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2015年12月27日 - 2016年1月2日

”文豪”の名前でビビらずに手を出してもぜんぜん大丈夫です(文豪ストレイドッグス/横浜の風景)

 ども、こんなブログを書いてますが実態は真面目なおぢさん、たいちろ~です。
 文学であれ、音楽であれそれを作っている人と作品が同じような感じである場合と、まったく違う場合ってのがあります。まあ、まったく同じだったら、推理小説家は全員殺人嗜好の持ち主だし、恋愛小説家はみんな夢見る乙女かドロドロの恋愛マニアってことになります。おぢさん世代で違ってる例の代表格といえばだ年末にはぐっとくる”中島みゆき”でしょうか?(*1) フォークソングの中に演歌的な情念の世界を、ぶっちゃけ暗い曲を作る人ですが、”中島みゆきのオールナイトニッポン(*2)”での喋りをリアルタイムで聞いてた世代としては”同じ人かい?!”と思っちゃうぐらい落差の激しい人です。
 まあ、作品と作家のイメージってのはそれが実像であれ虚像であれなにがしかあるもんです。じゃあ、そんなイメージだけでキャラクター設定して物語をつくったらどうなるか???
 ということで、今回ご紹介するのは文豪のイメージを持つキャラクターが縦横無尽に暴れまわる漫画”文豪ストレイドッグス”であります

写真はたいちろ~さんの撮影。舞台になっている横浜の風景

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【本】文豪ストレイドッグス(原作 朝霧カフカ、作画 春河35、角川書店)
 ”中島敦”は溺れかかっている”太宰治”を助けたことにより”武装探偵社”に就職することになる。そこは”異能者”と呼ばれる人間の集団。”中島敦”もまた”月下獣=虎に変身する”異能者だった。
 対立する”森?外”率いる”ポートマフィア”の”芥川龍之介”や”中原中也”との戦いは激化し、さらにはアメリカの異能者集団”ギルド”が参戦。戦いは三つ巴となる・・・
【旅行】横浜の風景
 エキゾチックでファッショナブルな街、横浜。横浜ランドマークタワーやパシフィコ横浜、インターコンチネンタルホテルなどの近代的なビル群と観光スポットにも恵まれ、”住みたい街ランキング 第1位”に輝くなど、前回書いた”埼玉”とは対極にある街(*3)です。
 ”文豪ストレイドッグス”第9巻は、異能者”メルヴィル”の生み出した”白鯨”を落下させることで横浜の街を壊滅さようとするギルドに対して、武装探偵社”中島敦”がポートマフィアの”芥川龍之介”とともにその陰謀を阻止するという話です。

 ”どこの誰かは知ってるけれど、誰もが作品読んでない♪”な文豪ですが、なまじ知名度が高いだけに、固定したイメージを持ってることが多いかと。おおまかに言うと

  根っから暗そうな人 : 芥川龍之介、太宰治
  おどろおどろな人  : 泉鏡花、江戸川乱歩
  真面目そうな人   : 宮沢賢治、福沢諭吉
  なんとなくスケベ? : 森鴎外、谷崎潤一郎

一方的なイメージなんで、ファンの方はご勘弁を。
まあ、たいがい本好きな私ですが、これらの文豪の作品をたくさん読んでるわけではないです。この手の文豪ってのは教科書に載ってるとか、試験に出るからという理由で知ってるだけで、まじめに作品を読んでた日にゃ時間がいくらあっても足らないですし(*4)。
 でもまあ、イメージが突っ走ってる文豪なんで、彼らをキャラクターにすりゃ面白そうなのは確か。実際にこの本ができたきっかけってのも

  文豪がイケメン化して能力バトルをしたら絵になるじゃないかと、編集と盛り上がったから
  (第一巻 後書 より)

 文豪をネタに遊んじゃおうみたいなノリでしょうか? ですんで本書に文芸の香りのするうんぬんとか、日本の近代文学の夜明けがかんぬんとかを期待しちゃダメです。

 本書に登場する文豪たちについていくつか

〔中島敦〕
 本編の主人公。孤児院で虐待された暗い過去を持つ少年。虎に変身する”月下獣”ってのは、”山月記”から。たしか教科書で読んだんだったかな~~ この作品をモチーフにした”変身忍者嵐(石ノ森章太郎、講談社他)”の第9話”虎落笛の遠い夏”ってのがありますが、実はそっちのほうが印象深かったりして。
 中島敦ってどっちかというと暗い系の印象ありますが、”よちよち文藝部(久世番子、文藝春秋)”によるとご本人はけっこうモテた人みたいです。

