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こういうときには”まっ!”と答えた方がいい?(宇宙軍士官学校 -前哨-/コックピット)

 ども、老後は社会人大学にでもいってみようかな~とか考えているおぢさん、たいちろ~です。
 最近は定年後にもう一度大学に入り直して勉強する高齢者ってのが増えているそうです。まあ、大学から見れば、少子高齢化で新しいマーケットの開拓って考えるとアリかなって気もしますし、社会人側から見ればまだまだ元気なうちに向学心に燃えて新たなチャレンジって思えば良いことではないかと。私みたく大学でほとんど勉強せんかったから反省してもっかい勉強するのもいいかな~と考えています。
 ただ、単なる勉強であればできそいうですが、これが”戦う学校”となれば話は別。ということで、今回ご紹介するのはそんな戦う人のための架空の学校”宇宙軍士官学校 -前哨-”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
上から2011年の横田基地の友好祭にて。”C-130輸送機(*1)”のコックピットとその天井部
下は宝塚の手塚治虫記念館で開催された”マクロス ザ ミュージアム(*2)”にて。”VF-1 バルキリー(*3)”のコックピットのレプリカです。
C1300663
C130
8165360

【本】宇宙軍士官学校 -前哨-(鷹見一幸、ハヤカワ文庫)
 21世紀初頭、地球人類は異星人から自らの科学力をはるかに超える技術の供与を受けた。そして15年の時が流れた。教導者(インストラクター)と呼ばれる異星人は地球に対し人類が銀河文明評議会に評価されるためとして、一つの要望をもちかける。それは人類の子供を教育して傭兵とすること。このプログラムに従って治安維持軍の有坂恵一は教官となるべくコロニー”アルケミス”に着任する・・・
 ”前哨”と書いて”スカウト”と読みます
【乗り物】コックピット(cockpit)
 飛行機や宇宙船などの操縦席のこと。
 写真で見るとおわかりのように、C-130輸送機はアナログ式のコックピットメーターがてんこ盛り、天井にはロータリー型(回すタイプ)やトグル型(上下にパチパチ切り替えるタイプ)が配置されています。輸送機なので火器管制システムがなくてもこの量です。
 方やバルキリー”グラスコックピット”と呼ばれる液晶ディスプレイに集約表示したタイプ。操作系もいたってシンプルです。これだけのシステムで戦闘機、ホバークラフト、人型ロボットの操作をこなすんですからたいしたもンです。


 ”宇宙軍士官学校”を読む気になったのは、ついこの前まで”エンダーのゲーム(*4)”を一気読みしてたから。同じバトルスクールモノだということで手を出して見たんですがずいぶん趣きが違いますね~~ 物語の世界観はどっちかっつーと”幼年期の終り(*5)”だし、有坂恵一たちのノリも士官学校というよりオタクな高校生っぽいし。まあ、リアルにドンパチやってるエンダーの世界と将来戦うかもしれないっていう切迫感の違いでしょうかね

 で、この手の”ファースト・コンタクト”モノで面白いのはそのベースにある価値観というか価値基準の違い。まあ、地球人類同士だって文化が違えばそんなのありますが。恵一の仲間であるスェーデン人の”ライラ”がドローン(ロボット)を友達のように扱うのを見て(*6)

  異星人とのカルチャーギャップより、
  日本人とのカルチャーギャップのほうが大きいような気がしてきたわ

と言ってますが、フレンチ・トーストにミルクに納豆を食べてるライラだって日本人から見れば変です・・

 まあ、価値基準っていうのは単なる知識の問題ではなく、何を重視してリアクションするかってコトです。恵一専用のドローンに名前を付けるときの会話

  恵一:ロボ、ってのはどう?
  ロボ:安直だね。でもいいよ、ケイイチがつけてくれた名前だから

     (中略)
  恵一:よろしく頼むよ、ロボ
  ロボ:わかった・・・
     こういうときには”まっ!”と答えた方がいい?

恵一は”どこから仕入れてくるんだ、そういうネタを!”って突っ込んでいますが、対するロボはデータベースを検索したら”ロボ”と呼ばれたキャラクターはそういう話し方をしているとの答え。恵一は”すごいデータベースだな”と感心してますが、確かにすごいデータベースです。
 まあ、今の日本人でもあまり知らないネタでしょうから補足しますとここで言ってる”ロボ”ってのは横山光輝原作のSFテレビドラマ”ジャイアントロボ”に登場する巨大ロボット”ジャイアントロボ”こと”GR-1”のこと。このロボットは操作者の草間大作の命令を了解すると”まっ!”っと答えます。今でもリメイクされている作品ですがオリジナルのTVシリーズが放映されたのは1967年ですからかれこれ半世紀近く前。リアルタイムで見てたのはおぢさん世代ってことです。
 まあ、異星人のデータベースがこんなことを蓄積しているってのも凄いですが、この場面でこの答えを”選択”できるってのが実はもっとすごいんではないかと。これってリアルな日本人でも(まあ、ご年配のオタクでなければ)ちょっと思いつかないネタでしょうなぁ・・・

