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パロディってのはモトネタを知ってる人のほうが楽しめます、たぶん(文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦/華厳の滝 巌頭之感)

 ども、笑えるパロディが大好きなおぢさん、たいちろ~です。
 私のくっだらい趣味の一つに”自社製品のパロディカタログ”を作るってのがあります。どんなんかつ~と、”3倍速いシャア専用サーバー”とか”ミノフスキー粒子散布下でもつながるガンダムスマホ”とか”データセンターinバベルの塔”とか”半沢直樹監修 融資支援システム”とかとかとか・・・ いい年したおぢさんがやってるこた同人誌を作る中高生と変わりません
 実物を見てもらいたいんですが、ネットで流布すると著作権法違反で訴えられちゃうシロモノなので今回はカット。でも、この手のパロディってのは、知らない人が見たら”これ、新製品!? いつ発売?”ってレベルのクオリティがウケのポイント。”本当にありそうで実は冗談”ってのがパロディのツボかと思います。でも、この手のパロディーって”モトネタを知ってる人”じゃないとウケないんだよな~~
 ということで、今回ご紹介するのはみんなが(名前だけは)知ってる文豪をパロディーにした”文豪ストレイドッグス”シリーズより外伝”綾辻行人VS.京極夏彦”であります

写真はたいちろ~さんの撮影。華厳の滝と”巌頭之感”(ポスター)です

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【本】文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦(朝霧カフカ、KADOKAWA)
 滝の上の崖、二人の異能者が対峙していた。一人は鳥打帽に遮光眼鏡、死者のように白い肌。犯人を”偶然”不幸な死に陥れる”殺人探偵”こと綾辻行人。もう一人は神仙の鬼謀にて殺人事件をまきおこす”妖術師”こと京極夏彦
 二人の対決は、新たなる戦いの幕開けでもあった・・・
【旅行】華厳の滝 巌頭之感
 ”華厳の滝”は日光中禅寺湖から流れ出る大谷川にある名瀑。
 1886年、旧制第一高校(現東京大学)の学生”藤村操”が”巌頭之感”という遺書を残して投身自殺しました。

  萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く「不可解」

という哲学的な遺書は、あとを追うように自殺を誘発し(藤村の死後4年間で185名)、華厳の滝が”自殺の名所”になりました。(遺書全文はこちら

 さて、本書の主人公は3人。”殺人探偵”綾辻行人。”妖術師”京極夏彦。そして綾辻行人の監視役、特務異能課エージェントにしていじられキャラの辻村深月。”文豪ストレイドッグス”シリーズ(*1)ってのは文豪のキャラが、作品世界や本人に合った異能(超能力)を使って探偵したり犯罪したりという異能力バトルアクションコミックですが、外伝もその流れで書かれてます。私自身も綾辻行人と京極夏彦けっこう好きで、かなり読みましたが、本書の感想はというと

よくもまあ、こんだけありそうなキャラとストーリーをでっち上げたモンだ

 言っときますけど、これ最大級の賛辞です。

 まずは綾辻行人から。新本格派ミステリーの”館シリーズ(*2)”とかもよく読んでたんですが、ミステリー(論理)とホラー(非論理)を組み合わせたジャンルもあって、その代表が今回のモチーフにもなっている”Another(綾辻行人、角川文庫)”。あるおまじないを守らないと”災厄=関係者の死”に見舞われる、で主人公の榊原恒一と見崎鳴はその災厄から逃れるための方法を推理するというお話。なぜ災厄が起るかというと”現象”だからという理由の説明一切なしのぶん投げ状態。そういった点では異色のミステリーですが、綾辻行人の異能も同じ。犯罪を解決すると犯人に不可避の死をもたらす”Another”。すごい推理力を発揮する綾辻行人ですが、なんで犯人が死亡するかの説明はいっさいなし(だから異能ともいえますが)。
 探偵事務所に人形部屋を作っているとこなんかも”Another”から。春河35の描くイラストで綾辻行人が抱えている眼帯をした美少女の人形もアニメ版”Another”から見崎鳴のオマージュ。こういう遊び心っていいですなぁ

 ”妖術師”こと京極夏彦。襤褸の和服を纏った隠者のような装いの老夫というビジュアルですが、これって本人のビジュアルに通じてるんですな。黒の着流し手甲脚絆の服装ってモチーフになっている”百鬼夜行シリーズ(京極夏彦、講談社)”に出てくる京極堂こと中禅寺秋彦が”憑き物落とし”の時のファッションですが、ご本人のお召し物もこれなんですな、インタビューの写真とか。さすがに襤褸ではないですけど。まあ、喋り方が”南極夏彦(*3)”っぽいのは御愛嬌ですが・・
 京極夏彦の異能は”憑き物落とし”。”百鬼夜行シリーズ”では想いに取りつかれた人間から”憑き物”を落とすことで正常に戻す京極堂ですが、本作では相手に上空から憑き物を取りつかせ、対象の精神を変調させる異能。まったく逆です。面白いのは、まったく逆の効果ですが、京極堂も京極夏彦もともに恐ろしいほど論理的で”言葉による呪(しゅ)”がベースなんですな。”百鬼夜行シリーズ”って妖怪がモチーフになってますが、実は妖怪そのものが登場するわけでもなく、その原理は非常に論理で解説されてて、憑き物を下すのも推理という”言葉”。京極夏彦のほうの異能”憑き物落とし”も”相手を自由自在に動かせる訳でもない”というシロモノ。むしろその鬼謀をもって他人に犯罪を起こさせてます。
 ”言葉だけでそんなことできるんかい?”と思われるかもしれませんが”巌頭之感のように言葉が自殺を誘発しているというか、自殺したい人の背中を押すことはありえます。本書のように犯罪を起こしたいけど警察に捕まるのが怖い(抑止力)に対し、完全犯罪の方法を示唆することで実行に移させるみたいな。

 残念ながら、辻村深月は読んだことないんで、こんど読んでみよ!

 冒頭描いたように、パロディってのはモトネタを知ってる人のほうが楽しめます、たぶん。できれば、”Another”とか”百鬼夜行シリーズ”とか読んでた方が楽しめっかな~~ てか、この本を読もうと思った人って、これぐらい読んでっか!

《脚注》
(*1)”文豪ストレイドッグス”シリーズ(原作 朝霧カフカ、作画 春河35、角川書店)
 この作品が生まれたきっかけは原作者の朝霧が”文豪がイケメン化して能力バトルしたら絵になるんじゃないかと、編集と盛り上がったから”だそうですが、原作をかなり読みこまないとここまで書けないと思います。きっと、相当なビブリオマニアなんでしょうなぁ
(*2)館シリーズ(綾辻行人、講談社文庫)
 今は亡き建築家”中村青司”が設計した風変わりな建物で起こる連続殺人事件。推理作家の”島田潔”はその謎に挑戦する・・・
 ”十角館の殺人”、”水車館の殺人”など。こんな家に住んでみたいという建築物も魅力です。
(*3)南極夏彦
 ”南極探検隊シリーズ”に登場する史上最低最悪再馬鹿の元小説家。六十数歳。簾ハゲ”~のう”が口癖。同じ京極夏彦の作品とは思えないようなブッ飛んだお話です
 ”南極。(京極夏彦、集英社)”に収録。

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