« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2016年8月

正論も度が過ぎるとろくな社会にならんのでしょうかね(ハーモニー/コーヒーの木)

 ども、尿酸値と糖尿病と高血圧の薬を飲んでるおぢさん、たいちろ~です。
 別に自覚症状があるわけじゃないんですが、会社の健康診断でひっかかちまいまして・・・ この手の薬でめんどくさいのは完治するというより、状況を悪化させないために一生飲み続けないといけないってこと。まあ、処方箋も必要なので月々お金もかかるしねぇ。医者にも行かず、家で手に入れば楽ができんですけど。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな夢の医療社会が実現したユートピアのお話、伊藤計劃(いとう けいかく)の”ハーモニー”であります。


写真はたいちろ~さん撮影。
北海道大学植物園のコービーの木です。

0245


【本】ハーモニー(伊藤計劃、早川書房)
 21世紀後半、人類は医療の発達によりほぼ全ての病気が放逐された福祉国家を実現していた。そんな中、6000人以上の人間が自殺するという事件が勃発する。WHOの上級監察官”霧慧トァン”はその事件の陰に、かつて共に自殺を図った友人”御冷ミァハ”の存在を感じる・・・
 デビュー2年、34歳の若さで病没したで伊藤計劃の長編第3作にして、第40回星雲賞及び第30回日本SF大賞を受賞した現代SFの名作。
【花】コーヒーの木
 アカネ科コーヒーノキ属に属する植物の総称。種子から採れるコーヒー豆はカフェインを多く含む
 カフェインは興奮作用を持つ精神刺激薬の一種で、コーヒ、緑茶、紅茶などの飲料や医薬品では総合感冒薬や鎮痛薬に用いられる一方、副作用として不眠、めまいなどを引き起こす(wikipediaより抜粋)


 伊藤計劃って前から読んでみたかったんですが、たまたまこの前読んだ”BISビブリオバトル部 2(*1)”にその話がでてまして(*2)、さっそく了読。で、感想としては”SFにおけるリアリティってずいぶん変わってきてるんだな~~”ってこと。SFってのは他のジャンルと違って、けっこう好き勝手に社会や歴史を組み立てるってことをやります。”ハーモニー”で語られている世界というのは究極の福祉・健康社会。<大災禍(ザ・メイルストローム)(*3)>という世界規模での大暴動や流出した核弾頭の爆発で破滅の危機に瀕した人類が、健康の保全を最大の責務とする”生命至上主義”のもとに作った社会。健康監視システム(WatchMe)によりモニターされ、薬や医療が大量に消費され、生活習慣病などを未然に防ぐ助言がされる社会。

 まあ、マクロレベルでは高齢化による福祉予算の増大問題を抱える国家から、ミクロレベルでは成人病に悩むおぢさんまで、夢のような社会ではありますが、”羹に懲りてなますを吹く”感もあります。でも、この社会に一定のリアリティを感じてしまうのは、今の社会が一種の正論に安易になびいているんじゃないかな~という漠然とした不安があるからかも。イ○リスのEUからの独立とか、○メリカ大統領選挙におけるトラ○プ氏の躍進とか、国家財政が破綻しても援助でなんとかなんじゃね?的なギリ○ャとか。それぞれの主張には一定の正論を持って国民の支持を得ているわけですが(ポピュリズムうんぬんの話ではなく)それはそれで不気味なものを感じちゃいます。

 本書の中で出てくるカフェインの摂取についての道義的な問題ってのが出てきます。某夫人は控えめに

  某婦人はカフェインがパニック障害を引き起こすことを指摘した
  某婦人はカフェインが睡眠障害を引き起こすことも指摘した
  某婦人はカフェインが痙攣を引き起こすことまでも指摘した
  某婦人はカフェインが頭痛や健忘症などの症状のトリガーになると指摘した

と発言。これに対して科学者にして霧慧トァンの父親でもある霧慧 ヌァザは、ある業務においてカフェインが必要であり、軽減されるストレスもあると訴えるものの受け入れてはもらえない。まあ常識的な発言ではあります。婦人の発言は

  礼を失しない、とても控えめでいて、どこまでも極端で、
  それゆえに人が惹きつけられやすく、何よりも決めつけにあふれていた

 引用が長くなりましたが、実は私にとって本書の中で一番怖かったのがこの場面なんですね。激昂するタイプなら感情的な反発もありますが、礼儀正しくしてるわりには発言の根拠が希薄でそのくせ結論だけ押し付けてくるような。しかもそれが正論だったりすると”空気”として勝ち組みたいな。それが結果として良い結果に結びつくか~てとそれもまた疑問。

 こんな話を受けてのナチスドイツの話題。霧慧トァンに対して父ヌァザの研究仲間である冴紀ケイタの話

  国家的に癌撲滅や禁煙を大々的に始めたのがナチスドイツだって知ってるか
   (中略)
  癌患者登録所というものを作って、癌にり患した人間を把握し、分類し、検査して
  ナチスは人類史上初めて癌を撲滅しようとしたんだ

   (中略)
  まさにその連中が二十世紀はじまって以来の、人類虐殺を行ったにしてもだ
  物事には色々な面があるっていうことだよ
  潔癖症も度が過ぎると民族の純血とかぬかしだすわけだ

正論の行き着く先がこれだったらたまらんですなぁ

 まあ、こういった社会が嫌だって人は当然出てくるわけで、そんな人が究極の調和="ハーモニー”がどんなもので、どうやって実現するかってのが本書の内容。多分に推理小説的な要素のある小説なので詳しくは書きませんが、けっこう面白かったです。伊藤計劃にもうちょっと付き合ってみましょうかと、コーヒーをがぶ飲みしながら思うのであります。


