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少子・高齢化への対応は”撤退戦”であり、どこに”防衛線”を設定するかが重要です(地方消滅/七人の侍/ブラックホール)

 ども、毎年本部方針を策定しているおぢさん、たいちろ~です(これは本当)。
 この手のモンはお決まりのフォマーットてものがありまして、だいたいは

   環境分析 ⇒ SWOT分析(*1) ⇒ 基本戦略の決定 ⇒ 具体的な施策

という手順でやります。
 で、この”環境分析”の中に出てくるお約束のワードに”少子・高齢化”ってのがあります。生産年齢人口(*2)が減る、将来の生産年齢人口=子供が減る、非生産的で介護が必要な高齢者が増えることにより社会構造が急速に変化するぞ、だからそんな社会で成長を続けるにはどんな戦略が必要かなんつ~議論をやるわけです。そんなことやってる時に”消滅可能性都市が896自治体”なんていうニュースがでました。で、これは読んでみねばなるまい、ということで、今回ご紹介するのはこのレポートを作成した日本創成会議座長、増田寛也編集による”地方消滅”であります。


写真はブラックホールの概念図。すばる天文台のHPより。

Photo_2

【本】地方消滅(増田寛也、中公新書)
 このまま推移すると急激な人口減少に遭遇すると”消滅可能性都市”は896自治体、49.8%に及ぶ、といういう日本創成会議のによるレポートをわかりやすくまとめた本。サブタイトルが”東京一極集中が招く人口急減”とあるように、出生率の問題だけでなく都市/地方の格差問題なんかも取り上げています
 発表当時はかなりセンセーショナルに報道されましたが、みんな薄々感じてたことを名指しであからさまにダメ出しくらってちょちょまっているってのが本当のとこじゃないでしょうか?
【DVD】七人の侍(監督 黒澤明、主演 志村喬、三船敏郎、東宝)
 戦国時代、盗賊と化した野武士に襲われた村はある決断をする。”侍を雇って野武士を退治する”と。そして初老の浪人”島田勘兵衛(志村喬)”、山犬のような男”菊千代(三船敏郎)”ら七人の侍が村を守りるために集まった・・・
 今なお絶大な人気を誇る黒澤明監督による日本映画の金字塔。
【自然】ブラックホール
 質量の大きな恒星が進化した最晩年の天体の一種。質量の大きな星はその重力により周りのものをすいよせながら星自体が縮小限界が来て一気にはじけ飛んじゃいます(超新星爆発)。そのあとに残るのが中心核が中性子でできている中性子星。
 これよりさらにでかい恒星だと光さえ脱出できない星”ブラックホール”になります。(wikipediaより要約。合ってるかな、これで)


 ”消滅可能性都市”というのは子供を産む”20~39歳の女性人口”を説明変数にして、この人口が50%以下になる自治体で、急激な人口減少に見舞われることになります。非常に話を単純化すると、将来の人口というのは

  将来の総人口=現在人口 + 人口移動 + 出生者数 - 死亡者数
   人口移動=他の自治体から入ってくる人数 - 他の自治体へ出ていく人数
   出生者数=20~39歳の女性人口 × 出生率
   死亡者数=高齢者を中心に死亡する人数

という計算式になります。で地方と東京圏の人口の推移メカニズムというと

〔地方における若年人口の減少〕
 高度経済成長やバブル経済期に地方の若者は都市圏に移動した
 低成長期には地方で若者の雇用状況が悪化し、地方から都市圏へ若者が移動した

〔極点社会と、都市圏における出生率(新生児数)の低下〕
 人口移動に伴い、東京圏への人口増の一極集中(極点社会)が発生した
 若者が集中した都市圏は、非正規雇用の増大に代表される経済的な不安定、親の子育て支援が期待できない、女性の社会進出などなどによる晩婚化、未婚人口の増加(*3)、出生率の低下(東京の出生率は全国最低の1.06)で少子化が進展

〔高齢化率の上昇〕
 若者の減少と高齢者層の増加により総人口における高齢化率上昇。特に東京圏はかつて流入した若者層が高齢化し2040年には388万人の高齢者(高齢者率 35%)が発生する。

〔若年人口減少+高齢者の死亡による総人口の現象〕
 上記の結果により都市、地方でタイムラグがあるものの総人口そのものが減少

ということになります。
 まあ、若者が超重力の星に吸い込まれるように集中して、その星がボン! あとに残るのはさらに周りの物を限りなく吸い込んでしまうブラックホールだけみたいな・・・
 この本を読んであらためてわかったのは生産年齢人口(労働者)だけでなく総人口も急速に減ってくってこと。仮に出生率を上げる施策が成功して2030年に人口を維持するに必要な2.1を実現しても(現在は1.43)、人口減少が9,900万人で安定するのはさらに60年後の2090年になるんだとか。つまり、当面(てか相当長い間)人口はどうしようもなく減り続けるんですな。

