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2015年1月4日 - 2015年1月10日

良い経営者ってのはスキルではなくて、センスの問題のようです(戦略の教室/経営センスの論理/フクシア)  

 ども、会社で戦略策定をやってるおぢさん、たいちろ~です。
 こうやって書くとなんだか難しそうなことやってるな~と思われるかもしれませんが、実は大したこたやってません。だいたい戦略なんてのは中長期的な視点で立てるモンなので(*1)、毎年コロコロ変わるもんじゃないですし、トップが変わっても前任者の方針をちゃぶ台返しすることもほとんどないのでせいぜい右斜め45度変わる程度でしょうか
 むしろムチャ振りな戦略を立てると”戦術”に落ちないってことのほうが難しいかと・・
 ということで、今回ご紹介するのはたまたま続けて読んだ戦略の本”戦略の教室”&”経営センスの論理”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけたフクシアです

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【本】戦略の教室(鈴木博毅、ダイヤモンド)
 孫子やナポレオン、ドラッカーからポーターまで、古今東西の戦略論の名著のエッセンスをそれぞれ10ページ程度にまとめた本。”リーダーシップ”、”目標達成”、”マネジメント”、イノベーション”とか蘊蓄大好きなおぢさん好みのキーワードがてんこもり。サブタイトルが”古代から現代まで2時間で学ぶ”とあるように、わりとサラっと読めます。私は2時間では終わりませんでしたが。
【本】経営センスの論理(楠木建、新潮新書)
 ”会社をよくするのに必要なのは、「スキル」よりも「センス」である”。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)の教授による戦略論というより世間での戦略の考え方にダメ出ししまくった本。ビジネス書というにはあまりにぶっちゃけな内容で笑えます
【花】フクシア
 アカバナ科の低木。花弁の中に花弁があり、その真ん中におしべがつき出ているというオダマキ(*2)のような赤い花が咲きます。プリンタのインクで赤い色を”マゼンダ”と言いますが、これはフクシアの名前にちなんで名づけられた”フクシン”のことだそうです。
 フクシアの花言葉は”信じた愛、恋の予感”のほかに、”センスの良さ”も。


 まず1冊目”戦略の教室”から。
 最近の戦略で流行りのキーワードといえば”イノベーション(innovation)”でしょうか。なんとなく”新しい切り口でのビジネス創造”、”革新”みたく使われてます。本書では世界で初めてイノベーション理論を提唱したシュンペーター”新結合”、つまり物や力の結合の変更で創造できるってのを紹介してます。まあ、今だったらクリステンセンの”イノベーションのジレンマ”(翔泳社)のほうがメジャーでしょうか? この章ではハードディスクの大型大容量型と小型小容量の比較の例を引いて

  持続的技術(評価基準が同じ変化) ⇒ 同じ大きさで容量を上げる
  破壊的技術(評価基準が違う変化) ⇒ 容量を少なくしても小さくする

の違いから、ミニコン(死語)向けコンパクトなニーズに対応した下位メーカーが大企業に勝利したうんぬんの話を書いてます。確かにな~ 私が会社に入った1980年代の中ごろって、ホストポンピューターのハードディスクって大型冷蔵庫並みの大きさで2.5ギガバイト(テラバイトではない!)。1テラバイトなんか用意しようとするとバスケットコート並みの面積が必要。それが今ではノートPCに平気で入っちゃうんだから・・
 このようなジレンマに対応するために

  ①違う基準で評価される新技術に目を向ける
  ②新しい市場へ投入する
  ③既存客に縛られない組織を意図的につくる

ことが”イノベーションのジレンマ”に書いてあるそうですが、それが簡単にできりゃ苦労はしません、てか、このレベルの戦略を立てるんだったらよっぽどぶっとんでるトップじゃなきゃ決断できないのかも

 反対に意外とありそうで出てこないのが”孫子”。”兵は詭道(きどう)なり”なんかはその最右翼。

  戦術の要諦は、敵をあざむくことである
   (中略)
  敵の弱みにつけこみ、敵の意表を衝く これが戦術の要諦である

まあ、トップの訓示でこれだとかなり意表を突かれるでしょうが、ぶっちゃけで受けそうな気もせんでも・・・

 本書の”戦略”に対する認識ってのは”戦略は公式”って考え方です

  古代兵法家の孫子は「兵力が多いほうが勝つ」「兵に死力を尽くさせたほうが勝つ」と
  述べましたが、これは戦場の現象であって、孫子がルールを決めたわけではありません
  この世界の現象を、概念として活用できる形にしたものが戦略なのです

    (本書より)

 となると、問題を解くのにどの公式を選べば良いかってのが問題になります(*4)。数学の問題を解くのにどの公式を使えばいいかっていうのと同じです。この選択の良しあしになってくるとまさに”センス”の良しあしって要素がでてきます。そのへんの話が二冊目の”経営センスの論理”。スキル(戦略を知っている)とセンス(戦略をどう使うか)をごっちゃにするといけないとの主張です。たとえ話で、モテようと思って雑誌とかでスキルっぽい知識をしこたまためこんでも返ってモテなくなるだけ、必要なものの大半はセンスって言ってますが、そんなもんなんでしょうね。非モテの私が言っても説得力ないですが・・・