《脚注》
(*1)BISビブリオバトル部 2(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校のビブリオバトル部は、自分のお勧めしたい本を紹介しあい、どれが一番読みたいかを競うクラブ。SFだのノンフィクションだのBLだのいずれ劣らぬ濃ゆい本好きが集まるクラブです。
(*2)その話がでてまして
 死んでしまったSFマニアのじーちゃんと、SF大好き伏木空の会話で、亡くなった伊藤計劃が死後の世界で新作書いてるっていう”地獄八景亡者戯”みないなネタが出てきます。詳しくはこちらをどうぞ
(*3)大災禍(ザ・メイルストローム)
 メイルストローム(maelstrom)はノルウェーのモスケン島周辺海域に存在する極めて強い潮流(大渦巻)。(wikipediaより)。エドガー・アラン・ポーの短編小説”メエルシュトレエムに呑まれて”に渦巻きに巻き込まれて難破した船から脱出する漁師の話ってのがありますが、関連ありそうですねぇ

小松左京のような偉大な天才であっても、時には失敗する! でも、面白い映画とは思うんですけどねぇ(世界が終る前に BISビブリオバトル部 3/さよならジュピター/NC工作機械)

 ども、過去の消える消しゴムが欲しいおぢさん、たいちろ~です。
 人間、おぢさんになると一つや二つは人に言えない過去ってのがあるモンです。犯罪だとか誰かを罠にはめたとかって重い話じゃなくって、”黒歴史”のたぐいのこと。まあ、”若気のいたり”ってやつ。たわいのないコトではあるんですが、今考えると相当”痛い!”とか。
 最近はまっている”BISビブリオバトル部”って小説にでてくる朝日奈先生ってのがまさにこのパターン。堅物の世界史教師が表の顔なら、裏の顔はというとマニアックなクラブの生徒を上回る特撮オタクだったりとか。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな朝日奈先生大爆発の回”世界が終る前に BISビブリオバトル部 3”&往年の名(迷)SF映画”さよならジュピター”であります。


写真はすべてたいちろ~さんの撮影。
2015年国際ロボット展より。けん玉するロボットです

Photo


【本】世界が終る前に BISビブリオバトル部 3(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。<驚異の翼(ウィング・オブ・ワンダー)>伏木空、<愛の伝道師(ラブ・ミッショナリー)>小金井ミーナなど、本好きが集まるクラブ。
 空たちは小金井ミーナに頼まれてコミックマーケット(*1)のお手伝いをすることに。そこにクラブの顧問に就任予定の朝日奈先生が登場。なりゆきで先生の友達の特撮オタクの連中との宴会に参加することになるが・・・(空の夏休み)
【DVD】さよならジュピター(総監督 小松左京、主演 三浦友和、東宝)
 木星を第二の太陽にすることで、太陽系外延部のエネルギー問題を解決する”JS計画”。それは宇宙を破壊する行為だと一部の団体から非難をされていた。一方、彗星の数の減少を調査するために派遣された宇宙船”スペース・アロー”が謎の遭難をする。その原因は太陽系に近づきつつあるマイクロブラックホールだった。人類はこの危機を回避するため、JS計画を変更し木星をマイクロブラックホールにぶつけることでそのコースを変えるという”JN計画”を発動する・・
【道具】NC工作機械
 NC工作機械とは数値制御(NC numerical control)により可動部を制御する機械のこと。最大の特徴は人間がやるのと違ってコンピュータによりまったく同じ動作を繰り返すことができます。最近のだとけん玉までやっちゃいます。


 特撮オタクのオッサンたちの宴会にて。ネタのふったのは朝日奈先生。高遠るいの”ミカるんX”(すいません、観てないんでわかりません)から映画”さよなら ジュピター”の話題に。おおっ、懐かしいぞ! 公開は1984年3月なので私がちょうど会社に入社したころだぞ!
 時、あたかもSFブームの真っ最中。1978年の”スターウォーズ(エピソード4)”に”未知との遭遇”、1979年の”機動戦士ガンダム(ファースト・ガンダム)”、1981年には今や伝説となった”DAICON 3(*2)”の開催。この流れを受けて、”日本沈没”の小松左京原作・総監督が撮る映画だぞ! 面白くないはずがないゾ!
 でもね~、この映画の評判ってあんまし良くないんですよね~~

 宴会で”さよなら ジュピター”に関する空のなにげない質問

  伏木空:そんなに面白かったんですか?
  ミーナ :空・・・ それは地雷だよ
       うちのパパも、酔うと愚痴るんだよ。『ジュピター』のこと。
       ”あれは俺の中学時代の最大のトラウマだ”って
  朝日奈先生:伏木・・ お前にこの世の真理を教えておいてやる
      この世に完璧な人間なんかいない!
      小松左京のような偉大な天才であっても、時には失敗する!
      駄作も作る! 人間だからな

 そっから先は『ジュピター』の愚痴のオンパレード!!! いいとこもいっぱいあるんだけど、それ以上にツッコミどころ満載! ムダに長いシーンが多すぎだとか(*3)、ガジェットの使い方がダサいとか、ヒッピーっぽい教祖様が時代とずれてるだとか、とか、とか
 まあ、確かにストーリーにいろんなものを詰め込みすぎで謎ときまでいってないとか(クジラっぽい声を出しながらただよっているだけのジュピター・ゴーストって結局なんだったのかとか、ジュピータ教団に内通してたのは誰だったのかとか)、移動時間がめちゃくちゃ(視察団が75日かけて到着した木星まで、他のシーンではほとんどタイムラグを感じさせずにいっちゃってるとか)、妨害工作があるのがわかっているのにセキュリティ甘すぎだろうとかいろいろあるんですが、そんなに言うほど悪い映画とは思えんのだけどなぁ

 この映画なぜだかTSUTAYAのレンタルに入っていなくて、DVDも1万円近くしてたんでも一度観たいと思ってても観れなかったんですが、2016年7月に2,700円の廉価版の”名作セレクション”で販売開始。さっそく買って観ました(ひょっとして、DVDをまともに買うのは初めてかも?)

