旅行・地域

このご時世”PAC-3”のネタで書いてお咎めなしってのは日本はいい国なんでしょうね(PAC-3/「シン・ゴジラ」私はこう読む/空飛ぶ広報室)

 ども、自衛隊のメカニズムは好きですが、戦争は嫌いなおぢさん、たいちろ~です。
 ここんとこ、ア○リカと北○鮮の間がきな臭くなってます。言葉の応酬がますます過激になってきて、方やグアム周辺へ弾道ミサイルを4発ぶっぱなす用意があるとゆーとるわ、方や核攻撃をちらつかせたことをゆーとるわ。まあ言ってるのが小学生のガキ大将同士のケンカならまだしも、やってるのが核保有国のトップ同士、しかも方っぽがこの前までなら止める立場の先生がやってんだからなぁ
 で、こちらニッポンは”島根県、広島県、高知県の上空を通過する計画がある”ってことで”PAC-3”を島根、広島、高知、愛媛の陸上自衛隊の駐屯地に移動して迎撃体制を整えることに。国防上、やるべきことはやってるんでしょうが、なんだかこの手の話があったな~~~
 ということで、今回ご紹介するのは、元国防大臣が語る配備計画の問題”「シン・ゴジラ」私はこう読む”とPAC-3移送ネタの”空飛ぶ広報室”であります

写真はたいちろ~さんの撮影。
海上自衛隊の”ヨコスカサマーフェスタ(*1)”にて(2010年、2016年)

【道具】PAC-3
 ややこしいんですが、PAC-3って”ペトリオットミサイル”そのものの”PAC-3弾”と、”PAC-3弾”を発射するためのペトリオットミサイル発射システム”PAC-3形態”ってのがあるんだそうです。”PAC-3形態”はトレーラー移動式のシステムであり、1つの射撃単位はペトリオット発射中隊、10台以上の車両(ミサイル発射機トレーラー、電源車輌等)で構成されてます。

PAC-3の解説パネル (2016年撮影)

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発射機(Launching Station,LS) (2016年撮影)
 PAC-3等のペトリオットミサイルを最大16発発車する装置
 テレビとかで”PAC-3”というと出てくるのがこの車両

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レーダー装置(Radar Set、RS) (2010年撮影)
 多機能フェーズド・アレイ・レーダーを装備し目標の捜索、発見、追尾、識別及びペトリオットミサイルの誘導を行う装置

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発電機(Electric Power Plant、EPP) (2010年撮影)
 ECS及びRSに電力を供給する機械。トラックに車載したままでも運用可能

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 写真はないですが、その他射撃管制装置(Engagement Control Station, ECS)、情報調整装置(Information Coordination Central, ICC)、無線中継装置(Communication Relay Group, CRG)なんてのもあるようです。

【本】「シン・ゴジラ」私はこう読む(日経ビジネス、日経BP社)
 2016年に公開された”シン・ゴジラ(*2)”をネタに、ビジネス情報中心の(はず)の日経BP社が”日経ビジネスオンライン”で連載された各界のキーマンへのインタビューなどをまとめた本石破元防衛大臣、枝野元内閣官房長官、梅澤TAカーニー日本法人会長などそうそうたる顔ぶれ。何を考えてんだか日経BP社?!
【DVD】空飛ぶ広報室(原作 有川浩、主演 新垣結衣、綾野剛)
 いきすぎた報道姿勢が元で報道から外されたディレクター”稲葉リカ”はTV番組”働く制服シリーズ”の作成のために防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室=”空飛ぶ広報室”を訪れる。そこには”詐欺師 鷺坂”の異名を持つ鷺坂室長以下、個性あふれる?面々が。そしてリカの担当になったのは交通事故でパイロットの道を断たれた”空井大祐”だった。
 自衛隊員という実態があまり知られていない職業の中でもさらにマイナーな広報室(失礼!)を舞台にした非戦闘系ラブコメ。2013年にTBSでドラマ化。主演は新垣結衣、綾野剛、柴田恭兵。


 当然のことですが、あらゆる兵器には物理的な限界があります。ミサイルには射程距離があり、戦車には最高時速があり、飛行機には航続処理があり。また量的な限界ってのもあります。予算が無限ではなく、人的教育には時間がかかり、工場の生産力の制限がある以上、兵力や機器を装備する量にはおのずと上限値が(少なくとも短期的には)設定されます。

 てなことを踏まえて”「シン・ゴジラ」私はこう読む”の石破元防衛大臣の発言です。ゴジラが上陸して東京への侵攻を食い止めるために多摩川河川敷に最新鋭の戦車がズラーッと並んべて迎撃するってシーンがあるんですが、これに対して

  あの戦車、どこから、どうやって来たんでしょうね
  本州にはあんな数の戦車がないんですけどね
  日本では、最新鋭の戦車はだいたい北海道に配備してある

   (中略)
  北海道から戦車が駆けつける頃には、みんな終わっている

 なんで北海道に戦車が配備されてるかというと、ロシアが攻めてきて北海道内で戦車同士でドンパチやるって想定だからだそうです。この想定にリアリティがあるんかどうかはわかりませんが、要はある戦略思想に基づいてリソースを配置するってことです。
 で、今回みたく島根、広島、高知の上空をミサイルが通過するってことになると、そこにPAC-3を移動して防空体制を引くってことになるわけです。

 まあ、書くのは簡単ですがいざ移動するとなると簡単ではないみたい。”空飛ぶ広報室”の第五話で”パトリオット部隊の展開訓練(*3)”て話がありました。これは入間基地から武山分屯基地、習志野分屯基地から入間基地へそれぞれの高射隊が移動するって訓練をマスコミに公開するって内容。
 航空自衛隊の全面協力ってことで、防衛省航空幕僚監部やら各基地やらのロケで各装備がバンバンでてきてわりとマジで作っている作品ですが、それでも移送されてるのメインって発射機なんですな。TVのニュースもそんな感じだったし。これだけ見てると発射機だけ持っていきゃよさそうなんですが、実際は機材をいっぱい持ってってそれを動かす人も移動しなきゃなんなさそう。なんせ超爆発物なんだからテロ対策やなんやらもやんなきゃいけなさそうだし。つまり、素人目に見てもほいほいお出かけできるシロモノじゃなさそうってコトです。
 それだけやってもパトリオットミサイルの有効射程距離が20~30kmってんですから、有効性を求めるにはしこたま配置せんといかんのでしょうなぁ・・・(*4)

 で、何を言いたいかとゆ~と、日本ってないい国ですな~~ってこと。
 広報の一環とはいえ基地の公開があって、最新鋭のPAC-3の展示があって写真撮り放題。こうやって写真をブロクにのっけてもお咎めうけることなさそうだし。テレビはテレビで自衛隊の航空機なんぞ出っぱなしだし・・・ あまつさえ元防衛大臣がゴジラネタにひっかけて国防上の問題点を語っても問題にならないって、けっこういい国だと思いませんか? このへんの話題って世が世なら国家機密ですぜ!(*5)

 改めて言いますが、私は自衛隊のメカニズムが好きなだけで、戦争はやっちゃいけないと思ってます。核兵器のみならず兵器なんてのは理屈の上での抑止力としては成り立つんかもしれませんが撃っちまったら終わりです。まあ、こんなことぐらいチキンレースやってる人はわかっちゃいると思いたいんですがねぇ

《脚注》
(*1)ヨコスカサマーフェスタ
 海上自衛隊横須賀地方総監部で開催される基地開放のイベント。毎年8月の第一土曜日の”よこすか開国祭”に合わせて開催されます。2017年度開催は8月5日(土)。この日は米海軍横須賀基地にて”ヨコスカフレンドシップデー”も開催されて軍艦乗船もできるとあって、この手のんが大好きなオタクが朝から群れております。私は違いますが・・
(*2)シン・ゴジラ(総監督 庵野秀明、監督 樋口真嗣、東宝)
 ”新世紀エヴァンゲリオン”の庵野秀明と”ローレライ”、”日本沈没(2006年版)”の樋口真嗣によるSFファン注目のゴジラ映画。2016年公開
 ゴジラ登場にあたふたする政治とか、超科学兵器(オキシジェン・デストロイヤーとか)なんぞ登場せず、自衛隊ががんばってゴジラを倒すこだわりなどSFゴコロをくすぐる名作です。
(*3)パトリオット部隊の展開訓練
 ミサイルの愛称”Patriot”は”Phased array Tracking Radar to Intercept on Target(目標物迎撃用追跡位相配列レーダー)”の略。発音は”ペイトリオット”に近いですが、マスコミは”パトリオット”、政府や自衛隊は”ペトリオット”を使っています(wikipediaより)。ですんで、本ブログ内で混在しているのは出典に忠実なだけで間違いではないです、はい
 ちなみにPAC3だったりPAC-3だったり、あぁややこしい
(*4)しこたま配置せんといかんのでしょうなぁ・・・
 仮に島根県を通る山陰本線の米子駅~益田駅間に一列で配備したとして、この距離が192Kmあるんで、射程距離20km(直径で40km)で割ると5単位必要。これをメッシュでやったら何単位ありゃ足りるんでしょうね??
(*5)世が世なら国家機密ですぜ!
 まあ、地図や天気予報が機密情報だった時代もあるみたいなんで何が機密って難しいんですけンドね

どうせ何時かは執行される自分の葬式なんだから、それまでの猶予期間を旅でもするかってこの本読んで考えちゃいました(深夜特急/サテー)

 ども、歳を取るといたって出不精になっているおぢさん、たいちろ~です。
 かつて、有吉先生が猿岩石だった頃、”進め!電波少年(*1)”というテレビ番組で”ユーラシア大陸横断ヒッチハイク”という企画をやっておりました。これは当時売れていない若手お笑いコンビ猿岩石(有吉弘行、森脇和成)のふたりが香港からロンドンまでヒッチハイクで旅行するというもの。大して真面目に見てたわけではないですが、いかに売れていないとはいえ、けっこうきつい事やらせんだな~と思った記憶があります。
 ふと思ったんですが、昔はこういったヒッチハイクというか貧乏旅行みたいな本とかけっこうあったような気がすんですが。私がその手の本を読まなくなっただけなのか、実際世の中でも少なくなってんだか?
 ということで、今回ご紹介するのはそんな貧乏旅行系の本、ちょっと昔の話ですが”深夜特急”でありますあ


