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2015年1月

鷽=嘘を鳥替え=取り替えのシャレですけど、風情のある神事です(佐武と市捕物控/うそ替え神事 亀戸天神社)

 ども、東京在住が20年近くなるのに一向に江戸情緒に縁のないおぢさん、たいちろ~です。
 会社で1~2月にもなってくると来年度の計画策定ってが始まります。年度決算もまだなのに、来年度の売上目標をうんぬんするのもどうかと思いますが、それ以前に年初の目標が目標どおりにいったためしなぞありません。あれが受注できなかっただの、これが予定外に獲得できたなど見込み違いなんぞ山ほどでてきます。まあ、合計で目標達成できてれば(できてればですが)OKてなもんですが、当初目標が”嘘”というかどうかはビミョ~な所です。予測、予知、予言、預言(*1)、まあいいろいろありますが、不確実な未来を”たぶんこうだろう”なのが外れたからといって”嘘”扱いは酷いです。それに、目標達成できないからと言ってそんなに怒んなくてもな~~
 ということで、今回はそんな”嘘”を”嘘”にしてくれるお祭り、亀戸天神社の”うそ替え神事”であります


写真はたいちろ~さんの撮影(2015年1月24日)
うそ替え神事当日の亀戸天神社の様子。
左側のテントが”鷽(うそ)”の売り場です

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【本】佐武と市捕物控(石ノ森章太郎、小学館、講談社)
 江戸の下っ引きで捕縄術の名手”佐武”と、盲目の按摩師で居合抜きの達人”市”の二人を主人公にした捕物帖。
 漫画的なデフォルメがされた”少年サンデー版(縄と石捕物控)”の後リアルなデザインで”月刊ビッグコミック”に連載(一般的にはこちらがメジャー)、後者をベースにしたアニメ版(*2)などがあります。
【祭】うそ替え神事 亀戸天神社
 鷽という鳥をかたどった木製玩具のお守りを、大ぜいの参拝客が、鷽をかえましょうとどなりあって、たもとからたもとへとどんどんとりかえてゆく・・ ウソと鷽を結びつけて去年の災いはすべてウソ。ことしは運がよくなる・・ という縁起をかついだ。亀戸天神一月二十四日、二十五両日の行事である(”佐武と市捕物控”より)


 ということで、1月24日に亀戸天神社(*3)に行ってきました。なんと二時間半の大行列! 毎年来ている人は”こんなに混んだのは初めて”と言ってました。日程は曜日にかかわらず1月24、25日と固定のようですが今年は土日なので日が良かったからでしょうか。(それともテレビで紹介されたとか?)

 奥様と一緒に行ったんですがけっこう寒い中の立ちっぱなしなので、奥様けっこう疲れ気味。それでもなんとか本殿横の売り場までたどりついてちっちゃいのをご購入(*4)。”けっこうかわいい!”と思いのほか好評でした。
 この”鷽”という鳥はスズメ目アトリ科ウソ属に分類される鳥類で、口笛のような鳴き声を発するそうですが、口笛を吹くことを昔は”嘯く(うそぶく)”といってたことからこの名がついたんだとか。漢字が”學”(”学”の旧字)に似ていることから天神様の使いというかなり強引なつながりで天神様のお土産の定番なんだそうです。奥様は”これで500円とかなら良い商売”とのコメントですが、亀戸天神社の“鷽”は檜が材料で神職の人の手作りでうそ替え神事の時しか入手できないレアアイテム? 印刷のお札や大量生産のお守りでも5~600円しますから良心的な商売でしょうか?
 (写真は売店で売っている鷽)

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 その代わり、うまくできているのが亀戸天神社では前年神社から買った”鷽”を新しいものと交換するってルール。まあ、前年にあった災厄・凶事などを嘘とし、本年は吉となることをお祈りする行事ですから理屈には合っているのかも。まあ、これだって”鷽=嘘を取り替え=鳥替え”のシャレですけどね。
 前年の鷽を納めるのが売店の手前にある鷽の石像の所で、祭壇のようなものが用意されています
 (写真は鷽をお納めする祭壇)

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 ところで、私が”うそ替え神事”ってのを知ったのは石ノ森書太郎の”佐武と市捕物控”から。”めでたさも中位なり江戸の春”というお話です

 やくざ者の新吉は正月のある日、侍に襲われ殺され、一緒にいた弟分の利吉は九死に一生を得る。一方、新吉の恋人のおしのは新参舞(*5)のさなか襲われ逃げ出したところを通りかかった市に救われる。おしのと利吉はうそ替え神事に出かけると、おしのの袂に金の鷽が入っていた。鷽売りの商人曰く”それに当たったもんは今年一年運がええことになっとるんじゃぞエ!!” おしのは”新吉さんが死んだってことは・・・ うそだったら!!”とつぶやく。その二人に襲いかかる侍。間一髪でふたりの窮地を救ったのは佐武と市だった

 といっった内容。昔は着物の袂から袂へと替えていくモンだったようですが、さすがに洋服の現代ではそれはなし。今でも懐中用ってのは売ってますが、これはどっちかというと携帯ストラップでしょうか?

