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ア・ア・ア デジタル・ゴールド お金と思~う今年の人よ~♪(デジタル・ゴールド/通貨)

 ども、Fintech(フィンテック)にちょっとだけからんでるおぢさん、たいちろ~です。
 Fintech(FinTech)つーのは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語”IT技術を使った新たな金融サービス”という意味。ところがこれがまた分かりにくいんですな。融資や資産形成のアドバイスをAIでやるだとか、スマホを使った決済や家計簿管理だとか、まあお金の処理に絡んだITだと何でもありの様相。群雄割拠というか玉石混交というか・・・ この中でも分かりやすそうで、実はよく分かんないのが”仮想通貨”というシロモノ。ちょっち真面目に勉強してみましょうということで、この本を読んでみました。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな仮想通貨の歴史を扱った本”デジタル・ゴールド”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。松山城天守閣に展示されていた”藩札”です

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【本】デジタル・ゴールド(ナサニエル・ポッパー、 日本経済新聞出版社)
 ”ビットコイン”と呼ばれる仮想通貨。その始まりは謎の人物”サトシ・ナカモト”がネットにアップした論文だった。2009年、この論文を元に発行された”ビットコイン”は2016年12月には時価総額140億ドルを超える・・・
 サブタイトルは”ビットコイン、その知られざる物語
【道具】通貨
 流通貨幣の略称で、国家などによって価値を保証された、決済のための価値交換媒体(wikipediaより)。この”保証”と”媒体”ってのがミソで、昔の金貨ならいざしらず、現在の”紙幣=媒体”そのものの物理的価値なんか無いに等しく、じゃあなんでこれがありがたがられるかというと日本銀行(日本政府)が価値を保証してくれてっから。
 価値を保証してくれれば別に国家(中央銀行)でなくてもいい訳で、実際に明治の廃藩置県以前は”藩札”ってのがありました。この中には代官所や旗本領が発行する紙幣ってのもあったそうで、こうなるとポイントカードのノリに近いんでしょうか?(*1)


 さて、本書ですが著者がニューヨーク・タイムスの記者ということもあって非常にリアル、ってか生々しい話(原書の副題に”Inside Story”ぐらい)。なにかって~と、技術の発展と思想的側面に支えられた初期の開発者たちが夢見た世界の発展と挫折、後半に登場する資本家たちの利益追求の姿勢がきわめて対照的なんですな。元々”ビットコイン”が開発された思想的基盤ってのはリバタリアン(自由至上主義者)により国家や金融機関などの権力から通貨を解放し、ネットワーク上で自由に使える通貨を手に入れる”ってあたりに合ったんですが、現実は国家や資本主義とは無縁ではいられなかったと。気になったトピックをいくつか

〔発行主体を持たない”ビットコイン”の価値〕
 ”ビットコイン”が生まれた背景には”国家に通貨の発行を任せていると、価値が安定しない”という思想があります。これは初期のメンバにはハイパーインフレの国にいた人がいたり、アメリカ国内でもリーマンショック(経済危機)を目の当たりにしてたりなどがあったから。国家(政策)に振り回されなけりゃこんなことにならないだろうというのがそもそもの発想です。
 ”ビットコイン”そのものは”マイニング”と呼ばれるコンピューターをブンまわして計算される一連の文字列として表記され、これが有限の個数(そういう仕様)なので問題はないと初期の開発者は考えてました。実際は有限の資産に対する獲得競争があって1BTC(ビッコトコイン)あたりの価値は膨らんでますがインフレよりはまし?

〔金遣いの履歴を見られない権利〕
 一般論で言うと、現金ってのは誰がどこで何を買ったかはわかりません(*2)。でもカード決済や銀行経由の送金だとこれが一目瞭然。まあ、リコメンデーションあたりだと罪はないんでしょうが(*3)、考えようによっては不気味でもあります。ビッコトコインでは”ブロックチェーン(*4)”という技術を使って匿名性を確保する仕組みになっています。
 ただ、ヤバイもんに手を出すとはいろいろ問題がありそうで、実際ビットコイン普及の原動力になったののひとつは不法薬物のネット販売の決済利用ってのがあり、これが政府に目をつけられた原因に。マネーロンダリングやテロ組織への送金など匿名であるがゆえに政府がピリピリしている状況です。

