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2014年5月11日 - 2014年5月17日

作品が成功するかどうかは、作品自体の魅力か、作り手と見る人とがともに生み出すのか? まあ、アニメの話ですけど・・(アニメの魂/「ガンダム」を創った男たち/お台場ガンダム2009)

 ども、TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん(*1)、たいちろ~です。
 先日、会社のお嬢様方(40代前半と50代前半)と”好きだったTVの番組は?”という話になりました。で、お答えはというとA嬢は”機動警察パトレイバー”、B嬢は”バビル二世”、C嬢は”マジンガーZ”に”科学忍者隊ガッチャマン”ですと。C嬢に至っては”初恋の人は兜甲児!”ですと(*2)。どうして妙齢のお嬢様方は昭和の懐かしアニメをチョイスするんだ?!
 でも、確かにこの手の話題ってなぜかアニメの話が多いんだよな~~ TVドラマだっってけっこう流行ったのありますが、あんまし出てこないし、スポーツだってバックスクリーン3連発(*3)みたくある瞬間の話題はあってもテイストが違うし。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなアニメの話題を扱った本”アニメの魂”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
2009年にお台場で展示された実物大ガンダムです。

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【本】アニメの魂(イアン・コンドリー、エヌティティ出版)
 サブタイトルが”協働する創造の現場”とあるように、アニメの魅力の源泉を制作者、消費する視聴者、魅力を拡散するファン(オタク?)に求め、フィールドワークにより解き明かしていく本。
 ところでこの本に出てくる”民族誌学”ってどんな学問?
【本】「ガンダム」を創った男たち(大和田 秀樹、ドカワコミックス・エース)
ファーストガンダムこと”機動戦士ガンダム”のTV第一作目から映画化に至る様子を描いた漫画。けっこうリアルタイムに青春してた時代の話ですので、マジに面白かったです。
 元々は”機動戦士ガンダムさん”に収録された”ガンダム創生の章”でこっち版で読みましたが、現在は”「ガンダム」を創った男たち”として再編集版がでてます(こっちは読んでません)
【乗り物】お台場ガンダム2009
 2009年にお台場で展示された全長18mの実物大ガンダム。しかし、これを最初に作ろうと言いだした奴はいい根性してるよな~ 私が見に行った時は家族連れが多かったですが、喜んでるのはおとっつあんの方で、怖がってる子供もいました。のちにジオンから”白い悪魔”と呼ばれるガンダムですが、確かにこんなんが動いて襲ってきたら怖いだろうなぁ


 アニメに限らずですが作品を楽しむには”作品そのものの魅力を語る”というアプローチと”作品そのものを含めた作家の魂に迫る”みたいなアプローチがあります。どっちが深いだ浅いだとか、良いとか悪いとかいう話ではありませんが、本書は後者のアプローチ。でもって、”サマーウォーズ”の細田守監督だの、プロダクションI.Gだの東映アニメーションだのゴンゾだのに行ってインタビューをしてます。
 でも、読んでて面白かったのはコアな消費者としてのファン(オタク)の話かな。といっても”オタク研究”みたいな内容ではなく、経済的行動原理から説明できないようなこと、ぶっちゃけ一銭にもならんことに血道をあげるのかっていうこと。本書ではこれを”ダークエネルギー”と言ってます。

  ファンの世界を流れるダークエネルギーは
  コンテンツとファンの欲望を結びつけて活性化させ
  相乗効果的にメディア製品の循環を加速する社会的な力だと考えてよいだろう

   (中略)
  ファンとメディアとコンテンツとテクノロジーと制作者を
  流動的に結びつけるリンクを概念的に表しているのだ
 

 あえて難しく書いてるような気もしますが(*4)、わかりやすく言えば”アニメを熱く語る奴のパッションの根っこ”みたいなもんでしょうか。そういや、私の高校時代の友人でも”ニュータイプ”を熱く語る奴いたもんな~ お前のことだぞ、宮浦!(*5)

