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2014年5月

バブル×男女雇用機会均等法×情報誌=Hanako族かな?(銀座Hanako物語/銀座高級ブランド三連発)

 ども、ファッションにも高級ブランドにもま~ったく縁も興味もないおぢさん、たいちろ~です。
 ですんで、”Hanako(*1)”という雑誌は知ってるんですが、読んだことはまあほとんど無いんです。じゃあなぜゆえに今回ご紹介する”銀座Hanako物語”を読む気になったかというと、広告に載っているキャッチコピーが実に印象的なんですな、これが。
 ということで今回ご紹介するのはバブルと寝た雑誌”Hanako”(*2)の創刊時代の編集者達のお話”銀座Hanako物語”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
銀座2丁目交差点付近、手前からルイ・ヴィトン、ブルガリ、ティファニーのお店です

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【本】銀座Hanako物語(椎根和、紀伊國屋書店)
 サブタイトルに”バブルを駆けた雑誌の2000日”とあるように、まさにバブル時代を象徴した雑誌”Hanako”の初代編集長”椎根和”と”柿内扶仁子”ら個性的な編集者を扱ったルポタージュ。椎根和が第三者の目線で自分を記載するというなかなかユニークな構成になっています。
【旅行】銀座高級ブランド三連発
 今も昔も高級ブランドの街”銀座でありますが写真はそんなお店が並んでる一角
  ルイ・ヴィトン:女子大生御用達のバック屋さん。
          でもニセブランドが摘発されると必ずあるんだよな~
  ブルガリ   :時計屋さんだと思ってましたが、高級宝飾店でした。
          だって、バブリ~であやしげな紳士って
          必ずこの時計してそうなんだもん
  ティファニー :オープンハートのペンダントが贈り物の定番でしたねぇ
          まあオードリー・ヘプバーンの”ティファニーで朝食を”
          名前を知ったんですけど
 高級ブランドと言っても、おぢさんにはこの程度の認識です
 (あくまで個人の感想です。間違ってたらごめんなさい)


 ”銀座Hanako物語”には創刊当時の目次が載っているんですが、今見ても斬新ですね。なれなれしさの中にも私だけが知ってる感があって、それでいて脅迫的というか
 クリスマスネタのだと

  銀座は予約しなければ、食事も買い物もできない リザーブ銀座大情報 全236軒
  大混乱が予想されるXmasの休日。でも、銀座で宿泊可能なホテルを発見

みたいな(90.10.18号)。
 まあこの年はクリサマス・イブ一晩で20万円ほど、椎根をして”歴史上最高にお金のかかる聖夜になったにちがいない(*3)”と言わしめてますが。そういやHanakoに連載されてた吉田秋生の”ハナコ月記(*4)”で彼氏のイチローさんが

  おまえらフツーの男がいったいいくら稼げると思ってやがんだ!

と怒ってましたねぇ

 まあ、私自身はバブル時代もお金には縁がなかったし、美味しい思いをしたこともなかったので本書に出てくるようなエピソートって”マジっすか?!”って感じですが、確かに時代の空気としてはあったんでしょうなぁ。
 ”Hanako”(Hanako族)が流行語大賞銀賞をとったのは前年の1989年(*5)。”Hanako”のコンセプトにあわせた”結婚にも、仕事にも、レジャーにも徹底して楽しむ新しいタイプの女性”の登場というのは、”バブル”&”男女雇用機会均等法”の影響が大きいんではないかと。

 バブルってのは、実体経済成長以上に資産価格膨らむ、まあ”今持ってる土地や株を売れば金は手に入る(はず)だし、先行きもっと金が手に入る(はずの)”という経済的な側面と、”みんなお金使ってるんだから、自分がつかっても良いかな?”みたいな時代のユーフォリア的な雰囲気の両面あるんでしょうね。
 それに”男女雇用機会均等法(*6)”の施行により女性の社会進出と男性並みに収入があって、女性もお金を使える環境が整ってきたのがあるのかも(どんだけ貯金してたかは知りませんが・・・)
 で、そんな女性の背中を押したのが”Hanako”かな。女性の消費行動に一定の方向性を与え流行を生み出すパワーみたいのが確かにあの時代にはありましたねぇ グルメに海外旅行に高級ブランドにと。

