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2014年11月9日 - 2014年11月15日

ジェインは俺の嫁! または嫉妬するコンピューター(エンダーの子供たち/ペケニーノの樹)

 ども、私のアイウアはどこにあるんでしょう? のおぢさん、たいちろ~です。
 DVD版”エンダーのゲーム”(*1)から始まった ”エンダー・シリーズ”。やっと完結編です。長かったよ~ 長かったよ~ なんせ文庫で7冊分(*2)。
 ということで、今回ご紹介するのはやっと完結しましたオースン・スコット・カードの”エンダー・シリーズ”の第四作”エンダーの子供たち”であります。
(今回もかなりネタバレですのでご注意ください)


写真はたいちろ~さんの撮影。ペケニーノの樹です
って、そんなわけありません。尾瀬の鳩待峠付近のうろ(洞)のある樹です。

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【本】エンダーの子供たち(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 デスコラーダを破壊すべく発進した粛清艦隊は惑星”ルジタニア”の目前に迫ってきた。知的生命体”ペケニーノ”、かつて人類を滅亡の淵に追いやった”バガー”の”窩巣女王”、そして”エンダー”たち人類。彼らはそれぞれに生存の道を探っていた。
 エンダーの義理の息子”ミロ”とエンダーの無意識が生み出した”ヴァレンタイン”は移住する惑星を探しに、同じく生み出された”ピーター”と植民星パスを離れた”シー・ワンム”は宇宙を統べる”スターウェイズ議会”を動かして破壊命令を止めようとしていた。そんな中、コンピューターの中に生まれた知性”ジェイン”はその機能を停止させられようとしていた。そして、”死者の代弁者”ことエンダーの行動は・・・
【花】ペケニーノの樹
 ”エンダー・シリーズ”に登場する架空の樹木。父樹はペケニーノの死体から生えてきて、生前のペケニーノの知性を引き継ぎ(第三の生)、母樹はその中の 空洞(うろ)でペケニーノの幼体を育てるという設定。人間も閉じ込められるそうなので、写真のような感じでしょうか?


 とまあ、あらすじを書いてはみましたが、本編では”エンダー”はほとんど良いとこなし。奥さんは教会に逃げ込んでセックスレス宣言だし、最後は”アイウア”が抜け出ると死んじゃって塵になっちゃうという”ドラキュラか、あんたは!(*3)”な最後だし・・
 で、完結編でキーパーソン(コンピューターだけど)に躍り出たのが”ジェイン”でしょうか。ジェインはアンシブル・ネットワークという宇宙の間でタイムラグなしに会話できるというコンピューターの中に生まれた知性。元々はエンダーのやってたコンピューターゲーム(美少女ゲームじゃないです)から発生した一種の人工知能ですが、ちょっと違うのは上記にも出てくる”アイウア”というのを持っています。”アイウア”てのはエンダーの世界では自分が自分であるための”魂”みたいなもんと思ってください。完結編では”スターウェイズ議会”が”ジェイン”=コンピューターネットワークを停止させる前にいかにアイウアを含めて”ジェイン”のバックアップをとるか、いかに復活させるかというのがキーの一つになってます。

 結果的には、ジェインのアイウワは生き残り新しいネットワークに再度インストールされるんですが、ジェインが生き残るために入った場所というのがエンダーの無意識によって生み出された若い”ヴァレンタイン”の中。言ってみれば、バーチャルな存在だった”俺の嫁”が生きている身体を獲得したようなもんです。
 しかしまあ、”ジェイン”てのはけっこうモテモテなんですな。エンダーが奥様の”ノヴィーニャ”ともめる原因の一つが彼女のジェインへの嫉妬だったし、若いヴァレンタインやワンムがピーターの相手として嫉妬するのもジェイン。殿方お二方はあまり自覚はないようですが、傍から見れば美少女ゲームにはまる旦那に嫉妬する奥様的な構図。ただ、ジェインってそんじょそこらのゲームキャラじゃないです。まさしく宇宙規模でのコンピューターネットワークを基盤にしているだけあって、惑星間ネットワークのハッキングはやるわ、遺伝子レベルでの暗号解析はやるわ、果ては光速宇宙船で何十年レベルの距離を瞬時にワープさせるわと八面六臂(*4)の大活躍。最後にはルジタニアに向けて発射された”リトルドクター”という惑星破壊規模の能力を持つ爆弾を敵の宇宙船の中に転送する(*5)という離れ業までやってのけます。

