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そこまで自殺を悪く扱うことないやんか! みたいな話です(自殺について/火の鳥 鳳凰編/桑)

 ども、適当に生きてるンであんまし自殺しようとか考えたことないおぢさん、たいちろ~です。
 こんな先日”How Google Works(*1)”という本を読んでると、ショーペンハウアーの本からの引用が出てました。調べてみると”自殺について”に載っておるとのこと。あんまし哲学書読んだことないのでたまには読んでみようかな~と思って、読んでみたんですが、これがけっこう面白いんですな。むしろ引用のより他の方が面白かったりして。
 ということで今回ご紹介するのは当初の思惑と違っちゃいましたがショーペンハウアーの”自殺について”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影
遠野”伝承園”の桑畑
です

8220539

【本】自殺についてショウペンハウエル(*2)、岩波文庫)
 表題の”自殺について”をはじめ、”生きんとする意志の肯定と否定に関する教説によせる補遺”など、生きていくこととは?みたいな話を5篇を収録。
【本】火の鳥 鳳凰編(手塚治虫 秋田書店他)
 生まれてすぐ隻眼片腕になった不良坊主の”我王”、彼に利き腕を傷つけられた仏師の”茜丸”、宗教的救済のために大仏建立に尽力する”良弁僧正”、そして自らの権勢拡大のために動く権力者たち。政治と権力者に翻弄される彼らを軸に手塚治虫が生命のドラマを描く名作。絶対オススメの1冊
【花】桑(クワ)
 クワ科クワ属の総称。葉はカイコの餌として使われます。小学校のころカイコの観察とかで葉っぱ採りに行ったことありますが、今でもやってるんでしょうか? 写真の遠野にある”伝承園”ではカイコを育てているので園内に桑畑がありました
 花言葉は”ともに死のう、知恵、彼女の全てが好き”など。


 ショーペンハウアーの考えるってもともと世界が意志をもっていて、人間が意志を持って生きているってのはそれを切り取ったことにおける現象にすぎない、人間が死んでもその外に意志があるけどそれは知ることはできない、ってことみたいです(本書を読んだだけでの感想ですので、間違ってたらごめんなさい)

  生きんとする意志は、全く無になってしまうような現象の中だけに現れてくる
  ところが、その無も現象とともに生きんとする意志の内部にあって
  その基礎の上に立っているのである
  無論このことは明るみには出てこない

   (”現存在の虚無性に関する教説によせる補遺”より)

 本人も引用してますが、これって仏教の輪廻(人は別の人や動物に生まれ変わるけど以前のことは覚えていない)に似てる気がするんですが。
 これを突き詰めると、自殺も含めて死そのものがいけないことなんだろうかと。で批判の対象が自殺を禁止する宗教に向かうわけです

  私の知っている限り、自殺を犯罪と考えているのは、
  一神教の即ちユダヤ教の宗教の信者達だけである
  ところが、旧約聖書にも新約聖書にも、自殺に関する何らかの禁令も、
  否それを決定的に否認するような何らの言葉さえ見出されえないのであるから
  いよいよもってこれは奇異である

   (”自殺について”より)

 寡聞にして聖書に自殺がタブーであることが書いてないのは知りませんでした。余談ですが、このブログではよく花言葉を載せるんですがこんだけ色々な花言葉があるのに”自殺”にあたるのって見つかんないんですな。あえて近いのが”ともに死のう(心中)”の桑ぐらい。”ピュラモスとティスベ”という話がモトネタ。イギリスの作家シェイクスピアの”ロミオとジュリエット”のモチーフだそうです。今の花言葉って西欧社会の慣行がベースらしいんですが、文化的なのか宗教的なのかこの手の言葉ってタブーなんですかねぇ・・

 これが仏教だと”即身仏”って外形的には自殺みたいなのがシステムとして組み込まれているんですがね。”火の鳥 鳳凰編”に出てくる良弁僧正なんてほとんど自殺みたいなこと言ってるし・・ 自分が宗教としてではなく政治の道具として使われただけだったと気付いた絶望から、即身仏の行に入った良弁僧正が我王に語りかけるシーン