〔芥川龍之介〕
 ポートマフィアの構成員にして冷酷非情な中島敦のライバル。外套を”黒獣”という攻撃手段に変える”羅生門”の異能の持ち主。教科書なんかで良く見る写真に”将来に対する唯ぼんやりした不安”という理由で自殺したこともあって”暗い人ランキング”の上位の人ですが、本書ではいたって攻撃的。でも、太宰治に認められることが行動原理というボーイズ・ラブ系の人には美味しそうなキャラ設定になってます

〔太宰治〕
 青森のフォースのダークサイドを背負って立つような”暗い人ランキング”上位の人。自殺マニアという点は本書でも引き継がれています。武装探偵社でもトップクラスの戦闘力になかなか策士な部分も持っている影の主人公。中原中也との掛け合い漫才が秀逸。きっと”攻め”の人なんだろうな~~

〔中原中也〕
 本書ではポートマフィアトップクラスの戦闘力を持にながら、太宰治のいじられキャラという残念な人になってます。本人の代表作は”汚れっちまった悲しみに”。詩集ではなく、中村雅俊の歌で知りました。すいません。

〔泉鏡花〕
 剣の達人の女性の幻影を使役する”夜叉白雪”の異能者。がんばれ、鏡花ちゃん!と応援したくなるような薄幸の美少女ですが実物は男の人です。本人何作か読みましたが、一種独特の美意識とおどろおろどしさは秀逸です。

〔与謝野晶子〕
 ボブカットが良く似合う武装探偵社の美女。”君死給勿(きみしにたもうことなかれ)”というヒーリング系魔法を使う異能者。ただ瀕死の重傷にしか効かないので普通のケガでも半殺しの目にあわせるという物騒なお方
 代表作の”みだれ髪”には俵万智による”チョコレート語訳 みだれ髪”ってのもありますので、読みやすいほうがよければそちらもどうぞ

〔森鴎外〕
 本人は軍医総監(中将相当)といういかめしい経歴の持ち主。本書では元医師のポートマフィア首領ですが、今のところは単なるロリコン親父です。

〔モンゴメリ〕
 児童文学の最高峰”赤毛のアンシリーズ”の作者。でも本書では原作と扱いがもっとギャップの激しい人でしょうか。ノリがほとんど”まどか☆マギカ”だもんで・・(*5)
 どうも、”文豪”には明るいキャラってあわないんでしょうか?

〔ラヴクラフト〕
 本人は”クトゥルフ神話”というモダンホラーの創始者。ご本人の写真を見てもなんだか不気味だなぁ(ファンの方すいません)。
 本書では不死身の肉体の持ち主がならなんだかわからない人の代表。太宰治からは”あれは異能じゃないんだ”と言われ、仲間からも”結局彼は何者なんだろうか?”と突っ込まれる異形の人。
 この人が”君はどうするの?”と聞かれて、海の中に去っていく時の一言”・・・寝る”のモトネタはたぶんこれ

  ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん(*6)

 まあ、いずれ劣らぬユニークなキャラクターぞろい。ここに書き切れないキャラも多数登場しています。オリジナルの文豪をそんなに知らなくても(私だってそんなに知ってるワケじゃないですし)、充分楽しめる作品。”文豪”の名前でビビらずに手を出してもぜんぜん大丈夫です。

《脚注》
(*1)年末にはぐっとくる”中島みゆき”~
 サントリー”BOSS"のCM”ヘッドライト・テールライト篇”より。見てみたい人はこちらをどうぞ
(*2)中島みゆきのオールナイトニッポン
 1979~87年まで放送されたニッポン放送の深夜番組。ちょうど受験のころと重なってたんでよく聴きましたな~~ これがまた面白いのなんのって。おかげで勉強ぜんぜんできませんでしたが。
(*3)”埼玉”とは対極にある街
 ”翔んで埼玉(魔夜峰央、宝島社)”のネタ。詳しくは”埼玉ディスは歴史の産物か?、はたまた人間の業なのか?”をご参照ください。
(*4)時間がいくらあっても足らないですし
 森鴎外全集(岩波書店)全38巻、江戸川乱歩全集(光文社)全30巻、谷崎潤一郎全集(中央公論) 全26巻、芥川龍之介全集(岩波書店)全24巻、宮沢賢治全集(筑摩書房)全19巻、太宰治全集(筑摩書房)全13巻 てな感じ。
 まあ、代表作だけでも読んどきたいモンです。
(*5)ノリがほとんど”まどか☆マギカ”だもんで・・
 ”魔法少女まどか☆マギカ(監督 新房昭之、アニプレックス)”のこと。彼女の異能”深淵の赤毛のアン”での鬼ごっこって”まどか☆マギカ”の一種異様な魔女空間での戦いを彷彿とさせます。
(*6)ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう~
  死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり
という意味。知っててもなんの役にも立たない知識ですが。

