« 2014年6月8日 - 2014年6月14日 | トップページ | 2014年6月22日 - 2014年6月28日 »

2014年6月15日 - 2014年6月21日

舞台はニューヨークだわ、マフィアが動機なき殺人を気にするわ、マシンガンはバナナわと”GOSICK”の新シリーズの違和感が面白い!(GOSICK RED/バナナ)

 ども、ラノベ時代から桜庭一樹のファンのおぢさん、たいちろ~です。
 映画情報を見てましたら”私の男(*1)”の映画が公開されるそうです。まあ、直木賞受賞の名作なんですが、ダメダメな義父と少女の禁断の愛の物語なんてやっていいんかな~ まあ、ライトノベル出身の作家が一般に認知されるってのはいいことですが、やっぱりラノベの桜庭も捨てがたいな~ ”GOSICK”とか”荒野の恋(*2)”とか。と思ってたら、なんと”GOSICK”の続編が出てました。
 ということで今回ご紹介するのは”GOSICK”新大陸編”GOSICK RED”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。那須塩原の温室にあったバナナの木です。

0340


【本】GOSICK RED(桜庭一樹 角川書店)
 陶人形のような美貌、ミルキーウェイの長い銀色の髪、そして超頭脳”知恵の泉”を持つ”灰色狼”ことヴィクトリカと彼女の恋人(従者?)久城一弥は旧大陸を逃れ日本で再会を果たした。そして第二次世界大戦後。二人はニューヨークに渡り久城は新聞社の見習い記者に、そしてヴィクトリカは”グレイウルフ探偵社”を開業していた。
 ある日、イタリアンマフィアの”ジョン・スミス(*3)”が訪れ”ガルボ・ボス”から連続殺人事件の謎を解く依頼を受ける・・・
【花】バナナ
 バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称。実の形から曲がった状態の代名詞のように使われます。
 写真に見える赤褐色の巨大な花状のものは苞葉(ほうよう)と呼ばれる葉っぱで、花は苞葉の所にある黄色いの。バナナはこの花の根元のところに成ります。


 さて、”GOSICK RED”ですが一言で言うと”古色蒼然たるソヴュール王国からいきなりニューヨークに持ってくるか!?” 確かに超美少女で銀髪のヴィクトリカを戦後の日本に持ってくればそうとうなお目立ち度でしょうが(*4)、まさかニューヨークとはねぇ。いや、悪いってわけじゃなくて。まあ、クラシックの作曲家ガーシュウィンがアメリカっぽい”ラプソディ・イン・ブルー”を作曲したような感じでしょうか。

 で、物語は1931年の戦後ニューヨーク(架空の世界なので史実とは違っています)。本書の中でヴィクトリカの生年月日が”1909年12月25日”という記載があるんですが、えぇ? この計算でいくとヴィクトリカが22歳?? 本書を読んでると前シリーズとほとんど容姿がかわってないようだし、やってることはガキっぽいし、とても世間では就活やってる年齢の人とは思えん・・・
 もっとも、お母さんのコルデリア・ギャロも年齢不詳、ただでさえ幼く見える娘のヴィクトリカと見間違えられるぐらいで、とても子持ちのおかんには見えない人。灰色狼の家系って歳をとらんのか?

 でもって、名探偵ヴィクトリカの推理の冴えも相変わらず。今回の依頼はマフィアのボスから動機なき3件の殺人事件の解決。

  素人は知らんだろうが、ギャング殺人には
  必ず報復や恨みなどの理由があるもんなんだよ。
  復讐(ヴェンデッタ)というやつだな。
  まぁ、酒場でのつまらん喧嘩が原因のこともあるがねぇ
  しかしこの三件にだけは理由がなく、犯人候補もいない・・・

上記のジョン・スミスがヴィクトリカに依頼を説明するセリフですが、マフィアってそんなに品行方正なんでしょうか? まあ、殺されるほどの理由がないってレベルかもしれませんが・・
 でも、この3人の共通点ってのが新聞読んでりゃわかるレベルなんだから、マフィアって新聞読まんのか? って突っ込んじゃいそうです。その殺人のやり方ってのはなかなか、でもヴィクトリカはあっさり解いちゃってるし(*5) むしろ理由=動機なき殺人犯の動機って方が秀逸かな。ネタバレになるので書きませんが、この手のやり方、過去の作品でもなかった訳ではありませんが、その仕掛け人が変人トラウマの博士っていうぶっ飛び方が桜庭一樹っぽいっちゃぽいです。

