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2016年11月

”小説家で食っていけるか?”どうかを考えるには参考になる本です(作家の収支/ダンボー)

 ども、密かにベストセラー作家になることを夢見るおぢさん、たいちろ~です。まっ、妄想ですけど。
 ”ブロガー”を強引に”表現者”だと言いきってしまえば、”小説家”だの”エッセイスト”なんぞになって見たいと思うこともあろうかと。まあ、小説を書くだけだったらがんばりゃできんこたなさそうだし、発表するだけだったら、自分のホームページに掲載すりゃ”発表”したと言いきれるし。ここまではOKなんですが、”××家”と名乗る以上食えないまでも、収入になってなきゃ恥ずかしいかと。このハードルってけっこう高そうなんですな。そもそも作家ってどれくらい稼いでるんだっけ? ってことすらよくわかりません。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな作家の収支報告に関するお話”作家の収支”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。

2015国際ロボット展(*1)”で見かけた”ロボダンボー”です。

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【本】作家の収支(森博嗣、幻冬舎新書)
 ベストセラ作家と呼ばれながらこれといった大ヒット作もないマイナな作家(本人申告)な”森博嗣”による、自身の収入(印税+もろもろ)と支出(経費)に関する考察
 ちなみに、19年間に出版した本は278冊、総部数約1400万冊、稼いだ総額は約15億円だそうです。
【道具】ダンボー
 あずまきよひこの漫画”よつばと!(*2)”登場するロボットというかダンボール製の着ぐるみ。よつばの友達の恵那とみうらが作成。写真の”ロボダンボー”はダンボーをホントにロボットにして動かしちゃうというお茶目なスグレモノ。作製している”ヴィストン”のhpによると11個のサーボモータによりうなずく、首をふる、首をかしげるなどの動きが可能とのこ
と。

 先に謝っときます。実は森博嗣の本読むのこれが初めてで、代表作の”すべてがFになる(*3)”すら読んでおらず、森雅裕(*4)とごっちゃにする始末。心入れ替えて今度読みます。

 森博嗣という人は本人はベストセラ作家ではないと言ってますが、実際には2010年の”Amazon10周年記念 人気商品ランキング”の和書部門20名に選出され、Amazon仕様の”ダンボー”(*5)を贈呈された作家ですんで、まあ、日本でも有数の作家のひとりと言えます(すいません、私はまだ読んでないけど)。

 さて、本代もとい本題に戻って作家の収入の話。本書によると、大まか収入は”印税”、”原稿料(雑誌への掲載、ブログ等)”、”講演料”、”著作権料(漫画、映画、ノベルティ他での使用許諾)”、”対談料”など、どの収入が多いかは人それぞれだそうです。原稿料は1枚4,000~6,000円ぐらいだそうで、ベストセラー作家とそれ以外の人の差が1.5倍程度しかないってのは大きいと見るか小さいと見るか・・・

 よく名前の出る”印税”ですが、これは本の値段に対する作家の取り分。ですんで

 印税 =(本の単価 × 売れた冊数) × 印税率

つ~計算になります。印税の率は出版物の形態により異なっていて

 ・単行本   :10%(雑誌などに発表された場合)
 ・文庫/ノベルズ:10%(最初から文庫だと12%)
 ・ライトノベル:8%(イラストレーター 2%)←噂です
 ・書き下ろし :12%
 ・電子書籍  :15~30%(定価の15%、最終価格の30%)

 面白いのが、どの作家や売れ行きに関わらず印税率は一定で、印税は印刷された部数に対して支払われるんだとか(電子書籍は実売数に対して支払われる)。
 この式でいうと、とにかく”本が売れなきゃお金にならない”、逆に言うと”本が売れれば「不労所得」” まあ、本書でも”不謹慎な言い方”とことわっていますが、作家は追加の労働なしで、出版社は輪転機を回せば商品ができる(限界コストが低い)ので、美味しい商売になると。     松田奈緒子の漫画”重版出来!(*6)”で増刷が決まると大喜びしてますが、作品が世に中に受け入れられたってのもありますが、実利的な部分も大きいんでしょうね。

 ここまで書いててふと思ったんですが、本の形ってこれからどうなってくんでしょう? 一般的には、”単行本→ノベルズ→文庫”の順に出版されて、お値段も”単行本>ノベルズ>文庫”になってます。販売部数もほぼほぼこの順番みたい。でも電子書籍化が進んでいる昨今、本の形にこだわる必要があるんでしょうか?
 ”ライトノベル”というジャンルはマーケットが中高生中心(まあ、大きいお友達もいますが)ってこともあるのか、ほとんど文庫版で出版されているみたいですが、これって”単行本”で出版する(電子書籍版なら単行本の価格で販売する)のってどうなんでしょう?
 最近読んだ初野晴の”惑星カロン(*6)”って本があるんですが、これは”ハルチカシリーズ”っていう青春ミステリーの1冊。これを”ライトノベル”ジャンルとするかどうかはありますが、高校生が主人公のミステリーで、実際読んでみた感じはラノベっぽいし、深夜アニメ化やマンガ化で萌え絵系にもなっているんで、まあ中高生がメインターゲットだとは思います。この本の表紙の変遷ってのがユニークで

 単行本:女子高生の写真が表紙など
 文庫本:表紙イラスト 丹地陽子
 文庫本:表紙イラスト 山中ヒコ(現在はこのバージョンに戻ってます)
 文庫本:表紙イラスト アニメ版(P.A.WORKS制作のアニメバージョン)

実物が”その日、その時のはまり事”のhpに載ってたんで見比べると、出版社側が”文芸→ジュブナイル→一般小説→ライトノベル→一般小説”として売ろうとしてる意図がなんとなく透けて見えそうな・・・
 でもね~、中高生に売りたいんだったら初手から低価格の文庫と電子書籍で出してくれたっていいんじゃないかね~ とか思っちゃいます。まあ、おぢさんも読んでるけど。
 1冊ごとの収入を増やすか、価格を下げて売れる数を増やして収入を伸ばすかは出版社と作家の戦略なんでしょうが、読み手の側から見ると単価を下げてもらった方が助かるんですけどねぇ

 さて、小説家になりたいと思う人にとって最大の問題は”小説家で食っていけるか?”かどうかでしょう。他に収入があって別に印税だけで生活することができればいいんでしょうけど、”プロ”と名乗りたいならそれなりの収入を小説家として確保したいもの。そのへんの話を含め、本書は役立ちそうです。
 この業界に興味のある方は、ぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1)2015国際ロボット展
 2015年に東京ビックサイトで開催されたロボットショー。446社が参加し、人型ロボットから、最新の産業工作機械などいろんなジャンルのロボットが展示・デモされていてけっこう楽しめました。次回は2017年11月に開催されるそうです。hpはこちら
(*2)よつばと!(あずまきよひこ、電撃コミックス)
 5歳の女の子”よつば”と”とーちゃん”が織りなす日常を描いた漫画。トラマチックな何かがおこる訳でもなく、爆笑するようなネタがある訳でもないにもかかわらず、面白んダよな~~。読むとなんだか幸せな気分になる本です。
(*3)すべてがFになる(森博嗣、講談社文庫)
 犀川助教授とお嬢様学生萌絵によるミステリィ。森博嗣のデビュー作にして最大のヒット作。今、読んでます。総出版部数 約78万部、印税合計6,000万円(本人申告 電子書籍除く)
(*4)森雅裕
 ”モーツァルトは子守唄を歌わない”で江戸川乱歩賞を受賞した推理小説家。クラシックをテーマにした作品なのに講談社文庫版の表紙が”パタリロ”の魔夜峰央というアンバランスさで、こっちも読もうと思ってたのにまだだな~ (講談社文庫版はすでに絶版。ワニの本版で読むことはできるみたいです)
(*5)Amazon仕様の”ダンボー”
 ダンボーの頭が”Amazon”の箱になっているフィギュア。本書には写真が掲載されています。”Amazon”=ダンボール箱でお荷物届くイメージなんで、けっこう素敵なアイデアだと思います!
(*6)重版出来!(松田奈緒子、ビッグコミックス)
 新人女性漫画編集者”黒沢心”を主人公にしたお仕事系コミック。黒木華の主演でテレビドラマ化。ちなみに”じゅうばんでき”ではなく”じゅうはんしゅったい”と読みます
(*7)惑星カロン(初野晴角、角川書店)
 清水南高吹奏楽部に所属する上条春太(ハルタ)と穂村千夏(チカ)はふとしたきっかけで中学3年生のフルート奏者”倉田あゆみ”と知り合う。彼女はコンクールで”惑星カロン”の演奏許可をもらう為に新藤誠一のブログにアクセスする。誠一は演奏許可のお礼にある事件の謎を解いて欲しいと依頼する。この謎ときに協力することになったハルタとチカだが・・・
 ハルタとチカを主人公とする青春ミステリー”<ハルチカ>シリーズ”第五巻に収録

