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”ヤマノススメ”はお勧めですが、この行為はお勧めできません(3)(ヤマノススメ/富士山)

 ども、最近ちょくちょく山登りしてるおぢさん、たいちろ~です。
 アニメ”ヤマノススメ”です。いよいよ目標の富士登山編。実は私は子供の頃車で五合目までしかいったことないんですね。山屋からいうと登って登って下りて下りての富士山ってコース的にはあんまし面白くなさそうなんですが、やっぱり日本一の山となると一回は行ってみたいモンです。まあ、今となっては体力がな~~~
 ということで、今回のお話は”ヤマノススメ”セカンドシーズンのDVD版3巻と4巻、富士登山編です


写真はたいちろ~さんの撮影。
丹沢山塊塔ノ岳 尊仏山荘付近から見た富士山です

290075


【DVD】ヤマノススメ(原作 しろ、監督 山本裕介、アース・スターエンターテイメント)
 高校1年生”雪村あおい”に”倉上ひなた”。山登りの先輩の”斉藤楓”、天然系の中学生”青羽ここな”の4人組。いよいよ憧れの富士登山に挑戦することに。スタートは順調な4人ですが、高度があがるにつれあおいさんの様子が変に・・・
 山ライフを満喫してる女子中高生たちの”ゆるふわアウトドア”アニメです。
【旅行】富士山
 代表的な富士登山のルートには静岡県側からアプローチする富士宮ルート須走ルート御殿場ルート、山梨県側から吉田ルートがあります。あおいさん達が登ったのは、五合目登山口が標高2,300mで小御嶽神社でお参りしていることから吉田ルートと思われます。丹沢山塊は富士山の東北東に位置しますので、上の写真では右側から登ったことになります。
 余談ですが、富士登山駅伝つ~11人で御殿場市陸上競技場から富士山頂を経て帰ってくるというコース長47Km、標高差3200mを駆け抜けると言う常軌を逸した登山?もあります、はい。


 さて、”ヤマノススメ”ダメ出しシリーズも3回目となりましたが、相変わらずいろいろツッコミどころがあったりします。特にかなりヤバい話もあるので、しばしお付き合いのほどを。

〔山登りに日焼けは厳禁です〕
 夏になれば山以外にも、海に、川にプールにと水遊びを楽しみたいのが人情。でも山登りをしたいのなら厳に避けたいのが”日焼け”。特に避けたいのが肩と背中の日焼けです。日焼けしたところは物が擦れると痛みを伴いますのでザックが背負えなくなるんですな。ですので露出の多いセクシーな水着とかは(個人的には好きですが)避けた方が無難。昔、大学のクラブでは日焼け防止に泳ぐ時にはTシャツを着てました(まあ、プールではNGでしょうが・・・)

〔装備表には行動食(おやつ)も入れましょう。甘く見てはいけません〕
 さていよいよ明日は富士登山。”おやつとか用意しとかなくて良いかな?”というあおいさんに対し”いらないんじゃない、ばくばく食べると太っちゃう”と答えるひなたさんですが、これはNG。作中で楓さんが説明していますが、おやつ=行動食は重要、お腹がすき過ぎると低血糖状態になって動けなくなります。これを”ハンガーノック(hunger knock)”と言ってますが、これは”hunger=飢え”で”knock out=ノックアウト”される状態のこと。うちのクラブでは”シャリバテ(*1)”と言ってました。
 行動食にはすぐにエネルギーに変わる食べやすいものが良いので、チョコレートやアメ、ドライフルーツ、羊羹、甘納豆などでしょうか。あとは好みの問題です。

