デザインが中心にある会社のすごみを感じます。まあ、なかなかマネできるもんじゃなさそうですが(ジョナサン・アイブ /Apple Store表参道)
ども、スマホは一家ともどもiPhone派のおぢさん、たいちろ~です。
先日、iPhone5が壊れちゃいました。充電がうまくできなくなって、新機種が出るまで騙し騙し使おうとしてたんですが(*1)、とうとうまったく充電できずに”活動限界、完全に沈黙!”状態になってしまいまして・・・
修理するか新機種を待たずに機種変更するか迷ったんですが、結局修理をすることに。で、表参道のApple Storeに行ったんですがこれがまたオシャレ~~ なんっつってもガラスばり広々の店舗にお約束のカウンターなんかなくって、デモ機の置いてあるテーブルでご相談。お相手をしてくれるのはジョンさん(だったかな?)で日本語ペラペラのナイスガイ。周りを見ると場所柄なのが外人さんも多くて、日本人のショップの方も流暢な英会話で接客。思わず”まじめに英会話勉強しようかな~”とか思っちゃいました。
しかし、製品だけに限らずショップのデザインコンセプトまでこだわるのはさすがApple! ということで今回ご紹介するのは、そんなAppleの製品デザインを担当した男の本”ジョナサン・アイブ”であります。
写真はたいちろ~さんの撮影。
上はApple Store表参道の外見、
下は店の中にあるデモンストレーション用テーブルです。
【本】ジョナサン・アイブ(リーアンダー・ケイニ―、日経BP社)
Appleのカリスマ経営者だったスティーブ・ジョブズの片腕としてデザインを担当したカリスマデザイナー”ジョナサン・アイブ”を中心にiPhoneをはじめとするプロダクトの内幕をまとめた本。
【旅行】Apple Store表参道
地下鉄表参道下車すぐにあるAppleStore。総ガラス張りの壁面におなじみのリンゴのマークが目印。
ゆったりとした店内にある大型のテーブルにプロダクトをちょこっと並べた空間演出はド○キホ○テとは対極。接客はすべてiPad、カウンターどころかレジすらない徹底ぶりはさすがです。
もう30年近く前の話ですが、高校の時の友人が”Macintosh(初期型)”を買ったってんで家まで遊びに行きました。ちょっと前までは他のパソコンがコマンド制御、キャラクター表示のグリーンディスプレイ(*2)、外部媒体といえばカセットテープがまだ主流の時代に(*3)、アイコンにマウスのユーザインタフェースにスタイリッシュなワンボックスにフロッピー内蔵で”かっこい~~”と思ったもんです。すぐに爆弾マークでてましたけど・・・ そのころからアップルってデザインセンスは他とは違うゾみたいなブランドイメージがありましたね。なんとなく、アップルのプロダクトって”スティーブ・ジョブズがデザインしてる”ってイメージがあったんですが、実際そんなことはないわけで(まあ、デザインコンセプトなんかは色濃く出てたんでしょうが)、ちゃんとデザイナーやプログラマーは別にいるわけです。で、ジョブズ復帰後(*4)のデザインを支えたメインデザイナーが本書に登場するジョナサン・アイブです。
本書を読むと、ジョナサン・アイブって人がすごいのは”デザイナーとしてすごい”、”デザイン主導のプロダクト設計をしたのがすごい”、”生産システムそのものをデザインにあわせたのがすごい”ってとこでしょうか。
〔デザイナーとしてすごい〕
なんといっても、この人そのもののデザインセンスがすごいんですな。若いころから賞を総なめっていうか。本書でも若いころのデザイン絵がいくつか掲載されているんですが、とても1980年代後半のものとは思えないような未来感覚。後のiPhoneにつながるセンスの萌芽を感じちゃいます
〔デザイン主導のプロダクト設計をしたのがすごい〕
私自身がインダストリアルデザインをしたことはないですが、パソコン自体を自作したことはあります。パソコンってのは実はかなり規格化されてるシロモノで部品を組み立てればまあ中学生でも作ることができます。この場合のケースって”どれぐらい部品を収納できるか”が判断材料になる場合が多いんじゃないかと。つまり機能(収納能力)が主でデザイン(外見)が従ではないかと
これに異をとなえたのがジョブズで、具体化したのがジョナサン・アイブ。
みんなはデザインをお化粧だと思っている
ハコを渡して『見栄えをよくしてくれ』と言えばいいと思っているんだ
