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”どうしてその子どもたちに聞いた? お金を持っていないじゃないか”というシンプルさが必要です(Think Simple/アップルストア)

 ども、会社では方針策定担当をやっているおぢさん、たいちろ~です。
 最近のビジネス方針うんぬんの資料の中のキーワードの一つに”イノベーション(革新)(*1)”ってのがあります。まあ”今までと同じことやってるとヤバくね?! 何か新しいことしないとツブれんじゃね 俺達?!”と、健全な危機感といや言えるんですが、言うは易く行うは難し。人間そうそうブッとんだことを考えつくもんじゃございません。そうは言ってもなんか考えないと前にまずいんであ~でもないこ~でもないが始まる訳です。ここでややもすると複雑怪奇な方向に行っちゃいかねないんですな。もっと単純に考えりゃいいのにと思うことも・・・
 ということで、今回ご紹介するのはそんなブッとんだことを考え実行した会社”アップル”の哲学を書いた本”Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影
表参道アップルストア
のiPhoneの展示コーナーです

8134029

【本】Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学
   (ケン・ シーガル、NHK出版)
 アップルの創業者スティーブ・ジョブスのもと「Think Different」キャンペーン(*2)に携わったクリエイティブ・ディレクターによるアップルを躍進させた哲学”シンプル”をまとめた本。
 原題は”INSANELY SIMPLE(狂気のように単純)(*3)”とシンプルにしてインパクトのあるもの。サブタイトルも”The Obsession That Drives Apple’s Success(アップルを成功に駆り立てた執念)”。”Obsession”は日本語では”取りつかれていること、妄想、脅迫観念、執念”など。ネイティブじゃなんで断言できませんが、企業の話を描くのにこのタイトルは相当扇動的ではないかと・・
【旅行】アップルストア
 改めて写真を見ると、ほんとになんにもないですな~~ 日本の家電量販店だったら、倍ぐらい商品並べてパネルがあって”広告の品”のポップがあって、カタログがあってするところです。これで面積あたりの売上金額がティファニーを上回る(本書より)というんですから大したものです。


 この本は内容自体も面白いんですが、ユニークとおもったのは各章のタイトルの翻訳

  第1章 Think Brutal   容赦なく伝える
  第2章 Think Small   少人数で取り組む
  第3章 Think Minimal  ミニマルに徹する
  第4章 Think Motion  動かし続ける
  第5章 Think Iconic   イメージを利用する
  第6章 Think Phrasel  フレーズを決める
  第7章 Think Casual  カジュアルに話し合う
  第8章 Think Human  人間中心にする
  第9章 Think Skeptic 不可能を疑う
  第10章 Think War   戦いを挑む

普通だったら”○○に考える”とやりそうなとこですが、違うんですね。上記の”Think Different”自体が”物事をまるで違った目で見る”と訳されています。この”Think(考える)”という言葉って意外に重たいんですね。なまじ”考えろ!”と言われるからあ~じゃこ~じゃの陥穽に落っこっちゃうんじゃないかと。これが”物事をまるで違った目で見る”と言われればずいぶん趣きが違うんじゃないかと。こっちだったら”俺でもできんじゃね?”って気になります。最近外国の人が書く日本の本なんかを読むんですが(*4)、これってジモッティから見ると当たり前のことが外国の人にはすんごい意外に思われたりしてます。まあ、日本人だって海外旅行に行けば同じような感想を持つんでしょうしね。この感想って別に考えてるわけじゃなく、”へぇ~~”って感じることから始まってるんでしょ

 Don’t think. FEEL!(*5)

みたいな。まあ”感じる”ことだって簡単ではないんでしょうが、既成概念や常識を捨ててフラットにモノゴトを感じてみっか! みたいなとこからスタートすればけっこういろんなこと思いつきそうな感じがします。

 本書で言ってる”シンプル”の一つのアプローチって”複雑さ”をいかに排除するか。ややもると足し算でいろんなものをくっつけて複雑にして自縄自縛に陥らず、いかに不要なものを捨ててより純度の高いところだけを抽出するかってとこでしょうか。製品に限らず、マーケティング、組織、コミュニケーションといった組織論まで踏み込んでいるのが凄いです。

 たくさんエピソードが載ってますが、気にいったのを一つ。
 ある広告会社のプランナー(消費者の考えていることをまとめてアドバイスする人)や山のような資料を用意して統計をベースに調査結果を報告する場面

  プランナー:私たちはハーレムにあるゲットーまで行って、
        バスケットボールコートにいる子どもたちにも、
        アップルをどう思うかを聞きましーーー
  ジョブズ :どうしてその子どもたちに聞いた? 
        お金を持っていないじゃないか

お金は多少露悪的かもしれませんが、アップルそのものがターゲットにしていないマーケットをいくら調査しても無駄だってこと。こういう風に書くと当たり前と思われるかもしれませんが、実際にはこれと同じ様なことってやりがちなんですよね~~ 元々ターゲットにしていないマーケットを一所懸命検討したり、そもそもターゲット自体が明確になっていなかったりと。まっ、ごちゃごちゃ考えるよりよりシンプルに”あんたいったい何したいネン?”って質問自体を書きかえちゃった方がいいかもね


《脚注》
(*1)イノベーション(革新)(*1)
 ”イノベーション(innovation)”と書くと新しそうですが、日本語だと”革新”。おぢさん世代だと”保守vs革新”なんつー政権争いを思い出しますが、これって1955年に結成した自由民主党(保守合同)と1967年の日本社会党や日本共産党が推薦した知事による”革新自治体”に遡るみたい。かれこれ半世紀も使ってるんですねぇ
(*2)「Think Different」キャンペーン
 ジョブズがアップルに復帰した1997年に行われた広告キャンペーンのスローガン。アインシュタインやボブ・ディランら偉人たちの白黒映像をバックに
  Here’s to the crazy ones
 (クレージーな人たちがいる)

で始まるナレーションは今見ても斬新。観たい方はこちらをどうぞ
(*3)INSANELY SIMPLE
 Amazonで見ると2016年に”Think Simple:How Smart Leaders Defeat Complexity(シンプルに考える:スマートなリーダーはどのように複雑さを打ち破ったか)”という本も出ています。ややこし~な~
(*4)最近外国の人が書く日本の本なんかを読むんですが
 一例をあげると”英国一家、日本を食べる(マイケル・ブース、亜紀書房)”の一節。フードライターのマイケルが高級肉の感想で
 肉は、口のなかで溶けるべきなのだろうか?
とコメントしてますが、日本人としてはけっこう驚きでしたね。詳しくはこちらをどうぞ
(*5)Don’t think. FEEL!
 ”考えるな!感じろ!”はブルース・リー主演の”燃えよドラゴン”の名セリフ。映像はこちらからどうぞ。

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