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2014年10月12日 - 2014年10月18日

飯は世につれ、世は飯につれ、ってとこでしょうか?(料理漫画/石割桜)

 ども、単身赴任時代は自炊派だったおぢさん、たいちろ~です。
 今年の春から娘と同居になりましたが、あんまし娘が料理もせんもんで(両方とも社会人なので)、相変わらず料理はお父さんの自炊です。ということもありまして、料理に関する漫画はわりと良く読みます。最近ですと”ワカコ酒”、”野武士のグルメ”、”花のズボラ飯”、まかない君”などなど。で、こうやって並べて見ると料理漫画とはいえ、けっこう世相を反映してるんだな~と。
 ということで、今回のお題は”料理漫画に見る世相の移り変わり”なんぞをやってみようかと。


写真はたいちろ~さんの撮影。盛岡市の”石割桜”です(花が咲いてなくてすいません)

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【本】美味しんぼ(原作 雁屋哲、作画 花咲アキラ、小学館)
 東西新聞文化部の記者”山岡士郎”は”究極のメニュー”作りに取り組むことになった。これに対しライバル紙の帝都新聞が実の父”海原雄山”監修による”至高のメニュー”の企画を開始。かくして”究極vs至高”、父と子の対決が始まる。
 途中までは読みました
【本】クッキングパパ(うえやま とち、講談社)
 プロ並みの料理の腕を持つサラリーマン”荒岩一味”が家族や友人のために料理をふるうというご家族料理漫画。奥様の”荒岩虹子”はニチフク新聞文化部の記者を務めるバリバリのキャリアウーマン
 飛ばし飛ばし読んでます
【本】孤独のグルメ(原作 久住昌之、作画 谷口ジロー、扶桑社文庫)
 雑貨輸入商を営む”井之頭五郎”が近所や出張先で立ち寄った店で食事をする様を描いた漫画。2012年より松重豊というどこからどう見てもおっさんな俳優が主演でテレビドラマ化。
【本】野武士のグルメ(久住昌之、晋遊舎)
【本】漫画版 野武士のグルメ(原作 久住昌之、作画 土山しげる、幻冬舎)
 定年退職した昭和のおっさん”香住武”がご近所の食堂などで飯食ってモノローグする漫画。この漫画の最大の特徴はお料理漫画にも関わらず、食堂に思いっきしダメ出しすることかも。
(漫画版は読みましたが、原作は読んでません、すいません)
【本】花のズボラ飯(原作 久住昌之、作画 水沢悦子、秋田書店)
 夫が単身赴任のためやむなくひとり飯することになった本屋にパート勤務の”駒沢花”の手抜き的自炊生活を描いた漫画。
【本】まかない君(西川魯介、白泉社)
 お年頃の従姉”凜”、”佳乃”、”弥生”の3姉妹と同居することになった浩平君が、家の料理造りを任されるという漫画。 西川魯介は眼鏡フェチ、クトゥール神話パロディネタのマニアックな漫画家ですが、本書はなぜかまじめな料理漫画です
【本】ワカコ酒(新久千映、徳間書店)
 酒呑みの舌をもって生まれたがゆえに今宵も居場所を求めてさすらう”村上ワカコ 26歳”のひとり酒を描いた漫画。新刊が出るたび会社のおひとり様女子に貸しています。
【花】石割桜
 盛岡市にある巨大な花崗岩の割れ目から育った桜。
 ”野武士のグルメ”で釜石の小料理屋に入った香住武が突然振られた話題。
 本編には関係ありませんが、花がないとさびしいので入れて見ました、すいません