 でも、そんなスーパーレディのジェインでも、嫉妬を感じるんですな

  いざ、ピーターの -- エンダーの --アイウワ所在を確認すると、
  ことは思った以上に簡単だとわかった。
  というのも、ピーターのワンムのフィロトは、絡み合っていたのだ
  ふたりのあいだには、小さな網の目ができていた

   (中略)
  そして、そのまま<外側>へ押し出すと、ジェインはふたりのむすびつきが
  よりいっそう強まるのを感じた
  肉体のみならず、もっと奥深くにある自我レベルの目に見えないリンクまで

   (中略)
  ジェインはちくりと嫉妬を感じた

 コンピューターが発達して自我を持つに至った時、はたしてコンピューターにも”嫉妬”が発生するんでしょうか? コンピューターに”俺の嫁!”的な愛情を求めるなら愛情の発露の形態としての嫉妬なんてのもありそうだな~ これが高じてストーカーみたくなったら嫌だけど・・・

 本作は完結編ということで、一応はハッピーエンドになってます。今までの謎の解決編でもあるんですが、いろいろツッコミどころ満載。なぜ超未来の話(なんせ、人類が宇宙進出してから3,000年!)にもかかわらず、中国や日本の文化を色濃く反映した植民星社会になっておるのだとか、宇宙規模でビジネスをするツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任侠的組織になっているのかとか(*6)。
 でも、これ話し出すと長くなりそうなので、今回はここまで

 ”エンダー・シリーズ”本編はここまでですが、本編以外でもサイドストーリーがあと3冊(邦訳分のみ)あるんですが、ちょっとお休み。なんせ、ほかの本も溜まりまくっているので・・・


《脚注》
(*1)DVD版”エンダーのゲーム”
 (出演者 エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、監督     ギャヴィン・フッド、ウォルト・ディズニー・ジャパン)
  人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。る侵攻をかろうじて撃退した。その第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)なんせ文庫で7冊分
 文庫で7冊分(新訳版では8冊)がどんなもんかというと千差万別。京極夏彦みたく1冊1000ページ超え(分冊版だといきなり3~4冊に別れる!)なんてのもありますが、ちょっと昔の文庫って1ページあたりの文字数がやたらと多いんですな。エンダーはそれほどじゃないですが、1冊読むのに4~5日かかりました。
(*3)ドラキュラか、あんたは!
 クリストファー・リーのドラキュラ映画だったかなぁ、このネタ。そう言えば、ドラキュラに血をかけると復活するというのもあったような・・ フリーズドライのような人です。
(*4)八面六臂(はちめんろっぴ)
 ”面”は顔、”臂”は腕の事。転じて多方面で力を発揮するたとえです。阿修羅の仏像みたいな”三面六臂”が言葉の元らしいですが、実際に”八面六臂”の仏像は存在しないんだそうです。へ~~
(*5)敵の宇宙船の中に転送する
 前々から気になっているんですが、転送される物体の運動エネルギーってどこに消えちゃうんでしょうか? 
 地球上の物体は相対的には停止しているように見えますが実際には24時間で地球を1周しているので、仮に赤道直下(緯度0)の物体を東京(北緯35度)に転送した場合、運動エネルギーがそのまま保存されてると速度差が発生するので、実体化した瞬間に時速300kmつまり新幹線並みの速度でぶっ飛んでくことになります。計算あってるかなぁ
(*6)ツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任?的組織になっているのかとか
 ツツミ一族でルジタニア粛清艦隊を止めるよう一族に提言するのが”ツツミ・ヤスジロウ(堤・康次郎?)”、決定を下す族長が”ツツミ・ヨシアキ=セイジ(堤・義明=清二?)”。よく西武グループからクレームがつかなかったものです

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