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2014年11月

メガソーラーのケーブル盗難って、今どきあんたらアパッチ族ですか!(日本アパッチ族/大阪砲兵工廠跡地)

 ども、さすがにアパッチ族をリアルタイムに見てたほどおぢんではないおぢさん、たいちろ~です。
 先日ニュースをみてたら滋賀県でメガソーラーのケーブル盗難が相次いでるとのこと(*1)。まあ、銅が高く売れるってことらしいですが、なんでメガソーラーかっつ~と

  銅線が野外に大量に置いてある
  敷地面積が広く管理者の目が届きにくい
  立地場所が人里離れた場所にあって犯行が目立たない

からだとか。まあ、ハイテクなメガソーラーに銅泥棒というローテクな組み合わせがユニークなニュースなんでみょ~に印象に残る話だったんですが、この話を聞いた第一印象って

  今どき、あんたらアパッチ族ですか!

 ということで、今回ご紹介するのは日本SFの巨匠小松左京の処女長編”日本アパッチ族”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
大阪砲兵工廠跡地の大阪ビジネスパークに建つTWIN21(大阪ツインタワー)です。戦前・戦中派の大阪人にとっては隔世の感があるんでしょうなぁ

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【本】日本アパッチ族(小松左京 ハルキ文庫他)
 終戦前後の大阪、憲法改正により成立した失業罪により大阪砲兵工廠跡地に追放刑となった木田福一。死に瀕した彼を救ったのは大酋長”二毛の親分”こと二毛次郎をリーダーとする”アパッチ族”、鉄を食う人達だった・・・
【旅行】大阪砲兵工廠跡地
 大日本帝国陸軍の兵器工廠(造兵廠)の跡地。現在でいうと大阪ビジネスパーク(OBP)、大阪城公園の一部、JR森ノ宮電車区あたりです。(地図はwikipediaより)
 1980年代後半にOBPでアメリカ軍の不発弾が発見されたので撤去あたって避難するってのがありました。なかなか戦後が終わってなかったって話です。

Photo

 ”アパッチ族”てのは終戦直後の大阪砲兵工廠跡に出没したくず鉄泥棒のことです。さすがにリアルタイムに見てた世代ではないんですが、なぜこんなの知ってるかというと小松左京の小説”日本アパッチ族”読んでたから。初めて読んだのって高校の時だったかなぁ(*2)

 久しぶり読んでみたんですが、改めて小松左京の力量の凄さを感じましたなぁ 9ケのさもありそうな理屈をコネることで、1ケのありえないことをマジで信じさせるって。小松左京の名作”日本沈没”や”復活の日”なんかもそうですがやっぱりSFはこうあるべきだと(*2)。”日本沈没”のテーマは”日本人が国を失い放浪の民族になったらどうなるのか”だそうで、そのために日本列島を沈めちゃう、で、地球物理学を引っ張り出してプレート・テクトニクスがど~のこ~のとか大技かましてみんなを丸めこんじゃう手法だったし(*4)。

 ”日本アパッチ族”では、”鉄を食べる人類の発生”がキーワードになってます。実際にはありえなさそうなネタですが、いかにこれを納得(ひょっとしたらありえるかもしれん!)と思わせるのがポイントです。で、どうやってるかというとこんな感じ(かなりネタバレです)

〔鉄を食べる人類の発生〕
 実際に鉄を酸化させ、そのエネルギーで代謝し活動する”鉄バクテリア”とか、石油を食べて増殖する微生物ってのは存在します。まあ、高等生物レベルでありうるかというと、牛みたいに草の繊維を分解する細菌類と共生関係にあるのもいるし。
 ”日本アパッチ族”では、食鉄細菌の存在を示唆するにとどまってますが、その代わりアパッチの体の生理とか構造変化、セックスにいたるまでけっこう専門用語をてんこもり、まるまる1節使ってご説明。さらに他に食べものがないという極限状態で、鉄を食べちゃう=生き残るための生理の変化みたいなのを並べ立ててます。こんなことされると”ひょっとしたらありえるかもしれん!”と思っちゃいます

〔追放刑の成立〕
 追放刑となった木田福一。じゃあなぜ”追放刑”なる法律が成立したかというと死刑の廃止とセットでどさくさ紛れに成立しちゃったという設定。まあ、死刑廃止という人道主義的な議論に目がくらんで、追放刑が隠れちゃってるというワケ。でも、この手の政治手法ってありそうなんだよな~ 福祉や年金財政を改善するために消○税増税しちゃうみたいな・・・(*5) こんな状況を提示されると”ひょっとしたらありえるかもしれん!”と思っちゃいます

〔追放された=弾圧された人々による自治権の獲得〕
 元々は”追放したあとは自由にやってくれ”という趣旨だったのが、いろいろ理屈つけて国家が弾圧(ってか完全にジェノサイト)するってのはどうなのよって心理にもってくのはさすが。実際に抑圧かどうかはさておき、自治権の確立ってのは心理としては普遍的なようで、イ○ラー○国の樹立宣言だとか、台○の民主化デモとか今でもやってるもんなぁ 武力弾圧を進める政府や軍部に対し平和的解決を求めるアパッチみたいな構図になると”ひょっとしたらありえるかもしれん!”と思っちゃいます

〔アパッチ大戦争の発生〕
 で、結局政府・軍部VSアパッチ族の間で戦争が発生します
 この”大アパッチ戦争”の原因となるのが実は鉄鋼産業をめぐる状況があったりなんかします。鉄鋼不況や国際競争の激化、さらにアパッチ族の生み出す良質ローコストな鉄鋼(なんせ糞が良質の鉄鋼!)の供給がからんで鉄鋼関連企業が結託して裏で糸を引くって内容です。鉄鋼をめるぐ経済状況にアパッチ族の生理をえんえんんと語られてます。
 そもそも戦争(及び戦線の拡大)の原因の一つに経済的要因があるわけで、ましてや
本書が書かれた1964年は終戦後から20年、まだまだ戦前・戦中派が多数派だし、”鉄は国家なり(*6)”がまだまだ通じたころですから、今以上にリアリティがあったんでしょうなぁ
 当時の人に”鉄鋼産業をめぐる攻防が・・”みたいな話をすると”ひょっとしたらありえるかもしれん!”と思っちゃったんじゃないかと(ちょっとくどいか)

 ”日本アパッチ族”は文句なしに面白い小説。
 ”日本沈没”や”復活の日”を先に読んだら(まあ、ほとんどの人がそうでしょうが)、この本って”日本沈没”なんかのセルフパロディーかと思っちゃいそうですが、実はこっちの方が先に出版されてます。さすがに小松左京、初期のころから凄かったんですねぇ

