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2016年7月24日 - 2016年7月30日

”専門家がよってたかって、なぜ誰も気づかなかったのか?”ということの答えの一つです(サイロ・エフェクト/タコ壺)

 ども、会社ではいろんなことをやらされてますが、大したことはやっていないおぢさん、たいちろ~です。
 どんな組織でも目的などで分類された部署(部とか課みたいの)が存在します。ところが、単独の部とかで片付かないお仕事や課題なんつーのがありまして、こういうのをやる部署や人が必要になります。まあ、”組織横断”とか”横串を通す”というとカッコイイんですが、要はどこの組織にも属さないような仕事を引き受けるわけで。私がやっているのはまさにそんな仕事ではあるんですが、これがなかなか面倒。遠慮してたんではタコ壺状態になりがちな各部から必要な仕事を引っ張りだせないんですが、かといって人ん家の米櫃に手をつこんでかき回すようなマネをするわけにもいかないし。このあたりのさじ加減ってにけっこう気を使うんですね(本人評価なんで当てにはなりませんが・・・)
 というころで、今回ご紹介するのはそんなそんな”タコ壺=サイロ状態”をいかに打破するかを扱った本”サイロ・エフェクト”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
勝浦海中公園にある”海の資料館”に展示されていたタコ壺です

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【本】サイロ・エフェクト(ジリアン・テット 文藝春秋)
  高度に複雑化した社会に対応するため、
  組織が専門家たちの縦割りの「サイロ」になり、その結果変化に対応できない。
  その逆説を「サイロ・エフェクト」という

   (本書 キャッチコピーより)
 読む前は気づかなかったんですが、ジリアン テットって人はバブルを考察した”愚者の黄金(*1)”の著者でもあります。
【道具】タコ壺
 タコを捕獲する目的で漁師が使う壺。タコは身を守るための隠れ家として海底の岩場に潜むそうですが、隠れる場所の少ない砂地にタコ壺を置いとくと隠れ家としてタコ壺に入り込んでくるので、これを引き上げてタコを捕獲するのがタコ壺漁です。
 なんで引き上げる時に逃げないかと不思議だったんですが、タコには何かにしがみつく習性があるからだとか。けっこうよく考えてるんですね


 ”サイロ”(silo)ってのは一般的には米、小麦、トウモロコシなんかを保存しとく円筒形上の建物のことですが、本書では”ミサイル発射口”のイメージに近いかな。映画なんかだと、大きな穴が地下に建設されていて、そん中にでっかいミサイルが設置されているヤツです。
 日本語だと”タコ壺”。本書によるとソニーのCEO”ハワード・ストリンガー”が演説で

  ソニーはサイロが多すぎる!

と言ったのを、困った通訳が”タコ壺”と置き換えたんだとか。なかなか機転のきく通訳の人みたいです。

 最初に言っときますが、本書の主張って”サイロ”そのものを否定しているわけではないんですね。何がしかのキーで分類すること自体は都合のよい点も多々ある。ただ、問題はそれが固定化して強固な壁になっちゃって柔軟な対応を阻害する弊害が大きくなるということで。これで失敗した例として、上記にあるビジネスでしくじったソニー、バブルで大損失を被ったUBS、経済危機を予見できなかったイギリスの経済学者の例を上げています。

 経済危機だった2008年にエリザベス女王がなみいる経済学者に対してした質問

  なぜこの危機の到来を誰も予見できなかったのですか
  これほど大きな問題なのに、なぜ誰も気づかなかったのでしょう

問われた経済学者としてみれば、面目丸潰れなんでしょうが、真面目な人達なんでしょうな、寄ってたかって作ったお返事がこれ

  陛下、危機の時期、範囲、深刻さを予見し、
  防ぐことができなかった原因は多々ありますが
  基本的には国内外の大勢の優秀な人々が集団として
  システム全体のリスクを理解する想像力を持っていなかったことが原因です

 それぞれの人が自分の与えられた仕事はしてたものの、全体像を見る、異なる事象を結びつけた人はいなかったと。これが典型的な”サイロ”の弊害なんですな。まあ、岡目八目というか、後知恵というか、人がやってることをあとからど~のこ~の言うのは簡単ですが(簡単でないかもしれませんが)、我が身振り返って考えると難しいんでしょなぁ