植物由来をありがたがるのって、化粧品や食べ物だけじゃないんですね。毒薬もできます(スキン・コレクター/有毒植物/キョウチクトウ)

 ども、温泉に入れなくなるので刺青はしないおぢさん、たいちろ~です。
 タトゥーをしている外国の人が温泉に入れる入れないでもめてるニュースが時々流れます。入場規制の張り紙に”暴力団ならびに関係者、刺青の方”と暴力団=刺青みたいに扱ってますが、なんでそこまで神経質になりますかねぇ。外国の人にとってはファッションの一種にすぎないんじゃないかと。そもそも、私が子供の頃って銭湯に行けばだいたい一人や二人、背中にりっぱなもんもん背負ったお兄さんやおっちゃんがいたもんですが(*1)。さすがにじ~っと見ることはなかったですが、”すんげ~かっこいい”みたいなのと、”でも、彫ったらすんごい痛そう”みたいなのとないまぜになった感じだったでしょうか。まあ、個人が彫るなら”痛い”かどうかで済む話ですが、これを使っての殺人事件となると話は別
  ということで、今回ご紹介するのは殺人の手段として被害者にタトゥーを彫るというシリアルキラーのお話”スキン・コレクター”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
近所で見かけたキョウチクトウ。てか、小学校の校庭だったんですけど・・

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【本】スキン・コレクター(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)
 科学捜査官”リンカーン・ライム”と刑事”アメリア・サックス”の元に、天才的犯罪者”ウォッチメイカー”が死亡したとの報が届けられた。一方、腹部に毒薬で刺青された女性の死体が発見される。残された証拠物件の中にかつてライムが関わった連続殺人事件に関する書籍の切れ端が発見される。そして第二の殺人事件が発生した・・
【花】有毒植物
 全体あるいは一部に毒を持つ植物。毒草。致死性のある毒性の強いのものから、かぶれや、痙攣、嘔吐を引き起こす程度の弱いものまで様々。一律有害というわけではなく、ちゃんと処理すれば食べれるもの(銀杏、ジャガイモ等)から、量によっては薬になる(チョウセンアサガオ)、蚊取り線香の原料になる(除虫菊)など役に立つものも。
 ”有毒植物”自体はそんなに珍しいということもなく”スズラン”、”ヒガンバナ(曼珠沙華)”、”福寿草”なんかもこの仲間。園芸店で”ジギタリス”が売っていた時にはちょっと驚きましたが。
【花】キョウチクトウ(夾竹桃)
 キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木もしくは常緑小高木。葉が”竹”に、花が”桃”に似ているのでこの名前がついたとか。花、葉、果実などすべての部分に加え周辺土壌にも毒性があり、嘔吐、脱力、倦怠感などの中毒症状を起こすそうです。
(wikipediaより抜粋)


 本書の内容は微小な証拠物件を元にリンカーン・ライムとアメリア・サックス達のチームが”スキン・コレクター”というシリアクキラーを追い詰めていくというもの。相変わらず最後の最後までどんでん返しの連続というディーヴァーならではの推理小説。今回の犯人”スキン・コレクター”はというと、殺人現場で被害者の肌に謎の文字を、しかも毒薬で刺青するという人。単純に殺人だけなら銃やナイフで方が付くものを、わざわざ時間をかけてタトゥー(しかもかなりの出来栄え)をいれるなんてのは、推理小説史上、もっともめんどくさい殺し方の一つではないかと。

 で、今回のネタはそんなユニークな犯人を離れてちょっと毒薬の話を。なぜだかスキン・コレクターは植物から作った毒物がお好みなんですな。前半に登場するだけでも

〔シクトキシン〕
 ドクセリに含まれる。激しい吐き気、強直性の痙攣を引き起こす
〔悪魔の吐息〕
 エンジェルストランペットに含まれる。全身麻痺、記憶喪失を引き起こす
〔ストリキニーネ〕
 マチン科の樹木等から採取される。大きな苦痛を与える

などなど。他にもナス科の植物から採取されるニコチン、ホワイトホコシュから採取されるドールズ・アイズなど続々と(説明は本書での説明)。植物由来をありがたがるのって、化粧品や食べ物だけじゃないんですね。で、困ってしまうのはリンカーン・ライム。本書より抜粋すると

  工業プロセスで使用され、一般市場で流通している業務用の有害物質であれば
  まずメーカーを突き止め、そこから購入者を追跡することも可能だ
  製造者を識別するための化学標識が含まれていて、
  それが手がかりになって犯人の氏名が書かれた領収書が手に入れることもある。
  しかし、今回の犯人が凶器を自分の手で地中から掘り出したのだとすれば、
  それは期待できない
  地域を絞り込むのがせいいっぱいだろう

 つまり、自分で毒薬を製造するから証拠の追跡ができないと。確かに今の分析技術ってかなりのことができるようで、”和歌山毒物カレー事件(*2)”ではカレーに混入した亜ヒ酸の異同識別をするのに”SPring-8(*3)”つー大型放射光施設までひっぱりだしてやってたし。

 リンカーン・ライムのチームの凄いのは、ほとんど塵のような残留証拠物件をガスクロマトグラフィーやらなんやらで分析して、どこから来たかをデータベースなんかも駆使して解析して、その証拠が持っている意味や犯人の手口、さらには次の犯行を予測する(しかもかなりの確率で当たっている)とこ。そんな天才ライムにとっても”植物由来”ってけっこうやっかいっぽいんですね

 だからといって、一般人が毒物で殺人なんかやっちゃまず捕まるでしょうし(毒物でなくてもNGです)、下手に植物から成分抽出なんぞやった日にゃ、作っている人が真っ先に毒物にやられそうだし。この手の話は推理小説の中だけで楽しむのんが無難なんでしょうなぁ

《脚注》
(*1)立派なもんもん背負った~
 ”もんもん”というのは”くりからもんもん”の略で漢字で書くと”倶利迦羅紋紋”。不動明王の変化身”倶利伽羅竜王”を背中に彫った入れ墨から転じて”入れ墨”も指すようになったとか。(語源由来辞典より
(*2)和歌山毒物カレー事件
 1998年、和歌山県園部で行われた夏祭りで出されたカレーを食べた人が腹痛や吐き気などを訴え、4人が死亡した事件。主婦の林眞須美がカレーへの亜ヒ酸の混入による殺人及び殺人未遂の容疑で逮捕、2009年に死刑が確定(再審請求中)
(*3)SPring-8(スプリングエイト)
 兵庫県播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設140mの線形加速器に周長1.4Kmにおよぶ蓄積リングで8GeVの電子エネルギーを生み出すという施設。書いてる本人は理解できてませんが、すごい施設みたいです。詳しくは公式hpをご参照

チャットボットで蘇った魂は、人を幸せにするのでせうか?(惑星カロン/ブラックジャック/ロボホン)

 ども、さすがにこの年で女子高生ボット(*1)で遊ぶのはな~~と思っているおぢさん、たいちろ~です。
 先日、チャットボットの説明ってのを聞きました。チャットボットつーのはLINEなどのチャットのインタフェースを使ってロボット(人工知能)が会話をしてくれるというシステム(サービス)チャット+ロボット=チャットボットだそうです。
 説明を聞いた個人的な感想としては、フレーム問題が発生しにくいように問題を設定してやれば実用には耐えうるかな~ってレベルには達しているようです(*2)。”フレーム問題”ってのは、人工知能が問題解決するのにあらゆるケースを全て想定してると情報処理できないので、問題の枠(フレーム)を設定してあ~でもないこ~でもないやりだすのを回避しないといけないという考え方。人間だと”常識”を使って無意識にやっていることを人工知能だと意図的に設定しないといけないつ~話です。
 最近は何度目かのAIブームだそうで、IBMのスーパーコンピューターがアメリカの”ジェパディ!”というクイズ番組で人間代表相手に優勝しただの、プロ棋士とコンピュータソフトによる”将棋電王戦”でプロ棋士に勝っただの、”ロボットは東大に入れるかプロジェト”で偏差値57.1をたたき出しただの(*3)、いろいろ盛り上がっています。
 実際、範囲を限定すればかなりのとこまでできそう。ですが、この先何をやるかて~と”実在の人間の人格をモデルにシミュレーションできないか?”なんてことをやりだしそうかな~なんて思っています。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなソフトの出てくる話”<ハルチカ>シリーズ”より”惑星カノン”であります。
 ※今回の話はネタバレを含みますので、まだ読まれていない方は本書を読んでからどうぞ


