ギャンブル

もし、受験生のお父さんがトレーダーだったら?!(なぜ金融リスク管理はうまくいかないのか/マーガレット)

 ども、高校受験生の父親、たいちろ~です。
 いよいよ、公立高校の入学試験がま近に迫ってきました。まあ、その前に志望校選びってのがありますが、これがまた大変な作業でして。この作業を小難しく言うと”不確実性の下での意思決定”になります。
 で、この作業のプロフェッショナルというと、究極の博打打ち”トレーダー(*1)”。
 ということで、今回のお題は”もし、受験生のお父さんがトレーダーだったら?!
 ご紹介するのは、”なぜ金融リスク管理はうまくいかないのか”。
 って、見るからに不安になりそうだな~~

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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所の公園のマーガレットです。

【本】なぜ金融リスク管理はうまくいかないのか (リカルド・レボナト 東洋経済新聞社)
 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの市場リスク統括者による金融リスク管理を扱った本。
 原題は”Plight of the FortuneTellers”。
 直訳すると”占い師の苦境”(*2)。
【花】マーガレット
 キク科の半耐寒性多年草。花びらがたくさんついていて、ひとつづつちぎっていく”花占い”に使われます。なので、花言葉は”恋占い、秘めた愛、真実”など。
 余談ですが、イギリスの金融自由化(ビックバン)と共に語られるイギリス首相は”マーガレット・サッチャー”です。


 問題1:偏差値の異なる志望校Aと志望校Bの2つがあります。
     あなたの成績を踏まえて、望ましい志望校を決定しなさい

 これを、トレーダーのお父さんに置き換えると

 問題2:リスクとリターンの異なる株式Aと債権Bの2つがあります。
     あなたの資産を踏まえて、望ましい投資金額を決定しなさい

 話を単純化すると(*3)こんな感じです。
 誤解されがちですが、”偏差値”というのは、平均値からの乖離のことで、偏差値60というのは上から数えて15.9%あたりに位置するということ。志望校の偏差値は合格の難しさの指標で、個人の学力の指標にはなりますが、実際には”ある程度の範囲を持って(分散)、そのあたりに集まっている”ぐらいの意味です。
 ただ、偏差値計算には前提条件があって、”母集団の数値の分布が正規分布(*4)に近い状態”であること。学校の成績分布とか、今日と明日の株価の変動幅が経験的にこうなることが多いといってるだけで、”必ずこうなる”というシロモノではありません

 問題1の場合、3つの偏差値(それぞれの志望校の偏差値、受験生の偏差値)を比較することになるんでしょう。
 受験生の偏差値というのは”今回のテストで70点とった受験生は、次回のテストでも65~75点あたりの点数が取れそうで、30点とかはあまり取らないだろう”程度のことでしかなく、けっこう幅があるんですね。テストでも”ヤマが当たった、外れた”といった偶然に左右されるなんてのはよくあることです。
 学校の偏差値も、”昨年、この学校を志望した模擬テストの結果を見ると(実際に受験したかは別)、合格した受験生はある範囲でどれぐらいの確率で存在した”ことを表しているだけ。これにはさらに、”受験環境がほとんど変化しない”という前提条件があって、私の子供が受験する宮城県のように男女別学から共学化に急速にかわっている状況では、過去のデータの信憑性は???になります。

 問題2の場合も同様で、株式も債権も、再現性のない中で過去データを分析して未来のリスク・リターンを推計しています。過去のデータをたくさん集めると信頼性が上がるとシロウト目には思ってしまいますが、50年分のデータを集めたとしても、固定相場制化での為替レートなんて意味ないですし、だいたい会社自体が存在しないケースも多いです(*5)。
 こんな状況で”発生確率99.97%の確率で発生する損失”なんてのを計算しようとするんだから、リスク管理者ってたいへんな仕事なんでしょう。

 話を戻すと、志望校の選択っていうのは、”どちらを受けたほうがより勝ち目(合格)があるか”なんですが、やっかいなのは、”どちらに合格したほうが、より満足できるか”というのもあります。合格しても意に染まない学校に行くのはどうなのよ? ということです。学校が面白くないからといってグレられても困るし・・・
 これは、私立高校の第一志望に通ったかどうかによって、参照点(*6)が変化するので問題をさらに複雑にします。つまり、第一志望校に合格していれば、強気のギャンブルに出れますが、不合格だとそれ以上に臆病な選択になってしまうということ。

 つまり、”偏差値”という小数点以下まで提示される確固たる数字は、実はかなり幅があって、そんな不確定性の高い状況で、合格した嬉しさを加味しながら、志望校を決定しないといけないのは、たいへんな意思決定を迫られるわけです。受験生とその親としては。

ラプラスならぬ我が身としては(*7)、マーガレットで占いをして志望校を決めてみようかって気持ちになります。

 トレーダーお父さんの正しい選択肢としては

 ”自分の志望する学校に行きたかったら、四の五の言わずに勉強しろ!”

 と言うことなのかもしれませんね。

 それにしても、合格が決まるまでは落ち着かない毎日です。不安だ・・・

《脚注》
(*1)トレーダー
 株式や債券、通貨、商品などに投資して利益を得る人や会社のこと。
 ”株式が上がるか下がるか”という不確実な未来にお金をかけるということは本質的な点では”博打打ち”と変わらないんでしょうが、”究極の”とつけたのは掛け金がハンパでないこと。100億円単位のディールなんてのもざらにありあそうです。
 博打としては”俺の空(本宮ひろ志 集英社)”で超一流ホテルを賭けてのポーカ一発勝負ってネタがありましたが、リアルにこんなのがあれば間違いなく社会面のトップでしょうね。
(*2)占い師の苦境
 ”FortuneTellers”は占い師ですが、”Fortune”には資産、金持ち、運命、幸福、”Teller”には銀行の窓口係という意味もあるので、ダブルミーニングかもしれません。
(*3)話を単純化すると
 実は、この”単純化”自体もクセモノです。志望校も投資先も選択肢は乗数的に増えていきますし、志望校の場合は公立高校だと1校に絞る必要がありますが、投資の場合は複数に分散投資するポートフォリオが組めます。
 まあ、ブログ上のお遊びということで・・・。
(*4)正規分布
 並べると、平均値を中心に釣鐘状(ひとこぶラクダの背中みたいな形)になることです。
 コイントスで表と裏の出現回数みたいなのはこれに近くなりますが、テストのような社会現象では、必ずこうなるとは限りません。実際に子供のテスト成績を見ると、点数の分布が二極分化(ふたこぶラクダ状)になっているケースがままありました。
(*5)50年分のデータを集めたとしても~
 円やドルなど通貨の交換レートがマーケットで決まる変動相場制が導入されたのは1973年以降。
 日本を代表する企業のメガバンクだって、今の体制になったのはせいぜい10年ぐらいの歴史です(三井住友銀行 2001年、みずほ銀行 2002年、三菱東京UFJ銀行 2006年の誕生です)
(*6)参照点
 行動経済学では、現状の位置を”参照点”として、参照点から利益が増えると増加する価値がゆるやかに上昇し、損失が増えると価値が急速に低下するという非対称なグラフを描きます。経済学というより心理学的なアプローチです。
(*7)ラプラスならぬ我が身としては
 ”ラプラス”とは、フランスの数学者、ラプラスによって提唱された”ラプラスの悪魔”のこと。不確実なことが何もなく、未来のことが分かるという架空の存在
 本書の中でも、いくつかこの表現を使っています。

 奥様ブログ 「フラワークラフト作家”Ann”のひとりごと」はこちら

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