 じゃあ、どうすりゃいいのかて~と、本書でのヒントをまとめるとこんな感じ。終章”点と点をつなげる”より抜粋です

1.大規模な組織においては部門の境界を柔軟で流動的にしておくのが望ましい
2.組織は報酬制度やインセンティブについて熟慮すべき
3.情報を共有し、誰もが自分なりに情報を解釈し、その解釈に組織が耳を傾ける
4.組織が世界を整理するのに使っている分類法を定期的に見直す
5.サイロを破壊するのにハイテクを活用するのも有効。そしてプログラムを変える

 1冊の本で語っていることを要約すると当たり前っぽくなっちゃいますが、これを様々な事例を交えて説明されるとなるほどな~と思います。
 組織なり人なりって、ほっとくと現状肯定、視野狭窄、既得権益、経験第一、とどのつまりは思考停止です。特に今の状態を維持することによるインセンティブがある人は積極的に変化を起こす動機がないんで、そのまま惰性で物事が進んじゃう。だって楽なんだモン! てな具合です。
 この状態でほっておく(もっと悪いのは”気がついていない”)と、会社や組織が衰退しちゃう、その例がソニーなりUBSで、そうならないように対応してたり打破した例としてフェイスブックやクリーブランド・クリニックの例がでてきます。前著の”愚者の黄金”がファイナンスの話だったんですが、それ以外の業界の話もいっぱいでてきます。
 本書の著者”ジリアン・テット”という人はフィナンシャル・タイムズ編集長を務めたとのことでファイナンスが専門の人かと思ってましたが、そうじゃないんですね。本書でものっけから人類学のお話が(なんでも大学の専攻が社会人類学だったとのこと)。こういう違った切り口でのアプローチって確かに面白いんですね。ぜひご一読のほどを

《脚注》
(*1)愚者の黄金(ジリアン・テット 日本経済新聞社)
 J・Pモルガンのデリバティブチームが創り出した革新的な金融技術”CDS(信用リスクの移転を目的とするデリバティブ取引)”がなぜ金融業界の崩壊をもたらしたのかを分析した本。原書の副題は”J・P・モルガンの小グループの革新的な技術は、ウォール街の強欲によってどのように歪められて金融危機をもたらしたのか”という”博士の異常な愛情”っぽいものですが云い得て妙です。詳しくはこちらをどうぞ

”再起動 大涌谷!”に行ってきました ちっとエヴァテイストで(新世紀エヴァンゲリオン/大涌谷)

 ども、今週は夏休みのおぢさん、たいちろ~です。
 ヒマなんでどっか行こうかな~と思っていたところ、TVのニュースで2015年5月以来続いていた箱根大涌谷園地の立ち入り禁止規制が2016年7月26日に解除され、ロープウェイも全線開通とのこと。黒たまごも販売再開になるとか。これはいっぺん行ってみましょうということで聖地巡礼シリーズ、あのシンジ君も訪れた大涌谷に行ってきました。
 (写真はすべてたいちろ~さんの撮影です)

【DVD】新世紀エヴァンゲリオン(監督 庵野秀明、キングレコード)
 1995年にテレビ東京系列で放映され、のちに社会現象化したSFアニメ。”使徒”と名付けられたなんだかワケのわからん生き物を、”エヴァンゲリオン”というおっそろしく使い勝手の悪い汎用人型決戦兵器(*1)で撃退するというお話。

 大涌谷は第四話で家出した主人公のシンジくんが訪れるシーンで出てきます。
【旅行】大涌谷
 神奈川県箱根町にある箱根火山の火山性地すべりによる崩壊地形。箱根火山の中央火口丘である冠ヶ岳の標高800mから1000mの北側斜面にあり、地熱地帯で活発な噴気地帯でもある(wikipediaより


 ちょっと早めに車で家を出て、大涌谷に到着したのが10時30分ちょっと前ぐらい。混んでるかと思っていたんですが意外とすんなり駐車できました。
 車を降りると微かに硫黄のにおいが。落ち着いてるとはいえ、やっぱ火山活動の活発な地帯なんだな~~
 写真は大涌谷の全景。左は黒たまご館(おみやげ屋)、ケーブルカー駅です