  スキルをいくら鍛えても、優れた経営者を育てることはできない
  スーパー担当者になるだけだ

   (中略)
  センスは他者が「育てる」ものではない。
  当事者がセンスのある人に「育つ」しかない
  センスは他動詞ではなく、自動詞だ

 そのために、経営者はセンスのある人を見つけて、その人にビジネスを任せるような環境を与えよって言ってます。私は会社で企画関連の部署にいるんですが、頭の良い人はけっこういてもセンスのある人って限られてるんですよね。ちゃんと資料とかまとめてくるんですが(スキルの問題)

  その話(ビジネス)って筋いいんだっけ?

って聞くことあります。この”筋が良いかどうか”の見極めって、まさに”センス”の問題じゃないのかなぁ

 まあ、私だってセンスどころかスキルだってあるわきゃないですが、後身の人達はこの手の本でも読んで両方ある人に育って欲しいものです。目指せフクシア。あんましオダマキにはならないようにね


《脚注》
(*1)だいたい戦略なんてのは中長期的な視点で立てるモンなので
 おさらいしておきますと、”戦略(Strategy)”は”特定の目標を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・科学”のことです。これに対し”戦術(Tactics)”というのは”作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術”のことです(wikipediaより) 平たく言うと、どのようなマーケットで商売をやってどのような利益を考えてくかを決めるのが”戦略”、そのマーケットでどうやって勝つかを考えるのが”戦術”ぐらいでしょうか? 
(*2)オダマキ
 オダマキ(苧環)は機織りの際にカラムシ(苧)や麻の糸をまいたもののことで、花の形が似てるからこの名前がついたんだとか。
 ちなみにこちらの花言葉は”愚か者”

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(*3)シュンペーター
、オーストリア・ハンガリー帝国の経済学者。この人の言ってる一般均衡って”イノベーションしないと均衡=沈滞に陥る”ってことで、最初に聞いた時には”何もしないと滅びるぞ”みたいで暗いイメージ持っちゃいました。
(*4)問題を解くのにどの公式を選べば良いか~
 時々、”必勝の方程式”なんて題名の本がありますが、胡散臭いな~~
 本書の中でフランス革命を勝利に導いたナポレオンの戦略の話が出てきますが、その次の章ではその戦略を分析して状況をひっくり返したクラウゼヴィッツ(”戦争論”の著者)の話が出てきますし

重い本を持って毎日通勤したので背骨に歪みが出ています(ボーン・コレクター/“下山手ドレス”2nd/骨)

 ども、骨太な人生を生きてるおぢさん、たいちろ~です。
 小学校の時ですが、学校内の用水路の水を抜いたことがありました。そうするとなんと泥の中から牛だか馬だかの頭蓋骨が出現!(*1) その時の第一印象が”骨って白くてきれいなんだ・・”。まあ、いきなりこんなもん出てきたときの第一印象がこれか?! と思われるかもしれませんが、まあ、そう思ったからしょうがないじゃないですか! まあ骨を愛でる趣味(かな)ってのはあるようで、織田信長が髑髏で盃を作ったとか(そういいや”光圀伝(冲方丁、角川書店)”でも同じようなネタやってたなぁ)、”あなたの骨格は美しい”とかほめる変態さんがあったりとか。
 ということで、今回ご紹介するのはコレクションするって人が題名になった本”ボーン・コレクター”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。雲取山三条の湯にあった鹿の頭骨です

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【本】ボーン・コレクター(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)
 ケネディ国際空港からタクシーに乗った男女がえた。やがて男は生き埋めにされた遺体が発見される。ニューヨーク市警は引退した科学捜査の専門家リンカーン・ライムに協力を要請、女性巡査アメリア・サックスとともに連続殺人犯人を追う。四肢麻痺でベッドから動けないライムに変わって、サックスは現場の証拠集めに奔走する。
 1999年にネロ・ウルフ賞、週刊文春ミステリーベスト10第1位を受賞したミステリーの傑作。
【本】西村しのぶの神戸・元町“下山手ドレス”2nd(西村しのぶ、角川書店)
 ”サード・ガール”、”一緒に遭難したいひと”、”ライン”など、神戸を舞台にしたお嬢さんたちを主人公にした漫画の作家”西村しのぶ”によるコミックエッセイ。日常的なことを神戸のマダム視線でおしゃれにまとめた本。お勧めです。
【自然】
 脊椎動物において骨格を構成するリン酸カルシウムを多分に含んだ硬い組織(wikipediaより)。料理をするとわかりますが、骨付き肉を煮ると肉がはがれて綺麗な骨だけになります。まあ、人間でやったことはないけど・・・