写真はたいちろ~さんの撮影。ロボット型携帯電話”ロボホン”です。キハチ青山本店で開催された”ロボホン・カフェ”にて

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【本】惑星カロン(初野晴角、角川書店)
 清水南高吹奏楽部に所属する上条春太(ハルタ)と穂村千夏(チカ)はふとしたきっかけで中学3年生のフルート奏者”倉田あゆみ”と知り合う。彼女はコンクールで”惑星カロン”の演奏許可をもらう為に新藤誠一のブログにアクセスする。誠一は演奏許可のお礼にある事件の謎を解いて欲しいと依頼する。この謎ときに協力することになったハルタとチカだが・・・
 ハルタとチカを主人公とする青春ミステリー”<ハルチカ>シリーズ”第五巻に収録
【本】ブラック・ジャック(手塚治虫、秋田文庫)
 ”忠明”は愛する恋人”さより”を電車事故で喪ってしまう。忠明は天才外科医”ブラック・ジャック”に対し、テープに残されたさよりの声をペットのプードル”ヌーピー”にしゃべらせて欲しいと依頼する。気が進まないブラック・ジャックだが、声をミニテープレコーダーにセットし犬の声帯に埋め込む手術を施すが・・・
 ”犬のささやき”より。秋田文庫版第11巻に収録
【道具】ロボホン
 SHARPの提供するロボット型携帯電話おしゃべりするロボットのイメージキャラクターとして登場いただきました(ロボホン自体はチャットボットではありません
 身長19.5cmという小型ながら、歩くわ踊るわ喋るわとめちゃかわういロボット。デザインはロボットクリエーターの第一人者”高橋智隆”氏。携帯電話なのでちゃんと電話出来るし、おでこにプロジェクタがついていて、画面やカベに写真や動画を投影することもできます。最近はロボホンに話しかけると日記にまとめてくれる機能なで出来たとか。いたれりつくせりです。


 今回の”実在の人間の人格をモデルにシミュレーションできないか?”というネタですが、本書にでてきた内容をふまえ、3つに分けて考えてみます

〔人格をシミュレーションできるか?〕
 本書には”デジタルツイン”というAIが登場します。これは既に死んでしまっっている人の情報を埋め込んでチャット上で生き返らせようというオープンソースソフトウェア。本書の説明だと

  行動、思考、癖、声をコンピュータに模倣させ意思決定を行わせる技術

ということになります。死者の思考をコンピュータに移植して復活させるというアイデアそのものはSFなんかではけっこう昔からありますし、日本のTVアニメの最初期作品”8マン(*4)”なんていう名作もあります。
 まあ、お話するだけだったら、現在でもけっこういいセンいってそうですが、問題は特定の人格にどこまで似せられるかということ。本書でのミソはこのデータを

  メールやブログの記録、フェイスブックといったソーシャルネットワークでの情報
  パソコンやスマートフォンでの操作履歴などから集めたデータを基に
  自分自身の物の見方、考え方、癖、好き嫌いを学習させていきます

こう言われるとなんとなくできちゃうかな~って気になります。

〔シミュレーションした人格はオリジナルの人格と同じものか?〕
 これには”正直”と”成長”というのが絡んできます。
 ”正直”てのは、上記のようにネットに書かれた情報がはたして本心なのかどうかというテーマ。ブログやFBのようなデータは誰かに見られることを前提に書かれているのであくまで”表現”でありどうしても修飾や虚勢がまじっちゃう、これは自分だけのために書かれる日記とは本質的に違うものではないかという疑問です。
 ここではハルタ達の音楽の先生による会話なので

  モーツァルトやシューベルトの楽譜は読めても、
  彼らの日記の秘めたる内容まで読み解くことはできないと?

確かに、モーツァルトはあんなにすばらしい音楽を残していますが品行方正とは言い難い人だったようですし、文学の世界なんて文豪レベルの人でも人格的にはどうなのよ? って人が山ほど出てきます。

 ”成長”の問題も実はやっかい。特に死んじゃっている人の場合は。本書の中でデジタルツインの欠点に”復活を遂げた人格は年を取らない”ってのを上げていますが、これは正確ではないんじゃなかろかと。会話によるデータの蓄積や、オープンソースでロジックをアップデートしていけば学習=成長は起こります。むしろ成長した結果がオリジナルと乖離してないかどうかを検証できないこと。だってオリジナルは既にこの世の人じゃないんだし・・・

〔シミュレーションした人格は人を幸せにするか?〕
 非常に漠然とした問いですが、これは目的をどう設定するかにもよるでしょうか。本書での”デジタルツイン”の利用目的を

  後継者が助言を必要をしたとき、自分を見失ったとき、判断に迷ったとき
  イエスかノーかだけ導いてくれればいい
  私たちの心は弱い。だれだって身近な人間を亡くせば
  『あのひとだったらどうするのか?』
  と問いたい瞬間や転機はおとずれるはずです

まあ、気持ち的にはわからんでもないですが、それが良いことかどうか、生きてる人間のエゴイズムではないかという疑問が・・・
 この話でふと思い出したのが、ブラック・ジャックの”犬のささやき”という作品。犬に恋人の声を喋らせた忠明ですが、同じ言葉しか喋らないヌーピーにだんだん飽きてきちゃいます。さらに新しい恋人ができると、その恋人の為にヌーピーを捨てに行くことに

  やれやれ これでやっとさよりの亡霊からのがれられた・・・

ですから、まあひどっちゃひどいですが、自分がそうならないかどうかと問われたら、どうなんでしょうねぇ。 愛する人を失った悲しみを乗り越えて前に進むってことと、愛する人を忘れることとは別なことだと思うんですがね、冷たいかもしれませんが・・・
 結局、チャットボットを使って魂を蘇えらせたとしても、それが人を幸せにするかどうかは結局わかんない。それは技術レベルやデータの揺らぎより、移ろいゆく人間の心のゆらぎのほうが大きいってことでしょうか・・・

 ”惑星カノン”は”<ハルチカ>シリーズ”の中でもかなり異色作ですが、これはこれとしてこっこう面白かったです。

《脚注》
(*1)女子高生ボット
 ”りんな”という女子高校生がチャットしているという設定のサービスを、日本マイクロソフトが開発したって話です、やったことないけど。hp等で公開されてるのを見ると確かに面白そう(まあ、面白そうなのを集めてるサイトなんで)。でも、おぢさん世代が電車の中で遊ぶにゃ、ちっと世間様の視線が・・・
(*2)フレーム問題が発生しにくいように問題を設定してやれば~
 主人:番頭さん、金魚が2匹いなくなったんだが、おまえさん知らないかい
 番頭:あたしは食べていませんよ
 主人:誰がおまえが食べたと言った
    縁側に金魚を置いとくと猫が食べてしまうから、高いところに置いとくれ
 番頭:それじゃ、湯屋の煙突の上へ
 主人:私が眺められないじゃないか。金魚鉢を湯殿の棚の上に上げてくれといってるんだ
 番頭:金魚鉢を湯殿の棚の上に上げてきました。
    ところで金魚はどこへ上げましょう?
落語”猫と金魚”より。話はいろんなバリエーションがありますが、これってフレーム問題の例じゃね?
(*3)偏差値57.1をたたき出したの~
 人間のチャンピオンに勝つというのは”あらゆる人間を凌駕する”ということの比喩であって、コンピューターの方が既に凡人では勝てないとこまで行っています。単純計算だと偏差値”57”というのはおおむね上位から1/4(24.2%)。実際の大学入試だと、”関関同立”、”MARCH”など難関校を含む535大学への合格がA判定(合格率80%以上)に相当するそうで、”俺の方が勉強できる!”と胸を張って言える受験生ってやっぱ少数派じゃないかと・・・Yahoo!ニュースより抜粋
(*4)8マン
 原作はSF作家の平井和正と漫画家の桑田次郎。漫画版は1963年に少年マガジンに連載、アニメ版は1964年に放映。”8マン”は凶悪犯により殺された刑事”東八郎”の人格と記憶を電子頭脳に移植し蘇ったスーパーロボットという設定です。