《脚注》
(*1)滋賀県でメガソーラーのケーブル盗難が相次いで~るとのこと
 滋賀県内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)で7月以降、銅製の送電用ケーブルの盗難が多発している。特に10月に入って5施設が相次いで被害を受けた。県もメガソーラーの住所の公表を控えるなど対策に乗り出している(京都新聞hp 2014年10月24日より抜粋)
(*2)初めて読んだのって高校の時だったかなぁ
 初出は1964年出版の光文社カッパノベルス。今の若い人が読むと世相風俗が分かりにくいかもしれませんが、おぢさん世代にはちょっとノスタルジーにひたれるかもしれません
(*3)”日本沈没”や”復活の日”なんかもそうですが
日本沈没
 大規模な地殻変動により日本列島が沈む。日本政府はD計画を発動し日本人を全世界に脱出させるべく奔走する・・・
 1970年代SFを代表する傑作。1973年、2006年に映画化
復活の日
 スパイによって持ち出された猛毒性ウイルスが事故により拡散、人類のほとんどが死滅した。僅かに生き残った人達を救うため、南極に向けられたミサイルの発射を阻止すべく吉住はアメリカに向かう・・・
 映画化されたのは1980年と”日本沈没”より後ですが、長編小説としては”日本アパッチ族”に次ぐ2作目。すごいです
(*4)地球物理学を引っ張り出して~
 1973年版の映画で山本総理に日本沈没の理論を説明する地球物理学者役で竹内均東大教授(本人)が登場。けっこうマジです。
 現在、大規模地震が発生するとニュースに出てくる”ユーラシアプレートの下に太平洋プレートが沈み込んでうんぬん”の説明を違和感なく理解できるのはたぶんこの作品のせいではないかと
(*5)福祉や年金財政を改善するために~
 個人的には財政健全化のためには消○税増税もやむなしという立場なんですが。むしろ選挙のために増税先送りにしてセットで福祉関連法案をうやむやにしちゃう方が問題ではないかと・・・
(*6)鉄は国家なり
 オリジナルはドイツの首相ビスマルクの演説より。かつては鉄鋼産業は国家の基幹産業だったわけです。今でこそあんまり言いませんが、私が入社した30年前って基幹産業といえば”かねへん(金属機械産業)、いとへん(繊維産業)”がまだ通用するの時代でしたし。

あれ長いですよね? 大丈夫! たったの2クール(先輩には頭が上がらない!/サザエさん)

 ども、アニメはDVDで観る派のおぢさん、たいちろ~です。
 先日、今年度入社の新人との呑み会で”休日の過ごし方”という話題になりました。で、新人のひとりのお答えが

  

録画した深夜アニメをまとめて観る

でした。まあ、人様の趣味に文句を言うつもりはないですが、深夜アニメの見過ぎで遅刻しないように録画してるのはサラリーマン的にはOK!ですが、20代の若い男性としてその行動はどうなのよ?! って感じです。
 ふと思ったんですが、アニメをまとめて観るってそんなにできるもんかいな? てな話題が最近読んだ漫画に出てました。
 ということで、今回ご紹介するのはOLで隠れヲタクの登場する4コマ漫画”先輩には頭が上がらない!”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。福島の花見山にあったサザエさん花壇。
見えんこともないですが、ちょっと苦しい?!

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【本】先輩には頭が上がらない!(イーライ・パリサー、早川書房)
 Webデザイン会社の新入社員”時任くん”は隠れオタク。先輩で上司の”迎さん”は仕事のできる美人OL。ひょんなことから迎さんも隠れオタクってことがバレちゃって。秘密を共有する二人はなんとなく良い仲に・・・
 ”榊”による癒し系OL4コママンガ。おもしろいですよ~
【TV】サザエさん
 1969年10月放映開始、ギネスブック認定のアニメの長寿番組。今でも平均視聴率が20%を超えていて、フジテレビ系列の”27時間テレビ”でも中止にならない鉄板の番組です。
 ”サザエさん”を見終わると”翌日からまた通学・仕事をしなければならない”と憂鬱になる”サザエさん症候群”という言葉があるぐらいで、これが終了したら”あまロス”や”タモロス”どころの騒ぎじゃないだろうな~~


 さて、”先輩には頭が上がらない!”の中にこんなエピソードが出てきます。
迎さんから今度の日曜日にアニメの劇場版を観に行こうと誘われた時任くん。でも、その番組を時任くんは見ていなくて。で二人の会話

  時任くん:その、僕、本編見てなかったんですよね
  迎さん :あー わかった! DVD全巻貸してあげるから
       土曜日に全部見てきなさい これでOK
  時任くん:えっ!? あれ長いですよね?
  迎さん :大丈夫! たったの2クール

 ”クール”ってのは放送用語で四半期(3ケ月)つまり12回分、2クールだと24回ってことになります。1回あたりの時間が26分換算だとこの4コマのタイトルにある”624分”になります。
 まあ、10時間半を”たったの”と言いきっていいかどうかはありますが、逆に言うと今のアニメってぶっとおしならまあ1日に見切れなくはないんだってことです。おぢさん世代ってもっとアニメって長いモンって印象がありまして。

 で、アニメってどれぐらいの回数やってるかを印象に残ってるのとか話題になったので調べてみました。我ながらヒマだな~~
 (出典はwikipediaより。ファーストシーズンの期間のみ。*は現在も放映中)

〔1960年代〕
 番組名              回   開始年   備考
・鉄腕アトム               193 1963  日本初の本格的な1話30分の連続TVアニメ
・鉄人28号                  84  1963  3か月後に新作13話が放送され、全97話
・8マン                     56  1963
・狼少年ケン                86  1963
・ジャングル大帝           52  1965
・スーパージェッター      52 1965
・魔法使いサリー        109  1966
・悟空の大冒険           39  1967   原作  手塚治虫
・サイボーグ009          26  1968
・巨人の星                182  1968
・ひみつのアッコちゃん   94  1969   
・サザエさん            2,250* 1969   継続放送中、50話×45年で計算
・タイガーマスク         105 1969

〔1970年代〕
・ルパン三世            23  1971   全23話で放送打ち切り
・天才バカボン             40  1971
・科学忍者隊ガッチャマン
                             105  1972
・マジンガーZ              92  1972
・ドラえもん                26* 1973   現在放映版は1979年より
・宇宙戦艦ヤマト          26  1974   企画書では全52話、放送決定時には全39話に短縮
・アルプスの少女ハイジ   52  1974   世界名作劇場
・タイムボカン              61  1975   『タイムボカンシリーズ』第一作
・ポケットモンスター     158* 1997    アドバンスジェネレーションに続く
・機動戦士ガンダム      43  1979   全52話の予定が全43話で打ち切り

〔1980年代〕
・うる星やつら            195  1981
・Dr.スランプ アラレちゃん
                    243 1981
・魔法のプリンセス ミンキーモモ
                     63  1982   
・キン肉マン              137  1983
・タッチ                   101 1985   
・ドラゴンボール         153  1986   ドラゴンボールZに続く
・それいけ!アンパンマン
                  1,243* 1988   継続放送中、11月21日現在
・機動警察パトレイバー  47  1989   OVA(初期)は7話、1988年

