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2017年10月22日 - 2017年10月28日

昭和の映画にまつわる今は昔。まあそれが良かったというつもりはありませんが(木根さんの1人でキネマ 4/シネマコンプレックス)

 ども、昭和レトロなビブリオマニアのおぢさん、たいちろ~です。
 本も読みますが、まあわりとDVDも見ます。てか、”DVD”と言ってる時点ですでに時代に遅れてる感あるんでしょうか。まあ、根っこが昭和だからしょうがないんですけどね~~ ”本”が発明されて5,500年、”映画”が発明されて1世紀+四半世紀、テクノロジーの発達は間違いなく趣味の世界に影響を与え続けています
 ということで、今回ご紹介するのはちょっと懐かしい映画ネタにまつわるマンガ”木根さんの1人でキネマ4”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。川崎駅前の”ラ・チッタ・デッラ”です

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【本】木根さんの1人でキネマ 4(アサイ、白泉社)
 木根真知子、独身。趣味 映画鑑賞。実態は映画愛をこじらせちゃってる残念な人。子供の頃から大の映画好きで、三十歳超えても大の映画好き。第四巻は初登場のお母さん(元スケ番)との映画をめぐる母娘バルトが!
【旅行】シネマコンプレックス(cinema complex)
 同一の施設に複数のスクリーンが同居する映画館のこと。ラ○ポートやイ○ンモールみたく商業施設なんかといっしょになってるケースが多いようです。これ書いているのがちょうどハロウィンなんで、これで有名な川崎のにしました。撮影は2012年でちょうど”貞子 3D”のプロジェクションマッピング(*2)やってました。


 本書は映画の中身をあ~じゃこ~じゃしてるんですが、今回はちょっと本筋と離れて古今東西、媒体としての映画の話を

〔映画の収集癖、今は昔〕
 30歳を過ぎても映画に耽溺する娘(真知子さん)VSそんな娘にキレまくる母(千里さん)。部屋を片付けろという母に対して真知子さんの言いきったセリフ

  私、一人暮らし始めてから収集癖なくなったの
  今は純粋な観るマシーン

   (”エクソシスト”より)

実は、最初この意味分かんなかったんです。本書にも出てくるアノ事件(*3)を引くまでもなく、昔は映画やテレビを観る(フロー)以外で映像をストックするにはVHS(これも説明必要かなぁ?)という媒体でとっとくしかを収集するしかなかったんで、”収集癖”うんぬんはわかるんですが。で他の話を読んでわかりました。

  今は有料放送の録画と動画配信サービスがあれば
  BD並みの品質で映画が常に楽しめちゃう

   (”トイ・ストーリー”より)

そうなんですね、別に媒体に頼らなくてもネットで事足りちゃう。録画もハードディスクかな。ネット社会の進展は着々とオタク文化を侵食してんですなぁ

〔VHS 今は昔〕
 子供の頃の真知子さん。子供番組を録画するフリをして実は”エクソシスト”を録画。その時にしかるお母さんの言葉

  しかも3倍じゃなく標準で!
  どうりでテープの減りが早いと思ったわ!!

   (”エクソシスト”より)

若い人にはわからんネタなんだろうな~ VHSって標準モードで120分(長時間160分)、これを3倍モードで録画すると3倍の長さ録画できるのでリーズナブル(その分画質は落ちますが)。真知子さんは”標準モード”で録画してるってことは子供ながらに画質にこだわるってことでしょうね。テープ代は馬鹿にならんけど・・

〔DVD 今は昔〕

 DVDを買ってきた真知子さん、”無駄遣い”と怒るお母さん。その横からのお兄さんの一言。

  俺のPS2返せ!!

   (”トイ・ストーリー”より)

これも若い人にはわからんネタなんだろうな~ ”PS2”はもちろんソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)の伝説のゲームマシン”PlayStation 2”のこと。特筆すべきは39,800円というお値段にもかかわらずDVDの再生ができたこと。wikipediaによるとDVDプレーヤーの値段は標準準的なもので10万円前後、格安モデルでも6万円程度とあるので、これってとってもお得感。てか、PS2のおかげでDVDが一気に普及したと言っても過言ではないかと(*4)。
 VHS→DVD→BDの変遷の話は”トイ・ストーリー”でいろいろやってます。

〔映画館 今は昔〕
 映画館で食べ物のガサ音に怒り心頭の真知子さん。昔の映画館を回想しつつの言葉

  まったく、昭和の映画館を思い出すわ
  昔の・・・ 昔の映画館は自由だった

   (”ロッキー”より)

