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この本の主張を一言で言うと”貧すれば鈍する”でしょうか(いつも「時間がない」あなたに/サラセニア)

 ども、最近写真の撮り方が林家ペーさん化(*1)しているおぢさん、たいちろ~です。
 この20年近くで大きく変わったものの一つに”写真の撮り方”があります。昔の写真の撮り方というと、被写体を決めて、アングルを決めて、ピントを合わせて、絞りとシャッタースピードを決めて、息を止めておもむろにシャッターを押すというそれなりに緊張感のあったもの。それが今では被写体やアングルこそ考えるものの、オートフォーカスだわ、同一の対象を平気で2~3枚撮るわ、手ぶれしたって”まっ、いいかもう一枚”てな感じでとってもいいかげん。まあ、考えてみりゃ写真の単価って8千分の1ぐらいに下がってるんですな(*2)。先日北海道に2泊3日で旅行に行ったんですが、この時に撮った写真が460枚。これを従来のスチルカメラで撮ったら31,000円以上かかりますが、これがデジカメだと4.4円。まあ、貧乏人が一気に金持ちになったようなモンかと。
 ということで、今回ご紹介するのは貧乏人の行動を行動経済学の観点から分析した本”いつも「時間がない」あなたに”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
食虫植物のサラセニアです
0108

【本】いつも「時間がない」あなたに
   (センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール、早川書房)
 サブタイトルが”欠乏の行動経済学”とあるように、経済学のムッライナタン教授と心理学のシャフィール教授が行動経済学の観点からお金や時間が足りない人がどのような行動をとるかを分析した本。
 お金であれ時間であれ、それが足りなくてテンパってるとロクなことにならないという内容。身につまされます・・・
【花】サラセニア
 葉が筒状になっていて、そこで虫を捕らえる落とし穴として使う食虫植物。
 食虫植物ってのは一般に窒素やリン等が不足してる痩せた=貧乏な土地に生息しているため、虫とか捕まえて養分を補っているだんとか。でも、貧乏な土地の犠牲になる虫の立場って・・・


 お金が足りない=貧乏とか、時間が足りない=忙しいってのは悪いことばかりじゃなくて、多少は良いこともあります。写真の撮り方をご参考に本書からいくつかのキーワードを

〔集中ボーナス〕
 そんなに写真の枚数が撮れなかった昔、写真1枚で70円近くだから数枚撮るだけで100円玉がチャリンチャリン状態です。それにフィルムだと1本で24枚とか36枚撮りだもんで、そんなにフィルム自体を持っているわけじゃない。こんなんですから、写真1枚撮るのに集中するはずです。これが、欠乏による”集中ボーナス”ってやつです。
 まあ、貧乏でいいことこれぐらいですが・・・

〔トンネリング(tunneling)〕
 集中ボーナスと表裏一体なのがこれ。いわゆる”トンネル”の中に入ってしまって外の状態が見えない状態。正確に言うと見えていても注意が払われていないので意識が行かないということでしょうか? サラセニアの筒状の罠にとらえられた虫よろしく出口=助かる場所しか見えなくなっちゃうってのはわかります。
 写真撮影も集中するとフレーム以外に意識が行かなくなるもの。これは枚数に関係なく写真撮影の常かも。昨今の自撮棒も周りの人の迷惑に気がつかないぐらい盛り上がっているカップルもいるしなぁ・・・ 

〔欠乏による処理能力の低下〕
 お金がない、時間がないって状態は他のことが考えられなくなる、つまりテンパってる状況に陥りがちです。これはそこに意識が集中しちゃって=頭の処理能力のほとんどがそちらに使われちゃうので、他のことに処理能力が回らなくなるからだそうです。なるほど。写真も熱中しちゃうと、ついつい旅行の集合時間に遅れそうになっちゃうし・・・
 実際、気持ちやお金に余裕のない状態で知能テストを受けさせると成績は悪くなるという結果がでるそうです。ですんで、私の成績が悪いのも気持ちに余裕がなかったからだということにしときませう・・・

〔スラック(slack)〕
 辞書で引くと”余剰資源”になりますが、簡単に言うと”ゆとり”のこと。本書では旅行に行く時に大きなカバンだと何を持っていくかをあんまし考えなくていいけど、小さいカバンだと入りきらないので、何を持っていくかをチョイスしないといけないって例をいっています。
 私は趣味で花の写真をよくとってますが、アップで撮るならマクロレンズがいるし、高い木の花なら望遠レンズも持っていきたいし、でもたくさん持っていくとかさばるし重いしって状況のことでしょうか。もっとも私はコンパクトデジカメしか持っていないので、悩むこともありませんが・・・
 スラックがないことの問題は”ショック”に対する余力がないこと。忙しくてテンパってる時に”これもやっといて!”とか言われてパニクリまくるようなもんでしょうか?