  いま シャネルブティックから商品がすぐ消えている
  <ホノルル・香港・シンガポール> 都市別賢くシャネルを買う方法

   (88.7.21掲載)

 まあ、こんなコピーが載ってるんだけど信じられんノリです

 本書はある意味”バブルを駆け抜けた女性達”の一瞬の光芒の話でもあります。
 あの時代を懐かしいと思う昔のお嬢様方だけでなく、今のお嬢様方にとってもお母さん達が若かりし頃に見た一夜の夢を知るにもいいかも。ブランドをまったく知らないおぢさんでもけっこう面白く読めました。


《脚注》
(*1)Hanako
 マガジンハウスが首都圏在住の27歳女性をターゲットに1988年に創刊した情報誌。マガジンハウスは女性向けの”an・an”や”オリーブ”、”クロワッサン”、男性向けの”BRUTUS”、”POPEYE ”なんつ~オシャレげな雑誌を出版しています。まあ、ご年配のおぢさんには”平凡パンチ”を出してた平凡出版といったほうがわかりがいいかも。
(*2)バブルと寝た雑誌”Hanako”
 ”XXと寝た○○”の元ネタは1970年代後半に圧倒的な人気を誇ったアイドル”山口百恵”を写真家篠山紀信(か作詞家の阿久悠)が評した言葉”時代と寝た女
 2014年に講談社から”隔週刊 山口百恵「赤いシリーズ」DVDマガジン”が出版されるほど伝説的な女優でもありますが、意外なことに人気絶頂期の1980年に結婚・引退したのは21歳と当時でもけっこう早婚。活動期間8年間とまさに時代を駆け抜けた人でした。
(*3)歴史上最高にお金のかかる聖夜になったにちがいない
 内訳はディナー2万円×2人+ホテル4万円+ブランド品のプレゼント。
 国税庁の”民間給与実態統計調査結果(平成24年分)”によると正規従業員男性の平均年収は520万円、非正規雇用では225万円としてますので、今の感覚だと半月分とか1ケ月分の給料が一晩で吹っ飛ぶ計算になります。
(*4)ハナコ月記(吉田秋生 ちくま文庫)
 1988年6月9日号から94年9月29日号まで「Hanako」に連載された吉田秋生のエッセイ風漫画。27才のサラリーマン”イチロー君”と26才でフリーのイラストレーター”ハナコさん”(同棲中)が主人公ですが、時まさにバブルの絶頂期だけあって、バブリーなネタがいっぱい出てきます。詳しくはこちらをどうぞ
(*5)1989年
 この年の流行語大賞に選定されたのは
  セクシャル・ハラスメント:女性に対する性的ないやがらせ
  オバタリアン:傍若無人なおばちゃん(堀田かつひこの漫画より)
  濡れ落葉  :仕事も趣味も仲間もなく、妻に頼りきってる定年退職後の男
など。弱体化する男性と元気のある女性の対比がよくわかります。
(*6)男女雇用機会均等法
 正式名称は”雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律”というもっちゃりしたもの。ここでは1986年施行のものを指します。ただし、男性と同等の雇用だったのは”総合職”と呼ばれる分野で、一般業務を担当する”一般職”というのも別にありましたが。
 就職戦線は完全な学生の売り手市場。今ではファーストフードなどでアルバイトが集まらないなんて話題をやってますが、当時は正規雇用でその状態でしたから今の若い人には信じられん状況でしょうなぁ

あのギャグ漫画を力技で怪奇ミステリーの世界に持ってくか!?(こちら葛飾区亀有公園前派出所/小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所/神田川)

 ども、最近はめっきり少年ジャンプも読まなくなったおぢさん、たいちろ~です。
 先日、京極夏彦(*1)ファンで高校時代の友人YO~YO~がこのブログに”小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所”がオススメってコメントくれました。探してみると京極夏彦や石田衣良などけっこうなメンツ。そりゃ読んでみねばなるまいということで、今回ご紹介であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
神田近く、JRお茶の水駅付近の神田川です。