 これらの作品と当時の世相を年表っぽくまとめるとこんな感じです

  1983年   ”美味しんぼ”がビッグコミックスピリッツで連載開始
  1985年   ”クッキングパパ”がモーニングに初掲載
  1989年12月 東証大納会で日経平均株価が史上最高値の38,957円44銭を記録
  1994年   ”孤独のグルメ”が月刊PANJAに連載
  1997年11月 北海道拓殖銀行が営業継続を断念
  1997年11月 山一證券が自主廃業を選択
  1998年10月 日本長期信用銀行が破綻認定、国有化
  1998年12月 日本債券信用銀行が債務超過により、国有化
  2008年 1月 ”孤独のグルメ”読み切りとしてSPA!で連載復活
  2008年 9月 リーマン・ブラザーズが破綻(リーマン・ショック)
  2009年 1月 ”野武士のグルメ(原作)”が出版
  2009年 5月 ”花のズボラ飯”が”Eleganceイブ”で連載開始(6月号)
  2011年 3月 東日本大震災が発生、福島第一原子力発電所事故
  2012年 1月 ”孤独のグルメ”テレビ東京系でテレビドラマシリーズ化
  2012年 6月 ”まかない君”がヤングアニマルで連載開始
  2012年11月 衆議院議員総選挙で民主党が歴史的大敗、自由民主党が政権を獲得
  2013年 5月 ”ワカコ酒”の第一巻出版
  2013年11月 ”野武士のグルメ(漫画版)”が幻冬舎plusに連載
   (一部は掲載誌の号数から想定)

 こうやってみると、社会情勢とノリって連動してるもんだと思いますねぇ。”経済事情”と”家庭事情”から見るとこんな感じでしょうか?

〔経済事情〕
1)バブル期
 後先考えず、日本が一番リッチだったバブル期。このころ登場したのが、美味いモン食いたい嗜好の”美味しんぼ”高級素材をバンバン使って(会社の金だけど)美味い料理を食うってやっぱ、バブルだよな~
 ”クリスマス・イブに高級レストランの予約が取れない”なんてバブルならではの話かとありましたねぇ

2)バブル崩壊期
 1989年末に日経平均株価が史上最高値を付けたのをピークに坂道を転がるように不況に突っ込み、金融機関が混乱を極めた1990年代後半(*1)。この不況下に登場したのが”孤独のグルメ”。確かにバブルな話じゃないですね。さらに言うと、この作品が再度登場するのがリーマン・ショックのころになります

3)リーマン・ショック期
 アメリカの話だとたかをくくってるうちにあれよあれよと世界不況になったリーマン・ショック期。このころ出たのが”野武士のグルメ(原作)”と”花のズボラ飯”貧乏臭いスレスレ(ストライク?)なネタの漫画でしたな

4)東日本大震災以後
 今だリーマンショクの影響から抜けきれないまま、東日本大震災による混乱もあいまっって不況だった2011年以降。この頃といえば、難しそうな顔したおっさんが普通の食堂で飯食ってる”孤独のグルメ(TVドラマ版)”。まあ、景気のいい顔とは言えんもんなぁ、松重豊って。
 そんな中でも、自民党のなんとなく景気昂揚政策の効果が出てきたのか、女性一人でも呑みに行こうかって雰囲気になってきて登場するのがおひとり様呑みの”ワカコ酒”(*2)です。

 この20年を見ると、家庭事情も大きく変化してきてるんですね。こっちから各作品を見るとこんな感じです

〔家庭事情〕
1)共稼ぎ世帯の増加
 サラリーマン”荒岩一味”がなぜ料理を作るのか? 根が好きだってのもあるんでしょうが、荒岩さん家って共稼ぎ世帯なんですね。つまり、家事をそれぞれ負担するってのが違和感ない家なんでしょうね。
 1985年の連載開始当時に31歳、小学2年生の息子がいるので、結婚したのは1970年代の後半と思われますが、このころ(1980年)の共稼ぎ世帯は614万世帯。方や主人が働いて奥様は専業主婦というのが1,114万世帯でしたので共稼ぎ世帯は全体の36%とまだ少数派(*3)。
 それに”ニューファミリー(*4)”なんていう夫婦や親子が恋人的、友達的なもノリもありましたしね。