絵には階段や座り込む人やうしろの通路で立って観てる人達が。キャプションには”途中入場可、立ち見 席は早い者勝ち、寝にくるリーマン”などなど
シネマコンプレックスの登場で映画館自体が大きく変わりましたが、もっとも大きく変わったのは映画は”予約して観るモノ”に変わったことでしょうか? 昭和の映画館ってのは”並んで観るモノ”。ネット予約どころかインターネットすら普及していなかった時代です。ですから朝から並んで席がなければ良くて階段座り、悪くて最後列で立ち見少しでも空けば途中でも入場し、一周廻って観はじめたとこまでくれば途中で退場。入れ替えなんか無かったから時間潰しで寝てるのもOK
 そりゃ確かに別料金を出せば”予約席”はありましたが、それは彼女のいるブルジョアの専有物非モテのプロレタリアートは立ち見でも文句も言えるはずもなく。この厳然とした映画館のヒエラルキーこそが後の階級闘争に(以下、自主規制)

 まっ、別に昭和のほうが良かったって言うつもりはないですし。
 真知子さんの後輩の工藤さんが真知子さんに対して”ダイハード”の第1作目を

  80年代の思い出補正かかってんじゃないですか?
   (”ダイ・ハード”より)

と突っ込みいれてますが、決してそんなことないですよ。映画館は並ばなくても椅子に座って観れるし、映画はamazonプライムビデオなら見放題、けっこうレアな探し回らなくてもネットで買えるし。VHSなんて今観たら画質は落ちるだろうし、チャプター機能もなく使い勝手悪そうだし、場所取るし
 DVDですら場所を取ると言われてる我が家ですが”VHSに比べりゃでんでん場所取らない!”と言っても聞いてくんないししなぁ・・・(*5)

 

テクノロジーの発達が映画という娯楽にもいろんなメリットを実現してるみたいです。まあ、そんな時代もあったねと♪ ってな話でした。

 本書は映画マニア向けのあるある本。取り上げられている映画はわりとメジャーなものが中心ですので、あまり映画観ない私でもOKぐらいなのでたぶん大丈夫。
 ぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1)”本”が発明されて5,500年~
 メソポタミアで用いられた粘土版が世界最古の書物で紀元前3,500年、リュミエール兄弟によりシネマトグラフ(複合映写機)の発明が1895年です。
(*2)プロジェクションマッピング
 建物や物体などをスクリーンに見立てて映像を映し出すのが”プロジェクションマッピング”。実際の建物の形状とうまく合わせた映像はなかなかに迫力あります。ただ貞子はなぁ・・ 最後に宣伝入れるんだもんなぁ・・・
(*3)アノ事件
 1988年に発生した”東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件”のこと。犯人の宮崎勤が6,000本近いビデオや多数の漫画を所有していたことから”オタク=変質者”といったバッシングの原因になりました。
(*4)DVDが一気に普及したと言っても過言ではないかと
 一般的に工業製品ってのは”量産効果”ってのが効いています。単一シリーズのマシンが発売1年半で累計出荷台数2000万台突破なんていうおよそ通常の電化製品とは桁はずれのシロモノ、波及効果は凄かったんでしょうね。これに引きずられてDVDプレーヤーの値段もずいぶん下がったような気がします。
(*5)DVDですら場所を取ると言われてる我が家~
 ”ハードディスクに保存すれば、DVDとっとく必要ないでしょ!”と娘に言われたんですが、ハードって壊れるんですよ、娘さん。バックアップは必須だと思いますが・・

この”解”の冷徹さが”冷たい方程式”なる所以なのかも(冷たい方程式/ニュートンのリンゴの木)

 ども、ランダムな人生を生きているおぢさん、たいちろ~です。
 なんかのSFで読んだんですが、宇宙船であれモビルスーツであれ、宇宙空間を飛ぶ飛翔体ってのは恐っそろしく物理法則に従うんだそうです。宇宙船は推進力を与えない限り、引力とかを勘案すればある時間後の予想到達地点ってのはほぼ算出できるし、無重力状態に見える衛星軌道上でもドックファイトなんかやった日にゃ落っこちると(*1)。
 地上だと空気抵抗やらなんやらでもっとランダムに動くみたいですが、宇宙空間ってのはもっと厳密な方程式に従う世界みたい。ニュートンが万有引力を発見してからこっち、人類は”方程式”の存在を意識せざるを得ないということです。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな宇宙空間での冷徹な現実に直面する本”冷たい方程式”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
小石川植物園にあった”ニュートンのリンゴの木”です。