 改めて観たんですが、それなりに面白いし、当時の水準からすればけっこう画期的だったと思うんだけどな~~

〔モーション・コントロール・カメラぐらい使わせろ!〕
 映画のパンフだったか、ムック本だったかに載っていたのが上のセリフ。モーション・コントロール・カメラってのはコンピュータ制御とサーボモータを使ってカメラをコンロールして撮影をするシステム。アメリカでは”スターウォーズ”で開発されたばかりの最新技術です。当時の日本ではまだなくて、これを使って映画を撮らろってのが上記のセリフです。実際には”アマダ”の”ティーチングプレイバックロボット”、いわゆるNC工作機械が流用されたとのこと(wikipediaより)。どのような機械だったかはDVDのメイキング映像をどうぞ。

〔主役の天才少年のカルロス主任、ハリーポッターのそっくりさんです〕
 この映画、主役クラスを含め登場人物がやたら外国人が多いんですな。昔の日本に”無国籍映画(*4)”つーのがありましたが、まさに”多国籍映画”とでもいいましょうか。主人公の三浦友和はともかく、恋人のマリア、JS計画を推進する総裁、主任クラスなどがほとんど、外国の人(日系人含む)。まあ、ムハンマド・マンスール(*5)ってのもいましたけど・・ 素粒子工学の権威の天才少年のカルロス主任なんて、今観るとハリーポッター役のダニエル・ラドクリフのそっくりさん
 自動翻訳機が実用レベルに達しているとはいえ、英語でがんがん喋ってる(字幕付き)ってのは当時の日本映画じゃ珍しかったんじゃないかな。だいたい、ちょっと前ですが”宇宙戦艦ヤマト(1974年)”なんて、超国家的プロジェクトにもかかわらず日本人ばっか乗っけて戦うことにほとんど違和感なかったんですから。

〔コンピュータグラフィックがCray-1ではないか!〕
 いまでこそフルフルで映画がつくれちゃうコンピュータグラフィックスですが当時まだ黎明期。DVDに収録されているプレスブックによると当時日本に2台しかなかったスーパー・コンピュータ”Cray-1”を使ったとのこと。今の人にはピンとこないかもしれませんが、当時のCray-1と言えばスーパーコンピューターの代名詞といっても過言ではない存在。ビジュアルで超性能のコンピュータが円筒形の形をしていたら、それは間違いなくCray-1からのインスパイアです。

〔TOKYO-3なんて、今観てもいけてるデザインだと思います〕
 日本特撮映画のお家芸だったミニチュアワーク。この映画でも宇宙基地やら宇宙船やらいっぱいでてきます。木星軌道上にあるミネルヴァ基地、長距離高速宇宙船”スペース・アロー”、木星を爆破する核融合反応装置とか、とか、とか メカデザインの担当はこの分野の草分けにしてトップスター、スタジオぬえの”宮武一貴”モビルスーツの原型となった”宇宙の戦士(ロバート・A・ハインライン、ハヤカワ文庫)”の表紙のパワードスーツをデザインした人(といってもおぢさんしかわかんないか・・)
 出色なのは長距離貨客宇宙船”TOKYO-3”第三新東京市のモトネタになってるとの話もある名宇宙船。オープニングで上部からなめるように登場するシーン。メインデッキを配した本体軸に遠心力により重力を発生させる居住区(分離飛行可能)、巨大なタンクにメインエンジンと今観ても、まったく古さを感じませんな~~

 この映画を観たオタクたちの不幸は、観る前の期待値があまりにも高くてそのギャップが埋めきれなかったことでしょうかねぇ。なんたって、総監督・原作・脚本が小松左京、ブレストメンバーが豊田有恒、山田正紀、野田昌宏、 伊藤典夫、横田順彌、高千穂遥など、メカデザインが宮武一貴、音楽が羽田健太郎ですぜ! 期待するなと言う方がムリです。今だったら、原作に福井晴敏、総監督に庵野秀明と押井守、特撮に樋口 真嗣、メカデザイナーに出渕裕、ブレストに田中芳樹に冲方丁に谷川流にゆうきまさみを集めて映画作らせるようなモンです(このラインナップもそれはそれで物議をかもしそうですが・・・)
 黒歴史だトラウマだ言ってますけど、今の水準で観てもけっこう面白い映画だと思うんですけどねぇ・・・

 ”BISビブリオバトル部”では、全員でこの映画の主題歌”VOYAGER~日付のない墓標(*6)”の大合唱! 