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 硫黄がもくもくしている傾斜地。右下にはシンジくんも見た崩壊防止の段々が見えます

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 名物の黒たまご。今回の旅行の目的の一つ。食べると7年寿命が延びるというありがたい食べ物です。黒くなるのは卵の殻に温泉池の成分である鉄分が付着し、硫化水素が反応して黒色の硫化鉄となるからだとか(黒たまご館HPより)
 5ケ入り500円ですが、私の前の人はおみやげにするのか40ケ(8袋)買ってました

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 エヴァ零号機っぽいカラーリングののぼり。中には”再始動”の文字が。
 これが”再起動”だったらエヴァなんだけどね~~

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 で、ゆるしと(*2)”ゆるたまごバージョン”の手ぬぐい。箱根湯本のエヴァ屋にて

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 大涌谷モニュケント横にあった”キティちゃん 黒たまごバージョン”。でも見方によってはゆるしとのんが近いかなぁ

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 このあたりに自然研究路があるんですが、そっちはまだ通行止めでした

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 11時30ごろに大涌谷を出発しましたが、この時は駐車場に入れる車が延々大渋滞! もし、今後訪問される方がいらっしゃいましたら、早めに行かれることをお勧めします

〔おまけ 1〕
 宮ノ下の骨董品屋さんで見つけた第十二使徒”レリエル”の寄木細工?

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〔おまけ 2〕
 箱根湯本の”エヴァ屋”さん

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 この季節らしく浴衣姿の綾波レイがお出迎え

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 もうすぐ公開の”シン・ゴジラ(*3)”とエヴァのコラボTシャツです

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 日帰りプチ旅行でしたが、けっこう楽しませていただきました

《脚注》
(*1)おっそろしく使い勝手の悪い汎用人型決戦兵器
 A10神経接続によるコントロールという究極のBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)を搭載していながら、パイロットとの”シンクロ率”が上がんないと動かないシロモノ。練習なしで動かせる点ではすごいんですが、乗せた方の大人が”動いた?!”と驚くってのもなぁ。ちなみにジャンボリオンと違って免許はいらなさそうです。
(*2)ゆるしと
 水を司る天使”サキエル”の名を持つ第四使徒(TV版では第三使徒)。
 黒い体に白い顔がトレードマーク。詳しくはこちらから
(*3)シン・ゴジラ
 総監督・脚本が”エヴァンゲリオン”の庵野秀明、監督・特技監督が”ローレライ”、、”日本沈没(2006年版)”の樋口真嗣が担当というオタク心をくすぐる組み合わせによる久々の日本製ゴジラ映画。7月29日より公開予定

ジブリ映画観てないだけで、ひっどい言われようだなオイ!!(木根さんの1人でキネマ2/トトロパン)

 ども、実はあんまし映画を観てないおぢさん、たいちろ~です。
 わりとノーマルな趣味の一つに”映画鑑賞”ってのがあります。映画館で見るもよし、DVDを借りるもよし、ネットをつないでソフトオンデマンド(エッチなコンテンツ会社じゃありません)で観るもよし。
 こんだけ便利にコンテンツを見られる昨今、問題は”何を観るか?”でしょうがこれとてみんなが観ている”マジョリティ”と、あんまし見ている人いなさそうな”マイノリティー”の格差が発生します。もし”映画好き”と思われている人が王道にしてマジョリティーたる”ジブリ映画(*1)”を観ていなかったら??
 ということで、今回ご紹介するのは暗い過去を持つ映画マニアを描いたマンガ”木根さんの1人でキネマ2”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
近所で見つけたトトロパン(説明不要)です

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【本】木根さんの1人でキネマ2(アサイ、白泉社)
 木根真知子、三十(バキューン)歳、独身。趣味 映画鑑賞。実態は映画愛をこじらせちゃってる残念な人。会社の同僚との呑み会で好きな映画を聞かれたり、同窓会では”殺したい過去”に直面したりとあい変わらす苦悩する映画マニアです・・・
【食べ物】トトロパン
 丸んまる体に、ネコミミに、くりくり目玉と髭をつけたらトトロパン♪
 以前何かで読んだ気がすんですが、”子供に愛されるキャラ”って”子供でも簡単に描ける”ってのがあるそうです。ドラえもんなんかが典型例。昔のアニメってエンディングに”絵描き歌”みたいなのあったんですが、今でもあんのかなぁ?


