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2015年2月8日 - 2015年2月14日

こういうときには”まっ!”と答えた方がいい?(宇宙軍士官学校 -前哨-/コックピット)

 ども、老後は社会人大学にでもいってみようかな~とか考えているおぢさん、たいちろ~です。
 最近は定年後にもう一度大学に入り直して勉強する高齢者ってのが増えているそうです。まあ、大学から見れば、少子高齢化で新しいマーケットの開拓って考えるとアリかなって気もしますし、社会人側から見ればまだまだ元気なうちに向学心に燃えて新たなチャレンジって思えば良いことではないかと。私みたく大学でほとんど勉強せんかったから反省してもっかい勉強するのもいいかな~と考えています。
 ただ、単なる勉強であればできそいうですが、これが”戦う学校”となれば話は別。ということで、今回ご紹介するのはそんな戦う人のための架空の学校”宇宙軍士官学校 -前哨-”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
上から2011年の横田基地の友好祭にて。”C-130輸送機(*1)”のコックピットとその天井部
下は宝塚の手塚治虫記念館で開催された”マクロス ザ ミュージアム(*2)”にて。”VF-1 バルキリー(*3)”のコックピットのレプリカです。
C1300663
C130
8165360

【本】宇宙軍士官学校 -前哨-(鷹見一幸、ハヤカワ文庫)
 21世紀初頭、地球人類は異星人から自らの科学力をはるかに超える技術の供与を受けた。そして15年の時が流れた。教導者(インストラクター)と呼ばれる異星人は地球に対し人類が銀河文明評議会に評価されるためとして、一つの要望をもちかける。それは人類の子供を教育して傭兵とすること。このプログラムに従って治安維持軍の有坂恵一は教官となるべくコロニー”アルケミス”に着任する・・・
 ”前哨”と書いて”スカウト”と読みます
【乗り物】コックピット(cockpit)
 飛行機や宇宙船などの操縦席のこと。
 写真で見るとおわかりのように、C-130輸送機はアナログ式のコックピットメーターがてんこ盛り、天井にはロータリー型(回すタイプ)やトグル型(上下にパチパチ切り替えるタイプ)が配置されています。輸送機なので火器管制システムがなくてもこの量です。
 方やバルキリー”グラスコックピット”と呼ばれる液晶ディスプレイに集約表示したタイプ。操作系もいたってシンプルです。これだけのシステムで戦闘機、ホバークラフト、人型ロボットの操作をこなすんですからたいしたもンです。


 ”宇宙軍士官学校”を読む気になったのは、ついこの前まで”エンダーのゲーム(*4)”を一気読みしてたから。同じバトルスクールモノだということで手を出して見たんですがずいぶん趣きが違いますね~~ 物語の世界観はどっちかっつーと”幼年期の終り(*5)”だし、有坂恵一たちのノリも士官学校というよりオタクな高校生っぽいし。まあ、リアルにドンパチやってるエンダーの世界と将来戦うかもしれないっていう切迫感の違いでしょうかね

 で、この手の”ファースト・コンタクト”モノで面白いのはそのベースにある価値観というか価値基準の違い。まあ、地球人類同士だって文化が違えばそんなのありますが。恵一の仲間であるスェーデン人の”ライラ”がドローン(ロボット)を友達のように扱うのを見て(*6)

  異星人とのカルチャーギャップより、
  日本人とのカルチャーギャップのほうが大きいような気がしてきたわ

と言ってますが、フレンチ・トーストにミルクに納豆を食べてるライラだって日本人から見れば変です・・

 まあ、価値基準っていうのは単なる知識の問題ではなく、何を重視してリアクションするかってコトです。恵一専用のドローンに名前を付けるときの会話

  恵一:ロボ、ってのはどう?
  ロボ:安直だね。でもいいよ、ケイイチがつけてくれた名前だから

     (中略)
  恵一:よろしく頼むよ、ロボ
  ロボ:わかった・・・
     こういうときには”まっ!”と答えた方がいい?