  私があなたと知り合えたことを 私があなたを愛してたことを
  死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから・・

 なんだかんだ言っても、この愛すべき特撮オタクのオッサン達は、この映画を愛してたんだろうし、観た=知ったことを誇りにしてんだろうな~~ と思ったりします
 SFファンとそうでない人にはぜひ観て欲しい映画です。

《脚注》
(*1)コミックマーケット
 東京ビックサイトで夏冬に開催される同人誌即売会。コスプレとかもあるそうです。行ったことないけど(誘われたことはあんですけどね~~)
 ”オタクの祭典”みたいな扱いをされることの多いイベントですが、3日間で参加者55万人(2015年夏)、サークル数3万5千と、あの東京ビックサイトをもってして1日あたり来場者数最大というハンパね~規模のイベントです(ちなみに来場者数最大のイベント”東京モータショー”の2015年度実績は11日間で81.3万人です)
(*2)DAICON 3
 全国のSFファンが集まる”日本SF大会”、この中で大阪で開催されるのが”DAICON(大阪のコンベンション)”です。1981年の”DAICON 3”のスタッフが岡田斗司夫、オープニングアニメーションを作ったのが大阪芸術大学在学中の庵野秀明山賀博之現在のSF、アニメシーンをけん引する人材が登場しています
(*3)ムダに長いシーンが多すぎだとか
 やり玉に挙がっているのが主人公を演じる三浦友和の”無重力セックス”
  あのしょぼさはどう表現すりゃいいんだ?
  しかも、やけに長いんだよ。観ててすげー気まずい
  削れよ! 意味ないだろ

とまあボロクソ。当時の三浦友和といえば、国民的アイドルの山口百恵と結婚した直後(結婚は1980年、山口百恵は当時21歳。早婚だったんですなぁ)。今でいうなら、広瀬すずと電撃結婚したアイドルのに~ちゃんがその直後に別の女優さんとエッチシーンがあるようなもの。この映画の評判悪い原因がこのへんにあるのかも・・
(*4)無国籍映画
 舞台は日本のはずなのに、やっていることはどこの国のことだかわからない映画。往年の小林旭主演の”渡り鳥シリーズ”とか。ちゃんと観た事ないけど、それなりに面白そう・・
(*5)ムハンマド・マンスール
 演じるは名優”岡田真澄”。日本人名ですが、日本人とデンマーク人のハーフだそうです。ニュースなんかで”ムハンマド”という名前がでると一瞬この人を思い出しちゃうほどインパクトありました
(*6)VOYAGER~?日付のない墓標
 作詞・作曲・唄:松任谷由実。1984年にリリースされたユーミン20枚目のシングル。1983年リリースのアルバム”VOYAGER”には収録されてなくて、1998年ベストアルバム”Neue Musik(EMIミュージック・ジャパン)”に収録。名曲です。

”日米開戦で、大国アメリカと戦争やってほんとうに勝てると信じていたのか”との疑問へのひとつの回答です(昭和16年夏の敗戦/タンカー)

 ども、勝てないケンカはしない主義のおぢさん、たいちろ~です。
 先日、”横須賀 フレンドシップデー&サマーフェスタ”に行ってきたブログで”彼我の戦力差を観て、アメリカとガチで戦ったら勝てる気しませんな~~”ってな話を書きました(内容はこちらをどうぞ)。まあ、目的や目標をどう設定するかはありますが、戦争ってのは完膚なまでに敵国を叩き潰すとは言わないまでも、外交交渉でイーブン以上の講和条約を結べる程度には勝たなきゃやる意味がないんじゃないかと。となると、やったらどうなるかのと見込み=将来シミュレーションぐらいはやっとく必要があります。で、出た結果をどう評価するかで先行きが大きく変わります。
 現在から過去を振り返ればど~とでも言えるのを承知の上での疑問ですが、先の大戦でなぜ”日本は戦争をするという決断”をしたのか?、勝てるとふんだのか?” 実は、まったく同じ疑問を持って本を書いた人がいたんですな。
 ということで、今回ご紹介するのはそんな疑問に答えた本、作家にして元東京都知事、猪瀬直樹の”昭和16年夏の敗戦”であります。


写真はすべてたいちろ~さんの撮影
川崎市沖で見かけた大型原油タンカー(VLCC)”GASSAN”です

071336


【本】昭和16年夏の敗戦(猪瀬直樹、中公文庫)
 日米開戦直前の昭和16年(1941年)夏。”総力戦研究所”に集められた軍部、省庁、民間の若きエリートたちは疑似内閣を組閣し戦争を行った場合の帰結についてのシミュレーションを行った。その結果は”日本は必ず負ける”。
 この結果を受けた東条英機陸軍大臣(*1)の結論は、そしてその後の日本の帰趨は・・
【乗り物】タンカー
 液体を輸送する輸送機械(船など)のこと。写真のタンカーはVLCC(Very Large Crude Oil Carrier)といういわれるクラスで20~30万重量トンの積載能力があります。上記の”GASSAN”は積載重量30.8万トン。下に記載している450万トンという数字はこのクラスのタンカーを持ってしても輸送には15往復必要ってこと(攻撃されて撃沈されないという前提で)。逆に備蓄量15万トンというのはこのタンカーの半分しか手元に残んないってことです。


 結果から言うと、”総力戦研究所”が出したシミュレーションの結果は”緒戦は優勢ながら、徐々に国力の差が顕在化、やがてソ連が参戦し、開戦3~4年で日本は敗れる”という、原爆投下以外はほぼその通りになったとのこと(*2)。
 猪瀬直樹が本書を書こうとした理由が”大国アメリカと戦争やってほんとうに勝てると信じていたのか”を知りたかったと書いています。エリート集団とはいえ30代の若手の集まりの集団がここまで見通せていたのになぜ本物の政治中枢が戦争に踏み切ったのかは今から見ればという点をさっぴいても確かに不思議です。
 で、何でかってのを本書からピックアップしてみます

