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2017年7月23日 - 2017年7月29日

どうせ何時かは執行される自分の葬式なんだから、それまでの猶予期間を旅でもするかってこの本読んで考えちゃいました(深夜特急/サテー)

 ども、歳を取るといたって出不精になっているおぢさん、たいちろ~です。
 かつて、有吉先生が猿岩石だった頃、”進め!電波少年(*1)”というテレビ番組で”ユーラシア大陸横断ヒッチハイク”という企画をやっておりました。これは当時売れていない若手お笑いコンビ猿岩石(有吉弘行、森脇和成)のふたりが香港からロンドンまでヒッチハイクで旅行するというもの。大して真面目に見てたわけではないですが、いかに売れていないとはいえ、けっこうきつい事やらせんだな~と思った記憶があります。
 ふと思ったんですが、昔はこういったヒッチハイクというか貧乏旅行みたいな本とかけっこうあったような気がすんですが。私がその手の本を読まなくなっただけなのか、実際世の中でも少なくなってんだか?
 ということで、今回ご紹介するのはそんな貧乏旅行系の本、ちょっと昔の話ですが”深夜特急”でありますあ


写真はたいちろ~さんの撮影。
シンガポール料理の”海南鶏飯(HAINAN CHI-FAN)の”サテ”です

S1266


【本】深夜特急(沢木耕太郎、新潮文庫)
 沢木耕太郎がインドのデリーから、イギリスのロンドンまでバスだけ使って旅行するという紀行小説。といっても私が読んでる2巻ではまだデリーどころかマレー半島あたりでうろうろしてますが。まあ、こういう無計画さがこの手の旅行の醍醐味なんでしょう。
 1974年ごろの旅行なので事情がだいぶん違うんでしょうが、今読んでも充分面白いです。
【料理】サテー(Sate)
 マレーシア、シンガポールなど東南アジア諸国で食される串焼き料理
 本書では”マレー風焼き鳥といった趣”と記されていますが、他の肉でもあり。海南鶏飯では鳥と豚のセットでした。
 ほんのりとしたカレーの香りのする小ぶりの鳥肉や豚肉に甘辛ピーナッツソースをつけて食べるというもの。ピーナッツソースは日本だと肉味噌に近い食感でしょうか。美味しゅうございました。


 沢木耕太郎の経歴ってのが大概で、横浜国立大学経済学部卒業で富士銀行入行が決まっていたのに大学紛争で卒業が遅れ初日出社の日に”雨のせい”という理由で退社(企業名はwikipediaより)。就職もせずぶらぶらしていたのを見かねた大学のゼミの教官が雑誌社を紹介してくれたのをきっかけにルポライターに。仕事は増えてきたものの、こなしきれなくなって、”間もなく外国に行くので仕事が受けられない”と苦し紛れに嘘をつき。これもある人物の”男は26歳までに一度は日本から出た方がいい”という言葉から。
 ここまででも凄いですが、さらに輪をかけてすごいのがこのおかん。家にまで外国旅行の問い合わせ電話がかかってくるに及んで息子に申し渡した一言がこれ

  私はもう弁解したり嘘をついたりするのはいやだから
  とにかく日本を出ていってくれないか、
  どこでもいいから外国とやらに行ってくれないか・・・

 本書ではサラッと書いてますが、これってすごい発言ですぜ! 一流大学を卒業して一流企業に就職するハズだった息子が、ブラブラしたあげくルポライターになったのに、息子の弁護をするのがイヤだからどこでもいいから外国に行って来いって、凡百の親がはける発言じゃないって! 普通の親なら”関係にワビ入れてマジメに働け!”でしょ?
 まあ、それで出ていく息子ってのも思い切りがいいのは確かですが・・・

 で、一方息子の方。シンガポールのサテー屋でニュージーランドから大学を中退して世界一周に出かけた若者二人にいろいろ蘊蓄たれることに。そこで何気なく聞いた”どのくらいの期間でまわるつもり?”の答え”三年か、四年”にショックを受けることに。”旅行から帰ったらどうするつもり?”と聞くと暗い顔つきで”わからない”と・・・