 ”佐武と市捕物控”は当時の石森章太郎が”ジュン(*6)”など前衛的な表現に取り組んでた時代でビジュアルとしても美しい仕上がりになっています。紙の本では小学館他から出版されていますが、講談社から”石ノ森章太郎デジタル大全”として電子書籍で出版されましたので、こちらの方が入手しやすいです。ただし収録されている話がまちまちですのでご注意ください(今回ご紹介の話は私の読んだ旧小学館文庫版では第一巻、新小学館文庫版では第二巻でしたがKindle版でどれだか結局わかりませんでした) ご一読のほどを。


《脚注》
(*1)予測、予知、予言、預言
 きっちりした定義があるわけではないようですが、一般的に未来を知る方法論では
  予測:経験則や情報(時系列的な観測)などによる
  予知:超能力や啓示などの超越的感覚などの手段を含む
  予言:合理的には説明することのことのできない推論の方法による
  預言:神と接触し、直に聞いた神の言葉を人々に伝え広める
 予知能力者はエスパー扱いですが、予測能力者とは言いませんし、予言は外れてもその人の責任ですが、預言は外れると”神は間違えない”ことが大前提ですので外した人(預言者)は神の名を語った極悪人ということになります、はい。
(*2)アニメ版
 1968~69年に放映されたモノクロアニメ。ナレーションは仮面ライダーのムラマツ隊長や仮面ライダーの立花藤兵衛を演じた”小林昭二”が担当
  罪は憎いが憎まぬ人を 切るも縛るも人のため
  闇を切り裂く男粋 朧月夜の佐武と市

小林昭二の名調子とスキャット風の渋いオープニング曲を覚えておられるご年配もいらっしゃるかと。お聴きになりたい方はこちらをどうぞ
(*3)亀戸天神社
 菅原道真を祀った東京都江東区亀戸にある天満宮。住所は亀戸ですが、錦糸町駅、亀戸駅からともに徒歩15分ですので、総武線快速、地下鉄の停まる錦糸町駅からのほうがアクセスはいいかも。公式hpはこちらから
(*4)ちっちゃいのをご購入
 一から十までの10種類+懐中用の11種類。一が600円、九が5,000円、懐中用が500円です。一番大きい十は私が行った時には売り切れでわかりませんでした
(*5)新参舞
 ”佐武と市捕物控”では正月11日に前年に大奥御膳所(台所)で召し抱えられた女中や仲居に裸踊りをさせたもので彫り物や刀傷がないかを確認するためのもので、これをまねた商家の旦那が真似したって説明になってます。今どきこんなことやったらセクハラで訴えられた上、ブラック企業の烙印を押されること間違いありません。
(*6)ジュン
 ”ジェニーの肖像”(ロバート・ネイサン、創元推理文庫)をベースとした漫画。台詞はほとんどなく、絵だけの話というかなり実験的な作品。昔豪華本で読んだんだけどなぁ。紙の本でも入手可能ですがKindle版のほうが割安です。

暴走族がチキンレースやるのとあんまし変わんないですね、賭け金が人類滅亡というだけで(人類危機の十三日間/U-2高高度偵察機)

 ども、現代国際史は苦手なおぢさん、たいちろ~です。
 年末も押し迫った2014年12月18日、アメリカとキューバの交正常化交渉が開始されたってニュースが流れました。このニュースを聞いた第一印象って”まだ、国交がなかったん!?”です。確かキューバ危機のころって、キューバはフィデル・カストロ首相、アメリカ大統領ってジョン・F・ケネディじゃなかったっけ?(*1)
 なんでも53年間、両国は国交を断絶してたとのことで、交渉は始まったものの一足飛びにシャンシャンってわけにはいかないようですが、まあ平和に向けた第一歩ってことで喜ばしいことです。交渉の主役はアメリカはオバマ大統領、キューバはラウル・カストロ国家評議会議長と歴史のギャップを感じさせる組み合わせではあります(*2)。
 ということで、今回ご紹介するのは国交断絶をしたころ=”キューバ危機”の本”人類危機の十三日間”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
2012年横田基地の”日米友好祭”で飛行したU-2高高度偵察機です

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【本】人類危機の十三日間(ジョン・サマヴィル、岩波新書)
 キューバ革命により親ソビエト連邦の国家となったキューバ。アメリカのU-2偵察機はソ連の協力によりミサイル基地が建設されているとの情報を得る。アメリカはこれを阻止すべく海上封鎖を実施、ソ連との核戦争も辞さずとの覚悟で外交交渉を行う・・
 サブタイトルに”キューバをめぐるドラマ”とあるように、キューバを挟んで対峙するアメリカvsソ連の全面核戦争の危機を孕んだ国家のトップ達の行動を描いた戯曲。
【乗り物】U-2高高度偵察機
 ロッキード社が開発したスパイ用の高高度偵察機。キューバやソ連、中国なんかを監視してた飛行機です。初飛行は1955年(*3)ながら現在でも現役で飛行しています。”ドラゴンレディ”というかわいいんだかかわいくないんだかわからん愛称で呼ばれていますが、高度25,000mと成層圏を飛行し、偵察用の特殊なカメラを積み、共産圏の弾道ミサイル配備状況などの機密情報を撮影したというスグレモノです。


 歴史上の順序で並べてみると

  