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【本】こちら葛飾区亀有公園前派出所(秋本治、集英社)
 亀有公園前派出所のお巡りさん”両津勘吉”を主人公としたギャグ漫画。通称”こち亀”。連載開始が1976年で現在も連載中、少年誌の最長連載記録のギネス記録保持だそうです。
 しかし両津って失敗ばかりしてる印象ありますが、体力、悪知恵、趣味の分野で見せる驚異的な知識とテクニックと意外にスーパーユーティリティなんですな。
【本】小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所(監修 日本推理作家協会、集英社)
 人気推理作家(大沢在昌、逢坂剛、今野敏、東野圭吾、石田衣良、京極夏彦、柴田よしき)がこち亀を題材にしたアンソロジー
〔ぬらりひょんの褌(京極夏彦)〕
 両津勘吉の上司、大原巡査部長は部下の寺井と中野を訪れた。なんでも昔中野に一週間だけ住んでいたことがあるらしい。だが、そのアパートに妖怪”ぬらりひょん”が出て褌をの残していくという事件が発生。これを契機に大原巡査部長は大いなるトラウマとともに警察官を目指すことになる。長い時を経て、古本屋の老店主から明かされる事件の真相とは? 
【旅行】神田川
 三鷹市の井の頭池から隅田川に合流する東京都内を流れる川。都心の川で全区間で”開渠(蓋などがない水路)”ってのはめずらしいんだそうです。”ぬらりひょんの褌”ではこの川を泳ぐ謎の少年ってのが出てきますが、流路延長24.6kmなのでまあ泳げなくはないかも、やってみたいとは思いませんが。


 本歌取り系コミックアンソロジー(*2)って時々読みますが、ギャク漫画の”こち亀”に本格ミステリーの京極夏彦の組み合わせとはねぇ。なんせ”こち亀”というと山止たつひこの時代の人だから(*3)、読んでわかるかな~と不安を持ちつつ読んで見たんですが、けっこう面白いんですな、これが

 作品的には大原巡査部長に寺井に南極夏彦(*4)というカス作家、そして謎の老人によるかけあいで構成されてます。で、この老人こそとなった京極堂こと中禅寺秋彦! だって”この世の中に不思議なことなど何もないのですよ”で名推理を始めるんですモン! 明には書いてませんが南極夏彦が”版元や媒体を超えた決めゼリフじゃあ”と叫んでますしが、なにか大人の事情があるんでしょうか?
 しかしまあ、あのギャグ漫画を力技で怪奇ミステリーの世界に持ってくか!?

 意外だったのは、作家の京極夏彦そのもので、解説ではこち亀全単行本を精読してるんだとか。それ以外にもこまわり君とか大山昇太とか(*5)さらりと往年のマンガネタを出してくるし、詳しいの妖怪だけじゃないんだな~~
 この小説読んで初めて京極夏彦の顔写真見ましたが、イメージ違ってましたね。写真見るまでは芥川龍之介ばりの苦虫かみつぶしたような顔かと思ってましたが、ご本人は往年の筒井康隆を彷彿とさせる面立ち、なんとほとんどの写真は中禅寺秋彦のコスプレというおちゃめな人だったんですね~~

 意外ついでに言うと、この作品のキーになっているのが”神田川を泳ぐ謎の少年”ですが、地方出身者の私が初めて”神田川”を見た時の印象は”えっ、神田川ってコレ?!” だって、もっと大きい川だと思ってたんですが、実は小川(ドブ?) 有名な川だから単純におっきくて、かぐや姫の”神田川”(*6)みたいなロマンがあるかと思ってたら そんなんね~し。作品中で”塀をよじのぼって”うんぬんの話がでてきますが、まさにコンクリートの塀に周りを固められた川でした。見て見んとわからんもんですな~~

 本書は、京極夏彦意外にも大沢在昌、東野圭吾、石田衣良など人気作家が書いてるだけあってけっこう面白かったです。でもその作家そのものを意外に読んでなかったりして。大沢在昌の”新宿鮫シリーズ(光文社文庫) ”とか東野圭吾の”容疑者Xの献身(文春文庫)”とかなんでまだ読んでないんだろ?
 ああっ、読みたい本がどんどん増えていく!!!