埼玉ディスは歴史の産物か?、はたまた人間の業なのか?(翔んで埼玉/さいたまスーパーアリーナ)

 ども、神奈川県民ではなく横浜市民(*1)のおぢさん、たいちろ~です。
 以前”銀行代理店法改正に伴う新ビジネスの企画”ってのをやったことがあります(これはホントウ)。銀行代理店法の改正というのは、従来銀行の100%子会社にしか認められていなかった預金等の受け入れや、貸付、為替等の業務を一定の条件を満たせば一般企業にも認めるというもの(*2)。で、”東京都内で店舗網が薄い横浜銀行が、都内の流通小売業を銀行代理店として活用すれば利便性が上がって取引が増えるのではないか?”てな仮説を立てたわけです(*3)。じゃあどれぐらいの人数が近郊県から東京に通勤・通学で移動するかというと、東京都のHPによると

        東京都      内区部
  神奈川県 104.9万人  90.5万人
  千葉県   73.3万人  72.3万人
  埼玉県   94.9万人  86.0万人

   ※15歳以上通勤者及び通学者。2010年度国勢調査より

つまり、千葉市(96.8万人)や北九州市(95.7万人)に匹敵する人口の千葉県民が東京都に通っているわけです。そこで問題になるのはこんだけの都内に来る埼玉県民をディスてていいのか?!
 ということで、今回ご紹介するのは突然話題になった埼玉ディスマンガ”翔んで埼玉”であります

写真はたいちろ~さんの撮影。さいたまスーパーアリーナです。

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【本】翔んで埼玉(魔夜峰央、宝島社)
 都内の名門校白鵬堂学院に転校してきたアメリカ帰りの”麗・麻美”。宝塚男役を思わせる麗人にしてスポーツ万能、成績優秀、お金持ち。それまで学園のトップだった生徒会長の白鵬堂百美(男)は最初は彼につっかかっていたものの麗からキスされることで態度が一変、恋人になるため猛アタック。だが麗には”埼玉県民”という秘密があった・・
【旅行】さいたまスーパーアリーナ
 埼玉県中央区新都心(!)にある多目的ホール。座席やステージが移動可能で最大36,500席の収容を誇る。2000年にオープンした近代建築。この手のもちょっとは出しとかないと埼玉県民に申し訳なくて・・・

 まあ、あらすじは上記のとおりで、このあと麗・麻美が埼玉県民の解放に立ちあがるってなもんですが、内容はというと、朝日新聞の記事によれば

  「翔んで埼玉」は東京都民が全てを支配し、埼玉県民を見下すという設定
  東京に行くには手形が必要で、埼玉県民は病院にもかかれない
  そんな迫害や誤解を主人公が少しずつ解いていくのだが、
   「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
   「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」
  などのせりふが並ぶ

   (2015年12月28日 夕刊に掲載)

 しかし、大朝日新聞がよくネタにしたな~~ 他にも

  「特徴がないのが特徴」と言われる埼玉県の県民性
  埼玉は都道府県の魅力度ランキングで下位に低迷
  東京に通勤・通学する人が多く、郷土愛が薄いとも言われる
  東京への県民のねじれた思いを突いた魔夜さんは~

とこの記事を書いた記者の人もどさくさ紛れにけっこう言いたい放題

 ところで、この本昔読んだことあります。当時は収録されていた”やおい君の日常的でない生活” (ジェッツコミックス)が本の名前。発刊が1986年なので読んだのもたぶんこのころだと思います。読んだ当時は”埼玉県民をよくこんだけむちゃくちゃ書くな~”ってのと”埼玉県から引っ越したので、連載中止。他県から悪口書くと本当に悪意があるととらえれれかねないから”という潔さがみょ~に印象に残ってます。

 歴史的に見ると本作の初出は1982年の”花とゆめ”(少女マンガ誌ですよ、おい!)。さいたまスーパーアリーナはまだ計画もなく、所沢球場(*4)はまだドーム化する前の話。今や世界的な知名度を誇る”春日部”ですがきっかけとなった”クレヨンしんちゃん”の連載開始は1990年、テレビアニメ放映開始が1992年。鷲宮神社をして県内有数の初詣神社に押し上げ、”萌えおこし”なる地域活性化のモデルとなった”らき☆すた”はさらに下って2004年。交通でいうと東日本の大動脈、東北新幹線の東京~大宮間の開通が1991年(*5)。どうも埼玉の近代化ってのは1990年代以降って感じでしょうか?

