニアックになってくし。竹書房版だと”スターウォーズ エピソード4”や”ハリーポッター”の時代なんでツルモトルーム版よりは目立たなかったとは思いますが、それでも友達から後ろでひそひそされてます。い~じゃね~かよ~ 別に”映画の友”読んでるわけじゃないんだからよ~(*5)


〔ゾンビ映画の大半はゴミ?〕 
 夏風邪のために棚ぼた休日になった木根さん。溜まりまくったゾンビ映画を一気に観ることに。観たいと思わないものNo.1の死体が人類最大のタブー、カニバリズムするという

  この圧倒的 見たらいかんもの感!!

 私自身、怖いの苦手なんでゾンビ映画って”ワールドウォーZ”ぐらいしか見たことないですがちょっとジャンル的にはとっつきにくいのも確か。日本の妖怪って水木御大のおかげか異形ではあってもどっか愛嬌があるし、モンスターでも吸血鬼なんてドラキュラはハンサムだし、トワイライトサーガはイケメンのお兄ちゃんお姉ちゃんだし、ベイオウルフはかっこいいし、まあフランケンシュタインの怪物はあれだけど。ところがゾンビって一部の例外を除くとほとんどグロいしな~~ まあ、デートに誘って観に行く映画ではないわな~
 ちなみに木根さんの評価は大半が”信じられないクソ!”で更に苦悩が深まったとさ。


〔なんでわざわざ映画館行くの?〕
 これは同居人の佐藤さんの質問。で、木根さんの答えは

  映画を観るってことはね「鑑賞」ではなく「体験」なのよ!!

本人的には”私、今 いい事言わなかった!?”と高評価ですが、佐藤さんはいまいちピンと来ていない様子。私自身、お金がないのでDVD借りてきてみる派ですが、お金あったら映画館行きたいな~~ ”黒部の太陽”に限らず(*6)、迫力ある大画面で観たい映画もあるし、3D映画なんてまだまだ映画館じゃないと観れないし・・・
 で、木根さんの結論

  そこに宝があるからよ!!
  宝探しは 伊達や酔狂でやるもんだよ!!

映画って、結局観てみないとわかんないし、観るんだったら最高の環境で観たい。私もお金があればな~~~


 でもって、本書のネタで最大の話題は”面白い映画ってなに?”。
 結局のところ、映画って観てみて初めて宝かクソかがわかるもの。それが自分のテイストに合ってりゃ、他人が”なんじゃこりゃ~!”とか思っても関係ないし。個人が面白いかどうかなんて多数決じゃないんだし

  私が面白いと思った映画こそが最高に面白い映画なのよ!!

本だって同じ。いいじゃん、自分が読んで面白いと思ったんだからよ~~ ビブリオマニアなおぢさんは考えるのであります

 ”木根さんの1人でキネマ”は、各話のタイトルがスターウォーズやターミネーター、インディージョーンズとかメジャーな映画なのにその中身にほとんど触れていないという本。でも、ある種の方にとってはと~っても面白ろそうです、はい。


《脚注》
(*1)就活に役に立つことも
 マイナビのhp”履歴書の書き方”にも”面接などで、趣味や特技から話が弾むこともあるので、なるべく記入します”と書いてあります。ただし、あんまり書き過ぎると趣味優先の生活と思われるのでマイナス、ギャンブル系はNGとかありますのでご注意を。
(*2)ありふれている趣味の一つが”読書”
 ちょっと古いデーターですが総務省の”平成23年社会生活基本調査”によると自由時間についやした趣味・娯楽(総数)では
 1)趣味としての読書               39.5%
 2)映画鑑賞(テレビ・ビデオ・DVDなど除く)  35.1%
 3)映画鑑賞(DVD・ビデオなど。TV録画除く) 40.5%