  良弁:そして、わしはいまになって目がさめたのじゃ
     わしは、ただ政治に利用された道具だったのだとな・・・
  我王:そんなことはねえです 上人さまはえらいかただ
  良弁:いや我王、わしに残された道は・・・ これしかない

 話は戻って、どうもショーペンハウアーという人は、人の意志というのは人間という形をとる前と後があって、その一瞬を切りだしたのが人生みたいな考えのようです。本書の中でも”輪廻”と”再生”を区別する話がでてきます

  輪廻:霊魂がそっくりそのまま別の肉体の中に移りゆくこと
  再生:個体の解体と再建の謂い。
     ただその意志だけが持続し、新しい存在の形態をとり新しい知性を獲得する

      (”我々の真実の本質は死によって破壊せられえないものであるという
        教説によせて”より)

 ショーペンハウアーは知性は不滅ではないということで輪廻に近い考え方のもようです。なんで、自殺であってもその形が変わるだけなんだから、卑怯だとか、精神錯乱だとか、ましてや犯罪者扱いだとか言われる筋合いはない、むしろ自分自身の体と生命をどうするかは個人の権利だと。誤解のないように言っとくと、ショーペンハウアーは別に自殺がいいとか勧めてるってわけではなくって、不当に貶められるいわれはないってことと言ってるだけみたいです。

 元々キリスト教でも”殉教”っていう宗教的後追い自殺みたいのがありましたが、これをNGにするって見解がでたもんで、ことさら厳しく取り締まる必要があったようです。このへんが文化的宗教的に自殺に寛容な(心中モノやら(*3)哲学的自殺やら(*4))日本人の感覚と違うとこなんでしょうかね?

 偉大な哲学者の重厚な思想をこんなぺらんぺらんなブログでつくせるわけではないんで、ご興味がありましたらぜひ原典のほうに手を出してみてください。


《脚注》
(*1)How Google Works
(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル 日本経済新聞出版社)
 グーグル現会長の”エリック・シュミット”、前プロダクト担当シニア・バイスプレジデント”ジョナサン・ローゼンバーグ”によるGoogleの仕事というより企業文化を紹介した本。サブタイトルは”私たちの働き方とマネジメント”。
 引用されていたのは”世界の苦悩に関する教説によせる補遺”から
  二世代乃至また三世代にもわたって人間の世代を生きてきたような人であれば
   (中略)
  あらゆる種類の手品師の演技を
  それもその演技が二度も三度もひきつづき繰り返されるのを
  見ていた人のような気持ちにさせられることであろう

 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)ショーペンハウアー(Schopenhauer)
 ドイツの哲学者。”意志と表象としての世界”(中公クラシックス)の著者(読んでないけど)。名前の記載は”ショーペンハウアー”(wikipedia、新潮文庫、中公クラシックス)”、”ショウペンハウエル(岩波文庫)”と微妙に違いますが、本文中ではショーペンハウアーで記載します
 ニーチェや、ワーグナー、フロイト、アインシュタインなどに多大な影響を与えた人らしいです。今の若い人ならエヴァンゲリオンに出てきた”ヤマアラシのジレンマ”の寓話のモトネタの人といったほうが受けがいいかも。
(*3)心中モノやら
  未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり
お初と徳兵衛の心中を扱った近松門左衛門”曽根崎心中”より。この作品により心中ブームが起ったため、江戸幕府は厳罰をもって取り締まりにあたります
(*4)哲学的自殺やら 
  萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く「不可解」
 1903年、日光の華厳滝で自殺した藤村操の”巌頭之感(がんとうのかん)”より。このために華厳滝ってのは今だに自殺の名所として知られることになります。
 心中モノにしろ哲学的自殺にしろ後追っかけのブームになるってことは、何がしか日本人の感性に触れるものがあったんでしょうなぁ


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