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”人は本そのものを集め、それらを自宅の本棚に置くのが好きなのです” 確かに一昔前ならねぇ(ジェフ・ベゾス 果てなき野望/Kindle)

 ども、Kindleを買おうかどうか迷ってるおぢさん、たいちろ~です。
 iPad miniもいいんだけど、本読むだけだしな~ 価格的にはfier HD7が魅力だし、HD6もキャンペーン中だけど6インチはちょと小さいかもしれなし~
 電子ブックリーダーって調べると意外と昔からあって(*1)、現在のタブレット型だけで見てもパナソニックの”シグマブック”やソニーの”リブリエ”の発売って2004年と10年ぐらいの昔。でも、電子ブックが普及してきた感があるのはやっぱりKindleの登場あたりからでしょうか?(*2)
 ということで、今回ご紹介するのはそんな電子ブック&世界最大のインターネット本屋さんのお話”ジェフ・ベゾス 果てなき野望”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。アマゾンのHPのKindlefire HD7です

Kindle


【本】ジェフ・ベゾス 果てなき野望(ブラッド・ストーン、日経BP社)
 サブタイトルは”アマゾンを創った無敵の奇才経営者”とあるように、アマゾンの創業者である”ジェフ・ベゾス”の人生とアマゾンの成長を扱った本。
 原題は”The Everything Store:Jeff Bezos and the Age of Amazon(訳すと”すべての物を売るお店:ジェフ・ベゾスとアマゾンの時代”って感じでしょうか)。
 面白いのが日本語版と原書でタイトルの扱いの違い日本語版は”ジェフ・ベゾス”という経営者に焦点を当ててるのに対し、原書は”アマゾン”という会社にウエイトを置いてるとこ。そのせいか日本語版の表紙はピカード艦長を彷彿とさせる(*3)”ジェフ・ベゾス”がど~んと出てるのに対し、原書はアマゾンから配送される”箱”の写真になってます。まあ、日本人って”経営者論”みたいの好きだからな~~ マニアックな見方ですいません。
【道具】Kindle
 Amazon.comが販売する電子ブックリーダー端末&ソフトウェア&電子書籍関連サービスの名前(ここでは電子ブックリーダーとして扱っています)
 電子ペーパーを使ったモノクロ版”Kindleシリーズとフルカラーの”Kindle Fireシリーズ”がありますが、後者はほとんどタブレット端末そのもの。家電のお店でiPad売ってたお姉さんに”どう違うんですか?”と聞いたら”本を読むだけだったらKindleが良くできてるけど、いろいろ使いたいならiPad”というお答え。う~ん、良くわからん


 ビジネスの世界では生態系、いわゆる”エコシステム”を作ったモンが勝つってのがあります。一昔前の”なんでも自前”みたいなのではなく、自前でやらない部分を得意な会社と協調して、なかなか他社の参入ができないような環境を構築して、この中でインフラを握ったものが儲けるってビジネスモデルです。日本の成功例でいうとファミコンの黎明期とかでしょうか(*4)。
 これをインターネットの時代にワールドワイドに展開したのがアップルのiPod。元々はコンピューターベンダーのアップルが”iPod”というハードウェアだけじゃなくiTunes(*5)というメディアプレーヤー(むしろ音楽の管理ソフトウェア化してる?)とiTunes Storeという音楽や動画なんかのコンテンツ配信サービス=インラインショップぶっこみでビジネスしています。

 前置きが長くなりましたが、本書を読むとKindle登場の背景にはこの”iTunes”への恐怖ってのがあったそうです。元々、ベゾスが最初にインターネットショップを立ち上げるにあたり対象商品を検討した中に書籍と並んで音楽ってのも入ってたんですね。その中で「書籍が一番いい」という理由で本屋さんになったということだそうです。書籍にしたのはどの店で買っても同じ品質(差別化要素がない)、取次がある、多品種でリアル店舗ではすべての在庫を持つことができない、など。まあ、音楽も似たようなもんでしょう。本書では音楽配信サービスにアマゾンが出遅れた理由にスティーブ・ジョブスが音楽好きに対し、ベゾスはそっちにあんまし興味がない人だからってのを上げています。経営トップの趣味に大きく影響されるってのもある意味すごい話です。

 で、”アップルが電子書籍の分野に攻めてくるかもしれない”という話になるわけですが、いざKindleというハードウェアをアマゾン自前で作るって話になった時に社内は大反対だったそうです(まあ、元々メーカーのアップルとは逆の流れですが)。でもベゾスは強硬に推進。本書からの抜粋

  アップルが音楽で成功したように、アマゾンが書籍で成功するためには
  洗練されたハードウェアから使いやすいデジタル書店まで用意して
  顧客の体験をすべて管理する必要があると、ベゾスは皆の反対を一蹴する