2)は映画館で、3)はレンタルビデオ等を指すようです。面白いのは、読書に使った時間が年10~19日から年200日以上の人までほぼ15~18%程度で変わらないのに対し、映画館派は年1~4日が63%程度、年に19日以下の合計が95%程度を占めます。。まあ、年200日以上映画見てる人が0.3%いるってのも驚きですが。
(*3)6つのエピソードだったスターウォーズですが
 エピソード4が公開された頃は9つのエピソードって言ってたような気がするんだけどな~ 気のせいかな~
(*4)12月18日はお休みをとりました
 ”フォースの覚醒”が公開された日です。部長に対する木根さんのリアクションは蛍光灯をかかえて”ブォン”。
(*5)別に”映画の友”読んでるわけじゃないんだからよ~
 ”映画の友”は近代映画社がかつて出版していた映画雑誌。映画は映画でも”ポルノ映画(死語)”ですが。
(*6)”黒部の太陽”に限らず
 石原裕次郎の代表作で観たかったんですが、生前の石原裕次郎自身が”こういった作品は映画館の大迫力の画面・音声で見て欲しい”と言い残したことから(wikipediaより)長い間DVD化されませんでした。2013年にDVDが出たんで喜んで借りましたよ!。

ビジネス書として読むには相当なひねり(ひねくれ?)が必要。もっとも、戦争って人の営みと同義かもしれませんが・・・(現代の軍事戦略入門/サンダーボルトⅡ)

 ども、自衛隊の基地祭りとか行きますが、ミリタリーヲタクではなおぢさん、たいちろ~です。
 基地祭りとか行きますと、カメラ抱えたミリオタのおっさんとか、おに~ちゃんとか、ところどころおね~さんとかが集まってきます。飛行機だとか戦闘艦船とか確かにかっこいいんですんな。強引に分類すると”ハードウェア派”とでも言いましょうか。
 これに対して”戦略がど~した”、”戦術がこ~した”言いだすのが”ソフトウェア派”でしょう。自覚あるなしに関わらず”歴史ヲタク”もこの分類ではないかと(*1)。まあ、”わが社の経営戦略は~”とか能書きを垂れるビジネスマンに限らず、日本人ってのは隠れミリヲタが多いんでしょうかねぇ
 ということで、今回ご紹介するのはそんな戦略の入門書”現代の軍事戦略入門”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影
2012年横田基地で見た”サンダーボルトⅡ”。
シャークマウスのペイントがいかにも
って感じです。

A108180462


【本】現代の軍事戦略入門(エリノア・スローン、芙蓉書房出版)
 サブタイトルは”陸海空からサイバー、核、宇宙まで”とあるように、”孫子”や”戦争論”といった古典的軍事戦略論というより(*2)、湾岸から地球の反対側に至る海軍力、航空機による支援、核抑止力、はては宇宙戦争論まで、国家間からテロ対策と大きく形を変える”軍事戦略”を扱った本。”入門”とありますが、かなり専門的な内容です。
【乗り物】サンダーボルトⅡ 近接航空支援攻撃機
 フェアチャイルド・リパブリック社の開発した単座、双発、直線翼を持つアメリカ空軍初の近接航空支援(CAS)専用機。戦車、装甲車その他の地上目標の攻撃と若干の航空阻止により地上軍を支援する任務を担う。(wikipediaより)
 ”エリア88(*3)”ではグレックが搭乗し地上攻撃に使用した機体として有名です


 さて、この本のミソは”現代の軍事戦略入門”の”現代”の部分。まえがきに著者のエリノア・スローンが書いてますが、生徒から”現代の戦略思想家はいないんですか?”という質問がきっかけだったそうですが、言われてみればそうなんですよね。”孫子(孫武)”ってのは紀元前500年ごろの人なんでランドパワー=陸戦の時代。”戦争論”のクラウゼヴィッツはナポレオン戦争の関係者、1800年代の前半の人なんでランドパワー+シーパワー=海戦の時代。海戦と言っても、太平洋越えて戦争するって距離感じゃない時代ですから現代とは相当違うはず。エアパワー(空戦)も、サイバー戦略も核戦略も宇宙戦略もな~んもなかった時代です(*4)。調べてみるとテクノロジー(兵器)による戦争の在り方が急速に変化したのはたかだか50~100年ぐらいのことなんですね。だから、現代に合わせて”戦略”が変わっているはずなんですが、なかなか”現代の戦略思想家って誰なんでしたっけ”ってのが出てこない。逆にいうと2500年近く昔の”孫子”が今だに語られているってのは”戦争の本質”が変わっていない人間の営みと同義ってことかもしれませんが・・・

