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2013年12月22日 - 2013年12月28日

息子よ、そこは”お父さんの後を継いで戦士になります”だろ~が!(アフター・アース/植物相)

 ども、単身赴任のおと~さん、たいちろ~です。
 単身赴任の休日ってのはヒマなもんで、DVDを借りてきてよく観ます。でも、演じる役者さんって当たり役というか、最初に観たモンというかにイメージ引きずられる傾向があります。佐野史郎がお父さん役で娘の結婚に反対すると”あんたが言うか!”と思っちゃうし(*1)、海外の名優でも”I Am Not Spock(*2)”なんつー本を書かないといけなくなったりします。
 何の話をしたいかというと、今週観たDVD”アフター・アース”のこと。突っ込みどころ満載なんですな~、これが!(今回の話はネタバレ満載ですので、読むんでしたらDVDを観てからどうぞ)


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写真はたいちろ~さんの撮影。尾瀬の至仏岳山頂付近から小至仏山への下りの植物相。だいたい寒冷地だとこんな感じになります。


【本】アフター・アース(主演 ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、ソニー・ピクチャーズ)
 地球を脱出してから1000年後、人類は新たな星ノヴァ・プライムへと移住していた。伝説の戦士サイファ(ウィル・スミス)と、父・サイファへ憧れを抱きながらも過去の悲劇から、父と距離をおく息子キタイ(ジェイデン・スミス)は共に宇宙への任務に出ていた。しかしその途中 、小惑星嵐に見舞われ宇宙船が大破、緊急発信器<ビーコン>を載せた船の後部と船体はばらばらになり、“隔離惑星"と警告される、ある星へ墜落した。
生存者はサイファとキタイの2人のみ。不時着した惑星は、なんと1000年間の時を経て、人類を殺すよう独自に進化した“地球"だった。(amazon.comより)
 ウィル&ジェイデンのスミス親子共演によるSF映画。
【花】植物相
 植物学において”植物相”は、地域・時代・環境の特徴・気候により、植物は各種の植物相にグループ化される。たとえば山岳地帯や低地など地理的区分が変わると、自生する植物には違いが生じる(wikipediaより)。映画の中でサイファ将軍は”夜になるとほとんどのエリアが凍りつく”と言ってますが、植物相を観てるとそうは思えません


 さて”アフター・アース”ですが、ストーリーを簡単にまとめると”単身赴任のお父さん将軍が最後の任務地に息子を連れてくけど、宇宙船が難破して、遭難信号を発信するために息子が頑張って親子の絆を深める”つ~話。こうやって書くと身もふたもありませんが。別に悪い映画とは言わないんですが、なんだかすんげー違和感あるんですな、観てて。上記の植物相なんかもそうですが、ちょっと違うんじゃね~みたいな。SFってのは元々が絵空事をそれっぽく見せるってのが重要なんですが(*3)、違和感を感じちゃうとなかなかのめりこめなくてねぇ・・・


〔ウィル・スミスって軽いノリの役者さんだと思ってなんですが〕
 どうも、ウィル・スミスって”MIB(*4)”の印象が強くって、やたら喋りまくる人だと思ってサイファ将軍のように落ち着いた声で、息子を諭すってのはどうも違和感あって。いや、いいこと言ってるんですよ。息子に”どうやって恐怖を感じない戦士になったのかと聞かれてのお返事。

  恐怖は、まやかし。実在しない
  恐怖がはびこる場所はたったひとつだ。それは未来を思う、私たちの心。
  恐怖を生むのは私たちの想像力。
  人は今起きてなことや将来起こるかどうかわからないことを考えては、恐れている
  無駄に恐れるのは、くだらないと思わないか?
  ひとつ誤解しないで欲しい。”危険”は実在している。だが、恐怖は自分次第だ
  人は未来に囚われ、恐れる

