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2013年12月29日 - 2014年1月4日

電子書籍が星の数ほどある名作たちと出会う扉となることです、だから欲し~よ~(重版出来/iPad)

 あけまして おめでとうございます、たいちろ~です。
 本年もよろしくお願いいたいます。
 さて、年始早々することもないので、郊外の大型書店&TSUTAYAに行って来ました。店内にはなんと楽天の”Kobo(*1)”の展示が! そ~か~、本屋さんも電子書籍とコラボする時代になったんだな~っと。そのあと行った家電量販店でも息子がiPADにハマりまくりだし。”Kindleも欲し~な~(*2)”とか言ってると奥様がめずらしく”買ってもいいわよ”とのお返事。なんでも先日行った海外旅行で、空港でタブレットを見ていた外人さんがすんごくカッコよかったとのこと。もっとも本音は増殖する本の量を少しでも抑えたいってとこでしょうが・・・
 ということで、今回ご紹介するのは出版業界での電子書籍の話題の出ている本”重版出来”であります。


Ipad0314
写真はたいちろ~さんの撮影。
ちょっと懐かしいiPad初期型です(2010年5月28日 銀座Appleストアにて)。


【本】重版出来(松田奈緒子、小学館)
 ”じゅうはんでき”ではなく”じゅうはんしゅったい”と読みます。
 出版社で働く新人女性編集者”小熊”こと”黒沢心”を中心に阪神タイガースの熱狂的なファンの編集長(*3)、人格者の社長、個性的な先輩、書店員、苦悩する漫画家達など本を売るためにかかわる人達を描いたマンガ。出版関連の本ってけっこう好きなのでよく読みますが、ここまで関連の人を広範囲に書いたのはめずらしいかも。
【道具】iPad
 Appleが販売するタブレットPC。上記の初期型から比べると最新の”iPad Air”はCPUの高速化に加え解像度4倍(1024×768ピクセル⇒2048×1536ピクセル)と高性能化にも関わらず重量2/3(680g⇒469g)、厚さ約半分(13.4mm⇒7.5mm)と2年半そこそこで長足の進歩。本読むだけでもいいから欲し~よ~


 さて”重版出来”ですが、年をとってきた漫画家の復活の話や、かつては売れていたが今は零落している漫画家の家族の話、社長が若い時に出会った”聖なる預言者”の話など”え~話や!”ってエピソードが多いんですが、そういう話は他の人が書きそうなんで、ちょっと視点を変えて電子書籍をめぐるお話なぞ。

 私が知らんかっただけかもしれませんが、電子書籍とか漫画家や編集者のSNSのことをちゃんと扱った漫画を読んだのってこれが初めてなんですね。なんせこのブログ書いてる人がい~かげん年をとってきてるのでわりと古い本のことも書いてるんですが、Amazon.comで探しても”出品者からお求めいただけます=絶版(*4)”ってのがけっこうあって。小説なんかだと図書館を探せばなんとかなるものもありますが、漫画だとそれも難しい。そういった人には電子書籍化ってのはありがたいんですが、出版社と電子書籍をする人の対立みたいのが長く続いてて、最近やっと改善してきた状況(*5)。

 本書の中で、大家っぽい岸和田先生ってのが、過去の作品を電子書籍書籍化して”名作アーカイブ”を作るって話に対し

  和田先生:私は過去の作家じゃないぞ、現役だ!! 
       連載ももっとる!! 書店で売ってる!!

        (中略)
  編集者 :残念ながら 今だに・・・ 電子書籍を「都落ち」と思っている、
       作家さんや読者さんがおられます。
       しかし実際には「電子書籍でなければ漫画を読まない層」も出てきており
       無視できない数にのぼっております

        (中略)
       何より素晴らしいのは この一枚(電子ブックリーダー)が、
       星の数ほどある名作たちと出会う扉となることです
       充電さえしていれば、場所を選ばない、国を選ばない、時間を選ばない
       この巨大な図書館に、先生の作品群を置かせていただきたいんです

 この和田先生って人は現実対処能力が高いのか、その後印税の話を初めて”ま、いいか”って了解してこれてます。また別のエピソードでは牛露田先生ってのが

  牛露田先生:電子書籍だのなんだの・・・
        あんな小さな画面で1コマ1コマ漫画は読むもんじゃねえ!
        漫画は紙で読むもんだ!!