 本書は350ページ近くある本なので参考になる点はいっぱいありますが、気にいったとこをいくつか

〔陸海空の統合が必要〕
 本書で先進的な軍事システムに必要な要素として

  見る部分  :ISR(機密情報収集・監視・偵察)
  教える部分 :C4I(指揮・統制・通信・コンピューターインテリジェンス)
  行動する部分:精密誘導兵力

てのがあるそうです。簡単に言うと”丘の向うの敵は見えない”という時代からテクノロジーの発展により飛行機から偵察ができるわ、宇宙から監視ができるわ、通信で情報が伝えられるわ、コンピュータを利用して指揮がとれるわ、ピンポイントでミサイルを誘導できるわなどなど。ただし、これがうまくいくには陸海空三軍のリソースがちゃんと統合的に動けないとダメなんだとか。当たり前っちゃ当たり前ですが軍隊って縦割り行政の典型だからなぁ・・・

〔シーパワーやエアパワー、スペースパワー単体では戦争に勝てない〕

 非常に簡単に言ってしまうと、シーパワーってのは兵力の輸送と砲撃エアパワーは偵察や爆撃、輸送スペースパワーは監視や通信核兵器は抑止(そうそう簡単に使われては困るシロモノ)サイバーは監視や撹乱、プロパガンダ(ISがやってるヤツ(*5))、それぞれにランドパワーの支援を含みます。そしてランドパワーは領土や政治等の要衝の占拠ってことになります。たとえば上記の”サンダーボルトⅡ”のお仕事が”支援攻撃機”なのは、敵の戦車などを攻撃することでランドパワーの損失を減らす支援をするからだとか。
 で、問題になるのは”戦争の帰趨を決める決定的な戦力はどれか”ってとこです。いろいろ議論はあるようですがどうも”ランドパワー”に分がありそう。なぜなら国家間戦争では最終的に領土や要衝の占拠する機能がランドパワーだからだそうです。だからって”ほかの軍はランドパワーの支援をしろ(*6)”とか言っちゃうと不仲の原因になるんでしょうが・・・
 ずいぶん昔になりますが”宇宙戦艦ヤマト(*7)”に関する記事で

  なぜガミラス軍は遊星爆弾と一緒に陸戦部隊を投入して、
  政治的な要衝を占拠しないのか?

てな内容を読んだ記憶がありますが、なるほとと思いましたねぇ

〔スペースパワーでは物理的破壊をやってはいけない〕
 今や宇宙には民間、軍事を含め衛星てんこ盛り。ちょっと意外だったのは衛星ってのは電子装備を破壊すればいいので物理的に破壊してはいけないって点。なぜなら物理的に破壊しちゃうとコントロール不可能なスペースデブリ(宇宙ゴミ)をまき散らすことになるから。なんとなく衛星ってあんまし動いてない印象ありますが、実際は1日で地球を何周もするぐらいすんごいスピードで移動してるんで、小さいゴミでもとっても危険なシロモノなんだとか。言われてみりゃもっともですが、ガンダムワールドでは派手にドンパチやってましたけど・・(*8)
 本書中でも”ラグランジュポイント”だ”重力の井戸”だのガンダムっぽいテクニカルタームが出てきますが、こんなんまで扱うって軍事思想家ってたいへんだなぁ。

〔核の抑止力の土台にあるのは”敵を知れ”〕
 核抑止戦略に効果を持たせるには以下のことが必要だそうです

  目に見えない要素:価値、文化、知覚、リスク許容度
  目に見える要素 :アセット(戦力資源)、能力、脆弱性

このあたりは”孫子”の時代から脈々と受け継がれている戦略なんでしょうが、さらに相手によって適合されんといかんのだとか。やっちまったら終わりの核戦略では、相手に”核兵器を使わせたら損”という心理戦の様相もあるんで、慎重にならざるをえんのでしょうな。

 ところで本書ですが、”実用”という意味ではたぶん士官クラス以上でないと訳にたたんのではないかな。いったい誰向けに出版されたんでしょうか(私はたまたま見つけて読みましたが・・・)。この手の本って”ビジネス”への応用みたいなのを期待されてるかもしれませんが、内容があまりに専門的(マニアック?)。ビジネス書として読むには相当なひねり(ひねくれ?)が必要かと。ひょっとしたら本書の最大の謎は出版戦略にあるのかもね。