”山と食欲と私”を読みつつ、紅葉の高尾山に行ってきました(山と食欲と私/紅葉の高尾山)

 ども、山に行くとついつい食べ過ぎてしまうおぢさん、たいちろ~です。
 山登りの基本はというと、一に”体力”、二に”食欲”です。まあ、体力はお分かるになると思いますが、なぜ”食欲”かというと、それ自体楽しみということもありますが、食欲がないと体力が落ちるんですな。バテてくると食欲も落ちてしまいますが、そこでモノを食べたないとさらにへばるという悪循環に陥ってしまいます。私がクラブの時はバテた奴には無理やりにでもメシを食わすってことをやっていました。いや、シゴキとかじゃなくて(*1)
 ということで、今回ご紹介するのは山の飯食いコミック”山と食欲と私”&本書を愛でつつ紅葉の高尾山に行ってきましたです。
 (説明のない写真はたいちろ~さんの撮影です)


【本】山と食欲と私(信濃川日出雄、新潮社)
 OLの日々野鮎美は山と山での食事を愛する”山女”。会社の同僚で主任になった”小松原鯉子”さんは打ち解けてくれない派遣社員の”瀧サヨリ”さんに対し”仕事っちうもんはグルーヴ感が大事やねん”ということで、同じ部署の蛭川さんと4人で高尾山へのリクリエーション登山に行くことに。当日、おとなしそうな瀧さんが持ってきたのは”大鍋”。意外にも大学時代は山岳部に所属していたベテランで・・・(*2)
 (”高尾山リクリエーション編”。第3巻に収録)
【花】紅葉の高尾
 関東地区第二位の紅葉の名所walkerplusランキングより)
 ミシュランガイドで“三つ星”(最高ランク)の観光地という知名度に加え、都心から電車で1時間というアクセスの良さケーブルカーで上まで登れ、道も整備されているという中高年にも優しい山。ただし、ハイシーズンにはすんごく混みます。
 紅葉はだいたい11月中旬~11月下旬ですが、私が行った中旬でもけっこう色づいてきてました。


 高尾山の話の前にちょっと寄り道。
 今回の高尾山リクリエーション編の第一話が”謎の大鍋”ですが、昔の山料理の定番といえば大量に一気に作る鍋を使った料理。いわゆる鍋料理というよりも、カレーや豚汁、ラーメンから焼きそばまでなんでも大鍋で作ってました。
 昔の食事風景です。私のクラブのOBの方が紹介した写真です(1960年頃)

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キスリング(リュックサック)にくくり付けた鉄鍋。瀧さんはアタックザックにカラビナでくっつけてましたが、こちらは風呂敷にくるんで細引き(ロープ)でくくりつけ。同じくOBの方が紹介した写真です(1960年頃)
 私が大学でクラブ活動をしていた1980年代前半はまだ現役で使っていましたが、さすがにもう使っていないかなぁ
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 さて、高尾山です。鮎美さん達は1号路(表参道)を登って高尾山頂で食事、6号路を下山してますが(鯉子さんと蛭川さんは呑み過ぎのためケーブルカーで下山)、私は逆コースで行きました。ホントは同じコースを行くつもりだったんですが、10月29日~11月27日は6号路が登り一方通行だったので。準備不足を露呈してますなぁ・・
 ということで、紅葉のスナップ写真を

 高尾山ロープウェイ、清滝駅付近の紅葉。綺麗に色づいています

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 薬王院山門。山門横の紅葉も綺麗に色づいております

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 山門を入るとすぐ右側におわす天狗様。後ろの木もめっきり紅葉

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 鮎美さん達が記念写真を撮っていた高尾山頂。右側の木も真っ赤に。

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 鮎美さん達が眺めていた山頂からの風景。右側にある木の枝の右側に見えるのが富士山。ちょうど木の後ろが大室山。その左側に蛭ガ岳など丹沢山系が広がっています

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 白く雪の積もった富士山。くっきるとまではいきませんがちゃんと見えました

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 鮎美さん達が瀧さんが作った”山岳部伝統の山ごはん だご汁”を食べたのがたぶんこの付近。写真だと空いているように見えますが、これは時間が早かったから(9時半ぐらい)。この後、めっちゃ混みだしました

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 ケーブルカー高尾山駅近くの展望台より。東京方向です。右下に見えるオレンジ色の建物付近が京王線高尾山口駅があるあたり

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 鮎美さん達が6号路で通った琵琶滝です

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 ここから、鮎美さん達が下山後に寄った京王高尾山温泉”極楽湯”にて

 お食事処の風景。右側にあるのが蛭川さんが寝込んでしまって置いて行かれた”うたた寝処”です。

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 お風呂上がりはとりあえずビール。おつまみは長芋千切りに海老入り山芋がんもと芋づくし。がんもは揚げタコ焼きっぽくって美味しゅうございました

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 シメは鮎美さん&瀧さんが食した”とろろそば”。ちょと細麺めで、とろろに絡んでするっとのど越し。美味しゅうございました。

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 最後にこれから出かけられる方にご注意。行きやすい山とはいえ、それなりに上り下りはあるので、体力を考えながら登ったほうがよいですし、下りもヒザに負担がかかりますのであまり無理をしないように。
 あとはっきりいってめちゃくちゃ混みます。特にケーブルカーは長い時は1時間待ちもあると駅でアナウンスしてました。早めに登って早めに下山されるほうがよいかと。

 とにかく美しい山ですので、ぜひ楽しんできてください

《脚注》
(*1)いや、シゴキとかじゃなくて
 お腹がすく、つまり血糖値が下がって力が入らなくなることを”シャリバテ”と言います。意味はご飯=シャリが足りずにバテてしまうから。別名”ハンガーノック(hunger knock 空腹でノックアウト)”。いわゆるガス欠状態です。回復するにはすぐにエネルギーに変わる甘いもの(糖質)などを食べることです。
(*2)山岳部に所属していたベテランで・・・
 本人は”一番厳しかったのは積雪期の北アルプス・・ 蝶ヶ岳ですかね・・”とさらっと言ってますが、これはかなりの上級レベル。私もさすがに冬には登ったことはないですが、素人が下手に登ったらおそらく死の危険のあるレベルです。

このろくでもない、すばらしき世界に住む住民はエコン(ホモエコノミカス)にはなれないらしい(行動経済学の逆襲/切り株)

 ども、根がチキンハートなんで株式取引をしたことないおぢさん、たいちろ~です。 まあ、最大の理由は”お金がない”ことなですが。
 トランプ氏 VS クリントン氏によるアメリカ大統領選挙が終わりました。この結果が今後の世界経済にどう影響するかはわかりませんが、瞬間的にはすんげ~大波乱になっとります。密接な関係にある日米経済とはいえ、選挙当日11月9日の日経平均株価はトランプ氏優勢が伝えられると前日比919円(5%)下げ、現実路線の政策になりそうとなった翌日10日には前日比1,092円(7%)上昇。(日本経済新聞 11月12日より)
 先行き不透明とはいえ1~2日で日本経済のファンダメンタルズがこんなに変化するワケもなく、外から見てると相場がちょちょまっているんじゃね~かと思っちゃいます。なんでこんなことになっちゃうんでしょうね?!
 ということで、今回ご紹介するのは合理的とは程遠い経済の動きを経済学的なアプローチで解明しようとしている経済学者の本”行動経済学の逆襲”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影(2014年8月頃)
鶴岡八幡宮の大銀杏の切り株です(*1)

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【本】行動経済学の逆襲(リチャード・セイラー、早川書房)
 合理的な考え方をする人間を前提に構築された伝統的な経済学に異を唱えた”行動経済学”の第一人者であるリチャード・セイラーによる、”行動経済学”の説明を伝記的な歴史解説の側面を加えて解説した本。
 原題は”Misbehaving:The Making of Behavioural Economics”。Behavioural Economicsの訳は”行動経済学”ですが”Misbehave”は”行儀の悪いことをする、不正を働く”という意味。まあ、伝統的な経済学から見ると行動経済学で扱う人間像って”正しくない”行動をする人なんでしょうなぁ
【花】切り株
 木を切った後の根元の部分。
 ”株式”の名前の由来は”株の部分がずっと残っている”という意味から世襲などによって継続的に保持される地位や身分を”株”というようになり、そこから共同の利権確保のための同業組合を”株仲間”というようになり、出資持分割合に応じて権利が保持されることを”株式”と呼ぶようになったとのこと(”語源由来辞典”より抜粋)
 現代でも相撲の親方になるのに”年寄株”ってのを耳にしますが、根っこは同じみたいです