 さて、今回のお話は呑み会で出た部下からの質問

  木根課長はどのジブリ映画が一番好きですか?

 あるんですよね~~、こういう悪意のない偏見。典型的なのは”プロ野球はどのチームのファンですか?”。まあ、私自身が関西出身なので”阪神タイガース”ぐらいの答えを期待されてるんでしょうが、はっきりいって私、プロ野球は大嫌いです。正直にそう答えると一瞬、空気が凍るんですが・・・ い~じゃんかよ~、別にプロ野球嫌いなおぢさんがいたってよ~~ 

 で、上記への木根さんのお答え

  ごめんなさい、ジブリ映画1本も見た事なくて

 これに対する部下のリアクションといえば

  普段、映画見ない人だってジブリは見ますよ! 日本人なら誰でも見ますよ!
  家にTVなかったんですか!?
  宗教上の理由!?
  医者に止められてた!?
  アニメがお嫌いとか・・・
  カリスマ監督の権威に楯突きたい・・・?

さすがに木根さんは

  ひっどい言われようだなオイ!!

と思ってますが、そうですよね~~ 見なかったのは

  特に理由なんてないんだけどにゃ~~

 どんな趣味でもジャンルまで分けてくと合う合わないってのは出てきます。木根さんはただ不良なゾンビ映画に惹かれて、優等生のジブリ映画はなんとなく見る気が起きなかっただけで。。私も多少は映画見ますが、”アナと雪の女王”観てないし、”ハリーポッターシリーズ”は映画どころか原作すら読んでません(*2)。”アナ雪は”ディズニーは思い入れないから観てないだけだし、”ハリポタ”はファンタジー系が苦手なだけで、大した理由があるわけじゃないんですが。

 で、木根さんの本音(さすがに一席ぶってませんが)

  自分の見たい映画を片っ端から見るから映画マニアなのよ!!

まあ、”自分の見たい映画”をどうチョイスするかってのは、あります。人から勧めてもらうとか、本やネットで評判を見るとか。私も会社の本仲間から”池波正太郎、面白いよ~~”とか言われると”読んでみよっかな~~”って気になるし(*3)。逆に”これを読め!”とか言われると、どんな面白い話だって面白くなくなりそうだし。夏休みの読書感想文の宿題なんてまだやってんでしょうか? あれって完全に逆効果のような気が・・・(*4)

 木根さんに降りかかってくる災難ってのが”お勧めの映画を紹介する大会”(木根さんいわく”地獄の門”)。宴会がいつのまにか大バトルに・・・ それを見た木根さんの過去の回想

  あれが私なのか・・・
  ケツの穴の狭さ故、他人を受け入れなれなかった私の姿なのか・・

映画であれ本であれ人に趣味の世界をお勧めするって難しいんですよね。ましてや抑えの聞かない学生時代なんかにやらかした話ってと~~ってもハズいし・・・(*5)

 この大バトルを終わらせるために木根さんが使った滅びの言葉

  人それぞれでしょ

まっ、確かにね! ジブリ見てないと言いながらしっかり”バルス”してるのが笑えますが・・(*6)

p.s.
 なみに私の推しは”ルパン三世 カリオストロの城”です!!!