写真はたいちろ~さんの撮影。
シンガポール料理の”海南鶏飯(HAINAN CHI-FAN)の”サテ”です

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【本】深夜特急(沢木耕太郎、新潮文庫)
 沢木耕太郎がインドのデリーから、イギリスのロンドンまでバスだけ使って旅行するという紀行小説。といっても私が読んでる2巻ではまだデリーどころかマレー半島あたりでうろうろしてますが。まあ、こういう無計画さがこの手の旅行の醍醐味なんでしょう。
 1974年ごろの旅行なので事情がだいぶん違うんでしょうが、今読んでも充分面白いです。
【料理】サテー(Sate)
 マレーシア、シンガポールなど東南アジア諸国で食される串焼き料理
 本書では”マレー風焼き鳥といった趣”と記されていますが、他の肉でもあり。海南鶏飯では鳥と豚のセットでした。
 ほんのりとしたカレーの香りのする小ぶりの鳥肉や豚肉に甘辛ピーナッツソースをつけて食べるというもの。ピーナッツソースは日本だと肉味噌に近い食感でしょうか。美味しゅうございました。


 沢木耕太郎の経歴ってのが大概で、横浜国立大学経済学部卒業で富士銀行入行が決まっていたのに大学紛争で卒業が遅れ初日出社の日に”雨のせい”という理由で退社(企業名はwikipediaより)。就職もせずぶらぶらしていたのを見かねた大学のゼミの教官が雑誌社を紹介してくれたのをきっかけにルポライターに。仕事は増えてきたものの、こなしきれなくなって、”間もなく外国に行くので仕事が受けられない”と苦し紛れに嘘をつき。これもある人物の”男は26歳までに一度は日本から出た方がいい”という言葉から。
 ここまででも凄いですが、さらに輪をかけてすごいのがこのおかん。家にまで外国旅行の問い合わせ電話がかかってくるに及んで息子に申し渡した一言がこれ

  私はもう弁解したり嘘をついたりするのはいやだから
  とにかく日本を出ていってくれないか、
  どこでもいいから外国とやらに行ってくれないか・・・

 本書ではサラッと書いてますが、これってすごい発言ですぜ! 一流大学を卒業して一流企業に就職するハズだった息子が、ブラブラしたあげくルポライターになったのに、息子の弁護をするのがイヤだからどこでもいいから外国に行って来いって、凡百の親がはける発言じゃないって! 普通の親なら”関係にワビ入れてマジメに働け!”でしょ?
 まあ、それで出ていく息子ってのも思い切りがいいのは確かですが・・・

 で、一方息子の方。シンガポールのサテー屋でニュージーランドから大学を中退して世界一周に出かけた若者二人にいろいろ蘊蓄たれることに。そこで何気なく聞いた”どのくらいの期間でまわるつもり?”の答え”三年か、四年”にショックを受けることに。”旅行から帰ったらどうするつもり?”と聞くと暗い顔つきで”わからない”と・・・

 沢木耕太郎のモノローグ

  あるいは、彼らも人生における執行猶予の時間が欲しくて旅に出たのかもしれない
  だが、旅に出たからといって何かが見つかると決まったものでもない
  まして、帰ってからのことなど予測できるはずもない
  わからない。それ以外に答えられるはずがなかったのだ
  そして、その状況は私にも大して変わらないものだった
  わからない。すべてがわからない
  しかし人には、わからないからこそ出ていくという場合もあるはずなのだ
  少なくとも、私が日本を出てきたことのなかには、
  何かが決まり、決められてしまうことへの恐怖ばかりではなく
  不分明な自分の未来に躙り寄っていこうという勇気も
  ほんの僅かながらあったのではないかという気がするのだ・・・

 引用が長くなってすいません。”執行猶予”って言葉がココロに引っかかったモンで
に登場する”モラトリアム”や”ニート”のようになんだかオブラードにつつんだような語感とは違って(*3)、もっとストレートで切迫感のある状態っぽくって。
 雑駁ないい方ながら”モラトリアム”が大人になることへの拒絶であり、”ニート”が通学も就業もしていない状態(*3)とまったく同じではないですが、時代を経るほど”働たらかない”ということへの意識が自覚的でなくなっていくような
 少なくとも本書では”何かが決まり、決められてしまうこと”=”執行”をされてしまうことへの恐怖を自覚してるようだし、”未来に躙り寄っていこうという勇気”をもって今の状況を選択している自覚があるようだし。

 まあ、なんとなくですが、1970~80年代には猶予期間にお金ももたずに海外に行くってアクティブさがあったし、もうちょっと前だとヒッピームーブメント(*4)みたいな政治的メッセージみたいのもあったようですし(さすがにこの時代は良く知らんですが・・) つまり”外向的”な若者イメージがあったんじゃないかと
 それに比べて今だと”引きこもり”が増えていますみたいな”内向的”なイメージが前面にでているような(まあ、社会問題化しているのはたしかですが)
 ”執行猶予”ってのは必ずどこかで”執行”されるわけで、別に執行されなくなる訳じゃない。であれば、執行までの時間をどう作るか、使うかが重要なんだろ~な~と思う訳であります。

 なんでこんなこと考えるかというと、定年を指折り待ってる歳になってくっと、その後の人生って自分の葬式までの執行猶予期間かな~~とこの本を読んで思っちゃったからかも。どうせ何時かは執行される葬式なんだから、定年したあとにできる自由な時間に旅暮らしなんかも悪くないかもなんて考えちゃいます。ということで、キャンピングカーに乗って全国旅に出ている人の本なんかも読みだしちゃって。
 あとは残った住宅ローンをどう片付けるだけか・・・

《脚注》
(*1)進め!電波少年
 1992年から98年に日本テレビ系で放送されたテレビ番組。アポなしでいろんなとこ押し掛けてムチャぶりなお願いするという企画などで当時はけっこう人気あったような。上記のユーラシア大陸横断ヒッチハイクは1996年の放映だそうです。
 しかしこの企画もももう20年以上前なんだな~~
(*2)”モラトリアム”や”ニート”のように~
 ”モラトリアム”は1978年の”モラトリアム人間の時代(小此木啓吾、中公文庫)、)の”ニート”は2004年の”ニート―フリーターでもなく失業者でもなく(玄田有史、曲沼美恵 幻冬舎文庫)”が出始めだとか(wikipediaより)。
(*3)”ニート”が通学も就業もしていない状態
 誤解のないように補足しますが、”ニート”は”15〜34歳の非労働力人口の中から、求職活動に至っていない者(専業主婦を除く)”であって、決して労働意欲がないわけではないそうです
(*4)ヒッピームーブメント
 既成の価値観に縛られない生活信条とかベトナム戦争への反対からの徴兵拒否とかがベースにあったようです。

ハンドメイド 宇宙のロマン、ソフトでもハードでも(進め!なつのロケット団/増上寺 天の川ライトアップ2017)

 ども、”無限に広がる大宇宙(*1)”なおぢさん、たいちろ~です。
 7月7日と言えば”七夕”。仙台在住が長かったうちの奥様は8月と思ってましたが(*2)。あんまし天文とかに詳しくない私でもこの日だけは”宇宙のロマン”みたいな話題に乗っかっちゃうモンです。
 世の中に”鉄”と呼ばれる鉄道オタクがいますがこの趣味も”乗り鉄”、”撮り鉄”、”録り鉄”、”車両鉄”、”駅弁鉄”(*3)と人それぞれのようですが、天文マニアってのもいろいろバリエーションがありそうです。オーソドックスな天体望遠鏡で宇宙を観察する”見上げてごらん、夜の星を派”、宇宙飛行士を目指す”宇宙兄弟派”といったハード系から、星座に思いを馳せる”聖闘士派”、今や市民権を得たと言っても過言ではない(過言かな?)”SFヲタク”などソフト系まで。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな天文マニアな趣味より、ハード系な話”進め!なつのロケット団”とソフト系な話”増上寺 天の川ライトアップ”のご紹介であります

写真はたいちろ~さんの撮影。増上寺 天の川ライトアップ。
分かりにくいですが、上左が増上寺大殿、中央上の青く光っているところが東京タワーです

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【本】進め!なつのロケット団(あさりよしとお、白泉社)
 小学生たちが集まってロケットを作るという”なつのロケット(あさりよしとお、白泉社)”というお話から、リアルでロケットを作っちゃうという”なつのロケット団”(キャラクターは”なつのロケット”と同じ小学生)のお話に。
 著者は”まんがサイエンス(*4)”の著者でもあるあさりよしとお。”宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた 実録なつのロケット団(あさりよしとお、学研プラス)”というのもあります(まだ読んでないけど)
【旅行】増上寺 天の川ライトアップ2017
 正式名称は”増上寺七夕祭り 和紙キャンドルナイト2017”。2017年7月7日に増上寺境内で開催。企画運営は多摩大学 村山貞幸ゼミ 日本大好きプロジェクト
 三解脱門(正門)から大殿(本堂)までの全長80mに約2,700ケの和紙キャンドルを並べて天の川を表現したもの。けっこう綺麗でしたよ!


