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作品が成功するかどうかは、作品自体の魅力か、作り手と見る人とがともに生み出すのか? まあ、アニメの話ですけど・・(アニメの魂/「ガンダム」を創った男たち/お台場ガンダム2009)

 ども、TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん(*1)、たいちろ~です。
 先日、会社のお嬢様方(40代前半と50代前半)と”好きだったTVの番組は?”という話になりました。で、お答えはというとA嬢は”機動警察パトレイバー”、B嬢は”バビル二世”、C嬢は”マジンガーZ”に”科学忍者隊ガッチャマン”ですと。C嬢に至っては”初恋の人は兜甲児!”ですと(*2)。どうして妙齢のお嬢様方は昭和の懐かしアニメをチョイスするんだ?!
 でも、確かにこの手の話題ってなぜかアニメの話が多いんだよな~~ TVドラマだっってけっこう流行ったのありますが、あんまし出てこないし、スポーツだってバックスクリーン3連発(*3)みたくある瞬間の話題はあってもテイストが違うし。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなアニメの話題を扱った本”アニメの魂”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
2009年にお台場で展示された実物大ガンダムです。

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【本】アニメの魂(イアン・コンドリー、エヌティティ出版)
 サブタイトルが”協働する創造の現場”とあるように、アニメの魅力の源泉を制作者、消費する視聴者、魅力を拡散するファン(オタク?)に求め、フィールドワークにより解き明かしていく本。
 ところでこの本に出てくる”民族誌学”ってどんな学問?
【本】「ガンダム」を創った男たち(大和田 秀樹、ドカワコミックス・エース)
ファーストガンダムこと”機動戦士ガンダム”のTV第一作目から映画化に至る様子を描いた漫画。けっこうリアルタイムに青春してた時代の話ですので、マジに面白かったです。
 元々は”機動戦士ガンダムさん”に収録された”ガンダム創生の章”でこっち版で読みましたが、現在は”「ガンダム」を創った男たち”として再編集版がでてます(こっちは読んでません)
【乗り物】お台場ガンダム2009
 2009年にお台場で展示された全長18mの実物大ガンダム。しかし、これを最初に作ろうと言いだした奴はいい根性してるよな~ 私が見に行った時は家族連れが多かったですが、喜んでるのはおとっつあんの方で、怖がってる子供もいました。のちにジオンから”白い悪魔”と呼ばれるガンダムですが、確かにこんなんが動いて襲ってきたら怖いだろうなぁ


 アニメに限らずですが作品を楽しむには”作品そのものの魅力を語る”というアプローチと”作品そのものを含めた作家の魂に迫る”みたいなアプローチがあります。どっちが深いだ浅いだとか、良いとか悪いとかいう話ではありませんが、本書は後者のアプローチ。でもって、”サマーウォーズ”の細田守監督だの、プロダクションI.Gだの東映アニメーションだのゴンゾだのに行ってインタビューをしてます。
 でも、読んでて面白かったのはコアな消費者としてのファン(オタク)の話かな。といっても”オタク研究”みたいな内容ではなく、経済的行動原理から説明できないようなこと、ぶっちゃけ一銭にもならんことに血道をあげるのかっていうこと。本書ではこれを”ダークエネルギー”と言ってます。

  ファンの世界を流れるダークエネルギーは
  コンテンツとファンの欲望を結びつけて活性化させ
  相乗効果的にメディア製品の循環を加速する社会的な力だと考えてよいだろう

   (中略)
  ファンとメディアとコンテンツとテクノロジーと制作者を
  流動的に結びつけるリンクを概念的に表しているのだ
 

 あえて難しく書いてるような気もしますが(*4)、わかりやすく言えば”アニメを熱く語る奴のパッションの根っこ”みたいなもんでしょうか。そういや、私の高校時代の友人でも”ニュータイプ”を熱く語る奴いたもんな~ お前のことだぞ、宮浦!(*5)

