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”夜は若く、彼も若かった” やっぱりミステリには名言が良く似合う(ミステリ国の人々/パイプ)

 ども、けっこうミステリなんかも読んでるおぢさん、たいちろ~です。
 最近だと本格モノの”S&Mシリーズ”、不思議なものなどない”百鬼夜行シリーズ”、科学調査の”リンカーン・ライムシリーズ”、アニメではまった”櫻子さんシリーズ”、読書好き垂涎の”ビブリア古書堂シリーズ”、学園ミステリの”古典部シリーズ”や”鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ”などなど。昔は”刑事コロンボシリーズ”、”館シリーズ”なんぞもはまりました~~(1)
 人の死なないミステリも好きですが、やはりミステリといえば殺人事件(できれば連続!) 1841年、エドガー・アラン・ポーによる”モルグ街の殺人”から始まったミステリ

  

殺しも殺したり176年分かぁ~。ナンマンダブ、ナンマンダブ(*2)

 ということで、今回ご紹介するのはそんなミステリの登場人物を扱った本”ミステリ国の人々”であります


写真はたいちろ~さんの撮影。パイプ屋さんで売ってたパイプです

5011474


【本】ミステリ国の人々(有栖川有栖、日本経済新聞出版社)
 日経新聞の読書欄で52回に渡って連載された、ミステリ小説に登場する名探偵や犯人などなどを紹介したエッセイ集。いや~、政治経済中心の日経読書欄でこんなくだけた企画をやってくれるとはと最初はちょっと驚きました
【道具】パイプ
 タバコを吸うための道具。シャーロック・ホームズのトレードマークでもありますが、これは寡黙で考え込んでるイメージがあるからでしょうか?
 以前パイプを吸ってたことがありますが、パイプってのは紙巻タバコと違ってうまく吸い続けないと火が消えるんですな。で咥え続けることになりますが、これだと喋ってらんないから勢い寡黙になります
 まあ、ヘビースモーカーの探偵ってのはいますが、これからはIC○Sに移行すんですかねぇ・・・


 本書に掲載されているミステリ国の人々を分類すると

  探偵(謎を解く/事件を解決する側の人)      :29名/組(51%)
  犯人(犯罪を起こす/謎を提示する側の人)     :15名/組(26%)
  相棒(探偵の話相手、間違った推理をする盛り上げ役): 6名/組(11%)
  被害者(犯行などの犠牲になる人)         : 4名/組( 7%)
  その他(証言者、立ち位置不明など         : 3名/組( 5%)

   ※組は複数人で1カテゴリのもの(黒後家蜘蛛の会など)

 出典を読んでないのも多いので本書の紹介の印象で分けました。一人の人物が複数に入る場合があったり(アルセーヌ・ルパンなど)と分けるとなるとけっこうめんどう。すいません、ヒマなんです。

 連載時は気づきませんでしたが、ミステリ国の人々ってライバルや脇を固める人も魅力的な人が多いんですなぁ。確かに底の浅い犯罪やトリックしか仕掛けられない犯人しかいなかったら名探偵が名探偵たりえないし、謎の解けない探偵だったら犯人はんばりがいなさそうだし。何でもひとりで解決しているようなハードボイルドな探偵でも協力者(しかも美人!)がいたりするし。ミステリって意外と群像劇なんだな~とか妙に納得しちゃいました

 で、本書から気にいったネタを

〔ミステリの推理は人間心理をふまえた「もっともらしさ」が重要〕
 まずは、名探偵の代名詞たるシャーロック・ホームズ。不思議な謎を鮮やかに解く推理力の人ですが、有栖川が小学生の時にすら”そんなふうに言い切れるものだろうか?”とのツッコミ。ホームズに限らず、偶然に頼っているとか、分・秒単位での正確さがないと成り立たないとか(電車が遅延したらどうなんねん、時刻表トリックみたいな)、ホントにそれが可能?ってトリックもありますが、それはそれで読んで面白ければOK!