恵一は”どこから仕入れてくるんだ、そういうネタを!”って突っ込んでいますが、対するロボはデータベースを検索したら”ロボ”と呼ばれたキャラクターはそういう話し方をしているとの答え。恵一は”すごいデータベースだな”と感心してますが、確かにすごいデータベースです。
 まあ、今の日本人でもあまり知らないネタでしょうから補足しますとここで言ってる”ロボ”ってのは横山光輝原作のSFテレビドラマ”ジャイアントロボ”に登場する巨大ロボット”ジャイアントロボ”こと”GR-1”のこと。このロボットは操作者の草間大作の命令を了解すると”まっ!”っと答えます。今でもリメイクされている作品ですがオリジナルのTVシリーズが放映されたのは1967年ですからかれこれ半世紀近く前。リアルタイムで見てたのはおぢさん世代ってことです。
 まあ、異星人のデータベースがこんなことを蓄積しているってのも凄いですが、この場面でこの答えを”選択”できるってのが実はもっとすごいんではないかと。これってリアルな日本人でも(まあ、ご年配のオタクでなければ)ちょっと思いつかないネタでしょうなぁ・・・

 オタクなネタもそうですが、工学系にもこんなネタが。部屋に案内された恵一に部屋の操作を説明するロボですが、この操作系が音声または”トグルスイッチ”付きのプレート。この時の恵一とロボの会話

  恵一:ボタンじゃないんだ・・・
  ロボ:ボタンは地球人の文化。<教導者>はボタンを使わない
     今、動いているものが確認できるスイッチのほうが確実だから

今の日本人が作れば間違いなくタッチパネルのタブレットにしそうです。なんてアナログなと思われるかもしれませんが、実はこのコンセプトって今でもあるんですな。この代表例がどこのご家庭にもある”ブレーカー”。実は最近ネットワーク接続型の最新式エコタイプのブレーカーに切替があったんですが、この最新式でもトグルスイッチが採用されていてちょっとびっくり。まあ、ブレーカーが動作するってことは電源が切れているわけでどんな状況でも確実に動作し、状況が視認できるって意味ではトグルスイッチを採用することに意味はありそうです。
 かくほどさように、何をどう採用するかっていう”価値基準”ってのはこういう異星人=異文化と接するところで気づかされるモンなんでしょうかね。

 ”宇宙軍士官学校”は本人があとがきで”ジュヴナイルっぽい(*7)”って言ってますが確かに”大人のためのジュヴナイル”って感じがしますな。ってか、扱っているネタが大人のおぢさん向け。作者の鷹見一幸って私とほぼ同世代なんですが、まあ体験したアニメやSFモノが共通な分だけ笑いのツボが同じなんでしょうか。
 若い人もそうですが、けっこうおぢさん世代にも受けるSFかも。ご一読のほどを


《脚注》
(*1)C-130輸送機
 ロッキード社が製造し、アメリカや日本の自衛隊などで運用されている軍用輸送機。通称”ハーキュリーズ”。就航が1956年と第二次世界大戦直後でありながら、タイプを変えつついまだに使われているというスグレモノです。
(*2)マクロス ザ ミュージアム
 1982年に放映された ”超時空要塞マクロス”(タツノコプロ)の放送30周年記念に宝塚市の手塚治虫記念館で2013年に開催された企画展。上記のバルキリーの実物大コックピットや、変形プロセス、各種機体模型の展示とかけっこう楽しめました。
(*3)VF-1 バルキリー
 ”超時空要塞マクロス”などに登場する架空の戦闘機。地上から宇宙までをカバーし、”F-14 トムキャット”を彷彿とさせるファイター(戦闘機)、VTOL機能を備えたガウォーク、加えて人型ロボットのバトロイドに変形するというスグレモノです。
 写真は初代マクロスに登場するエースパイロット”一条輝”機の精巧なレプリカだそうです。
(*4)エンダーのゲーム(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。そして第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 ヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞したSFの名作
 詳しくはこちらをどうぞ
(*5)幼年期の終り(アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫)
 20世紀後半の地球、異星人の乗る宇宙船が世界中の上空に出現、異星人は自らの姿を見せぬまま人類を支配した。人類に与えられたオーバーテクノロジーにより人類社会は黄金時代を迎え、異星人のことを”オーバーロード”と呼んだ。はたしてオーバーロードの意図とは、そしてオーバーロードを超える”オーバーマインド”とは?
 クラークによるSF史に残る傑作。
(*6)ドローン(ロボット)を友達のように扱うのを見て
 ずいぶん昔ですが産業用ロボットに”百恵”だの”淳子”だの名前を付ける日本人は変っていうような記事を読んだことがあります。外国の人にとって人型機械を作るのって創造主への挑戦って捉え方らしいですが、日本人にはそういうタブー意識がないそうで。これはどうも手塚治虫の”鉄腕アトム”の影響だって説を聞いたことがありますが。
(*7)ジュヴナイルっぽい
 ジュヴナイル(ジュブナイル)ってのはティーンエイジャー(13~19歳ぐらい)を読者とする小説のこと。最近はあんまり使いませんが、まあライトノベルとほぼ同義ぐらいでしょうか。”大人のためのジュヴナイル”ってのも変な言い方ですが、まあ、30歳超えてもラノベ読んでる時代ですから、ご容赦ください