《脚注》
(*1)ジブリ映画
 調べてみたところ、スタジオジブリの設立って1985年と老舗に比べると思ってたより後発(いったん解散して徳間書店の事業部化、再度会社としてスタートしたのは2005年)。宮崎駿の代表作”ルパン三世 カリオストロの城(1979年)”は東京ムービー新社の、”風の谷のナウシカ(1984年)”はスタジオジブリの前身”トップクラフト”の、”未来少年コナン(1978年)”は”日本アニメーション”の製作。宮崎駿監督=ジブリ映画みたいに思ってますが、意外にそうとも限んないんですね~~
(*2)”アナと雪の女王”観てないし、”ハリーポッターシリーズ”は~
アナと雪の女王〕監督 クリス・バック、ウォルト・ディズニー・ジャパン
 観客動員数 2,000万人以上、DVD売上枚数 300万枚以上
ハリーポッターシリーズ〕(シリーズ累計)
 観客動員数 7,800万人以上、DVD売上枚数 1,189万枚以上
現時点での正確な数字が公表されている訳ではないんで、ネットで大きそうな数字をひろってみました。これ以外にTV放映もされてるんで、ハンパね~数字であることは確かです。
(*3)”池波正太郎、面白いよ~~”とか言われると~
 作家とかジャンルとか一度読みだすとハマるほうなんで、喰いつくとあとがたいへん。”剣客商売(新潮文庫)”とか”真田太平記(新潮文庫)”とか読んで見ないんだけど冊数がハンパね~からな~
(*4)夏休みの読書感想文の宿題なんてまだやってんでしょうか?
 まあ、名作ではあるんでしょうが、予定調和な結論を子供に書かせて面白ンでしょうかねぇ 作文読まされる先生だって面白いんですか? むしろ夏休みに読んだ本を紹介する”ビブリオバトル”みたいなのやったほうがよっぽど盛り上がると思うんですが・・
(*5)抑えの聞かない学生時代なんかにやらかした話って~
 高校時代に”ガンダムにおけるニュータイプのありようが云々~”て話を延々と(以下略させてください m(_ _;)m )
(*6)しっかり”バルス”してるのが笑えますが・・
 ”バルス”は”天空の城ラピュタ(監督 宮崎駿、ウォルト・ディズニー・ジャパン)”でシータがパズーと共に唱える滅びの言葉。目がぁ~~、目がぁ~~

このお嬢様、変人の探偵というより、マッドサイエンティストの系譜かな(櫻子さんの足下には死体が埋まっている/蝶形骨)

 ども、骨折り損のくたびれ儲けな人生を送るおぢさん、たいちろ~です。
 さて問題です。  

誰もがみんな持っていて、食器にもネックレスにも武器にもなるもの、な~んだ? 

 答えは”骨”。いやマジで。”食器”というのは頭蓋骨を加工して盃にする”髑髏杯”というもの。織田信長が使ったのは有名ですが、最近読んだのだと”光圀伝(*1)”にも出てたな~。同じく頭蓋骨を”ネックレス”にしたのは沙悟浄。作品や場面にもよりますが9ケの骸骨をネックレスにしています。”武器”にしたのは”2001年宇宙の旅(*2)”より。人類の祖先のヒトザルが謎の物体”モノリス”に接触することで知恵を得て、動物の骨を武器に敵対する群れを攻撃するってシーン(THE DAWN OF MAN 人類の夜明け)から映画は始まります(シーンを観たい方はこちらから

 ことほど左様にけっこう使い勝手のある”骨”ですが、一般的にはあまり愛される存在ではなさそうです。ここにそんな”骨”を偏愛する美女がいたら?
 ということで、今回ご紹介するのはそんな骨愛ずる姫君を主人公にした本”櫻子さんの足下には死体が埋まっている”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影
小樽の北一ヴェネチア美術館にあった”仮面”です

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【本】櫻子さんの足下には死体が埋まっている(太田紫織、角川文庫)
【本】櫻子さんの足下には死体が埋まっている
   (原作 太田紫織、作画 水口十、角川コミック・エース)
【DVD】櫻子さんの足下には死体が埋まっている
   (原作 太田紫織、CV 伊藤静、監督 加藤誠、KADOKAWA)
 その笑顔は太陽のように、花のように輝くように綺麗で、無邪気で可愛い。眼力のある美人でスタイルもいいお嬢様。そんな彼女が大好きなものは”骨”。あらゆる生き物の”骨に恋焦がれ、耽溺している。彼女の名前は”九条櫻子。そんな彼女の我儘振り回される”僕”は平凡な高校生”館脇正太郎”。二人の訪れるところにはなぜか事件が・・
【動物】蝶形骨
 目から鼻のあたりにある骨。形が蝶の羽を広げている形に似ているのでこの名前がついたそうです。上記の写真のように仮面舞踏会に出てくる蝶の形をした目隠し(マスク)をイメージしてもらえると近いかも。これを美しいと感じるか不気味と感じるかは意見の分かれそうなところです。恐いもの見たさで正確な形を見たければWikipediaでどうぞ。