〔水分は多めに。ただし、あまりたくさんだと重くなります〕
 おやつと一緒にペットボトルの飲みモノを買っている娘さんたち。バテないように水分はちゃんと摂りましょう(*2)。で、どれぐらい持って行くかというとこれはなかなか難しい所。水は1リットル=1Kgですんで、足りないと困りますがあまり大量だと重量が増えます。ひなたさんは500ミリリットルを2本買っていますが、まあ最低限でしょうかね。
 あおいさんが”水は売店で売ってるけど、上に行くほど値段が上がる”と言っていますが、これはまあ、仕方のないところ。稜線上の小屋だと下の水場からポンプアップしていますんで、リッターいくらというガソリン並みの扱いになります。ペットボトルになると下から人力やヘリコプターで上げますからもっと高額に。まあ、コース上に水場があれば途中で補充もできますので、コースの状態で判断することになろうかと。
 私は汗かきなので500ミリリットルを3本は持って行くようにしています。これだと、1本は飲む用、1本は空になったら途中の水場で補充、1本は予備用にしています。種類は好みですが最近だったらスポーツドリンクなんかがいいんでしょうか。あと、パーティに1本は普通の水を持っておいた方が良いでしょうか。ケガをした時に傷口を洗ったりするには普通の水が必要です。

〔登山に寝不足は大敵。とっとと寝ましょう〕
 富士登山前日、不安と期待で眠れなかったあおいさん。”羊を12,552匹まで数えたのは覚えてるんだけど”と言ってますが、これだと4時間ぐらい眠れなかったことになります(*3)。これではバテるのも当たり前。基礎体力がある人でも、寝不足だとけっこうバテたりします。出発前の家はいうに及ばず、電車やバスの中でも寸暇を惜しんで寝ることこそ、登山を成功させる第一歩です。

〔リーダは一番最後、歩く順番を変更してはいけない〕
 山のパーティで、歩く順番を”オーダー”と言います。
 五合目の歩き出しでは”あおい、ひなた、ここな、楓”の順番ですが、画面を見ているとだんだんひなたさんの順番が後ろへ落ちてきて、八合目手前では”楓、ここな、ひなた、あおい”の順番に。あおいさんがばてばてで遅れてるだけだと思われるかもしれませんが、これはとってもNG。バテで遅れている人間を最後尾にするのは事故につながりかねないとっけも危険な行為です。
 一般的なオーダーでは

  先頭 :サブリーダー(又はコースリーダー)。コースを先導する人
  2番目:体力の弱い人
  3番目:メンバー
  最後尾:リーダー。パーティ全体を見たり、コースが間違っていないかをチェック

にします。これは、先頭の人はコースをちゃんとて、体力の弱い人が遅れないペースをキープするためにサブリーダークラスをあて、最後尾がパーディ全体の様子を見れるようにするためです。この手の話って学校のクラブや山岳会のようにパーティを組む山行でないと出てきません。単独行派っぽい楓さんが知らなかったのもわからんではないですが、押さえておきたい基礎知識です。
 ちなみに、この4名でオーダーを組むならメンバでは最年少ですが体力もあり、気働きもできそうなここなちゃんがトップ、体力的に劣るあおいさんが2番目、3番目がひなたさんで、経験豊富で人望もある楓さんが最後尾ってのが順当でしょうか(*4)。

〔高山病になったら、とにかく下山させること〕
 八合目付近でばてばてのあいおさん。頭が痛い、体がしんどい、眠い、めまいがする、これは典型的な高山病の症状です。私もキリマンジェロでこれになったことがありますが(ちょっと自慢話?!)、けっこうつらいモノです。高山病とは低酸素状態、平たく言うと酸素が薄くなる高度にいると発生する状態です(*5)。高度順化など予防する方法はありますが、なってしまったら早めに下山させるしかありません。その代わり高度を下げるとウソのようにコロっと治ります

〔パーティーを分散させるのはあまり好ましくありません〕
 高山病にかかってしまったあおいさんと、リーダーの楓さんは八合目でリタイア。余力のあるひなたさんとここなちゃんが山頂を目指すことになります。
 状況によりますので、絶対にNGとはいいませんが、パーティを分けるってのはあまりお勧めできません。今回のように初心者2人だけで行かせるならばなおさら。私がリーダーなら全員ここでリタイアさせてたかもしれませんね。

〔いままで頑張ってきたからといって、さらに頑張ればいいというものではない〕
 朝起きて、ご来光を見に行くと言い張るあおいさん。引きとどめる楓さんとの会話

  あおい:だって、だって、ずっとここまでがんばってきたのに!
  楓  :無理してこれ以上行って、帰れなくなくなったらどうするの
      山は逃げない。何度だってチャレンジできるんだから、あせらないで、ね

