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2016年5月8日 - 2016年5月14日

”位牌なんてただの板きれです。神も仏も、幽霊も祟りも、何もかも嘘っぱち”ですという人向けの推理小説です(陰摩羅鬼の瑕/鶴)

 ども、死体ではないですが、人生死に体(*1)なおぢさん、たいちろ~です。
 まだ20代の頃にネパールのカトマンズに行ったことがあります。パシュパティナートというヒンドゥー教の寺院があるんですが、そこは火葬場になっていて台の上で死体を荼毘に付すんですな。私が見た時には火葬はしてませんでしたが、まだ煙が残ってる状況。残った灰はそのままバグマティ川(聖なるガンジス河の支流)に流します。火葬が外から見えるってのも驚きでしたが、さらに驚いたのはその灰を流してるすぐ横の河ん中で沐浴をしてるんですな。日本人の感覚とはかなりかけ離れてはいるんですが、”死”と”死体”に対する宗教感ってさまざまだな~と思った記憶があります。
 ということで、今回ご紹介するのはある殺人事件に関する”死”と”死体”の大いなる齟齬の話、百鬼夜行シリーズの第8作”陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。日比谷公園雲形池にある”鶴の噴水”
黒い鶴ってこんな感じでしょうかね。

Photo


【本】陰摩羅鬼の瑕(京極夏彦、講談社ノベルズ)
 巨大な屋敷””鳥の館”を受け継ぐ伯爵”由良昂允(ゆらこういん)”は過去に4度、新婚初夜に花嫁を殺されていた。5人目の花嫁との婚姻にあたり、探偵”榎木津礼二郎”に護衛を依頼する。旅先で一時的な失明状態になった彼を補佐するため小説家”関口巽”もまた鳥の館を訪れる。
 はたしてふたりは花嫁を守れるのか? ”京極堂”こと中禅寺秋彦が語る事件の真相とは・・・
【動物】鶴
 ツル目・ツル科の鳥の総称。なんとなく霊鳥とか吉兆瑞祥ってイメージから純白ってイメージがありますが、黒い羽根も混じってます。逆に”黒鶴”というのもありますが、真っ黒じゃなくって灰色みたい。
 小説の題になっている”陰摩羅鬼”は”そのかたち鶴の如くして、色くろく”とありますが、イラストに使われている古今画圖續百鬼之中の図だと鶴には見えんなぁ。色が黒でもあのフォルムは美しいと思うんですが・・・


 本書でポイントになっているのが”死とはどういう状態”のことかってのが意外とはっきりしないってのがあります。動かなくなったら死んでるのかというとそんなに簡単じゃないし、心臓が止まったからといってその時点で細胞がすべて死滅しているわけでもないし。逆に脳が活動をとめても心臓は動いている”脳死状態”ってのもあるし、最近の新聞だと”心肺停止状態(*2)”なんて記事もあるし。物理学の世界では”シュレーディンガーの猫”みたく”生きていながら死んでいる”というわけのわからん話もあるし・・
 理屈をつければつけるほど”死”ってなに、”生命”ってなにってことになりますが、突っ込んでくと意外に説明ができないんですな、これが。京極堂の説明

  僕達は死に就いて何ひとつ確実には語れないのです。知らないのですから。
  精精魂が肉体から抜けることですなどと、子供騙しの方便しを述べるしか出来ない

   (中略)
  曰く心臓が止まる。曰く意識がなくなる。曰く動かなくなる‐--
  それはいずれも、正確には死ではない
  生命活動が停止するとこと説明したなら-‐-
  生命とは何かと問われてしまいます

そうはいっても、殺人事件は成立するんですが・・・

 百鬼夜行シリーズ”の特徴である膨大な蘊蓄は本書でも健在。今回面白かったのは”葬儀”つまり、死体に対する考え方。一つの考え方として肉体と精神とを分離して考えるというもので京極堂曰く”霊魂と云う発明”。肉体から霊魂が抜けると死ぬと考えると話が簡単で、霊魂も死後も不滅であるとすると安心だから。輪廻転生なんてのはこっち。なんで、死体に魂が戻ってこないんなら死体を取っといてもしょがないんで片付ける。上記のカトマンズで見たのはこれでしょうか。

 ところが、日本でややこしいのが仏教的な輪廻転生の文化と、儒教的な魂魄(こんぱく 魂=精神、魄=肉体)の文化がまざっちゃってること。本作中で京極堂が”位牌って何”って話をしてます

  京極堂 :板きれでしょう。字が書いてあるだけだ、それ以外の何でもない
        漆は塗ってあろうと金箔が張ってあろうと板きれは板きれです

        (中略)
  楢木刑事:霊がーー依り付くんじゃないんですか?
  京極堂 :霊なんてないですよ。仏教に於いては死者は六道を輪廻する
        成仏すれば仏になる。何が何処に依り付くんです?

