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2013年2月3日 - 2013年2月9日

”炎上”ってのはブログ誕生時点からDNAに組み込まれていたのかもしれない。人間のDNAかもしれんけど(ブログ誕生/クモの巣)

 ども、オメガブロガー(*1)のおじさん、たいちろ~です。
 会社の中で関連部署向けのブログを書いています(これは本当)。まあ、ブログといっても、トップの人の発言を代わりに載せたり、イベント関連の報告を書いたりなので、社会一般でいうブログとやや趣は異なりますが実はこの仕事けっこう長くやっています。ホームページの型式だと1990年代の中ごろからやってました。個人的にはパソコン通信(*2)を1980年代半ばからやってましたんでんで、ほぼほぼ日本のネットワーク化とお付き合いしたってことになりそうです。
 まあ、デキゴトも四半世紀も過ぎれば歴史になるわけで、じゃあちょっと振り返ってみましょうということで、今回ご紹介するのはブログの歴史を扱った本”ブログ誕生”であります。

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 写真はたいちろ~さんの撮影。近所で見かけたクモの巣です。


【本】ブログ誕生(スコット・ローゼンバーグ エヌティティ出版)
 日本語のサブタイトルは”総表現社会を切り拓いてきた人々とメディア”。原書は
  Say Everything
    How Blogging Began, What It's Becoming,
    and Why It Matters
  すべてを語れ
   ブログはどう始まったか、どのようになっているか、そしてなぜ重要なのか

とあるように、日本語サブタイトルよりもう少し広い範囲で語っています。
 まあ、従来型メディアの人々との確執は読みごたえありますが。
【生物】クモの巣
 ワールド ワイド ウェブ(World Wide Web)の”ウェブ”はクモの巣という意味。ネットワークのつながり方がクモの巣を連想させることからこの名前がついたんだとか。
 まあ、ウェブというクモの巣をうまく使って情報をキャッチするか、情報の糸にからめとられるかは本人しだいでしょう。


 ちょっと厚めの本なので”プロダクトライフサイクルマネジメント”っぽく私なりにちょっと整理するとこんな感じ。

〔導入期〕
 いわゆる誕生期。専門的なスキルが必要なため技術者や先端的が人が中心
 試行錯誤なんかもありますがおおむね創業の物語になります(第一部 パイオニア)

〔成長期〕
 世間に認知されてホームページをHTML(*3)で書く人(前期)やブログを書く人(後期)が急増する時期。企業がホームページを使った広告を始めたり、個人もブログから収入を得るようなビジネスモデルが登場してきます(第二部 拡大)

〔成熟期〕
 市場参入業者はさらに増加するため競争が激化する時期。ドットコムバブルなんてのがありましたねぇ。
 ブログを書くツールもこなれてきていて、ほとんど専門知識がなくてもブログを書けるようになってきます。(第二部 拡大、第三部 ブログがもたらしたもの)

〔衰退期〕
 需要量が減少し業者が撤退していく時期。昨今のフェイスブックなんかのSNSをブログに入れるかどうかで評価が分かれますが(*4)、別物と考えると今のブログは成熟期後半か衰退期の始まりぐらいでしょうか。(第三部 ブログがもたらしたもの)

 ブログを取り巻く環境や技術史的に見るとなるほどねぇといった内容。で、問題は”ブログを書く人の意識”の変遷。一般的に言うと導入期は専門家が多いので志やモラルが高い傾向があります。これが成長期、成熟期といった”拡散する時代”になるといろんな人が参加するようになるので、中には”痛い人”なんかも混じってきます。このへんは岡田斗司夫が”オタクはすでに死んでいる(新潮新書)”で論じている”オタク文化の変遷”なんかと良く似ています。
 これは、かつてSFを何百冊と読んでいた”オタクとして必要な教養”を持った世代から、機動戦士ガンダムやスターウォーズに代表される”わかりやすいSF”の登場、そして”萌え~~”みたいな「自分の気持ち至上主義」の登場で”オタク”が変質していったという内容です(詳しくは”昭和のオタクに花束を”をご参照ください)

 導入期のホームページってのは情報共有とか、自分の思った事を書いたりとかリンクを張るぐらいで、双方向性というのが弱かったみたいです。これが成長期から成熟期になってホームページのツールが充実し~のブログになり~のしてくると、自分での情報発信に必要な技術的な参入障壁が低くなり、簡単に双方向のコミュニケーションができるようになってきました。

 世の中、多様な意見があってしかるべきなんですが、得てして人は自分の意見が正しいと思いがち。しかも自分に同調する人がいればなおさら。

  ウェブはその基本設計から、同質の人々のあいだでフィードバックが生まれ、
  先入観を強化するニュースだけを得るようになってしまうという件だ。
  これは心理学では同類志向と呼ばれる。
(本書より)