〔根拠のない自信〕
 ”総力戦研究所”の結果に対しての”東条英機”陸軍大臣のコメント

  日露戦争でわが大日本帝国は、勝てるとは思わなかった。
  しかし、勝ったのであります。

   (中略)
  戦というものは、計画通りにはいかない。意外裡なことが勝利につながっていく
  したがって、君たちの考えていることは、机上の空論とはいわないとしても
  あくまでも、その意外裡の要素というものをば考慮したものではないのであります

まあ、”前に戦った時には勝てないと思ったけど勝てたんだから、今回も勝てんじゃね?!”みたいなノリですが、少なくともトップの人間がこれ言っちゃいかんのではないかと。まあ、これに近いこと言っちゃうトップは今でもいそうですけど・・・

〔根拠がありそでなさそな数字〕
 物事を決めるのに客観的な指標として数字を上げるってのがあります。”総力戦研究所”はそれぞれの省庁から数字を持ち寄って比較検討して出した結論が”日本必敗”
 じゃあ、実際の政治中枢がやっていないかというとちゃんとやってはいるんですな。じゃあなぜ逆の結論になったかというと数字でつじつま合わせを始めちゃうから。本書の中で御前会議で鈴木企画院総裁が石油の需給バランスを説明するというのが出てきます。昭和17年度は備蓄を含む供給はインドネシアからの輸送から30万トンを入れて775万トンあって、需要が520万トン。これが昭和18年度にはインドネシアが占領できるから200万トンに増えるから、残量はプラス15万トン。16年度からはインドネシア分が450万トンに増えるのでV字回復します、みたいな。なんで”戦争遂行能力あり”という結論が出るわけです。
 これに対する陸軍省資源課長の高橋中尉のコメント

  これならなんとか戦争をやれそうだ、
  ということをみなが納得し合うために数字を並べたようなものだった

実際、この数字を決めるのに最初は吹っかけて需要を提出した陸軍はその数字を下げたり、インドネシアからの輸送分を増やせると海軍が言いだしたりとかなりアバウトな調整をやっったようです。
 ”なんでまた”と思われるかもしれませんが、今でも似たようなことやってることありませんか? ”目標必達”とかで。たとえば東芝とか三菱自動車の(以下自主規制)

〔空気読んじゃう〕
 上記の高橋中尉のコメントには続きがあります

  赤字になって、これではとても無理という表をつくる雰囲気ではなかった
  そうするよ、と決めるためには、そうするしかないな、というプロセスがあって、
  じゃこうなのだから納得しなくちゃな、という感じだった

 猪瀬直樹が巻末の勝間和代(経済評論家)との対談で書いてますが、日米開戦を回避するために中国の利権を手放したとすると、”日中開戦以来の十万の英霊に申し訳が立つのか”という反論がでてきちゃう。つまり投資・リターンの評価ができなくなってその場の空気に流されちゃうと。

  投資とリターンという発想では、とても語られなかったのですね
  冷静な議論ではなく、
  そういう「空気」によって物事が決められていくのは恐ろしいことです

   (中略)
  そんな世論の中で、軍部の意向に逆らってまで
  損得勘定で戦争を語れる雰囲気ではなかった
  総力戦研究所の模擬内閣が「日本は負ける」という結論を引き出せたのは
  そういう「空気」の縛りがなかったからとも言えます

 一時期”KY(空気読めない)”って流行語になりましたが、意外に空気が読めないてか、空気を読んでも反論すべきは反論するってのが必要なんでしょうね、まあ、嫌われるんでしょうけど

 実際は制度的な欠陥(政治と統帥権の権力二重構造)だの、陸軍と海軍の対立(中国での戦線は陸軍、アメリカと戦うのは海軍)だの、一筋縄ではいかないんでしょうが、実際には”総力戦研究所”の結論が顧みられることなく、日米開戦に突入し無条件降伏に至ることになります。
 まあ、戦争なんてのは”勝てそうだからやる”とか”負けそうだからやらない”なんてシロモノではないですし、それ以前にやらないために最大限の努力を払うモンだと考えてます。ただ”反対”だけ言ってても回避できる訳でもない以上、やっちまったら(あるいはやらなかったら)どうなるかということに対する”冷徹なまでの状況判断”ができることが不可欠ではないかと、終戦の日を前に思うのであります。


《脚注》
(*1)東条英機陸軍大臣
 後に内閣総理大臣となる東条英機はこの時点では陸軍大臣(総理就任はこの直後の41年10月)。イケイケの主戦派だと思っていましたが、本書によると総理就任で一転、戦争回避の立場に立たされるなど、単なる独裁政権というわけでもなかったようです。
(*2)原爆投下以外はほぼそのとうりになったとのこと
 wikipediaによると、ウラン爆弾の実現可能性を評価するMAUD委員会によりウラン爆弾の実現可能性が示されたのが1941年10月、原子爆弾開発にあたった”マンハッタン計画”が承認されたのは1942年10月。さすがにこれを予測しろというのは無茶ぶりです。逆にいうとこれ以外を予測しえたというのはパーフェクトに近いんじゃないかと

”ああ、伊藤さんなら、こっちで新作書いてるよ”、”それは・・・ 私が読みたいです”(幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2/地獄八景亡者戯)