 伝統的な経済学で扱う人間ってのは”ホモエコノミカス(homo economicus 合理的経済人)”、本書では略して”エコン”というモデルを想定しています。これはどんな人かというと,すべての選択を

 合理的期待(Rationarl Exprctations)

に基づいて行う人。簡単に言うと、自分で買うものはすべての財やサービスから最も最良な物を選び、余計なバイアス(偏り)がなく、自信過剰にはならず、どこまでも合理的で冷徹に行動する人。本書では”スタートレック”に登場する”ミスタースポック(*2)”のような存在を例に上げています。
 で、実際の人間(本書ではヒューマン)はどうかというと、モノを選ぶのはいいかげんだし、目先の利益にとらわれるし、同額なら利益を得るより損失のほうが悲しいし、自信過剰だしと、エコンとは似ても似つかない存在。つまり、

  このろくでもない、すばらしき世界に住む住民は
  エコン(ホモエコノミカス)にはなれないらしい
(*3)

ですな。
 本書では、行動経済学に登場する原点から左右非対称な価値関数だの、プロスペクト理論だの保有効果だの、サンクコストの誤謬だの、メンタル・アカウンティングだの、現在バイアスだの損失回避性などの各種のバイアスだのといったトピックが出てきます。単語だけ見るとおどろおろどしいですが、合理的に見ると正しくないけど実際にはやっちゃいそうな行動の説明なんで、意外なほどわかりやすいです。それぞれを説明してるとたいへんなので、本書を読んでいただければと。

 まあそんだけだと投げっぱなので気にいったトピックをひとつ。よく株価って美人コンテストに例えられますが(*4)、それのちょっと数学的バージョンを。セイラーがフィナンシャルタイムスで行ったクイズです。問題はこちら

  参加者は0から100までの中から任意の数字を1つ選びます
  全部の数字の平均値の2/3に一番近い数字を選んだ人が勝ちとなります
  あなたはどの数字を選びますか?

 一応、この問題には数学的な解き方が存在します。まず全員がまったくランダムに数字を選んだとすると、平均値は50になります。ですので2/3の答えは33。ところがもう少し頭のいい人がいると、”みんなが33を選んだら答えは22になるはず”という答えになります。これに気がついて2/3の掛け算を繰り返すと最終的には”0”に収束します(これをナッシュ均衡(*5)というそうです)
 実際にとうなったかというと、結果を多い順に並べると、”22”を選んだ人約8%、(2段階思考をした人)、”1”を選んだ人約7%&”0”を選んだ人約5%、合わせて約12%(経済学の訓練を受け過ぎている人)、”33”を選んだ人約6%、(1段階思考をした人)(カッコ内は本書でのコメント)。最終結果は約2%の人が選択した”13”になったそうです。
 この結果がなぜ気にいったかというと、世の中には頭の良い人だけじゃないんだな~ってのと、頭の悪い人がどう行動するかの”読み”ってのは計算だけじゃ出てこないんだな~と。セイラーはこの結果でフィナンシャルタイムスの読者は頭の良い人が多くてナッシュ均衡に気付いた(0や1を選択した)と言っていますが、実際には世の中には頭の悪い人(1~2段階で思考を止めた人や絶対出ない66以上を回答した人も僅かながらいた)がいてかなり平均を押し上げる結果になってます。さらにいうと”99”とか”100”を答えたいたずら行為をした人もいて(合計で約3弱%)、結果的には数学的な結果と一致しなかったと。

 まあ、考えてみりゃ世の中みんな頭のいい人ばっかりとは限んないし、いちびりもいてなかなか計算どおりにゃいかないんでしょうね。エコンをベースにした(このクイズだとナッシュ均衡の結果に賭けた人)ばっかりじゃないってのは当たり前っちゃ当たり前です。実際に自分のお金をかけて投資をするとなれば、同じ相場を見てもブルと判断する人もいれば、ベアと見る人間もいるんだろうから(*6)もっと数字通りにゃいかないんでしょうなぁ

 と、ここまで書いていて最近の気になる記事から。日経新聞が人工知能(AI)を使った対話型対応エンジン”日経DeepOcean”を提供するとのこと(日経新聞 2016年11月7日 HPはこちら)。データに基づいた数理統計的なAIの分析なんて、まさに究極の”エコン”かも。こいつの言う通りに動いたら伝統的な経済学の世界になっちゃうんでしょうか? それとも”第3の経済学”みたいのが登場するんでしょうかね?

 本書はちょっとお堅いような本ですが、物語っぽくなってる分だけ”行動経済学”の入門書としても良いかも。経済に興味を持っている人にはお勧めです

《脚注》
(*1)鶴岡八幡宮の大銀杏の切り株です
鶴岡八幡宮の大銀杏は、源頼家の子の公暁がこの銀杏の木に隠れて源実朝を殺害した(1219年)という伝説がある樹。2010年の強風により根元から倒れました。写真は根元から高さ4mまでの部分を元の樹の横に移植したものです
(*2)ミスタースポック
 アメリカのSF映画&TV”スタートレック”シリーズに登場する宇宙船エンタープライズ号の副長兼技術主任を務めるヴァルカン人(宇宙人)と地球人とのハーフ。普段は感情を抑制し表情に出さない、非常に合理的な思考のすが、持ち主ながら、時々感情に流されるのが魅力。
 13作目の映画”スター・トレック BEYOND”が公開中ですがまだ観に行ってないな~~
(*3)このろくでもない、すばらしき世界に住む住民は~
 缶コーヒー”BOSS”のCM”宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ”より。宇宙人ジョーンズはトミー・リー・ジョーンズが演じています。ちなみジョーンズの吹き替えを担当している菅生隆之は2009年からの新”スター・トレック”シリーズでは老年期ミスタースポックの声も担当してます、はい
(*4)美人コンテストに例えられますが
 たとえば100人の中から最も美しいと思われる人を6人選んで全体の平均的な選好に最も近い選択をした人に賞金を与えるというゲームをやるとします。賞金を貰おうとすると、自分が最も美しいと感じる人ではなく、他の参加者が最も美しいと感じるであろう人を予測(場合によっては数次にわたって)することになるというもの。ケインズの説明だそうです。
(*5)ナッシュ均衡
 ナッシュ均衡は、他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによってより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせである。ナッシュ均衡の下では、どのプレーヤーも戦略を変更する誘因を持たない(wikipediaより抜粋)。まあ、ボールの中に入ったピンポン球みたいな状態かと。
(*6)同じ相場を見てもブルと判断する人もいれば、ベアと見る人間もいるんだろうから
 相場などで上がると見る(強気)ことを角を下から上に突き上げる雄牛に見立てて”ブル(Bull)”、下がると見る(弱気)を爪を振り下ろして攻撃する熊に見立てて”ベア(Bear)”と言います。凶暴そうな動物にたとえていますが、ブルもベアもどっちも食べちゃう人間が一番凶暴なんですけどね

人間は頭で考えるより権威には服従するみたい。だとするといじめやハラスメントの問題に関心のある方は読んどいて損のない本です(服従の心理/トネリコ)

 ども、偉い人にへ~こらしないんで、あんまし出世してないおぢさん、たいちろ~です。
 大方の予想を裏切ってトランプ氏が第45アメリカ大統領になりました。どうも彼の国は閉塞感の漂う社会に強力なリーダーシップを求めたようです。まあ、リーダーシップのあることは別に悪いこっちゃないですが、かつて”カリスマ的なリーダーシップ”と”服従の国家システム”を構築することで後から考えると”なんでそんな非道なことをやったんや!”てことをやっちゃった国もあったんでね。
 別にトランプ氏が第二のヒットラーになるなんて言う気は毛頭ないんですが、状況がリーダーの思惑を超えておっとっとな過剰適用をしちゃうこともあります。歴史から教訓を学びうるのであれば、ちゃんと見るべきとこは見といて、嫌なものは嫌だと言わないとって~話です。まあ、彼の国だけの話ではないですが・・・
 ということで、今回ご紹介するのは人間というのは意外なほど権威に服従してひどいことをちゃっやいかねないという話”服従の心理”であります。