1959年 キューバ革命、フィデル・カストロ首相に就任 (岸信介)
  1961年 ジョン・F・ケネディ大統領に就任 (池田勇人)
  1962年 キューバ危機 (池田勇人)
  1963年 ジョン・F・ケネディ暗殺事件 (池田勇人)
  1974年 ”人類危機の十三日間”が書かれる (田中角栄→三木武夫)
  1975年 ”人類危機の十三日間”日本語版発刊 (三木武夫)
  2008年 ラウル・カストロ首相に就任 (福田康夫→麻生太郎)
  2009年 バラク・オバマ大統領に就任 (麻生太郎→鳩山由紀夫)
  2014年 アメリカ・キューバの交正常化交渉開始を発表 (安倍晋三)

 カッコ内は当時の内閣総理大臣ですが、こうやって眺めてみるとホントに歴史の世界だな~~ しかし、たった50年ちょっと前に人類滅亡の瀬戸際まで行ってて、さらにその関係修復が現在まで引きずってるってのも驚きです。

 本書の内容はというと、キューバにミサイル基地が建設されていることを知ったアメリカ大統領と国家安全保障会議執行委員会(Ex Com. エクス・コム)は、その背後にあるソ連に対しミサイル基地の破壊を要求、キューバを海上封鎖した上で要求が受け入れられなければソ連との核戦争の突入を覚悟する。ソ連は要求を呑むのであれば同じくトルコ、イタリアに配備されているミサイルの撤去を要求する。このミサイルはすでに時代遅れで、アメリカ自身が撤去を考えていたが、”脅しに屈した”ことになることを嫌ったアメリカはこれを拒否する最後通牒を送る。ソ連はアメリカの要求を受諾し、戦争はぎりぎりの所で回避される。
 ネタバレになりますが(後から言うな!)、これはほぼ史実に基づいたお話です。本書の中で大統領他のセリフはロバート・ケネディの報告書などから引用されたもの。実際にあったことをストーリー仕立てにしたもんなんですな。

 このデキゴトについて作者のサマヴィル教授が指摘しているきわめてユニークな点は

  その決定を行った人たちは、
  この最後通牒にソ連政府が同意するなどどは毛頭期待せず、
  また、戦争がもたらす結果についても、はっきり知っていたにもかかわらず、
  なおそれをやったこということである。
  言葉をかえていえば、決定を行った人々の明らかに予見していたことは、
  おそらくソ連は抗戦するであろうし、
  またその戦争が、必ずや世界規模での核戦争となり、
  人類は事実上抹殺し去られるだろうとの見通しであった

 引用が長くなりましたが、つまり暴走族がチキンレースやるのとあんまし変わんないですね、賭け金が人類滅亡というだけで(*4)。印象としては、ゲームを下りたソ連のほうが大人の対応って感じがしますが。

 なぜ、このようなことになったのかってのは、ハーバード大学のインターン生”スティーブ”が解説してくれています。
 ソ連が崩壊し、唯一の超大国アメリカと多極化する民族紛争を見ている今の若い人にはわかりにくいかもしれませんが、当時はアメリカ=資本主義陣営の盟主とソ連=共産主義陣営の盟主の二大超大国による冷戦の時代。両国が自らのイデオロギーと国家の覇権をかけて(*5)戦っていたということを踏まえて、下記の文章を。

  わが国以外の以外の政府は、すべてわれわれに向かって頭を下げ、
  われわれこそは優越者であることを認めさせる、
  それがさもわれわれの義務か責任(中略)であるかのように感じだしてくるんだな

  大事なことは、われわれがソ連に対してしたように、
  ソ連もまたわれわれに対して振舞ったという、そのことなんだよ。
  つまり、対等のものとして振舞ったことなんだ

  資本主義者ってのはね、共産主義者の中に中に、
  ただその競争者を見るだけじゃない、敵、
  つまり、資本主義者の生き方そのものをおびやかす敵として、これを見るんだね

  あらゆる善なるものーー文明、文化、宗教、道徳、そして全能なる神に対する、
  公敵第一号ってわけだよ


  そんな公敵を生かしておくぐらいなら、むしろみんなともに死ぬべし、
  ってような議論が、正論みたいになるんだな

 どうも今回は引用が多くてすいません。でも、これ以上にうまくまとめられないほど端的に指摘してるんですな、人類の愚かさってやつを。

 ”人類危機の十三日間”の作者サマヴィル教授は哲学者、平和思想家としては有名な人だったそうですが、本書はあえて”戯曲”というセミ・ドキュメンタリーの形式をとっています。たぶん、小難しい学術書にするより池上彰ライクな解説をしてくれる”スティーブ”を登場させたかったからでしょうか? だとしたらとっても成功していると思います。当然絶版のようですが、図書館ならあると思いますのでぜひご一読のほどを