 これに対して、編集の人は

  編集者 :ただ、昔からの作家さんは---
       紙に対する思い入れが強いゆえに、電子書籍が苦手な先生も多くて・・
       なかなか許可がもらえなかったり。
       紙にも電子にも特性があって、
       両立させたほうが出版界も出版物も豊かになると思うんだけど。

なんだかこれを読んでて、似たような話があったな~と思ってたら、これって映画からテレビへの過渡期の状況とよく似てるんですね。”映画は映画館で見るもんだ!”という作り手のプライドとか、映画の全盛期に各社専属の監督、俳優の引き抜きを禁止する既得権益の保護のための”五社協定”とか。これにより追放されたり嫌ったりした才能が当時普及・拡大期にあったテレビに流れてって、映画産業の衰退とテレビ業界の盛隆につながったんですね。まあ、現時点と同じ”娯楽の多様化の時代(*6)”でうまく流れを作ったテレビと旧来に固執した映画の違いの相似形のような・・・
 まあ、コマ割の違いとかSNSによる作家とファンの関係性の変化とかいろいろあるんでしょうが、温故知新を含めて新しい時代にあった娯楽を提供していったモンの勝ちなんでしょうかね。

 ”重版出来”は前から気になってたんですが、背中を押したのが日経新聞のプラス1で”マンガを読んで仕事を知ろう(2013年12月28日版)”のテーマでぶっちぎりの1位になってたのを読んだから(このあたりがオールド世代?!)。なんせ、2位の”島耕作シリーズ(弘兼憲史 講談社)”、3位の”宇宙兄弟(小山宙哉 講談社)の約1.5倍の525ポイント!(*7) この記事で読む人増えて重版されると嬉しいです。でも、電子書籍になると印刷量を増やすっていう”重版”そのものが無くなるんでしょうねぇ。そういった意味ではそれはそれで時代の変わり目ではあるのかもね。

 あ~、電子書籍、欲しいよ~~
 iPadかKindleか迷うなぁ~~


《脚注》
(*1)Kobo
 楽天の子会社で電子ブックリーダーと電子書籍を販売する会社名及び、そこから販売されているタブレット型リーダー。何でもできるというより”本を読む”という機能に重点を置いてるようです(ex 電池が長持ちする電子ペーパーの採用)
(*2)Kindle
 ”Kindle”はAmazon.comが販売する電子ブックリーダー端末と電子書籍関連サービス。Amazonでの扱い本数が多いのが魅力。欲し~よ~
(*3)阪神タイガースの熱狂的なファンの編集長
 調べてみると、松田奈緒子のダンナさんて西原理恵子の漫画で熱狂的な阪神タイガースファンの編集者としていじられキャラだった”新保信長(南信長)”なんだとか。狭い業界だ・・・
(*4)出品者からお求めいただけます=絶版
 古書だからといって必ずしも安いとはかぎらないのも難点。先日”ハレンチ学園 (永井豪 徳間コミック文庫)”をBOOKOFFの105円棚で見つけたのでまとめて買いましたが、これがAmazon.comだと安いので6巻セットで3,400円、状態の良い物だと1万円近くします、はい。
(*5)最近やっと改善してきた状況
 てか、出版社や著者者が”さすがにヤバイ”と思いだしたってことかも。
 ちなみに著作物を電子書籍へダウンロードさせることの権利保護を”電子出版権”とする方針を文化庁が決定したのが2013年12月20日。14年の通常国会に法改正案を提出する予定だそうです。 
(*6)娯楽の多様化の時代
 YouTubeやiTunesといった映像・音楽系、パズドラ(やったことないけど)みたいなゲーム、facebookやツイッターといったSNSまで入れりゃ、スマホいっちょで楽しめる娯楽なんて山のようにあります。最近、通勤電車の中でスマホを見てる人はいっぱいいますが、新聞や本を読んでる人がへったような感じがするのは気のせいでしょうか?
(*7)なんせ、2位の”島耕作シリーズ”~
 一般の感覚とちょっとズレてる感があるのは、選者が小野耕世、竹内オサムといった評論家や、電子書籍のバイヤー、本屋さん、編集者、漫画館館長といったその筋の専門家の人だからかも。でも、確かな選択だったと思いますよ。

ビッグデータって使い方を気をつけないとけっこうアブナイ側面も(ビッグデータの正体/スーパーコンピュータ”京”)

 ども、意外と流行語に弱いおぢさん、たいちろ~です。
 年末になると”ユーキャン新語流行語大賞”なるものが発表されます。2013年度は”今でしょ!”、”お・も・て・な・し”、”じぇじぇじぇ”、”倍返し”と過去最多の4語が選出されました(*1)。
 まあ、流行り廃りは世の常ですが、私のやってるコンピュータ業界だと今年の流行語大賞が”ビッグデータ”でしょうか? この”でっかいデータってなんやねん?”と一度ちゃんと本を読もうと思ってたんですが、それが今回ご紹介する”ビッグデータの正体”であります。


