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探偵が活躍しちゃうと”連続殺人事件”にならないってのが難しいところです(八つ墓村/桜)

 ども、大量殺人事件に心ときめかすおぢさん、たいちろ~です。
 先日、百鬼夜行シリーズの”塗仏の宴”(*1)を読みました。この小説に登場する村人が大量に惨殺されるってのが出てきますがこのモデルになったのが1938年に発生した”津山事件(津山三十人殺し)”といわれる事件。実はこの事件をモデルにした小説で超メジャーなのが横溝正史の”八つ墓村”です。そういや昔読んだな~と思いながら40年ぶりぐらいに再読してみました。ということで、今回ご紹介するのはミステリー小説の古典”八つ墓村”であります。

写真は野村芳太郎監督の映画”八つ墓村”より。桜の木の下を駆け抜ける田治見要蔵。
  Photo_2


【本】八つ墓村 (横溝正史、角川文庫)
【DVD】八つ墓村 (原作 横溝正史、松竹他)
 戦国時代、三千両の黄金を携えた8人の武者がある村に落ちのびてきた。欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺したがその後怪異があい次ぎ、村人はその8人を祀った。その村は”八つ墓村”と呼ばれるようになった。
 大正時代、八つ墓村で田治見家当主の要蔵が発狂し、村人32人を惨殺するという事件が発生した。昭和になり要蔵の子孫である寺田辰也が八つ墓村に帰郷すると、次々と殺人事件が発生する。村人たちは恐れ、犯人と思われる辰也を鍾乳洞に追い詰める・・
 名探偵金田一耕助シリーズ長編第4作。
 野村芳太郎、市川崑などの監督で3度映画化、TVドラマとしても6回放映。
【花】
 バラ科サクラ亜科サクラ属の総称。日本の春を代表する花の一つ。
 花の咲き具合とういのは気象庁職員の目視によるとのことで、各地にある”標本木”が蕾が5~6輪ほころびると”開花宣言”が出され80%以上のつぼみが開くと”満開”というんだそうです。


 たぶん読んだのは1970年代の後半だったかと。ちょうど野村芳太郎監督版が松竹から上映されたのが1977年だったので、そのころだったかと。CMで流れる”祟りじゃ~っ”てのが流行ってて。
 ちょうどこの前年に角川映画(*2)の第一作”犬神家の一族(*3)”が公開されたとこで、角川書店がけっこう”横溝正史”のブームを煽ってたんで、何冊かよみましたね。表紙の杉本一文がまたおどろおどろしくて、ナイスチョイスです(現在、この表紙は変わっているようですが、Kindle版では見ることができるみたいです)。

 改めて読んでみたんですが、”え~っ、こんな話だっけ?!”って思うぐらい読書感が違ってましたね。前半、八つ墓明神の祟りで人が次々と殺されるっってのは同じなんですが、後半は村人から殺人事件の犯人として追跡される寺田辰弥が洞窟の中でえんえん追いかけっこ推理小説というより冒険小説のノリです。野村芳太郎監督版の映画も観ましたが、こっちは映像的にかなり美しく鍾乳洞の中を撮ってました。
 話のエンディングもこんなんだっかたかな~。原作では(殺された人には申し訳ないですが)まずまずハッピーエンドになってますが、映画版ではそんなんなし。リアルにこれあったら一生女性不審に陥りそうな内容です。

 おどろおどろな印象としても、たぶん映画のCMかなんかで出てきた要蔵のほうがインパクトがあったのかも。なんせ、田治見家当主の要蔵が桜の木の下を片手に日本刀、片手に猟銃、銃弾ベルトをクロスにかけて懐中電灯が鬼の角のように光ってる頭に鬼の角のように懐中電灯を挿して駆け抜けていくシーンってのはすごいんですよね(*4)。そっちのほうが記憶に残っていて、あとのほうはふっとんじゃってるみたいです。原作では10ページに満たないエピソードですが、これをあんだけ印象的なシーンにしたのは野村芳太郎監督の賜物かも。でも、”桜は人を狂わせる”という言葉がありますが、こういう狂い方は勘弁して欲しいなぁ。もうすぐお花見シーズンだし・・・
 ちなみにこの事件、原作では4月下旬で桜のシーンにしたのは野村芳太郎監督の演出みたい。実際の事件は5月21日と開花の遅い岡山の山間部でももう桜はちっていたんではないかと思われます。(岡山県津山市にある津山城の桜の見ごろは4月上旬~5月中旬頃)