 ども、心の持ち方だけは青春のおぢさん(*1)、たいちろ~です。
 世の中には”青春××”というサブジャンルがあります。青春ミステリーとか青春恋愛小説とか。特徴としては主人公自体は高校生だったり大学生だったりすることでしょうか。でも、小説にまったく大人が登場しないってことはまれなわけで、むしろ主人公を超えちゃうような大人のバイプレーヤーってのがいたします。
 ということで、今回ご紹介するのは高校生のビブリオバトル部がメインの小説なのにおじいちゃんやらおかんのがキラリと光っちゃってる小説”BISビブリオバトル部 2”であります。


写真はたいちろ~さん撮影。
日本テレビのイベント”超汐留パラダイス! 2016SUMMER”より
笑点(*2)”のブースです

20160810


【本】幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。<驚異の翼(ウィング・オブ・ワンダー)>伏木空、<燃える氷(バーニング・アイス)>埋火武人、<双面の話者(ヤヌス・トーカー)>安土聡、<愛の伝道師(ラブ・ミショナリー)>小金井ミーナ、<科学の魔女(ウイッチ・オブ・サイエンス)>菊地明日香など、本好きが集まるクラブ。今回のビブリオバトルのテーマは”戦争”。このテーマに対しそれぞれがチョイスした本は・・・
【DVD】地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)
 死んだ喜六が冥土への旅で三途の川や、賽の河原など地獄の風景出てくる前半、閻魔様の裁定で地獄行になるものの得意技で乗り切る後半とフルに演じると1時間を超える落語の大ネタ映像はこちらからどうぞ


 主人公の高校生からして二つ名を持つ本好きの集まりなんですが、そんな若者を手玉にとるんだから大人だってけっこうマニアックなのかも。今回のご紹介は埋火武人のじーちゃん、おかん、クラブの顧問(予定)の学校の先生です

〔ああ、伊藤さんら、こっちで新作書いてるよ(by じーちゃん)〕
 次回のビブリオバトルのテーマ”戦争”の本を考えていたSFマニアの”伏木空”。そこでであったのが死んだはずの埋火武人のじーちゃん(埋火武雄)。この人がまた弩のつくSFマニアでさっそく2人は意気投合。最近のSF作家の話をする空との会話

  じーちゃん:そうかあ。いいなあ。そんなにいろんな作家がデビューしてるのか
        もう少し長生きして、読んでみたかったなあ

  伏木空  :あと、亡くなられたけど、伊藤計劃さんという方も・・・(*3)
  じーちゃん:ああ、伊藤さんなら、こっちで新作書いてるよ
  伏木空  :それは・・・ 私が読みたいです

 これはもう”地獄八景亡者戯”の世界だ! ”地獄八景亡者戯”にあの世の寄席ってネタがあって、古今東西の名人上手が勢ぞろい、これは面白くないはずがない! 桂米朝師匠が生前に演じているくすぐりに、”桂米朝”という看板がかかっているのを見て

  米朝という名前で死んだ噺家はないと思いますが、あれはまだ生きてるンとちゃいますか?
  よう見てみなはれ、肩のところに”近日来演”と書いてある

 まあ、あの世で笑点の大喜利やってると思えば想像つくかも。なんてたって司会だけでも七代目立川談志、前田武彦、初代三波伸介、5代目三遊亭圓楽と超豪華なラインナップ。これで面白くなければウソでっせ! 近日来演(自主規制)とか・・・

〔でも、意外ねえ。武人って、このメンバーの中じゃ”受”っていう認識なの?
 (by おかん)〕

 埋火武人の家で合宿をすることになったビブリオバトル部の面々。男性陣は2人ひと組でお風呂を使わせてもらうことに。ここで目がランランなのがボーイズラブ大好きの小金井ミーナ。どういう組み合わせになった興味しんしん。

  だってえ、気になるじゃないですかあ。
  サト×ギンか、サト×タケか、ギン×タケか

空から”だから実在の人間で掛け算しないでください(*4)”のツッコミに対して武人のおかん(埋火いずみ)がつぶやいたのが上記の

  でも、意外ねえ。武人って、このメンバーの中じゃ”受”っていう認識なの?

埋火武人は食卓に突っ伏しかけていますが、おかんからこのツッコミされればまあ、気持ちはわからんでもないです。でも、おかん世代ってけっこうこの分野ではあなどれんかもしれんな~~ 高校生の息子(次男)がいるってことはだいたい40代後半ぐらい? 1970年代の生まれだとすると、少年愛の世界だとか耽美だとかホモネタご幼少のみぎりにはけっこうこのてジャンルに手を出してたかもしれません。なんたって、1970年代と言えば”トーマの心臓(萩尾望都 1974年)”、”風と木の詩(竹宮惠子 1976年)”、”パタリロ!(魔夜峰央 1978年)”とそうそうたる名作が登場、耽美派の雑誌”JUNE(ジュネ)”の創刊は1978年”人間で掛け算”カルチャーの源流がこのあたりかもしれないしね。

〔『2199』じゃ、ガミラスを滅ぼさなかったから、カットされたけど(by 先生)〕
 最後に登場願うのは世界史の教師にしてビブリオバトル部顧問(予定)の朝日奈先生。第一作”翼を持つ少女 BISビブリオバトル部1(山本弘、東京創元社)”では堅物教師という評判ながら実は特撮オタクをカミングアウト。まあ、真面目一辺倒と思っていた先生がいきなり”仮面ライダークウガ”の蘊蓄たれだしたら驚くだろ~な~
 で、今回は伏木空の紹介した”馬の首風雲録(筒井康隆、扶桑社文庫)”に対するツッコミ。空に対して”現実の戦争で、兵士を殺した敵のために泣くなんてあると思いますか?”という質問をするんですが、この質問に対しての空と先生の会話