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【本】冷たい方程式(トム・ゴドウィン、ハヤカワ文庫SF)
 災害の薬を待つ人の星まで、パイロット”バートン”一人分の燃料しか積んでいない緊急発進艇(EDS)。その中で若い娘”ミーミア”が密航者として発見された。EDSが星までたどり着ためには彼女を”船外遺棄”するしかない。バードンとミーミアが出した結論は・・・
 SF史に残る名作短編。アンソロジー”冷たい方程式(新版)”に収録
【花】ニュートンのリンゴの木
 ニュートンの生家にあったリンゴの木は、接ぎ木により各国の科学機関に分譲されていますが、小石川植物園の株は、1964年に英国物理学研究所所長サザーランド卿から、日本学士院長 柴田雄次博士に贈られたものです(小石川植物園のHPより抜粋)


 あらすじを兼ねて解くべき方程式を説明すると

・惑星ウォードンで病気が発生し血清がとどかなければ6人が死ぬ
・バートン乗るEDSには一人分の燃料しか積んでいない
・現在のEDSにはミーミアの重量分の燃料がなく、このままだと墜落して2人は死ぬ
・40光年以内にEDSを救出できるクルーザー(宇宙船)はない

この方程式の一般解はというと、星間法規に定められている

  EDS内で発見された密航者は、発見と同時にただちに艇外に遺棄する

というもの。つまり密航者は死を持って償うということです。

 まあ、むさ苦しいオッサン(私みたいな?)だったら速攻遺棄していいかつ~とそういう問題ではないですが、これが美しい少女となるとどうしても”特殊解”がないモンかと考えちゃうわけです。で、本書での密航者はというと二十歳にもならない娘”ミーミア”。ウォードンにいる兄に会いたくて密航を企てたと。規則を破っているという自覚はあるものの、安全な地球育ちの彼女はそれが死に直結するような重要なこととは考えていません。そこにあるのは

  燃料の量hは、質量mプラスxのEDSを
  安全に目的地に運ぶ推力を与えることができない

という”冷たい方程式”だけ。
 この状況の中で、バートンたちはミーミアを救う手立てを検討するんですが、その方程式の”解”が何だったかというのはぜひ本書を読んでみてください。

 解説で編者の伊藤典夫も書いていますが、日本では”方程式もの”といれるジャンルができたほど魅力的なテーマで私もいくつか読んだ記憶があるんですが、まさか本家本元の”解”がこんなんだったのはな~とちょっと驚き。でもこの”解”の冷徹さが”冷たい方程式”なる所以なのかも。
 名作です。ぜひご一読のほどを

 余談ですが、”冷たい方程式”は”君の知らない方程式 BISビブリオバトル部 4(*1)”という本でSFマニアの空さんが話題にしてて、今回読んでみたんですが、他にもいろんな本の話題が出てきます。その中の1冊に”それどんな商品だよ! 本当にあったへんな商標(*2)”ってのがありました。変なネーミングを扱った本なんですが、まだ読んでなかったのでamazonで調べてみると”この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています”で”冷たい方程式”のみならず、アニメの”RWBY”や、SFの”ゲームウォーズ”が!(*3) ネーミングの話をSFではコンテンツベースのフィルタリング(*4)で引っかかるはずはないんで、きっと”BISビブリオバトル部 4”を読んだ人が、この本に関連したビックデータを元に”協調フィルタリング(*5)”とかを使ってクールな方程式で抽出された結果なんでしょうね、きっと

《脚注》
(*1)君の知らない方程式 BISビブリオバトル部 4(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。集まる本好きが集まるクラブ。ここに集う若者たちの日常を描いた本好きイチオシの小説です。
(*2)それどんな商品だよ! 本当にあったへんな商標(友利昴、文庫ぎんが堂)
 特許庁に登録商標として届けられた笑える珍ネーミングを集めた本。まだ読んでませんが、なんだかおもしろそう
(*3)アニメの”RWBY”や、SFの”ゲームウォーズ”が!
 RWBY:監督 モンティ・オウム、ワーナー・ブラザース
 ゲームウォーズ:アーネスト・クライン、SBクリエイティブ
(*4)コンテンツベースのフィルタリング
 本の内容や著者などが似ているかどうかを判別して、推薦するものを決めるというやり方
(*5)協調フィルタリング
 多くのユーザの嗜好情報を蓄積し、あるユーザと嗜好の類似した他のユーザの情報を用いて自動的に推論を行う方法論(wikipediaより抜粋)
 これを使うと、上記のように関連する本を次々と紹介したり、個人ごとに好みの本を推してくれたりすることが可能になります。