 そもそも当時の埼玉のイメージは”ダサイ”の一言に集約されそうです。語源には諸説あるようですが、個人的には”東京都民が埼玉県民を「だって埼玉だから」と蔑視した言葉が簡略化されて「ダサい」になった”とする説。1980年代にタモリが埼玉県民を嘲笑する意味で「ダサい」と「埼玉」を掛け合わせた「ダ埼玉」という造語を生み出して流行させたとのことですので(wikipediaより)、本書の書かれた時代にジャストミートです。まあ、本気で嘲笑してたかどうかはわかりませんが、昔の埼玉って東京とちょっと違う感はあったかな~ ずいぶん前ですが、東京で女子高生のスカートが短くなりはじめたころに”大宮”に仕事で行ったことがありましたが、そこでの女子高生って思わず”あんたら、ウランちゃんか!(*6)”と突っ込みたくなる状況。東京の女子高生ファッションを取り入れているのはわかりますが、

  

これはファッションの方言周圏論?(*7)

とかか思っちゃいました。なんだかファッションが拡大解釈された形で周辺に伝播してるみたいで・・

 どうも当時の埼玉ディスの背景ってのは、”東京近郊にある=田舎じゃない”というプライドと共に、”東京=文化の中心”に引きずられつつイマイチ同質化できない近代化の遅れという歴史的なバックボーンなんでしょうかねぇ いや、そんなに偉そうなもんじゃないか・・

 実は本書でもっとディスられている県があります。それが”茨城”。埼玉県民をして

  とんでもね~! あんな田舎もん共と
  おらたち誇り高い埼玉県民を一緒にしてほしくねーだ!

と言われ、埼玉県民に牛馬のごとくこき使われる出稼ぎの茨城県民

  茨城!? 茨城というと埼玉のさらに奥地にあるといわれるあの日本の僻地!?

  茨城では納豆した産出しないのです!

 まあ、こちらもたいしたディスられ方ですが、興味深いのは

  

東京都民 >>> 埼玉県民 >>> 茨城県民

といったヒエラルキーが存在してるんですな。つまり東京都民が埼玉県民にしている仕打ちを立場を変えて埼玉県民が茨城県民にしていると。こうやって見るとディスるってのは人間の業みたいなもんじゃないかと思っちゃいます。

 ここまで書いてていうのはなんですが、ディスるネタをギャグとして笑えるのはある意味健全な証ともいえるんではないかと。なぜなら、いじめの問題がドラマにはなってもギャクにはならないし、ヘイトスピーチが決して笑いごとではすまないように、ディスるという行為が笑いになるのはある意味”お約束”が虚像であるという共通認識が成り立ってるからこそ。”翔んで埼玉”がここに来て突然ブレイクしているのは、かつてダサイと言われた”埼玉県民”が、今ではそれから完全に脱却して”埼玉の虚構性”を笑って済ませられるだけの余裕を持てたってことじゃないかな~~
 ということで、このブログも笑ってすませるだけの余裕を持って読んでください決してマジにとって炎上などさせないように。

 本書にも一応”この作品はフィクションであり、実在する人物・団体・地名とは一切関係ありません。本書の掲載内容は執筆された時代背景を考慮し、発表当時のままとなっております(*8)”という断り書きがかいてありますが、この言葉がこんなに嘘クセ~~本もまれです、はい。