Photo
写真は富士通のhpより。理化学研究所に導入されたスーパーコンピュータ”京”です。


【本】ビッグデータの正体
 (ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ、講談社)
 原書のサブタイトル”A Revolution That Will Transform How We Live, Work, and Think(私達の生活、仕事、意識を変えていく革命)”とあるようにビッグデータが私達を変えていくという状況を解説した本。ビクター・マイヤーはネット上に誤ったデータでもネット上に永遠に残ってしまう現状を指摘し”忘却される権利”という概念を提示した人でもあります。
【道具】スーパーコンピュータ”京”
 文部科学省の次世代スーパーコンピュータ計画の一環として、理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピュータの愛称。計算速度が毎秒1京回できるから。2011年に世界最高速を達成しました。


 ぶっちゃけ、”京”のような想像もできないような超高速コンピュータが登場する一方、個人でもテラバイトクラスのハードディスクが買える昨今(*2)、何を今さら”ビッグデータなん?”と思ってましたが、どうもそうじゃないみたいです。そりゃ確かにGoogleのような世界中のhpが検索でき、facebookみたく世界の人々がお友達状態になる世の中ですが、こういった情報の爆発的な増大とそれを扱えるシステムとの組み合わせで今まで見えないものが見えてくるんだとか。
 本書によると、ビッグデータによる変化ってのは以下の3つだそうです

  第一の変化:すべてのデータを扱う
  第二の変化:精度は重要ではない
  第三の変化:因果から相関の世界へ

 簡単に言うと、第一の変化はコスト的や時間的な問題でサンプリング調査しか出来なかったものが、Googleやfacebookなどに沢山のデータ(ビッグデータ)が蓄積されていてそれをハンドリングできるシステムが実現した、第二の変化はオリジナルのデータの精度(正確さ)がまちまちなので細かい事は気にしない、第三の変化は分析して出てくるのはあくまで相関や頻度の結果であって”なぜそうなるのか=因果関係”までは提示されないってことのようです。
 まあ、ビッグデータとは言いませんが、いちおうデータ分析みたいな仕事もやっているんで、明細データベースでおっかけないとわからない事も多いし、10億円単位の将来予測をやるのに数十万円単位で精度を期待しても意味ないし、”なんでやねん?!”みたいなのって結局人間の想像力を働かせないと出てこない(まあ、データ使って類推と検証はやりますが)ので、経験的にはなるほどと思う事も多数あります。

 でも、ビッグデータ(とそのビジネス)って使い方を気をつけないとけっこうアブナイ側面も。


〔ビッグデータだけでなく付帯的なデータ(知識)も重要〕
 Googleとかで検索すると”○○ではありませんか?”みないなメッセージを見る事があります。これは入力ミスや言葉の思い違いを指摘してくれてるんですが、こういう辞書機能みたいなのって、あまり話題になりませんが実はGoogleのすごい強みなんじゃないかと。本書でもマンホール火災の分析で記録形式がばらばらで苦労した話がでてきますが、これ、とってもよくわかります。
 昔、売上の過去明細データ(数十万件ぐらいあったかな?)から商談の相関分析をやったことがあります。まあ、相関の可視化ツールみたいなのが使えたんで遊んでみようかと。で、みごとに挫折しましたね~~ なぜなら、類語辞書が無かったから。逆にいうとこれ作んないと役に立たないとわかったから。たとえば自由に入力可能な商談件名から”携帯電話”を引っ張ってこようとすると、”携帯電話”、”ケータイ”、”ガラケー”、みたいな一般名称から”らくらくホン、AQUOS、VIERA、Cyber-shot”みたいな商品名称までを同じ”携帯電話”として認識をさせないと使えないんですね。ましてやスマートフォンを携帯電話に入れるか入れないかなんて利用目的によって違うし。こんなんを汎用的な辞書として作るのがと~~っても大変なのって、データ見てからわかりました


〔因果関係って作っとかないといけないんじゃ?〕
 ビッグデータをブン回して出てくるのはあくまで相関関係であって因果関係じゃありません、当たり前だけど。本書のなかでgoogleが検索データからインフルエンザの流行を予測したって話が出て来ますが、これってたぶんビッグデータ利用でイメージするものに近いんでしょうが、”なぜインフルエンザが流行するか?”には答えてないんですね、当然だけど。それは医者や科学者のお仕事。
 本書の中でクリス・アンダーソン(*3)の”理論の終焉”ってのを紹介してます