《脚注》
(*1)京極夏彦
 ”百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)”を出している推理(怪奇?)小説家。
 YO~YO~がダンボール箱で私んちに送りつけて以来、私もハマってしまいました。
(*2)A本歌取り系コミックアンソロジー
 有名な和歌(本歌)の一節を自分の和歌に取り入れるという表現効果のこと。このようにある作品の主人公や世界観を取り入れてオリジナルの作品にしてるのを集めたアンソロジーってけっこう出版されてます。まあ”パクリ”ではなく”二次著作物”と主張するにはそれなりのクオリティが必要でしょうか? でもボーイズ・ラヴ系はちょっと手が出ません・・・
(*3)”こち亀”というと山止たつひこの時代の人だから
 秋本治は連載当初のころは当時”がきデカ”で人気のあったギャグ漫画家”山上たつひこ”をもじったペンネーム”山止たつひこ”を使ってましたがいりろあって現在のペンネームに変更しました。単行本は現在”秋本治”で出てますが、もし古本屋で”山上たつひこ”名義を見かけたら買い。ちょっとトリビアで遊べるかも。
(*4)南極夏彦
 京極夏彦の小説”どすこい”、”南極”(集英社)に登場するキャラだとか
 こんど読んでみよ!
(*5)こまわり君とか大山昇太とか
 作品中にでてくる某少年警察官が”がきデカ(山上たつひこ 秋田書店)”の主人公”こまわり君”、下宿にいた九州出身の青年は”男おいどん(松本零士 講談社)”の主人公大山昇太かと。
 両方とも出版社が違うので、名前書いてないのかも。
(*6)かぐや姫の”神田川”
 改めて歌詞を読むと若い恋人同士が三畳一間の下宿から赤い手ぬぐいマフラーにして銭湯に行くという現在基準からするとビンボ生活な内容ですな。でも当時の若者はこういった生活にロマンを感じてたんだよな~

作品が成功するかどうかは、作品自体の魅力か、作り手と見る人とがともに生み出すのか? まあ、アニメの話ですけど・・(アニメの魂/「ガンダム」を創った男たち/お台場ガンダム2009)

 ども、TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん(*1)、たいちろ~です。
 先日、会社のお嬢様方(40代前半と50代前半)と”好きだったTVの番組は?”という話になりました。で、お答えはというとA嬢は”機動警察パトレイバー”、B嬢は”バビル二世”、C嬢は”マジンガーZ”に”科学忍者隊ガッチャマン”ですと。C嬢に至っては”初恋の人は兜甲児!”ですと(*2)。どうして妙齢のお嬢様方は昭和の懐かしアニメをチョイスするんだ?!
 でも、確かにこの手の話題ってなぜかアニメの話が多いんだよな~~ TVドラマだっってけっこう流行ったのありますが、あんまし出てこないし、スポーツだってバックスクリーン3連発(*3)みたくある瞬間の話題はあってもテイストが違うし。
 ということで、今回ご紹介するのはそんなアニメの話題を扱った本”アニメの魂”であります。

写真はたいちろ~さんの撮影。
2009年にお台場で展示された実物大ガンダムです。

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【本】アニメの魂(イアン・コンドリー、エヌティティ出版)
 サブタイトルが”協働する創造の現場”とあるように、アニメの魅力の源泉を制作者、消費する視聴者、魅力を拡散するファン(オタク?)に求め、フィールドワークにより解き明かしていく本。
 ところでこの本に出てくる”民族誌学”ってどんな学問?
【本】「ガンダム」を創った男たち(大和田 秀樹、ドカワコミックス・エース)
ファーストガンダムこと”機動戦士ガンダム”のTV第一作目から映画化に至る様子を描いた漫画。けっこうリアルタイムに青春してた時代の話ですので、マジに面白かったです。
 元々は”機動戦士ガンダムさん”に収録された”ガンダム創生の章”でこっち版で読みましたが、現在は”「ガンダム」を創った男たち”として再編集版がでてます(こっちは読んでません)
【乗り物】お台場ガンダム2009
 2009年にお台場で展示された全長18mの実物大ガンダム。しかし、これを最初に作ろうと言いだした奴はいい根性してるよな~ 私が見に行った時は家族連れが多かったですが、喜んでるのはおとっつあんの方で、怖がってる子供もいました。のちにジオンから”白い悪魔”と呼ばれるガンダムですが、確かにこんなんが動いて襲ってきたら怖いだろうなぁ


 アニメに限らずですが作品を楽しむには”作品そのものの魅力を語る”というアプローチと”作品そのものを含めた作家の魂に迫る”みたいなアプローチがあります。どっちが深いだ浅いだとか、良いとか悪いとかいう話ではありませんが、本書は後者のアプローチ。でもって、”サマーウォーズ”の細田守監督だの、プロダクションI.Gだの東映アニメーションだのゴンゾだのに行ってインタビューをしてます。
 でも、読んでて面白かったのはコアな消費者としてのファン(オタク)の話かな。といっても”オタク研究”みたいな内容ではなく、経済的行動原理から説明できないようなこと、ぶっちゃけ一銭にもならんことに血道をあげるのかっていうこと。本書ではこれを”ダークエネルギー”と言ってます。

