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2013年10月20日 - 2013年10月26日

”ヤマノススメ”はお勧めですが、この行為はお勧めできません(ヤマノススメ/高尾山)

 ども、こう見えて意外にアウトドア派なおぢさん、たいちろ~です。
 本のブログなんぞを書いているとインドア趣味かと思われてるかもしれませんが、これでも中学~大学と山登りのクラブに入ってました。まあ、子供が生まれてからはとんと御無沙汰でしたが、数年前に会社の同期の人に誘われて年に数回登りにいくようになり、今年は尾瀬の至仏山、燧ケ岳、大菩薩嶺なんぞに登ってます。
 ”山ガール”のブームなんかもあって若い人が山に興味を持ってくれるのは良いことで、先日もTSUTAYAで”ヤマノススメ”があったもんで借りてきて観ました。内容的には楽しませていただきましたが、古い山屋から見ると結構”これダメなんじゃね?!”というシーンが・・・ というころで、今回のお話は”ヤマノススメ”からNGシーンなんぞを。


Photo
写真は山仲間の撮影。高尾山薬王院の本社(権現堂)です。
実はこの山登ってないんです、すいません。


【DVD】ヤマノススメ(原作 しろ、監督 山本裕介、アース・スターエンターテイメント)
 インドア趣味で高所恐怖症の高校1年生”雪村あおい”、あおいの幼馴染で彼女と再び山の朝日を見たいと思っている”倉上ひなた”、彼女達の先輩で登山経験者にしてスタイル抜群の”斉藤楓”、森で出会った森ガール、天然系の中学生”青羽ここな”。”ゆるふわアウトドアコミック”を原作とした登山を楽しむ少女たちのアニメ。
 でも、まだ原作読んでないんだなぁ。こんど読んでみよっと!
【旅行】高尾山
 東京都八王子市にある山。アクセスが便利な上、ミシュランの選ぶ三つ星観光地に選ばれたこともあって、登山者も多いようです。ま
 高尾山にある高尾山薬王院は真言宗智山派の関東三大本山のひとつでご本尊は飯縄権現、その眷属が天狗様です。ひなたさんがお土産屋さんで天狗のぬいぐるみの鼻をぷにぷにして遊んでるのはそのせい。
 高尾山薬王院のHPはこちらから


 アニメでは好日山荘(*1)が協力で参加してたりして、けっこうちゃんと作ってますが、でもダメ出ししたくなっちゃうようなネタもあったりなんかします。ということで、細かいスッコミを。

〔山で植物を採ってはいけません〕
 第3話でひなたさんがきのこを採ってあおいさんに見せびらかしていますが、原則としてこれはNG。特に国立公園では許可のいる行為です(*2)。
 まあ、近所の山であれば目くじらたてることもないんでしょうが、みんながみんなやりだすと環境破壊につながりかねない行為ですし、こういったことはクセの問題なので、やらないに越したことはないです。

〔初めての人には装備表を渡しましょう〕
 第3話であおいさんが近所の天覧山に登るのにヘルメットをかぶってきてますが、これは不要(てか、重いだけです)。あおいさんはそもそも何を持っていけばいいかすらわかっていないようなので、経験者がちゃんと教えてあげないとムダな荷物ばっか増えて疲れちゃいます。

〔クッキングストーブを使う時はご注意を〕
 第3話であおいさんが天覧山の展望台でクッキングストーブを使ってお茶を飲むシーンが出てきますが、場所によっては火器厳禁のところもありますので使用の場合はご注意を。

〔山の料理は”早い”、”簡単”、”軽い”がベター〕
 第4話であおいさんとひなたさんが山の料理対決をしてます。あおいさんのメニューは”パエリア”ですがこれは時間と手間がかかりすぎ(まあ、山の料理でなければぜんぜんOKなんですが)
 山では材料に加えクッキングストーブの燃料も持っていく必要があります。ですので燃料を節約するには早くできることが肝要(*3)。また”パエリア”は手間がかかり過ぎ。テントサイトにつくのが遅れて腹ペコ状態で料理を作んないといけないケースもあるので、のたのた時間をかけて作るよりは手早く簡単にできるほうがベターです。第12話で楓さんがトマトソースのリゾットを作ってますがメニュー的にはこちらのほうが正解。
 あと、料理は下界でも作って練習を。ひなたさんは”料理ができない”と開き直ってま、楓さんはかなり包丁に不器用な人のようですが、山では制約条件が多いですから(*4)、女子力向上のためにも普段から下界でもつくりませう
 山では”材料もゴミも持って歩く”ことが原則ですので軽くすることもベター。上記のパエリアでは下ごしらえをして持ってってるのは感心ですが、貝殻付きの料理にしているのがNG。持っていくのには重くなるし、だいいち貝殻は持って帰らないといけないので食べ終わったら単なる重いゴミです。

〔山のファッションは機能重視で〕
 最近は山でもファッショナブルな人が増えました。先日行った尾瀬でもファッション誌に出てきそうなかわういお嬢様方がたくさんいらっしゃいました。でもさすがにパンプスで歩いていた人がいた時には、同行したメンバーが全員ダメ出し。少なくとも靴は山登りのできるものを。
 で、第8話でひなたさんが暑かったのかキャミソールでザックをかついでいますがこれはNG。ザックの肩ひもで肩の皮膚が擦れる”ザックずれ”を起こしかねません。また、夏だと日焼けが痛くて最悪ザックを担げなくなります
 また、第9話でここなさんがひらふわの”森ガールファッション”で登場しますがこれも雨が降ったら濡れやすいのでリアルに山に出かけるなら避けた方が無難です。

