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桜だけじゃなく、サルスベリの下にも死体が埋まっているらしいです(百日紅の下にて/サルスベリ)

 ども、推理小説もけっこう好きなおぢさん、たいちろ~です。
 先日、ある本に(あれ、なんだっけ?)横溝正史の”百日紅の下にて”の話がでてました。横溝正史っておどろおどろな雰囲気が多いのに花の名前がでてくるなんて珍しいな~ってのと、最近”リンカーン・ライムシリーズ(*1)”の科学捜査なんぞを立て続けに読んでたんでたまには古典もいいかな~ってので読んでみることにしました。
 ということで、今回ご紹介するのは戦後金田一耕助復帰の第一作”百日紅の下にて”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
お台場のサルスベリの花。下はサルスベリの樹の全容です

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【本】百日紅の下にて(横溝正史、角川文庫)
 終戦間もない9月の夕刻、佐伯一郎は廃墟となった自分の家にたたずんでいる。雑草とがれきの中に一本だけ焼け残った百日紅の木が紅い花をつける庭。そこに一人の復員兵が訪れる。彼は出征中に起こった愛人”由美”の自殺とその一周忌に起こった殺人事件の謎を解くよう、この男の戦友であり佐伯の友人でもある”川地謙三”から頼まれたという。
 彼の名は金田一耕助。戦前に名探偵と呼ばれ、戦後数々の難事件を解決する男である
(”殺人鬼”に収録)
【花】サルスベリ
 ミソハギ科の落葉中高木。”百日紅(ヒャクジツコウ)”と書いて”サルスベリ”と読みます。漢字の名前は8月頃に紅の濃淡色または白い花が長い間咲き続けることから、サルスベリの名はつるんとした感じの樹皮が”猿が登ろうとしても滑ってしまいそう”ってことからついたんだそうです。特徴的な樹皮なので、花が咲いていなくても種類が特定できるという樹でもあります。


 さて、今回金田一耕助が解決する事件のあらましというと

 若い女性が苦手な佐伯一郎(24歳)は理想の妻を育てるため、9歳になる美貌の美少女”由美”を引き取る。美しく育った由美だったが、佐伯が36歳の時召集令状が届き出征することになる。残された由美は川地謙三、五味謹之助をはじめ4人の友人に託された。
 召集解除になり佐伯が家に戻ってきた一週間後、由美は毒を仰いで自殺をしてしまう。さらに由美の一周忌の法事の席で青酸カリにより五味謹之助が殺されてしまう。結局事件は容疑者の川地が戦死したこともあり、五味の自殺ということで決着したが・・

 ネタバレになりますが、五味殺人の裏にあるのは由美への復讐。彼女は誰かに襲われ重い性病に侵されれていて、佐伯を拒まざるをえなくなったため。佐伯の苦悩を知る川地が真相を解き明かすべく金田一に依頼をしたことが背景にあります。
 しかしまあ、名探偵”金田一耕助”の戦後復帰初めての事件がロリコン野郎の悩み解決とはねぇ。佐伯は30歳になるまで童貞を守り続けて、6年間待ち続けて由美が初潮を迎えた15歳の直後に”いただきます”しちゃったんですが(*2)、まだしも良識があったほうでしょうか。本人は”非人道的なけだもののようにお思いでしょう”と自覚はあるようですが・・・

 さて、もうひとつの謎ですが、なぜ横溝正史はこの小説のタイトルに”百日紅”を付けたのか? サルスベリは写真のようにかなり紅い色の花をつけますんで、これから”血”の赤の連想かと思ってましたが、調べてみるとどうもサルスベリには”待ち人間に合わず”という伝説があるようですな。それにサルスベリの樹の下には死体が埋まっているようですし。

 昔々、中国の漁村に、海難事故を防ぐため若い娘を竜神に捧げる風習が有りました。 その年は村一番の美しい娘が選ばれ、娘と家族は嘆き悲しんでいました。そこにこの国の王子が船で通りかかり、事情を訊いた王子は娘を不憫に思い、竜神を退治し討ち果たしました。 
 娘は王子に恋心を抱きましたが、王子は 「王の使命を果たし100日後に戻って来る」と言い残し旅立ちました。娘は王子に恋焦がれ、王子が戻って来るのを待ちきれず亡くなってしまいます。100日後、戻って来た王子の涙が娘の墓地に落ちた時、そこから出た芽が成長し、この木になったといいます。
 娘が王子を待つ100日間の長きに渡り、咲き続けるのに因み、「百日紅(ヒャクジツコウ)」と名付けられたと云う事です。
 (有限会社”創園”のhpより転載)

 原典の物語はわかりませんでしたが、いくつかのhpに似たような話が載ってましたんで、まああったんでしょう。
 最初は、横溝正史と花の伝説の組み合わせってちょっと意外感あったんですが、良く考えてみると、横溝正史って手毬唄の歌詞に合わせて人が殺される”悪魔の手毬唄”とか、俳句を使った見立て殺人”獄門島”とか、けっこうこの手のネタが好きなのかも。この小説のエンドは、獄門島に急ぐ金田一の後ろ姿だしね


《脚注》
(*1)リンカーン・ライムシリーズ(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)
 科学捜査の専門家で四肢麻痺の”リンカーン・ライム”と美貌の警察官”アメリア・サックス”を主人公とした推理小説。現場に残された証拠物件から犯人を推理するリンカーン・ライムは首から上と指一本しか動かないというアームチェア・デティティブモノ。ストーリーが二転三転するというとっても面白いシリーズです。
(*2)由美が初潮を迎えた15歳の直後に~
 民法第731条の規定で女性は満16歳になれば結婚できますが、今どき高校1年生が結婚した日にゃ大騒ぎになるでしょうね。ただ、昔はかなり若い人のエッチはあったんでしょうか。童謡”赤とんぼ”では”ねえやは15で嫁に”いっちゃってるし、シェイクスピアの名作”ロミオとジュリエット”ではロミオ16歳、ジュリエット14歳。現代に直せば男子高校生と女子中学生の心中事件、マスコミの格好のネタだろうなぁ・・

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