 ビジネスの世界では”サンクコスト(sunk cost 埋没費用)”というのがあります。これは投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用のこと。簡単に言うと今までこんだけコストをかけたからという理由で、さらにコストをかけて完成させてもそのコストを回収できない、つまり傷口を広げるだけという状態です。この二人の会話がまさにそれで、せっかくこんだけしんどい目にあって上がってきたんだからといって、さらにしんどい目をして上がるコスト=リスクを犯すなら、撤退したほうが安全といくこと。きっぱりあきらめるのも山登りの内。楓さんの言うように山は逃げません

〔登頂できなかったからといって、へこんでてはいけない〕
 結局、途中でリタイアしたあおいさん。かなりの落ち込みようです。はっきし言って山頂に着けるかどうか、ご来光が見れるかどうかはお天気次第、運次第ってコトです。実際、若いころはけっこういろいろ登りましたが、雨で登れないこともありましたし、登っても雨や霧でな~~んも見えん! ってこともままありました。むしろ事故もなく無事に下山できたことのほうが重要なんですよ!
 山屋たるもの、誰かのせいで登頂できなかったからといって責めたりはしないですし、もし責めるような人がいたら、と~~っても人間の小さい人。無理に付き合う必要はないぐらいです。

〔帰ったら荷物はとっとと片付ける〕
 帰ってからも無気力モードのあおいさん。ザックの荷物も片付けてないご様子ですが、帰ったらなにより荷物はとっとと片付けましょう。着替なんかは臭くなりますし

 富士山は楓さんが”富士山は楽なイメージがある”と言っていますが、4人が登った吉田ルートは五合目からでも標高差約1,500m(*6)、登りだけでも6時間近くかかるハードなもの。アクセスや小屋が整備されていているので初心者でもサクっと行けそうなメージがありますが、安易に考えるのは事故のモト。登山される方は充分注意して登ってきてください。


《脚注》
(*1)シャリバテ
 白米の御飯の事を”銀シャリ(またはシャリ)”と言います。つまりシャリバテとはご飯=栄養が足らずにバテるってこと。山でご飯が食べれないとまず間違いなくバテますんで、無理やりにでもご飯は食べさせられてました。
(*2)バテないように水分はちゃんと摂りましょう
 昔は”水を飲まずに根性でがんばる!”なんてのもありましたが、はっきりいってやめた方がいいです。山は楽しむために登るンであって苦行を求めるのは目的が違います
(*3)これだと4時間ぐらい眠れなかったことになります
 まあ、1匹あたり1秒ちょっととしてこれぐらい。ちなみに、羊を数えるのは”sleep(眠る)”と”sheep(羊)”が似ているからという説があるようで、日本人がやっても効果あるんでしょうか? まあ、単純作業の繰り返すと思えば確かに眠くはなりそうですが・・・
(*4)経験豊富で人望もある楓さんが~
 夏休みが始まったとたん
  じゃあ、北アルプスを縦走してくる 大キレット超えてくるから!
と嬉々て出かけていく楓さん。コースは明確に言っていませんが
 上高地~槍が岳~南岳~大キレット~北穂高岳~上高地
あたり、だいたい2泊3日コースでしょうか。特に南岳~北穂高岳の間にあるの”大キレット”はとっても危険な難所。痩せて切り立った岩稜に鎖場の連続、激しいアップダウンと体力、技術ともに上級者コースです
(*5)低酸素状態、平たく言うと酸素が薄くなる高度に~
 途中でポテトチップスの袋がパンパンに膨れているというシーンがありますが、これは平地の状態で密閉されている袋に対し周りの気圧が下がっている(空気が薄い)ため相対的に気圧差が発生することで起きる現象。逆に高い所で蓋をしたペットボトルが平地に持ってくると潰れてしまうということもあります。
(*6)標高差約1,500m
 東京スカイツリーの上の天望デッキは高さ450mですんで、あの高さまで3回以上登り降りする計算になります。さらに水平方向の移動距離も加わりますので、簡単に登れるハズがありません。

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