写真は”sasikiの雑記帳”のhpより。トネリコの木です

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【本】服従の心理(河出文庫、スタンレー・ミルグラム、訳 山形浩生)
 1960年から63年にかけて、アメリカのイェール大学である実験が行われた。通称”アイヒマン実験”。ナチス親衛隊中佐”アドルフ・アイヒマン”の名を冠するこの実験は、人間の権威に服従する心理を検証するものだった。そしてこの実験の結果は大方の予想を裏切るほど”人間は権威に服従する”ものだった・・・
 心理学者ミルグラムによる実験結果とその考察をレポートした本。
【花】トネリコ
 モクセイ科トネリコ属に分類される落葉樹。花言葉は”偉大、高潔、服従”など
 北欧神話に登場する世界を内包する”世界樹(ユグドラシル)”はセイヨウトネリコの樹だそうです。この樹から枝を1本折り取って”グングニル”という槍を作ったのが主神にして戦争と死の神”オーディン”、その枝の傷が元でこの樹は枯れてしまったそうです。なんだか象徴的だなぁ


 実験の名前の元となった”アドルフ・アイヒマン”という人ですが、”ユダヤ人問題の最終解決”という何百万人ものユダヤ人虐殺に関与し戦犯として処刑されたナチス親衛隊中佐。これだけ聞くと極悪非道の大悪人のように聞こえますが、この人がある意味有名なのは、その実態が大方の人がイメージしたような人物ではなく、家族を愛し、上からの命令で淡々と仕事をこなす普通の人だったこと。今風に言うと残虐なラスボスだと思って倒したら、実はその後ろにいる真のラスボスにへ~こらしているだけの小物だったみたいな・・・
 この人に興味がある方はハンナ・アーレントによる”イエルサレムのアイヒマン(*1)”を読んでいただければ。

 この実験の内容を簡単に説明すると

 ・外見は”人が正しく学習するのは、間違えたら罰を受ける場合”という主張の調査
 ・メンバーは
  被験者:学習に関する実験と称して公募された一般人
  学習者:学習をする人(被害者。実は役者だが被験者には内緒。以下被害者)
  実験者:権威としての実験を指揮する人
 ・学習者は15~450ボルトの電撃を発生させる機械と接続される
   (命に別条はないと説明されている)
 ・被験者は学習者が間違えるた電撃のスイッチを入れる
 ・電撃は答えを間違えるたびに15ボルトづつ強くなる
 ・被害者は75ボルトでうめきだし、150ボルトで助けてくれと叫び、
  270ボルトで苦悶の絶叫を上げ、330ボルトで何の反応も示さなくなる
 ・被験者が電撃を上げることに拒絶を示した場合、実験者は実験を続けるよう促す

このような条件の元での真の実験の目的は”被験者はどこまで電撃をあげるか”、つまり”被験者はどこまで権威に服従して加虐的な行為を取りうるか”を調べるというもの。あなたならどこまでボルトを上げますか?

 この実験に対し、どのぐらいまで電撃を上げるかを別のグループに聞いたところ、ほとんどの人が150ボルトは超えず、最高の450ボルトまで上げる人は0.125%しかいないだろうと予想されたとのこと。
 で、いろいろなシュチエーションで行われた実験の結果はというと、主だったものは

〔高位の結果〕
 ・被害者と離れている場合:65.0%(40人中26名)
 ・音声が聞こえている場合:62.5%(40人中25名)
 ・被験者以外にスイッチを押す人(同僚)がいる場合
             :92.5%(40名中37名)

〔低位の結果〕
 ・抵抗したら押さえつけて電撃を流す場合:17.9%(40人中12名)
 ・実験者が不在の場合  :20.1%(40人中9名)
 ・被験者が電撃レベルを選択できる場合:2.5%(40人中1名)
 ・実験者がただの人の場合:20%(20人中4名)
 ・実験者の一人が続行、一人が中止を指示した場合:0.0%(20人中0名)
 ・被験者以外に2名の同僚(役者)がいて同僚が中止を主張した場合
             :10.0%(40名中4名)

 最も強い電撃まで続ける人は1000に1人ぐらいしかいないだろうという大方の予想を裏切ってそこまでやっちゃった人が実に2/3に達しているという結果に。被害者と離れているほど、責任を感じなくていいほど最高レベルまで上げちゃう傾向と。まあ、押さえつけてでも電撃を与え続けた人ですら20%弱いますが。

 単にサディスティックな人間が集まっただけと考える方もあるかもしれませんが、電撃レベルを選択できる場合だとそこまでいったのはたった一人(まあ、この人はそっち系の人かもしれませんが)。分布で見ると、うめきだしてる75ボルト以下までしか上げなかった人の累計が70%(40名中28名)助けてくれと叫ぶ150ボルトのレベルで同じく95%(40名中28名)。そんなにS系の人が集まっているとは言えなさそう
 逆に”実験者がいない”、”実験者が権威でない”、”実験者の意見が分かれている”あるいは”周囲が反対”の場合は最も強い電撃まで続ける人は減ってしまうようです。

 この結果から

  権威ある人からの指示があり、責任を感じにくい状況であれば人は従順になる
  権威が機能しにくい状況や、廻りの意見に同調できる環境では従順度は下がる

ことが見てとれます。なんだか、本の紹介ってより実験内容の説明ばっかになってすいません。本書はこの実験の内容を踏まえ、このようなことが起るメカニズムなどを詳しく紹介しています。実験が行われたのはもう半世紀以上前、本書の原典の出版ですら1974年と40年以上前ですが、そのショッキングな内容は今でも十分読み応えがあります。翻訳を担当した評論家”山形浩生”による現代的な視点での訳者あとがき”服従実験批判”も出色(というか、かなりえぐいツッコミ?)
 特にいじめやハラスメントの問題に関心のある方は読んどいて損のない本です。

《脚注》
(*1)イエルサレムのアイヒマン(ハンナ・アーレント、みすず書房)
 ナティ政権下でユダヤ人問題の”最終的解決”=ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を行ったアドルフ・アイヒマン親衛隊(SS)中佐の裁判記録の本。サブタイトルは”悪の陳腐さについての報告”。アイヒマンの裁判が行われたのが1961年、本書が出版されたのは1963年のことです。
 一般受けするような本ではないですが、それでも”アイヒマン・ショー”(まだ観てません)という映画が公開された時に本屋の特設コーナーに置いてあったのはちょっと驚きました。
 詳しくはこちらをどうぞ

おれのラーメンのつくり方はただひとつ おいしければいいってこと!(包丁人味平/東京ラーメンショー2016)

 ども、けっこうラーメン好きなおぢさん、たいちろ~です。
 料理の中で”ラーメン”ってのはかなり面白いポジションを占めてんじゃないかと思います。プロが作るラーメンって確かに美味しいですし、スープや具なんかもバリエーションに富んでるし。でも、素人が作っても(まあ、インスタントラーメンでも)そこそこ美味しく作れます。おそらく”ラーメンを作ったことがない”という人はいなさそうですし、レトルトのカレーと違って具を入れるだけでも”料理を作った感”があるし。
 ということで、今回ご紹介するのはプロのラーメンを堪能できる”東京ラーメンショー2016に行ってきました”&料理漫画の元祖”包丁人味平”より”ラーメン勝負編”であります。
 ※写真はすべてたいちろ~さん撮影です

【本】包丁人味平(原作 牛次郎、漫画 ビッグ錠、集英社文庫他)
 駆け出しのコック”塩見味平”は”本場のサッポロラーメンをくわせる店へつれてってやろう!”というトラック運転手の洋吉の誘いに乗り、いつの間にやら札幌へ。そこで開催されている”日本一美味しいラーメン”を決める”ラーメン祭り”に素人代表として参加することに。並みいるプロのラーメン職人を相手に味平が作ったラーメンとは・・・(”ラーメン勝負編”より)
【旅】東京ラーメンショー2016
 毎年秋に開催されるラーメンイベント。全国のご当地ラーメンを一堂に集めて食することができるというラーメン好きにはたまらんお祭りです。2016年度は駒沢オリンピック公園を会場に10月27日~11月6日まで、前後半のお店入替で36種類のラーメンが出展、料金は全店共通1杯850円ですが、充分その価値はあるかと
 あくまで”ショー”なのでコンテストなんかはやっていません(*1)