 いや~、私も息子に言ってみたい名言なんですが、どうも”J”に言われてると思うとねぇ・・・


〔映像とお話する演技って、あんたは陣内智則か!〕
た”MIB”のウィル・スミスって、アクション・スターってわけではないですが、けっこう走りまわったり、ガン撃ちまくったりしています。まあ、トミー・リー・ジョンズ演じる”静のK”に対して”動のJ”ってとこでしょうか。でも”アフター・アース”ではほとんどアクションないんですね~~ 回想シーンで一瞬あるぐらいで、あとは足を怪我したという設定なんで遭難した宇宙船のコクピットで通信経由で息子にあ~だ、こ~だ指示する役。思わず”あんたは陣内智則か!(*5)”とツッコミ入れてしまうぐらい、ず~っと画面とおしゃべり。いや、CGはよくできてるんですけどね。


〔死亡フラグ立ってんだから、ちゃんと死になさいよ!〕
 物語冒頭に任地から帰ってきたサイファ将軍。奥様に対してこんなことを言います

  この任務が終わったら、引退しようと思ってる
  いっしょに働こうか? ターバイン局で
(*6)
  君と二人で、家族を取り戻したい、君の心を

 これは死亡フラグではないか!(*7) この人は死ぬ、絶対死ぬ、間違いなく死ぬ! と思ってみてました。エンドシーンで救出隊が来て、サイファ将軍を救出、回収するわけですが、これは絶対間に合わなかったゾと思ってたら、え~~っ生きてンの? 死亡フラグが立ってんだから、ちゃんと死になさいよ!!


〔息子よ、そこは”お父さんの後を継いで戦士になります”だろ~が!〕
 最後の場面で生き延びた二人の再会。息子を抱擁する父親に対して

  息子:父さん、
  父 :ああ
  息子:母さんと一緒に働きたい
  父 :父さんもだ

 息子よ、そこは”お父さんの後を継いで戦士になります”だろ~が! せっかく父親が戦死として息子を認めているのに、ターバイン局みたいな平和な部署でこじんまりとまとまってど~する! 親父も親父だ、単身赴任を解消して家族と住めるのわからんでもないけど、”父さんもだ”とか言ってOKしてる場合じゃね~だろ! ちったぁカーク船長を見習え!!(*8)

 と、まあツッコミどころ満載のDVDでした。まあ、いい映画なんですがねぇ・・


《脚注》
(*1)佐野史郎がお父さん役で娘の結婚に反対すると~
 1992年にTBSで放映されたTVドラマ”ずっとあなたが好きだった”でマザコン・変態のダンナ”冬彦さん”を演じたのが佐野史郎。数シーン見ただけですが、強烈なインパクトありましたね~~
 娘の結婚に反対するのは2013年に同じくTBSで放映された”空飛ぶ広報室”(原作 有川浩)の第3話より。危険な仕事の航空自衛隊員との結婚に反対する花嫁の父を演じてました。
(*2)I Am Not Spock
 ”スター・トレック”でMr.スポックを演じたレナード・ニモイによる自伝。日本語訳が出てないので読んでませんが。なぜかその続編”わたしはスポック”は日本語訳がでてます(扶桑社ノンフィクションより)
(*3)SFってのは元々が絵空事をそれっぽく見せるってのが
 最近は現実がSFっぽくなってきてますが・・・
(*4)MIB(メン・イン・ブラック)
 1997年に公開されたSFアクション・コメディ映画。
 エイリアン達の監視と彼らの存在を世間から隠すことを任務とする”MIB”のエージェント役。ウィル・スミスはトミー・リー・ジョーンズ演じる”K”の相棒で若造扱いされる”J”役。寡黙な”K”に対し高めの声でやたらよくしゃべるのが印象的ですが、これは声優の江原正士の功績が大ではないかと。
(*5)あんたは陣内智則か!
 最近はバラエティーに欠かせない陣内智則ですが、メジャーになり始めのころは画面に出てくるシーンにツッコミを入れるというピン芸をやってました(こんなネタです)。これがけっこう面白くてお気に入りだったんですが、またやってくんないなぁ・・・
(*6)ターバイン局で
 ターバイン局はなんの部署かの説明はないですが、字幕では”Turbine Division(日本語読みだとタービン)”ってあるのと、会話の直前に奥様がタワー状のCGを操作しているところを見ると、どうもエネルギープラントか何かの管理部署ではないかと。まあ、なんにしろ前線でないことは確かみたいです。
(*7)これは死亡フラグではないか!
 これを言ったら、そのキャラは死ぬというお約束
 ほかにも、ホラー映画の冒頭で”ちょっと見てくる”出撃直前の”もうすぐ、子供が生まれるんだ”など。そう言えば、うちの奥様が海外旅行直前に”貯金通帳と印鑑は××にあるから”と電話してきましたが、これも死亡フラグ?!
(*8)ちったぁカーク船長を見習え!!
 カーク船長は”スター・トレック”に登場する名艦長。”スター・トレックⅡ カーンの逆襲”では最終シーンで、長年の友人で副長を務めたスポックの死に対しての言葉。

