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2014年10月5日 - 2014年10月11日

知性をインプットしたのは、神か、遺伝子か、環境か、はたまたどこかのイカレたプログラマーか?(ゼノサイド/リンゴ)

 ども、な~んの知恵もないまま馬齢を重ねてるおぢさん、たいちろ~です。
  ”人間に知恵を与えた存在は何か?
 のっけから、哲学的というか宗教的というかの話題ですが、SFなんかでもよく出てくる話題です。最近では”猿の惑星:創世記(*1)”なんかもそうでしょうか。まだ見てないけど。まあ、人類に知性が発生したなら人類以外のモノにも発生してもおかしくないわけで、そうなってくるともうSFの独断場。
 ということで、今回ご紹介するのは最近ハマって読んでますオースン・スコット・カードの”エンダー・シリーズ(*2)”の第三作”ゼノサイド”であります。
(今回はかなりネタバレですのでご注意ください)


写真はたいちろ~さんの撮影。近所のリンゴ”姫国光”の花です。

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【本】ゼノサイド(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 人類以外の知的生命体”ペケニーノ”が発見された惑星”ルジタニア”。だかそこには人類に致命的な”デスコラーダ・ウィルス”のはびこる星でもあった。宇宙を統べる”スターウェイズ議会”は粛清艦隊の派遣を決定、ルジタニアに残ったエンダーは最悪の事態を避けるべく奔走する。一方、中国系植民星パスで神の声を聞く者”ハン・チンジャオ”はネットワークに発生した知性”ジェイン”の謎に迫りつつあった・・・
【花】リンゴ
 バラ科リンゴ属の落葉高木樹。日本では青森とか長野とか寒冷地で生産されてて、熱帯地方で熱帯での栽培は難しいとのこと。
 リンゴといえばアダムとイヴが食べた”善悪を知る果実(禁断の果実)”が有名ですが、これは後で創作された話だそうで、旧約聖書の舞台となったメソポタミア地方にはリンゴは分布してなくて、食用に適していなかったんだそうです。まあ、メソポタミアって暖ったかそうなイメージだもんね(wikipediaより)


 ”人類はどうして生まれたか?、どのように知的生命体になったか?”ってのは、いわゆる”創生神話”のたぐいです。代表的なのが”創生記”に出てくる”善悪の知識の木の実(禁断の果実)”。一般的にはリンゴですが、この話って素体であるアダムとイブに”リンゴ”という媒体を使って外挿的に知恵をもたらしたと言えるんじゃないかと(*3)。
 今回ご紹介の”ゼノサイド”ではいろんなパターンの知恵の挿入が見てとれます

〔ペケニーノ〕
 ルジタニアの原生生物”ペケニーノ”。エンダーの世界ではこの生物にキリスト教を布教するってかなりおちゃめなシチュエーションですが、キリストのアナロジーやら”ペケニーノに知性を与えたのはデスコラーダ・ウィルス”という仮説やらで、デスコラーダ・ウィルスが精霊の生まれ変わりだという信仰が発生しちゃいます。
 作中では”風変わりだが、筋は通っている”との評価。で、このウィルスが外の世界から送られてきたものらしいってことで、神様っぽいのも想定されてます。ますます宗教だよな~ オチはテラ・フォーミング(*4)っぽい話題になってますが。

〔バガー〕
 人類が最初に遭遇した”バガー”。この生物の最大の特徴は”窩巣女王”を中心とした社会を営む生物で、離れていても意思が通じ合うこと。集合体としてひとつの個性になってるんですが、どうもこれは”結びつける者”、”呼ばれる者”といったものがどっかから飛んできて憑依するメカニズムになっているようです。
 でなけりゃ、単体で生き残った”窩巣女王”がいきなりスターシップを建造するなんて離れ業できないよな~

〔ジェイン〕
 アンシブル・ネットワークというコンピューターの中に生まれた知性。元々はエンダーのやってたコンピューターゲームがキーらしいですが、誰かがプログラミングしたわけじゃなくて自然発生したというモノ。
 ジェインの正体を突き止めた”ハン・チンジャオ”がスターウェイズ議会に”アンシブル・ネットワークを止めろ”という報告を送ったことで、ジェインは危機にさらされるという”コンセント問題(*5)”みたいな展開ですが・・・
 理解しあえればいい友達になれそうなきがするんですがねぇ