〔1990年代〕
・ちびまる子ちゃん      142* 1990    現在放映版は1995年より
・クレヨンしんちゃん     844*  1992    継続放送中、11月21日現在
・美少女戦士セーラームーン
                              46  1992   
・SLAM DUNK        101  1993   
・キャッツ・アイ             73  1983   
・北斗の拳                109  1984   北斗の拳2に続く
・名探偵コナン           758* 1996   継続放送中、11月8日現在
・こちら葛飾区亀有公園前派出所
                            400  1996   8.5年放映から推計
・ONE PIECE         628* 1999    継続放送中

〔2000年代~〕
・機動戦士ガンダムSEED
                   50 2002   
・ケロロ軍曹              357  2004   
・ふたりはプリキュア      49  2004   
・灼眼のシャナ             24  2005  原作 高橋弥七郎
・涼宮ハルヒの憂鬱       14  2006  原作 谷川流
・半分の月がのぼる空     6  2006  原作 橋本紡
・Fate/stay night     24  2006  原作  奈須きのこ / TYPE-MOON
・らき☆すた                24  2007   
・ひだまりスケッチ         14  2007  第1期   
・けいおん!                 14  2009  第1期
・戦国BASARA         12  2009  原作 CAPCOM
・魔法少女まか☆マギカ  12  2011   
・STEINS:GATE        24  2011  原作  5pb./Nitroplus
・這いよれ! ニャル子さん 12  2012  原作 逢空万太 第1期
・中二病でも恋がしたい!13  2012  原作 虎虎、第1期
・宇宙戦艦ヤマト2199  26 2013  『宇宙戦艦ヤマト』第1作リメイク版

チョシ~のって書いてたら長くなってすいません。
で、こうやって見るとなんとなくこんな感じでしょうか
 ※あくまで個人の感想です(*1)

〔やっぱし昔のアニメって長かった〕
 全部を調べた訳ではないですし、長くやってたから記憶に残ってるからかもしれませんが、昔のアニメって1~2年はざらにやっていたようです(短いものもあったんでしょうが、あんまし覚えていません)
 思うに、DVDどころかVHS(死語)すらなかった時代(*2)、認知度を上げようとするとある程度の期間放映しないといけなかったのかもしれません。
 ちなみに、私の友人の友人に”うる星やつら”のコンプリートLDボックスを買った奴がいて、全話見ると約84.5時間(*3)、1日10時間ぶっ通しで観ても9日近くかかります。ホントにやったらはっきりいってアホの子です。

〔ストレートバンチ型からジャブ型へ〕
 反対に短いのが最近のアニメ。深夜枠で話題になるのなんてこれでしょうか。なんかの本で読んだんですが、最近は1クールやってみて、DVDを早めに出して資金回収して、売れたら又作るってのがビジネスモデルだとか。。”○○、第二期作成決定!”ってやつです。昔は一発狙いのストレートパンチから、ジャブを打って様子を見るってことでしょうか。アニメも言ってみればギャンブル性の高いジジネスなんで、リスクヘッジとしちゃありなんでしょうが、大河ドラマ的なのは作りにくくて、小粒なものになっちゃうんでしょうなぁ

〔空振りしたら打ち切り、でも再び立ち上がった奴は勝ち〕
 長くやってるのはヒットしたからでしょうが、短かいからといってビックコンテンツに成長しないかと言うとまた別。”ルパン三世”、”宇宙戦艦ヤマト”、”機動戦士ガンダム”なんて当初の段階ではもっと長かったのに視聴率低迷で打ち切り。ヤマトがイスカンダルに行くのに25回かかっているのに帰りが1日だったりとか、ガンダムの後半がみよ~にバタバタしているのはこのせい?
 これらの作品は今やクールジャパンの代表選手になってるから世の中わかりません

〔長いのはスポーツもの&1990年代の勝ち残り〕
 ざっと見てみると、スポーツものって長いですな。60年代の”巨人の星”や”タイガーマスク”、70年代の”キン肉マン”や”タッチ”(スポーツものか?)、80年代の”キャプテン翼(*4)”、90年代の”SLAM DUNK”などなど。スポーツもんって根幹が”成長の物語”で、敵がどんどん出てくりゃとんどん長くなるのかも
 あと今でもやってるのって横綱”サザエさん”や”ドラえもん”、”ポケモン”を別格にすれば90年代あたりの生き残りでしょうか?

〔原作が漫画からラノベ、ゲームへ〕

 こうやって眺めると、昔のアニメって神様手塚治虫をはじめ、漫画が原作って多かったような。おおむね週刊で進む漫画が原作だと、アニメが原作に追いついちゃうなんてのもありましたなぁ(*5)
 最近はもっぱらラノベにゲーム。ラノベは普通の小説と比べて出版時にビジュアルが確定しているのでやりやすいんでしょうか? ゲームも攻略ルートでバリエーション作り易そうだし

 なんだか、長くなりましたがやっぱし昔のアニメって長かったような気がしますねぇ

PS.
 時任くんは23時45分までかかって全巻観終わってます。私だったら絶対翌日のデートで寝てるだろうなぁ・・・


《脚注》
(*1)あくまで個人の感想です
 夜中の通販でダイエット器具や健康食品のインタビューでは必ずこの文言が(小さく)はいってます。逃げ打ってます、すいません。
(*2)DVDどころかVHS(死語)すらなかった時代
 どのあたりで一般化したかは難しい問題ですが、VHSは1980年代の前半ごろ、DVDはPlayStation 2に搭載されたあたりだったので2000年代前半ってとこでしょうか。この真ん中にあったLD(レーザーディスク)が1990年代前半あたりかなぁ
(*3)全話見ると約84.5時間
 ”先輩には頭が上がらない!”で1回26分に合わせて計算しましが、実際はもうちょっと短いかな、番組によるけど。
 もし仮にサザエさんコンプリートボックスなんか出ようものなら(でないと思うけど)同じノリなら975時間、3ケ月半近くかかります。
(*4)キャプテン翼
 表には私が見たことあるのだけ載せたので入れてません。表以外でメジャー所だと”キャプテン翼 28回、1983年)”、”NARUTO 220回、2002年)”、”鋼の錬金術師 51回 2003年)”、”銀魂 201回、2006年”なんてのがあります
(*5)アニメが原作に追いついちゃう~
 先日、リアルタイムでアニメの”タッチ”を観てたお嬢さんと話をしたんですが、達也が南に愛の告白をするのって公衆電話(死語?)だと。これって、原作では河原で本人が面と向かって言ってるんですな。この違いって、原作の連載が伸びてアニメが追いついちゃったからだとか(「アニメージュ」で杉井ギサブロー総監督のコメントにあるそうです)