 さてこのシリーズ、前から気にはなってたんだよな~ 表紙は黒髪ロングのクール&ビューティなお嬢様だし(すいません、ドストライクなんです)。アニメ化もされたみたいだし、でも手を出したらはまっちゃいそうだし。で、たまたま図書館で見つけちゃいまして1冊目を読んだら、ダメでしたね~~ DVD6巻まとめてイッキに見ちゃったし、原作は立て続けに3巻まで読んでるし、コミックも買っちゃったし・・・

 お話はというと裏表紙の”最強キャラ×ライトミステリ!”とあるように推理系ライトノベルかな。事件そのものは”ライト”でもないけど。主人公は優秀だけど残念な性格のお姉さんとそれに振り回される弟キャラってところ。姉萌えですか? 出色なのはやはり主人公の”櫻子さん”。すごい美人で、古いお屋敷に住むお嬢様で、法医学の知識も豊富で、並はずれた推理力を持っていると書くと完璧超人のようですが、性格的にはかなり残念な人。”骨”を愛するあまり、拾った頭蓋骨を持って帰ると言いだすわ、見つけた死体をたまに見にきたいから警察に黙っとこうといってすねだすわ。保護者役の正太郎少年から”それは犯罪です!(*3)”と言われ”いいじゃないか、黙っていればきっとバレやしない”と言いだす始末。まあ、性格もそうですが、櫻子さんの行くところなぜか死体と出会うはめに 

  私の足下には、いつだって死体が転がっているんだよ

と自覚はあるもよう。まるで行く先々で殺人事件が起るどこぞの小学生のような・・・

 櫻子さんが偏愛する”骨”ですが、なぜ一般の人から愛されないかというとやはり”死”を連想させるからでしょうか。普通の人なら本物の骨って”納骨”の時ぐらいしか見ることないし、子供時代にギャートルズを見てた世代だと死神ってホネホネだし(*4)。
 でも、いったん”死”というイメージをはずして”骨”を見ると意外と美しいモノかもしれません。作中で櫻子さんがカレイの骨格標本をして

  どうだ? 非常に美しいだろう?
  平べったくて滑稽な外見からは、想像つかない繊細さだとは思わないかね?

こんな目で見てカレイの煮つけを食べたこたないですが、確かに骨って美しいフォルムをしてますね。”鎖骨美人”って言葉もあるぐらいだし。
 本書には”蝶形骨”をコレクションするために犯罪を教唆するおっさんてのが出てきますが、ここまでくるとかなりビミョ~。確かに蝶の形には似てるんですが実物見せられたらちょっと引きそうだなぁ まあ、他の骨でも引きそうだけどね

 このお嬢様、変人の探偵というより、マッドサイエンティストの系譜かな。私が見ると一般人より膨大な知識はあるけど、死などの感情に対する常識がないとか、自分の”骨”に対する偏愛が全ての価値判断に優先するとか。このあたりって、科学的興味だけで危ない実験とか平気でやっちゃったりする由緒正しき?マッドサイエンティストって感じがすんですけどね~ まあ、面白いシリーズですんで、ぜひ読んでみてください。
 とりあえず3巻目まで読みましたが、9巻目が出たとこなんでもうちっと楽しめそうです。ということで、残り6巻も骨骨(コツコツ)読んでいきます
 つまらん落ちですいません・・・


《脚注》
(*1)光圀伝(冲方丁、角川書店)
 ”光圀伝”ではのっけからこのエピソード。徳川光圀といえば好々爺の”水戸黄門様”であらせられますが、本書ではガチムチの肉体派のイメージ。まあ黄門様って実態と虚像がかなりかけ離れた人ではありますが、ここまで違うとはなぁ
(*2)2001年宇宙の旅(監督 スタンリー・キューブリック、ワーナー・ホーム・ビデオ)
 言わずと知れた不朽の名作SF映画。1968年公開とかれこれ半世紀前の映画ですが、今だに古さをまったく感じさせないのはさすが。ぜひご一見のほどを。
(*3)それは犯罪です!
 調べてみたんですが
 ・遺骨、遺髪、または棺内に蔵置した物を損壊、遺棄または領得した者は、
  三年以下の懲役に処する
(刑法第190条 礼拝所及び墳墓に関する罪)
 ・自己の占有する場所内に死体があることを知りながら公務員(警察官等)に
  速やかに通報せず放置していた場合は、軽犯罪法違反

