« 少子・高齢化への対応は”撤退戦”であり、どこに”防衛線”を設定するかが重要です(地方消滅/七人の侍/ブラックホール) | トップページ | あれ長いですよね? 大丈夫! たったの2クール(先輩には頭が上がらない!/サザエさん) »

いろいろ検索するって行動(とその表示された結果)の意味に自覚的でなければいかんってことです(閉じこもるインターネット/ヤシ)

 ども、GoogleもYahoo!も大変お世話になってるおぢさん、たいちろ~です。
 この手のブログを書いていると、けっこう調べ物をすることが多いんですが、GoogleやYahoo!はとっても重宝しています。言葉調べから政府の統計データまで、一昔前なら相当でかい図書館に行かなければ分かんないような事柄がホイホイ判るんですから、そりゃ便利です。
 で、ちょっと気になったことが。先日、豪華客船で世界一周するといくらかかるかを検索たんですが、それ以来HPのトップページに”飛鳥Ⅱ(*1)”のCMが表示されるようになったんですな。貧乏サラリ~マンがそんなもん乗れるわきゃないのになんでだろ~なんでだろ♪ で、その謎を解明すべくこの本を読んでみました。
 ということで、今回ご紹介するのはインターネット検索の裏側を書いた本”閉じこもるインターネット”であります。


 

写真はたいちろ~さんの撮影。神戸キャナルシティのヤシの実です

0156


 

【本】閉じこもるインターネット(イーライ・パリサー、早川書房)
 インターネットで検索をするとその人が調べたい内容を表示してくれる。では、その後ろに何があるのか、好みの言葉を上位に並べることで何が起こるのか? 一見便利なフィルタリング技術が生み出すモノの裏にある陥穽とは・・・
 アメリカのリベラル系市民政治団体”ムーブオン”の理事会長 イーライ・パリサーによる”フィルターバブル問題”を扱った本。
 サブタイトルは”グーグル・パーソナライズ・民主主義”
【花】ヤシ(椰子)
 単子葉植物ヤシ目 ヤシ科に属する植物の総称。
 固い皮におおわれた”ヤシの実”ができるのが特徴。この実から油を取ることができて(ココヤシからはヤシ油、アブラヤシからはパーム油)、この油にカセイソーダを混ぜると石けんができます。うたい文句に”植物由来”とか書いてあると、こういった材料を使っていることが多いんだとか。


 

 先に言っときますが、この本の題名から受けるイメージと内容について、若干ズレてました(少なくとも私にとっては)

〔邦題:閉じこもるインターネット
 いや、最初にタイトル見た時、インターネットを見て引きこもりになってる人の話かと思いました。アメリカに引きこもりいるかどうか知らんけど(インドア派のヲタクはいそうだけど)

〔原題:The Filter Bubble(フィルターバブル)
 本書の内容はこの”フィルターバブル”の話なので、とってもストレート。でも日本でこれ言うと”検索エンジンの会社のバブル景気”みたいに思われそうだよな~~

〔原題サブタイトル:
  What the Internte Is Hiding for You
  (インターネットがあなたから隠しているもの)〕
 おそらく、この本の内容を最も的確に表してるんじゃないかと。

 すいません、前置きな長くなりました。
 イントロで”飛鳥ⅡのCMが”云々の話を書きましたが、今のインターネットやSNSって見る人によって表示される内容が違うんだそうです。パーソナライズといって個人のの嗜好や必要性によってカストマイズされてるんだとか。検索エンジンでいうと、過去の検索したワードなどから、”この人はたぶんこんなことに興味があるんだろう”とサイトが判断してそれらしい言葉を上位に表示する。たとえば、”バブル”という単語に対し経済的な検索が多ければ”バブル景気みたいなのが出てくるし、美容とかばっか検索してると”石けん”の話が出てくるみたいな。SNSだと、まあ、類友の集まりで”いいね”やってるとニュースフィールドでは自分に近い意見が多く表示されるとか。実際本書で別々の人にこれ表示されると全然違うのが表示されたんだそうで。日本の事例に引き直すと、原発推進者のSNSには推進派の、反対者には反対派の意見がさも多数のように見えるみたいなモンでしょうか。
 このような状態をフィルター(検索)でできたバブルに包まれインターネットに浮かんでいるとして”フィルターバブルに包まれている”という風に行ってます。まあ石けんの泡(バブル)ぐらいだったら外は見れるし、つつけばパチンと弾けそうですが、行き着くとこまでいっちゃうと、ヤシの実みたく固くなっちゃうんでしょうか?