 そうはいっても、いろんな意味で示唆に富んだ本です。ご興味のある方はどうぞ。


《脚注》
(*1)”歴史ヲタク”もこの分類ではないかと
 NHK放送文化研究所が2008年に行った”好きな歴史上の人物ランキング”のベスト10人を属性別に強引に分けると
 軍事的指導者 6名:織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、武田信玄、源義経、西郷隆盛
 思想的指導者 2名:坂本龍馬、福沢諭吉
  政治家    1名:聖徳太子
  科学者    1名:野口英世
6割が軍事的指導者。坂本、福沢も侍=職業軍人ですので8割が軍関係の人ってことになります
(*2)”孫子”や”戦争論”といった~
【本】孫子(孫子、岩波文庫他)
 ”彼を知り己を知れば百戦殆からず”など、おぢさんの蘊蓄にはしょっちゅう出てくる兵法書の古典中の古典。本書は読まなくてもたぶん解説書は読んだことはあるはず
【本】戦争論(クラウゼヴィッツ、岩波文庫他)
プロイセンの将軍クラウゼヴィッツによる戦争を分析した研究書。この手の本ではと~っても有名ながら、ちゃんと読んだことがある人って聞いたことないんですがなぜ?
(*3)エリア88(新谷かおる、小学館)
 中東の”アスラン王国”で戦う傭兵部隊”エリア88”の活躍を描く戦争マンガの傑作。”グレック”は地上攻撃で圧倒的な強さを誇るエリア88のNo.3のパイロット。通称”ヒゲダルマ”。モデルは松本零士? パイロット達に行った”あんたらには戦争が終わった後にこの国を立て直す仕事がある”は後に戦況を大きく動かすことになります。
(*4)エアパワー(空戦)も、サイバー戦略も核戦略も宇宙戦略も~
 ライト兄弟が動力飛行機による初飛行は1903年戦争で利用されたのは第一世界大戦(1913~18年)頃から、核爆弾が広島に投下されたのは第二次世界大戦末期の1945年、黎明期の電子式コンピューター”ENIAC”が稼働したのは第二次世界大戦後の1946年、ソビエト連邦が世界初の人工衛星”スプートニク1号”を打ちあげたのは1957年のことです。
(*5)ISがやってるヤツ
 ”小学生にイスラム国の流すYouTubeを見せるな”という議論がありますが、これってどうなんでしょうね。プロパガンダに乗せられないためって意味では解からんでもないですが、実相を隠すだけってのは”臭いモノにフタをしろ”ってのと変わらん気がせんでもないですが・・・
(6)ほかの軍はランドパワーの支援をしろ
 逆に”銀河英雄伝説(田中芳樹)”ではパイロットのオリビエ・ポプランが艦隊決戦の際に陸戦部隊の”ローゼンリッター連隊”を評して”何もせんかった奴”扱いしてケンカになったシーンがあったような。
(*7)宇宙戦艦ヤマト(西崎義展、松本零士、バンダイビジュアル)
 ガミラス帝国は遊星爆弾による無差別攻撃を加えて人類は滅亡まであと1年の危機。
 冥王星会戦の敗戦で沖田艦長が”我々にはあの遊星爆弾を防ぐ力はない”と言ってるように制宙権を喪失している状態ですから、陸戦兵力を送り込むことは造作なかったハズです。まあ、ほっときゃ1年で滅亡するんだから無用なリスクを犯す必要はないという考え方もありますが、ちんたらやってるうちに反攻作戦に出られたわけで。”拙速をもって良しとなす”という戦略はなかったんでしょうか?
(*8)ガンダムワールドでは派手にドンパチやってましたけど・・
 ”機動戦士ガンダム(富野喜幸、バンダイビジュアル)”の宇宙戦艦って地球から宇宙に飛んでってるのもありますので、第二宇宙速度(時速40,300km)は出ているはず。それがわかってて、お互いにスペースデブリをまき散らすような戦いをやるなんて正気の沙汰じゃありません。まあ、正気なら戦争なんてしないんでしょうがねぇ

より以前の記事一覧

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