 ど~でもいいことですが、ちょこっと気になったのが”バナナマシンガン”。普通、ギャング映画っていうとトンプソン・サブマシンガン、通称”トミーガン”のイメージなんですが。お皿のようなドラムマガジンがくっついた奴なんで、この手の映画を見られたことがある方ならお解かりになるかと。
 で、本書に登場の”バナナマシンガン”って、ご丁寧にバナナの刻印付きの銃弾なんて出てますが、バナナマガジン付きのマシンガンでしょ。代表的なのは1947年式カラシニコフ自動小銃、通称”AK-47(*6)”。下の写真はちょっとひねって”ダイ・ハード2(*7)”より。スチュアート大佐(ウィリアム・サドラー)が構える”H&K MP5”です。この映画でバナナ型のマガジンがトリックに使われてたんで印象的だったからこっち載せてみました。

1

 まあ、こんな形の銃ですが、なんでわざわざバナナマシンガンに? 何かの伏線でしょうか? なんしょかんしょ、まだ続きそうなので続編が楽しみなシリーズであります。

《脚注》
(*1)私の男(桜庭一樹 文春文庫)
 腐野淳悟は孤児となった少女”花”を引き取った。惨めでどこか優雅な淳悟と美しく成長した花の禁断の関係が時を遡って語られていく2008年直木賞受賞の恋愛小説
 2014年6月、浅野忠信と二階堂ふみの主演で映画化されました。
(*2)荒野の恋(桜庭一樹 文春文庫)
 日本人形みたいな少女、山野内荒野を主人公とする恋愛小説。元々はファミ通文庫というラノベのレーベルから出てましたが、桜庭一樹が直木賞をとっちゃったせいなのか”荒野”の名前で文藝春秋から出版。現在も”荒野 xx歳”の三分冊で出ています。
 詳しくはこちらをどうぞ。
(*3)ジョン・スミス
 ”涼宮ハルヒの憂鬱”(谷川流 角川スニーカー文庫)でも出てくる名前なので調べてみたら、ジョンもスミスもありふれた名前なんで、”偽名”の代名詞なんだとか。本書の中でも名前を聞かれて”私の名は・・・ そうだな、ジョン・スミスだ”といかにもな答え方をしてたし。
(*4)超美少女で銀髪のヴィクトリカを戦後の日本に持ってくれば~
 アニメ版の最終回でモンペ姿のヴィクトリカが出てくるシーンがありますが、さすがに”似合ってね~~”。まっ、かわいいけど。
(*5)ヴィクトリカはあっさり解いちゃってるし
 ヴィクトリカの推理ってのは”状況から考えてありうる方法と、それが可能な人間を特定する”というやり方が多いですね。いわゆる状況証拠ってやつです。でもこれで裁判に持ってけるんでしょうか?
(*6)AK-47
 歩兵用アサルトライフル。自動小銃の中では極めて信頼性と耐久性が高い名銃なんだそうです。1949年にソビエト連邦軍が制式採用したという経緯から東西冷戦時代はソ連側の、今ならテロリスト側が持ってるケースが多いという、悪役っぽいイメージのアイテム(関係者の方、すいません)。
(*7)ダイ・ハード2
 ワシントン・ダレス国際空港の管制システムがスチュアート大佐率いるテロリストに乗っ取られた。上空を旋回する飛行機に乗っている妻を救うべく、ロサンゼルス市警察のジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)はぶつぶつぼやきながらも事件解決に関与していく・・
 このころのブルース・ウィリスってまだ髪の毛あったんだな~~

あ~あ~デブ~ マイスイートウイルデブ~ う~うう~ 太った悪魔~♪(どすこい/走る取的/銀杏)

 ども、中年になったらデブってもしょうがないかな~~と思ってるおぢさん、たいちろ~です。
 カラオケってあんまし好きでないんですが、モチネタの中に”○○さんに捧げる替え歌シリーズ”ってのがあります。まあ、会社の人をネタに替え歌を作るってたわいのないモンですが、この中にデブのSさんネタ(*1)でこんなんあります。

 あ~あ~デブ~ マイスイートウイルデブ~ 
 う~うう~ 太った悪魔~♪

元の曲はご存知、キャンディーズの往年の名曲”やさしい悪魔(*2)”です。
 ということで今回ご紹介するのはそんなデブ話、京極夏彦の”どすこい”&筒井康隆の”走る取的”であります。