  ファンの世界を流れるダークエネルギーは
  コンテンツとファンの欲望を結びつけて活性化させ
  相乗効果的にメディア製品の循環を加速する社会的な力だと考えてよいだろう

   (中略)
  ファンとメディアとコンテンツとテクノロジーと制作者を
  流動的に結びつけるリンクを概念的に表しているのだ
 

 あえて難しく書いてるような気もしますが(*4)、わかりやすく言えば”アニメを熱く語る奴のパッションの根っこ”みたいなもんでしょうか。そういや、私の高校時代の友人でも”ニュータイプ”を熱く語る奴いたもんな~ お前のことだぞ、宮浦!(*5)

 この例としてあげているのが海外の”ファンサブ”という活動。これは海外で未放映だったりDVDで発売されてない(発売されてるのもあるらしいけど)アニメ番組を寄ってたかって翻訳してWebにアップするというもんだそうです。たまにYouTubeでアニメに英語や中国語なんかの字幕付きのもを見かけますが、どうもあれらしいです。
 まあ、著作権法違反かどうか議論がわかれるとこですが”だって、売ってないし、翻訳もされてないんだモン”という実態に”こんなええ作品があるんやからお前も見んかい!”というファンの情熱の合体したエネルギーとでもいいましょうか。実際がとこ、日本語なんてアジアの片隅の言語を文化的背景まで考慮して翻訳し、字幕を合成するなんてけっこうなエネルギーとインテリジェンスが必要な行為でしょう。単純に好きだけではできない”何か”があるんでしょうね。

 まあ、日本の例でも”宇宙戦艦ヤマト”とか”ガンダム”とか”エヴァンゲリオン”とか、エポックメイキングな作品ってこの手の情熱持った奴がいたんですな。”機動戦士ガンダムさん”に収録されてる”ガンダム創生の章”のネタがこの好例でしょうか。劣悪な状況ながらアニメを作るスタッフ、視聴率低迷で打ち切りが決まりながら見事復活、というサクセス・ストーリー(*6)のターニングポイントは熱狂的なファンだったといのがこの作品のテーマの一つになっています。
 この作品の最終話に上記のお台場ガンダムが登場するんですが、その中で当時の作成スタッフの女の子がお母さんになって娘にガンダムを見せながら”あれから30年かー”とつぶやくシーンがでてきます。そうだよな~ もう30年以上たつんだもんな~ でも現在に至るまで作り続けられる”ガンダム”って、作品そのものが魅力があるのも確かですが、コアなファンを再生産し続けるファンが世代を超えているんだろうな~ なんて思っちゃいます。お台場に子供を連れてきたお父さんとか

 本書は登場するアニメを知ってるかどうかより、メディア論的な知識があるかどうかのほうが理解には大切かも。そういう点では私もちゃんと理解できたかどうかわかりません。ただ、本書に限らずですが、この手の本って”アニメではダークエネルギーがうんぬん”ってのは書いてあるんですが、ではなぜ実写映画とかTVドラマでこういったエネルギーが起きにくいのかって議論があんましないんですな。確かに2次著作物の作りにくさとか(演じてるのが生身の俳優だし)、権利関係がややこしそうとか、感情を共有できる人の数の違いとかありそうですけど、この辺の議論も読んでみたいものです。