 ということで、ハンドメイドでロケットを作っちゃうというハードな話から。
 七夕といえば宇宙ネタってことでしょうか、7月6日に”ホリエモンロケット 7月29日打ち上げ 成功すれば民間初”つ~ニュースが出てました。内容を要約すると、宇宙ベンチャー”インターステラテクノロジズ”が開発した小型ロケット(直径約50センチ、全長約10メートル、重さ約1トン)を7月29日に打ち上げると発表、高度100キロ(大気圏と宇宙空間の境界)まで上昇し、通信試験などをするのが目的、成功すれば民間単独によるロケットの宇宙空間への到達は日本初”といったもの。なぜホリエモンが出てくるかというと、本書の”なつのロケット団(リアルのほう)”が始めたプロジェクトがインターステラテクノロジズの前身で、さらにインターステラテクノロジズを創業したんが元ライブドア社長の堀江貴文からです。

 ”莫大なコストのかかる宇宙開発を民間企業なんかでできるんかい?!”と思われるかもしれませんが、実際やっちゃってる訳ですし。ただし、これはペイロードなり到達高度なりをかなり制限しているからです。このへんの話が本書の”誕生秘話 なぜ我々はマンガの中のロケットをリアルに作りはじめてしまったのか”に詳しく出ています。
 日本独自の有人宇宙飛行プランを提唱したものの国家に受け入れられなかったメンバーが”じゃあ、民間で有人ロケットを上げちゃえば”という話に。で、ホリエモンを巻き込んでロシアから買ったらと見積もりしたら足下見られて想定の10倍以上の見積もりに。ここでホリエモンからの提案

  自分の手で作るんだよ
  たとえ実用にならなかったとしても・・・
  選択肢があるとなれば相手も無視できない
  それにロケットエンジンの何たるかを知らない人間が交渉などおこがましい
  ロケットエンジンについて技術的な方向から語れない人間が
  対等な話ができるわけないじゃないか

 この発言、ホリエモンって実はすごいんじゃないかと。”選択肢を作るため”、”技術的なバックボーンをもって交渉力を高める”って、言うのは簡単ですが実際にやるってのはけっこう大変なことですし、そもそもなかなか発想しないでしょ!
 その後、ホリエモン逮捕だとかなんだとかあっていったんプロジェクトは挫折するんですが、夢が捨てられない有志が集まってプロジェクトが再起動(*5)。で、今日につながると・・・

 本書は”民間(小学生)によるハンドメイドのロケット開発”ていう内容なんですが、成功したり失敗したりと紆余曲折ありますが、やっていることは意外に地味。まあ開発なんてそんなもんでしょうが・・・ でもけっこう面白いんですね、これ。科学的な解説なんで分かりやすくのっかってるし、何のためにこれやんだっけみたいなものも明確。子供向けのマンガっぽいですが、大人の方にもお勧めです。

 さて、ソフトは話つ~ことでハンドメイドで天の川を作っちゃう”増上寺 天の川ライトアップ”のネタです。
 ハンドメイドで宇宙を作るといっても”フェッセンデンの宇宙(*6)”みたく実際に作っちゃうSFもありますが、それはまた別の話。ここでのお話はいわゆる”見立て”です。”見立て”といってもバカにしたもんじゃないです。”プラネタリウム”だって立派な”見立て”でしょ? 重要なのは”見立て”に何を求めるか。科学館にあるプラネタリウムみたいに科学的な正確性を求められるものもありますが、そこそこなら手作りキットだって売ってるし、専門家がやればかなり高度なものでも手作りできちゃうみたい。要は学問的・教育的な観点を求めるか、イメージとして宇宙への興味を高めるか。子供たちが”天の川”というものに興味を持って、実際の天の川を見たいとか(東京ではなかなか見れませんぜ!)、宇宙のことをもっと知りたいと思うなら”見立て”だって充分役にたってるんじゃないかな
 まあ、浴衣デートでちゃいちゃしてるだけのおにいちゃんとおねえちゃんはこのあとホテルでの”良いではないかゴッコ(*7)”のことだけ考えてりゃいいんです。ケッ!

 すいません、取り乱しました。”天の川ライトアップ”は”日本大好きプロジェクト”という伝統文化伝承って位置づけで”天文”ってカテゴリじゃないんでしょうが、”伝統文化”に興味を持つ人が出てくればそれはそれでOKでしょう。
 すなおに”綺麗”ってだけでもまた良しなんでしょうね

 来年も開催されるかどうかは分かりませんが、JR浜松町駅、地下鉄御成門駅や大門駅から歩いて行けますし、21時と東京近郊の人なら会社が終わってからでも行けますんでご興味のあるかたはぜひどうぞ

《脚注》
(*1)無限に広がる大宇宙
 ご存知”宇宙戦艦ヤマト”のナレーション。このアニメのパート1の放映が1974年だから、もう40年以上もなるんだな~ 1978年公開の映画”さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち”のリメイク版”宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち”が2017年に公開開始。脚本が福井晴敏となるとやっぱし観ちゃうんだよな~~~
(*2)仙台在住が長かったうちの奥様は8月と思ってましたが
 東北三大祭りの一つ”仙台七夕”は旧暦なので8月6~8日に開催。関西出身ですが仙台在住が長くなると、意外と簡単にカレンダーが上書きされるようです
(*3)”乗り鉄”、”撮り鉄”~
 電車での旅行を楽しむ”乗り鉄”、鉄道や風景の写真を撮りまくる”撮り鉄”、発車メロディーや車内放送を録音する”録り鉄”、キハだのクハだのにやたら詳しい”車両鉄”、電車というよりグルメ系?な”駅弁鉄”。
(*4)まんがサイエンス(あさりよしとお、学研プラス)
 学研の”5年の科学”、”6年の科学”などで連載されていた科学学習漫画。本来は子供向けなんですが、大人が読んでも面白いしためになる本。お勧めです。
(*5)夢が捨てられない有志が集まって~
 あさりよしとおがプロジェクトを受けた理由
  まー 世の中にはやっていい事と、やったら面白い事がある・・・
  がモットーだしな

 いいですな~~、このノリ!
(*6)フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ハミルトン、河出文庫)
 アメリカのSF作家エドモンド・ハミルトンによる短編SF小説。天文学者フェッセンデンが実験室で人工の宇宙を作っちゃうというお話。科学者のはずのフェッセンデンが神様モードになっちゃうというのが秀逸です
(*7)良いではないかゴッコ
 別名”帯クルクル”
  拉致された町娘:あれ~、お殿様、お戯れを
  お殿様    :良いではないか、良いではないか
(以下自主規制)

外部記憶装置なしにはさっぱりついて行けん会話だな(クラウド時代の思考術/狐)

 ども、広大なネットにたゆたうおぢさん、たいちろ~です。
 ”攻殻機動隊 S.A.C.(*1)”というアニメにこんなシーンが出てきます。電脳化という技術で人間の脳とインターネットがダイレクトに接続されている未来。通称”笑い男事件”とよばれるサイバーテロ事件の首謀者”笑い男”と、その事件を追う公安9課の”草薙少佐”が図書室(草薙少佐曰く”まるで情報の墓場”)で対峙する場面での会話ですが、なんせ会話に出てくるのがドアノーにサリンジャーにジガ・ヴェルトフにフレドリック・ジェイムソンに大澤真幸(*2)。後から登場した公安9課の”荒巻課長”の一言がこれ。

  さっきから聞いていたが、外部記憶装置なしにはさっぱりついて行けん会話だな

 その通りで、私もまったくついて行けませんでした。
 最近のネット技術だとダイレクトに脳と接続まではいきませんが、テキストのみならず会話や画像なんかも検索できる社会にはなっとりますが、だからといってそれが知的な会話や判断に結びつくかどうかはまた別。
 ということで、今回ご紹介するのは、クラウド化する社会と知性のお話”クラウド時代の思考術”であります


写真はたいちろ~さんの撮影。京都”伏見稲荷”で見かけた狐の絵馬です
多くの絵馬がいろいろ見つめている図はちょっと象徴的かも

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【本】クラウド時代の思考術(ウィリアム・パウンドストーン、青土社)
 ”検索”によりさまざまな情報が調べれる現代における知のあり方をまとめた本。
 原題は”Head in the Cloud:Why Knowing Things Still Matters When Facts Are So Easy to Look Up(クラウドの中の頭脳。事実を調べるのがとても簡単である時、まだものを知っていることが重要ですか
 邦題で見るとなんかのノウハウ本のようですが、これはミスリードじゃないかなぁ
【動物】
 ネコ目イヌ科イヌ亜科の一部。狭義にはキツネ属のこと。
 本書ではキツネを”さまざまな要素を取り入れる折衷主義者で、多くのアプローチに開かれていて、矛盾をこともなく容易にこなすことができる”象徴として出てきます。(これに対するのが”ハリネズミ(*3)”)


 本書から面白かったトピックをいくつか

〔無知の人は自分の無知を知らない:ダニング=クルーガー効果〕
 ”ダニング=クルーガー効果”というのは心理学者のダニング教授と大学院生のクルーガーが1999年に発表した”未熟さと無知 自分の無能力を認識できないことが思い上がった自己評価を導く”という実も蓋もない論文によるもの。簡単に言うと

 知識や技術にもっとも欠けた者の特徴は、知識や技術の欠損をまったく理解できない
 獲得点数の低い人は高い自己評価をし、高い人は低い自己評価をする

というもの。確かに知らないということを知らなければ”自分は知ってる”と勘違いすることもあるんでしょが、予想以上の結果だったとか

〔知識がある人のほうが所得が高い傾向がある(但し書き付き)〕
 質問事項にもよりますが、知識を豊富な人々はたくさんのお金をかせぐんだとか。
 いろんなパターンで実証してみるとそんな傾向があるようで、同じモデル(パターン)の人で比較したケースでは倍ほど違うなんてのが記載されてます
 これは、知識のある人のほうがない人よりさまざまな質問に対してクリエイティブな解決策を導き出せるからとか、お金の扱いを学んでいるとかなんて理由が指摘されています。

〔相関関係と因果関係は違う〕
 上記の但し書きがこれ

  相関関係は因果関係を証明していない
  相関関係の欠如を因果関係が間違いであることを証明する

というもの。上の例だと知識があることが理由で裕福になっている可能性以外に、裕福だと余暇の時間が十分にあるのでニュースを観たり本を読んだりできるので知識が豊富とか、親が裕福(第三の理由)で子供が金持ち、知識があるという理由も推察されています。
 概して統計データってのは事実は同じでも解釈が違ったりするんで、このへんもちゃんと突っ込んでいるのが好感できます。

