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カエル男、こんなゆるキャラは嫌だ!(連続殺人鬼 カエル男/蛙)

 ども、カエルのゆるキャラと聞かれたら”ケロヨン”(*1)と答えちゃうおぢさん、たいちろ~です。
 世の中、ゆるキャラブームです。まあ、動物系の”くまモン”や”ぐんまちゃん”、鳥系の”バリィさん”、植物系の”ふなっしー”、人間系の”ちっちゃいおっさん”となんでもあり~の状態ですが、立場がビミョ~なのが両生類系。カエルなんて”けろけろけろっぴ(サンリオ)”やコルゲンコーワの”ケロちゃん”や”ケロロ軍曹”なんてメジャー所がそろっているのに意外といないんですな(*2) 。
 だからってこんなゆるキャラはできればご勘弁を、ということで今回ご紹介するのは、”きょう、かえるをつかまえたよ”という犯行声明を残す連続殺人事件の本”連続殺人鬼 カエル男”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。水戸にある別雷皇太神の”六福六蛙”です。

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【本】連続殺人鬼 カエル男(中山七里、宝島社文庫)
 口にフックをかけられ全裸で吊るされた死体。これが飯能市連続殺人事件の始まりだった。”きょう、かえるをつかまえたよ”という幼児性を持った犯人はマスコミから”カエル男”と名付けられた。埼玉県警捜査一課の渡瀬警部と若手刑事の古手川は捜査に従事するが犯人の手掛かりは杳として知れず、警察への不信はつのる一方だった・・・
【動物】蛙(カエル)
 三角形の頭に上に飛び出た目、丸っこい胴体に、分類だと無尾目とあるようにシッポがない生き物。デフォルメされたキャラはかわいいですが、リアルでかわいいかはちょっと微妙
 名前の連想からか縁起物になっていて、上記の六福は交通安全(無事かえる)、金運上昇(金かえる)、不老長寿(若がえる)、学業成就(良く考える、無病息災(体がもとにかえる)、出世開運(卵→オタマジャクシ→蛙)だそうです。


 最近は知りませんが、おぢさん世代では学校の授業で”カエルの解剖”ってのがありました。まあ、大き目のカエルに麻酔をかけてメスでお腹を開くだとか、脚に電気を流すとピッっと伸びるだとか、今考えるとけっこうグロいことやってたんですな。どうもカエルって昔はありふれた生き物だったんで、男の子にとっては被虐の対象だったようで。やれ、お尻の穴からストローつっこんでふくらますだとか、爆竹突っ込んで爆死させる(*3)だとか、板に挟んで潰しちゃうだとか、紐で吊るしてザリガニ釣りのエサにするだとか、こ手のネタには事欠きませんでしたね。決して褒められた行為ではないですが・・・

 で、これを人間相手にやりゃ立派な犯罪ですが(カエルだって動物虐待です)、これが本書に出てくる”連続殺人鬼 カエル男”。ネタバレになりますがフックで吊るす、プレス機で自動車ごと潰す、解剖して臓器を並べる、火で焼くとまあ、やりたい放題。しかも子供の日記のような犯行声明が残されてるんだから、ほとんどサイコな世界です。

 ここでサイコホラーに行くのかなと思っていると、これがパニック映画のノリに。
渡瀬警部と若手刑事の古手川刑事の会話

 渡瀬 :人が人を殺める理由は数々あるが煎じ詰めれば三つしかない
     愛憎、カネ、そして狂気だ
     このうち愛憎とかねは絞り込みが楽だ。そいつが死んで笑う奴を探せば良い
     だが狂気の場合、こいつは厄介だ。容疑者の絞り込みができん

      (中略)
     異常者全てに動機があるようなものだからな
 古手川:でも、そうやって苦労して犯人捕まえたって
     相手が狂ってたら三十九条(*4)で結局無罪になっちまうんでしょ?

 まあ、愛憎やカネによる犯罪ってのはある意味合理的というか”なんでやねん?”というのが一般人にも理解できんことはないわけですが、”狂気”っていうのは理解できないノリなわけで、”ワケのわからんものには恐怖を感じる”って心理はあるわけです。そのくせ、目撃者もいないような周到さがあったり、ミョ~な規則性があったりなんかすると被害者予備軍はもうパニック状態。で、”ヤラレル前にヤレ! 犯人予備軍は誰だ?”ってことになって普段は善良な(はずの)一般市民がリスト持ってそうなトコに押し掛け狼藉の限るなんて言う狂気の再生産ループに入っちゃうわけです。
 確かに最近は”人を殺して、自分も死刑になりたかった”だの”誰でもよかった”など訳のわからん供述をする犯人がいるからな~ しかも、この手の犯罪はおおむねヤラレ損になる可能性が高いわけで(まあ、どの犯罪もヤラレ損ではありますが)、犯人の罪にすら問えないってのは被害者感情としてはわからんでもないですが・・・

 この予備軍ってのがまた曲者で、正気と狂気の間に明確な区別があるのかとか、狂気は完治できるのかだとか、京極堂なら延々と能書き喋りそうな内容(*5)。話がそっちに行くのかな~と思ってたら、落ちはマジな推理小説に。へぇ~~

 中山七里という作家は2009年に”さよならドビュッシー(宝島社文庫)”で”このミステリーがすごい!大賞”を受賞した人ですが、この時に最終ノミネートに残ったのが”連続殺人鬼カエル男(原題は”災厄の季節”)”。最終選考で同じ作者の作品がダブルノミネートされたのは初めてだそうですが、甲乙つけがたいとの評価だったとか。結局、商業的により広い読者が見込まれると理由で”さよならドビュッシー”の受賞が決まったそうですが、両方読みましたが確かに両方とも面白い。この2作がほとんどデビューしたての新人の作品だっていうんだから、確かに才能のある人なんでしょうね。私なんかきっちりハマってるし!

 あらすじだけ読むとホラー系苦手な人に向かなさそうですが、中身はけっこう本格推理系です。ぜひご一読のほどを


《脚注》
(*1)ケロヨン
 1966年から70年に放映された”木馬座アワー”の中の”カエルのぼうけん”に登場するカエルのキャラクター。ご年配の方には懐かしい名前かと(こんなキャラです)。
Photo_2
 影絵作家”藤城清治”のプロデュースという由緒あるキャラですが、今回調べて原作(ケネス・グレアム ”たのしい川べ”)があるって初めて知りました。
(*2)意外といないんですな
 ネットで見ると愛媛県の”一平くん”なんてのがいましたが、正直ちょっと不気味。
 ”ぴょこたん”なんつ~カエルになる事を夢見るヒヨコという”お前はいったいどっちなんや!”とツッコミ入れたくなるようなキャラのいましたし・・・
(*3)爆竹突っ込んで爆死させる
 5センチぐらいの長さの紙の細い円筒の中に火薬を詰めて導火線のついたモノ。昔は駄菓子屋なんかで売ってましたが今はどうなんだろう? ネットでは買えるようですが。
 大きな音で驚かすとか、そこそこ破壊力があっていろんなものを壊したりとか、鉄管の中に入れて弾を飛ばすとか使いでのあるアイテムだったんですがねぇ・・
(*4)三十九条
 刑法第39条:1.心神喪失者の行為は、罰しない。
          2.心身耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
(*5)京極堂なら延々と能書き喋りそうな内容
 京極夏彦の”百鬼夜行シリーズ”の探偵役にして憑物落としの”京極堂”こと中禅寺秋彦のこと。この人にこの手の能書きを語らせると、延々何十ページ続きます。
 そういや、本書の市民の暴動も憑物みたいなモンだったな~~

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