  厖大なデータと応用数学の組み合わせが、あらゆるツールにとってかわる
  十分なデータがあれば、数字自体が何かを語りだす
  ペタバイト(のデータ)があれば『相関で十分』と言える

 さすがに挑発的すぎたのかすぐに主張を取り下げたそうですが、一面真実で一面暴論でしょうね。人間は”因果関係を知りたがる生き物”なんだそうですが、いいじゃないですが、理論の構築したがっても(たまには屁理屈だったりしますが・・・)
 ビッグデータを分析する人のことを”analyst(アナリスト 分析家)”ではなくて”curator(キュレーター)”(*4)というんですが、こういうアカデミックへのみょ~な対立構造みたいになんなきゃいいんですがねぇ・・


〔結果はあくまで”確率的”であって、必ず”そうなる”わけではない〕
 べつにビッグデータに限らずですが、統計分析の結果ってのはあくまで確率的分布であって約束された未来ってわけではないです。昔”犯罪を犯したヤツは必ずもう一度犯罪を犯す”という信念のもと、元犯罪者を追っかけまわす刑事の話なんてのがありました。フィクションの世界でやってる分にはエンタテインメントで済みますが、これが”ビッグデータにより検証された”なんつ~ことになってくるとかなりアブナイ。予防措置と更生支援のバランスをどこでとるかは難しいでしょうが、行きすぎると”ロンブロ~ゾ~~~”(*5)の世界になっちゃいます。

 まあ、ビッグデータが流行語に終わるか社会に定着するかはわかりませんが(*6)、まあ、ビックデータをビックブラザー(*7)にしない為にも知っとくにこしたことはない話。コンピューター関連の本って流行りもんにヨイショするのが多いですが、本書はビックデータの功罪とりまぜてバランスの取れてる本だと思います。

 てなことをつらつら書きながら”来年もよろしく”で締めようとしたら、おおっ、もう年が明けているではないか!!
 ということで、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします


《脚注》
(*1)”今でしょ!”、”お・も・て・な・し”~
 今でしょ!:予備校の現代文の林修先生がCMで使った言葉
 お・も・て・な・し:オリンピック招致の最終プレゼンでの滝川クリステルの言葉
 じぇじぇじぇ:NHKの朝ドラ”あまちゃん”より。驚いた時の岩手県久慈市の方言
 倍返し:池井戸潤の小説を原作としたTBSドラマ”半沢直樹”の堺雅人の言葉
こういうのも書いとかないと3年もたちゃわかんなくなるかもしれないし・・・
(*2)個人でもテラバイトクラスのハードディスクが買える昨今
 wikipediaによると米国議会図書館の情報の総量がおおむね100テラビット=12.5テラバイトだそうです。パソコン用の4テラバイトのハードディスクが2万円そこそこですから、容量の点だけでいえば、図書館の全情報が6~7万円程度で格納できる計算になります、はい。
(*3)クリス・アンダーソン
 アメリカの雑誌”Wired”の元編集長で”ロングテール”という概念を提唱した人。”ロングテール”、”フリー”、”メイカーズ”なんつ~本を出してますが、けっこう面白いです。
(*4)curator
 美術館や博物館などで、展示する作品の企画から運用まで全般を請け負う仕事。日本語では”学芸員”と訳されますが、それよりは仕事の範囲が広いんだそうです。
 わかりやすく知りたければ”ギャラリーフェイク(細野不二彦、小学館)”なんかをどうぞ。
(*5)ロンブロ~ゾ~~~
 ご年配の方には”黄金バット”に登場する犯罪者”ナゾー”の雄たけびを連想されるかもしれませんが、”ローンブローゾ”は実在するイタリアの犯罪人類学の創始者。厖大なデータを検証して犯罪者は先天的に犯罪者になるという”生来的犯罪人説”を提唱した人です。
(*6)ビッグデータが流行語に終わるか社会に定着するかはわかりませんが
  テクノロジーが主導するバブルとその崩壊の繰り返しを
  「過熱(ハイプ)のサイクル」と呼んでいる。
  「行きすぎた期待のピーク」のあとに、「幻滅の谷間」が訪れる。
  そして、「悟りの坂」を登って最後に「生産性の大地」に行き着くという。

 ガードナーグループの言葉(”メイカーズ(クリス・アンダーソン)”より抜粋)
(*7)ビックブラザー
 ”ビックブラザー”はジョージ・オーウェルの”1984年”に登場する独裁者の名前ですが高度なネットワークによる監視社会のアナロジーとしての意味合いもあります。
 そう言えば、この本もまだ読んでないな~~

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