そう言われりゃそうですが、実も蓋もないな~~ だいたい

  神も仏も、幽霊も祟りも、何もかもーーー そんなものは全部嘘です

って、断定してんだものな~~ この人。
まったく、神も仏もないものかってぐらい・・・

 相変わらず分厚い百鬼夜行シリーズですが、本書もノベルズ版で約750ページ。で、実際に事件が起るのは約550ページ目、京極堂が現場に登場するのは660ページ目というスローペース。つまりここまで延々いろんな蘊蓄が繰り返されてるんですな。やっと登場した京極堂がまた事件の解決にかこつけた蘊蓄話。でも、この手の話が好きな人にはとっても面白いシリーズです。敬虔な仏教徒には向かないかもしれませんが・・


《脚注》
(*1)死に体
 英語だと”lame duck(レイムダック)”。足の不自由なアヒルという意味で、こっちも鳥つながりでした
(*2)心肺停止状態
 心臓と肺が両方とも機能を失っているのが”心肺停止”。救命措置などで心肺機能が甦る可能性はまだ残っているので”死”ではないんだとか。法律的に医師が死亡宣告を出すまでは”心肺停止状態”という表現が用いられるそうです。

DVD全国発売されたから、5月4日はスターウォーズ記念日!(スターウォーズ フォースの覚醒/ひよこ)

 ども、5月4日はさっそく”フォースの覚醒”のDVDを借りに行ったおぢさん、たいちろ~です。
 近所のT○UT○YAに開店30分くらいの時間で借りに行ったんですが、たいがい大量に並べてあるのにもう残り僅か。なんとか借りれましたがみんなどんだけ早くから来てんねん!!
 奥様からは”フォースの覚醒って、この前映画館に観に行ったのでしょ?”と冷ややかなリアクション。い~じゃんかよ~、面白いんだから! それにDVDはDVDの見方っつ~のもあるわけで!!(*1)、
 ということで、今回ご紹介するのはSF映画の金字塔”スターウォーズの第七作”フォースの覚醒”であります。


 写真はたいちろ~さんの撮影。平等院近くの宇治川で見かけたアヒルのひよこ(たぶん)

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【DVD】スターウォーズ フォースの覚醒
 (主演 デイジー・リドリー、ハリソン・フォード、監督 J・J・エイブラムス)
 ”A long time ago in a galaxy far,far away(以下略)”で通じる説明不要のスターウォーズ・サーガの最新作。
 銀河帝国崩壊から約30年後。帝国残党が組織する”ファースト・オーダー”に対抗するためレジスタンスの”レイア将軍”は最後のジェダイの騎士”ルーク・スカイウォーカー”の探索を命じる。データを持つドロイド”BB-8”を偶然拾ったことから廃品回収業のレイで生計を立てていた”レイ”はこの戦いに泣きこまれることに。彼女の窮地を救った脱走兵”フィン”や密輸業者に逆戻りした”ハンソロ”、”チューバッカ”とともに・・
【動物】ひよこ
 にわとりやアヒルなどのひな(幼鳥)の呼称。
 孵化直後のひな鳥には”インプリンティング(刷り込み)”という生まれた直後に目の前にあったものを親だと認識してしまう現象があるそうです。


 映画館にて。のっけからジョン・ウィリアムズの”スターウォーズのテーマ” おぉ、戻ってきたぞ!感満載。そっからは”スター・デストロイヤー、でっけ~(*2)”とか、ミレニアム・ファルコンのドックファイト、カッコイ~!とか、ハン・ソロ老けたけどヒ~ロ~ とか。まあ、大きくなったとはいえテレビの画面って映画館とは比べモンにはなんないし、大音量でぶちかまされるし、なんてったって3Dだし!! みたいな。
 でも、落ち着いてお家でDVD観てると、やっぱし違う面が見えてくるな~~


〔実は影の主役は”BB-8”だったりして〕
 ルークと共に活躍したドロイド”R2-D2”。任務にあくまで忠実な頑固者(物?)ですが、一方Xウイングのナビゲーションからデス・スターのハッキングまでこなすという万能な側面も。かたや”フォースの覚醒”では”レイ”と冒険を共にする新しいドロイド”BB-8”が登場。ところがこの”BB-8”って先代”R2-D2”と違ってあんまし役に立ってないな~~ スターキラー基地攻略戦ではポーの搭乗するXウイングのナビゲーションをやっておりますが、あとはメモリチップを抱えて逃げ回ってばっかりで(*3)。でも、かわういんだな~ これが。砂漠の真ん中で拾われて優しくしてくれたレイに任務そっちのけてついてちゃうし。インプリンティングかおまいわ! と突っ込んじゃいそうな
 スリープモードの”R2-D2”によりそう姿とか、ルークの居場所を示した地図をいっしょに投影するシーンとか観てると、”メカフェチ”というより”メカ萌え~”のレベルでしょうか。
 ”BB-8”ってころころ転がる丸いフォルムに白を基調にオレンジのカラーリング。これってモロにあひるのひよこちゃん! カワウイ!!