〔学ぶことの意義:グーグル効果〕
 覚えておかなくてもアーカイブで保存できる(グーグルみたいの)だと非常にしばしば忘れ去られてしまうってこと。まあ”検索すりゃかわる”と思えばいちいち記憶しようなんて思わないのもわかりますが。
 受験生時代(はるか昔ですなぁ)だと、まず”覚えること”が山ほどあったんで、”なんでこんなこと覚えにゃならんのだ!、これを覚えてなんの得があるんだ!!”と思ったもんですが、今の若い人ならなおさらでしょうなぁ。
 知識を身につけるためにかかるコストが、知識を身につけたことによる利得を上回ることはままあること(てか、ほとんどの知識ってそうじゃね?)。まあ、覚えなきゃ受験に合格はしないんですけどね・・・ 本書でもロンドンのタクシードライバーが仕事に付くために要求されるテストがGPSナビにとって代わられるなんて話が出てきますが、クラウド化すりゃますますこのアンバランスが拡大するんでしょうね

〔学ぶことの意義:学習はすぐれた脳の機能を生み出し、より高い所得をもたらす〕
 上記に対しての救いの言葉(かな?)がこれ
 知識と所得の相関関係について考えられる説明として

  学習が認識能力を改善するということだ
  この能力はほとんどどんな仕事―― 一生従事する職業も含めて ――にも役に立つ
  学習はすぐれた脳の機能を生み出し、より高い所得をもたらす

ってのが書いてます。ちょっとは気休めになりますか、受験生のみなさん

〔キツネのように幅広い一般知識の取得を第一とする哲学は逆風に。だが・・・〕
 本書の最終章には、キツネのように幅広い一般知識の取得を第一とする哲学は逆風にさらされていて、ハリネズミのような大きな概念に関連づけるやり方のほうが支持されているてな記述があります。なぜなら情報はクラウド(ネット)にあって必要に応じて利用できるから。本書の結論としてはこれではダメなんだとか。これは情報をきちんと持っていることは、その文脈についても情報をもっているということ。

  それ(文脈)は、個々のものの評価を可能にしてくれ
  われわれが知らないことに、きわめて重要な洞察を与えてくれる全体への展望だ

 まあ、ブチブチの情報だけではなくって、全体の流れを含めた情報や認識能力がなきゃ、ネットにつながってるだけじゃ不十分ってことなんでしょうかね

 まあ、冒頭の笑い男と草薙少佐の会話もみたいに電脳空間にダイレクトにつながってなけりゃ成立しそうにないってのもありますが、これって単なる知識のひけらかしじゃないんですね。

  草薙少佐:それは経験から導きだされた貴方の言葉?
  笑い男  :Yes

 ネットと検索がはびこる世の中、この質問ってより重要になるんでしょうね、きっと

《脚注》
(*1)攻殻機動隊 S.A.C.(原作 士郎正宗、監督 神山健治、バンダイビジュアル)
 正式名称は”攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX”。現代のネットワーク社会が究極進化するとこうなりそうな未来社会を描いたSF。テレビ版は全26話ありますが、160分にまとめた総集編”攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man(バンダイビジュアル)”もありますので、初めての方はこちらをどうぞ。上記のセリフは総集編版のです。
(*2)ドアノーにサリンジャーにジガ・ヴェルトフに~
ドアノー:ロベール・ドアノー。フランスの写真家
J.D.サリンジャー:アメリカ合衆国の小説家。”ライ麦畑でつかまえて(白水社)”など
ジガ・ヴェルトフ:ソビエト連邦の映画監督。”カメラを持った男(メディアディスク)”など
フレドリック・ジェイムソン:アメリカの思想家。”政治的無意識(平凡社)”など
大澤真幸:日本の社会学者。”ナショナリズムの由来(講談社)”など。
 すいません、どれも読んだり観たりしてません。
(*3)ハリネズミ
 ハリネズミ目ハリネズミ科ハリネズミ亜科に属する哺乳動物の総称。
 本書では”すべてのことを、ある一つの中心となる大きな概念に関連づけるエキスパート”と記されています

山登りには星座早見盤を持って!(野尻抱影 星は周る/富士裾野演習場)

 ども、そろそろ”死兆星(*1)”が見えそうな歳になりつつあるおぢさん、たいちろ~です。
 ペンネームというのは本人の自由に付けられるので、意図的によく似た名前ってのがでてきます。まあ、オマージュの一種なんでしょうがこれが漫画みたいに絵柄が違えばすぐに気が付くでしょう。まあ、絵柄をひと目見れば山上たつひこと山止たつひこを混同する(*2)なんてことはなさそうですし。
 でも、これが文章のみとなると、読んでみないとわかんない。うっかりするとちょっと読み進めてから”あれっ?”ってことも。ましてやジャンルが同じだとなおさらのことです。
 ということで、今回ご紹介するのは、女子高生をロケットで宇宙に飛びださせたりしない方の”野尻さん”の本”野尻抱影 星は周る”であります


写真はたいちろ~さんの撮影。旧”富士裾野演習場”、現”陸上自衛隊 東富士演習場”です。

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【本】野尻抱影 星は周る(野尻抱影、平凡社)
 ”星の文人”と呼ばれた英文学者にして天文随筆家だった野尻抱影による随筆集。
活躍したのは1920年代半ばからで没年1977年と戦前戦後の時代の人ですが、今読んでも十分面白いです。
【旅行】富士裾野演習場
 富士山東麓の御殿場市、小山町、裾野市にまたがる陸上自衛隊の演習場。面積は約88㎢。行った時はどこからが演習場かわかりませんでしたが、とにかく人家もない広大な敷地だったのは確か。
 写真は2013年の”富士総合火力演習(*3)”の予行演習の時のもの。左側が標的になっている台地、右下にちっちゃく写っている戦車っぽいんは”99式自走155mmりゅう弾砲”です。こいつを始め、10式戦車多目的誘導弾だを使って実弾ぶっぱなすんですから、近くに家なんかあろうはずがございません。


 すいません、実はこの本”野尻 抱介”と間違えて借りたんですな。こっちは”ロケットガールシリーズ”、”ふわふわの泉”、”南極点のピアピア動画”(ともに早川書房)などを書いたSF作家。上記の”女子高生をロケットで宇宙に飛びださせた”のは”ロケットガールシリーズ”のことです。いや~~、最初はまったく気付かんかったんですが、読んでみるとこれがけっこう面白い。気にいったとこをいくつかご紹介。

〔宇宙の知識は変わっていく〕
 最初に違う人の本を読んでると気が付いたのが本文の中でアンドロメダ大星雲までの距離が95万光年、註で約250万光年とあったから。科学技術の発達で変わったんでしょうか。これなかったらもうちょっと先まで誤解したまま読んでたかも。
 ちなみにこの人は”冥王星”の和訳命名者だそうです。発見されたのは1930年でこのころはまだ惑星でしたが、2006年に”準惑星”に。科学の進歩がいろいろ変えてくんですな。

〔変わらないのは星の悠久感〕
 逆に星座の位置の形や星の位置は数万年たっても目立った変化はないとのこと
4000年前のミイラやギリシャの詩人ホーメロスを現代に甦らせて星を見せてもその当時とほとんど変わらないだろうという感覚って、言われてみればすごいな~~

〔望遠鏡で星を覗くのは距離を近づけるのと同じ〕
 200倍の倍率で望遠鏡を使って星を見るということは1/200だけ星の位置がこっちへ近づくってこと。あるいはこっちが地球を離れて星に近づくってこと。この感覚ってすごいな~~っと感心。だって上記のアンドロメダ大星雲だったら10万光年分ですぜ!!
 そりゃ、実際に近づくわけじゃないことは百も承知ですが、でもこれってロマンを感じませんか?

〔減っているのは星の数〕
 科学の発達で望遠鏡の倍率は高くなったかもしれませんが、逆に見える星の数は減っているみたい。野尻抱影は桜新町に住んでましたが、戦前に比べると星数がげっそり減ったと。駒沢球場(1962年に廃止。現駒沢オリンピック公園)でナイターがあると天頂までダメになるとお嘆き。ほかにも横浜の空明かりでカノープスが見えなくなったなんて話が出てきます。まあ、今の感覚から言うと桜新町あたりで夜の星が見えたってほうが驚きです。行ったことないけど(*4)。

〔山の頂でみる星が良い〕
 じゃあ、どこがいいかというと高い山の頂驚くばかり鮮やかで数も夥しいと。友人から聞いた話として、奥穂高で北斗七星の枡の中の小さい星が数えられたとか、富士の裾野へ演習に行った人が北冠座(かんむり座)で細かな星が直角三角形をなしているのを見たとかの話を紹介

 こんな星は、下界では、特に都会の濁った空では見えないのが普通である

 富士の裾野が山かどうかってのはありますが、要は回りに空を照らすような明かりがない所。ビルや民家がない広大な演習場って確かに星は綺麗にみえそうです。民間人なら山の上もそう。空気も澄んでいるんでなお良いんでしょう。私も山登りをしますが確かに山での星ってすごいんですよね!

〔山行であると同時に、時には星行〕
 ことほどさように山と星ってのは相性が良いようで、山と星の話題もいくつか出てます。そん中から下記の名言をどうぞ

  願わくばアルピニストの紀行も、山行であると同時に。時には星行出会って欲しい
  これは独り天文ファンのみからの註文ではないと思う
  かつ登山家自身が星を知ることによって登山の楽しみを加え得ることは
  おそらく予想以上だろう

 今年は夏休みで八ヶ岳に行く予定ですが、星座早見盤でも持っていきましょうかね。最近はスマホのアプリもあるみたいなんで荷物にもならなさそうだし。むしろ星観る前に酔っぱらって寝てしまわんようにしなくっちゃ!

