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2016年7月10日 - 2016年7月16日

”どうしてその子どもたちに聞いた? お金を持っていないじゃないか”というシンプルさが必要です(Think Simple/アップルストア)

 ども、会社では方針策定担当をやっているおぢさん、たいちろ~です。
 最近のビジネス方針うんぬんの資料の中のキーワードの一つに”イノベーション(革新)(*1)”ってのがあります。まあ”今までと同じことやってるとヤバくね?! 何か新しいことしないとツブれんじゃね 俺達?!”と、健全な危機感といや言えるんですが、言うは易く行うは難し。人間そうそうブッとんだことを考えつくもんじゃございません。そうは言ってもなんか考えないと前にまずいんであ~でもないこ~でもないが始まる訳です。ここでややもすると複雑怪奇な方向に行っちゃいかねないんですな。もっと単純に考えりゃいいのにと思うことも・・・
 ということで、今回ご紹介するのはそんなブッとんだことを考え実行した会社”アップル”の哲学を書いた本”Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影
表参道アップルストア
のiPhoneの展示コーナーです

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【本】Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学
   (ケン・ シーガル、NHK出版)
 アップルの創業者スティーブ・ジョブスのもと「Think Different」キャンペーン(*2)に携わったクリエイティブ・ディレクターによるアップルを躍進させた哲学”シンプル”をまとめた本。
 原題は”INSANELY SIMPLE(狂気のように単純)(*3)”とシンプルにしてインパクトのあるもの。サブタイトルも”The Obsession That Drives Apple’s Success(アップルを成功に駆り立てた執念)”。”Obsession”は日本語では”取りつかれていること、妄想、脅迫観念、執念”など。ネイティブじゃなんで断言できませんが、企業の話を描くのにこのタイトルは相当扇動的ではないかと・・
【旅行】アップルストア
 改めて写真を見ると、ほんとになんにもないですな~~ 日本の家電量販店だったら、倍ぐらい商品並べてパネルがあって”広告の品”のポップがあって、カタログがあってするところです。これで面積あたりの売上金額がティファニーを上回る(本書より)というんですから大したものです。


 この本は内容自体も面白いんですが、ユニークとおもったのは各章のタイトルの翻訳

  第1章 Think Brutal   容赦なく伝える
  第2章 Think Small   少人数で取り組む
  第3章 Think Minimal  ミニマルに徹する
  第4章 Think Motion  動かし続ける
  第5章 Think Iconic   イメージを利用する
  第6章 Think Phrasel  フレーズを決める
  第7章 Think Casual  カジュアルに話し合う
  第8章 Think Human  人間中心にする
  第9章 Think Skeptic 不可能を疑う
  第10章 Think War   戦いを挑む

普通だったら”○○に考える”とやりそうなとこですが、違うんですね。上記の”Think Different”自体が”物事をまるで違った目で見る”と訳されています。この”Think(考える)”という言葉って意外に重たいんですね。なまじ”考えろ!”と言われるからあ~じゃこ~じゃの陥穽に落っこっちゃうんじゃないかと。これが”物事をまるで違った目で見る”と言われればずいぶん趣きが違うんじゃないかと。こっちだったら”俺でもできんじゃね?”って気になります。最近外国の人が書く日本の本なんかを読むんですが(*4)、これってジモッティから見ると当たり前のことが外国の人にはすんごい意外に思われたりしてます。まあ、日本人だって海外旅行に行けば同じような感想を持つんでしょうしね。この感想って別に考えてるわけじゃなく、”へぇ~~”って感じることから始まってるんでしょ

 Don’t think. FEEL!(*5)

みたいな。まあ”感じる”ことだって簡単ではないんでしょうが、既成概念や常識を捨ててフラットにモノゴトを感じてみっか! みたいなとこからスタートすればけっこういろんなこと思いつきそうな感じがします。

 本書で言ってる”シンプル”の一つのアプローチって”複雑さ”をいかに排除するか。ややもると足し算でいろんなものをくっつけて複雑にして自縄自縛に陥らず、いかに不要なものを捨ててより純度の高いところだけを抽出するかってとこでしょうか。製品に限らず、マーケティング、組織、コミュニケーションといった組織論まで踏み込んでいるのが凄いです。

 たくさんエピソードが載ってますが、気にいったのを一つ。
 ある広告会社のプランナー(消費者の考えていることをまとめてアドバイスする人)や山のような資料を用意して統計をベースに調査結果を報告する場面