〔山でのコースは適当に変えない、事前に家族にも連絡を〕
 第9話でひなたさんが下山コースを適当に変えてますが、これもあまりお勧めできません。本来は事前に家族なりにどのコースを言っとくぐらいがベター。うるさいようですがこれは最悪の場合の遭難対策です。”遭難なんかしない”と思ってるかもしれませんが山岳事故の捜索費用は原則事故負担ですので、地元の人が捜索を依頼したりヘリコプターを飛ばしたりするとベラボーな金がかかります
 大きな山に行く時は登山計画書を必ず提出すること。遭難箇所の絞り込みや早期発見のためにも重要です。

〔事前にガイドブックぐらい読みましょう〕
 第9話でここなさんが”高尾山にはモモンガはいないことを知らなかったご様子ですがこれは事前調査不足(むささびはいるそうです)。自分の行く場所の掲載されたガイドブックぐらいは目を通しておきましょう。

〔歩く順番はサブリーダー→経験の少ない人・体力の弱い人→リーダー〕
 第10話で下山するのにひなたさん、あおいさん、ここなさんの順番で歩いてますが、これはあまりお勧めできません。山では道を間違えないためにある程度経験のサブリーダークラスがトップに、全体を見渡せるようリーダークラスが最後に、その間を経験のない人を挟むのが普通です。特に体力のない人を最後にするとパーティについて行けず事故を起こす危険性があります。

〔ガラスびんは避けた方が無難〕
 第12話でトマトソースのリゾットを作るのにガラスびん入りのトマトソースを持ってきてますがガラスびんは避けた方が無難。近所の河原でのバーベキューですのであまり重さは気にしていないようですが、本格的に登る所ならレトルトか缶詰を。ガラスびんは割れるリスクがありますし、そもそも持ってくのも持って帰るのも重いです。

〔濡れた服は必ず着替ましょう。風邪ひくぞ!〕
 第12話であおいさんとひなたさんが川でこけてビショ濡れに。そのままでいますがこれは絶対にNG。濡れた服は着替えないと風邪をひくし、最悪低体温症で動けなくなるし、最悪”凍死”します。ですので登山経験者の楓さんが怒るのは当たり前。そもそもパンツが濡れて気持ち悪くないですか?
 ザックの中の着替えもビニール袋に入れて濡らさないようにしましょう。

 いろいろツッコミ入れましたが、実は最も気になったのは地図を見ながら歩いているシーンがひとつもないこと。これはリアルの山登りでもそうで、尾瀬に行った時にも地図を見ながら歩いてる人がほとんどいませんでした。最近は腕時計型の高度計とかGSP機能付きのスマホとかハイテク機器がありますが、クラブで読図を徹底的にやらされた身としては(*5)ちょっと心配です。ハードウェアへの頼り過ぎは電池切れや電波が届かない、故障のリスクがありますので、最低限のアナログなスキルも必要ではないかと。高尾山や尾瀬で道を間違えることはないと思われるかもしれませんが、あとどれぐらい歩くかとか、事故った時にどちらに逃げるかを考えるには”自分が今どこにいるか”を把握するのは最も重要なことだと思うんですが・・・

 まあ、舅のように細かなツッコミですが、これも事故を起こさず登山を楽しんでもらうためということでご容赦のほどを


《脚注》
(*1)好日山荘(こうじつさんそう)
 全国に52店を展開する日本有数の登山用品店。学生時代は同じく登山用品店の”ICI石井スポーツ”とともにお世話になりました。
 HPはこちらから。
(*2)特に国立公園では許可のいる行為です
 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園では生物の多様性の確保のために自然公園法が適用されます。この中の”特別保護地区”では動植物はもちろん枯れ葉の採取も禁止事項(許可が必要な行為)になっています。自分のいる場所がなにに当たるかをいちいち考えるのはめんどうなので、採取はやらないほうが無難です。
(*3)燃料を節約するには早くできることが肝要
 私んとこのクラブでカレー等を作るのに、野菜はできるだけ薄く切れと教わりました。これは野菜に火とおるのが早いから。下界だと煮崩れがどうのと言われそうですが、山ではそんなこと気にしないです。まあベースが”食えればいい”ってのもありますが。
(*4)山では制約条件が多いですから
 特に期待できないのがまな板。大きくて分厚いまな板は重くて持っていけないので、小さくて安定しない状況で包丁を使わないといけなくなります。
(*5)読図を徹底的にやらされた身としては
 地図とコンパスを見ながら、歩いた時間や道のアップダウン、風景を見て自分の現在位置を確認するのが”読図”。山屋にとってはもっとも基本にして重要な技術で、先輩から”ここどこや?”としょっちゅう聞かれてました。
 そのなごりか、いまだに土地勘のない出張先では必ず観光案内書で地図を貰う癖がつきました。別に地図フェチってわけではないんですが・・・

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