 まあ、検索エンジンの進化そのものは便利になっていいんですがそれはそれとしてやっぱりデメリットもあるわけで、ざっと並べるとこんな感じ。

・自分用にパーソナライズされたフィルターを通しているので、情報が選択的
・自分に近い人が集まる求心力が働いて、それが世間だと思いがち
・逆にそれ以外の人に対しては遠心力となる(離れていく)

・フィルター自体は目に見えず、利用者が無自覚
・検索結果を個人側から取り消すことができない
(忘れる権利のバリエーション?)
・意外な出会いが少なくなるので、好奇心やセレンディピティ(探しているものとは
 別の価値を見つける能力)が下がる

・検索エンジンの開発者そのものが、なぜその結果が出たのかからなくなってきている
 (結果責任がとれない?)
・検索やSNSが私企業のビジネス(ガバナンス)に任されている
・検索の結果を誘導/偏向させることができる
 (インターネットの広告がビジネスになってんだから)
・意見が誘導可能なら、民主主義そのものをゆがめる可能性すらある

 まあ、こうやって見ると利便性の裏にあるヤバイ話ではありそうです。別に”必ずこうなる”的なもんではないですが、民衆がちゃんと自覚的に意見をもって見てく必要があるというのが市民政治団体の理事会長であるパリサーの主張。
 有川浩の”図書館戦争(*2)”で、犯人の思想を調べるのに刑事が図書館に貸出履歴を要求するのに対し、図書基地司令が毅然として断るってシーンがあるんですが、人が何に興味を持っていて、調べたり本を買ったり借りたりするってかなりセンシティブば個人情報なんでしょうが、確かに無自覚ではありますなぁ

 出版時期のせいか(*3)、本書では言及されてませんが根っこが同じ話に”ビッグデータ”があるんじゃないかと。インターネット検索がフロントだとすると、発生した膨大なデータをバックヤードで分析してるのが”ビッグデータ”。だとすると真にヤバイ話の本質はこっちだったりして。”ビックデータ”は科学技術の発展やパーソナライゼーション(裏を返せばマーケティング)の高度化などメリットも大きいけど、ソーシャルデータ分析なんかでSNSやブログの発言、検索傾向見て”こんなことやってる奴は潜在的な危険思想の持ち主の傾向が高い”なんて言い出すんでしょうかね~ そうすると、こんなブログ書いてる私なんか、一発でひっかかりそうだなぁ
 新しい技術は新しい発展を生み出すとともに、新しい悩み事も発生させるんでしょうかね

 本書を読んでると、いろいろ検索するって行動(とその表示された結果)の意味に自覚的でなければいかんってのがよくわかります。ご一読のほどを

《脚注》
(*1)飛鳥Ⅱ
 郵船クルーズ(日本郵船の子会社)が運航している外航クルーズ客船。日本籍では最大の客船です(2014年11月現在 wikipediaより)
 なんで、こんなの調べたかというと、”未来において宇宙移民をするのに費用はいくらかかるか?”というしょ~もないコト考えたから。今回検索したからまたCM出るんだろうなぁ・・・
 ちなみに、飛鳥Ⅱで世界一周104日間の旅に出るとひとり420万円から2,634万円ほどかかります、はい
(*2)図書館戦争(有川浩、角川文庫)
 公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制するために”メディア良化法”された日本。その実行部隊である良化特務機関(メディア良化隊)から図書館の自由を守るべく結成された図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)。女性初の隊員”笠原郁”は関東図書基地司令”稲嶺和市”の指揮のもと、上官の”堂上篤”らとともに戦いを挑む・・
 文句なしに面白い有川浩の小説。榮倉奈々、岡田准一主演で映画化されました。
(*3)出版時期のせいか
 本書のアメリカでの出版が2011年。ビッグ・データがいつ頃生まれたワードかはわかりませんが、オバマ政権が”ビッグ・データ・リサーチ・イニシアティブ”を発表したのが2012年だそうですので、たぶんそのちょっと前あたりでしょうか?


 

« 少子・高齢化への対応は”撤退戦”であり、どこに”防衛線”を設定するかが重要です(地方消滅/七人の侍/ブラックホール) | トップページ | あれ長いですよね? 大丈夫! たったの2クール(先輩には頭が上がらない!/サザエさん) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528774/60699336

この記事へのトラックバック一覧です: いろいろ検索するって行動(とその表示された結果)の意味に自覚的でなければいかんってことです(閉じこもるインターネット/ヤシ):

« 少子・高齢化への対応は”撤退戦”であり、どこに”防衛線”を設定するかが重要です(地方消滅/七人の侍/ブラックホール) | トップページ | あれ長いですよね? 大丈夫! たったの2クール(先輩には頭が上がらない!/サザエさん) »

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