それはデザインじゃない。外見と感覚だけじゃないんだ
デザインはものの働きなんだよ (本書より)
言われてみりゃ当たり前の話で、モノを買うのは何かしたいから買うんであって、性能や外見だけじゃないんですな。車なんかはその典型でしょうか。早く走れるとかかっこいいだけじゃなくって”快適な移動空間”とか”ステータス”みたいなキーワード並んでるし iPhoneなんて電話できるとか、ネット使えるだけじゃない”スタイリッシュな自分の演出”みたいなのがあるんじゃなかろうかと。
だもんで、デザイン主体の会社組織にしてるってのが実は他社がまねできないプロダクトを生み出す源泉になっているのかも
〔生産システムそのものをデザインにあわせたのがすごい〕
先ほど修理に行った話を書きましたが、ジョンさん(だったかな?)が”中を開けて確認しましたが~”と言ったのを聞いて”iPhoneって開くんだ!”というのが感想。専用の道具と技術があれば開けられるそうで、アップルとしては修理までを一体で専用サービス提供しているからこれでいいということらしいです。まあ、普通の家電だって素人が開けてみたって修理ができるわけでもないんで同じっちゃ同じですが。
この一体化された筺体を”ユニボディ”というそうで、複数のパーツを組み立てるんじゃなくって、1つの金属の塊から削り出すんだとか。
この製造手法はまた、ジョニーにとってデザインの塊に近いなにかを体現していた
それは、すばらしいデザインと最先端の製造技術を融合し、
これまでにないものを生み出すことだ (本書より)
じゃあ、なぜこの製法をほかの企業が採用したいかというと、高度な技術が必要だってこともありますが、なんといっても製造設備に莫大な金がかかるんだそうです。iPhone5とか作っていた2012年出時点でアップルの設備投資が95億ドルでその大半が工作機械と製造工程に使ってたんだとか。まあ、こんだけの投資にOKだしたジョブズもすごいですが、やらせたジョニーもタダモンじゃないですなぁ。日本の企業だったらまず稟議の作成段階でNGくらいかねません。
なにかと話題の多かったというか生きる伝説だったスティーブ・ジョブズが目立ってたアップルですが、その後ろにはこんなすごい人がいたんですね。本書の日本語のサブタイルトは”偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー”ですが、原題では”The Genius Behind Apple’s Greatest Products”。訳すと”アップルの最も偉大な製品の背後にいる天才”。天才ジョブスの背後にいるという意味では原題のほうが雰囲気あるかも
”なぜ、うちの製品が売れないんだ?!”と悩んでいる経営トップの方、そんでもってその責任を問われている(?)プロダクトの企画をやっている人にはぜひ読んで欲しい一冊。だからといってマネができるとは言いませんが・・・
《脚注》
(*1)新機種が出るまで騙し騙し使おうとしてたんですが
iPhoneはおおむね9月に新機種が出るんでねぇ。ソフトバンクショップのお姉さんも”もうすぐ新機種が出るかもしれませんし”と言われちゃったし・・・
ちなみに、故障はキリギリ保証期間内ということで無償交換していただきました。ありがとうございます
(*2)キャラクター表示のグリーンディスプレイ
このころってアルファベットで80文字×25行とかが表示設定の基本でしたね。方眼紙のような画面の設定シートなんてのもありましたし。カラーディスプレイもけっこういい値段してましたが、パソコン自体が8色ぐらいしか出せないとか・・・
(*3)カセットテープがまだ主流の時代に
3.5インチのフロッピー(記憶容量320K)の出始めぐらいかなぁ。それまではカセットテープ(これ自体もう見なくなりましたが)でピ~~ガ~~ってプログラムをロードしてました。時間かかるんだこれが・・・
(*4)ジョブズ復帰後
改めて調べてみると、ジョブズがアップルを追放されたのはMacintoshの発売(1984年)直後の1985年。暫定CEOとして復帰したの1997年と意外とジョブズ不在の期間って長かったんですな。復帰後のiPod・iPhone・iPadといったプロダクトによる躍進は本書で詳しく語られています。
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