  朝日奈先生:我々がしなければならなかったのは戦うことじゃない。愛し合うことだった
  伏木空  :?
  朝日奈先生:ああ、お前らの世代じゃ知らないか
        昔の『宇宙戦艦ヤマト』の台詞だ。ガミラスを全滅させた後、
        古代進が自分たちのやったことを後悔して言うんだよ
        『2199』じゃ、ガミラスを滅ぼさなかったから、カットされたけど

 ”宇宙戦艦ヤマト(監督 松本零士)”は1974年放映(もう40年以上前!?)で昭和40年生まれの先生がリアルタイムで観てた世代ってのはわかりますが、”宇宙戦艦ヤマト2199(総監督     出渕裕)”って2012年ごろなんでホント直近ですぜ! 当時ブームを起こした作品なんで旧作を引き合い出すのはいいとして、いいおっさんが”2199”をさらっと引き合いに出すあたりなかなかあなどれません。まあ、私も観ましたけど・・・

 本来のビブリオバトルのテーマ”戦争”とは関係のない話をぐだぐだ書いてますが、本本来のバトルの本の紹介も面白いです。本好きのぜひご一読のほどを


《脚注》
(*1)心の様相だけは青春のおぢさん
  青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相をいうのだ。
  優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
  怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心
  こういう様相を青春と言うのだ

 サミュエル・ウルマンの”青春”という詩です。だいたいこの詩を引っ張り出した時点ですでにおぢさんです。青春まっただ中の若者は青春について語ったりなんかしませんって。
(*2)笑点
 日本テレビで放映中、放送開始50周年を迎えた超長寿お笑い番組。このたび”笑点50年史(ぴあ)”という本も出ました。まだ読んでないけど。
(*3)伊藤計劃さんという方も・・・
 伊藤計劃(いとうけいかく)は日本のSF作家。デビュー2年、34歳で病没。代表作は”虐殺器官(早川書房)”、”屍者の帝国(河出書房新社)”、”ハーモニー(早川書房)”など。読みたい作家なんだけど、まだ読めてないな~~
(*4)だから実在の人間で掛け算しないでください
 ボーイズラブの世界では”攻×受”がお約束。どっちを受にするか攻にするかは逆カプ不可の深刻なテーマみたいです、ようわからんですが・・・

でも、実際、疑問なんですよねえ。何で当時の日本人が、アメリカと戦って勝てると思ったんだろって。SF読んでると、しみじみそう思います(幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2/横須賀 フレンドシップデー&サマーフェスタ)

 ども、今年も横須賀のフレンドシップデー&サマーフェスタに行ってきたおぢさん、たいちろ~です。
 このイベント、実はあまり事前に情報が流れてこなくて、いきあばったり感満載で毎年出かけております。で、今年面白かったってのが、サマーフェスタでは乗艦イベントのあった護衛艦”いずも”、フレンドシップデーでは対岸に停泊していた空母”ロナルド・レーガン”。でかいんわ~これが。
 ということで、今回のネタは”横須賀 フレンドシップデー&サマーフェスタに行ってきました 2016”&彼我の戦力差を考える”BISビブリオバトル部 2”であります。

写真はすべてたいちろ~さんの撮影です

【本】幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2(山本弘、東京創元社)
 美心国際学園(BIS)高校ビブリオバトル部。<驚異の翼(ウィング・オブ・ワンダー)>伏木空、<燃える氷(バーニング・アイス)>埋火武人、<双面の話者(ヤヌス・トーカー)>安土聡、<科学の魔女(ウイッチ・オブ・サイエンス)>菊地明日香など、本好きが集まるクラブ。今回のビブリオバトルのテーマは”戦争”。このテーマに対しそれぞれがチョイスした本は・・・
【旅行】横須賀 フレンドシップデー&サマーフェスタ
 毎年8月第一土曜日ごろに開催される”よこすか開国祭”に合わせて開催されるイベント(2016年は8月6日開催)。サマーフェスタは海上自衛隊横須賀地方隊が、フレンドシップデーはアメリカ海軍が主催でそれぞれの基地を一般公開してくれます。
 私は午前中にサマーフェスタ、午後にフレンドシップデー、夜はそのまま海軍基地内で花火見学。炎天下でほとんど一日中立ちっぱという体力勝負のイベントになってます。


 今回見ることのできた艦艇を紹介するとこんな感じです

〔ヘリコプター搭載護衛艦”いずも”〕
 写真は上から全景、上部飛行甲板、航空機用昇降機

8060340
8060127
8060134

 排水量 1.95万トン。全長 248.0m、全幅 38.0m
 以前、2015年の観艦式に参加してたので見たのは2回目ですが、さすがに近くで見るとでかいですな~~ 他の護衛艦と比べると全長で2倍弱、排水量で3~4倍程度の差。飛行甲板もやたらでかくて、サッカーフィールド(105m×68)と比べても縦なら2倍、横1/2ってサイズです。甲板には格納庫から昇降機(エレベーター)で上がるんですが、これが一度に300~400名程度が乗れるシロモノ。思わずサンダーバードのテーマをかけたくなっちゃいます
 同型艦は建造中の”かが”のみ