怪物にだって論理は通用します

 ども、最近ミステリー小説読む数が増えてきているおぢさん、たいちろ~です。
 ミステリー界の中には”ノックスの十戒”と呼ばれるお約束が存在します。これは
聖職者にして推理作家でもあった”ロナルド・ノックス”という人が発表した”推理小説を書く際のルール”で、その一つに

  探偵方法に超自然能力を用いてはならない

てのがあります。まあ、超能力で犯人を当てたり、占いで”犯人はお前だ!”やったり、幽霊が出てきて”私を殺したのはこの人です・・ 恨めしや~~”では興ざめというもの。まあ、うまく書けばないわけじゃないですが(*1)正統派ミステリーとは違うかなと
 ただ、これはあくまで普通の人間相手の話で、これが犯人も被害者も、そして探偵も普通の人間じゃなかったら・・・

 ということで、今回ご紹介するのはそんな怪物を専門に扱う探偵チームのお話”アンデッドガール・マーダーファルス”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
近所のペットショップでみかけた鳥かごです

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【本】アンデッドガール・マーダーファルス(青崎有吾、講談社タイガ)
 齢962歳、不死の美少女”輪堂鴉夜(りんどうあや)”、半人半鬼の”鬼殺し”こと”真打津軽(しんうちつがる)”、薙刀銃をあやつるクールなメイドさん”馳井静句(はせいしずく)”の3人による”怪物専門の探偵”チームの活躍を描く推理小説シリーズ。いや、マジで。
【道具】鳥かご
 文字どおり鳥を飼うかご。たまに生首が入ってたりします・・・

 さて、犯人や被害者が人間ならざる能力の持ち主だったら、”ノックスの十戒”よろしく通常の推理小説は成立しません。なぜならテレポーターに密室は必要ないですし、タイムリーパーにアリバイ工作は無意味です(*2)。とはいっても、万能ではないんでいろいろ制約条件を設定することで推理小説にすることもできはしそう。同じく、無敵の怪物といってもそれはそれでいろいろ制約条件ってのがあります。
 たとえば、怪物の王”吸血鬼”もしかり。強靭な肉体の持ち主で、心臓に杭を打たれても死なないし、腕がちぎれても2日で再生する。ただし、太陽は苦手で銀や聖水は触れないし、銀の杭で貫かれれば死ぬ(本書での設定)。ここんとこがミソで、じゃあこの怪物が殺されてたらその犯行は? ってのが第一章”吸血鬼”のお話。

 人類と共存を図ろうとする”人類親和派”の吸血鬼”ハンナ”が何者かに殺され、夫であるゴダール卿が犯人を捜すために”怪物専門の探偵”である輪堂鴉夜達を雇うってのがあらすじ。ハンナは杭で殺され、聖水をかけられて死んでいるのが発見されるんですが、凶器と思われる銀の杭は屋敷内で発見されます。外部からの犯行が難し状況で、屋敷内の人間の犯行とも思われにくく、銀や聖水を忌み嫌うい吸血鬼の犯罪とも考えにくく・・
 一種の不可能犯罪に近い状況で輪堂鴉夜が下した推理はなんだってのがこのお話の面白い所。怪物でなければ起りえないHowdunit(ハウダニット)つまり、”どのように犯罪を成し遂げたのか”がすごいオチなんですな。なにがすごいって”怪物”の特性あるいは制約条件をクリアしつつ、実に論理的というか
 第二章の”人造人間”で、グリ警部と輪堂鴉夜が密室の中で発見された首なし死体の謎を解明する時の会話

  グリ警部:なるほど、これがあたなの捜査法というわけですか
       怪物を人間の世界に引きずり下ろし、論理に当てはめる
  輪堂鴉夜:別に引きずり下ろしてなんかいませんよ
       怪物にだって論理は通用します

 つまり怪物であっても、人間であっても従うべき論理は同じ。ただ従う前提条件が違っているだけだと。でも、考えようによっちゃこのひねり方って普通の推理小説より書くの難しいんじゃないか??