 じゃあどうするかというので、ユニークな論だと思ったのは当面(てか相当長い間)は人口減少を前提に対応を”撤退戦”と位置づけ、”防衛・反転線”をどこに設定するかを考えるという点。ぶっちゃけ生産人口は減少するし、経済のポテンシャルを決める総人口は減るんだから成長戦略なんか言ってないで、出生率を上げるとともに、東京への一極集中を回避するための”ダム機能”を有する中核都市にリソースを集中して適度な分散を図ろうってことです(だいぶ丸めて書いてますが)
 まあ、言うは易し行うは難し、総論賛成各論反対になりそうな話ではありますが。”話はわかったが、で、おらの村はどうなんだっけ?!”ってなことになりそうだなぁ

 この話を読んで思い出したのが不朽の名作”七人の侍”です。”リーダーシップ育成セミナー”なんかだと、勘兵衛のリーダーシップがど~のとか七人の侍のチーム力がこ~のだとか出てくるおぢさん大好きなネタのあれです。
 この映画の中であんまし取り上げられない(てか、私はあんまし聞いたことない)ネタにこんなのがあります。野武士が攻めてくる村を防衛するために勘兵衛は川を防衛線として設定、離れ屋までは守りきれないからという理由で橋向うの離れ屋と長老の住む水車小屋を引き払うよう指示する。当然、橋向うに住む茂助は反対するワケです

  茂助 :へっ、ばかばかしくって話にならねえ
      おう、橋向うの者は ここさ来い! みんな、投げれ
      自分の家捨てて人の家守るためにこんな物かつぐこたあねえ!
      来い! おら達はおら達だけで家守るだ!
      (槍を捨てて、自分の家に走り帰ろうとする百姓)
  勘兵衛:待て! この槍をとれ! 列へ戻れ!
      (刀を抜いて、百姓を追う勘兵衛)
  勘兵衛:離れ屋は三つ、部落の家は二十だ
      三軒のために、二十軒を危うくはできん
      また、この部落を踏みにじられて 離れ屋の生きる道はない
      いいか、戦とはそういうものだ 人を守ってこそ自分も守れる
      己のことばかり考える奴は 己をも滅ぼす奴だ!
      今後 そういう奴は・・・

と村人を前に説得(てか、抜き身の刀もって脅しかけてる?)するんです。まあ、全体最適のために一部の民意に逆らって強硬にでも政策を進めるリーダーシップってのはこれぐらいやらないとうまくいかないんでしょうなぁ。今年(2014年)の年末になんの為かわからん総選挙があるようですが、こんだけ気骨のある政策を掲げて立候補する政治家が(以下自主規制)

 どっちにしても、グーローバル化や新規マーケットの拡大とかはあっても当面(てか相当長い間)は高度な成長を期待するのは難しいわけです。だから、相変わらず右肩上がりのビジネス戦略なんて作っちゃいけないんじゃないかなぁ 偉い人は聞いてくれなさそうだけど・・・

 ”地方消滅”は現代日本の抱える問題をわかりやすく説明した本。孫子の代まで祟られないためにもぜひ読んどいた方がいいです。

《脚注》
(*1)SWOT分析
 戦略策定に考慮すべき要因を内部(自分自身による要因)と外部(環境による要因)に分けて、内部”強み(Strengths)”、”弱み(Weaknesses)”、”機会(Opportunities)”、”脅威(Threats)”の4つのカテゴリーで分析するもの。やってみるとわかりますが、”それって、ホントに強みかよ?”とか、”これ、今や弱みじゃね?!”ってのがけっこうあったりなんかします。
(*2)生産年齢人口
 生産活動に従事する年齢の人口のこと。日本では15歳以上65歳未満の人。おいおい、年金もらえず65歳まで働けって織り込み済みかよ!
(*3)晩婚化、未婚人口の増加
 あまり議論されることないんですが、結婚生活に期待するスタートアップコストがかなりあがってるんじゃないかと。私が子供の頃って、家は六畳四畳半長屋、風呂は銭湯、家具はと言えばタンス一竿に水屋にちゃぶ台、これで一家四人で生活してましたが、今のお嬢様方にこっからスタートするってのは根性がいるでしょうなぁ。だいたい安月給の20代の男にトレンディードラマ(死語)のような新婚生活を期待するのは無茶ぶりってモンじゃないかと・・・


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