《脚注》
(*1)死兆星
 北斗七星の脇に輝く小さな星”死兆星”が見えると死ぬという。”北斗の拳(武論尊、原哲夫、集英社)”でのフィクションだとばっかり思ってたらホントに”アルコル”というのがあって、”見えると死ぬ”、”見えないと死ぬ”という伝説が各地にあるんだとか。へぇ~~
(*2)山上たつひこと山止たつひこを混同する
 ”山上たつひこ”は”がきデカ”、”喜劇新思想大系”などで一斉を風靡した漫画家。”山止たつひこ”は”こちら葛飾区亀有公園前派出所”の作者”秋本治”のこち亀連載開始当時のペンネーム。実際に100話まではこのペンネームだったとか。まあ、40年以上前の話ですけど。
(*3)富士総合火力演習
 東富士演習場で行われる陸上自衛隊の演習の一つ。実弾をぶっ放す戦車が走りまわり、戦闘ヘリが飛び回りとその手の好きモン垂涎のイベント。一般公開はされているものの競争率が28倍(2016年度 陸上自衛隊hpより)となかなかのプラチナチケットです、はい。
(*4)行ったことないけど
 隣駅の駒沢大学駅は先日行きましたので、一応。東急田園都市線の桜新町駅は渋谷から4駅目、距離にして6キロ程度に位置します。

カレル・チャペックのパーソナリティとは無関係に職業選択の自由が保障されている以上、SF作家が園芸家だってよい訳で・・・(園芸家12ヶ月/カレル・チャペックの家)

 ども、こう見えてIT企業に勤めるおぢさん、たいちろ~です。
 ある仕事をしている人ってのは、なんとなく特定の趣味を持っているようなイメージがあります。IT企業に勤めていると家でも日長夜長パソコンをいじっているような感じがしますし、自動車メーカーに勤めていると休日にはドライブに行ってそうだし。職業的にも警察官は推理小説がお好みだったり、本屋さんだと寸暇を惜しんで本を読んでたり。作家だと、恋愛小説家は恋を夢見る妄想にふけり、SF作家は科学の専門書を読みふけり。まあ、推理小説家が趣味で殺人を企てているとは言いませんが・・・
 実際は職業的イメージと本人の趣味が必ずしも一致するわけではないでしょうが、さすがに最先端のSF作家の趣味が園芸だとなるとちょっと意外感があろうかと
 ということで、世界で最も有名はSF作家による園芸の本”園芸家の12ヶ月”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。花菜ガーデンにあるカレル・チャペックの家です

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【本】園芸家12ヶ月(カレル・チャペック、中公文庫)
 チェコの作家カレル・チャペックによる園芸マニアの生態を描いた?エッセイ。今風だと園芸オタク?? エスエフのエの字も出てきませんのでSFファンの方には肩すかしかもしれませんが、そのマインドはSFオタクに通じるものがあるかと。
【旅行】カレル・チャペックの家
 神奈川県平塚市の神奈川県立花と緑のふれあいセンター”花菜ガーデン”にあるカレル・チャペックの家と庭をイメージした建物(休憩所)です。私が行った時にはチューリップ祭りやってて、そのほかにもネモフィラ、やフロックス、アネモネ、梨、レンギョウなんてのが咲いてました。結構広い公園で入場料520円(5月のピークシーズンは880円)とリーズナブル。園芸マニアの方はぜひどうぞ

 カレル・チャペックという人、今さらですが戯曲”R.U.R(*1)”の中で世界で初めて”ロボット”という言葉を使った人です(本人曰く、ロボットという言葉を作ったのは兄のヨゼフだとか)。チャペック自身は作家、劇作家、ジャーナリストですので(wikipediaより)必ずしも理系の人という訳ではなさそうですが。
 まあ、チャペックのパーソナリティとは無関係に職業選択の自由が保障されている以上、チャペックにはなんの責任もない訳ですが(*2)、それにしてもSF作家と園芸家のギャップってけっこう大きいよなぁ・・・

 でも、本書を読んでると園芸家の生態と現在のSFオタクの生態って微妙にオーバーラップするところがあるかと。
 なんせ、ありとあらゆる種類の苗を植え、マニアックな品種の違いにこだわり、所狭しと苗を植え、隙間があろうもんならさらに新しい苗を植え、人には珍しい苗を自慢し、人が自慢するのはなんとか手に入れようとし、品種にこだわるとすべての種類を集めないと居ても立ってもおられず、普通の人なら見向きもしないような土壌の改良に情熱を傾け、お休みするはずの冬にもカタログで集めるべき苗の注文にいそしみ etc、etc、etc

 これってSFオタクと同じ?!
 ありとあらゆるSFを読み、マニアックなストーリの見解にこだわり、所狭しと本を並べ、隙間があろうもんなら更に新しい本を買い、人にはレアアイテムを自慢し、人が自慢するアイテムは古本屋を駆けずり回っても手に入れようとし、ジャンルにこだわるとすべての本を読了しないと居ても立ってもおられず、普通の人なら見向きもしないようなマイナーな知識の吸収に情熱を傾け、お休みするはずの(しないけど)のレジャーシーズンにも読むべき本をAmazonでポチットし etc、etc、etc
 そこ、炎上させないように!

 このブログで園芸家向けの人も読むかもしんないんでそっちの話も一つ。
 私自身、土地を借りて園芸ってか野菜作りをしてた時期もありまして。てか花は一切植えず食べられるものしか植えてないというのが正確な表現です。
 チャペック自身はアンチ野菜作りの人のようで、一時期野菜作りをした時のことがトラウマみたいです

  むろん、一種のローマンチシズムから、
  自分は百姓になったような幻想にひたりたいためだった。
  ところが、間もなくわたしは、
  一日に百二十個の廿日ダイコンをひとりで平らげなけねばならないことがわかった
  うちじゅうでもう、みんなが食べようとしなくなったからだ

 野菜というのは一度育ててみれば分かりますが、ある時期にいっぺんに大量に収穫できます。まあ、長期間にわたってずっと採れるものもありますが、それでも1~2ケ月というレンジです。まあ我が家の場合は少なくとも家族は喜んで食べてくれましたんで、一人で平らげることはなかったですが(*3)、それでも会社におすそ分けするとかしないとさばききれんかったですねぇ。確かにある程度の面積で家庭菜園やる時のネックかもしれません

 本書は、まったく園芸の本なので図書館で探される場合は日本十進分類法で”園芸(620)”のコーナーにあります(私が借りた時はそうでした)。SFとはまったく縁のない本ですが、それをさっぴいても面白いですよ。

P.S.
 最近、近所で土地を貸していただけることになり家庭菜園を再開いたしました
 久しぶりの鍬使いで筋肉痛でピキピキですが・・・

《脚注》
(*1)R.U.R
 岩波文庫で”ロボット(R.U.R)”で読めるみたいですが、すいません、まだ読んでません。ちなみに”R.U.R”は”ロッサム万能ロボット会社”の略です
(*2)チャペックのパーソナリティとは無関係に~
 モトネタは川原泉の”空の食欲魔人(白泉社文庫)”より
  しかしながら、それ自体彼のパーソナリティとは無関係に
  職業選択の自由が保障されている以上、彼にはなんら責任はない
  なぜなら、彼はパイロットだった・・・

(*3)一人で平らげることはなかったですが
 その代わり手伝ってくれることもなかったですが・・・

”理系あるある”の名探偵と犯人、似た者同士なんでしょうか?(すべてがFになる/UNIX)

 ども、人生すべてがFinishしそうなおぢさん、たいちろ~です。
 先日、森博嗣の”作家の収支(*1)”という本を読みました。まあ、それは普通なんですが、問題はこの人の小説をまったく読んだことながなったんですな。けっこうなベストセラー作家で300冊近い小説を出しているにもかかわらずです。これは本読みとしては猛省せねばならん! ということでさっそく代表作を。
 ということで、今回ご紹介するのは森博嗣のデビュー作にして代表作”すべてがFになる”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
カリフォルニア大学バークレー校
(UCB University of California,Berkeley)のセイザータワー(Sather Tower)です。

本書には関係ないんですが、行ったことあるので自慢したくて載せました。すいません

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【本】すべてがFになる(森博嗣、幻冬舎新書)
 孤島にある研究所の密室で天才工学博士”真賀田四季”が死体となって発見された。偶然、居合わせた建築学科の助教授”犀川創平”と彼の生徒である建築学科1年生”西之園萌絵”はその謎を解こうとするが・・・
 1996年に出版、第一回メフィスト賞(*2)を受賞した理系ミステリーの名作です
【コンピューター】UNIX
 本書にコンピューターのOSとして”レッド マジック(red magic)”というUNIX系のオリジナルバージョンが出てきます。このUNIX系のバージョンのひとつが上記のUCBで開発された”BSD(Berkeley Software Distribution)”。多数のノーベル賞受賞者を輩出し、孫正義をはじめとするハイテク系企業の起業者も多い名門大学とタメはることをやってんですから真賀田四季ってのはやっぱ天才なんでしょうな。
 ちなみにUNIXライクなLinuxというOSのディストリビューションに”レッド ハット(Red Hat)”ってのが実在します。(提供するレッドハット社の起業は1993年)

 さて、本書の建てつけは”密室の謎とき””孤島モノ”といわれるジャンルになります。交通や通信が途絶し、出ることも入ることもできない孤島や閉ざされた館の中で次々起る殺人事件・・・ ってとこですが、従来の孤島モノと違うのが、古びた洋館じゃなくて孤島にある最新のコンピューターで制御されたハイテク研究所が舞台だって所です。密室を証明?するのに画像データや操作ログを確認するだの、メール発信ができない原因を調べるのにプログラムをチェックするだの、普通の推理物とはかなり違うアプローチ。それ以外にもロボットに殺人ができるって話題は出てくるわ、自然言語解析によるコントロールを実用化してるだとかテクノロジーの話題が満載。さすがに1996年の出版なのでIT系のガジェットは一昔前のものもありますが、そんなに古いって感じじゃないです。