〔トレードオフ(trade-off)〕
 あちらを立てればこちらが立たずみたいな、複数の条件を同時にみたすことのできないような関係。まあ、人間無尽蔵にリソース(お金や時間)があるわけじゃないんで、何かをするとなると何かをあきらめないといけないわけで。
 昔ってフィルムは1本24枚とか36枚、お小遣いも限られてるから買えるのも1~2本。となれば何を撮って何を撮らないかを真剣に考えざるをえなかったんですが・・
 今だったら16GBのSDカード(安いのだと1,000円しないです!)で8,000枚以上撮れるんで、枚数に関して言えばほとんど考える必要がなくなりました。これもお金持ち効果でしょうか。

〔近視眼〕
 とにかく目先の状態をなんとかしないといけないことに意識が集中しちゃうってこと。給料日前にお金が足りなくなるとついついキャッシングしちゃって、その金利分で更に翌月が厳しくなるのはわかっちゃいるんだけど、とりあえず今日の昼飯代がないとか。別に今が良ければ後はどうだっていいという刹那的ってより、単に先のことが考えられなくなってるだけです、はい。
 目の前に綺麗な被写体があるとついつい撮っちゃうんですが、これ撮ってると後のスケジュールがきつくなるのはわかってるんですがねぇ・・・

〔ジャグリング(juggling)〕
 大道芸で玉とかナイフとかを空中に投げ上げて受け止めてまた投げ上げてっていうアレです。つまり、落っこちてくる玉をなんとかしないと失敗ですから、これをなんとかするのが最優先課題になります。この状態に陥るともうその場しのぎの悪循環
 あぁ、写真の整理しなくちゃいけない、でもまだ前回のが終わっていない、でもまた来週写真撮りに行かないといけないし(以下前の文書に戻る)

 言われることはいちいちごもっとも。実につまされる話も多々あります。じゃあどうすればいいかと言うと、お金のある時に贅沢せずに蓄えておくとか、計画的に余裕をもってスケジュールを進めるとかがあるんですが、それができれば苦労はしません。そもそも近視眼的になっている人にそんなこと考える余力はありませんて。
 ですんで、外部から圧力をかけるような制度・仕組み(給与天引きで貯金をする、〆切を細かく設定して実行させる、申請書をさぼると強制的に締結される契約など)が有効だとか。これだとあまり考えずに実行する(させられる)から。まあ、期末にまとめて大きなテストをやる(もちろん一夜漬け)より、毎月毎月小テストをやるほうが成績が上がるようなもんです。それはそれで大変ですが・・・

 本書の主張は一言で言うと”貧すれば鈍する”、つまり貧乏すると、生活の苦しさのために精神の働きまで愚鈍になるということ。”行動経済学”の本ということで読んでみたんですが、そういう点ではむしろ生活の仕方ってことで読んだ方が面白いかも。ぜひご一読を


《脚注》
(*1)林家ペーさん化
 林家ペーさんはパーさんと夫婦の芸人。まっピンクな衣装に身をつつんで所かまわず写真を撮りまくる人。職業は漫談家だそうですが、漫談しなくてもその場がにぎやかになるというよくわからん芸風ですが、けっこう面白いです。
(*2)写真の単価って8千分の1ぐらいに~
 機材(カメラ、PCなど)や電気代を無視して媒体代だけで460枚の写真代を比較すると
スチルカメラ:合計 31,130円
 36枚フィルム @400円× 13本= 5,200円
 フィルム現像代 @650円× 13本= 8,450円
 写真印刷代    @38円×460枚=17,480円 
デジタルカメラ:合計 4.4円(印刷しない場合)
 2テラバイトに保存できる枚数(1枚2MB換算) 104.8万枚
 2テラバイトのハードディスクが1万円とすると1枚当たり単価 0.0095円
 0.0095円×460枚=4.39円

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コメント

写真がデジタル化していちばんいけないのが、あとで何とか修正できることと、その場で確認できてしまうこと。
プロの世界でもその弊害が問題化してまして、シャッターを切る前にやるべきことをせずにバカバカ数を撮りまくるバカが増えている。撮り方がどんどん雑になり、まともなライティングもできないカメラマンの多いこと。
フィルムに記録された情報量の、数十分の一以下しかないデジタルデーターをいじればいじるほどに不自然になり、モデルの顔が白飛びして髪が真っ黒につぶれている写真なんか、ネット上でよく見かけますよね。
写真がデジタルに移行してからよく聞かれたのが”これじゃ写真が下手になる”。
今そのとおりになってます。

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