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今も昔も必要なのは”分別”ではないかと・・・(クレムリンの枢機卿/PAC-3ミサイル発射装置)

 ども、カージナルというとアームストロング・オズマを思い出しちゃう(*1)おぢさん、たいちろ~です。  浅学ながら”枢機卿”を英語で”カージナル(Cardinal)”っていうのって知りませんでした。まあ”僧正殺人事件(*2)(The Bishop Murder Case)”があるので、”僧正”がビショップぐらいは知ってたんですけど。この本の読むまでカージナルって大リーグのチーム名だと思ってました。
 ということで、今回ご紹介するのは最近また読み始めたライアンもの(*3)から”クレムリンの枢機卿(Cardinal of the Kremlin)”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
海上自衛隊横須賀基地で展示してあったPAC-3ミサイル発射装置です。

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【本】クレムリンの枢機卿(トム・クランシー、文春文庫)
 上空を飛ぶミサイルた人工衛星を破壊するソ連のレーザー兵器“輝く星”。この秘密を探るべく米国はクレムリンの大物スパイ”枢機卿”に指示を出す。しかし、情報を伝達する工作員のミスから”枢機卿”の正体がばれてしまう。枢機卿を救うべく、CIAの情報分析官ライアンのとった行動とは・・・  トム・クランシーのヒット作”レッド・オクトーバーを追え!(*4)”の後日談でもあります。
【乗り物】PAC-3ミサイル発射装置
 小説内ではレーザー光線で飛んでくるミサイルを迎撃するって兵器が出てきますが、実戦配備されているのはミサイルを飛ばして撃ち落とすって仕掛けです。
 ”なんだ、ミサイルか!”と思われるかもしれませんが、実際に弾道ミサイルを撃ち落とすってのはと~~っても難しいそうで、PAC-3でもレーダー装置やら射撃管制装置やら情報調整装置やらとハイテクの塊なんだとか。


 小説の中ではアメリカ、ソ連とも飛んでくるミサイル破壊するレーザー兵器開発をやっていて、ソ連は実験に(いちおう)成功するけど、コンピューター技術などはアメリカのほうが上だとか、かなりリアリティのある表現になってます。本書がアメリカで出版されたのが1988年、日本では1990年とほぼ四半世紀前ですが、これをSFっぽいと見るかどうかは意見のわかれそうな所。wikipediaには”戦術高エネルギーレーザーで無人飛行機を撃ち落とした”なんてのが載ってますのであながち絵空事ってわけではなさそうです。
 でも、ちょっと前まではこれってまじめにやってたんですね(私が知らないだけで、まだやってるのかもしれませんが)。それが時のアメリカ大統領”ロナルド・レーガン”が1983年にぶち上げた”戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative、SDI)”、通称”スター・ウォーズ計画”。

 まあ、大統領が元映画俳優だからってわけではないでしょうが、1983年といえば”スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの復讐”が上映されてたころ。ハリソン・フォード(*5)演じる”ハン・ソロ”がミレニアム・ファルコン号でレーザー砲ピュンピュン撃ちまくってました。ですんで、”レーザー兵器でミサイルを撃ち落としたい!”って気持ちはわからんでもないですが・・・  まあ、今から見れば”ハイテク幻想”みたいな計画だったようですが、当時としてはけっこうマジ。その後の冷戦終結により自然消滅に近い形で中止されたんだとか(ホントかどうかは知らんけど)。で、今どうなっているかの一つがパトリオットPAC-3システムによるミサイル防衛みたいです。長々書きましたが、こういった時代背景がわかってると”クレムリンの枢機卿”のリアリティがわかるかなと思った次第です。

 まあ、本書の描かれた1980年代後半って、まだ米ソ両大国ががっぷり四つに組んでた時代。その一方軍縮交渉だ、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ(*6)だと戦後構造が大きく変わろうとしたころでもあって、本書の中でもそんな時代の空気が色濃く出ています。それに比べると、最近のウクライナ問題なんかを見てると地域紛争の様相で、力づくで抑えられてない分先鋭化、民意を反映しているって大義名分を必要とするだけどろどろ感が強いような気がして心配です(どっちが良いかという問題ではないですが)

 本書の中で印象的だったのはライアンとナルモノフ書記長の会話に出てくる”相互確証破壊(Mutual Assured Destruction、MAD)”の会話。 MADってのは”一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証する”(wikipediaより)ってので、言ってみれば人を殴り倒せば必ず殴り返されるから暴力はやめましょうみたいなもんでしょうか。子供のケンカか?!

  ナルモノフ:現実的になりたまえ、ライアン。
        きみは、われわれが核兵器をすっかり廃絶するだろうと思うかね?
  ライアン :いいえ。われわれはすべての兵器を廃絶することはないでしょう

            (中略)
        しかし、兵器を行使するまでの過程を現在より複雑にすることはできます
        ボタンを押せないように、いっそう多くのみんなにあたえるのです
        それは不安定化ではありません。要するに分別です
        良心を護るのにいっそう役立つものです

 ウクライナ問題なんかでも”分別”のある行動こそが求められてるんでしょうかね・・・
 本書を始め世紀末のポリティカルフィクションって今読むとちょっとわかりにくい面もありますが、温故知新で読んでみるのもいいかも。”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで読むのがお勧めです(*7)。

《脚注》
(*1)カージナルというとアームストロング・オズマを  懐かしのスポ根マンガ”巨人の星”で星飛雄馬のライバル”アームストロング・オズマ”がセントルイス・カージナルスの選手という設定。大リーガーが日本に来ることはあっても日本人選手がアメリカまで出稼ぎに行くことのなかった時代のお話です、はい。
(*2)僧正殺人事件(ヴァン=ダイン、創元推理文庫)
 マザー・グースの詞に合わせて連続殺人事件が起こるという見立て殺人モノの傑作。
  だ~れが殺した、クック・ロビン♪
(*3)ライアンもの
 中央情報局(CIA)の分析官”ジャック・ライアン”を主人公とするトム・クランシーの小説シリーズ。主人公としては12作ですが、やっと4作読んだとこです。
(*4)レッド・オクトーバーを追え!(トム・クランシー、文春文庫)
 ソ連のタイフーン級原子力潜水艦”レッド・オクトーバー”の艦長”マルコ・ラミウス”がアメリカ亡命を企てる。彼の考えを見抜いたライアンはこの企てを成功させるべくる。原子力潜水艦”ダラス”に乗り込みラミウスに接触を図る・・・
 映画版でラミウスを演じたショーン・コネリーがとってもかっこいいです!
(*5)ハリソン・フォード
 この人は”パトリオット・ゲーム”などでジャック・ライアンを演じた人でもあります。”クレムリンの枢機卿”でラミウス艦長とライアンが会話するシーンがありますが、どうもコネリー&ハリソンになっちちゃうな~
 映画でコネリーと会話してたのはアレック・ボールドウィンなんですが・・・
(*6)ペレストロイカ
 ゴルバチョフ大統領が提唱した”再構築(改革)”運動。イコール民主化運動ってわけではないですが、本書の中でもナルモノフ書記長が同じようなこと言ってます。
(*7)”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで~
 両方とも絶版なんだな~ 面白いのに。図書館あたりだとたぶん置いていると思いますのでぜひどうぞ。

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