 本書は”理系ミステリー”と称されているそうですが、こういうテクノロジー系の話題が多いからかって~と、読んだ感じはちょっと違うかな。確かに本書は探偵役にワトソン役が建築学、殺された真賀田四季を始め研究所の人はコンピュータ関係者、本書では唯一文系の記者”儀同世津子”もパズル好きと理系資質、登場人物がほとんどすべて”理系”の人です。じゃあ理系を集めると理系ミステリーになるかというとそんなことはないわけで、キャラクターが”理系あるある”っぽい造詣だってことのほうが大きいからでしょうか。
 推理小説の”推理”ってのは”ことわり(理)を推し量る”ですんで、名探偵の多くは与えられた状況に対して分析的で推論を組み立てる、つまり”理系的なアプローチ”をやっています(やっていない人もいますが(*3))。ですんで、名探偵が理系的であることには感心しないんですが、本書に出てくる人達の感情や行動パターンがあまりにもあまりにも”理系あるある”っぽいんで。
 偏見に満ちた”理系あるある”がこんな感じ

〔殺人事件ごときでは動揺しない〕
 さすがに死体を見つけたすぐは動揺をみせていますが、すぐに日常モードに移行。だって、手足を切りとられたウェディングドレスを着た死体ですぜ、これ。普通だったら冷静か行動なんかできないんじゃないかと

〔殺人犯がいるはずなのに、あんまし心配していない〕
 ”孤島モノ”の最大のドキドキポイントは、今いる人の中に殺人犯がいるってこと。”次は自分が殺されるかもしれない”という不安や、”犯人はあいつかもしれない”つ~疑心暗鬼がいやがうえでもストーリーを盛り上げるモンですが、そんな様子は皆無。文系だったら、もっとオロオロしそうですが・・・

〔コンピューターを全面的に信じていない〕
 密室トリックを調べるのにやってるのが”プログラム改竄”や”バグ探し”。さすがに最近は”コンピューターは間違えない”と思う人は少ないでしょうが、このアプローチは理系ならではかも。

〔ホワイダニットよりハウダニット〕
 推理小説ってのはおおまかに”フーダニット(Whodunit 犯人は誰か)”、”ホワイダニット(Whydunit 犯行の動機は何か)”、”ハウダニット(Howdunit どのように犯行を行ったか)”に分類されます。で、本書の特徴は完全に”ハウダニット”偏重。”ホワイダニット”が完全に希薄なんですな。まあ、やり方がわかれば誰が、なぜが解き明かされるんでしょうが、”なぜ(何のために)”という話はほとんどなし。てか、謎ときが終わった後でも”なんでそんなことの為に殺人まで犯して!?”と感じちゃうレベルです。まあ、”ホワイダニット”がないから、自分が殺されるって危機感が薄いのかもしれません。

〔存在場所がどんどんバーチャル〕
 本書の冒頭でディスプレイを介した面談てのが出てきます。だいたい面談って目の前に人間がいるモンだと思いますが、これだと相手の人がどこにいるかは問わない状態。後半になると謎とき場面で、ゴーグル型ディスプレイを使ったヴァーチャル・リアリティってのが出てきます。まあ、技術自体は1990年代前半には存在していたし(*4)、登場人物がぜんぜん違和感なく使っているのはいいんですが、問題はシステムがネットワークに接続されるとアリバイを含めたリアルな所在場所の感覚が希薄になるんですな。しかも、それに違和感を感じてなさそう。このへんのネットワーク当たり前感覚は理系的かも。
 ”名探偵、皆を集めてさてと言い”という川柳がありますが、すでにリアルで集まる必要すらないわけで。集まった人の前で”犯人はお前だ!”ってカタルシスすらないんだから・・・ 

 犯人による、犀川助教授の評価

  貴方の回転の遅さは、貴方の中にいる人格の独立性に起因しているし
  判断力の弱さは、その人格の勢力が均衡しているからです
  でも、その独立性が優れた客観力を作った。
  勢力の均衡が指向性の方向に対する鋭敏さを生むのです

 まあ、名探偵をこんな風に分析した犯人ってそういないんじゃないかな。しかも、犀川助教授は”分析していただいて光栄です”と肯定モード。犯人とどこが違うのかという質問に対し”よく似たアーキテクチャーのCPUですけれど・・・”と返すとこなんか似た者同士なんでしょうなぁ

 本書はS&Mシリーズとしてまだまだ続くようですので、がんばって読んでみましょい!


《脚注》
(*1)作家の収支(森博嗣、幻冬舎新書)
 ベストセラ作家と呼ばれながらこれといった大ヒット作もないマイナな作家(本人申告)な”森博嗣”による、自身の収入(印税+もろもろ)と支出(経費)に関する考察。
 詳しくはこちらからどうぞ
(*2)メフィスト賞
 講談社による”面白ければ何でもあり”の文学新人賞(wikipediaより)
 本書以外にも西尾維新(クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い)、辻村深月(冷たい校舎の時は止まる)、新堂冬樹(血塗られた神話)なんてのが受賞。このへんもまだ読んでないな~~
(*3)やっていない人もいますが
 最近読んだのだと、京極夏彦の”百鬼夜行シリーズ”に登場する私立探偵”榎木津礼二郎”なんかがこれ。人の記憶を見る能力を持っているため、推理もなんもないというトンデモ迷探偵です。
(*4)技術自体は1990年代前半には存在していたし
 ただし、リアルに近づけようとするとけっこうな処理能力が必要(最近ではゲーム機でもやってますが、最近のゲーム機の能力ってすごいんですぜ!)。本書の中で背景を雲にすることで計算量を節約しているという記載がありますが、当時のコンピュータの性能を考慮しててほほえましいです、はい。

”山と食欲と私”を読みつつ、紅葉の高尾山に行ってきました(山と食欲と私/紅葉の高尾山)

 ども、山に行くとついつい食べ過ぎてしまうおぢさん、たいちろ~です。
 山登りの基本はというと、一に”体力”、二に”食欲”です。まあ、体力はお分かるになると思いますが、なぜ”食欲”かというと、それ自体楽しみということもありますが、食欲がないと体力が落ちるんですな。バテてくると食欲も落ちてしまいますが、そこでモノを食べたないとさらにへばるという悪循環に陥ってしまいます。私がクラブの時はバテた奴には無理やりにでもメシを食わすってことをやっていました。いや、シゴキとかじゃなくて(*1)
 ということで、今回ご紹介するのは山の飯食いコミック”山と食欲と私”&本書を愛でつつ紅葉の高尾山に行ってきましたです。
 (説明のない写真はたいちろ~さんの撮影です)


【本】山と食欲と私(信濃川日出雄、新潮社)
 OLの日々野鮎美は山と山での食事を愛する”山女”。会社の同僚で主任になった”小松原鯉子”さんは打ち解けてくれない派遣社員の”瀧サヨリ”さんに対し”仕事っちうもんはグルーヴ感が大事やねん”ということで、同じ部署の蛭川さんと4人で高尾山へのリクリエーション登山に行くことに。当日、おとなしそうな瀧さんが持ってきたのは”大鍋”。意外にも大学時代は山岳部に所属していたベテランで・・・(*2)
 (”高尾山リクリエーション編”。第3巻に収録)
【花】紅葉の高尾
 関東地区第二位の紅葉の名所walkerplusランキングより)
 ミシュランガイドで“三つ星”(最高ランク)の観光地という知名度に加え、都心から電車で1時間というアクセスの良さケーブルカーで上まで登れ、道も整備されているという中高年にも優しい山。ただし、ハイシーズンにはすんごく混みます。
 紅葉はだいたい11月中旬~11月下旬ですが、私が行った中旬でもけっこう色づいてきてました。


 高尾山の話の前にちょっと寄り道。
 今回の高尾山リクリエーション編の第一話が”謎の大鍋”ですが、昔の山料理の定番といえば大量に一気に作る鍋を使った料理。いわゆる鍋料理というよりも、カレーや豚汁、ラーメンから焼きそばまでなんでも大鍋で作ってました。
 昔の食事風景です。私のクラブのOBの方が紹介した写真です(1960年頃)

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キスリング(リュックサック)にくくり付けた鉄鍋。瀧さんはアタックザックにカラビナでくっつけてましたが、こちらは風呂敷にくるんで細引き(ロープ)でくくりつけ。同じくOBの方が紹介した写真です(1960年頃)
 私が大学でクラブ活動をしていた1980年代前半はまだ現役で使っていましたが、さすがにもう使っていないかなぁ
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 さて、高尾山です。鮎美さん達は1号路(表参道)を登って高尾山頂で食事、6号路を下山してますが(鯉子さんと蛭川さんは呑み過ぎのためケーブルカーで下山)、私は逆コースで行きました。ホントは同じコースを行くつもりだったんですが、10月29日~11月27日は6号路が登り一方通行だったので。準備不足を露呈してますなぁ・・
 ということで、紅葉のスナップ写真を

 高尾山ロープウェイ、清滝駅付近の紅葉。綺麗に色づいています

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 薬王院山門。山門横の紅葉も綺麗に色づいております

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 山門を入るとすぐ右側におわす天狗様。後ろの木もめっきり紅葉

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 鮎美さん達が記念写真を撮っていた高尾山頂。右側の木も真っ赤に。

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 鮎美さん達が眺めていた山頂からの風景。右側にある木の枝の右側に見えるのが富士山。ちょうど木の後ろが大室山。その左側に蛭ガ岳など丹沢山系が広がっています

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 白く雪の積もった富士山。くっきるとまではいきませんがちゃんと見えました

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 鮎美さん達が瀧さんが作った”山岳部伝統の山ごはん だご汁”を食べたのがたぶんこの付近。写真だと空いているように見えますが、これは時間が早かったから(9時半ぐらい)。この後、めっちゃ混みだしました

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 ケーブルカー高尾山駅近くの展望台より。東京方向です。右下に見えるオレンジ色の建物付近が京王線高尾山口駅があるあたり

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 鮎美さん達が6号路で通った琵琶滝です

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 ここから、鮎美さん達が下山後に寄った京王高尾山温泉”極楽湯”にて

 お食事処の風景。右側にあるのが蛭川さんが寝込んでしまって置いて行かれた”うたた寝処”です。

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 お風呂上がりはとりあえずビール。おつまみは長芋千切りに海老入り山芋がんもと芋づくし。がんもは揚げタコ焼きっぽくって美味しゅうございました