《脚注》
(*1)キューバはフィデル・カストロ首相、アメリカ大統領って~
フィデル・カストロ
 キューバ革命(1959年)によりバティスタ政権を打倒した第14代首相。1965~2011年にキューバ共産党中央委員会第一書記、1976~2008年に国家評議会議長(国家元首)兼閣僚評議会議長(首相)とほほ半世紀に渡る超長期政権。歴史上の人物かと思っていましたが、まだご存命です。
ジョン・F・ケネディ
 いまだに絶大な人気を誇る第35代アメリカ合衆国大統領。在任期間は1961年1月20日からダラスで暗殺された1963年11月22日の2年10ケ月と意外に短命。その割にはベトナム戦争にキューバ危機にアポロ計画に部分的核実験禁止条約にと戦後国際政治に大きな影響を与えた人であります
(*2)アメリカはオバマ大統領、キューバはラウル・カストロ国家評議会議長と~
バラク・オバマ
 アフリカ系として史上初の大統領として絶大な人気を誇った第44代アメリカ合衆国大統領。ケネディーから数えて15人目の大統領になります。就任は2009年、誕生は1961年でキューバ革命なんて生まれる前の話です。
ラウル・カストロ
 2008年にフィデル・カストロの退任に伴い、国家評議会議長(国家元首)兼閣僚評議会議長(首相)に就任したフィデル・カストロの弟さん。お兄さんとともにキューバ革命を指導したという人です。
(*3)初飛行は1955年
 1955年というのは東京通信工業(現ソニー)が日本初のトランジスタラジオ”TR-55”を発売した年でもあります。軍事組織というのがいかに物持ちがいいかというのがわかります。
(*4)暴走族がチキンレースやるのとあんまし変わんないですね~
 チキンレースというのは、例えば2人の暴走族が崖に向かってバイクを走らせ、先にブレーキを踏んだ方が負け(チキン=臆病者)というゲーム。wikipediaにゲームの理論としての解説が載ってますので、ご興味あればそちらもどうぞ
(*5)イデオロギーと国家の覇権をかけて
 マルクス主義では、資本主義の矛盾が増大して社会革命が起こってプロレタリア独裁を経て共産主義社会(国家・軍隊・戦争のない世界)が生まれるって考え方があります。つまり共産主義に移行していくのは歴史の必然で、アメリカはまだ進化の過程でソ連のが進んでいるから自らの陣門に降るのが正しいってとこでしょうか

”ヤマノススメ”はお勧めですが、この行為はお勧めできません(2)(ヤマノススメ/富士山)

 ども、最近ちょくちょく山登りしてるおぢさん、たいちろ~です。
 アニメ”ヤマノススメ”ですが、セカンドシーズンがDVDになりました。まあ、ファーストシーズンでちゃんと視聴率がとれたんでしょうね。良かったです。
 でも、古い山屋から見ると相変わらずNGシーン連発でそっちも楽しませていただいてます。というころで、今回のお話は”ヤマノススメ”セカンドシーズンのDVD版1巻と2巻から”この行為はお勧めできません”第二弾です


写真はたいちろ~さんの撮影。東海道新幹線から見た富士山です。

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【DVD】ヤマノススメ(原作 しろ、監督 山本裕介、アース・スターエンターテイメント)
 高校1年生”雪村あおい”に”倉上ひなた”。山登りの先輩の”斉藤楓”、天然系の中学生”青羽ここな”の4人組。ひなたさんちでテントで寝てみたり、富士山が見える三つ峠に登ったり山ライフを満喫してる”ゆるふわアウトドア”アニメです。
【旅行】富士山
 説明不要の日本一高い山(標高3,776m)。作中であおいさんが”飯能(埼玉県の南西部)からでも富士山が見えるんだ!”と言ってますが、三角錐状の単独峰という分かりやすさもあって、意外と遠くからでもわかります。私も東北新幹線で東京に向かう時に大宮の手前ではっきり見えたのでびっくりしたことあります。
 ちなみに日経新聞の記事(2013年6月9日)によると320Km以上離れた那智勝浦で撮影に成功した事例もあるそうです。


  星が降るあのコル グリセードで あの人は来るかしら 花をくわえて
  アルプスの恋歌 心ときめくよ 懐かしの岳人 やさし彼(か)の君

 劇中で4人娘が歌っている”岳人の歌(*1)”。いや~ 懐かしいですな~~ 何十年ぶりでしょうか、この歌を聴いたの。遭難しただの、非モテだの暗い歌が多い山岳ソングの中で珍しく明るい歌です。にもかかわらず、NG話をするのはなんなんですが、しばしお付き合いのほどを。

〔ペグは手で持って打ちましょう〕
 ひなたさんちでテントお泊りすることになったあおいさん。テント立てでフライシート(*2)を張るためにペグを打ってます。あおいさんは”杭なら杭って言いなさいよ!”と言ってますが、これは日本語で杭のこと(*3)。ペグを手で押さえずに金槌で打ってますがこれはNG。打つ角度が悪いとペグが跳ねちゃうことがありますので、必ず手を添えて抑えること。
 ちなみに、張ったフライシートにけっこうシワがよってますがこれも直した方が良いポイント。雨が降るとシワに水がたまります。