  プランナー:私たちはハーレムにあるゲットーまで行って、
        バスケットボールコートにいる子どもたちにも、
        アップルをどう思うかを聞きましーーー
  ジョブズ :どうしてその子どもたちに聞いた? 
        お金を持っていないじゃないか

お金は多少露悪的かもしれませんが、アップルそのものがターゲットにしていないマーケットをいくら調査しても無駄だってこと。こういう風に書くと当たり前と思われるかもしれませんが、実際にはこれと同じ様なことってやりがちなんですよね~~ 元々ターゲットにしていないマーケットを一所懸命検討したり、そもそもターゲット自体が明確になっていなかったりと。まっ、ごちゃごちゃ考えるよりよりシンプルに”あんたいったい何したいネン?”って質問自体を書きかえちゃった方がいいかもね


《脚注》
(*1)イノベーション(革新)(*1)
 ”イノベーション(innovation)”と書くと新しそうですが、日本語だと”革新”。おぢさん世代だと”保守vs革新”なんつー政権争いを思い出しますが、これって1955年に結成した自由民主党(保守合同)と1967年の日本社会党や日本共産党が推薦した知事による”革新自治体”に遡るみたい。かれこれ半世紀も使ってるんですねぇ
(*2)「Think Different」キャンペーン
 ジョブズがアップルに復帰した1997年に行われた広告キャンペーンのスローガン。アインシュタインやボブ・ディランら偉人たちの白黒映像をバックに
  Here’s to the crazy ones
 (クレージーな人たちがいる)

で始まるナレーションは今見ても斬新。観たい方はこちらをどうぞ
(*3)INSANELY SIMPLE
 Amazonで見ると2016年に”Think Simple:How Smart Leaders Defeat Complexity(シンプルに考える:スマートなリーダーはどのように複雑さを打ち破ったか)”という本も出ています。ややこし~な~
(*4)最近外国の人が書く日本の本なんかを読むんですが
 一例をあげると”英国一家、日本を食べる(マイケル・ブース、亜紀書房)”の一節。フードライターのマイケルが高級肉の感想で
 肉は、口のなかで溶けるべきなのだろうか?
とコメントしてますが、日本人としてはけっこう驚きでしたね。詳しくはこちらをどうぞ
(*5)Don’t think. FEEL!
 ”考えるな!感じろ!”はブルース・リー主演の”燃えよドラゴン”の名セリフ。映像はこちらからどうぞ。

ビブリオバトル部の高校生の物語ですが、おっさん連中も魅力的です!(翼を持つ少女 BISビブリオバトル部 1/表紙のイラスト)

 ども、毎週図書館に通う読書好きなおぢさん、たいちろ~です。
 時々、図書館のイベントで”ビブリオバトル”の案内ってのが出ています。ビブリオバトル? バトルだからなんかと闘う? 料理の鉄人みたいの?(*1) 参加してみたいと思ってんですけどまだ行けてません。そんなこんなしてるうちに”ビブリオバトル”が表題についた本みっけ!
 ということで、今回ご紹介するのはとある高校のビブリオバトル部の活躍を描いた青春小説”翼を持つ少女 BISビブリオバトル部”であります。


写真は”翼を持つ少女”表紙のイラスト
pomodorosaさんのHPより。私、この人の絵、けっこう好きです

Photo


【本】翼を持つ少女 BISビブリオバトル部 1(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校のビブリオバトル部。<燃える氷(バーニング・アイス)>埋火武人、<双面の話者(ヤヌス・トーカー)>安土聡、<科学の魔女(ウイッチ・オブ・サイエンス)>菊地明日香など、いずれ二つ名を持つ濃ゆい本好きが集まるクラブ。SFマニアの伏木空はふとしたきっかけでこのクラブに入部することになり・・・
 本好き話好きな高校生が集まりビブリオバトルを繰り広げる青春小説てかライトノベルでしょうか
【本】表紙のイラスト
 本を選ぶ基準とか思い出に”表紙のイラスト”って意外と重要です。本書の中でも武部本一郎の話だとか、松本零士、石森章太郎、モンキー・パンチなどなど名だたる漫画家が表紙のイラストを書いてる話が出てきます。にもかかわらず、本書の表紙の作者の記載がないってどゆこと?! なめとんのか、うりゃ! (まあ、キャラクターイラストの記載はありますが・・・)
 本書に限らず表紙の絵を描いてる人調べるのってけっこう大変なんですね。この辺の話は”SF挿絵画家の時代(大橋 博之、本の雑誌社)”のネタで書いてますので、よろしければこちらもどうぞ


