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じゃあ、明治維新が無かったら、もうちょっとましな日本になっていたかというとどうなんですかねぇ・・・(明治維新という過ち/日本の一番長い日/風雲児たち/萩)

 ども、日本史はあまり得意じゃないおぢさん、たいちろ~です。だからといって、世界史が得意ってわけでもないんですが・・・
 当たり前のことですが、歴史は過去から未来に向かって流れていきます。歴史に”IF”を求めても意味はないんですが、もしあんときあ~しときゃ良かったと悩むのは人の常。まあ、そん中でもターニングポイントとなるデキゴトてぇのは確かにあって、そこには人なり組織なりの行動原理がかかわってきます。てなことを書いているのはたまたま立て続けに2冊、この手の本を読んだんで。
 ということで、今回は近代の本のターニングポイントを扱った本”明治維新という過ち”、”日本の一番長い日”に加えて”風雲児たち”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。作並温泉で見かけた萩の花です

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【本】明治維新という過ち(原田伊織、毎日ワンズ)
 サブタイトルが”日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト”とあるように明治維新は”新しい日本の夜明け”どころじゃなく、長州藩・薩摩藩のテロにより樹立された政権であり、太平洋戦争に至る滅びの原点であり、今の歴史観は長州藩を中心とした明治政府に都合の良い歴史教育の賜物であるという本。
【本】日本のいちばん長い日(半藤一利、文春文庫)
 日本は原爆の投下、ソ連軍の満州侵略により戦争継続を断念、天皇の聖断によりポツダム宣言を受諾、敗戦が決定した。だが、これを良しとしない帝国陸軍の一部はクーデターにより戦争継続に動きだす。終戦をめぐる日本の最も長い日、八月十五日をめぐるノンフィクション
【本】風雲児たち(みなもと太郎、 リイド社)
 幕末の群像を描くのに関ヶ原の戦いから始めるというとんでもない長編漫画。なんせ、”幕末編”に行くまでだけでワイド版で20巻ですぜ! 単なる”歴史漫画”ではなく、”歴史ギャグ漫画”なんですが、全体としてはちゃんと真面目に歴史を語っているところはさすがです。名作ですんで、ご一読の程を。
【花】萩(はぎ)
 マメ科ハギ属の総称。落葉低木。
 長州藩の藩庁があった萩城(萩市)にちなんで調べたんですが、萩市の花は椿と萩(しかも椿のほうが先)。なんでも、椿(ツバキ)が詰まって萩(ハギ)になった説があるからとか。なんやねん?

 歴史の順からでまず”明治維新という過ち”からこの本を読んで感じた主張をまとめると

  ①明治維新を行った長州藩・薩摩藩の志士はテロリストである(*1)
  ②明治以降の歴史は明治政府によって都合が良く書かれている
  ③太平洋戦争は薩長政権のキャラクターが基盤要因となっている

でしょうか(他にもいっぱいありそうですが)。
 あんまし歴史オタクとか歴女ほど詳しい方ではないですが、素人目に見てもこれらはある意味当たり前の話です。①についてはおおよそ社会体制をひっくりかえすような活動ってのは旧体制から見れば(失敗すれば)犯罪者。成功して体制変更ができればチャラ、逆に旧体制側が犯罪者扱いです。
 ②について言えば、勝った方が自分に都合の良い歴史書を書くのは当たり前といえば当たり前で、そもそも死んだ人間が歴史書を書いたりなんかしません。埋もれた歴史が発掘されて云々なんてのは、現体制の許容範囲か、外圧という別のパワーバランスがあってと考えた方がありそうです。
 ③にしても、組織が継続する限り、根本になるキャラクターが継続されるのはありそうなこと。組織というのはだいたい慣性力が働くモンで何にもなしにいきなりその性格が変わったりはしないですから、長州藩出身の人が中核になってできた組織ならそうなっちゃうんでしょうね

 で、この明治維新から大正、昭和にかけて出来上がった体制が行った太平洋戦争ですが、この幕引きをどうするかという話が”日本のいちばん長い日”。こっちの話のメインはというと

 ①戦争継続が困難になのにポツダム宣言を受け入れるかどうか決まらず、
  最後は聖断(天皇の決裁)によって敗戦が決定
 ②天皇に間違った決断をくださしめた奸臣を撃ち、
  戦争継続を企図した一部青年将校を中心にクーデターが発生
 ③クーデターは鎮圧され、天皇の玉音放送が流れることで太平洋戦争が終了