  若返った 命が蘇った

”スター・トレック”史上屈指の名シーンです。

”設定資料”というビジネスを考える(ロマンアルバム 他/バベルの塔)

 ども、モノゴコロついたころからアニメを見てた世代のおぢさん、たいちろ~です。
 とある大人の事情がありまして”バビル2世(*1)”の昭和版アニメを10数話ぶっとおしでみました。まあ、現在のアニメの作画レベルとは比べようもないレトロな作品ですが、それはいいとしてと~っても気になったのが”バベルの塔”のデザインが話数によって違うこと。コンピューターのデザインがあるのはまだ許せるとしても、なんで建物が複数あるんだ?!(*2) 設定資料は見てるのか?! と突っ込んでしまいました。で、ふと我に返ると本来作成者側の内部資料である設定資料なんぞを何故、知っているのか? まあ、昔はこの手の本をけっこう買ってたんですが、買ったということは売った人がいるわけです。
 ということで、今回のお題は”設定資料というビジネスを考える”であります。


写真は”バビル2世”のDVDより。デザインの違うバベルの塔です。

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【建築物】バベルの塔
 旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔。人類が天に届く”バベルの塔”を作り、これに怒った神(エボバ)がこの塔を破壊し、人々の言葉を通じなくしたというもの。
 ”バビル2世”では不時着した宇宙人”バビル”が救難の目印として建設したが事故により破壊されたという設定です。


 今回のお話は、1970年代後半から1990年代後半に至る設定資料ビジネスの変遷。まあ、おぢさん世代の昔話と思ってお付き合いください


〔”宇宙戦艦ヤマト”とロマンアルバムの誕生〕
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 アニメに最初の転換期をもたらしたのが1974年に放映された”宇宙戦艦ヤマト”。企画・原作に”西崎義展”、監督に戦場マンガシリーズの”松本零士(*3)”。この作品の解説本として徳間書店より発刊したのが今に続く”ロマンアルバム”の第一作”宇宙戦艦ヤマト”です。”テレビランド”という子供向けアニメ雑誌の増刊号としての発刊ですが、この本のヒットによりアニメ雑誌”アニメージュ”も誕生したというエポックメイキングな本でもあります。
 子供向けだったアニメが当時でいう”ヤングアダルト(*4)”向けビジネスとして成り立つ(ぶっちゃけ儲かる)ということが証明されたわけで、これからアニメ雑誌や設定資料を載せた本が登場していくことになります。


〔”さらば宇宙戦艦ヤマト”とアニメ解説本の拡大〕
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 ”宇宙戦艦ヤマト”のヒットを受け続編として1978年に公開されたのが”さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち” このあたりからアニメがサブカルチャーとして定着し始め、1977年に”月刊OUT(みのり書房)”、1978年に”Animec(ラポート)”、1979年に”ジ・アニメ(近代映画社)”、1980年に”ふぁんろ~ど(ラポート)なんつー雑誌が次々発行されます。
 この時期はディープな設定資料が出版されてまして、思い出深いのが”さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 精密図解集”という登場するメカのブループリント(*5)を集めた本。メカの3面図を載せた本ですが、けっこうそれらしい雰囲気でお気に入りでした。