〔飯盒でご飯を炊く時は味見しましょう〕
 経験者のかえでさんが飯盒でご飯を炊いてくれてます。名前は”はんごう”ですが4合炊けます(つまらんシャレですいません)。手順としては、お米を研ぐ→時間を置いて水を吸わせる→火にかける→噴いてきたら重しを乗せる→炊けたらひっくり返して少しの間蒸す。飯盒は断熱されていないので扱う時は軍手をしたほうが良いでしょう。
 で、抜けているのが味見。だいたい水がなくなったころに蓋をあけて、中央付近の下のところをスプーン等ですくって炊けてるかどうかを食べてみますお米に芯があるようだともう少し炊かないといけません。この時点で水分がないようでしたらお湯を足します。そのまま炊くと焦げます(水でもいいんですが、これだと俗に”ゴム飯”という粘り気のあり過ぎるご飯になります)
 まあ、うまく炊けるかどうかは経験しないと分かりにくいですが、多少のお焦げはご愛嬌です。ご法度なのは炭状になるまで焦がすこと。食べられないほど焦げたご飯は食糧ではなく”ゴミ”。山ではごみの持ち帰りは鉄則ですのでいらん荷物を持って下山することになります。

〔肌の露出の多いファッションはいかがなものかと〕
 お家ではスポーツブラとスパッツ派のかえでさん。ひなたさんちでも同じファッションで回りのみんなをあわてさせてます。若いお嬢さんがこのカッコでうろちょろするのはどうなのよってお父さん的ツッコミ以前にこれはNG。野外は思いの外冷えるので、ある程度着こんでおいたほうが良いです。それに肌の露出が多いってことは虫さされに合いやすいです。蚊に刺されて寝不足とかになると翌日の行動に差し支えます

〔行き先を内緒にしてはいけない〕
 あおいさんを行き先サプライズで山登りに誘ったひなたさん。気持ちは分かりますがこれは絶対やってはいけません。
①遭難した時探せません
 山に行く時は家族や知り合いに必ず行き先を伝えましょう。遭難した時に行き先不明ではどこを探せばいいか分かりません
②コースも分からないとペース配分ができません
 山に行く前は必ず地図を見て状況をイメージしましょう。どの程度アップダウンがあるのか、どの辺で休憩をとって何時頃に目的地に着くか? ぶっつけで登山するとばてたりへたすると事故の元になります(あおいさん、きっちりバテてますし)
③適切な準備ができません
 日帰りとはいえ、コースによって準備するものが多少は変わります。水や行動食(おやつ)の量とか防寒具の種類(セーターかダウンジャケットか)などなど
 基本的には荷物は全て自分で持つことになりますので、無駄なものは持って行きたくありません。装備の適正化は基本中の基本です

〔足元だけ見てガケを歩くのは最初だけに〕

 片方が切り立った崖になっている道にビビりまくるあおいさん。”足元だけ見て歩くように(*4)”とのアドバイスで乗り切ってますが、まあこれは慣れるしかないですね。足元だけ見てると全体が見えなくなりますし、第一足元ばっかり見てては山登りの楽しみが半減です。あおいさんも下山では平気になってますから、場数を踏めばなんとかなるもんです

〔下りで走ってはいけません〕

 下りの道のおり方のアドバイスを求めるあおいさんに対し”流れに任せてすいすい下りてったほうが良いわよ”とお返事のかえでさん。体力勝負の登りに対し、バランスとリズムが重要なのが下り。かえでさんのアドバイスはokですがその後がダメ。道を駆け下りてますがこれはNG。コケます。浮き石を踏むとコケます粘土質の土で水分が多い状況だとコケます。まあ、尻もちをつくぐらいならいいですが、ねんざや最悪骨折とかするとシャレなりません。それに下りはけっこうヒザにきますので、あまり飛ばすと途中でヒザがガクガクになります

〔お風呂に入ったら着替えましょう〕

”帰りにひとっ風呂浴びてくのも、登山の楽しみの一つよね~”とおっさんライクな発言のかえでさんです。でも、下山後の温泉って捨てがたいんですよね~~
 日帰りですが、ちゃんと着替えを持って行ってるあおいさん。でも風呂上がりに着替えてないんですな~~ 山登りって結構ハードな運動なのでかなり汗をかきます。せっかく温泉に入ったんなら着替えましょう汗で濡れた服を着てると風邪の元ですし、第一着替えた方が気持ちい良いです

 まあ、楽しんでこその登山ですし、それ以前に家まで無事に帰ってこそです。ぜひ、ケガのない様にしましょうね

《脚注》
(*1)岳人の歌(作詞・作曲不詳)
 歌の中の”コル”は鞍部(あんぶ)、峠のこと。”グリセード”は雪の上をピッケルを使って斜面を滑り降りるワザのことです(上級者向き?)。
 ちなみに、山で勝手に花を採取するのはやめましょう。場所や種類によっては違法行為になる場合があります。って、無粋なツッコミだなぁ・・・
(*2)フライシート
 テントの上に張る雨よけシートのこと。昔は帆布製のテントで防水性能が良くなかったから必須でしたが、今でも使うんでしょうか?
 正しい使い方としては、フライシートの下に溝を掘って雨がテント側に流れてこないようにするんですが、人んちの芝生の庭でそんなことしたら怒られるんでこれはまあ良しとしましょう。
(*3)日本語で杭のこと
 登山用語はほとんど外来語ですが、調べてみると英語とドイツ語が混在しています。
 同じ杭でもロッククライミングで岩の割れ目に打ち込む杭のことを”ハーケン”と言いますが、これはドイツ語。”ハーケンクロイツ(鉤十字)”のあれです
 他にドイツ語のものだと、”ザイル”(英語ではロープ)、”シェラフ”(寝袋。シュラーフザックの略。英語ではスリーピングバッグ)、”コッヘル”(なべ・やかん・食器などをまとめた炊事用具)などがあります。
(*4)足元だけ見て歩くように
 これに似たアドバイスで橋の渡り方があります。川に渡してある木の橋を渡る時は”足元を見る”のではなくて”少し先を見て歩く”のがよろしいかと。ちゃんと前を見て歩いてる分にはそうそう落っこちるモンでもありません