 この例としてあげているのが海外の”ファンサブ”という活動。これは海外で未放映だったりDVDで発売されてない(発売されてるのもあるらしいけど)アニメ番組を寄ってたかって翻訳してWebにアップするというもんだそうです。たまにYouTubeでアニメに英語や中国語なんかの字幕付きのもを見かけますが、どうもあれらしいです。
 まあ、著作権法違反かどうか議論がわかれるとこですが”だって、売ってないし、翻訳もされてないんだモン”という実態に”こんなええ作品があるんやからお前も見んかい!”というファンの情熱の合体したエネルギーとでもいいましょうか。実際がとこ、日本語なんてアジアの片隅の言語を文化的背景まで考慮して翻訳し、字幕を合成するなんてけっこうなエネルギーとインテリジェンスが必要な行為でしょう。単純に好きだけではできない”何か”があるんでしょうね。

 まあ、日本の例でも”宇宙戦艦ヤマト”とか”ガンダム”とか”エヴァンゲリオン”とか、エポックメイキングな作品ってこの手の情熱持った奴がいたんですな。”機動戦士ガンダムさん”に収録されてる”ガンダム創生の章”のネタがこの好例でしょうか。劣悪な状況ながらアニメを作るスタッフ、視聴率低迷で打ち切りが決まりながら見事復活、というサクセス・ストーリー(*6)のターニングポイントは熱狂的なファンだったといのがこの作品のテーマの一つになっています。
 この作品の最終話に上記のお台場ガンダムが登場するんですが、その中で当時の作成スタッフの女の子がお母さんになって娘にガンダムを見せながら”あれから30年かー”とつぶやくシーンがでてきます。そうだよな~ もう30年以上たつんだもんな~ でも現在に至るまで作り続けられる”ガンダム”って、作品そのものが魅力があるのも確かですが、コアなファンを再生産し続けるファンが世代を超えているんだろうな~ なんて思っちゃいます。お台場に子供を連れてきたお父さんとか

 本書は登場するアニメを知ってるかどうかより、メディア論的な知識があるかどうかのほうが理解には大切かも。そういう点では私もちゃんと理解できたかどうかわかりません。ただ、本書に限らずですが、この手の本って”アニメではダークエネルギーがうんぬん”ってのは書いてあるんですが、ではなぜ実写映画とかTVドラマでこういったエネルギーが起きにくいのかって議論があんましないんですな。確かに2次著作物の作りにくさとか(演じてるのが生身の俳優だし)、権利関係がややこしそうとか、感情を共有できる人の数の違いとかありそうですけど、この辺の議論も読んでみたいものです。

《脚注》
(*1)TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん
 日本で最初の本格的な連続TVアニメ”鉄腕アトム”の放映開始が1963年ですので、今50代のおぢさんはだいたいそんな世代です。
 ちなみに、料理番組の定番”キユーピー3分クッキング”もこの年に放映開始。それもすげ~な~
(*2)A嬢は”機動警察パトレイバー”~、
 機動警察パトレイバー:監督 押井守、漫画 ゆうきまさみ。OVAは1988年販売開始
 バビル二世 :原作 横山光輝。原作連載は1971年から、TV放映は1973年から
 マジンガーZ:原作 永井豪。1972年放映開始
 科学忍者隊ガッチャマン:作製 タツノコプロ。1972年放映開始
 A,B,C嬢の誰が何歳かは個人情報なので秘密です。
(*3)バックスクリーン3連発
 1985年の阪神・巨人戦でランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布が3者連続でバックスクリーンに叩き込んだエピソード。ご高齢の阪神タイガースファンには必須の話題ですが、そのあとの低迷(86年 3位、87~8年 最下位)はなかったことになっています、はい。
(*4)あえて難しく書いてるような気もしますが
 著者のイアン・コンドリー世界有数の名門校”マサチューセッツ工科大学(MIT)”の准教授、れっきとした学者さんです。
(*5)お前のことだぞ、宮浦!
 ロン毛、イケメンにして生徒会役員という私の友人。当然、女の子にはモッテモテで”お兄ちゃん”と呼ばれておりました。今だったらアヤシゲなあだ名だな~~
(*6)サクセス・ストーリー
 本書の原書のサブタイトルは”Collaborative Creativity and Japan’s Mdelia Success Story(協力的な創造力と日本のメディアの成功の物語)”です。


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