〔”機動戦士ガンダム”と設定の精緻化〕
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 ヤマトに続いてエポックメイキングだったのが1979年に放映された”機動戦士ガンダム”。ワンアンドオンリーだった巨大ロボットを単なる”兵器”として位置付けたこの作品は”なぜ人型ロボットが必要なのか(*6)”を論理的に突き詰めた最初でもありました。
 で、この方向性を決定したのが月刊OUT増刊号の”ガンダムセンチュリー”。"ミノフスキー物理学"や"AMBAC"といったSF用語満載で、本家のサンライズが採用した設定もあるという画期的な本でした。
 ガンダム人気を受けて後発である”月刊ニュータイプ(角川書店)”が創刊したのが1985年のことです。


〔VTRの普及と”超時空要塞マクロス”〕
 本ではないですが、このあとの時代のエポックメイキングなテクノロジーだったのがVHS(今のDVDみたいなモンと思ってください)。オタク評論家の岡田斗司夫がなんかで書いてましたが(”東大オタク学講座”だったかなぁ)、VHSの登場によってアニメの見方が決定的に変わったとのこと。今風に言うならフロー(流れて消えていく)のエンタテインメントだったアニメがストック化(蓄積、再生)でしょうか。つまりほとんど見直しのできなかったTVアニメが、ストップモーションやスロー再生ができるようになってより分析的な見方ができるようになったということです。上記の”バベルの塔”だってTV放送なら、あれっ? と思ってる間に過ぎちゃってってるんで、おぢさんにこんなにぐだぐだ言われることもなかったろうに・・・
 国立科学博物館の査主任調査員 川村俊明氏の論文によると家庭用VHSの普及期が1975年~84年頃で、普及期が1985年~94年頃だそうです。(私が初めてVHSを買ったのも確か84年頃でした。
 で、VHSの普及と時期を一にするのが1982年放映の”超時空要塞マクロス”。上記の岡田斗司夫がやってましたが”板野サーカス(*7)”と呼ばれる演出をコマ送りで見るなど、より分析的な視点で見ることが可能になった時期です。

〔”ウルトラマン研究序説”とエヴァンゲリオンの登場〕
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 1991年にあるユニークな本が発行されました。その名も”ウルトラマン研究序説”。若手学者による”ウルトラマン”の学術的考察といった内容で、後の謎本ブームの元祖となったような本ですが、この系譜にもっともマッチしたのが1995年に放映された”新世紀エヴァンゲリオン”。この作品が特徴的なのはモノゴコロついたころからアニメを見て”宇宙戦艦ヤマト”で思春期を送った世代(私と同じ世代です)が作り手に回ったこと。さらには監督の庵野秀明を始め、主要メンバーが大学のSF研究会出身ということです。”千冊読んだらSFってなんだかそろそろ分かるんじゃないかな(*8)”みたいなディープなSFの読み手が作った作品ですので、内容がとってもハード。SFから宗教学に至るまで、広範な知識がないとなにいってるか分かんない内容がてんこもりで、それを解説するのには”研究序説”的な本が必要だったんですね。