良い経営者ってのはスキルではなくて、センスの問題のようです(戦略の教室/経営センスの論理/フクシア)  

 ども、会社で戦略策定をやってるおぢさん、たいちろ~です。
 こうやって書くとなんだか難しそうなことやってるな~と思われるかもしれませんが、実は大したこたやってません。だいたい戦略なんてのは中長期的な視点で立てるモンなので(*1)、毎年コロコロ変わるもんじゃないですし、トップが変わっても前任者の方針をちゃぶ台返しすることもほとんどないのでせいぜい右斜め45度変わる程度でしょうか
 むしろムチャ振りな戦略を立てると”戦術”に落ちないってことのほうが難しいかと・・
 ということで、今回ご紹介するのはたまたま続けて読んだ戦略の本”戦略の教室”&”経営センスの論理”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけたフクシアです

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【本】戦略の教室(鈴木博毅、ダイヤモンド)
 孫子やナポレオン、ドラッカーからポーターまで、古今東西の戦略論の名著のエッセンスをそれぞれ10ページ程度にまとめた本。”リーダーシップ”、”目標達成”、”マネジメント”、イノベーション”とか蘊蓄大好きなおぢさん好みのキーワードがてんこもり。サブタイトルが”古代から現代まで2時間で学ぶ”とあるように、わりとサラっと読めます。私は2時間では終わりませんでしたが。
【本】経営センスの論理(楠木建、新潮新書)
 ”会社をよくするのに必要なのは、「スキル」よりも「センス」である”。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)の教授による戦略論というより世間での戦略の考え方にダメ出ししまくった本。ビジネス書というにはあまりにぶっちゃけな内容で笑えます
【花】フクシア
 アカバナ科の低木。花弁の中に花弁があり、その真ん中におしべがつき出ているというオダマキ(*2)のような赤い花が咲きます。プリンタのインクで赤い色を”マゼンダ”と言いますが、これはフクシアの名前にちなんで名づけられた”フクシン”のことだそうです。
 フクシアの花言葉は”信じた愛、恋の予感”のほかに、”センスの良さ”も。


 まず1冊目”戦略の教室”から。
 最近の戦略で流行りのキーワードといえば”イノベーション(innovation)”でしょうか。なんとなく”新しい切り口でのビジネス創造”、”革新”みたく使われてます。本書では世界で初めてイノベーション理論を提唱したシュンペーター”新結合”、つまり物や力の結合の変更で創造できるってのを紹介してます。まあ、今だったらクリステンセンの”イノベーションのジレンマ”(翔泳社)のほうがメジャーでしょうか? この章ではハードディスクの大型大容量型と小型小容量の比較の例を引いて

  持続的技術(評価基準が同じ変化) ⇒ 同じ大きさで容量を上げる
  破壊的技術(評価基準が違う変化) ⇒ 容量を少なくしても小さくする

の違いから、ミニコン(死語)向けコンパクトなニーズに対応した下位メーカーが大企業に勝利したうんぬんの話を書いてます。確かにな~ 私が会社に入った1980年代の中ごろって、ホストポンピューターのハードディスクって大型冷蔵庫並みの大きさで2.5ギガバイト(テラバイトではない!)。1テラバイトなんか用意しようとするとバスケットコート並みの面積が必要。それが今ではノートPCに平気で入っちゃうんだから・・
 このようなジレンマに対応するために

  ①違う基準で評価される新技術に目を向ける
  ②新しい市場へ投入する
  ③既存客に縛られない組織を意図的につくる

ことが”イノベーションのジレンマ”に書いてあるそうですが、それが簡単にできりゃ苦労はしません、てか、このレベルの戦略を立てるんだったらよっぽどぶっとんでるトップじゃなきゃ決断できないのかも

 反対に意外とありそうで出てこないのが”孫子”。”兵は詭道(きどう)なり”なんかはその最右翼。

  戦術の要諦は、敵をあざむくことである
   (中略)
  敵の弱みにつけこみ、敵の意表を衝く これが戦術の要諦である

まあ、トップの訓示でこれだとかなり意表を突かれるでしょうが、ぶっちゃけで受けそうな気もせんでも・・・

 本書の”戦略”に対する認識ってのは”戦略は公式”って考え方です

  古代兵法家の孫子は「兵力が多いほうが勝つ」「兵に死力を尽くさせたほうが勝つ」と
  述べましたが、これは戦場の現象であって、孫子がルールを決めたわけではありません
  この世界の現象を、概念として活用できる形にしたものが戦略なのです

    (本書より)