 この例としてあげているのが海外の”ファンサブ”という活動。これは海外で未放映だったりDVDで発売されてない(発売されてるのもあるらしいけど)アニメ番組を寄ってたかって翻訳してWebにアップするというもんだそうです。たまにYouTubeでアニメに英語や中国語なんかの字幕付きのもを見かけますが、どうもあれらしいです。
 まあ、著作権法違反かどうか議論がわかれるとこですが”だって、売ってないし、翻訳もされてないんだモン”という実態に”こんなええ作品があるんやからお前も見んかい!”というファンの情熱の合体したエネルギーとでもいいましょうか。実際がとこ、日本語なんてアジアの片隅の言語を文化的背景まで考慮して翻訳し、字幕を合成するなんてけっこうなエネルギーとインテリジェンスが必要な行為でしょう。単純に好きだけではできない”何か”があるんでしょうね。

 まあ、日本の例でも”宇宙戦艦ヤマト”とか”ガンダム”とか”エヴァンゲリオン”とか、エポックメイキングな作品ってこの手の情熱持った奴がいたんですな。”機動戦士ガンダムさん”に収録されてる”ガンダム創生の章”のネタがこの好例でしょうか。劣悪な状況ながらアニメを作るスタッフ、視聴率低迷で打ち切りが決まりながら見事復活、というサクセス・ストーリー(*6)のターニングポイントは熱狂的なファンだったといのがこの作品のテーマの一つになっています。
 この作品の最終話に上記のお台場ガンダムが登場するんですが、その中で当時の作成スタッフの女の子がお母さんになって娘にガンダムを見せながら”あれから30年かー”とつぶやくシーンがでてきます。そうだよな~ もう30年以上たつんだもんな~ でも現在に至るまで作り続けられる”ガンダム”って、作品そのものが魅力があるのも確かですが、コアなファンを再生産し続けるファンが世代を超えているんだろうな~ なんて思っちゃいます。お台場に子供を連れてきたお父さんとか

 本書は登場するアニメを知ってるかどうかより、メディア論的な知識があるかどうかのほうが理解には大切かも。そういう点では私もちゃんと理解できたかどうかわかりません。ただ、本書に限らずですが、この手の本って”アニメではダークエネルギーがうんぬん”ってのは書いてあるんですが、ではなぜ実写映画とかTVドラマでこういったエネルギーが起きにくいのかって議論があんましないんですな。確かに2次著作物の作りにくさとか(演じてるのが生身の俳優だし)、権利関係がややこしそうとか、感情を共有できる人の数の違いとかありそうですけど、この辺の議論も読んでみたいものです。

《脚注》
(*1)TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん
 日本で最初の本格的な連続TVアニメ”鉄腕アトム”の放映開始が1963年ですので、今50代のおぢさんはだいたいそんな世代です。
 ちなみに、料理番組の定番”キユーピー3分クッキング”もこの年に放映開始。それもすげ~な~
(*2)A嬢は”機動警察パトレイバー”~、
 機動警察パトレイバー:監督 押井守、漫画 ゆうきまさみ。OVAは1988年販売開始
 バビル二世 :原作 横山光輝。原作連載は1971年から、TV放映は1973年から
 マジンガーZ:原作 永井豪。1972年放映開始
 科学忍者隊ガッチャマン:作製 タツノコプロ。1972年放映開始
 A,B,C嬢の誰が何歳かは個人情報なので秘密です。
(*3)バックスクリーン3連発
 1985年の阪神・巨人戦でランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布が3者連続でバックスクリーンに叩き込んだエピソード。ご高齢の阪神タイガースファンには必須の話題ですが、そのあとの低迷(86年 3位、87~8年 最下位)はなかったことになっています、はい。
(*4)あえて難しく書いてるような気もしますが
 著者のイアン・コンドリー世界有数の名門校”マサチューセッツ工科大学(MIT)”の准教授、れっきとした学者さんです。
(*5)お前のことだぞ、宮浦!
 ロン毛、イケメンにして生徒会役員という私の友人。当然、女の子にはモッテモテで”お兄ちゃん”と呼ばれておりました。今だったらアヤシゲなあだ名だな~~
(*6)サクセス・ストーリー
 本書の原書のサブタイトルは”Collaborative Creativity and Japan’s Mdelia Success Story(協力的な創造力と日本のメディアの成功の物語)”です。


