« 幼少のころに本書を読んだことでお嬢様方の料理魂を覚醒させ、”酒呑みの舌”につながってったとしたらとか考えるとちょっとワクワクします(大どろぼうホッツェンプロッツ/ソーセージ&ザワークラウト) | トップページ | ”夜は若く、彼も若かった” やっぱりミステリには名言が良く似合う(ミステリ国の人々/パイプ) »

京極堂で南極夏彦で妖怪馬鹿のお話。でも実写でやって欲しいな~~ これ!(虚実妖怪百物語/妖怪お守り)

 ども、早く人間になりた~いなおぢさん、たいちろ~です。
 このブログでは花を紹介するのに、”○○科XX属”というのが出てきます。これは生物学・分類学での”階級”というものでまあ近しいもののくくりなんですが、どこまで実感とあっているかというとけっこうアバウト。たとえばサクラだと”バラ科モモ亜科スモモ属”(wikipediaより)なんですが、サクラを見てバラとか、スモモとか言われてもそ~なんだとは感じにくいんじゃないかな。
 で、なんの話かというと”妖怪”の話です。一言で妖怪といっても亜人ちゃんやら、動物の化けたんやら、物が歳を経てなっちゃったんやらひとくくりにするんかこれみたいな。これに文化的な背景がからんじゃうと何がなんだか。日本では”人魚”は立派な妖怪ですが(*1)、人魚姫の”ア○エル”を見て妖怪扱いしたらディ○ニー・ファンから石投げられんダろうな~~(*2)
 ということで、今回ご紹介するのは、そんな妖怪がいきなり現れたらどうなるかという話”虚実妖怪百物語”であります


写真はたいちろ~さんの撮影。イベントで展示されていた妖怪お守りです
写真上は境港にある”妖怪神社”にある金運上昇?!ねずみ男がモチーフのお守り
写真下は赤城神社にある厄災守護の”磐筒雄命(いわつつおのみこと)お守り
ゲゲゲの鬼太郎のチャンチャンコがモチーフ

4300290

【本】虚実妖怪百物語(うそまこと ようかいひゃくものがたり)
   (京極夏彦、KADOKAWA)
 シリアの砂漠に現れた男。旧日本兵らしき軍服に、五芒星が染め付けられた白手袋。その男は、古今東西の呪術と魔術を極めた魔人・加藤保憲(*3)に、よく似ているように見えた――。妖怪専門誌『怪』の編集長と共に水木プロを訪れたアルバイトの榎木津平太郎は、水木しげる氏の叫びを聞いた。「妖怪や目に見えないモノが、ニッポンから消えている!」と。(序)
 という話のはずなんですが・・・
【道具】妖怪お守り
 妖怪とお守りの組み合わせって冗談っぽいですがホントにありました
 鬼太郎のチャンチャンコ柄のお守りは磐筒雄命をお祀りしている東京の赤城神社のもの。水木しげる大先生が、”ゲゲゲの鬼太郎”アニメ化の時にこの神社でヒット祈願をしたことが由来だそうです。
 まあ、こっちはわかるんですが、妖怪神社のねずみ男お守りってのはどうなんでしょう。コレクターズアイテムていう意味ではありですが・・・


 で、妖怪ってのは何かというと水木しげる大先生曰く”気配”とのこと

  妖怪というのは、気配デスよ、気配
  それに相応しい気配があって、その中にいて、漸くこう、うっすらと感じるもんデすよ
  そこで、ハッ、と思うワケです。見えないんです!

 なんで、ホイホイ見えちゃいかんモンだそうです。ところがこれがみんなにはっきり見えちゃって、しかもデジタル媒体に記録されちゃう。これがまた見た人が見た感じのものを記録されちゃうんだから大混乱、ってのが本書で起こっている事柄です。

 こんだけ読むと”虚実妖怪百物語”という本の名前っぽいんですが、実際読んでみるとなっじゃこりゃ! ざっくりまとめると、南極夏彦テイストのノリ(*4)に京極堂の蘊蓄のっけて(*5)、オタクネタをばら撒いたような妖怪馬鹿話! しかも登場人物がほとんど実在の人物。京極夏彦本人に始まって、水木しげる大先生に荒俣宏。平山夢明に村上健司に黒史郎なんといった妖怪・ホラー系ライターとかも、読んだことないけど。なあ、ほとんど楽屋オチな面々が集まってほとんど妖怪馬鹿の面目躍如な大騒ぎ!!! 
 だいたい”加藤保憲”ドコいったんや! 1巻目”序”の冒頭でオイシイ出方してるのにあと登場するのは2巻目、3巻目の冒頭。最後の最後での登場は荒俣宏に呼ばれて飛び出てジャジャジャヤジャ~ンの8ページのみ。1400ページ近くあんですぜ、この本