本書の中で興味深かったのは戦争継続に対する”能力”と”意志”の評価

 戦争を知らない世代なんで、この時期だとほとんど兵力が残っていないと思ってたんですが、本書によると本土決戦に備えての将兵陸海軍合わせて430万、特攻機1万、海上特攻兵器3,300があったそうです。で、本格的な十数個師団が正面切ってぶつかり合う陸上作戦ならむざむざ敗れはしないと豪語してたそうです。まあ、実際に闘えばどうなっていたかはわかりませんが、そこそこ闘えたと考えられていた様子(*2)。実際にクーデターに与するかどうか登場した陸軍将校は多かれ少なかれ悩んでます
 じゃあ、”意志”はどうかというと、こちらはかなり別れてるんですな。さすがに国家のトップクラスは状況認識はあるもののしがらみが多すぎておいそれと”はいわかりました”とは言えない状況(だから敗戦決定が長引いたんですが)。青年将校は完全に精神論で”一億の日本人は軍人精神にのみ生き、この精神の中に死ぬべき”で”日本の国体(天皇を戴く君主性)の維持”だの”たとえ全滅するもそれは敗北ではない”と。

 で、ここまで読んで思ったのがこれと同じメンタリティを持った藩が”明治維新という過ち”にあるんですな。それが会津藩と二本松藩。特に会津ってのは初代藩主”保科正之”を戴く徳川忠義の藩で、”城を枕に討ち死に”するような徹底抗戦をしたんだとか。原田伊織はこのあたりの精神性を高く評価し、長州閥の陸軍には批判的。本書より

  幕末の長州とその長州が創り上げた後の陸軍に共通するのもは、「狂気」である
  「長の陸軍」、「薩の海軍」という言葉が示す通り、
  帝国陸軍とは実は長州軍閥の巣窟ともいえる集団であって、
  戊辰戦争を経て成立した薩長政権のキャラクターは
  実は大東亜戦争(太平洋戦争)の基礎要因となっているのである

 でも、会津藩といい長州の流れの陸軍といい根っこのメンタリティって似たりよったりのような感じがします。あるいはこの時代のある種の日本人自体なのかも?

 長期的な流れで見ると、明治維新の中心だった薩摩、長州、土佐ってみんな関ヶ原の負け組なんですね。薩摩は関ヶ原で正面突破の撤退戦で辛くも逃げのびながらも弱体化政策でいじめられ、関ヶ原西軍総大将毛利輝元は敗れて周防・長門に押し込められ、さらに城は萩っていう中州に押し込められ、土佐は土佐で、坂本龍馬や中岡慎太郎らは”郷士”という下級武士なんですがこれは関ヶ原の戦いで敗れた長宗我部氏の家来の系譜(*3)。つまり明治維新の中心となった藩って、みんな徳川家に怨み骨髄の連中なんですな。まあ、260余年、虐げられた怨念が容赦ない戦いに突っ込んでくのもわからんではないですが。このへんの話は、実はみなもと太郎の”風雲児たち”で読みました。歴史書としても面白いですよ~~

 で、話は戻って”明治維新という過ち”が答えてくれていない疑問

  じゃあ、明治維新がなかったらもうちょっとマシな日本になってたのか?

明治の御一新により、攘夷から手のひら返しの西洋かぶれだろうが、曲がりなりにもヨーロッバをモデルにした立憲君主制らしきものが成立し、中央集権化し、建前であっても四民平等による下層部の人材登用の機会がでてきたのも御一新のおかげっぽいです。というより徳川の幕藩体制でこれらが起ったとはちょっと考えにくいですね。まあ、起ったとしたらもっと血みどろの市民革命があってとかなりそうだし・・・

 この質問は、”IF”というより、起こった事象に対する評価の問題だと言えるかと。ある事象に対して批判的であるということは、何がしかの評価軸があるはずで、これは”○○史観”みたいなもの。”明治維新という過ち”という本も原田伊織史観として読めばユニークではありますが、これにはまりこんでしまうのもまた明治政府が作った史観のみを正とするのと同じリスクじゃないかなぁ。まあ、本書では批判的な司馬遼太郎史観(*4)とか、みなもと太郎史観とか、いろいろ読んでみることが多面的に歴史を理解するのには重要なんでしょうかねぇ

《脚注》
(*1)明治維新を行った~
 本書によると”明治維新”という言葉は昭和になってから極右勢力によって一般化したことばで幕末の御一新当時に使われたものではないんだとか。
(*2)そこそこ闘えたと考えられていた様子
 さすがに勝てるとまでは言ってませんが、相手をビビらせることで講和条件を有利にしようとは考えていた様子。まあ、やってみてそうなったかどかもわかりませんが。
(*3)関ヶ原の戦いで敗れた長宗我部氏の家来の系譜
 土佐に進駐してきたのは”山内一豊”。一豊の妻が”内助の功”で有名な見性院(千代)。でもみなもと版では完全に恐妻家で妻の尻に引かれるおっさん化されています
(*4)司馬遼太郎史観
 歴史小説家。代表作に”竜馬がゆく”、”坂の上の雲”、”街道をゆく”など多数。良くも悪くもおぢさんたちの頭の中にある歴史観を形作ったのは司馬遼太郎であると言いきってもいいぐらいに影響力のあった人。私はあんまし読んでませんけど・・・

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