〔手数料が高いんじゃね?!〕
 ”ビットコイン”が生まれた背景のもう一つに”送金手数料”や”カード手数料”が高いし、処理に時間がかかるってのがあります。これは”銀行”や”カード会社”といったハブ機能を持つ寡占的・規制的な存在があり、その背景には集権的で高コストなシステムが存在するからだと。”ビットコイン”はこのようなハブが存在しなくても成立するので手数料が安くできると。
 ですが、実際には本来は不要であるはずの交換所(ビットコインを預けたり払い戻しをするネット上の企業)が立ち上がって、マウントゴックス(*5)のように、ここが破綻すると払い戻しができなくなるという事態が発生します。

〔銀行 vs IT企業〕

 銀行というのは典型的な規制企業なので、どっちかとゆ~と新しいコトをやるのが苦手な業界ではないかと思われます。昨今はそうも言ってられないのでFintechに積極的に取り組んでる銀行も増えてきていますが。これは彼の国も同じだったようで。JPモルガン・チェース(アメリカの銀行持株会社)とIT企業とを対比した本書の記載。

  JPモルガンが新規事業に参入する際にもっとも重視するのは
  どれだけ儲かるかではなく、規制当局がどう思うかに変わっていった

   (中略)
  金融危機に巻きこまれなかったシリコンバレーの姿勢は180度違った
  アップル、グーグル、フェイスブックなどの成功に意を強くしたIT業界は、
  世界を変える自らの能力への自信を深めていた

   (中略)
  むしろほかの業界と比べて、既存のプレーヤーが規制を破ることを極端に恐れている金融は、
  変革の機会にあふれていると思われた

 はてさて、次世代の覇者はどっちなんでしょうかね?

 さて、本書を読んだ最大の理由が”ところで、ビットコインって何に使えるんだっけ?”なんですが、読んでもよく分かりませんでした。確かに、送金なんかの手数料は安くできそうだし、資産蓄積には使えそうなんで役には立つってのはわかるんですが、今ンとここれでモノが買えるとこがそんなにあるわけじゃなし、呑み代の支払いで受け取ってもらえるとこもあんましありそうでなし、誰かがその価値を担保してくれるわけでなし。
 お金で物が買えるってのはその通貨に何か価値があると考える”共同幻想”の賜物だと考えれば、今のお金だってビットコインだって大した違いがないっちゃないのかもしれませんが・・・


  ア・ア・ア デジタル・ゴールド お金と思~う今年の人よ~♪
  円と違う ドルと違う 元と違う ユーロと違~う♪
  ごめんね 今のお金と又比べている~~♪
(*6)

まっ、これを書いている12月30日の日経新聞に国内最大のビットコイン取引所”bitFlyer”が日経新聞に3面ぶち抜き+1/3広告×3という大広告を出してたんで実体経済にも認知されつつあるようなので、もうちっとでいろいろ使えるようになるんでしょうかね。期待して新年を迎えてみましょう

《脚注》
(*1)ポイントカードのノリに近いんでしょうか?
 カードのポイントは値引きや景品との交換に使えるので通貨っぽいと言えます。じゃあ、この価値を保証する企業が倒産するとどうなるかつ~と会計処理上”引当金”を積んでいれば無価値になることはない(はず)です。逆に言うとこれを積んでいなければ無価値になることも・・・
(*2)誰がどこで何を買ったかはわかりません
 推理小説なんかだと、銀行強盗で奪ったお金は番号が控えられているので使うと足が付くなんてのがありますので、全く分かんないわけではないんでしょうが。
(*3)リコメンデーションあたりだと罪はないんでしょうが
 リコメンデーション(推奨)の例としてはAmazonの”おすすめの商品”がこれ。ただし、アイドルの写真集なんかを立て続けに見てると”おすすめ商品”にそれっぽいのがいっぱい表示されちゃうのはちょっと困りモンかも。
(*4)ブロックチェーン
 インターネット上の複数のコンピュータで取引情報を共有し正しい記録を鎖(チェーン)のようにつないで蓄積する仕組み。日本語では”公開分散元帳”と訳されます。
 技術的な詳しい内容はでんでん理解してませんが、まあ物理学を理解してなくても自転車には乗れるようなもんだと思えば気にはなりませんが・・・
(*5)マウントゴックス
 2013年には世界のビットコイン取引量の70%を占めた交換所。ハッキングによりビットコインを喪失し、支払い不能になり2014年に破産。
(*6)ア・ア・ア デジタル・ゴールド~
 昭和の名曲”イミテイション・ゴールド”作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、歌:山口百恵)です。すいません、悪ノリしました。こんな曲です

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