 こんだけ読むと単なるふざけている馬鹿本かと思われるでしょうが、実はその背景ってかなり今の世相を反映してそうでけっこうホラー。妖怪という対象がなくなったとたん、社会がお互いを監視し、無駄を憎み、冗談に苦情をいい、駄洒落だけで教師を懲戒免職にするという殺伐とした世の中に・・・

  全員、自分が善だと信じ込んでいるのである 誰一人、人の話ををきこうとしない
   (中略)
  国民共通の敵・悪の権化たる妖怪を失ってしまったために
  怒りや不満のはけ口がなくなってしまい、
  仕方なく大衆はその矛先を隣人へと向け始めたのだろう
  溜まりに溜まったフラストレーションをお互いにぶつけ合っているだけなのだ
  なんちゅう乾いた人間関係だろうか

 冷戦構造の崩壊からこっち(*6)、対立構造が多極化、局所化していく中、国民共通の敵・悪の権化というような大物キャラクターが消失してった中で、インターネットやSNSなんつーイージーな発信ツールが登場することで、ネットの炎上やクレーマーといった自己主張をぶつける人が(以下自主規制)

 ”虚実妖怪百物語”はふざけているようで、実はけっこう真面目にヤバいネタを扱った本。京極夏彦はじめての人でもけっこう楽しめます。ぜひご一読の程を

 余談ですが、この本実写化せんかな~~~
 お亡くなりになられた水木しげる大先生はどなたか役者の方でもしょうがないですが、それ以外の方はほとんど実在の人物。俳優は嶋田久作に佐野史郎に室井滋、声優は野沢雅子に八奈見乗児に千葉繁に高山みなみに山本圭子と夢のラインナップ。キャラクターでも水木大先生を始め、高橋留美子に藤子・F・不二雄に魔夜峰央に藤田和日郎となれば著作権なんぼのモンじゃい! 鈴木光司がいるから貞子もご出演ok! ”シン・ゴジラ”や”図書館戦争”、”空飛ぶ広報室”とかにも協力してるんだから、自衛隊もけっこうノリノリで協力してくれそうだし。あとはKADOKAWAの財力とメディアミックス力があれば怖いモンなしだと思うんですが。ぜひご検討の程を


《脚注》
(*1)日本では”人魚”は立派な妖怪ですが
 京極夏彦の本でよく引用される鳥山石燕の妖怪画集”今昔百鬼拾遺”に載ってます。ビジュアル的には上半身が人間で下半身魚ってのはア○エルと同じですが、顔はネズミっぽいし水かきあるし背びれあるし・・・
(*2)人魚姫の”ア○エル”を見て~
 ”ア○エル”の父親はギリシア神話に登場する海神”トリ○ン”ということなので、ア○エルは妖怪ではなくて神様の一族ってことになります。いちおうフォローしましたよ
(*3)加藤保憲
 ”帝都物語(荒俣宏、角川文庫)”に登場する強力な霊力持ち魔術に精通する悪役。関東大震災を引き起こしたという結構アブナイ人。1988年に嶋田久作が主演で映画化されるなどけっこう流行ったんだけど、まだ読んでないな~~ これから読みます。
(*4)南極夏彦テイストのノリ
 京極夏彦の”南極探検隊シリーズ(集英社)”に登場する簾ハゲ。最初は単なる四流小説家だったのが、どんどん妖怪化しているような・・・
(*5)京極堂の蘊蓄のっけて
 京極夏彦の”百鬼夜行シリーズ(講談社)”に登場するで古本屋主人にて憑物落とし。京極夏彦の小説が超長いのはこの男が延々蘊蓄語るからといっても過言ではないかと
(*6)冷戦構造の崩壊からこっち
 アメリカ合衆国を盟主とする資本主義・自由主義陣営と、ソビエト社会主義共和国連邦連邦を盟主とする共産主義・社会主義陣営との対立構造。1989年のアメリカのパパ・ブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長がマルタでの会談で終結。ってな話を脚注で書いとかんと、若い人にはわからんかもねぇ。なんたってもう四半世紀も昔の話だし・・・

« 幼少のころに本書を読んだことでお嬢様方の料理魂を覚醒させ、”酒呑みの舌”につながってったとしたらとか考えるとちょっとワクワクします(大どろぼうホッツェンプロッツ/ソーセージ&ザワークラウト) | トップページ | ”夜は若く、彼も若かった” やっぱりミステリには名言が良く似合う(ミステリ国の人々/パイプ) »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 幼少のころに本書を読んだことでお嬢様方の料理魂を覚醒させ、”酒呑みの舌”につながってったとしたらとか考えるとちょっとワクワクします(大どろぼうホッツェンプロッツ/ソーセージ&ザワークラウト) | トップページ | ”夜は若く、彼も若かった” やっぱりミステリには名言が良く似合う(ミステリ国の人々/パイプ) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