確かにアップルのビジネスモデルを見てりゃこのような考え方は他の経営陣も分かってたんでしょうが、いざ自分達がやるとなりゃ大変なんでしょう。でもこういう無茶ぶりな意思決定ができるってのも強力なリーダーシップの持ち主たるベゾスみたいな人がいないとできないんでしょうねぇ
 この後なんだかんだあってKindleは発売にこぎつけるんですが、そのなんだかんだの最たるものが”本のデジタル化”。元々電子データー化されてた音楽と違って特に昔の本はデジタル化されていないんで、このデータを作んなきゃいけない。考えて見れば当たり前の話で、リーダー(=ハードウェア)だけあっても本(=ソフトウェア)がなきゃ売れるはずがない。だもんでデジタル化された本をそろえなきゃならないわけですが、本書によるとそうとう無茶苦茶なこともやったみたいです。まあ、最大のバイヤーにして既存の本屋さんの脅威であるアマゾンからの依頼だから扱いが難しかったんでしょうなぁ。

 Kindleの登場にあたって興味深いのがリアル店舗のバーンズ&ノーブルCEOスティーブ・リッジオの言葉

  本が持つ物理的な価値は、デジタルで複製できるようなものではありません
  人は本そのものを集め、それらを自宅の本棚に置くのが好きなのです
  本の価値は物理的存在として消費者の心に根付いており
  本の価値が完全に複製できる日は来ないと私は思います

まあ、私も本を集めるの好きですが、部屋中本だらけにすると奥様が怒るしなあ
もうちっとマクロな意見で言うと、この人は百科事典の衰退を見てなかったんでしょうか?(*6)

 本書は500ページ近い本なのでKindleの話に絞りましたが、確かにジェフ・ベゾスという経営者はユニークな人なんでしょう。他社が参入したがらないほど利益率を低くするなんてなかなかできる話じゃないですし(*7)。けっこう面白いネタが満載なのでぜひご一読のほどを。

《脚注》
(*1)電子ブックリーダーって調べると意外と昔からあって
 世界初の電子ブックプレーヤーはソニーの”DATA Discman DD-1”で1990年の発売とすでに四半世紀。さすがに元気があった頃のソニーは一味違いますな~~
(*2)Kindleの登場あたりからでしょうか?
 Kindle Paperwhiteの日本発売は2012年11月。impressのhpによると2013年度の電子書籍市場規模は推計936億円。市場規模もそうですが2012年度頃からPCやケータイから電子ブックリーダーへシフトしてきてるのが分かります。
 そう言えば、最近ケータイ小説って聞きませんが、どこ行ったんでしょう?
(*3)ピカード艦長を彷彿とさせる
 ”ピカード艦長”は”Star Trek:The Next Generation(新スタートレック)”に登場する宇宙船”U.S.Sエンタープライズ”の艦長。演じるのは”パトリック・スチュワート”。本書によるとジェフ・ベゾスはかなりのトレッキーだそうなので、絶対狙ってやってるよな~
 ちなみに、本書では”DUNE 砂の惑星”(フランク・ハーバート ハヤカワ文庫)の話題が出てきますが、こっちの映画版(監督 デヴィッド・リンチ、アルバトロス)にもガーニイ・ハレック役でパトリック・スチュワートが出てきます。
(*4)ファミコンの黎明期とかでしょうか
 任天堂はファミコンのハードウェアでもうけるのではなくゲームというソフトウェアで儲けるとか、サードパーティのソフト(ROMカセット、なんと懐かしい言葉!)の生産委託で儲けるビジネスモデルを確立しました。
(*5)iTunes
 元々はMacintosh専用ソフトでしたが、2003年にはWindows版も登場。これ最初に聞いた時はけっこう驚きましたね。だってアップル謹製のMacのソフトがライバルとも言えるWindowsで動くんですぜ! (まあ、ExcelみたくMac・Win両方動くソフトって昔からない訳じゃないんですが)
(*6)百科事典の衰退を見てなかったんでしょうか?
 高度成長期の子供がいる家にはだいたいちょ~分厚い百科事典が本棚に鎮座ましましてたもんですが、今はもう見ないんじゃないかなぁ。あの頃は”知の象徴”、”百科辞典を変えるほどの小金持ち”のアイコンみたいなモンでしたが、今では質はともかく量ではインターネットの圧勝です。
(*7)他社が参入したがらないほど利益率を低くする
 本書では”スティーブ・ジョブスの失敗”といってますが、これはiPhoneをびっくりするほど利益が上がる価格にしたために、競合他社をスマホ市場に引き寄せてしまったとの事例。だからといって”低利益率にしろ”といえる経営者ってなかなかいないんですよねぇ

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