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2015年2月22日 - 2015年2月28日

物事にはすべて理由があり、行動には意図がある。それを考える時には自分の願望を載せないことだ(宇宙軍士官学校 -前哨-/日本丸Ⅱ世)

 ども、オールデーズなSFファンのおぢさん、たいちろ~です。
 ”宇宙軍士官学校 -前哨-”の2巻目読んでます。相変わらずSFオタク趣味満載なストーリー展開。結構モトネタばらしの会話してまして、”幼年期の終り”に”百億の昼と千億の夜”に”エンダーのゲーム”にと(*1)。まあ、三冊とも読んでる私も私ですが・・・
 このシリーズってSFネタといいオタクネタといい、けっこう好みにジャストミートなんだよな~ これが。ということで、今回ご紹介するのは”宇宙軍士官学校 -前哨-”の第二巻であります。


写真はたいちろ~さんの撮影(*2)
寄港で一般公開された大型練習帆船”日本丸Ⅱ”です

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【本】宇宙軍士官学校 -前哨-(鷹見一幸、ハヤカワ文庫)
 21世紀初頭、異星人によるオーバーテクノロジーの供与を受けてから15年。宇宙軍の士官となるべく集められた有坂恵一たちに与えられた訓練ミッションは練習戦艦”アルケミス”により敵対する宇宙船と戦うこと・・・
【乗り物】日本丸Ⅱ世
 1984年に就航した大型練習帆船。総トン数2,570トン、全長110.09 m。帆船ですが、ディーゼルエンジンも搭載されていて機走も可能なスグレモノ。
ちなみに”平洋の白鳥”と謳われた初代”日本丸”は横浜日本丸メモリアルパークで見ることができます。


 さて練習戦艦”アルケミス”ですが、練習戦艦とは言いながら全長300m、先端部直径50m(イラストでは艦橋部、エンジン部はもっとでかい)と地球規模で見れば堂々たる大戦艦。上記の日本丸が全長110m、実際の宇宙船でいうとアポロ11号を打ち上げた”サターンVロケット”は全高110.6m、直径10.1mですから全長だけでも約3倍。そのデカさは相当なものです。
 で、こんだけ巨大な宇宙船で何をするかというと戦闘シミュレーション。メディカルルームのカプセルに入ってバーチャルリアリティで戦うという設定ですが(*3)、じゃあなんでわざわざこんなでかい宇宙船をリアルに用意する必要があるんだ? みたいな疑問が発生するワケで(このあたりは3巻のネタで出てきますが・・)

 実は、今回のお題は実は本編と直接関係のない”序章”から。
 話の内容ってのは”宇宙軍士官学校”に関する世論調査の結果をうんぬんする調査部第二課の村田係長や宮田班長、担当の国友が、調査報告をする場面です。三社の調査会社に調査を依頼してるんですが、なぜそんなことをするかという国友の質問に対して、宮田班長は”調査会社は空気を読んで、次の仕事が欲しいのでクライアントが望む数字を用意する傾向があるから信用できない”と

  否定的な現実を見せられるより、肯定的な虚偽を受け入れたいと願うのが人間だ
    (中略)
  プロジェクトに肯定的な世論調査の数字を出してくる会社と
  肯定的な数字が出してくる会社があったとした場合、どっちの数字を採用したい?
  欲しいのは肯定的な数字だ。違うか?

 つまり、調査結果を回答する方も受け取る方もフラットではなく心理的なバイアスがかかるってことですな。

 これが、神様的な能力を持つ異星人相手となればなおさらのこと。上記の見識を持つ宮田班長にしても、地球人類をバラ色の未来に導くって異星人のアクションに疑問を持っていないご様子。村田係長のツッコミから

  村田係長:人類の輝ける星、それが宇宙軍士官学校生なのだ・・・
       子供たちや、その親に、そう思い込ませたのは、誰なんだろうな
  国友  :・・そう思い込ませたって・・ だってそれは本当のことじゃないですか!
  村田係長:それが真実だという証拠はどこにある?

        (中略)
       つまり、選ばれたエリートとして扱われ、
       人類の代表として太陽系外へ赴くのではなく、
       単なる消耗品として扱われ、とんでもなく遠くの凄惨な戦場に
       送りこまれる可能性だってあるということだ
       しかし、そういった可能性については誰も言及しない
       そんなはずはない、そんなことはあり得ない。とみんな思いこんでいる
       おまえのようにな

 まあ、コンジョ曲がりと思われるか思われるかもしれませんが、目の前にあるコトの意味を疑ってかかるのは必要かも。

  だがな、物事にはすべて理由があり、行動には意図がある
  人類にこれだけ親切にしてくれるその理由は何だろう?
  どんな意図があって、こういう行動をとるのだろう? と考えることもたいせつだ
  そして、一番たいせつなのは、そこに自分の願望を載せないことだ
  こうあって欲しい。と思う正反対の答え、
  いわば最悪の答えをそこに予想しておくのも必要なんだぞ

国友は、”善意を疑えってことですか?”とくってかかってますが、大は占領政策や布教活動、小は結婚サギに至るまで、目の前に見えている行動が心底善意の賜物かどうかはわかんないもの。ましてや何を考えてるかわかんない、思考パターンすら違っていそうな異星人のこと。これぐらいの気構えが必要かもしんないですなぁ

 ”宇宙軍士官学校”はけっこうノリが気にいっている作品。いま、一気読みの最中です


《脚注》
(*1)”幼年期の終り”に”百億の昼と千億の夜”に”エンダーのゲーム”にと
幼年期の終り(アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫)
 宇宙から飛来した異星人は圧倒的なテクノロジーにより地球を制圧した。”オーバーロード”と呼ばれる彼らはその姿を見せることなく人類を支配してから50年。はたして彼らの目的は何か? ファースト・コンタクトSFの最高峰。
百億の昼と千億の夜(光瀬龍 ハヤカワ文庫)
 ギリシアの哲人”プラトン”、釈迦国の王子”悉達多(シッタータ)”、”阿修羅”、ナザレの救世主”イエス”。遥か昔から未来まで、世界を外から支配する超越者と人類の存亡をかけた戦いが続く・・・神と終末をテーマにした日本SFの最高傑作。
 萩尾望都によるコミック化(秋田文庫)も傑作です
エンダーのゲーム(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。そして第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 ヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞したSFの名作
(*2)写真はたいちろ~さんの撮影
 何気に画像が粗いのは撮影したのが2004年5月、今でいうガラケーで撮影したモンだから。画素数は240×268=0.6メガピクセル。iPhone6だと8メガピクセルですんで、たった10年かそこらで130倍の高性能化したってことです。すごいなぁ
(*3)カプセルに入ってバーチャルリアリティで戦うという設定ですが
 ネットワーク経由でつながって戦うという意味では”新世紀エヴァンゲリオン”に出てくる”ダミープラグ”みたいなモンでしょうか?

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