いろいろ検索するって行動(とその表示された結果)の意味に自覚的でなければいかんってことです(閉じこもるインターネット/ヤシ)

 ども、GoogleもYahoo!も大変お世話になってるおぢさん、たいちろ~です。
 この手のブログを書いていると、けっこう調べ物をすることが多いんですが、GoogleやYahoo!はとっても重宝しています。言葉調べから政府の統計データまで、一昔前なら相当でかい図書館に行かなければ分かんないような事柄がホイホイ判るんですから、そりゃ便利です。
 で、ちょっと気になったことが。先日、豪華客船で世界一周するといくらかかるかを検索たんですが、それ以来HPのトップページに”飛鳥Ⅱ(*1)”のCMが表示されるようになったんですな。貧乏サラリ~マンがそんなもん乗れるわきゃないのになんでだろ~なんでだろ♪ で、その謎を解明すべくこの本を読んでみました。
 ということで、今回ご紹介するのはインターネット検索の裏側を書いた本”閉じこもるインターネット”であります。


 

写真はたいちろ~さんの撮影。神戸キャナルシティのヤシの実です

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【本】閉じこもるインターネット(イーライ・パリサー、早川書房)
 インターネットで検索をするとその人が調べたい内容を表示してくれる。では、その後ろに何があるのか、好みの言葉を上位に並べることで何が起こるのか? 一見便利なフィルタリング技術が生み出すモノの裏にある陥穽とは・・・
 アメリカのリベラル系市民政治団体”ムーブオン”の理事会長 イーライ・パリサーによる”フィルターバブル問題”を扱った本。
 サブタイトルは”グーグル・パーソナライズ・民主主義”
【花】ヤシ(椰子)
 単子葉植物ヤシ目 ヤシ科に属する植物の総称。
 固い皮におおわれた”ヤシの実”ができるのが特徴。この実から油を取ることができて(ココヤシからはヤシ油、アブラヤシからはパーム油)、この油にカセイソーダを混ぜると石けんができます。うたい文句に”植物由来”とか書いてあると、こういった材料を使っていることが多いんだとか。


 

 先に言っときますが、この本の題名から受けるイメージと内容について、若干ズレてました(少なくとも私にとっては)

〔邦題:閉じこもるインターネット
 いや、最初にタイトル見た時、インターネットを見て引きこもりになってる人の話かと思いました。アメリカに引きこもりいるかどうか知らんけど(インドア派のヲタクはいそうだけど)

〔原題:The Filter Bubble(フィルターバブル)
 本書の内容はこの”フィルターバブル”の話なので、とってもストレート。でも日本でこれ言うと”検索エンジンの会社のバブル景気”みたいに思われそうだよな~~

〔原題サブタイトル:
  What the Internte Is Hiding for You
  (インターネットがあなたから隠しているもの)〕
 おそらく、この本の内容を最も的確に表してるんじゃないかと。

 すいません、前置きな長くなりました。
 イントロで”飛鳥ⅡのCMが”云々の話を書きましたが、今のインターネットやSNSって見る人によって表示される内容が違うんだそうです。パーソナライズといって個人のの嗜好や必要性によってカストマイズされてるんだとか。検索エンジンでいうと、過去の検索したワードなどから、”この人はたぶんこんなことに興味があるんだろう”とサイトが判断してそれらしい言葉を上位に表示する。たとえば、”バブル”という単語に対し経済的な検索が多ければ”バブル景気みたいなのが出てくるし、美容とかばっか検索してると”石けん”の話が出てくるみたいな。SNSだと、まあ、類友の集まりで”いいね”やってるとニュースフィールドでは自分に近い意見が多く表示されるとか。実際本書で別々の人にこれ表示されると全然違うのが表示されたんだそうで。日本の事例に引き直すと、原発推進者のSNSには推進派の、反対者には反対派の意見がさも多数のように見えるみたいなモンでしょうか。
 このような状態をフィルター(検索)でできたバブルに包まれインターネットに浮かんでいるとして”フィルターバブルに包まれている”という風に行ってます。まあ石けんの泡(バブル)ぐらいだったら外は見れるし、つつけばパチンと弾けそうですが、行き着くとこまでいっちゃうと、ヤシの実みたく固くなっちゃうんでしょうか?

 まあ、検索エンジンの進化そのものは便利になっていいんですがそれはそれとしてやっぱりデメリットもあるわけで、ざっと並べるとこんな感じ。

・自分用にパーソナライズされたフィルターを通しているので、情報が選択的
・自分に近い人が集まる求心力が働いて、それが世間だと思いがち
・逆にそれ以外の人に対しては遠心力となる(離れていく)

・フィルター自体は目に見えず、利用者が無自覚
・検索結果を個人側から取り消すことができない
(忘れる権利のバリエーション?)
・意外な出会いが少なくなるので、好奇心やセレンディピティ(探しているものとは
 別の価値を見つける能力)が下がる

・検索エンジンの開発者そのものが、なぜその結果が出たのかからなくなってきている
 (結果責任がとれない?)
・検索やSNSが私企業のビジネス(ガバナンス)に任されている
・検索の結果を誘導/偏向させることができる
 (インターネットの広告がビジネスになってんだから)
・意見が誘導可能なら、民主主義そのものをゆがめる可能性すらある

 まあ、こうやって見ると利便性の裏にあるヤバイ話ではありそうです。別に”必ずこうなる”的なもんではないですが、民衆がちゃんと自覚的に意見をもって見てく必要があるというのが市民政治団体の理事会長であるパリサーの主張。
 有川浩の”図書館戦争(*2)”で、犯人の思想を調べるのに刑事が図書館に貸出履歴を要求するのに対し、図書基地司令が毅然として断るってシーンがあるんですが、人が何に興味を持っていて、調べたり本を買ったり借りたりするってかなりセンシティブば個人情報なんでしょうが、確かに無自覚ではありますなぁ

 出版時期のせいか(*3)、本書では言及されてませんが根っこが同じ話に”ビッグデータ”があるんじゃないかと。インターネット検索がフロントだとすると、発生した膨大なデータをバックヤードで分析してるのが”ビッグデータ”。だとすると真にヤバイ話の本質はこっちだったりして。”ビックデータ”は科学技術の発展やパーソナライゼーション(裏を返せばマーケティング)の高度化などメリットも大きいけど、ソーシャルデータ分析なんかでSNSやブログの発言、検索傾向見て”こんなことやってる奴は潜在的な危険思想の持ち主の傾向が高い”なんて言い出すんでしょうかね~ そうすると、こんなブログ書いてる私なんか、一発でひっかかりそうだなぁ
 新しい技術は新しい発展を生み出すとともに、新しい悩み事も発生させるんでしょうかね