2)単身赴任の増加
 単身赴任家庭の推計(*5)だと1975年は22.6万人(単身赴任率 0.8%)、2000年までが60万人程度(1.9%)で踊り場になりますが、その後さらに増加し、2010年には72.6万人(2.3%)まで増加。経験上言わせてもらえば、単身赴任なんて家族との触れ合いは少ないわ、金はかかるわとほとんど良いことないですが、上記の共稼ぎの増加や子供の教育で動けない事情もままあります。
 そんな中に登場するのが単身赴任で残された奥様が主人公の”花のズボラ飯”。まあ、単身赴任経験者としては、誰に食べさせる訳でもないご飯に気合入れて作ったりしないわな~と納得しちゃう作品です。

3)平成版”メッシー君”?
 バブル絶世期には女性に食事を奢るだけの彼氏”メッシー君”、車で女性を送り迎えするだけの”アッシー君”、女性にプレゼンをするだけの”ミツグ君”なんてのがありました(今でもあるのかなぁ)。で、バブル弾けて20年、家メシ世代の”メッシー君”が”まかない君”でしょうか? なんせ、女性が3人もいるにも関わらず”凜”、”佳乃”はまったく料理をしないし、”弥生”は”呪われたエプロン”と言われるほどの料理ベタですし。まあ、本人は嬉々としてやってるからいいけど。
 世代的にはクッキングパパの”荒岩一味”の息子世代でしょうか? まあ、親父の背中を見てりゃこうなるのもわかる気がしますが。そういえば、一時期自分で弁当を作ってくる”お弁当男子”なんてのもありましたね~~

4)女性の社会進出
 雇用機会均等法が施行されたのは今や昔の1986年。今や国策としての女性の社会進出ですが、ありそうでなかったのが女性のひとり呑みのネタ。一昔前なら美空ひばりか小林幸子の世界です(*6)
 女子会ブームを経ていよいよ登場したのが、女性が居酒屋でおっさんに混じってひとり呑みするという”ワカコ酒”。テレビドラマ化するそうですが、社会的な認知がそこまで進んだってことでしょうね

 けっこう長くなりましたが、まさに”飯は世につれ、世は飯につれ”。面白いな~と思っちゃいました。


《脚注》
(*1)1989年末に日経平均株価が史上最高値を付けたのを
 ”パチン”と弾けたような印象のあるバブルですが日経平均株価の年間平均が現在の
15,300円(2014年10月10日終値)を割り込んだのは1997年
のこと。株価が持ち直したとはいえ、今でも混乱期なみなんですね~~
(*2)おひとり様呑みの”ワカコ酒”
 実はワカコさんって、ちゃんと彼氏がいます。にも関わらず彼氏にたかろうとしないのは、女性の自立がそこまで進んだってことでしょうか?
(*3)共稼ぎ世帯は全体の36%とまだ少数派
 世帯数で逆転するのは1991年で、現在(2013年)は共稼ぎが1,065万世帯、専業主婦世帯が745万世帯、構成比59%とほとんど逆転しています(内閣府男女共同参画局hより)
(*4)ニューファミリー
 第二次大戦後生まれの若い夫婦と子供から成る家庭をいう語。従来の価値観から大きく変化した消費動向をもつとされる。(Web版大辞林より)
 だいたい団塊の世代(1947年~49年生まれ)あたりだそうです。
(*5)単身赴任家庭の推計
 調べてみて以外だったのは、直接単身赴任を調べた統計はないんだそうです。国勢調査では”世帯主が有配偶男の単独世帯数”の扱いでこの数値を記載しました(働く人と企業の未来像hpより)
(*6)美空ひばりか小林幸子の世界です
 悲しい酒 :1966年に発売された美空ひばりのヒット曲
  ひとり酒場で飲む酒は 別れ涙の味がする♪
 おもいで酒:1979年に発売された小林幸子のヒット曲
  あの人どうしているかしら 噂を聞けばあいたくて おもいで酒に酔うばかり♪


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