 これを逆に見ると、自分と反対の意見には反論することは正しいと思ってしまう考えが出てきます(まあ、別にしてもいいんですが)
 自分のブログでやってる分にゃ別に個人の勝手ですし、仲間内でもまあOK。
 せっかく自分の意見の言えるブログを作ったら人にも見て欲しい物。ところが、後発のブログって数学的にアクセス数をあげるのは先発のものより難しいんだそうです。ブログのアクセス数がべき乗数(ロングテールのグラフ)を描くことについて本書ではニューユーク大学のクレイ・シャーキーの説を紹介しています。

  (アルファブロガーとそうでない人の存在する)不公平さは
  ブログというシステムが内包する数学的特性がもたらしたものであり、
  ブログというシステムが提供する多様性および選択の自由が大きくなるほど拡大する。

     (本書より)

 ランキングが行われる場合、1人目は自由に選択できるが二人目以降は前の人の選択に影響される(選択される率が高くなる)ためにこのようなことが数学的必然として起こるとってこと。で、自分の意見を聞いて欲しい、自分のブログへ誘導してアクセスを増やしたいっていう”マズローの承認の欲求(*5)”に素直な人は、人んちのブログで持論を展開させちゃいます。よく言われるネットの匿名性もあります。自分の興味のあるネタをとことん追求するブロガーは新しいネタを追っかけるマスコミと違って、ディープに長期化する傾向もあります。さらには

  オンラインコミュニケーションの欠点として昔から指摘されていること、
  つまり、表情やしゃべり方、身ぶり、視線など、対面なら得られる
  さまざまな手がかりがないことも原因のひとつだ。
(本書より)

 という、”頭に血が上りやすい状況で”議論することになります。これが悪化して誹謗中傷、罵詈雑言、揚げ足取りを延々と繰り返すともう最悪。つまり”炎上”です。

 本書に直接こんなことが書いてあるわけではないんですが、読んでるとなんとなくこんな”炎上のメカニズム”を思いついちゃいました。

  いずれにせよブロガーの多くに共通する特質というものがある
  挑戦的で神経に障るというか、どうなろうと知ったことじゃないう
  とんがった姿勢というのがあるのだ。
(本書より)

 ま、これが原因なのか結果なのかはありますが、人間のDNAに組み込まれた良く言えば”人の役に立ちたい”、悪く言えば”オレの話を聞け!”といった欲求が、ブログという情報発信をより便利に行いたいというDNAに触発されて拡大してってるって、仮説としては面白んじゃないかと。別にこの説を認めて欲しいんじゃないんで、議論をするつもりはないですけど。(だから炎上なんてさせないでね!)

 ”ブログ誕生”はブログを書いてる人は一度は読んどいた方がいいかも。先人の苦労やブログの重要性なんかを読んでると、ネットの網につかまってじたばたする状況から抜け出せる手助けになるかもしれません。


《脚注》
(*1)オメガブロガー
 ブログが大きな影響力を持ってたり、多くの読者を持つ人を”アルファブロガー(Alpha blogger)”と言います。じゃあ、私みたくほとんど読者のいないブロガーってなんていうんでしょうか? まあ、最後だから”オメガ”でしょうかねぇ。ヨハネの黙示録で”私はアルファでありオメガである”と神ヤハウェも言ってることだし。
(*2)パソコン通信
 ブラウザなんてシャレたものもなく、回線つなぎっぱなんて夢のまた夢の時代に使われたインターネット前夜の通信サービス。だいたい85~95年ごろのことです。
 フルテキストのコマンド入力方式で、回線速度もPCの処理性能も遅くて画面のスクロールが目で追えるほど。今ならWindowsのDOS-プロンプトみたいな感じです(使わないか・・・)
(*3)HTML
 ”HyperText Markup Language(ハイパーテキスト マークアップ ランゲージ)”の略。”Language=言語”とありますが、見慣れない人からするとほとんどプログラミングの世界です。
 最初のころはデキストエディター(簡単なワープロみたいなの)しかなく、専門知識が必要な代わりにデザインなんかはかなり自由にできました。後にはツールやテンプレートが充実してきてかなり楽できるようになりましたが、ブログほどさくさくは書けなかったですねぇ。
(*4)SNSをブログに入れるかどうかで評価が分かれますが
 紙や電波などの歴史と制約のある旧来メディアと比べると、
 ブログは無政府状態、短命、表面的などと感じることが多い。
 しかし、フェイスブックの群衆型ネットワーキングや
 短文が羅列されたツイッターなどと比べると、
 ブログは実質的で自立しており、パワフルだと感じる
(本書より)
(*5)マズローの承認の欲求
 マズローの欲求段階説によると、人は下から”生理的欲求”、”安全の欲求”、”所属と愛の欲求”、”承認(尊重)の欲求”、”自己実現の欲求”があるそうです。承認の欲求を満たすには他人からの尊敬や名声、注目などが必要

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