 本書を読んでると、いろいろ検索するって行動(とその表示された結果)の意味に自覚的でなければいかんってのがよくわかります。ご一読のほどを

《脚注》
(*1)飛鳥Ⅱ
 郵船クルーズ(日本郵船の子会社)が運航している外航クルーズ客船。日本籍では最大の客船です(2014年11月現在 wikipediaより)
 なんで、こんなの調べたかというと、”未来において宇宙移民をするのに費用はいくらかかるか?”というしょ~もないコト考えたから。今回検索したからまたCM出るんだろうなぁ・・・
 ちなみに、飛鳥Ⅱで世界一周104日間の旅に出るとひとり420万円から2,634万円ほどかかります、はい
(*2)図書館戦争(有川浩、角川文庫)
 公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制するために”メディア良化法”された日本。その実行部隊である良化特務機関(メディア良化隊)から図書館の自由を守るべく結成された図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)。女性初の隊員”笠原郁”は関東図書基地司令”稲嶺和市”の指揮のもと、上官の”堂上篤”らとともに戦いを挑む・・
 文句なしに面白い有川浩の小説。榮倉奈々、岡田准一主演で映画化されました。
(*3)出版時期のせいか
 本書のアメリカでの出版が2011年。ビッグ・データがいつ頃生まれたワードかはわかりませんが、オバマ政権が”ビッグ・データ・リサーチ・イニシアティブ”を発表したのが2012年だそうですので、たぶんそのちょっと前あたりでしょうか?


 

少子・高齢化への対応は”撤退戦”であり、どこに”防衛線”を設定するかが重要です(地方消滅/七人の侍/ブラックホール)

 ども、毎年本部方針を策定しているおぢさん、たいちろ~です(これは本当)。
 この手のモンはお決まりのフォマーットてものがありまして、だいたいは

   環境分析 ⇒ SWOT分析(*1) ⇒ 基本戦略の決定 ⇒ 具体的な施策

という手順でやります。
 で、この”環境分析”の中に出てくるお約束のワードに”少子・高齢化”ってのがあります。生産年齢人口(*2)が減る、将来の生産年齢人口=子供が減る、非生産的で介護が必要な高齢者が増えることにより社会構造が急速に変化するぞ、だからそんな社会で成長を続けるにはどんな戦略が必要かなんつ~議論をやるわけです。そんなことやってる時に”消滅可能性都市が896自治体”なんていうニュースがでました。で、これは読んでみねばなるまい、ということで、今回ご紹介するのはこのレポートを作成した日本創成会議座長、増田寛也編集による”地方消滅”であります。


写真はブラックホールの概念図。すばる天文台のHPより。

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【本】地方消滅(増田寛也、中公新書)
 このまま推移すると急激な人口減少に遭遇すると”消滅可能性都市”は896自治体、49.8%に及ぶ、といういう日本創成会議のによるレポートをわかりやすくまとめた本。サブタイトルが”東京一極集中が招く人口急減”とあるように、出生率の問題だけでなく都市/地方の格差問題なんかも取り上げています
 発表当時はかなりセンセーショナルに報道されましたが、みんな薄々感じてたことを名指しであからさまにダメ出しくらってちょちょまっているってのが本当のとこじゃないでしょうか?
【DVD】七人の侍(監督 黒澤明、主演 志村喬、三船敏郎、東宝)
 戦国時代、盗賊と化した野武士に襲われた村はある決断をする。”侍を雇って野武士を退治する”と。そして初老の浪人”島田勘兵衛(志村喬)”、山犬のような男”菊千代(三船敏郎)”ら七人の侍が村を守りるために集まった・・・
 今なお絶大な人気を誇る黒澤明監督による日本映画の金字塔。
【自然】ブラックホール
 質量の大きな恒星が進化した最晩年の天体の一種。質量の大きな星はその重力により周りのものをすいよせながら星自体が縮小限界が来て一気にはじけ飛んじゃいます(超新星爆発)。そのあとに残るのが中心核が中性子でできている中性子星。
 これよりさらにでかい恒星だと光さえ脱出できない星”ブラックホール”になります。(wikipediaより要約。合ってるかな、これで)


 ”消滅可能性都市”というのは子供を産む”20~39歳の女性人口”を説明変数にして、この人口が50%以下になる自治体で、急激な人口減少に見舞われることになります。非常に話を単純化すると、将来の人口というのは

  将来の総人口=現在人口 + 人口移動 + 出生者数 - 死亡者数
   人口移動=他の自治体から入ってくる人数 - 他の自治体へ出ていく人数
   出生者数=20~39歳の女性人口 × 出生率
   死亡者数=高齢者を中心に死亡する人数

という計算式になります。で地方と東京圏の人口の推移メカニズムというと

〔地方における若年人口の減少〕
 高度経済成長やバブル経済期に地方の若者は都市圏に移動した
 低成長期には地方で若者の雇用状況が悪化し、地方から都市圏へ若者が移動した

〔極点社会と、都市圏における出生率(新生児数)の低下〕
 人口移動に伴い、東京圏への人口増の一極集中(極点社会)が発生した
 若者が集中した都市圏は、非正規雇用の増大に代表される経済的な不安定、親の子育て支援が期待できない、女性の社会進出などなどによる晩婚化、未婚人口の増加(*3)、出生率の低下(東京の出生率は全国最低の1.06)で少子化が進展

〔高齢化率の上昇〕
 若者の減少と高齢者層の増加により総人口における高齢化率上昇。特に東京圏はかつて流入した若者層が高齢化し2040年には388万人の高齢者(高齢者率 35%)が発生する。

〔若年人口減少+高齢者の死亡による総人口の現象〕
 上記の結果により都市、地方でタイムラグがあるものの総人口そのものが減少

ということになります。
 まあ、若者が超重力の星に吸い込まれるように集中して、その星がボン! あとに残るのはさらに周りの物を限りなく吸い込んでしまうブラックホールだけみたいな・・・
 この本を読んであらためてわかったのは生産年齢人口(労働者)だけでなく総人口も急速に減ってくってこと。仮に出生率を上げる施策が成功して2030年に人口を維持するに必要な2.1を実現しても(現在は1.43)、人口減少が9,900万人で安定するのはさらに60年後の2090年になるんだとか。つまり、当面(てか相当長い間)人口はどうしようもなく減り続けるんですな。

 じゃあどうするかというので、ユニークな論だと思ったのは当面(てか相当長い間)は人口減少を前提に対応を”撤退戦”と位置づけ、”防衛・反転線”をどこに設定するかを考えるという点。ぶっちゃけ生産人口は減少するし、経済のポテンシャルを決める総人口は減るんだから成長戦略なんか言ってないで、出生率を上げるとともに、東京への一極集中を回避するための”ダム機能”を有する中核都市にリソースを集中して適度な分散を図ろうってことです(だいぶ丸めて書いてますが)
 まあ、言うは易し行うは難し、総論賛成各論反対になりそうな話ではありますが。”話はわかったが、で、おらの村はどうなんだっけ?!”ってなことになりそうだなぁ