《脚注》
(*1)TVアニメ創生とともに人生をすごしてるおぢさん
 日本で最初の本格的な連続TVアニメ”鉄腕アトム”の放映開始が1963年ですので、今50代のおぢさんはだいたいそんな世代です。
 ちなみに、料理番組の定番”キユーピー3分クッキング”もこの年に放映開始。それもすげ~な~
(*2)A嬢は”機動警察パトレイバー”~、
 機動警察パトレイバー:監督 押井守、漫画 ゆうきまさみ。OVAは1988年販売開始
 バビル二世 :原作 横山光輝。原作連載は1971年から、TV放映は1973年から
 マジンガーZ:原作 永井豪。1972年放映開始
 科学忍者隊ガッチャマン:作製 タツノコプロ。1972年放映開始
 A,B,C嬢の誰が何歳かは個人情報なので秘密です。
(*3)バックスクリーン3連発
 1985年の阪神・巨人戦でランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布が3者連続でバックスクリーンに叩き込んだエピソード。ご高齢の阪神タイガースファンには必須の話題ですが、そのあとの低迷(86年 3位、87~8年 最下位)はなかったことになっています、はい。
(*4)あえて難しく書いてるような気もしますが
 著者のイアン・コンドリー世界有数の名門校”マサチューセッツ工科大学(MIT)”の准教授、れっきとした学者さんです。
(*5)お前のことだぞ、宮浦!
 ロン毛、イケメンにして生徒会役員という私の友人。当然、女の子にはモッテモテで”お兄ちゃん”と呼ばれておりました。今だったらアヤシゲなあだ名だな~~
(*6)サクセス・ストーリー
 本書の原書のサブタイトルは”Collaborative Creativity and Japan’s Mdelia Success Story(協力的な創造力と日本のメディアの成功の物語)”です。


今も昔も必要なのは”分別”ではないかと・・・(クレムリンの枢機卿/PAC-3ミサイル発射装置)

 ども、カージナルというとアームストロング・オズマを思い出しちゃう(*1)おぢさん、たいちろ~です。  浅学ながら”枢機卿”を英語で”カージナル(Cardinal)”っていうのって知りませんでした。まあ”僧正殺人事件(*2)(The Bishop Murder Case)”があるので、”僧正”がビショップぐらいは知ってたんですけど。この本の読むまでカージナルって大リーグのチーム名だと思ってました。
 ということで、今回ご紹介するのは最近また読み始めたライアンもの(*3)から”クレムリンの枢機卿(Cardinal of the Kremlin)”であります。


写真はたいちろ~さんの撮影。
海上自衛隊横須賀基地で展示してあったPAC-3ミサイル発射装置です。

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【本】クレムリンの枢機卿(トム・クランシー、文春文庫)
 上空を飛ぶミサイルた人工衛星を破壊するソ連のレーザー兵器“輝く星”。この秘密を探るべく米国はクレムリンの大物スパイ”枢機卿”に指示を出す。しかし、情報を伝達する工作員のミスから”枢機卿”の正体がばれてしまう。枢機卿を救うべく、CIAの情報分析官ライアンのとった行動とは・・・  トム・クランシーのヒット作”レッド・オクトーバーを追え!(*4)”の後日談でもあります。
【乗り物】PAC-3ミサイル発射装置
 小説内ではレーザー光線で飛んでくるミサイルを迎撃するって兵器が出てきますが、実戦配備されているのはミサイルを飛ばして撃ち落とすって仕掛けです。
 ”なんだ、ミサイルか!”と思われるかもしれませんが、実際に弾道ミサイルを撃ち落とすってのはと~~っても難しいそうで、PAC-3でもレーダー装置やら射撃管制装置やら情報調整装置やらとハイテクの塊なんだとか。


 小説の中ではアメリカ、ソ連とも飛んでくるミサイル破壊するレーザー兵器開発をやっていて、ソ連は実験に(いちおう)成功するけど、コンピューター技術などはアメリカのほうが上だとか、かなりリアリティのある表現になってます。本書がアメリカで出版されたのが1988年、日本では1990年とほぼ四半世紀前ですが、これをSFっぽいと見るかどうかは意見のわかれそうな所。wikipediaには”戦術高エネルギーレーザーで無人飛行機を撃ち落とした”なんてのが載ってますのであながち絵空事ってわけではなさそうです。
 でも、ちょっと前まではこれってまじめにやってたんですね(私が知らないだけで、まだやってるのかもしれませんが)。それが時のアメリカ大統領”ロナルド・レーガン”が1983年にぶち上げた”戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative、SDI)”、通称”スター・ウォーズ計画”。