 でも、最大の驚きは”名探偵金田一耕助がな~~んの役にも立っていない”ってとこでしょうか。連続作人事件での名探偵って、初手から活躍しちゃうと連続殺人にはならないってのはわかりますが、それにしても金田一耕助がやってるのって、寺田辰弥を最後に救出するのとすべてを解決してから真実を説明しているだけ。事件の解決に寄与したとは思えない状況。
 どうも、この頃読んだ本とか映画とかがごっちゃになっているようです。ミステリーってのは名探偵による推理を楽しむことに加えて、その雰囲気を楽しむってのもあります。そういった意味では、読みなおしてみると”八つ墓村”って実は後者の方だったのかも。たまには古典的な作品を読みなおしてみるってのもいいかな~
 まあ、どっちにしても”八つ墓村”が名作であることにはかわりませんが。


《脚注》
(*1)塗仏の宴(京極夏彦、講談社文庫)
 作家 関口巽の元に元警察官の光保公平が訪れる。かれはかつて勤務していた韮山の”戸人村(へびとむら)”が存在しなくなっているのでそれを調査して欲しいと依頼する。その村で起こった”大量殺人事件”もなかったことにされている謎とは(宴の支度)
 宗教団体、徐福の研究者、武道家集団、占い師。事件にかかわる人々は存在しないはずの”戸人村”に向かう。妹の中禅寺敦子は誘拐され、友人の関口巽は逮捕され、刑事の木場修太郎は行方不明。そんな中憑物落としの”京極堂”こと中禅寺秋彦もまた事件の解決のために戸人村へ向かう。自分の黒歴史と対峙するために(宴の始末)
 京極夏彦による百鬼夜行シリーズの第6作。詳しくはこちらをどうぞ
(*2)角川映画
 当時角川書店社長だった角川春樹がしかけた本と映画のメディアィックスの成功例。
 横溝正史の”悪魔が来りて笛を吹く”や、森村誠一の”人間の証明”、”野性の証明”、高木彬光の”白昼の死角”、大藪春彦の”蘇える金狼”、”野獣死すべし ”など初期のころは推理小説の映画化も多数。
 ”八つ墓村”はこの映画が松竹の制作延期になったため角川書店が自ら映画製作に進出することを決意させたという因縁の作品だそうです。(wikipediaより)
(*3)犬神家の一族(横溝正史、角川書店)
 信州財界の大物・犬神佐兵衛の莫大な遺産を巡り娘たち降りかかった連続殺人事件を解決する金田一耕助を主人公とする推理小説。
 市川崑監督の映画版(1976年公開)では池の中から突き出した佐清(すけきよ)にすごいインパクトがあってシンクロよろしく水中から足を出して”すけきよ~”というギャグもありました。
 先日読んだ”JA 女子によるアグリカルチャー”(鳴海なる)ではお雑煮から出てる人の足形の大根を観て、小学1年生の野沢りんごが”犬神家”とつぶやいてるシーンがありましたが、よく小学生が知ってるな~~~
(*4)田治見家当主の要蔵が~
 実際の津山事件の犯人”都井睦雄翌”の犯行当日の様子とほぼ同じだったようです。
 この格好で来られたらさぞ恐ろしかったでしょう。

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コメント

津山事件の犯人の墓が、事件現場の村はずれにあります。
村の墓地のかたすみに何も文字が刻まれていない小さな自然石だけがあるそうです。
なんかいろいろと事情があるそうで、無下に捨て置けない、しかし憎い犯人。外部の者にはわからないことがあるんでしょうね。
津山事件に似たもので、怪談好きならだれもが知っているものに”杉沢村”というのがあります。
簡単に言うと、とある老人が村人を惨殺して村が壊滅したというものなんですが、ほとんど都市伝説みたいなあつかいになっています。村の所在地がわからないからなんでしょうけどね。
でもね、これ実はちゃんと裁判記録が残っているんですよ。ほんとにね。

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