だそうです(wikipediaより)
(*4)子供時代にギャートルズを見てた世代だと~
 園山俊二原作のアニメ”はじめ人間ギャートルズ”に登場する死神は骨の馬に乗って骨の槍をもってます。調べてみると実は”神様の使い”だそうです。まあ死に”神”ですから

漏れる茶碗でも千両、これって憑き物のせい?(はてなの茶碗/百器徒然袋-雨/瓶(かめ))

 ども、骨董品の目利きなんぞまったくできないおぢさん、たいちろ~です。
 昔、商品企画の仕事なんぞをやっておったんですが、この仕事の重要なファクターに”価格設定”てのがあります。ぶっちゃけ”どういう機能のものをいくらで売んねん”ってのを決めることです。社会科(公民だっけ?)で教えてもらったんだと”需要曲線と供給曲線の交わる点(均衡点)が価格”なんですが、そう簡単にはいきません。そこに”コスト”というメンドクサイ問題が絡むからです。売る側はかかったコストを製品1ケごとに回収しないといけないので、最低販売価格(*1)を設定してそれ以上で売ろうとするし、買う方は美術品など趣味の世界を除けば、買った費用をコストにみたててコスト以上のメリット(効用)がないと買わないし。
 ということで、今回ご紹介するのは除いちゃったほうの美術品の価格にかかわるお話、落語の”はてなの茶碗”と京極堂の蘊蓄満載の”百器徒然袋-雨”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。宇治で見かけた茶壷形の郵便ポストです

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【本】はてなの茶碗
 上方落語の演目の一つ。あらすじは下記をご参照
 三代目桂米朝師匠が二代目桂三木助師匠の口演の記憶をもと戦後復活させたんだそうです(wikipediaより)。名人芸、桂米朝師匠版はこちら、コミカルが好みなら桂枝雀師匠版はこちら。他にもYouTubeに古今亭志ん生師匠や桂南光師匠のも視聴できます。話芸の面白さは聞いてみないとわかんないのでぜひどうぞ。

【本】百器徒然袋-雨(京極夏彦、講談社ノベルズ)
 薔薇十字探偵社の探偵”榎木津礼二郎”の元に父榎木津元子爵から依頼がきた。”青磁の甕(かめ)”と、いなくなったペットの”亀”を探せという。ある事件で榎木津探偵と知り合いになった僕は古物屋の今川とこの依頼にまきこまれて、”壺屋敷”に一人で暮らす山田スエを訪ねる。一方、”京極堂”こと中禅寺秋彦は山田スエからお祓いを依頼されていた。ヤクザや金貸し、強欲な茶道具店主がからむ中、京極堂が行った憑き物落としとは・・
 ”瓶長(かめおさ) 薔薇十字探偵の鬱憤(*2)”より
【道具】瓶(かめ)、壺(つぼ)
 榎木津元子爵がお詫びに送った壺が気にいられず、青磁の甕を探すとこになったのが今回の話の発端。ところで”かめとつぼ”って本書によるとあんましはっきりした区別ってないんだそうで。壺は丸い器に蓋がのっていて、口の部分がくびれている貯蔵、運搬用の容器のこと。カメは土などでつくられた液体容器で口がややすぼまっているもの(なんで金属製の壺はあっても、金属製はカメとは言わないんだとか)