今も昔も必要なのは”分別”ではないかと・・・(クレムリンの枢機卿/PAC-3ミサイル発射装置)

 ども、カージナルというとアームストロング・オズマを思い出しちゃう(*1)おぢさん、たいちろ~です。  浅学ながら”枢機卿”を英語で”カージナル(Cardinal)”っていうのって知りませんでした。まあ”僧正殺人事件(*2)(The Bishop Murder Case)”があるので、”僧正”がビショップぐらいは知ってたんですけど。この本の読むまでカージナルって大リーグのチーム名だと思ってました。
 ということで、今回ご紹介するのは最近また読み始めたライアンもの(*3)から”クレムリンの枢機卿(Cardinal of the Kremlin)”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
海上自衛隊横須賀基地で展示してあったPAC-3ミサイル発射装置です。

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【本】クレムリンの枢機卿(トム・クランシー、文春文庫)
 上空を飛ぶミサイルた人工衛星を破壊するソ連のレーザー兵器“輝く星”。この秘密を探るべく米国はクレムリンの大物スパイ”枢機卿”に指示を出す。しかし、情報を伝達する工作員のミスから”枢機卿”の正体がばれてしまう。枢機卿を救うべく、CIAの情報分析官ライアンのとった行動とは・・・  トム・クランシーのヒット作”レッド・オクトーバーを追え!(*4)”の後日談でもあります。
【乗り物】PAC-3ミサイル発射装置
 小説内ではレーザー光線で飛んでくるミサイルを迎撃するって兵器が出てきますが、実戦配備されているのはミサイルを飛ばして撃ち落とすって仕掛けです。
 ”なんだ、ミサイルか!”と思われるかもしれませんが、実際に弾道ミサイルを撃ち落とすってのはと~~っても難しいそうで、PAC-3でもレーダー装置やら射撃管制装置やら情報調整装置やらとハイテクの塊なんだとか。


 小説の中ではアメリカ、ソ連とも飛んでくるミサイル破壊するレーザー兵器開発をやっていて、ソ連は実験に(いちおう)成功するけど、コンピューター技術などはアメリカのほうが上だとか、かなりリアリティのある表現になってます。本書がアメリカで出版されたのが1988年、日本では1990年とほぼ四半世紀前ですが、これをSFっぽいと見るかどうかは意見のわかれそうな所。wikipediaには”戦術高エネルギーレーザーで無人飛行機を撃ち落とした”なんてのが載ってますのであながち絵空事ってわけではなさそうです。
 でも、ちょっと前まではこれってまじめにやってたんですね(私が知らないだけで、まだやってるのかもしれませんが)。それが時のアメリカ大統領”ロナルド・レーガン”が1983年にぶち上げた”戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative、SDI)”、通称”スター・ウォーズ計画”。

 まあ、大統領が元映画俳優だからってわけではないでしょうが、1983年といえば”スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの復讐”が上映されてたころ。ハリソン・フォード(*5)演じる”ハン・ソロ”がミレニアム・ファルコン号でレーザー砲ピュンピュン撃ちまくってました。ですんで、”レーザー兵器でミサイルを撃ち落としたい!”って気持ちはわからんでもないですが・・・  まあ、今から見れば”ハイテク幻想”みたいな計画だったようですが、当時としてはけっこうマジ。その後の冷戦終結により自然消滅に近い形で中止されたんだとか(ホントかどうかは知らんけど)。で、今どうなっているかの一つがパトリオットPAC-3システムによるミサイル防衛みたいです。長々書きましたが、こういった時代背景がわかってると”クレムリンの枢機卿”のリアリティがわかるかなと思った次第です。