 この話を読んで思い出したのが不朽の名作”七人の侍”です。”リーダーシップ育成セミナー”なんかだと、勘兵衛のリーダーシップがど~のとか七人の侍のチーム力がこ~のだとか出てくるおぢさん大好きなネタのあれです。
 この映画の中であんまし取り上げられない(てか、私はあんまし聞いたことない)ネタにこんなのがあります。野武士が攻めてくる村を防衛するために勘兵衛は川を防衛線として設定、離れ屋までは守りきれないからという理由で橋向うの離れ屋と長老の住む水車小屋を引き払うよう指示する。当然、橋向うに住む茂助は反対するワケです

  茂助 :へっ、ばかばかしくって話にならねえ
      おう、橋向うの者は ここさ来い! みんな、投げれ
      自分の家捨てて人の家守るためにこんな物かつぐこたあねえ!
      来い! おら達はおら達だけで家守るだ!
      (槍を捨てて、自分の家に走り帰ろうとする百姓)
  勘兵衛:待て! この槍をとれ! 列へ戻れ!
      (刀を抜いて、百姓を追う勘兵衛)
  勘兵衛:離れ屋は三つ、部落の家は二十だ
      三軒のために、二十軒を危うくはできん
      また、この部落を踏みにじられて 離れ屋の生きる道はない
      いいか、戦とはそういうものだ 人を守ってこそ自分も守れる
      己のことばかり考える奴は 己をも滅ぼす奴だ!
      今後 そういう奴は・・・

と村人を前に説得(てか、抜き身の刀もって脅しかけてる?)するんです。まあ、全体最適のために一部の民意に逆らって強硬にでも政策を進めるリーダーシップってのはこれぐらいやらないとうまくいかないんでしょうなぁ。今年(2014年)の年末になんの為かわからん総選挙があるようですが、こんだけ気骨のある政策を掲げて立候補する政治家が(以下自主規制)

 どっちにしても、グーローバル化や新規マーケットの拡大とかはあっても当面(てか相当長い間)は高度な成長を期待するのは難しいわけです。だから、相変わらず右肩上がりのビジネス戦略なんて作っちゃいけないんじゃないかなぁ 偉い人は聞いてくれなさそうだけど・・・

 ”地方消滅”は現代日本の抱える問題をわかりやすく説明した本。孫子の代まで祟られないためにもぜひ読んどいた方がいいです。

《脚注》
(*1)SWOT分析
 戦略策定に考慮すべき要因を内部(自分自身による要因)と外部(環境による要因)に分けて、内部”強み(Strengths)”、”弱み(Weaknesses)”、”機会(Opportunities)”、”脅威(Threats)”の4つのカテゴリーで分析するもの。やってみるとわかりますが、”それって、ホントに強みかよ?”とか、”これ、今や弱みじゃね?!”ってのがけっこうあったりなんかします。
(*2)生産年齢人口
 生産活動に従事する年齢の人口のこと。日本では15歳以上65歳未満の人。おいおい、年金もらえず65歳まで働けって織り込み済みかよ!
(*3)晩婚化、未婚人口の増加
 あまり議論されることないんですが、結婚生活に期待するスタートアップコストがかなりあがってるんじゃないかと。私が子供の頃って、家は六畳四畳半長屋、風呂は銭湯、家具はと言えばタンス一竿に水屋にちゃぶ台、これで一家四人で生活してましたが、今のお嬢様方にこっからスタートするってのは根性がいるでしょうなぁ。だいたい安月給の20代の男にトレンディードラマ(死語)のような新婚生活を期待するのは無茶ぶりってモンじゃないかと・・・


ジェインは俺の嫁! または嫉妬するコンピューター(エンダーの子供たち/ペケニーノの樹)

 ども、私のアイウアはどこにあるんでしょう? のおぢさん、たいちろ~です。
 DVD版”エンダーのゲーム”(*1)から始まった ”エンダー・シリーズ”。やっと完結編です。長かったよ~ 長かったよ~ なんせ文庫で7冊分(*2)。
 ということで、今回ご紹介するのはやっと完結しましたオースン・スコット・カードの”エンダー・シリーズ”の第四作”エンダーの子供たち”であります。
(今回もかなりネタバレですのでご注意ください)


写真はたいちろ~さんの撮影。ペケニーノの樹です
って、そんなわけありません。尾瀬の鳩待峠付近のうろ(洞)のある樹です。

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【本】エンダーの子供たち(オースン・スコット・カード、ハヤカワ文庫)
 デスコラーダを破壊すべく発進した粛清艦隊は惑星”ルジタニア”の目前に迫ってきた。知的生命体”ペケニーノ”、かつて人類を滅亡の淵に追いやった”バガー”の”窩巣女王”、そして”エンダー”たち人類。彼らはそれぞれに生存の道を探っていた。
 エンダーの義理の息子”ミロ”とエンダーの無意識が生み出した”ヴァレンタイン”は移住する惑星を探しに、同じく生み出された”ピーター”と植民星パスを離れた”シー・ワンム”は宇宙を統べる”スターウェイズ議会”を動かして破壊命令を止めようとしていた。そんな中、コンピューターの中に生まれた知性”ジェイン”はその機能を停止させられようとしていた。そして、”死者の代弁者”ことエンダーの行動は・・・
【花】ペケニーノの樹
 ”エンダー・シリーズ”に登場する架空の樹木。父樹はペケニーノの死体から生えてきて、生前のペケニーノの知性を引き継ぎ(第三の生)、母樹はその中の 空洞(うろ)でペケニーノの幼体を育てるという設定。人間も閉じ込められるそうなので、写真のような感じでしょうか?