《脚注》
(*1)神奈川県民ではなく横浜市民
 最近新聞に載ってたんですが、横浜市民って神奈川県民とは答えないんだそうで。
 はまれぽ.comの調査によると、横浜出身者66名中”神奈川県民”ではなく”横浜出身”と答えた人は約88%だったそうです。
(*2)一定の条件を満たせば
 まあ、この”一定の条件”のハードルが高すぎてあんまし広がりませんでしたが・・
(*3)東京都内で店舗網が薄い横浜銀行が~
 2015年9月に横浜銀行が東京都を地盤とする東日本銀行と経営統合し、コンコルディア・フィナンシャルグループを設立することを発表しました。営業エリアを補完するという点では仮説自体はあながち間違っていたわけではなさそうです。
(*4)所沢球場
 西武プリンスドームのこと。開業は1979年ですがドームができたのは1999年。いしいひさいちの映画”がんばれタブチくん”(1979年公開)で移籍したタブチくんが野球してますが、ずいぶん田舎扱いされてた気がします。まあその前が甲子園球場からだからな~~
(*5)東北新幹線の東京~大宮間の開通が1991年
 大宮~盛岡間の開業が1982年、上野~大宮間が1985年、東京駅から大宮まで新幹線で行けるようになったのは本線開通から9年後のことです。
(*6)あんたら、ウランちゃんか!
 手塚治虫の”鉄腕アトム”の妹、超ミニスカートのウランちゃん。正直、品行方正なおぢさんとしては、目のやり場にこまったモンです。
(*7)これはファッションの方言周圏論?
 ”方言周圏論”というのは、民俗学の泰斗”柳田國男”が提唱した説で方言は文化的中心地から変質しつつ同心円状に周辺に伝播していくというもの。かつて百田尚樹がスタッフとして参加していた”探偵ナイトスクープ(朝日放送)”という番組で作成した”アホ・バカ分布図”が有名。ご興味がある方は”全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路(松本修、新潮文庫)”でどうぞ
(*8)この作品はフィクションであり~
 手塚治虫のマンガには”ご利用の皆様へ”と題して手塚プロダクション名で同様な内容の奥付があります。こっちはマジで書いてあるな~と思うのは作品の内容の違いでしょうかね。

宇宙艦隊における出世する人の資質とは?(宇宙軍士官学校 -前哨-/銀河英雄伝説/海上自衛隊の制服)

 ども、結局あんまし出世しなかった~~なおぢさん、たいちろ~です。
 まあ、同期入社の年だと執行役員なるやつもいれば平社員の人もいるわけで、”なんでお前が偉なってんねん?! 裏で悪いことやったんやろ!”みたいなのはギャグでツッコむ分にはシャレで済みますが(たぶん)、マジで言ったら喧嘩になります。まあ、偉くなった人にはそれなりに運と実力があるわけですが(”タイミングにC調に無責任”という説もありますが(*1))、まあどんな組織でも出世する人もいればしない人もいるわけです。
 ということで、今回ご紹介するのは宇宙艦隊における出世の話題が載ってます”宇宙軍士官学校 -前哨-”と、もういっちょ”銀河英雄伝説”であります

写真はたいちろ~さんの撮影
2015年度観艦式の”掃海母艦ぶんご”の船上で行われたファッションショーにて
(プライバシーでなんかあると困るので、お顔は消してます)

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【本】宇宙軍士官学校 -前哨-(鷹見一幸、ハヤカワ文庫)
 地球人類の生き残りを賭けて粛清者との戦いを繰り広げる銀河文明評議会の地球軍独立艦隊。有坂恵一は途上星系独立艦隊を指揮する少将として太陽系に帰還するが、そこはすでに粛清者の波状攻撃にさらされていた・・・(9巻より)
【本】銀河英雄伝説(田中芳樹 創元SF文庫他)
 宇宙暦797年、帝国歴488年、宇宙は専制政治の銀河帝国と民主主義の自由惑星同盟に分かれ、150年の長きにわたって戦いを続けてきた。そして時代は二人の英雄を生み出す。銀河帝国の”常勝 ラインハルト”と自由惑星同盟の”不敗の魔術師 ヤン・ウェンリー”である・・・ 田中芳樹によるスペースオペラの最高傑作。
【ファッション】海上自衛隊の制服
 観艦式でのイベントの一つで海上自衛隊制服のファッションショーってのがありました。この時に登場した制服のひとつ。袖の階級章が三本筋なので2等海佐だと思われます。人様の組織で役職の名前がどれぐらい偉いのかってわかりにくいんですが”2等海佐”というのは一般的には”中佐”、おおむね艦長(大型艦なら副長)クラスのようです。

 宇宙艦隊なんつーのはSF、つまりフィクションなのでどれぐらい偉いかなんてのはよくわかりませんが、おおむね指揮する艦艇数や部下の数と比例するとするなら、今回登場いただく2名だとこんな感じ