上の写真はたいちろ~さんの撮影。名古屋銀杏並木の銀杏
下の写真は四季通販のhpより。お相撲さんの髪型”大銀杏”です。

08120802
Photo

【本】どすこい(京極夏彦 集英社)
 元禄時代、12月14日雪の降る夜、吉良家を目指して進む四十七人の男たちがいた。主君、浅野内匠頭の敵を撃つべく大石内蔵助に率いられた四十七士・・・ ではなく四十七人の力士であった。四十八手を次々決め吉良家の侍たちを倒す力士たち。そして最後に残った吉良上野介と横綱大石山との結びの一番が始まる(四十七人の力士
 ”地響きがする―と思って戴きたい”という出だしで始まる力士パロディ小説集。
【本】走る取的(筒井康隆 新潮社)
 学生時代の友人とスタンド・バーで呑んでいたおれは太った友人を相撲取りみたいだと笑っていた。ところがそのバーに相撲取りが居合わせており、俺達をすごい眼で睨んできた。彼を挑発したおれ達は店を出たが、そのあと相撲取りに追いかけられるはめになった。逃げても逃げても追いかけてくる相撲取り。追い詰められたおれと友人は・・・
(”懲戒の部屋―自選ホラー傑作集”、”メタモルフォセス群島”に収録)
【花】銀杏(いちょう)
 裸子植物門イチョウ綱の木。葉っぱが扇形なので見ればわかります。
 お相撲さんの髪型で”大銀杏(おおいちょう)”というのがありますが、確かに後ろからみればそんな感じです。wikipediaで見て初めて知ったんですが、”取的”というのは通常序二段や序ノ口などを指す言葉で、髷(まげ)は丁髷姿大銀杏が結えるのは一部を除けば十両以上の関取が結うもんだそうです。本書の中で”大銀杏じゃなく、丁髷だものね。取的ってやつさ”という発言が出てきますが、なるほどね~


 さて、推理作家にして妖怪研究家、膨大な知識と明晰な頭脳で憑物を落とす京極堂を主人公とする”百鬼夜行シリーズ”の作者である京極夏彦が何故にこのような小説を書いたのか? その謎は”脂鬼”の中で京塚昌彦をして語らせたこの一言にある

  笑かそうと思って書いたんだよう
  僕だってたまには書きたいよギャグ

 いや、気持ちはわかりますがここまでやりますか! なんせ題名が”パラサイト・デブ”に”すべてがデブになる”に”土俵(リング)・でぶせん”だもの。で、登場するのがすべてデブ=相撲取りなんだもの。ここまでよ~やるってのが正直な感想。出色なのが美人で優秀な編集者でプッツンすると凶暴にキレまくる”Cちゃん”。これがモデルになった編集者がいたらお会いしてみたいな~ってキャラ。いや、いそうだけど。なんせ、へたれぞろいの作者たち(月極夏彦とか南極夏彦とか)をしばきあげつつ真相に迫る(迫っているか?)迫力は満点。この本を勧めてくれた友人のYO~YO~氏が(*3)”筒井康隆”と評してましたが、このぶっ飛び具合はまさに往年の筒井康隆ですな~~
 それでも、最後の最後で妖怪モノで落とすのは、さすがに京極夏彦と言うべきか。

 筒井康隆が出てきたところで、こっちからも相撲取りネタを一本。モダンホラーの傑作”走る取的”であります。今の若い人だと筒井康隆って”時をかける少女”の原作者かもしれませんが、この小説は発表された1975年ごろって、ナンセンス、ブラックユーモア、スラップスティックなSFでノリノリだったころ。ストーリーは上記の通りですが、そりゃあもう、相撲取りがトラウマになりそうな一品。京極夏彦もだいたい私と同じぐらいの歳なんですが、若いころ読んでたんじゃないかな~

 最後に取的に追っかけられないようにフォローを一つ。
 相撲取り=デブというのは実は間違いで、お相撲さんってすごい筋肉質なんだそうです。ずいぶん昔の”所さんの目がテン!”(*4)でやってたんですが、お相撲をCTスキャンで調べたところ、厚い脂肪の下にすごい筋肉が隠されてるんだとか。まあ、そうじゃなければあんな巨体を投げたりできんわな~


《脚注》
(*1)デブのSさんネタ
 私んとこの部署では”3大デブ”の一人だったんですが、転勤でしばらく見ないうちにすんごい痩せてました。何があった、Sさん!
(*2)やさしい悪魔
 1977年にリリースされたキャンディーズの13枚目のシングル。作詞は喜多條忠、作曲は吉田拓郎。原曲は下記のとおり。聴きたい方はこちらをどうぞ。
  AH! Devil my Sweet Little Devil
  UH やさしい悪魔

(*3)この本を勧めてくれた友人のYO~YO~氏が
 最初に勧めてくれたのが”小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所”(監修 日本推理作家協会、集英社)に収録された”ぬらりひょんの褌”というこち亀のパロディ小説。こっちも面白かったです。詳しくはこちらをどうぞ。
(*4)ずいぶん昔の”所さんの目がテン!”
 日本テレビの科学番組”所さんの目がテン!”の”相撲の科学”(1998年1月25日放映)です。HPのアーカイブで見れますのでご興味のある方はこちらをどうぞ。

« 2014年6月8日 - 2014年6月14日 | トップページ | 2014年6月22日 - 2014年6月28日 »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