〔実はファースト・オーダーってとってもお金持ち〕

 銀河帝国に変わって、今回の悪の組織は”ファースト・オーダー”。銀河帝国の”残党”っていう設定になっとりますが、これって”残党”ってイメージからほど遠い経済力の持ち主みたいです。
 かつて、企画のお仕事をやっていた性で”これを作るのにいったいいくらかかるんや?”って考えることがあります。で、今回の映画で”ファースト・オーダー”が大盤振る舞いしているのが”スターキラー基地”。恒星系まるごと吹き飛ばすという剣呑なシロモノ。星を丸ごとくりぬいて作ったビーム兵器で、駐留艦隊はいるわ、惑星レベルのシールドはあるわと規格外の超兵器です。で、これを作るにいったいいくらかかるんや! テクノロジーレベルがぜんぜん違うので比較は難しいですが、たった15.1Km、海底トンネルだけだと9.6Kmぽっちしかない”東京湾アクアライン”ですら総事業費が約1兆4,409億円かかったそうですが(wikipediaより)、惑星ごとの工事となると何千兆円レベルでもおっつかないんじゃない??
 スターウォーズ・サーガでは”金”なんつ~みみっちい話はでてきませんが、戦争(冷戦状態でも)ってのは莫大なコストがかかるもの。”ファースト・オーダー”は少なくとも”残党”なんていう生易しい単語ですませられないほど広大な経済圏を背後に持っているものと思われます。

〔実はスカイウォーカーの家系って子育て失敗の歴史〕
 今回の悪役”カイロ・レン”。レイア・オガーナを母に、アナキン・スカイウォーカー(ダース・ヴェイダー)”を祖父に持つという強いフォースの一族の末裔。この人がまたやんちゃモンで、ダース・ヴェイダーを崇拝するわ、部下の失敗にキレるとライトセーバーであたりを壊しまくるわ、最後には実の父親であるハン・ソロを殺すわというとっても危ないにーちゃん!
 でも、よくよく考えるとスカイウォーカーの家系って子育て失敗の歴史なんですな。アナキン・スカイウォーカーもエピソード1ではとっても良い子だったのにエピソード3では師の”オビ=ワン・ケノービ”を裏切ってシスの暗黒卿になっちゃうし(エピソード6では新しい師の”皇帝パルパティーン”も裏切っているし)
 その息子、同じくジェダイの騎士”ルーク・スカイウォーカー”。甥っ子のレイを預かっていたものの子育てに失敗、彼に次世代のジェダイをレンに殺されて、責任感じて宇宙のどっかに引きこもり状態
 唯一まともそうなのが”レイア・オーガナ”。惑星オルデランではオーガナ家のプリンセス(今でもC3-POは間違えて”姫”と呼んでるし)。帝国元老院の議員でもあったというエリートんんですが、現在の職業はレジスタンスの将軍。正義の味方の立場とはいえ平和な人生とは程遠い人です。ダンナのハン・ソロとの間に生まれたレンをルーク・スカイウォーカーに預けることになったのはこの二人して子育てに失敗したから。

  ハン :もっと、ちゃんと向き合ってやるべきだった
      でも、俺達は自分の世界に逃げ込んだ
  レイア:そうよね
  ハン :俺達は息子を、失った

まあ、母親が危険と隣り合わせのレジスタンスのリーダ、父親が一匹狼の密輸業者とあっては、子育てに向く家族とは言いにくそうですなぁ・・・

 映画館で観るとミレニアム・ファルコンのドックファイトとかレイとレンのライトセーバーのちゃんばらとか、派手なシーンに目を奪われがちですが、お家でDVDで観るとけっこう突っ込みどころ満載ですなぁ。まあ、こういう見方をしちゃうってのもSFファンの悲しい性ではありますが・・・


《脚注》
(*1)DVDはDVDの見方っつ~のもあるわけで!!
 オタキング”岡田斗司夫”がかつて”その場でほとんど一回限りしか見れなかったアニメが、VHSの登場により保存しリピートやスロー再生が可能になったことで見方か変わった”といった趣旨のことを書いています。今やVHSどころかソッコーネットに動画がアップされる時代ですが、昔は流れて消えていく泡沫(うたかた)が当たり前だったんですよ~
(*2)スター・デストロイヤー、でっけ~
 本作に登場する”スター・デストロイヤー ファイナライザー”は全長3,000m(3Km)”。ダースベイダーの乗船する”インペリアル級スター・デストロイヤー”の全長が1,600mなのでほぼ1.9倍。デザインはほほ同じなので体積比だと(約6.6倍!)。ちなみに人類が保有する最大の宇宙建造物”国際宇宙ステーション(ISS)”は全長73m、全幅108.5mにすぎません。
(*3)メモリチップを抱えて逃げ回ってばっかりで
 キャタピラ移動でのたのたしていたR2-D2に比べてかなり俊足なのは確か。ファースト・オーダーのTIEファイターから必死に逃げ回るレイとフィンとほとんど同じスピードで転がってます

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