鑑識じゃ、ラジオシャックを爆弾ストアって呼んでるぐらいだよ(コフィン・ダンサー/ハルニレ)

 ども、棺桶に人生の片足突っ込んでるおぢさん、たいちろ~です。
 先日、ニュースを見てましたらアメリカの家電量販店で第2位の”ラジオシャック”が経営破綻(*1)(米連邦破産法十一条を申請)したそうです。
 ラジオシャックって行ったことないですが、店舗はコンビニほどの広さですが、昨年までは4,400店舗ほどあって専門知識の豊富な店員を集めてマニアには受けてたそうです。まあ、言ってみればパソコン黎明期にマニアのお兄ちゃんがやってたパソコンショップの大規模版みたいなモンだったんでしょうか?(*2) ネット通販の普及で行き詰ったんだとか。まあ、経営破綻ですから会社としては棺桶に片足つこんでる状態と言えましょうか。
 ところで、今読んでる本にたまたまこの”ラジオシャック”の名前が出てまして。ということで、今回ご紹介するのはその名前が出ててきた本、リンカーン・ライムシリーズの”コフィン・ダンサー”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。北海道大学のハルニレの道
北海道大学の関係者の皆さん、こんなネタで使ってすいません。

0154


【本】コフィン・ダンサー(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)
 武器密売人”フィリップ・ハンセン”の犯罪の証言者”エドワード・カーニー”が殺された。FBIの”フレッド・デルレイ”は科学捜査の専門家で四肢麻痺の”リンカーン・ライム”はフリーの殺し屋で棺の前で踊る男の刺青を持つ”コフィン・ダンサー”の捜査協力を依頼される。かつて部下を殺されたライムは美貌の警察官”アメリア・サックス”や科学捜査部員”メル・クーパー”と共に残された証拠物件からコフィン・ダンサーを追いつめようとする・・・
 ”ボーン・コレクター”に続く”リンカーン・ライムシリーズ”の2冊目
【花】ハルニレ(春楡)
 ニレ科の落葉高木。別名ニレ。
 かつて、アメリカの金持ちの(*3)はこれで作られていたそうです。ちなみに日本では桐、檜(ひのき)、樅(もみ)などです。
 ちなみにニレは英語では”エルム(elm)”。同じ殺人鬼ネタでも”エルム街の悪夢(*4)”とは関係なさそうです。


 リンカーン・ライムシリーズって、物的証拠に思いっしきこだわるってのがありますが、それがハンパじゃありません。それこそ形がはっきり残っている物体から、砂、埃や繊維くずといった微小な物質、指紋や足跡といった残留物までさまざま。これをもとに犯人の行動などを推理するってものです。で、この推理で”この物体はここにしかない”といったことを特定できるものと、あんまりにもたくさんあり過ぎて役に立たないものが出てきます。で、ラジオシャックのネタはこんな感じ。爆破に使われた遺留品に対して。