 内容に入る前に”ビブリオバトル”とはなんぞや。簡単に言うと、自分が読んで面白いと思った本を持って集まり、5分間で紹介して、参加者の投票で一番面白かった”本”(発表者ではない)を決める、というゲームです。(ビブリオバトル公式ウェブサイトより抜粋)。詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。

 物語は、上記のほかにも<天然の狙撃手(ナチュラル・スナイパー)>輿水銀、<愛の伝道師(ラブ・ミショナリー)>小金井ミーナ、メルマガ部員としてビブリオバトル部をサポートする金髪碧眼の美少女中学生 流冥弐久寿(ルメイ・ニクス)。上記の二つ名の名づけ親もこの子です。いずれ劣らぬディープな面々が勢ぞろい。きっと楽しい高校生活だろ~な~
 本来はこの子達の話を紹介すべきなんでしょうが、それは本書を読んでいただくとして印象深かったのは、登場する3人の中高年。これがまた濃いいんですな~

〔埋火武雄(埋火武人の祖父)〕
 もう故人で本人自身は登場しませんが、大正15年生まれですので、本書発刊時(2014年)にご存命なら80代後半。表の顔は造り酒屋の経営者にして酒税をめぐって国税局と戦った闘志。裏の顔は超弩級のSFマニア。なんせ部屋いっぱいのSF本のコレクション。創刊号から亡くなるまで36年間のSFマガジンのバックナンバー、稀覯本やらサンリオSF文庫やらてんこ盛り。なんせ伝説のSF人”柴野拓美(*2)”とも交流のあったという人ですからハンパじゃないですね~~
 お母さんが”古本屋に持っていっても二束三文”と言ってますが、とんでもありません! ぜひ大切に保管していただくか、公的機関に寄付していただきたいものです(*3)。

〔流冥無頼庵 ブライアン・T・ルメイ(流冥弐久寿の父)〕
 レスラーのようにごつい中年の白人男性。年齢の記載はありませんが、13歳の娘がいて奥様より10歳年上とのことですのでおそらく40代半ばぐらいでしょうか。
 大の日本マニアで日本に奥様ともども日本に帰化した人。お仕事は”日本の文化を海外に紹介する”こと。なんの紹介をしていることやら。私だって”直球表題ロボットアニメ”なんて知らんかったゾ! 伏木空をして”弐久寿さんの中二病的ネーミングセンスはお父さん譲り”といわしめています。

〔朝日奈光〕
 BIS世界史教師。昭和40年生まれですんで、だいたい50歳。堅物なキャラクターとして有名な先生ですが、その実態は初代仮面ライダーから見るというけっこうな特撮オタク。このおっさんがまた美味しいとこ持ってくんですな~~
 小金井ミーナの”仮面ライダークウガ”が平成初の「仮面ライダー」シリーズとの発言に”仮面ライダーBLACK RXは平成に放送されてた”だの、”真・仮面ライダー序章”は平成の作品だとか、いいオヤジが突っ込むか、ソコ!みたいな。
 だいたいこのおっさん、仮面ライダー以外でもけっこうな知識の持ち主。埋火武人が伏木空のしょーもないSFの知識に”脳の記憶容量の無駄遣い”と言ってますが、このおっさんだってたいがいです。
 でも、このおっさん、終盤では物語を決定づける愛すべきキーマンでもあります(この辺は本書でお楽しみを)

 本書自体も面白いですが、ビブリオバトル自体が本を紹介するイベントということもあり、読んでみたい本を探したい人にもお勧め。部員それぞれが得意ジャンルがあるのでけっこう広範にカバーしてます。ぜひご一読のほどを

《脚注》
(*1)料理の鉄人みたいの?
 私の記憶が確かならば、”料理の鉄人”は1993年~99年にフジテレビで放送された料理番組。料理の作り方ではなく、料理人が与えられた食材をベースにどちらが美味しい料理を作るかという”バトル”の要素を加えたという点では画期的な番組。
 アーレ、キュイジーヌ!
(*2)柴野拓美
 SF翻訳家、SF作家(ペンネーム 小隅黎)であり、日本初のSFファングループ”宇宙塵”の主宰者として多くのSF作家を世に送り出した人です。
(*3)公的機関に寄付していただきたいものです
 コミックマーケット代表の故・米沢嘉博の蔵書の寄贈をベースに明治大学が解説した”米沢嘉博記念図書館”なんていう例もあります。行ってみたいんなよな~~ ここ

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