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 シメは鮎美さん&瀧さんが食した”とろろそば”。ちょと細麺めで、とろろに絡んでするっとのど越し。美味しゅうございました。

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 最後にこれから出かけられる方にご注意。行きやすい山とはいえ、それなりに上り下りはあるので、体力を考えながら登ったほうがよいですし、下りもヒザに負担がかかりますのであまり無理をしないように。
 あとはっきりいってめちゃくちゃ混みます。特にケーブルカーは長い時は1時間待ちもあると駅でアナウンスしてました。早めに登って早めに下山されるほうがよいかと。

 とにかく美しい山ですので、ぜひ楽しんできてください

《脚注》
(*1)いや、シゴキとかじゃなくて
 お腹がすく、つまり血糖値が下がって力が入らなくなることを”シャリバテ”と言います。意味はご飯=シャリが足りずにバテてしまうから。別名”ハンガーノック(hunger knock 空腹でノックアウト)”。いわゆるガス欠状態です。回復するにはすぐにエネルギーに変わる甘いもの(糖質)などを食べることです。
(*2)山岳部に所属していたベテランで・・・
 本人は”一番厳しかったのは積雪期の北アルプス・・ 蝶ヶ岳ですかね・・”とさらっと言ってますが、これはかなりの上級レベル。私もさすがに冬には登ったことはないですが、素人が下手に登ったらおそらく死の危険のあるレベルです。

おれのラーメンのつくり方はただひとつ おいしければいいってこと!(包丁人味平/東京ラーメンショー2016)

 ども、けっこうラーメン好きなおぢさん、たいちろ~です。
 料理の中で”ラーメン”ってのはかなり面白いポジションを占めてんじゃないかと思います。プロが作るラーメンって確かに美味しいですし、スープや具なんかもバリエーションに富んでるし。でも、素人が作っても(まあ、インスタントラーメンでも)そこそこ美味しく作れます。おそらく”ラーメンを作ったことがない”という人はいなさそうですし、レトルトのカレーと違って具を入れるだけでも”料理を作った感”があるし。
 ということで、今回ご紹介するのはプロのラーメンを堪能できる”東京ラーメンショー2016に行ってきました”&料理漫画の元祖”包丁人味平”より”ラーメン勝負編”であります。
 ※写真はすべてたいちろ~さん撮影です

【本】包丁人味平(原作 牛次郎、漫画 ビッグ錠、集英社文庫他)
 駆け出しのコック”塩見味平”は”本場のサッポロラーメンをくわせる店へつれてってやろう!”というトラック運転手の洋吉の誘いに乗り、いつの間にやら札幌へ。そこで開催されている”日本一美味しいラーメン”を決める”ラーメン祭り”に素人代表として参加することに。並みいるプロのラーメン職人を相手に味平が作ったラーメンとは・・・(”ラーメン勝負編”より)
【旅】東京ラーメンショー2016
 毎年秋に開催されるラーメンイベント。全国のご当地ラーメンを一堂に集めて食することができるというラーメン好きにはたまらんお祭りです。2016年度は駒沢オリンピック公園を会場に10月27日~11月6日まで、前後半のお店入替で36種類のラーメンが出展、料金は全店共通1杯850円ですが、充分その価値はあるかと
 あくまで”ショー”なのでコンテストなんかはやっていません(*1)

東京ラーメンショー2016の様子。中央公園にお店がずら~と並んでいます

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 1杯目に食したのが”富山ブラック/牛×豚W肉盛り味玉らーめん”。名前の通り黒いスープのダークネスなラーメン。数年前に入社した富山県民の新入社員から”ぜひオススメです!”と言われてたんですが食べる機会がなくって今回初食。
 こってり系かと思ってましたが、意外とスープはあっさり系。ちょっとアルコールっぽいふわっと感がある? 牛の角煮とチャーシューが乗っている横綱級肉食系なんですが、牛の角煮の油が熱々とろとろで意外とするっと。黒い味玉も美味。
 美味しゅうございました

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 2杯目に食したのが”山形・酒田の自家製ふわ・とろワンタンメン”。“ふわとろ”なワンタンが入っていて箸で持てないほど(レンゲが欲しかったなぁ)。するっとのどごしでとっても美味。っと口の中でとろけるのが特徴。薄切り肉が入ってますがメインがワンタンなのでちょっと控え目。まあ、行司役ってとこでしょうか。
 私自身はちょっと塩辛いかと思いましたが、一緒に行った奥様は3杯食べた中ではこれが一番美味しかったとのこと。この辺が料理の面白いところです。
 美味しゅうございました

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 2杯目に食したのが”元祖味噌 信州肉盛り安養寺ら~めん”。甘味噌系です。長野名物の唐辛子”八幡屋礒五郎”とコラボしたオリジナルブレンド七味唐辛子入りだそうですが、そんなに辛くないです。具の味付けバラ肉もとっても美味。技の大関と言ったとこでしょうか。
 美味しゅうございました

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 いずれも大変美味でしたが、欲を言うなら”ハーフサイズ”も作って欲しかったな~~ 奥様と2人で3杯を食しましたが、さすがにお腹いっぱい。いろんなのを食べたいので半分づつなら倍の種類が食べれたんじゃないかと。新横浜ラーメン博物館(*3)でもやっているんで、ぜひご検討いただければと・・・

 ところで、”奥様からどれが一番美味しかった?”と聞かれたんですが、これってけっこう難しいんですね。元々ラーメンってスープ×麺×具の数だけありそうで、スープだけでも醤油、塩、味噌、トンコツに、出汁が何ベースかトロミをつけるかでも違うし。具に至っては千変万化、何を入れてもそれなりにマッチしちゃいます。つまり、ラーメンっておっそろしくバリエーションの多い食べ物で、三者三様に”美味しいのツボ”が違ってたりするし。
 ですんで、美味しいラーメンを食べ歩くだけで物語が成立しちゃったり。最近のだと東京ラーメンショーのスペシャルサポーター”小泉さん”の登場する”ラーメン大好き小泉さん(*3)”なんかがけっこうお気に入り。毎日先着50枚限定で配られている”小泉さんステッカー”、貰ってきちゃいました(下の写真です)

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 それでも、どうしても”一番美味しいラーメン”を決めたいとなると今回ご紹介するフードバトルモノの草分け的存在”包丁人味平”をどうぞ。本書は”週刊少年ジャンプ”に1973~77年に連載された料理漫画で、この分野ではかなり初期の作品(wikipediaでは史上初)。なんたって、料理バトルを世に広めた”料理の鉄人(*4)”より20年近く前ですぜ! なんたって、ゲスト審査員が”巨人の大島選手”、”横綱和島関”、”アントニオ榎木”、歌手の”山口モモ恵”に”北山三郎”。アントニオ榎木なんて”ラーメンはねころんでくうなよーっ!!(*5)”なんてヤジが飛んでて・・・ 時代を感じますな~~~

 この日本一決定戦に味平が飛び入り参加したのは

  このラーメン祭りの出場者はどうしてプロばかりなんですか?
  主婦や一般の人の中にもラーメン作りの名人はいるはずですよ
  本当のラーメン祭りならシロウトの出場者もいれるべきじゃないですか!?

と提案したから。まあ、かなりムチャ振りな提案なんですが、審査員一同協議の上あっさり通っちゃいます。懐の深い審査員とも言えますが、ラーメンの美味しさってそんだけ融通無碍だってことかもしれませんね。

 味平ももちろん参加しますが、ラーメンに関しては全く素人。ところがこれが意表を突く奇策で突破しちゃうんですな。なんったってスープ作りはドラム缶西部劇の映画観てまねちゃうっつ~アバウトさ。麺作りでは生地を足で踏んで鍛えるのは”ラーメン音頭だヨヨイのヨイ♪(*6)” それでも美味しいってんだから料理って不思議。味平のラーメンの作り方は

  おれのラーメンのつくり方はただひとつ おいしければいいってこと!

と言いきってるんだから、まあ、周りのプロは怒るわな~~~

 まったく知識や技術がないってのは論外にしても、そこそこあればそこそこに美味しくできるのがラーメンでしょうか。あとは愛情があればOK?
 解説役のラーメンおばさんのコメント

  シロウトがつくる料理は 技術がないだけに
  なんとか相手に気にいってもらおうと必死になってつくる・・・
  つまり相手のことを考えるという態度が
  どうしても料理のなかにでてくるんじゃよ
  ほれ よくいうじゃろ 料理の秘訣は愛情だってね!

まあ、かわうい彼女に作ってもらった料理ならなんだって美味しいんでしょうけどね! けっ!

 どうも、食レポ系のブログを書いたことないんで、つたない文書ですいません。
 ラーメンショーは無料ですんで、ラーメン漫画を片手にぜひ訪れてみてはいかがかと


《脚注》
(*1)コンテストなんかはやっていません
 店が一直線に並んでいるので、人気度合いは一目瞭然ですが・・・
 ただ、人気度合いと美味しい度合いがそのまま同じかというと微妙なところで、前評判が高けりゃ混むし、お店の手際が悪くても並んじゃうし・・
 そもそも全種類食べれるわけでもないですしねぇ・・・
(*2)新横浜ラーメン博物館
 新横浜駅すぐ近くにあるラーメンをテーマとしたフードパーク。昭和の街並みを再現したフロアは”クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲”に登場する”20世紀博”を彷彿とさせます
(*3)ラーメン大好き小泉さん(鳴見なる、竹書房)
 美少女にしてミステリアスな雰囲気を漂わせる女子高生”小泉さん”。彼女の趣味は”ラーメンの食べ歩き(一人で)”。彼女と友達になりたいクラスメイトの悠はいろいろツッコミを入れて彼女とラーメンを食べに行こうとするが・・
 ”女子高生がラーメンを食べる”というコンセプトだけで作品になってるというスゴイ漫画。でも一番スゴイのはあんだけラーメンを食べてもスレンダーなスタイルを維持している小泉さんでしょうか?!
(*4)料理の鉄人
 1993年~99年にフジテレビで放映された料理バトル番組。テーマになる食材を使ってふたりの料理人が1時間以内に料理を作って3~4人の審査員がどちらが美味しいかを採点するもの。他のお料理番組との最大の違いは料理のレベル。ちょっと素人がマネして作ってみられるレベルじゃなかったな~~
 上記の”美味しゅうございました”は審査員を務めた料理記者”岸朝子”さんの決めセリフです
(*5)ラーメンはねころんでくうなよーっ!!
 プロレスラーの”アントニオ猪木”とプロボクサーの”モハメド・アリ”が異種格闘技戦をおこなったのが1976年。この時猪木がとった戦法が”アリキック”と呼ばれる寝っ転がった状態からローキックを放つという技。このヤジはこれを踏まえてのことかと。若い人には解説しとかないと分かんないんでしょうねぇ、今や・・・
(*6)ラーメン音頭だヨヨイのヨイ♪
 元ネタは1970年代にNET(現テレビ朝日)ので放送された”みごろ!たべごろ!笑いごろ!”に登場したデンセンマンの”電線音頭”かと。動画はこちらからキャンディーズ、かわういどぞっと!