 で、この犯人を追いつめる輪堂鴉夜ご一行様ですが、この人たちもまたユニーク。バディーもの、いわゆるホームズ+ワトソンみたいなのの頭脳労働と肉体労働の役割分担って意外にまちまちなんですが、まったく肉体労働しかしないってちょっと珍しいかも。アームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)の代表作”隅の老人(*3)”だって多少は肉体労働はやってるし、頭脳派探偵のシャーロック・ホームズだってフェンシングやボクシングができるなんていう武道派の面もあります。二人で一人の仮面ライダー探偵”仮面ライダーW(*4)”だって、肉体労働=翔太郎、頭脳労働=フィリップの組み合わせですが、フィリップもまったく肉体労働やってないってことないです。まあ、私の読んだ中でほんとに体を動かさないってのは”リンカーン・ライム(*5)”ぐらいでしょうか
 輪堂鴉夜というとホントに肉体労働をまったくしないという完全”頭脳労働”オンリー。なんたって、現場に行っても歩きもしない。闘うなんてもってのほか。本人曰く

  なにしろ、頭を使うこと以外できない体でしてね

 でもって、肉体労働担当が真打津軽。”鬼殺し”という芸をやっていただけあってバリバリの武道派なんですが、けっこうお調子モノで寒いギャクをかます人。
 真打津軽が”ボケ”、輪堂鴉夜が”ツッコミ”でちょくちょく二人で漫才を。頭脳労働と肉体労働の分業体制ってのもあって、最初は”染之助・染太郎か!(*6)”とつっこんじゃいましたよ

  津軽は肉体労働、鴉夜は頭脳労働、これでギャラは同じなの

とかね。
 少し読み進むと意外や意外、おいしいとこ持ってってるのがクールメイドの馳井静句。寡黙ながら鴉夜の指示で津軽をブルボッコするし、敵への戦闘ではけっこうな大活躍。第四章ではかなかなに艶っぽいシーンも出てきますし。普段は目立たないけどやるときゃやるタイプです。
 この三人見てるとまさにミステリー界の”レツゴー三匹(*7)”ですなぁ。寒いギャグでボケる津軽に、辛辣なツッコの鴉夜、締めるとこは締めるフリの静句とか。なかなか秀逸なキャラ設定です。

 ”アンデッドガール・マーダーファルス”はモンスターとか登場するんでホラーモノっぽいですが、実はけっこう本格モノの推理小説かも。面白い本です。ぜひご一度のほどを。

《脚注》
(*1)うまく書けばないわけじゃないですが
 ”鎌倉ものがたり(西岸良平、双葉社)”には”恐山妖介”という降霊術を使って事件を解決する鎌倉の刑事さんが登場します。ただ、この作品には一色正和というミステリー作家がいて、鎌倉という人間と魔物、妖怪と普通に住んでいる土地柄が舞台になっているから成立するお話。ここまでうまくやってくれるとむしろ感心してしまいます
(*2)テレポーターに密室は必要ないですし~
 ”テレポーター”(空間跳躍者)なら密室だろうがなんだろうが侵入できますし、”タイムリーパー”(時間跳躍者)なら、アリバイ工作なんかしなくても任意の時間に移動できるだろうし。
(*3)隅の老人(バロネス・オルツィ、創元推理文庫)
 女性新聞記者のポリー・バートンが喫茶店の隅にすわる老人に事件の話をすると、その老人が事件を解決するという推理小説。アームチェア・ディテクティブの先駆にして代表的な小説です。
(*4)仮面ライダーW
 左 翔太郎とフィリップの二人がUSBメモリみたいのを使って合体するという平成仮面ライダーシリーズ第11作目の作品。子供向けとは思えないミステリマニアも楽しめる番組です。フィリップを演じたのは今をときめく人気俳優”菅田将暉”。しかし、この人がここまで売れるとは思わなんだな~~~
(*5)リンカーン・ライム
 ”リンカーン・ライムシリーズ(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)”に登場する科学捜査のスペシャリスト。捜査中の事故により左手の人差し指と首から上だけしか動かないという典型的なアームチェア・ディテクティブ。
(*6)染之助・染太郎か!
 かつてお正月の名物だた漫才コンビ”海老一染之助・染太郎”師匠です。傘の上ので枡を回すのが弟の染之助、横ではやし立てるのが兄の染太郎。上記のギャクの元ネタは
  弟は肉体労働、兄は頭脳労働、これでギャラは同じなの
(*7)レツゴー三匹
 ツッコミ役の正児、ボケ役のじゅん、フリ役の長作による昭和を代表するトリオ漫才。そういえば、最近トリオ漫才のビックネームってあんましみないですな。お笑い番組の1組あたりの時間が短くなってるせいですかねぇ・・

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