  ライム :どれもこれも既製品ばかりだよ、フレッド。爆薬と導爆線以外はね
       まあ、それもハンセンから手に入れたものばかりだろう
       ほかの部品は、どれも<ラジオ・シャック>に行けば買える
  サックス:ほんとなの?
  クーパー:ああ、ほんとうさ。
       鑑識課じゃ、あの店を爆弾ストアって呼んでるぐらいだよ

 日本で言えば、犯行に使われた凶器がザ・ダイソーで買った100円の包丁だったってとこでしょうか?(*5) 本書が書かれたのは1998年。推理小説家のディバーだって、まさか17年後にメジャーな小売店が経営破綻すると推理できなかったんでしょうなぁ

 でも、リンカーン・ライムって人はまあ、ちまちました証拠物件から殺し屋の行動を予測するもんです。前作の”ボーン・コレクター”では犯人が意図的に残した証拠物件から次の犯行現場を予測するって形でしたが、今回の”コフィン・ダンサー”は殺し屋が意図せずにこのした残留物から次の行動を予測して、かつ罠に嵌めようとするまさに頭脳戦、てか狐と狸のばかし合いというか。
 推理小説というか、サスペンス物としてはこっちのほうが面白いかな~~
 特に魅力的なのが、カーニーの妻で飛行機会社の社長にして天才的なパイロット”パーシー・クレイ”。部下であるサックスや戦友的な刑事のセリットーやFBIのフレッドと違って、ライムに正面切ってタメ張れるスーパー・キャリアウーマン
 体が動かないライムがコンピュータの操作が遅れたためにパーシーと同じ重要参考人が救えず、落ち込んでる時の会話

  パーシー:答えになっていないわ。どこが違う? どこが違うか言ってみてよ
  ライム :きみは歩くことができる。受話器を持ち上げることができる・・
  パーシー:歩くですって? いいこと、私は高度5万フィートにいるのよ
       ドアを開ければ、ものの数秒かで体中の血が沸騰する
       悪いけど、刑事さん、私とあなたの間は
       これっぽっちも違いがあるとは思えないわ
       私もあなたも、二十世紀の科学の産物よ
       そう、もし私に翼があったら、自力で空を飛ぶわ。でも、翼はないし
       永遠に生えてくることもない
       私たちは二人とも、生きているためには・・ ほかのものに頼るしかないの

 いや~、なかなかの啖呵です。容姿的には残念な人のパーシーですが、美貌のサックスが嫉妬するのもわかります。

 ストーリーはこれ以上ここには書きませんが、二転三転ととって面白い。前作ともどもぜひご一読のほどを

《脚注》
(*1)経営破綻
 2月5日にデラウェア州連邦破産裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請したとのこと。アメリカ企業の破綻だとカッコよく”チャプターイレブン”と言いましょう。
(*2)パソコンショップの大規模版みたいなモン~
 NECがやってた”ビット・イン”や、ジャンク屋っぽい小さなパソコンショップみたいなのがありましが、今どきのビジネスとしてはどうなんでしょうか?
 ちなみに”ラジオシャック(RadioShack)”のシャックは丸太(掘っ建て)小屋って意味だそうです。
(*3)棺
 英語で棺は”コフィン(coffin)”、”キャスケット(casket)”。日本のような長方形なのがキャスケット、ドラキュラが寝てるような肩の所が広がっているのが”コフィン”。文庫版の表紙はちゃんとこの形になってます。
(*4)エルム街の悪夢
 夢の中で鉄の爪で相手を引き裂く殺人鬼”フレディ・クルーガー”が登場するホラー映画。怖いので観てませんが、ポスター観るだけでも思いっし危なそうな殺人鬼です。
(*5)ザ・ダイソーで買った100円の包丁~
 ”ザ・ダイソー”は”大創産業”が運営する百均ショップのこと。公式HPによると国内2,800+海外840店と合計でラジオシャックより二回りほど少ない店舗数(2014年3月現在)
 ちなみに”ダイソー”で検索すると化学メーカーの”ダイソー株式会社(旧社名 大阪曹達株式会社)”になります、はい


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