 とまあ、あらすじを書いてはみましたが、本編では”エンダー”はほとんど良いとこなし。奥さんは教会に逃げ込んでセックスレス宣言だし、最後は”アイウア”が抜け出ると死んじゃって塵になっちゃうという”ドラキュラか、あんたは!(*3)”な最後だし・・
 で、完結編でキーパーソン(コンピューターだけど)に躍り出たのが”ジェイン”でしょうか。ジェインはアンシブル・ネットワークという宇宙の間でタイムラグなしに会話できるというコンピューターの中に生まれた知性。元々はエンダーのやってたコンピューターゲーム(美少女ゲームじゃないです)から発生した一種の人工知能ですが、ちょっと違うのは上記にも出てくる”アイウア”というのを持っています。”アイウア”てのはエンダーの世界では自分が自分であるための”魂”みたいなもんと思ってください。完結編では”スターウェイズ議会”が”ジェイン”=コンピューターネットワークを停止させる前にいかにアイウアを含めて”ジェイン”のバックアップをとるか、いかに復活させるかというのがキーの一つになってます。

 結果的には、ジェインのアイウワは生き残り新しいネットワークに再度インストールされるんですが、ジェインが生き残るために入った場所というのがエンダーの無意識によって生み出された若い”ヴァレンタイン”の中。言ってみれば、バーチャルな存在だった”俺の嫁”が生きている身体を獲得したようなもんです。
 しかしまあ、”ジェイン”てのはけっこうモテモテなんですな。エンダーが奥様の”ノヴィーニャ”ともめる原因の一つが彼女のジェインへの嫉妬だったし、若いヴァレンタインやワンムがピーターの相手として嫉妬するのもジェイン。殿方お二方はあまり自覚はないようですが、傍から見れば美少女ゲームにはまる旦那に嫉妬する奥様的な構図。ただ、ジェインってそんじょそこらのゲームキャラじゃないです。まさしく宇宙規模でのコンピューターネットワークを基盤にしているだけあって、惑星間ネットワークのハッキングはやるわ、遺伝子レベルでの暗号解析はやるわ、果ては光速宇宙船で何十年レベルの距離を瞬時にワープさせるわと八面六臂(*4)の大活躍。最後にはルジタニアに向けて発射された”リトルドクター”という惑星破壊規模の能力を持つ爆弾を敵の宇宙船の中に転送する(*5)という離れ業までやってのけます。

 でも、そんなスーパーレディのジェインでも、嫉妬を感じるんですな

  いざ、ピーターの -- エンダーの --アイウワ所在を確認すると、
  ことは思った以上に簡単だとわかった。
  というのも、ピーターのワンムのフィロトは、絡み合っていたのだ
  ふたりのあいだには、小さな網の目ができていた

   (中略)
  そして、そのまま<外側>へ押し出すと、ジェインはふたりのむすびつきが
  よりいっそう強まるのを感じた
  肉体のみならず、もっと奥深くにある自我レベルの目に見えないリンクまで

   (中略)
  ジェインはちくりと嫉妬を感じた

 コンピューターが発達して自我を持つに至った時、はたしてコンピューターにも”嫉妬”が発生するんでしょうか? コンピューターに”俺の嫁!”的な愛情を求めるなら愛情の発露の形態としての嫉妬なんてのもありそうだな~ これが高じてストーカーみたくなったら嫌だけど・・・

 本作は完結編ということで、一応はハッピーエンドになってます。今までの謎の解決編でもあるんですが、いろいろツッコミどころ満載。なぜ超未来の話(なんせ、人類が宇宙進出してから3,000年!)にもかかわらず、中国や日本の文化を色濃く反映した植民星社会になっておるのだとか、宇宙規模でビジネスをするツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任侠的組織になっているのかとか(*6)。
 でも、これ話し出すと長くなりそうなので、今回はここまで

 ”エンダー・シリーズ”本編はここまでですが、本編以外でもサイドストーリーがあと3冊(邦訳分のみ)あるんですが、ちょっとお休み。なんせ、ほかの本も溜まりまくっているので・・・


《脚注》
(*1)DVD版”エンダーのゲーム”
 (出演者 エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、監督     ギャヴィン・フッド、ウォルト・ディズニー・ジャパン)
  人類はコミュニケーションの取れない未知の異星人”バガー”の侵略をからくも二度にわたり阻止した。る侵攻をかろうじて撃退した。その第三次攻撃に備るべく艦隊指揮官を養成するバトル・スクールを創設、天才少年”エンダー”を育成した・・・
 詳しくはこちらをどうぞ
(*2)なんせ文庫で7冊分
 文庫で7冊分(新訳版では8冊)がどんなもんかというと千差万別。京極夏彦みたく1冊1000ページ超え(分冊版だといきなり3~4冊に別れる!)なんてのもありますが、ちょっと昔の文庫って1ページあたりの文字数がやたらと多いんですな。エンダーはそれほどじゃないですが、1冊読むのに4~5日かかりました。
(*3)ドラキュラか、あんたは!
 クリストファー・リーのドラキュラ映画だったかなぁ、このネタ。そう言えば、ドラキュラに血をかけると復活するというのもあったような・・ フリーズドライのような人です。
(*4)八面六臂(はちめんろっぴ)
 ”面”は顔、”臂”は腕の事。転じて多方面で力を発揮するたとえです。阿修羅の仏像みたいな”三面六臂”が言葉の元らしいですが、実際に”八面六臂”の仏像は存在しないんだそうです。へ~~
(*5)敵の宇宙船の中に転送する
 前々から気になっているんですが、転送される物体の運動エネルギーってどこに消えちゃうんでしょうか? 
 地球上の物体は相対的には停止しているように見えますが実際には24時間で地球を1周しているので、仮に赤道直下(緯度0)の物体を東京(北緯35度)に転送した場合、運動エネルギーがそのまま保存されてると速度差が発生するので、実体化した瞬間に時速300kmつまり新幹線並みの速度でぶっ飛んでくことになります。計算あってるかなぁ
(*6)ツツミ財閥がヤ○ザ社会のような絶対的父家的任?的組織になっているのかとか
 ツツミ一族でルジタニア粛清艦隊を止めるよう一族に提言するのが”ツツミ・ヤスジロウ(堤・康次郎?)”、決定を下す族長が”ツツミ・ヨシアキ=セイジ(堤・義明=清二?)”。よく西武グループからクレームがつかなかったものです

究極のアームチェア・ディテクティブなんでしょうね、猟奇事件専門だけど(ハンニバル・レクター博士シリーズ/独房)

 ども、グルメでもカニバリズム(人肉嗜食)の趣味もないおぢさん、たいちろ~です。(てか、頼まれてもお断りしたいところです)
 先日”REDリターンズ(*1)”を見てましたらなんとアンソニー・ホプキンスが32年間牢獄に閉じこめられていた”ベイリー博士”役で登場。オペラを聞きながら壁いっぱいに方程式を書きまくり、レーニンを読み、しかもグルメな兵器開発の天才学者という役どころ。どっかで観たなと思ったら、これってレクター博士そっくりじゃん! ということで久しぶりに観ました、アンソニー・ホプキンス演じる”ハンニバル・レクター博士シリーズ”三本立てであります