 まあ、この手の話題をやりだすと”宇宙戦艦ヤマト全記録集”や”機動戦士ガンダム 記録全集”といった豪華本から”ケイブンシャ 大百科シリーズ”まで枚挙に遑がないんですが。で、ひるがえって平成の御代。デアゴスティーニライクな分冊百科があり~の、ネットでいろいろ調べられ~の、映画館で公開中にDVDが出ぇ~の、放映直後に動画がネットにアップされ~のと情報満載です。思うに、作品のシリーズ化や、ドラマの複雑化大人の鑑賞に堪える作品の増加など作り手側の事情もあれば、マーケットの拡大や、アニメを卒業しない大人の増加(つまり私です)(*9)、SNSに代表される深読みする人のネットワークの形成なんかいろいろからみあって、現状、つまり儲かるビジネスになってるんでしょうなぁ。
 学生のころ、少ない小遣いはたいて本を買ってた、でも出版された本はだいたい買えた世代にしたらうらやましいのやら、驚いてよいのやらではあります。


《脚注》
(*1)バビル2世
 原作は漫画界の巨匠”横山光輝”、主人公”バビル2世”のCVはこれが初主演の神谷明、主題歌は”アニキ”ことアニソンの帝王”水木一郎”となかなかに豪華なメンバー。それなりにちゃんと作った作品だと思うんですがねぇ。
(*2)なんで建物が複数あるんだ?!
 ”バビル2世”では、バベルの塔は目印(救難信号)の為に建築されたものです。したがって、電波望遠鏡が複数の小さいアンテナから構成されているように、バベルの塔も高出力を得るために複数で構成される”群”であったと予想されます。事故により破壊されたのはアンテナではなく中枢コントロールである可能性が高く、これにより電波の発信ができなくなったのではないかと推測されます。
 といったことを考えるのがSF考証。まあ、”理屈と膏薬はどこへでも付く”とでも申しましょうか・・・
(*3)松本零士
 SFモノ、ミリタリー漫画を得意とした漫画家。いろいろ大人の事情があってリメイク版”宇宙戦艦ヤマト2199”に名前が出てこないのはオールドファンとしてはさびしい限りです、はい。
(*4)ヤングアダルト
 おおむね12歳(中学生)から19歳(大学生)あたりの世代。今ならライトノベルの読者層とでも言いましょうか。
(*5)ブループリント
 CAD(computer aided design)世代の若い人には分かんないかもしれませんが、昔は設計図はすべて手書きで、これをコピーするのにジアゾ式複写機(通称 青焼き機)が使われてました。このコピー機は原理上青い紙に白い線がでるというシロモノで、機械図面=ブループリントって時代でした。
(*6)なぜ人型ロボットが必要なのか
 レーダーが機能しない状況では人間なのか人型ロボット(モビルスーツ)なのかが判別できないもの。この”レーダーが効かない”状況を作り出したのがミノフスキー粒子に代表されるミノフスキー物理学。で、本来はデッドウェイトである手足をぶんまわすことで推進材を使わず姿勢制御をやる技術が"AMBAC(Active Mass Balance Auto Control 能動的質量移動による自動姿勢制御)”。
 まあ、今見ても良くできた設定です。
(*7)板野サーカス
 演出家”板野一郎”による立体的超高速戦闘アクションシーンのこと。そのスピード感やアクロバティックな動きって、斬新で驚きましたね、目がついてけなかったけど。
(*8)千冊読んだらSFってなんだかそろそろ分かるんじゃないかな
 はっきり言って、昔のオタクってすごい読書家だったんですよ。この辺の話は”オタクはすでに死んでいる”をご参照ください。
(*9)アニメを卒業しない大人の増加(つまり私です)
 アニメのではないですが、日経新聞にライトノベルの”涼宮ハルヒの憂鬱”の広告が掲載された時はちょっと驚きましたね。ビジネスマン=大人向きの新聞なのに、広告出して元取れるほど、大人の世界に浸透してるんだなぁ~ と。

3Dプリンターやクラウドソーシングを使えば、なんだか一発当てられそうな気になる本です(メイカーズ/布を作る機械)

 ども、明日はクリスマス・イブだというに、な~んも予定のないおぢさん、たいちろ~です。イカの塩辛でも買って帰りましょうか・・(*1)
 もしサンタさんがいて何かプレゼントをくれるとしたら今欲しいが3Dプリンターです。別に何が作りたいっつ~訳でもないんですが、昔できなかった銀細工のアクセ(*2)でも作って一発当てて見ようかしら(*2)。
 さて、こういう新しいモノ作りが今後の社会に与えるトレンドも知りたいな~と思ってまして、それが今回ご紹介する本”メイカーズ”であります。