 さて、この小説って、最初の紹介文だけ読んでると主人公の”リンカーン・ライム”って”四肢麻痺”、首から上と左の薬指しか動かないというまさに究極のアームチェア・ディテクティブ(*2)。で、この人がなぜニューヨーク市警に調査依頼をされたかというと、元ニューヨーク市警中央科学検査部長という科学捜査官にして”世界一の犯罪学者”の異名を奉られるというすごい人。日本でいうなら”科捜研の女(*3)”の上司筋といったらいいでしょうか。こんだけ優秀にもかかわらず、この人”自殺願望”の持ち主なんですな。自殺願望を相棒の女性巡査”アメリア・サックス”がいかに止めるか、とか犯人の犯罪の目的がこの自殺願望にからんでるとかの伏線になってます。

 アームチェア・ディテクティブということは、当然現場を走り回る人がいるわけで、それが女性巡査”アメリア・サックス”。本来は広報課に異動する予定だったのが、第一の殺人現場にたまたま居合わせたことからリンカーン・ライムに見こまれてパシリにされる巻き込まれ型の相棒です。警察官になる前はモデルだったとのこと。映画版ではアンジェリーナ・ジョリーが演じてるんだからさぞ別嬪さんなんでしょう、まだ観てないけど。

 ということで、アームチェア・ディテクティブ&科捜研モノとして読みだしたンですが、読んだ感じは倒叙タイプ。最初に犯行現場の記載があって、その犯人を刑事・探偵がどうやって追い詰めていくかを楽しむタイプの小説。おぢさん世代には”刑事コロンボ(*4)”なんかが代表例。ただ、刑事コロンボと違うのが、コロンボは犯人をいろいろ話をしながら追い詰めいて行くのに対し、リンカーン・ライムが扱うのは”証拠品”のみ。しかも、”動機(ホワイダニット)”とか”手段(ハウダニット)”とか一切関係なし。”誰が(フーダニット)”すら希薄なんですな。というか、”残された証拠から次の犯行を推理し、未然に防ぐ”ことに重点になってるというゲーム性が中心というか。まあ、推理小説としての骨格が違うんですな。でもとっても面白かったです。

 さて、何でこの本を読みだしたかというと、お気に入り漫画家の”西村しのぶ”のコミックエッセイに”リンカーン・ライムのシリーズが面白い”(*5)ってのがありまして。で、彼女の悩みはこれらの本(1冊平均650g)を持ち歩いたために四十肩が悪化したとか。私の場合は重い本を持って毎日通勤したので背骨に歪みが出ています(これは本当)。まあ、あと何年かたって、どんどん書籍が電子化されるとこの手の話題も無くなるんでしょうか?(*6)

 ”ボーン・コレクター”は”科学捜査を利用して犯人を追い詰める”という意味では21世紀的な推理小説と言えるでしょうか? すんごく面白かったので続きを読む予定。もっとも単行本は重いので、文庫版ですけどね


《脚注》
(*1)牛だか馬だかの頭蓋骨が出現!
 丸くはないので人間でなし、犬にしては小さすぎるしということで細長い頭骨からまあ、牛か馬ではないかと。それにしても、頭骨だけ出てくるのは謎なんですが・・
(*2)アームチェア・ディテクティブ
 日本語だと”安楽椅子探偵”。現場に行かず記者や刑事から話を聞くだけで犯人を推理するというジャンルです。バロネス・オルツィの”隅の老人”なんかが有名。
 このバリエーションでは”車椅子探偵”ってのもあって、車椅子に乗って現場にも行くパターン。おぢさん世代にはテレビシリーズの”鬼警部アイアンサイド”(NBC)や中山七の”岬洋介シリーズ”のサイドストーリー”要介護探偵の事件簿”に登場するぢぢい”香月玄太郎”なんてのもいます
(*3)科捜研の女
 テレビ朝日で放映の京都府警科学捜査研究所に所属する法医学研究員”榊マリコ”を主人公とする刑事ドラマ。演じるは沢口靖子。
 ちなみに、現実の科学捜査研究所には捜査権などはないそうです
(*4)刑事コロンボ
 ロサンゼルス市警察殺人課の警察官コロンボを主人公としたTVドラマ。主演はピーター・フォーク。”うちのかみさんがね”は推理小説史に残る名セリフです。
 昔は二見文庫―ザ・ミステリ・コレクションでほとんどノベライゼーションが読めたんですがほとんど絶版。一部が竹書房文庫の復刻版で読めます。DVDは”刑事コロンボDVDコレクション”がデアゴスティーニから出てますので、よろしければこちらをどうぞ
(*5)”西村しのぶ”のコミックエッセイに~
 本書では”エンプティー・チェア(3巻目)”、”石の猿(4巻目)”、”魔術師(5巻目)”(ともに文藝春秋)が紹介されてますが私は真面目に第1巻の”ボーン・コレクター”から読み始めました。
(*6)どんどん書籍が電子化されると~
 ”リンカーン・ライム”シリーズは最新刊の”ゴースト・スナイパー”まで全てKindle版で読むことができます。あと、これで図書館でKindle版を貸出してくれるようになればなぁ・・・


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