〔護衛艦”てるづき”〕
 写真は上からてるづきに近づくゴムボート、後部甲板(奥側が”てるづき”手前が同じく護衛艦”たかみな””たかなみ”)。前部甲板のレーダーシステム。

8060207
8060217
8060242

 排水量 0.5万トン。全長 150.5m、全幅 18.3m
 イージズ艦についている”アクティブ・フェーズド・アレイ方式”レーダーを備えていて僚艦を防衛する”LAD機能”がある艦艇。大きいのが索敵・追尾用アンテナ、ちいさいのがミサイル誘導用アンテナだそうです
 同型艦は”ふゆづき”など4艦

〔原子力空母”ロナルド・レーガン”〕
 写真は上から後方からの全景、真横からの全景(パノラマ機能で撮りましたが、歪んじゃいました)、艦橋部遠景(海上自衛隊基地に停泊している砕氷船”しらせ”からの撮影)

8060433
8060402
8060306
 排水量 10.1万トン。全長 333.0m、全幅 76.8m
 横からの写真は後に出てくる”ミサイル駆逐艦 カーティスウィルバー”からのもの。横から見るとハンパなくでかいです。上記ででかいといった”いずも”と比べても全長で1.2倍弱、排水量で5.2倍弱の大きさ。
 だいたい映画とかで”空母”が出てくるとこのタイプのイメージ。垂直上昇のできるヘリコプターと違って滑走路が必要な艦載機を離着陸させるため滑走路が船の上にあるんですからでかいのは当たり前っちゃ当たり前ですが。
 ”ニミッツ級航空母艦”という艦級で、同型艦は”カール・ヴィンソン”、”ジョージ・ワシントン”など10艦

〔ミサイル駆逐艦”カーティス・ウィルバー”〕
 写真は上からバース側から艦橋部、前部甲板。

8060368
8060386
 排水量 0.84万トン。全長 153.9m、全幅 20.1m
 アメリカ海軍のミサイル駆逐艦。”ロナルド・レーガン”と比べるとかなり小さい感じしますが、これでもミサイルの垂直発射システム90セルには対艦ミサイル(ハープーン)発射筒4連装×2基などけっこうな戦力なシロモノ
 ”アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦”という艦級で同型艦はネムシップの”アーレイ・バーク”など69艦

 艦艇数や性能差が絶対じゃないですし、ましてや戦争なんて総力戦なんでこれだけで勝ち負けが決まるわけがないと百も承知であえていいますが、この国とガチで戦ったら勝てる気しませんな~~ 
 まあ、”戦ってみたら勝てるんじゃね?”で戦争始めるなんで愚の骨頂ですが、勝てないまでもイーブンの戦いができそ~かどうかの情報収集力と分析力ぐらい持ってることの方が抑止力になるんじゃないかと。
 で、今回ご紹介する”幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 2”のお話。”戦争”というテーマでどんな本を選ぶかという話をしてる時にSF大好きの伏木空が

  でも、実際、疑問なんですよねえ。
  何で当時の日本人が、アメリカと戦って勝てると思ったんだろって。
  SF読んでると、しみじみそう思います

と言いだします。1940年代の前半、アメリカが日本と戦争やってる時に、アメリカではSFブームで何十冊もSF雑誌が出版されていて、アシモフやハインラインなんかが活躍していて、半裸の女性が光線銃かまえてる絵が表紙を飾っていて、戦争やってる雰囲気がまるでない。かたや日本は”欲しがりません、勝つまでは”の耐久生活を強いられていて、雑誌なんかも休刊したりページを減らされたりと。要は余裕がぜんぜん違っていたと

  SF雑誌の表紙を見たら、国力の圧倒的な差を感じるんですよ
  日本はぎりぎりまで追い詰められてたのに、
  アメリカはこんなものを出してられたんだ
  まだ全力を出してなかったんだって

SF雑誌なんて大したことじゃないと思われるかもしれませんが、趣味的な面に金をまわせるかどうかって家計の余力に直結しているんだから、マクロ的に見ても国家レベルでの重要なファクターだったりするんじゃないかと。

 ”普通、そんなこと考えんだろう”と言われるかもしれませんが、実を同じこと考えた事あんですよね、ディズニーの”ファンタジア(*1)”見て。映画自体を見た事ない人は多いでしょうが、赤いだぼ~っとした服に三角の帽子をかぶったミッキーマウスのイラストを見た事はあろうかと。これはこの映画の中の”魔法使いの弟子(デュカス)”のモチーフです。
 作成されたのは1937年頃からで公開は1940年。公開時はアメリカはまだ第二次世界大戦には参戦してませんが(参戦は1941年12月の真珠湾攻撃から)、世界大戦自体は1939年に始まってるわけで安穏としてられる時代ではなかったはず。でも、そんな時代ですらこれだけの作品を生み出せる余力があるんだから”そんな国力の国と戦争するなんて、無謀だなぁ”とこの作品を見て思ったモノです

 世界レベルでなんだか危なっかしい方向に行ってるような昨今、彼我の戦力差を見ながらしみじみ思うのであります


《脚注》
(*1)ファンタジア(監督 ベン・シャープスティーン、ウォルト・ディズニー・ジャパン)
 クラシック音楽をバックにした8つのショートアニメ。指揮のレオポルド・ストコフスキーに音楽はフィラデルフィア管弦楽団が担当。”組曲 くるみ割り人形(チャイコフスキー”、”はげ山の一夜(ムソルグスキー)”など。かれこれ80年近く前の作品とは思えないすばらしさです

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