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写真はたいちろ~さんの撮影。上は小岩井農場にあった機織り機、下は明治村にあった始紡機(粗紡機)です。


【本】メイカーズ(クリス・アンダーソン、NHK出版)
 原題は”Makers:The New Industrial Revolution(新しい産業革命)
 パソコンによるCADや個人で買える3Dプリンター、個人が少量の生産を委託できるメーカの登場、ネットワークを経由したコミュニティなどが、大量生産を基盤としたビジネスモデルを変え、まったく新しい産業革命を引き起こす、というクリス・アンダーソンによるパラダイムシフト”メイカームーブメント”を論じた本。
 この本を読むと”なんか自分でもつくってみようかな~”って気になります。
【道具】布を作る機械
 布を作るには短い繊維(綿や羊の毛など)や化学繊維に撚り(より)をかけて細く引き延ばし、出来上がった糸を縦横に組み合わせてゆく=機織りが必要になります。上の写真は家内制手工業で作られていたころの機械、下は工場制大量生産の機械の例です(このへんの流れは第一次産業革命として本書の詳しい)。
 義理の母が趣味で機織りをやっていますが、けっこう手間と時間のかかるシロモノみたいです。


 さて、この本の作者である”クリス・アンダーソン”という人はamazon.comに代表される極めて少ない需要のモノでも大量に集めるとビジネスになるという”ロングテール”や、無料で提供してもちゃんとビジネスとして成り立つという”フリー”なんかを提唱した”Wired”という雑誌の元編集長。日本でも同名の本が出てますが、面白いんだ、これが。”メイカーズ”も期待して読みましたが、予想にたがわず面白い本です。

 300ページを超える本ですのでいろいろなテーマが扱われてますが、いくつか気にいったのを挙げて見ました。

〔3Dプリンタやクラウドファクトリーによりモノがロングテール化する〕
 私の欲しがってる3Dプリンターみたいに個人がパソコンとCADソフトで個人の趣味とかかなりニッチなマーケット向けにモノが作成できるようになるということ。アマゾンの扱っている本や、iTunesのインディーズ音楽なんかもそうですが、かなりニッチなモノでも多少はニーズがあって、それが今までの大量生産だとビジネスベースにならなかったのが、上記のような技術革新でビジネス(趣味的なものも含めて)になるようになったつーことです。これをアンダーソンは”モノのロングテール”と言ってます。
 これは、モノの生産拠点にも影響を与えるそうで、生産量、消費地、生産地(人件費)との関係がこれから変化すると予想しています。本書ではアメリカ(近く)と中国(遠く)を縦軸に、生産量を横軸にグラフ化してます。100個単位なら消費地に近いアメリカ、1000個単位なら生産委託をする中国、これが1万個単位だと柔軟な生産が効くアメリカに戻って、10万個単位だとコスト削減のできる中国と波型に変遷するんだそうです。まあ、中国にやられぱなしっぽい日本のメーカーですが、どのマーケット狙うかによって柔軟な組み合わせすりゃ、もうちっと元気になるかも。

〔設計やデザインをする人がロングテール化する〕
 自分が考えてるものを作れるとなると、やってみたい人も増える訳です。いままでやってみたくても出来なかったこと(コスト的に見あわないということも含めて)が、できるようになる、売れるようになるとなると、ニッチな分野でも設計やデザインをする人増える、つまり裾野=テールの部分が増えてくる、これが人のロングテールです。
 まあ、現在のコミック・マーケットの興隆(*4)なんかを見てもそうですが、従来は出版社による大量出版が基本だったマンガが、デスクトップパブリッシングの普及や少量印刷の低価格化、販売機会の増加、さらにはWebによる発表環境の一般化などによって、マンガを書く(発表する)人口が増えたようなもんでしょうか?