  レトリックで言いくるめられる快感にひたればばよい

 至言です

〔男たるもの、一度は雇ってみたい有能な”執事”〕
 優秀で博識で万能に近く主人に忠実な執事のジーヴス。”ジーヴスの事件簿”に登場。すいません。本書を読むまで知りませんでした。ジーヴスの主人が爵位継承をまっている頼りない青年、バーティ・ウースター。ウースターが困った時にジーヴスに泣きついて解決してもらうという話だそうです。のび太君とドラえもんか、君たちは?!
 しかしまあ、有能な執事ってのは男のロマンですな。これが”秘書”となると会社の雇用ですが、”執事”は完全に個人契約。優秀な男が忠実に仕えてくれるってシチュは憧れです。まあ、同じ有能でも”影山(*3)”ではナンですが・・・

〔ミステリには名言が良く似合う〕
 本書の表題では登場ませんが(リュウ・アーチャーの欄でちょっと言及)な”フィリップ・マーロウ”なんぞ渋い名言で有名”男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない(*4)”のあれです。ことほど左様にミステリには名言が良く似合います。本書でのMyNo.1はウィリアム・シュタイリシュの”幻の女”から

  The night was young,and so was he.
  But the night was sweet,and he was sour.
  夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。

 いや~、このセリフだけでこの本読んでみようって気になります

〔名探偵はパイプのけむり?〕
 さて、この本の著者は有栖川有栖ですが、もう一人重要な著者が大路浩美表紙、イラストを担当された人です。しかしまあ、こんだけ広範囲なミステリの本を扱っていて、有栖川有栖は少なくとも過去に読んだことある本に追随してたぶん読まれて、しかもそれをイラストにするって相当大変だったんじゃないかと思います。
 名探偵や怪盗、名作なんてなそれぞれ読者がイメージしているアイコンってのがありそう。ホームズならパイプ、ルパンならシルクハットにモノクルハードボイルド(リュウ・アーチャー)だったら拳銃など。作品自体もその作品を代表するビジュアルってのがありそうで”鋼鉄都市”なら脳に電子基板の組み合わせ”太陽がいっぱい”ならヨットとかそれらを組み合わせて描かれる、往年の真鍋博を彷彿とさせるクールなイラストがベストマッチンング。
 Amazonとかでは表紙イラストの人の名前が掲載されないんですが、ぜひこの人の名前も載せて欲しいものです

 本書は、連載終了していますが、ぜひ続編をやって欲しい! 前回は物故されたかた限定で選んだそうですが、次回はぜひご存命の方を含めて長期連載を日経新聞社にお願いするものであります

《脚注》
(*1)最近だと本格モノの”S&Mシリーズ”~
S&Mシリーズ(森博嗣)
 大学助教授の”犀川創平”と学生の”西之園萌絵”による理系ミステリ
百鬼夜行シリーズ(京極夏彦)
 古本屋主人にて憑物落としの”中禅寺秋彦”による妖怪系ミステリ
リンカーン・ライムシリーズ(ジェフリー・ディーヴァー)
 科学捜査のスペシャリストで四肢麻痺の”リンカーン・ライム”による安楽椅子探偵ミステリ
櫻子さんシリーズ(太田紫織)
 標本士にして骨大好きな美女”九条櫻子”によるボーンコレクター系ミステリ
ビブリア古書堂シリーズ(三上延)
 美貌の古本屋店主”篠川栞子”によるマニアック古書系ミステリ
古典部シリーズ(米澤穂信)
 省エネ高校生”折木奉太郎”と「わたし、気になります」の”千反田える”による学園ミステリ
鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ(東川篤哉)
刑事コロンボシリーズ(作成 NBC、ABC、出演者 ピーター・フォーク)
 ロサンジェルス市警察殺人課で「うちのカミさんがね」なコロンボ警部による倒叙ミステリ
館シリーズ(綾辻行人)
 建築家”中村青司”が設計した奇妙な”館”で起こる殺人事件を扱う密室系ミステリ
(*2)殺しも殺したり176年分かぁ~
 元ネタは”ルパン三世 カリオストロの城”(監督 宮崎駿、製作 東京ムービー新社)です。
(*3)影山
 ”謎解きはディナーのあとで”(東川篤哉)に登場する執事。警視庁国立署の新米刑事にして世界的な企業グループ総帥の一人娘というお嬢様”宝生麗子”の話を聞くだけで犯人を言い当てるという安楽椅子探偵。推理の前に主人公。推理の前のお嬢様を慇懃無礼な罵詈雑言で罵倒するセリフが魅力のS気質の人です。
(*4)男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない
 レイモンド・チャンドラーの”プレイバック”に登場する私立探偵フィリップ・マーロウのセリフ。正式には
 If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
 If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
  しっかりしていなかったら、生きていられない。
  やさしくなれなかったら、生きている資格がない
 (清水俊二訳)
これを高倉健主演の角川映画”野性の証明”のキャッチコピーに流用したのが上記です
(*5)真鍋博
 戦後を代表するイラストレーターの一人。日本SF作家クラブ会員
 新潮文庫版の星新一のショートショートの表紙なんかはまだ使われているようです

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