 となると、問題を解くのにどの公式を選べば良いかってのが問題になります(*4)。数学の問題を解くのにどの公式を使えばいいかっていうのと同じです。この選択の良しあしになってくるとまさに”センス”の良しあしって要素がでてきます。そのへんの話が二冊目の”経営センスの論理”。スキル(戦略を知っている)とセンス(戦略をどう使うか)をごっちゃにするといけないとの主張です。たとえ話で、モテようと思って雑誌とかでスキルっぽい知識をしこたまためこんでも返ってモテなくなるだけ、必要なものの大半はセンスって言ってますが、そんなもんなんでしょうね。非モテの私が言っても説得力ないですが・・・

  スキルをいくら鍛えても、優れた経営者を育てることはできない
  スーパー担当者になるだけだ

   (中略)
  センスは他者が「育てる」ものではない。
  当事者がセンスのある人に「育つ」しかない
  センスは他動詞ではなく、自動詞だ

 そのために、経営者はセンスのある人を見つけて、その人にビジネスを任せるような環境を与えよって言ってます。私は会社で企画関連の部署にいるんですが、頭の良い人はけっこういてもセンスのある人って限られてるんですよね。ちゃんと資料とかまとめてくるんですが(スキルの問題)

  その話(ビジネス)って筋いいんだっけ?

って聞くことあります。この”筋が良いかどうか”の見極めって、まさに”センス”の問題じゃないのかなぁ

 まあ、私だってセンスどころかスキルだってあるわきゃないですが、後身の人達はこの手の本でも読んで両方ある人に育って欲しいものです。目指せフクシア。あんましオダマキにはならないようにね


《脚注》
(*1)だいたい戦略なんてのは中長期的な視点で立てるモンなので
 おさらいしておきますと、”戦略(Strategy)”は”特定の目標を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・科学”のことです。これに対し”戦術(Tactics)”というのは”作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術”のことです(wikipediaより) 平たく言うと、どのようなマーケットで商売をやってどのような利益を考えてくかを決めるのが”戦略”、そのマーケットでどうやって勝つかを考えるのが”戦術”ぐらいでしょうか? 
(*2)オダマキ
 オダマキ(苧環)は機織りの際にカラムシ(苧)や麻の糸をまいたもののことで、花の形が似てるからこの名前がついたんだとか。
 ちなみにこちらの花言葉は”愚か者”

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(*3)シュンペーター
、オーストリア・ハンガリー帝国の経済学者。この人の言ってる一般均衡って”イノベーションしないと均衡=沈滞に陥る”ってことで、最初に聞いた時には”何もしないと滅びるぞ”みたいで暗いイメージ持っちゃいました。
(*4)問題を解くのにどの公式を選べば良いか~
 時々、”必勝の方程式”なんて題名の本がありますが、胡散臭いな~~
 本書の中でフランス革命を勝利に導いたナポレオンの戦略の話が出てきますが、その次の章ではその戦略を分析して状況をひっくり返したクラウゼヴィッツ(”戦争論”の著者)の話が出てきますし

重い本を持って毎日通勤したので背骨に歪みが出ています(ボーン・コレクター/“下山手ドレス”2nd/骨)

 ども、骨太な人生を生きてるおぢさん、たいちろ~です。
 小学校の時ですが、学校内の用水路の水を抜いたことがありました。そうするとなんと泥の中から牛だか馬だかの頭蓋骨が出現!(*1) その時の第一印象が”骨って白くてきれいなんだ・・”。まあ、いきなりこんなもん出てきたときの第一印象がこれか?! と思われるかもしれませんが、まあ、そう思ったからしょうがないじゃないですか! まあ骨を愛でる趣味(かな)ってのはあるようで、織田信長が髑髏で盃を作ったとか(そういいや”光圀伝(冲方丁、角川書店)”でも同じようなネタやってたなぁ)、”あなたの骨格は美しい”とかほめる変態さんがあったりとか。
 ということで、今回ご紹介するのはコレクションするって人が題名になった本”ボーン・コレクター”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。雲取山三条の湯にあった鹿の頭骨です

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【本】ボーン・コレクター(ジェフリー・ディーヴァー、文藝春秋)
 ケネディ国際空港からタクシーに乗った男女がえた。やがて男は生き埋めにされた遺体が発見される。ニューヨーク市警は引退した科学捜査の専門家リンカーン・ライムに協力を要請、女性巡査アメリア・サックスとともに連続殺人犯人を追う。四肢麻痺でベッドから動けないライムに変わって、サックスは現場の証拠集めに奔走する。
 1999年にネロ・ウルフ賞、週刊文春ミステリーベスト10第1位を受賞したミステリーの傑作。
【本】西村しのぶの神戸・元町“下山手ドレス”2nd(西村しのぶ、角川書店)
 ”サード・ガール”、”一緒に遭難したいひと”、”ライン”など、神戸を舞台にしたお嬢さんたちを主人公にした漫画の作家”西村しのぶ”によるコミックエッセイ。日常的なことを神戸のマダム視線でおしゃれにまとめた本。お勧めです。
【自然】
 脊椎動物において骨格を構成するリン酸カルシウムを多分に含んだ硬い組織(wikipediaより)。料理をするとわかりますが、骨付き肉を煮ると肉がはがれて綺麗な骨だけになります。まあ、人間でやったことはないけど・・・