東京ラーメンショー2016の様子。中央公園にお店がずら~と並んでいます

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 1杯目に食したのが”富山ブラック/牛×豚W肉盛り味玉らーめん”。名前の通り黒いスープのダークネスなラーメン。数年前に入社した富山県民の新入社員から”ぜひオススメです!”と言われてたんですが食べる機会がなくって今回初食。
 こってり系かと思ってましたが、意外とスープはあっさり系。ちょっとアルコールっぽいふわっと感がある? 牛の角煮とチャーシューが乗っている横綱級肉食系なんですが、牛の角煮の油が熱々とろとろで意外とするっと。黒い味玉も美味。
 美味しゅうございました

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 2杯目に食したのが”山形・酒田の自家製ふわ・とろワンタンメン”。“ふわとろ”なワンタンが入っていて箸で持てないほど(レンゲが欲しかったなぁ)。するっとのどごしでとっても美味。っと口の中でとろけるのが特徴。薄切り肉が入ってますがメインがワンタンなのでちょっと控え目。まあ、行司役ってとこでしょうか。
 私自身はちょっと塩辛いかと思いましたが、一緒に行った奥様は3杯食べた中ではこれが一番美味しかったとのこと。この辺が料理の面白いところです。
 美味しゅうございました

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 2杯目に食したのが”元祖味噌 信州肉盛り安養寺ら~めん”。甘味噌系です。長野名物の唐辛子”八幡屋礒五郎”とコラボしたオリジナルブレンド七味唐辛子入りだそうですが、そんなに辛くないです。具の味付けバラ肉もとっても美味。技の大関と言ったとこでしょうか。
 美味しゅうございました

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 いずれも大変美味でしたが、欲を言うなら”ハーフサイズ”も作って欲しかったな~~ 奥様と2人で3杯を食しましたが、さすがにお腹いっぱい。いろんなのを食べたいので半分づつなら倍の種類が食べれたんじゃないかと。新横浜ラーメン博物館(*3)でもやっているんで、ぜひご検討いただければと・・・

 ところで、”奥様からどれが一番美味しかった?”と聞かれたんですが、これってけっこう難しいんですね。元々ラーメンってスープ×麺×具の数だけありそうで、スープだけでも醤油、塩、味噌、トンコツに、出汁が何ベースかトロミをつけるかでも違うし。具に至っては千変万化、何を入れてもそれなりにマッチしちゃいます。つまり、ラーメンっておっそろしくバリエーションの多い食べ物で、三者三様に”美味しいのツボ”が違ってたりするし。
 ですんで、美味しいラーメンを食べ歩くだけで物語が成立しちゃったり。最近のだと東京ラーメンショーのスペシャルサポーター”小泉さん”の登場する”ラーメン大好き小泉さん(*3)”なんかがけっこうお気に入り。毎日先着50枚限定で配られている”小泉さんステッカー”、貰ってきちゃいました(下の写真です)

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 それでも、どうしても”一番美味しいラーメン”を決めたいとなると今回ご紹介するフードバトルモノの草分け的存在”包丁人味平”をどうぞ。本書は”週刊少年ジャンプ”に1973~77年に連載された料理漫画で、この分野ではかなり初期の作品(wikipediaでは史上初)。なんたって、料理バトルを世に広めた”料理の鉄人(*4)”より20年近く前ですぜ! なんたって、ゲスト審査員が”巨人の大島選手”、”横綱和島関”、”アントニオ榎木”、歌手の”山口モモ恵”に”北山三郎”。アントニオ榎木なんて”ラーメンはねころんでくうなよーっ!!(*5)”なんてヤジが飛んでて・・・ 時代を感じますな~~~

 この日本一決定戦に味平が飛び入り参加したのは

  このラーメン祭りの出場者はどうしてプロばかりなんですか?
  主婦や一般の人の中にもラーメン作りの名人はいるはずですよ
  本当のラーメン祭りならシロウトの出場者もいれるべきじゃないですか!?

と提案したから。まあ、かなりムチャ振りな提案なんですが、審査員一同協議の上あっさり通っちゃいます。懐の深い審査員とも言えますが、ラーメンの美味しさってそんだけ融通無碍だってことかもしれませんね。

 味平ももちろん参加しますが、ラーメンに関しては全く素人。ところがこれが意表を突く奇策で突破しちゃうんですな。なんったってスープ作りはドラム缶西部劇の映画観てまねちゃうっつ~アバウトさ。麺作りでは生地を足で踏んで鍛えるのは”ラーメン音頭だヨヨイのヨイ♪(*6)” それでも美味しいってんだから料理って不思議。味平のラーメンの作り方は

  おれのラーメンのつくり方はただひとつ おいしければいいってこと!

と言いきってるんだから、まあ、周りのプロは怒るわな~~~

 まったく知識や技術がないってのは論外にしても、そこそこあればそこそこに美味しくできるのがラーメンでしょうか。あとは愛情があればOK?
 解説役のラーメンおばさんのコメント

  シロウトがつくる料理は 技術がないだけに
  なんとか相手に気にいってもらおうと必死になってつくる・・・
  つまり相手のことを考えるという態度が
  どうしても料理のなかにでてくるんじゃよ
  ほれ よくいうじゃろ 料理の秘訣は愛情だってね!

まあ、かわうい彼女に作ってもらった料理ならなんだって美味しいんでしょうけどね! けっ!

 どうも、食レポ系のブログを書いたことないんで、つたない文書ですいません。
 ラーメンショーは無料ですんで、ラーメン漫画を片手にぜひ訪れてみてはいかがかと


《脚注》
(*1)コンテストなんかはやっていません
 店が一直線に並んでいるので、人気度合いは一目瞭然ですが・・・
 ただ、人気度合いと美味しい度合いがそのまま同じかというと微妙なところで、前評判が高けりゃ混むし、お店の手際が悪くても並んじゃうし・・
 そもそも全種類食べれるわけでもないですしねぇ・・・
(*2)新横浜ラーメン博物館
 新横浜駅すぐ近くにあるラーメンをテーマとしたフードパーク。昭和の街並みを再現したフロアは”クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲”に登場する”20世紀博”を彷彿とさせます
(*3)ラーメン大好き小泉さん(鳴見なる、竹書房)
 美少女にしてミステリアスな雰囲気を漂わせる女子高生”小泉さん”。彼女の趣味は”ラーメンの食べ歩き(一人で)”。彼女と友達になりたいクラスメイトの悠はいろいろツッコミを入れて彼女とラーメンを食べに行こうとするが・・
 ”女子高生がラーメンを食べる”というコンセプトだけで作品になってるというスゴイ漫画。でも一番スゴイのはあんだけラーメンを食べてもスレンダーなスタイルを維持している小泉さんでしょうか?!
(*4)料理の鉄人
 1993年~99年にフジテレビで放映された料理バトル番組。テーマになる食材を使ってふたりの料理人が1時間以内に料理を作って3~4人の審査員がどちらが美味しいかを採点するもの。他のお料理番組との最大の違いは料理のレベル。ちょっと素人がマネして作ってみられるレベルじゃなかったな~~
 上記の”美味しゅうございました”は審査員を務めた料理記者”岸朝子”さんの決めセリフです
(*5)ラーメンはねころんでくうなよーっ!!
 プロレスラーの”アントニオ猪木”とプロボクサーの”モハメド・アリ”が異種格闘技戦をおこなったのが1976年。この時猪木がとった戦法が”アリキック”と呼ばれる寝っ転がった状態からローキックを放つという技。このヤジはこれを踏まえてのことかと。若い人には解説しとかないと分かんないんでしょうねぇ、今や・・・
(*6)ラーメン音頭だヨヨイのヨイ♪
 元ネタは1970年代にNET(現テレビ朝日)ので放送された”みごろ!たべごろ!笑いごろ!”に登場したデンセンマンの”電線音頭”かと。動画はこちらからキャンディーズ、かわういどぞっと!