〔有坂恵一〕
 銀河文明評議会所属の地球軍独立艦隊及び途上星系独立艦隊の指揮官。階級は少将(9巻時点)。年齢は20代前半。地球軍独立艦隊の艦艇数が約600隻で途上星系独立艦隊が4艦隊なのでだいたい2,400ぐらいでしょうか。各艦艇はオーバーテクノロジーのおかでげ地球軍独立艦隊の人数は1,000人がとこでしょうが、教官クラスが佐官、練習生が全員少尉になったとの記載があるので階級を考えるとそうとう偉い人です

〔ヤン・ウェンリー〕
 自由惑星同盟所属。イゼルローン要塞司令官 兼 駐留艦隊司令官。最終階級は元帥。年齢は30代前半。wikipediaによると”ヤンが戦場で指揮した艦艇は最大でも3万隻に及ばず”とのこと。一個艦隊がおよそ1万~1.5万隻、将兵が100万~200万人との記載があるのでおおむね200~400万人の部下がいたことになります。これは横浜市の人口(約369万人)の人口にほぼ匹敵する数になります。

 現実の艦艇数がどれぐらいかというと海上自衛隊の艦艇数が137隻(*2)(2015年3月現在)。これだってハンパないお金がかかってんでしょうから、いかに好き勝手書けるSFとはいえ、GDPの何%軍事費にかけとんのやと突っ込みたくなります

 話は戻って出世の話ですが、この二人に共通するのは、本来歴史の表舞台に立つような立場じゃなかったのに、若くして武勲をたてて出世してるんですが、本人はあんまし出世とか考えてないこと。有坂恵一はあんまし出世欲なさそうだし、ヤン・ウェンリーに至っては、とっとと引退して年金暮らしにあこがれるぐらいだし。まあ、並はずれた実力の持ち主ではありますが、環境とタイミングに恵まれていたのも確か。これに関して有坂恵一に対するまわりの人の評価と組織論が面白い。地球連邦軍の成田少将の話から

  アリサカの言っていることは、正しい。だが正しいからといって人や組織は動かない
  なぜか? 彼は自分の所属する組織の面子を守らないからだ。
  そういう人間に組織は見方しないだろうね

  世の中のほとんどは、愚かで怠惰で、正しさよりも自分の面子が大事な人間だ。

  たぶん、この戦いが終わったあと、生き残っていても軍の重鎮や政治家にはなれんな
  彼は周囲に自分と同じレベルの人間がいないと、真価を発揮しないだろう

  優秀でない、たがいに足を引っ張るような人間をあいつの周りに集めてみろ。
  彼は、たちまち平凡以下の人間になる。
  なぜなら彼は、そういう愚かな同僚や部下を、
  どうだまして脅してたぶらかせばいいかなど、考えもつかんのだ。
  人間としては立派だが、組織のリーダーにはなれない

  地位への野心や、他人への嫉妬があまりないことは美徳でもあるが、
  そういうものに執着心がないのは組織のリーダーとしては失格だ。
  簡単に引きずり下されてしまうし、彼を失った組織はたちまち瓦解する

 このへんの話はヤン・ウェンリーもいっしょで、ヨブ・トリューニヒト最高評議会議長に反抗的だし、イゼルローン要塞では大変敬愛されていながら、本国の政治家や軍司令クラスにはいたって受けが悪いしと。

 まあ、組織で出世することと人格が品行方正であることは別の話なんでしょうが、ずいぶんの言い方だな~と まっ、この辺の話にはSFも現実もなさそうですけどね

 ”宇宙軍士官学校 -前哨-”は2915年12月現在で9巻、”銀河英雄伝説”は本編10巻、外伝5巻とけっこうなボリュームがありますが、両方とも一押しの小説。年末年始でお時間あるときにまとめ読みお勧めです

《脚注》
(*1)”タイミングにC調に無責任”という説もありますが
  人生で大事な事は タイミングにC調に無責任
  とかくこの世は無責任 こつこつやる奴はごくろうさん

”無責任一代男”(歌 植木等、作詞 青島幸男、作曲 萩原 哲晶)より
 昭和の名曲です。聴かれたい方はこちらをどうぞ
(*2)海上自衛隊の艦艇数が137隻
 主なとこれでは、護衛艦47隻、潜水艦16隻、掃海母艦3隻あたり。1番艦”いずも”が1,208億円、潜水艦の最新型が1隻643億円ぐらいするらしいので、ハードウェアだけでも相当なお金がかかってんでしょうね

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