 沢木耕太郎のモノローグ

  あるいは、彼らも人生における執行猶予の時間が欲しくて旅に出たのかもしれない
  だが、旅に出たからといって何かが見つかると決まったものでもない
  まして、帰ってからのことなど予測できるはずもない
  わからない。それ以外に答えられるはずがなかったのだ
  そして、その状況は私にも大して変わらないものだった
  わからない。すべてがわからない
  しかし人には、わからないからこそ出ていくという場合もあるはずなのだ
  少なくとも、私が日本を出てきたことのなかには、
  何かが決まり、決められてしまうことへの恐怖ばかりではなく
  不分明な自分の未来に躙り寄っていこうという勇気も
  ほんの僅かながらあったのではないかという気がするのだ・・・

 引用が長くなってすいません。”執行猶予”って言葉がココロに引っかかったモンで
に登場する”モラトリアム”や”ニート”のようになんだかオブラードにつつんだような語感とは違って(*3)、もっとストレートで切迫感のある状態っぽくって。
 雑駁ないい方ながら”モラトリアム”が大人になることへの拒絶であり、”ニート”が通学も就業もしていない状態(*3)とまったく同じではないですが、時代を経るほど”働たらかない”ということへの意識が自覚的でなくなっていくような
 少なくとも本書では”何かが決まり、決められてしまうこと”=”執行”をされてしまうことへの恐怖を自覚してるようだし、”未来に躙り寄っていこうという勇気”をもって今の状況を選択している自覚があるようだし。

 まあ、なんとなくですが、1970~80年代には猶予期間にお金ももたずに海外に行くってアクティブさがあったし、もうちょっと前だとヒッピームーブメント(*4)みたいな政治的メッセージみたいのもあったようですし(さすがにこの時代は良く知らんですが・・) つまり”外向的”な若者イメージがあったんじゃないかと
 それに比べて今だと”引きこもり”が増えていますみたいな”内向的”なイメージが前面にでているような(まあ、社会問題化しているのはたしかですが)
 ”執行猶予”ってのは必ずどこかで”執行”されるわけで、別に執行されなくなる訳じゃない。であれば、執行までの時間をどう作るか、使うかが重要なんだろ~な~と思う訳であります。

 なんでこんなこと考えるかというと、定年を指折り待ってる歳になってくっと、その後の人生って自分の葬式までの執行猶予期間かな~~とこの本を読んで思っちゃったからかも。どうせ何時かは執行される葬式なんだから、定年したあとにできる自由な時間に旅暮らしなんかも悪くないかもなんて考えちゃいます。ということで、キャンピングカーに乗って全国旅に出ている人の本なんかも読みだしちゃって。
 あとは残った住宅ローンをどう片付けるだけか・・・

《脚注》
(*1)進め!電波少年
 1992年から98年に日本テレビ系で放送されたテレビ番組。アポなしでいろんなとこ押し掛けてムチャぶりなお願いするという企画などで当時はけっこう人気あったような。上記のユーラシア大陸横断ヒッチハイクは1996年の放映だそうです。
 しかしこの企画もももう20年以上前なんだな~~
(*2)”モラトリアム”や”ニート”のように~
 ”モラトリアム”は1978年の”モラトリアム人間の時代(小此木啓吾、中公文庫)、)の”ニート”は2004年の”ニート―フリーターでもなく失業者でもなく(玄田有史、曲沼美恵 幻冬舎文庫)”が出始めだとか(wikipediaより)。
(*3)”ニート”が通学も就業もしていない状態
 誤解のないように補足しますが、”ニート”は”15〜34歳の非労働力人口の中から、求職活動に至っていない者(専業主婦を除く)”であって、決して労働意欲がないわけではないそうです
(*4)ヒッピームーブメント
 既成の価値観に縛られない生活信条とかベトナム戦争への反対からの徴兵拒否とかがベースにあったようです。

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