〔ハン一族〕
 中国系植民星パスに住む神の声を聞く”ハン・フェイツー”と”ハン・チンジャオ”父娘。類まれなる知性の持ち主がなら、踊りを踊るだの床の木目を見続けるだの神経症的な儀式が必要な人達。その実態はスターウェイズ議会の遺伝子操作により生み出されたデザイン・チャイルド。”ハン・チンジャオ”は”生ける頑固”みたいな人ですが、最後は神様扱いされて幸せだったんでしょうか?

〔エンダーの子供たち〕
 ジェインによる”外の世界”へ行く実験中にエンダーの無意識が生み出した存在。オリジナルは3000年前の覇者となったエンダーの兄”ピーター・ウィッギン”と人類社会に多大な影響を与えた著述家の姉”ヴァレンタイン・ウィッギン”。創造主はエンダーのはずなんですが、どう考えてもエンダーの手にあまってるよな~~

 しかしまあ、よくもこんだけ大技のアイデアを詰め込んだなぁと感心する作品です。
 そん中で印象に残ったのが、エンダーの父親違いの息子で異類学者のミロが自由意思に関しての言葉

  なぜなら、聖職者は、神がわれわれの魂を創ったというからだ
  魂がそのなにかであるなら、人間もまた操り人形師に支配されていることになる
  神が人間の意思を創りだしたのであれば、われわれの選択は神の責任だ
  神、遺伝子、環境、
  はたまた古びた端末装置にコードを打ち込むどこかのイカレたプログラマー
  われわれ個人個人がなんらかの外的要因によって生じた結果であるならば
  自由意思など存在する余地はないのさ

 ま、何によって生まれた知性かによらず、やったことの責任は問われるわけですが・・

 ”エンダー・シリーズ”の本編は次作”エンダーの子どもたち”で完結。
 さて、図書館で借りてきましょうか(*6)


《脚注》
(*1)猿の惑星:創世記
 (出演者 ジェームズ・フランコ、監督 ルパート・ワイアット、20世紀フォックス)
 製薬会社ジェネシス社の研究者、ウィルが実験のためアルツハイマー病の新薬を投与した一匹のチンパンジーが驚くべき知能を示したが、突如暴れ出したため射殺。そのチンパンジーの赤ん坊“シーザー"もまた類まれな知性を発揮し始めていく・・
(*2)エンダー・シリーズ(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。る侵攻をかろうじて撃退した。その第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・(エンダーのゲーム)
 ”エンダーのゲーム”に始まるカードの名作SF
(*3)素体であるアダムとイブに
 この話って、よくよく考えて見ると”食べてはいけない”重要な果実を目の前にぶら下げてるわ、エデンに蛇(サタン)の侵入を易々と許してるわと、神様ってけっこう脇の甘い管理をやってる気がせんでもないですが・・・
(*4)テラ・フォーミング
 人為的に惑星の環境を変化させること。元々はSFネタですが、カール・セーガンやNASAが真面目に研究してるというからまんざら絵空事ではない話。テラ・フォーミングで問題になるのは地球生物用に環境が激変するため、原生生物が絶滅する危機があるってこと。”宇宙戦艦ヤマト”でガミラス星人が遊星爆弾でやってたのも逆パターンのこれですが、やられた方はたまったもんじゃありません
(*5)コンセント問題
 SFに出てくるネタに”狂ったコンピューターをどうやって止めるか?”ってのがあります。一番シンプルな答えは”コンセントを抜け!”なんですが、こんだけ複雑になったネットワークをホントに止めれるかどうかはかなり疑問
 このへんの話を扱った名作としては”未来の二つの顔”(ジェイムズ・P・ホーガン)なんかがオススメです。
(*6)図書館で借りてきましょうか
 amazonで探しましたが、上下巻とも絶版。上巻にいたっては中古も出てこない始末。ちょっと絶版多すぎませんか、ハヤカワ文庫!

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