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2014年4月27日 - 2014年5月3日

この痩せさらばえた脚は間違いなくわしのものや。それが何で恥ずかしいものか(さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿/戦艦三笠)

 ども、とりあえず手足はまともに動くおぢさん、たいちろ~です。すぐ息切れするけど。
 さて、前回読んだ”さよならドビュッシー”の続きです。
 会社の読書好きな人の呑み会で中山七里が話題になって”さよならドビュッシー”読んだんですが、いや~ 1冊でベタにハマリましたね! ってことでさっそく2冊目を。この本の前日譚ということで”前奏曲(プレリュード)”なんですが、この主人公ってのが”さよならドビュッシー”のヒロイン香月遥のおじいちゃん”香月玄太郎”。なかなかにキャラが立ってて面白い人なんですが、”さよならドビュッシー”の冒頭に死んじゃう人。もったいないな~と思ってたら、こんな形で復活しますか! 
 ということで、今回ご紹介するのは”さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。横須賀三笠公園にある”戦艦三笠”です。
(右側にあるのは東郷平八郎像)

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【本】さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿(中山七里、宝島社文庫)
 香月地所の社長にして名古屋財界の大物”香月玄太郎”が脳梗塞で倒れた。九死に一生を得て、脚は動かなくなるものの奇跡的に復活。ところがこのおじいさん、口は悪いわ人を叱り飛ばすわ、警察を犬のごとくこき使うわととんでもない偏屈じじいだった。
 かくして介護士の”綴月みち子”とともに、玄太郎は殺人事件の解決に乗り出す。
【乗り物】戦艦三笠
 元日本海軍連合艦隊旗艦。司令長官東郷平八郎の指揮下1905年に日本海海戦でロシア海軍バルチック艦隊を撃滅したことでも有名。
 玄太郎がリハビリのため作っていたプラモデルがこれです。


 本書のサブタイトルになっている”要介護探偵の事件簿”ですが、玄太郎は”鬼警部アイアンサイド(*1)”よろしく”車椅子探偵”を気取りたかったようですが、みち子さんにあっさりスルーされ”要介護探偵なんてどうです?”で、このタイトル。
 でも、”要介護”から受ける印象、ぜんぜんないですな~~
 みち子さんが介護をするために初めて玄太郎の元を訪れた時の言葉

  玄太郎:どうした、この脚が今更珍しいかね
  みち子:珍しいですよ・・・ こんな風になった身体を見られても
      眉一つ動かさず平然としているのは 玄太郎さんぐらいです
      大抵の患者さんは怒ったり恥ずかしがったりするのに
  玄太郎:何や、そんなことか。しようもない。

       (中略)
      それにどう足掻こうが、どう取り繕うが 
      この痩せさらばえた脚は間違いなくわしのものや。
      正真正銘わしの一部や。それが何で恥ずかしいものか

 私もいつ身体が動かなくなるかわかりませんが、そんなんなってもこうありたいですね~~

 で、このみち子さん、玄太郎のリハビリに採用したのがなんと戦艦三笠のプラモデル(*2)。ながらくプラモデルなんか作ってないですが、確かに手先の訓練にはなりそうです。私もボケ防止にやってみようかしら。でもガンプラじゃ奥様に嫌われそうだしなぁ(*3)

 見事に復活した玄太郎ですが、探偵としてもなかなかのもの。会話や行動の中のちょっとした矛盾をヒントに犯人を捜し出す手腕はなかなかのもの。それにこのじいさん、すんごい物知りなですな。犯人との警察無線の会話なんて犯人たちが驚くほどマニアックだし、事故での破損個所から手抜き工事を見抜いたり、ワリコー(*4)の扱いから犯人が素人だと推測したりと、社長っていろいろ勉強したいとなれないんかな~ってくらい(たぶんに趣味の世界もありますが)
 こんだけ、面白いキャラなのにほんともったいない。普通の作家だったらこの人だけで何冊も小説書けそうなのに。罪滅ぼしに玲子さんの話も作ってくんないかな~(*5) あっ、この人も死んじゃったんだっけ・・・

 ”さよならドビュッシー前奏曲”は中編5作品を収録してますが、それぞれに傑作。登場編の”要介護探偵の冒険”、玄太郎のリハビリとリハビリにからんだ殺人計画を解決する”要介護探偵の生還”、車椅子でのカーチェイスを仕掛けて犯人を断定する”要介護探偵の快走”、最後に男気を見せる”要介護探偵と四つの署名”、”さよならドビュッシー”で探偵を務める岬洋介へのバトンタッチ編”要介護探偵最後の挨拶”など、それぞれに玄太郎のやりたい放題、魅力爆発のお話です(最後の挨拶だけはちょっとしんみりかな?)。ぜひご一読のほどを。

PS.
 前回の”さよならドビュッシー”のブログで読書好きな人の呑み会を”堕落した文芸部”と書きましたが、どうも”老人会の茶飲み話”だったようです。
 玄太郎が引きこもりの息子に同人会の話をきいた時の言葉

  大の大人が他人の描いたマンガの好き嫌いを勝手に喋くり合うだけじゃろ
  そんなもの老人会の茶飲み話とどこが違う


《脚注》
(*1)鬼警部アイアンサイド
 犯罪者に撃たれた銃弾のために下半身不随となったアイアンサイド警部(吹き替えは若山弦蔵)が事件を解決するというアメリカの警察TVドラマ。子供の頃見たな~~
 玄太郎は安楽椅子探偵うんぬん言ってますが、けっこうアクティブにあっちこっち現場に行ってたような印象あるんですが。
(*2)戦艦三笠のプラモデル
 そういや、飛行機ヲタクの同僚がなぜだか嬉々として戦艦三笠のプラモデルを作ってたな~ なんでも軍艦好きの知人がいるそうで、話題が盛り上がってたそうで。
 これだからヲタの人って・・・
(*3)ガンプラじゃ奥様に嫌われそうだしなぁ
 プラモデルってのも作品をディスプレイしたすと思いっきし場所ふさぎな趣味です。それでなくても狭い部屋に本がてんこ盛りなのにこれ以上場所をとるような趣味を始めたらぶ~たれるのは火を見るより明らか。ましてやガンダムではねぇ・・
(*4)ワリコー
 今はなき日本興業銀行が発行していた”割引興業債券”略して”ワリコー(割興)”。作中で資産隠しの話が出てきますが、前自民党副総裁の金丸信がワリコーを買ったなんてのがリアルにありましたねぇ。
 ”ワリコー”って最近聞かないな~と思ってたら日本興業銀行と合併したみずほ銀行が”割引みずほ銀行債券”として発行していたものの2007年3月をもって新規発行が終了されてました。
(*5)玲子さんの話も作ってくんないかな~
 玄太郎の長女にして”さよならドビュッシー”のもう一人のヒロイン片桐ルシアのお母さん。おそらく玄太郎のDNAをもっとも色濃く受け継いだ人。意識の戻らない玄太郎への
  起きろったら起きろよおおっ、このくそ爺いいっ!
は圧巻です。

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