 まあ、大統領が元映画俳優だからってわけではないでしょうが、1983年といえば”スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの復讐”が上映されてたころ。ハリソン・フォード(*5)演じる”ハン・ソロ”がミレニアム・ファルコン号でレーザー砲ピュンピュン撃ちまくってました。ですんで、”レーザー兵器でミサイルを撃ち落としたい!”って気持ちはわからんでもないですが・・・  まあ、今から見れば”ハイテク幻想”みたいな計画だったようですが、当時としてはけっこうマジ。その後の冷戦終結により自然消滅に近い形で中止されたんだとか(ホントかどうかは知らんけど)。で、今どうなっているかの一つがパトリオットPAC-3システムによるミサイル防衛みたいです。長々書きましたが、こういった時代背景がわかってると”クレムリンの枢機卿”のリアリティがわかるかなと思った次第です。

 まあ、本書の描かれた1980年代後半って、まだ米ソ両大国ががっぷり四つに組んでた時代。その一方軍縮交渉だ、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ(*6)だと戦後構造が大きく変わろうとしたころでもあって、本書の中でもそんな時代の空気が色濃く出ています。それに比べると、最近のウクライナ問題なんかを見てると地域紛争の様相で、力づくで抑えられてない分先鋭化、民意を反映しているって大義名分を必要とするだけどろどろ感が強いような気がして心配です(どっちが良いかという問題ではないですが)

 本書の中で印象的だったのはライアンとナルモノフ書記長の会話に出てくる”相互確証破壊(Mutual Assured Destruction、MAD)”の会話。 MADってのは”一方が核兵器を先制的に使えば、最終的に双方が必ず核兵器により完全に破壊し合うことを互いに確証する”(wikipediaより)ってので、言ってみれば人を殴り倒せば必ず殴り返されるから暴力はやめましょうみたいなもんでしょうか。子供のケンカか?!

  ナルモノフ:現実的になりたまえ、ライアン。
        きみは、われわれが核兵器をすっかり廃絶するだろうと思うかね?
  ライアン :いいえ。われわれはすべての兵器を廃絶することはないでしょう

            (中略)
        しかし、兵器を行使するまでの過程を現在より複雑にすることはできます
        ボタンを押せないように、いっそう多くのみんなにあたえるのです
        それは不安定化ではありません。要するに分別です
        良心を護るのにいっそう役立つものです

 ウクライナ問題なんかでも”分別”のある行動こそが求められてるんでしょうかね・・・
 本書を始め世紀末のポリティカルフィクションって今読むとちょっとわかりにくい面もありますが、温故知新で読んでみるのもいいかも。”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで読むのがお勧めです(*7)。

《脚注》
(*1)カージナルというとアームストロング・オズマを  懐かしのスポ根マンガ”巨人の星”で星飛雄馬のライバル”アームストロング・オズマ”がセントルイス・カージナルスの選手という設定。大リーガーが日本に来ることはあっても日本人選手がアメリカまで出稼ぎに行くことのなかった時代のお話です、はい。
(*2)僧正殺人事件(ヴァン=ダイン、創元推理文庫)
 マザー・グースの詞に合わせて連続殺人事件が起こるという見立て殺人モノの傑作。
  だ~れが殺した、クック・ロビン♪
(*3)ライアンもの
 中央情報局(CIA)の分析官”ジャック・ライアン”を主人公とするトム・クランシーの小説シリーズ。主人公としては12作ですが、やっと4作読んだとこです。
(*4)レッド・オクトーバーを追え!(トム・クランシー、文春文庫)
 ソ連のタイフーン級原子力潜水艦”レッド・オクトーバー”の艦長”マルコ・ラミウス”がアメリカ亡命を企てる。彼の考えを見抜いたライアンはこの企てを成功させるべくる。原子力潜水艦”ダラス”に乗り込みラミウスに接触を図る・・・
 映画版でラミウスを演じたショーン・コネリーがとってもかっこいいです!
(*5)ハリソン・フォード
 この人は”パトリオット・ゲーム”などでジャック・ライアンを演じた人でもあります。”クレムリンの枢機卿”でラミウス艦長とライアンが会話するシーンがありますが、どうもコネリー&ハリソンになっちちゃうな~
 映画でコネリーと会話してたのはアレック・ボールドウィンなんですが・・・
(*6)ペレストロイカ
 ゴルバチョフ大統領が提唱した”再構築(改革)”運動。イコール民主化運動ってわけではないですが、本書の中でもナルモノフ書記長が同じようなこと言ってます。
(*7)”レッド・オクトーバーを追え!”とセットで~
 両方とも絶版なんだな~ 面白いのに。図書館あたりだとたぶん置いていると思いますのでぜひどうぞ。

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