写真はたいちろ~さんの撮影。
明治村に移築されている金沢監獄の独房です。

Photo


【DVD】羊たちの沈黙(原作 トマス・ハリス、監督 ジョナサン・デミ、20世紀フォックス)
 女性を誘拐し皮を剥ぐという連続殺人事件が発生した。FBI訓練生のクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)はかつて自分の患者を惨殺して食べて監獄に閉じ込められている天才精神科医”ハンニバル・レクター博士”(アンソニー・ホプキンス)に操作協力を依頼する・・・
 アンソニー・ホプキンスによる映画版”ハンニバル・レクター博士シリーズ”の第一作(時系列では2番目)
【DVD】ハンニバル(原作 トマス・ハリス、監督 リドリー・スコット、東宝)
 ハンニバル・レクターが脱走してから10年後。FBIのベテラン捜査官となった”
クラリス・スターリング”(ジュリアン・ムーア)だが、ある事件で苦しい立場に追い込まれていた。そんな時、名前を変えイタリアで司書となってレクター博士からクラリスへ一通の手紙が届く・・・
 ”ハンニバル・レクター博士シリーズ”の第二作(時系列では3番目)
【DVD】レッド・ドラゴン(原作 トマス・ハリス、監督 ブレット・ラトナー、ユニバーサル・ピクチャーズ)
 FBI捜査官”ウィル・グレアム”(エドワード・ノートン)は精神科医レクター博士の助言を受けながら連続人食殺人事件を捜査していた。そして真犯人がレクター博士であることを突き止め逮捕したものの重傷を負い引退する。
 それから数年後、再び発生した連続猟奇殺人事件を捜査するため元上司”ジャック・クロフォード”(ハーヴェイ・カイテル)から依頼があった。そして捜査に協力してもらうため、精神病院の監獄に閉じ込められてるレクター博士に再び助言を求めることになる・・・
 ”ハンニバル・レクター博士シリーズ”の第三作(時系列では3番目)
【旅行】独房
 受刑者を一人だけ入れておく監獄のこと。明治村のはだいたい2畳ぐらいでしょうか。レクター博士の居房は少なくとも四畳半か六畳ぐらいはありそう
 快適かどうかは入ったことないのでわかりません


 さて、本3作に登場するレクター博士、一番凄みがあるという意味では”羊たちの沈黙”でしょうか。いわゆるマッド・サイエンティストの系譜なんでしょうが、趣味が”人食”というのはかなり異色。日本でも芹沢博士(*2)なんてものいますが単なる変人の域。生理的な異形という点でここまで突き抜けたのはなかなかいないですねぇ。

 で、レクター博士ですが”食人趣味”を除けば超人的と言えるほどのスキルの高い人です。上げて見るとこんな感じ

〔プロファイリング能力〕
 FBIをして高く評価されているのがプロファイリング能力。おかげで捜査官のクラリス・スターリングやウィル・グレアムが事件にまきこまれるはめになります。”羊たちの沈黙”や”レッド・ドラゴン”では捜査資料や捜査官との会話だけで犯人を特定するほど。
 現場に行かずに犯人を特定するという意味ではアームチェア・ディテクティブの系譜(*3)。もっとも猟奇事件専門ですが。どうもテレビとか本とかは観ているようですが、独房という静かでひとりきりの環境、思索する時間だけはたっぷりありそうです

〔知的能力〕
 ”ハンニバル”では外国人でありながら、イタリア人を感心させるほどのダンテ”神曲”の講義ができるほどのインテリジェンスを見せ、”羊たちの沈黙”では同じ囚人を言葉だけで自殺に追い込み、”ハンニバル”では無茶ぶりの雇い主を口先三寸で殺させちゃう弁舌の持ち主
 さらには記憶だけで名画さながらの絵を描くなど、天才の名を恣にする人。あこがれちゃいます。

〔お料理能力〕
 ”レッド・ドラゴン”では、へたくそなフルート奏者を料理して楽団関係者にパーティでご賞味させるとか、”ハンニバル”では気にいらない捜査官を生かしたまま脳みそを取り出してソテーにするとか、単なるグルメじゃなくお料理もできる人、美味しそう!
 狂気のクッキング・パパ(*4)とでも言いましょうか・・・

〔身体的能力〕
 頭脳労働の人かと思いきや、”ハンニバル”では自分を襲いに来た男の喉を一気にかき切るとか、スリの腹をすれ違いざまに殺傷するなど並々ならぬ近接戦闘能力を発揮しています。
 また、匂いを嗅ぐだけでいろいろわかっちゃう犬並みの嗅覚の持ち主でもあります。

 そのほかにも、ハンサムだしセンスも良さそうだし、お金持ちっぽいし、言ってみれば完璧超人なナイス・ミドル。リアルにいれば女性たちはほっとかんでしょうなぁ。美味しいディナーなんかにも誘ってくれそう。でも、何食べさせられるかわからんし、最悪食べられるリスクもありそうだけど・・・

 ”ハンニバル・レクター博士シリーズ”はそれぞれで観るなら結構面白い映画です。ただ、3本立て続けに観るのはちょっと精神が歪んじゃうかも・・・

PS.
 wikipediaによると”羊たちの沈黙”のテレビ朝日版、”ハンニバル”のDV版、”レッド・ドラゴン”のテレビ東京版でレクター博士の日本語吹き替えを演じたのは石田太郎。”クラリスつながり(*5)”でキャスティングだったらなかなかシャレの効いたチョイスです。


《脚注》
(*1)REDリターンズ
 主人公は、元CIAの腕利きのエージェント”フランク”(ブルース・ウィリス)は今は引退して妻の”サラ”(メアリー=ルイーズ・パーカー)の尻にひかれつつも平和な毎日。ところが過去ミッションで死なせたはずの”ベイリー博士”(アンソニー・ホプキンス)が生きていることがわかり、世界中の諜報機関から狙われるはめになる・・・
 2010年に公開された”RED/レッド”の続編として2013年に公開されたアクションコメディ映画。
(*2)芹沢博士
 1954年に公開された”ゴジラ”に登場。演じるのは”平田昭彦”。作中に登場する”オキシジェン・デストロイヤー”やアイパッチなんかいまだにSFモノにパロディが出てくるという、日本映画のマッド・サイエンティスト像を決定づけたひとりです。
(*3)アームチェア・ディテクティブの系譜
 日本語では”安楽椅子探偵”。刑事や記者の話などだけで犯人を特定しちゃうという探偵小説です。バロネス・オルツィの”隅の老人”や、東川篤哉の”謎解きはディナーのあとで”、次に読む予定の”ボーン・コレクター”(ジェフリー・ディーヴァー)かんかがこれ。猟奇事件にどこまで有効かは謎ですが。
(*4)クッキング・パパ(うえやまとち、講談社)
 サラリーマン”荒岩一味”が家族や友人のために玄人はだしの料理を作るという漫画。奥様としてはとっても助かりそうですが、リアルにこんなのが亭主だと奥様としては相当なプレッシャーではないかと思われますが、いかがでしょうか?
(*5)クラリスつながり
 ”ルパン三世 カリオストロの城”(監督 宮崎駿、原作 モンキー・パンチ)で悪役”カリオストロ伯爵”の声を演じたのが”石田太郎”。で、お宝目当てに結婚しようとしたのがヒロイン”クラリス・ド・カリオストロ”。マニアックなネタですいません

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