 オタクなネタもそうですが、工学系にもこんなネタが。部屋に案内された恵一に部屋の操作を説明するロボですが、この操作系が音声または”トグルスイッチ”付きのプレート。この時の恵一とロボの会話

  恵一:ボタンじゃないんだ・・・
  ロボ:ボタンは地球人の文化。<教導者>はボタンを使わない
     今、動いているものが確認できるスイッチのほうが確実だから

今の日本人が作れば間違いなくタッチパネルのタブレットにしそうです。なんてアナログなと思われるかもしれませんが、実はこのコンセプトって今でもあるんですな。この代表例がどこのご家庭にもある”ブレーカー”。実は最近ネットワーク接続型の最新式エコタイプのブレーカーに切替があったんですが、この最新式でもトグルスイッチが採用されていてちょっとびっくり。まあ、ブレーカーが動作するってことは電源が切れているわけでどんな状況でも確実に動作し、状況が視認できるって意味ではトグルスイッチを採用することに意味はありそうです。
 かくほどさように、何をどう採用するかっていう”価値基準”ってのはこういう異星人=異文化と接するところで気づかされるモンなんでしょうかね。

 ”宇宙軍士官学校”は本人があとがきで”ジュヴナイルっぽい(*7)”って言ってますが確かに”大人のためのジュヴナイル”って感じがしますな。ってか、扱っているネタが大人のおぢさん向け。作者の鷹見一幸って私とほぼ同世代なんですが、まあ体験したアニメやSFモノが共通な分だけ笑いのツボが同じなんでしょうか。
 若い人もそうですが、けっこうおぢさん世代にも受けるSFかも。ご一読のほどを


《脚注》
(*1)C-130輸送機
 ロッキード社が製造し、アメリカや日本の自衛隊などで運用されている軍用輸送機。通称”ハーキュリーズ”。就航が1956年と第二次世界大戦直後でありながら、タイプを変えつついまだに使われているというスグレモノです。
(*2)マクロス ザ ミュージアム
 1982年に放映された ”超時空要塞マクロス”(タツノコプロ)の放送30周年記念に宝塚市の手塚治虫記念館で2013年に開催された企画展。上記のバルキリーの実物大コックピットや、変形プロセス、各種機体模型の展示とかけっこう楽しめました。
(*3)VF-1 バルキリー
 ”超時空要塞マクロス”などに登場する架空の戦闘機。地上から宇宙までをカバーし、”F-14 トムキャット”を彷彿とさせるファイター(戦闘機)、VTOL機能を備えたガウォーク、加えて人型ロボットのバトロイドに変形するというスグレモノです。
 写真は初代マクロスに登場するエースパイロット”一条輝”機の精巧なレプリカだそうです。
(*4)エンダーのゲーム(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。そして第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 ヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞したSFの名作
 詳しくはこちらをどうぞ
(*5)幼年期の終り(アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫)
 20世紀後半の地球、異星人の乗る宇宙船が世界中の上空に出現、異星人は自らの姿を見せぬまま人類を支配した。人類に与えられたオーバーテクノロジーにより人類社会は黄金時代を迎え、異星人のことを”オーバーロード”と呼んだ。はたしてオーバーロードの意図とは、そしてオーバーロードを超える”オーバーマインド”とは?
 クラークによるSF史に残る傑作。
(*6)ドローン(ロボット)を友達のように扱うのを見て
 ずいぶん昔ですが産業用ロボットに”百恵”だの”淳子”だの名前を付ける日本人は変っていうような記事を読んだことがあります。外国の人にとって人型機械を作るのって創造主への挑戦って捉え方らしいですが、日本人にはそういうタブー意識がないそうで。これはどうも手塚治虫の”鉄腕アトム”の影響だって説を聞いたことがありますが。
(*7)ジュヴナイルっぽい
 ジュヴナイル(ジュブナイル)ってのはティーンエイジャー(13~19歳ぐらい)を読者とする小説のこと。最近はあんまり使いませんが、まあライトノベルとほぼ同義ぐらいでしょうか。”大人のためのジュヴナイル”ってのも変な言い方ですが、まあ、30歳超えてもラノベ読んでる時代ですから、ご容赦ください

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