 まあ、本書の描かれた1980年代後半って、まだ米ソ両大国ががっぷり四つに組んでた時代。その一方軍縮交渉だ、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ(*6)だと戦後構造が大きく変わろうとしたころでもあって、本書の中でもそんな時代の空気が色濃く出ています。それに比べると、最近のウクライナ問題なんかを見てると地域紛争の様相で、力づくで抑えられてない分先鋭化、民意を反映しているって大義名分を必要とするだけどろどろ感が強いような気がして心配です(どっちが良いかという問題ではないですが)

 本書の中で印象的だったのはライアンとナルモノフ書記長の会話に出てくる”相互確証破壊(Mutual Assured Destruction、MAD)”の会話。 MADってのは”一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証する”(wikipediaより)ってので、言ってみれば人を殴り倒せば必ず殴り返されるから暴力はやめましょうみたいなもんでしょうか。子供のケンカか?!

  ナルモノフ:現実的になりたまえ、ライアン。
        きみは、われわれが核兵器をすっかり廃絶するだろうと思うかね?
  ライアン :いいえ。われわれはすべての兵器を廃絶することはないでしょう

            (中略)
        しかし、兵器を行使するまでの過程を現在より複雑にすることはできます
        ボタンを押せないように、いっそう多くのみんなにあたえるのです
        それは不安定化ではありません。要するに分別です
        良心を護るのにいっそう役立つものです

 ウクライナ問題なんかでも”分別”のある行動こそが求められてるんでしょうかね・・・
 本書を始め世紀末のポリティカルフィクションって今読むとちょっとわかりにくい面もありますが、温故知新で読んでみるのもいいかも。”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで読むのがお勧めです(*7)。

《脚注》
(*1)カージナルというとアームストロング・オズマを  懐かしのスポ根マンガ”巨人の星”で星飛雄馬のライバル”アームストロング・オズマ”がセントルイス・カージナルスの選手という設定。大リーガーが日本に来ることはあっても日本人選手がアメリカまで出稼ぎに行くことのなかった時代のお話です、はい。
(*2)僧正殺人事件(ヴァン=ダイン、創元推理文庫)
 マザー・グースの詞に合わせて連続殺人事件が起こるという見立て殺人モノの傑作。
  だ~れが殺した、クック・ロビン♪
(*3)ライアンもの
 中央情報局(CIA)の分析官”ジャック・ライアン”を主人公とするトム・クランシーの小説シリーズ。主人公としては12作ですが、やっと4作読んだとこです。
(*4)レッド・オクトーバーを追え!(トム・クランシー、文春文庫)
 ソ連のタイフーン級原子力潜水艦”レッド・オクトーバー”の艦長”マルコ・ラミウス”がアメリカ亡命を企てる。彼の考えを見抜いたライアンはこの企てを成功させるべくる。原子力潜水艦”ダラス”に乗り込みラミウスに接触を図る・・・
 映画版でラミウスを演じたショーン・コネリーがとってもかっこいいです!
(*5)ハリソン・フォード
 この人は”パトリオット・ゲーム”などでジャック・ライアンを演じた人でもあります。”クレムリンの枢機卿”でラミウス艦長とライアンが会話するシーンがありますが、どうもコネリー&ハリソンになっちちゃうな~
 映画でコネリーと会話してたのはアレック・ボールドウィンなんですが・・・
(*6)ペレストロイカ
 ゴルバチョフ大統領が提唱した”再構築(改革)”運動。イコール民主化運動ってわけではないですが、本書の中でもナルモノフ書記長が同じようなこと言ってます。
(*7)”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで~
 両方とも絶版なんだな~ 面白いのに。図書館あたりだとたぶん置いていると思いますのでぜひどうぞ。

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