〔ハードウェアがオープンソース化する〕
 上記が進むと、やりたいことを技術面でサポートしてくれる人に助けてもらったりとか、デザインはデザインの得意な人がやった方がいいとか協調関係を結んだ方がいいって考え方が出てきます。ソフトウェアの分野ではLinuxみたいなソースコードがオープン=公開されていて、よってたかって改良していくようなのを”オープンソースソフトウェア”といいますが、ハードウェアもこのようなオープンソース化してくってくという話です。まあ、何でもかんでも一人でってのは、あるレベルになると難しくなるでしょうし、上手な人に任せた方がうまくいくことも多いんでしょう。
 この前、”メーヴェ”を作った人の本を読んだんですが(*4)、こういったある程度高度で、かつおもいっきし趣味的な分野ってオープンハードウェアに向いてそうです。

〔将来はバイオテクノロジーもDIY化する〕
 現在ではまだ研究のコンセプトレベルだそうですが、将来はバイオ分野でもハードウェアでやってることができるようになるだろうと。簡単にいうとDNAを構造体として作る素材として、機械を使ってあれこれ組み立てられるようになるだろうと言ってます。
 まあ、ここまでくるとSFの世界ですが、まあ人間、出来るとなるとやっちゃうからな~~ そのうち”家庭でできるゾアノイド(*5) スターターセット”なんかがネットで売られるようになったりして・・・

 クリス・アンダーソンの本の邦訳は”メイカーズ”で3冊目ですが、全部読んでます。ビジネス、テクノロジーの両面で面白い本です。お勧めです。


《脚注》
(*1)イカの塩辛でも買って帰りましょうか・・
 ”クリスマス・イブの夜に一人ぼっちの女の子にサンタに化けたブラックスワンがイカの塩辛をプレゼントする”というアフラックのCMイカの塩辛という意味のないプレゼントと、有吉弘行と大久保佳代子の気の抜けた掛け合いがけっこうお気に入りのCMです。ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
(*2)銀細工のアクセ
 ”アートクレイシルバー(銀粘土)”というやつで、粘土状の純銀を造形して乾燥、焼成、さらに研磨すると銀の細工が出来上がるという手芸の一種。東急ハンズで売ってて欲しかったんだけどな~。今だとネットで”スターターセット”が3,000~10,000円程度で買えます。
(*3)コミック・マーケットの興隆
 コミックマーケットとは世界最大規模の同人誌即売会のこと。てか、東京ビッグサイトを全面使用して満員にするという日本最大級のイベントでもあります。公式HPによると2013年の夏コミでは参加サークル数35,000、来場者59万人だったとか。13年12月29日~31日の開催日にはメイン交通機関であるゆりかもめがコミックマーケット用に臨時列車を運行するというからハンパないです。
(*4)”メーヴェ”を作った人の本を読んだんですが
 ”メーヴェ”というのは宮崎駿監督の”風の谷のナウシカ”に登場する架空の飛行機。これをモデルにホントに飛ぶ飛行機を10年がかりで作った人が書いたのが”ナウシカの飛行具、作ってみた(八谷和彦、幻冬舎)”という本です。詳しくはこちらをどうぞ。
(*5)ゾアノイド
 ”ゾアノイド(獣化兵)”は”強殖装甲ガイバー”(高屋良樹、角川書店)に登場する人間の遺伝子に情報を付加することで“変身”が可能となった強化人間のこと。
 この作品の特徴は主人公を含め敵キャラも多品種少量生産タイプが多数登場すること。ワンアンドオンリーのも試作体なんつープロトタイプも存在します。元々の設定が、太古に飛来した宇宙人が人間という素体をべースにさまざまな兵士を作り出すということなので、同一性能のゾアノイドが遺伝子プログラム?で作りだすことが可能になってるみたいです。

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