”はてなの茶碗”のあらすじです

 有名な茶道具屋の金兵衛(茶金さん)が茶屋の茶碗をしきりに見ながら”はてな?”と首をかしげている。これを見た油屋の男が”これはきっと名品で、金儲けになる”と思い茶屋の主人を脅して2両でこの茶碗を買い受ける
 油屋の男が茶金さんの店に”五百両、いや千両の値打ちがある!”と息巻くが、実はこの茶碗、茶金さんは瑕もなにもないのに水が漏れるので不思議だと思って見てだだけとわかる。意気消沈する油屋の男に茶金さんは”2両で自分の名前を買ってもらったようなもの”といって3両でこの茶碗を買い受ける。
 茶金さんが関白・鷹司公この話をしたところ面白いといって和歌をそえ、感心した時の帝が”はてな”の箱書きをが加えるにおよび、豪商”鴻池家”が千両で譲り受けることに・・・

 あらすじだけ書くと”んなアホな!”と言われそうですが、それをありそうに語るのが米朝師匠や雀師匠の話芸の見せどころです

 実は”薔薇十字探偵の鬱憤”で京極堂が語る骨董品の価格の蘊蓄を聞いて思い出したのが”はてなの茶碗”。京極堂による骨董品の価値についての説明

  売れれば土くれでも商品になるというのが現実です
  一方で売れなければ美しくても使えても古くても塵芥(ごみ)なんです
  そうした様々な側面が入り組んで、
  総体として骨董的価値と云うものは決まって来るのですね
  モノ自体には価値の差なぞない訳ですよ
  本来、本物偽物の区別なんかない
  価値はそのモノに纏わりついている静電気のようなもんです

  意味のないものに意味を与える、
  そして意味と意味とを連鎖させてありもしない価値を生み出す
  これが呪いです。
  この土には壺と云う呪いがかけられた
  そしてあなたは今、この壺に三十円と云う呪いをかけた

   (中略)
  つまり最早この土くれは、ただの土くれではなくなってしまった訳です
  だから、粉粉に破壊でもしてしまわない限りはーー十二分に祟るんです

引用が長くなりましたが、骨董品ってのは歴史的に価値があるかや真贋ってのもありますが、まずは人の想い・思惑で価値・価格が決まるんですなぁ、これが。はてなの茶碗も関白の和歌だの帝の箱書きだののオプションがあるけどこれだってコストという点ではタダみたいなもの。こういった偉い人の呪いがどこにでもある単なる安茶碗にびっくりするような高額なモンにしちゃってるワケです。

 まあ、はてなの茶碗にはこういった落ちそうにない呪いがかかっているからまだマシかもしれませんが、”開運! なんでも鑑定団(*3)”みたく価値があると信じていたもの=呪いのかかったモノが鑑定家の人からばっさり”偽物”だと断じられちゃったらまさに京極堂よろしく”憑き物落とし”にあったようなモンでしょうね

 ”はてなの茶碗”も”百器徒然袋-雨”もそれぞれにらしい”落ち”がついてます。ぜひ本編でお楽しみください!

《脚注》
(*1)最低販売価格
 コストは製品を1ケ作るごとにかかる”変動費”と、いくつ作ろうがあまり変わらない”固定費”から構成されて、たぶんこんぐらい売れるだろうって数ををnとすると
  最低販売価格 = 変動費+固定費/n (利益ゼロの場合)
  総利益 = (販売価格-最低販売価格)×n
になります。このnが実際はけっこう勘ってかテキト~に決まってたりなんかして・・
(*2)薔薇十字探偵の鬱憤
 本書に収録しているのは”薔薇十字探偵の憂鬱”、”薔薇十字探偵の鬱憤”、”薔薇十字探偵の憤慨”の3編。最初見た時は”涼宮ハルヒの憂鬱(谷川流、いとうのいぢ、角川書店)”のパロディか? と思いましたが調べてみると”百器徒然袋-雨”が1999年、”涼宮ハルヒの憂鬱”が2003年とこっちが先。へぇ~~~
(*3)開運! なんでも鑑定団
 テレビ東京系列で放映中の鑑定バラエティ番組。視聴者が持ち込んだ骨董品を古美術鑑定家の中島誠之助やらおもちゃ関連担当の北原照久など濃いい先生たちが鑑定。予想以上に高額だったり数百万円する本物と思ってたのが偽物で数千円だったりする人間模様の悲喜こもごもを楽しむ番組です。しかし、評価金額でホントに売れるんでしょうか?

※下記CD,DVDは私自身は見てません。参考です

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