オリンピックって究極の”街おこし”みたいなもんでしょうか?!(地域再生の失敗学/駒沢オリンピック公園)

 ども、地方出身、首都圏在住のおぢさん、たいちろ~です。
 相変わらず東京オリンピックの競技会場をどこにするかでごたごたもめているようです(2016年10月末現在)。競技をやるほうの委員会とかは”せっかく開催するなら新しくて立派な会場を作って、いっぱいお客さんが入るとこでやりたい”と言ってるし、東京都(というか東京都知事)は”このままだとお金がかかる過ぎるのでコスト削減を図りたい”と言ってるし。まあ、見てると論点が違いすぎて、議論がぜんぜんかみ合ってないな~~って感じです。が、この議論ってどっかで聞いたような?!
 ということで、今回ご紹介するのは話題になっているというか、やらざるを得ないことなのになんだかうまくいく気がしない感のある地方創生を扱った本”地域再生の失敗学”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。駒沢オリンピック公園中央広場にて。
この日は”東京ラーメンショー2016(*1)”をやっておりました。
後ろにあるのは陸上競技場です

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【本】地域再生の失敗学(飯田泰之他、光文社新書)
 少子高齢化が進む右肩下がりの日本において、必要不可欠なはずの地方創生(地域再生)。それがなぜうまくいかなかったのかを分析し、今後どうしていくべきかを対談した本。耳がいたそうな話がいっぱいですが、避けては通れんのだろうなぁ・・・
【旅行】駒沢オリンピック公園
 東京都世田谷区および目黒区にある、サッカー場、野球場、体育館などを含む運動公園。その名の通り1964年の東京オリンピック大会の第二会場としてレスリング、バレーボール、サッカー、ホッケーなどで使用され、現在でもさまざまな大会で使用されています(公式hpはこちら)。2009年からは”東京ラーメンショー”の会場にも使われています。


 考えてみると、オリンピックって究極の”街おこし”みたいなもんでしょうか。スポーツ選手(とその団体)から見れば、”スポーツ振興”だし、地元や旅行会社・交通機関から見れば全世界からお客さんが来て”お金を落とし”てってくれるし、会場を作るとなると建築会社や土木会社が儲かるし(*2)。いいことだらけのようなんですが、問題はイベントベースな発想に偏ると、継続的なコスト意識が甘くなんじゃないかな~~って点。某都知事が”コストがかかり過ぎ”な点をさかんに問題視してますが、いったん作っちまった設備を少なくとも数十年は維持しないといけない立場とすれば、言いたくもなるよな~~って気持ちはわかります。まあ、ちゃんと考えてくれてればですけど・・・(*3)

 で、もうちっとコンパクトな地域再生を扱った本書ですが、かなり辛口の話題が。気になったのをいくつか

〔損得勘定ができてない?!〕
 以前、”横手の焼きそば(*4)”を食べに横手市に行ったことがあるンで(美味しゅうございました)ツッコミしにくいんですが、本書ではB級グルメ大会にもダメ出し。なぜなら昔みたくこじんまりやってる時は良かったけど、現在のようにイベント自体が巨大化しちゃうと、売上(1店舗 5~600円の単価で数百食)では、もう儲かる構造にはなっていないんだとか。このイベントで観光客を地元までひっぱってきてお金を落とさせるとこまで持っていかないと、地域PRの持ち出しだけに終わっちゃう。
 本書ではこういった”イベント型”とか”ゆるキャラ”には否定的。道の駅の運営なんかもそうです。本書の著者木下氏と明治大学の飯田準教授の対談

  木下:儲かるように設計もせずに、ひたすら派手なことをやるのは、
     活性化策ではなく飯田さんの言う通り単なる”消費”です。趣味の世界。
     それは結局のところ、その地域の衰退を助長する策になってしまうわけです

      (中略)
  飯田:結局のところ、入ってくるお金と出ていくお金を
     プロジェクト全体で評価するという、民間なら当然の視点がないわけです

別にイベントをやるなと言っとるワケではないんですが、やるならやるでちゃんと損得勘定を考えろと。肝に銘じるべきなんでしょうね

〔地方(議員)には増税のインセンティブがない〕
 行政てのは税金で運用されています。税金の総額を増やすには地域の収入総額を増やすか税率を上げないといけない。はずなんですが、どうもそうはなっていないみたい。たらなきゃ地方交付税交付金をもってくればいいから。本書を読んで一番えぇ!っと思ったのがこの点でしょうか。税率を上げるのって嫌われる政策なので議員はやりたくない。地域収入を増やすために税金を使った施策=投資をするんでしょうが、地方交付税交付金=自分とこのお金と思わにゃ甘くもなりそうなもの。知らなかったんですが、上記の街おこしイベントなんかも100%国の補助金なんてのもあるそうで、企画自体も代理店まかせとか。なんだか丸投げ体質のような・・・

〔次善の策としての自主再建型移転〕
 いきなりですが、アーサー・C・クラークのSFに”都市と星(*5)”ってのがあります。広大な宇宙の版図を維持できなくなった人類が”ダイアスパー”という都市を作ってそこに集まって住むという舞台設定です。なにかというと、これって究極のコンパクトシティなんですな。つまり、分散・拡散された地域を維持できないなら集中させるとこで生き残りをはかろうと。まあ、あたりまえですが、人の少ない所に公共交通機関を残すとか、買い物場所等を置いとこうとかするとコスト的に見合わないところがどうしても出てきちゃうと。であれば、にっちもさっちもいかなくなる前に、地域ブロックごと中心部に計画的に移住させてコミュニティを維持させようというのが”自主再建型移転”です。
 本書でも”嫌われる次善策”として”そんな弱腰でどうするんだ”的な精神論で嫌われる案との指摘がありますが、代替案なしにただ頑張るだけよりは選択肢があるほうがまだマシだろうと。
 あと、これをやるには外からの押し付けではなく住民をまとめるリーダーシップが必要だろうと。以前書きましたが、”七人の侍(*6)”の例で志村喬演じる”島田勘兵衛”が村を守るために橋向うの家を見捨てる判断をして、従わない人には刀を振りかざして言うことを聞かせるというシーンがあります。現代でここまではできないでしょが、プロジェクトを完遂するにはこれぐらいの気合が必要なんでしょうかね。

 まあ、地域再生=経済活性化という訳ではないんでお金の話ばっかししててもしょうがないし、必要なお金は投資すべきなんでしょうけど、お金がなきゃ遅かれ早かれ行き詰るのも確か。本書の結論の中で必要なものの一つとして”リーダーシップを執れる人がいるかどうか”というのを上げていますが、”島田勘兵衛”みたいなリーダーと、安易なポピュリズムに陥らず、住民が協力でしてコトにあたんないと課題の解決にゃなんないんでしょうね。あんまり時間もないことだし・・・

《脚注》
(*1)東京ラーメンショー
 毎年秋に開催されるラーメンイベント。全国のご当地ラーメンを一堂に集めて食することができるというラーメン好きにはたまらんお祭りです。主催者側としては街おこしの狙いもあるようですが。2016年度は10月27日~11月6日まで、前後半のお店入替で36種類が食べられます。
(*2)会場を作るとなると建築会社や土木会社が儲かるし
 1964年の東京オリンピックにより社会インフラの整備やテレビなどの普及による”オリンピック景気”という好景気状態になったのは確か。その後に反動で”証券不況(昭和40年不況)”があったのってあんまし話題になってないけど。今はなき山一證券の破綻危機に対して時の大蔵大臣田中角栄が日銀特融で救済したころです(1965年)
(*3)いったん作っちまった設備を少なくとも数十年は維持~
 作っちまったはいいけど、嵐か福山雅治の全国ツアーでもやんない限り満員御礼にならない施設ってけっこうありそうですなぁ、例えば(以下自主規制)
(*4)横手の焼きそば
 秋田県横手市周辺で販売されている焼きそば。片面焼きの目玉焼き、福神漬けのトッピングが特徴。”B-1グランプリ(B級グルメ大会)”で優勝1回、準優勝1回だそうです。
(*5)都市と星(アーサー・C・クラーク 早川書房)
 遙か未来、銀河帝国の崩壊によって地球に帰還することを余儀なくされた人類は、誕生・死さえも完全管理する驚異の都市ダイアスパーを建造、安住の地と定めた。住民は都市の外に出ることを極度に恐れていたが、ただひとりアルヴィンだけは、未知の世界への憧れを抱きつづけていた(amazon.comより)。詳しくはこちらをどうぞ
(*6)七人の侍(監督 黒澤明、主演 志村喬、三船敏郎、東宝)
 戦国時代、盗賊と化した野武士に襲われた村はある決断をする。”侍を雇って野武士を退治する”と。そして初老の浪人”島田勘兵衛(志村喬)”、山犬のような男”菊千代(三船敏郎)”ら七人の侍が村を守りるために集まった・・・
 詳しくはこちらをどうぞ

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