オリンピックって究極の”街おこし”みたいなもんでしょうか?!(地域再生の失敗学/駒沢オリンピック公園)

 ども、地方出身、首都圏在住のおぢさん、たいちろ~です。
 相変わらず東京オリンピックの競技会場をどこにするかでごたごたもめているようです(2016年10月末現在)。競技をやるほうの委員会とかは”せっかく開催するなら新しくて立派な会場を作って、いっぱいお客さんが入るとこでやりたい”と言ってるし、東京都(というか東京都知事)は”このままだとお金がかかる過ぎるのでコスト削減を図りたい”と言ってるし。まあ、見てると論点が違いすぎて、議論がぜんぜんかみ合ってないな~~って感じです。が、この議論ってどっかで聞いたような?!
 ということで、今回ご紹介するのは話題になっているというか、やらざるを得ないことなのになんだかうまくいく気がしない感のある地方創生を扱った本”地域再生の失敗学”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。駒沢オリンピック公園中央広場にて。
この日は”東京ラーメンショー2016(*1)”をやっておりました。
後ろにあるのは陸上競技場です

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【本】地域再生の失敗学(飯田泰之他、光文社新書)
 少子高齢化が進む右肩下がりの日本において、必要不可欠なはずの地方創生(地域再生)。それがなぜうまくいかなかったのかを分析し、今後どうしていくべきかを対談した本。耳がいたそうな話がいっぱいですが、避けては通れんのだろうなぁ・・・
【旅行】駒沢オリンピック公園
 東京都世田谷区および目黒区にある、サッカー場、野球場、体育館などを含む運動公園。その名の通り1964年の東京オリンピック大会の第二会場としてレスリング、バレーボール、サッカー、ホッケーなどで使用され、現在でもさまざまな大会で使用されています(公式hpはこちら)。2009年からは”東京ラーメンショー”の会場にも使われています。


 考えてみると、オリンピックって究極の”街おこし”みたいなもんでしょうか。スポーツ選手(とその団体)から見れば、”スポーツ振興”だし、地元や旅行会社・交通機関から見れば全世界からお客さんが来て”お金を落とし”てってくれるし、会場を作るとなると建築会社や土木会社が儲かるし(*2)。いいことだらけのようなんですが、問題はイベントベースな発想に偏ると、継続的なコスト意識が甘くなんじゃないかな~~って点。某都知事が”コストがかかり過ぎ”な点をさかんに問題視してますが、いったん作っちまった設備を少なくとも数十年は維持しないといけない立場とすれば、言いたくもなるよな~~って気持ちはわかります。まあ、ちゃんと考えてくれてればですけど・・・(*3)

 で、もうちっとコンパクトな地域再生を扱った本書ですが、かなり辛口の話題が。気になったのをいくつか

〔損得勘定ができてない?!〕
 以前、”横手の焼きそば(*4)”を食べに横手市に行ったことがあるンで(美味しゅうございました)ツッコミしにくいんですが、本書ではB級グルメ大会にもダメ出し。なぜなら昔みたくこじんまりやってる時は良かったけど、現在のようにイベント自体が巨大化しちゃうと、売上(1店舗 5~600円の単価で数百食)では、もう儲かる構造にはなっていないんだとか。このイベントで観光客を地元までひっぱってきてお金を落とさせるとこまで持っていかないと、地域PRの持ち出しだけに終わっちゃう。
 本書ではこういった”イベント型”とか”ゆるキャラ”には否定的。道の駅の運営なんかもそうです。本書の著者木下氏と明治大学の飯田準教授の対談

  木下:儲かるように設計もせずに、ひたすら派手なことをやるのは、
     活性化策ではなく飯田さんの言う通り単なる”消費”です。趣味の世界。
     それは結局のところ、その地域の衰退を助長する策になってしまうわけです

      (中略)
  飯田:結局のところ、入ってくるお金と出ていくお金を
     プロジェクト全体で評価するという、民間なら当然の視点がないわけです

別にイベントをやるなと言っとるワケではないんですが、やるならやるでちゃんと損得勘定を考えろと。肝に銘じるべきなんでしょうね

〔地方(議員)には増税のインセンティブがない〕
 行政てのは税金で運用されています。税金の総額を増やすには地域の収入総額を増やすか税率を上げないといけない。はずなんですが、どうもそうはなっていないみたい。たらなきゃ地方交付税交付金をもってくればいいから。本書を読んで一番えぇ!っと思ったのがこの点でしょうか。税率を上げるのって嫌われる政策なので議員はやりたくない。地域収入を増やすために税金を使った施策=投資をするんでしょうが、地方交付税交付金=自分とこのお金と思わにゃ甘くもなりそうなもの。知らなかったんですが、上記の街おこしイベントなんかも100%国の補助金なんてのもあるそうで、企画自体も代理店まかせとか。なんだか丸投げ体質のような・・・

〔次善の策としての自主再建型移転〕
 いきなりですが、アーサー・C・クラークのSFに”都市と星(*5)”ってのがあります。広大な宇宙の版図を維持できなくなった人類が”ダイアスパー”という都市を作ってそこに集まって住むという舞台設定です。なにかというと、これって究極のコンパクトシティなんですな。つまり、分散・拡散された地域を維持できないなら集中させるとこで生き残りをはかろうと。まあ、あたりまえですが、人の少ない所に公共交通機関を残すとか、買い物場所等を置いとこうとかするとコスト的に見合わないところがどうしても出てきちゃうと。であれば、にっちもさっちもいかなくなる前に、地域ブロックごと中心部に計画的に移住させてコミュニティを維持させようというのが”自主再建型移転”です。
 本書でも”嫌われる次善策”として”そんな弱腰でどうするんだ”的な精神論で嫌われる案との指摘がありますが、代替案なしにただ頑張るだけよりは選択肢があるほうがまだマシだろうと。
 あと、これをやるには外からの押し付けではなく住民をまとめるリーダーシップが必要だろうと。以前書きましたが、”七人の侍(*6)”の例で志村喬演じる”島田勘兵衛”が村を守るために橋向うの家を見捨てる判断をして、従わない人には刀を振りかざして言うことを聞かせるというシーンがあります。現代でここまではできないでしょが、プロジェクトを完遂するにはこれぐらいの気合が必要なんでしょうかね。

 まあ、地域再生=経済活性化という訳ではないんでお金の話ばっかししててもしょうがないし、必要なお金は投資すべきなんでしょうけど、お金がなきゃ遅かれ早かれ行き詰るのも確か。本書の結論の中で必要なものの一つとして”リーダーシップを執れる人がいるかどうか”というのを上げていますが、”島田勘兵衛”みたいなリーダーと、安易なポピュリズムに陥らず、住民が協力でしてコトにあたんないと課題の解決にゃなんないんでしょうね。あんまり時間もないことだし・・・

《脚注》
(*1)東京ラーメンショー
 毎年秋に開催されるラーメンイベント。全国のご当地ラーメンを一堂に集めて食することができるというラーメン好きにはたまらんお祭りです。主催者側としては街おこしの狙いもあるようですが。2016年度は10月27日~11月6日まで、前後半のお店入替で36種類が食べられます。
(*2)会場を作るとなると建築会社や土木会社が儲かるし
 1964年の東京オリンピックにより社会インフラの整備やテレビなどの普及による”オリンピック景気”という好景気状態になったのは確か。その後に反動で”証券不況(昭和40年不況)”があったのってあんまし話題になってないけど。今はなき山一證券の破綻危機に対して時の大蔵大臣田中角栄が日銀特融で救済したころです(1965年)
(*3)いったん作っちまった設備を少なくとも数十年は維持~
 作っちまったはいいけど、嵐か福山雅治の全国ツアーでもやんない限り満員御礼にならない施設ってけっこうありそうですなぁ、例えば(以下自主規制)
(*4)横手の焼きそば
 秋田県横手市周辺で販売されている焼きそば。片面焼きの目玉焼き、福神漬けのトッピングが特徴。”B-1グランプリ(B級グルメ大会)”で優勝1回、準優勝1回だそうです。
(*5)都市と星(アーサー・C・クラーク 早川書房)
 遙か未来、銀河帝国の崩壊によって地球に帰還することを余儀なくされた人類は、誕生・死さえも完全管理する驚異の都市ダイアスパーを建造、安住の地と定めた。住民は都市の外に出ることを極度に恐れていたが、ただひとりアルヴィンだけは、未知の世界への憧れを抱きつづけていた(amazon.comより)。詳しくはこちらをどうぞ
(*6)七人の侍(監督 黒澤明、主演 志村喬、三船敏郎、東宝)
 戦国時代、盗賊と化した野武士に襲われた村はある決断をする。”侍を雇って野武士を退治する”と。そして初老の浪人”島田勘兵衛(志村喬)”、山犬のような男”菊千代(三船敏郎)”ら七人の侍が村を守りるために集まった・・・
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