 さて、この小説って、最初の紹介文だけ読んでると主人公の”リンカーン・ライム”って”四肢麻痺”、首から上と左の薬指しか動かないというまさに究極のアームチェア・ディテクティブ(*2)。で、この人がなぜニューヨーク市警に調査依頼をされたかというと、元ニューヨーク市警中央科学検査部長という科学捜査官にして”世界一の犯罪学者”の異名を奉られるというすごい人。日本でいうなら”科捜研の女(*3)”の上司筋といったらいいでしょうか。こんだけ優秀にもかかわらず、この人”自殺願望”の持ち主なんですな。自殺願望を相棒の女性巡査”アメリア・サックス”がいかに止めるか、とか犯人の犯罪の目的がこの自殺願望にからんでるとかの伏線になってます。

 アームチェア・ディテクティブということは、当然現場を走り回る人がいるわけで、それが女性巡査”アメリア・サックス”。本来は広報課に異動する予定だったのが、第一の殺人現場にたまたま居合わせたことからリンカーン・ライムに見こまれてパシリにされる巻き込まれ型の相棒です。警察官になる前はモデルだったとのこと。映画版ではアンジェリーナ・ジョリーが演じてるんだからさぞ別嬪さんなんでしょう、まだ観てないけど。

 ということで、アームチェア・ディテクティブ&科捜研モノとして読みだしたンですが、読んだ感じは倒叙タイプ。最初に犯行現場の記載があって、その犯人を刑事・探偵がどうやって追い詰めていくかを楽しむタイプの小説。おぢさん世代には”刑事コロンボ(*4)”なんかが代表例。ただ、刑事コロンボと違うのが、コロンボは犯人をいろいろ話をしながら追い詰めいて行くのに対し、リンカーン・ライムが扱うのは”証拠品”のみ。しかも、”動機(ホワイダニット)”とか”手段(ハウダニット)”とか一切関係なし。”誰が(フーダニット)”すら希薄なんですな。というか、”残された証拠から次の犯行を推理し、未然に防ぐ”ことに重点になってるというゲーム性が中心というか。まあ、推理小説としての骨格が違うんですな。でもとっても面白かったです。

 さて、何でこの本を読みだしたかというと、お気に入り漫画家の”西村しのぶ”のコミックエッセイに”リンカーン・ライムのシリーズが面白い”(*5)ってのがありまして。で、彼女の悩みはこれらの本(1冊平均650g)を持ち歩いたために四十肩が悪化したとか。私の場合は重い本を持って毎日通勤したので背骨に歪みが出ています(これは本当)。まあ、あと何年かたって、どんどん書籍が電子化されるとこの手の話題も無くなるんでしょうか?(*6)

 ”ボーン・コレクター”は”科学捜査を利用して犯人を追い詰める”という意味では21世紀的な推理小説と言えるでしょうか? すんごく面白かったので続きを読む予定。もっとも単行本は重いので、文庫版ですけどね


《脚注》
(*1)牛だか馬だかの頭蓋骨が出現!
 丸くはないので人間でなし、犬にしては小さすぎるしということで細長い頭骨からまあ、牛か馬ではないかと。それにしても、頭骨だけ出てくるのは謎なんですが・・
(*2)アームチェア・ディテクティブ
 日本語だと”安楽椅子探偵”。現場に行かず記者や刑事から話を聞くだけで犯人を推理するというジャンルです。バロネス・オルツィの”隅の老人”なんかが有名。
 このバリエーションでは”車椅子探偵”ってのもあって、車椅子に乗って現場にも行くパターン。おぢさん世代にはテレビシリーズの”鬼警部アイアンサイド”(NBC)や中山七の”岬洋介シリーズ”のサイドストーリー”要介護探偵の事件簿”に登場するぢぢい”香月玄太郎”なんてのもいます
(*3)科捜研の女
 テレビ朝日で放映の京都府警科学捜査研究所に所属する法医学研究員”榊マリコ”を主人公とする刑事ドラマ。演じるは沢口靖子。
 ちなみに、現実の科学捜査研究所には捜査権などはないそうです
(*4)刑事コロンボ
 ロサンゼルス市警察殺人課の警察官コロンボを主人公としたTVドラマ。主演はピーター・フォーク。”うちのかみさんがね”は推理小説史に残る名セリフです。
 昔は二見文庫―ザ・ミステリ・コレクションでほとんどノベライゼーションが読めたんですがほとんど絶版。一部が竹書房文庫の復刻版で読めます。DVDは”刑事コロンボDVDコレクション”がデアゴスティーニから出てますので、よろしければこちらをどうぞ
(*5)”西村しのぶ”のコミックエッセイに~
 本書では”エンプティー・チェア(3巻目)”、”石の猿(4巻目)”、”魔術師(5巻目)”(ともに文藝春秋)が紹介されてますが私は真面目に第1巻の”ボーン・コレクター”から読み始めました。
(*6)どんどん書籍が電子化されると~
 ”リンカーン・ライム”シリーズは最新刊の”ゴースト・スナイパー”まで全てKindle版で読むことができます。あと、これで図書館でKindle版を貸出してくれるようになればなぁ・・・


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