« 2013年1月13日 - 2013年1月19日 | トップページ | 2013年1月27日 - 2013年2月2日 »

2013年1月20日 - 2013年1月26日

ノマドとは”汝、怒るなかれ”って意味でしょうか?(仕事をするのにオフィスはいらない/牧草)

 ども、漂流する人生を送っているおじさん、たいちろ~です。
 一応これでもIT関係のお仕事をしております。この業界ってのは何故だか新しい言葉を作るのが好きなようでまあ、懲りずに次から次へと出てきます。
 ”ロングテール”のようなビジネスモデルとして定着したものもあれば(*1)、”Web 2.0”みたいなどこいったんや~~というものもあれば(*2)、”ステマ”みたいな”それって、ヤラセやサクラと違うん?!”みたいなイカガワシさ満載のモノもあります(*3)。今流行りの”クラウド”だって、いつ雲散霧消するかわかんないし(*4)。
 この中でも賛否両論あるのが”ノマド”。オフィスという物理的な場所にとらわれず仕事しましょうみたいな話です。
 ということで、この”ノマド”を扱った本”仕事をするのにオフィスはいらない”であります。

_0057
 写真はたいちろ~さんの撮影。
 宮城県三本木で見かけた放牧状態のヤギです。

【本】仕事をするのにオフィスはいらない(佐々木俊尚 光文社新書)
 サブタイトルに”ノマドワーキングのすすめ”とあるように”ノマド=遊牧民的なビジネススタイル”を扱った本。
 本書ではノマドを”遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです”と言ってます(まえがきより)
【花】牧草
 家畜の飼育に使用される草本類のこと。イネ科のイタリアンライグラス(ネズミムギ)、オーチャードグラス(カモガヤ)、マメ科のアルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)やクローバーなど。
 条件にもよるそうですが、牛50頭を昼夜放牧すると20~27ヘクタールの放牧地が必要なんだそうで、これは東京ドーム4~5ケ分の土地が必要になります(*5)。
 遊牧民があっちこっち適当に移動してるようなイメージがありますが、実際には家族ごとに定期的に訪れる占有的牧地を持っていて、季節ごとに巡回するのが普通なんだそうです。

 で、本書を読んだ感想ですが、”私にゃ、ノマドワーキングはできないなぁ”ってとこでしょうか。
 当然のことながら、ノマドに向く仕事とそうでない仕事ってのはあるわけで、本書の例としてはコンピュータやWebの運用管理者、ライター、デザイナー、コンサルタントなどのフリーランス的なワークスタイルの仕事をあげています。今私がやってる仕事も社内のまとめごとやプランニングなんかなので、そういう意味ではできなくはないかと。今でもほとんどメールと電話、PCで資料作成だし。

 問題はノマドワーキングを実践する能力のほう。本書ではノマドワークスタイルの課題として

  ノマドワークスタイルは、時間をどう配分するか
  ノマドワークスタイルは、どこでどのようにして仕事をするのか
  ノマドワークスタイルは、同僚や仲間、家族からの連絡を、どう扱うのか
  ノマドワークスタイルは、仕事で必要な情報をどう収集するのか

をあげています。で、この課題を解決するには、下記の3つをコントロールすることだと言っています。

  ①アテンション(集中力、注意力)のコントロールをする
    ②情報をコントロールする
    ③仲間とのコラボレーション(連携、協調)をコントロールする

②と③はインフラに依存する部分も多いのでなんとかなりますが、問題は①。昔は休日出勤するのがめんどくさくて家に仕事を持って帰ったこともありますが(*6)、ほとんどできなかったですね、気が散って。かといって喫茶店でやろうとしてもコーヒー1杯で1時間も2時間もねばった日にゃ、貧乏くさい客だとして冷たい目で見られるだけだし。
 実際、在宅勤務なんかの話題も出るには出ますが、対象になる条件ってのはけっこう厳しいです。

 ま、1時間近く満員電車に詰め込まれて痛勤してる身としてはノマドっていいなとも思いますが、よく考えてみるとこれって大都市部の話で地方都市にいた時にはもっとゆったり通ってましたねぇ。無理にノマドで場所をいじるより、時差通勤とか時短みたいな”時間”を調整して、通勤電車でゆっくり本を読めるみたいにした方が有効って気もします。

 どうも、”ノマド”ってのが賛否両論になってるのは、ノマドな”生き方(ライフスタイル)”と”働き方(ワークスタイル)”がごっちゃになってるんじゃないかと。本書でも両方の話を扱っていて、注意深く読く切り分けてかないといけなそうです。
 上記の課題とコントロールはあくまでワークスタイルの話で、別にノマドをしようがしまいが有効なアドバイス。クラウドの使い方のテクニックなんかも役に立ちますし。

 問題はノマドな”生き方”のほう。職を失ってフリーランスになるしか選択肢のない”不慮の起業家(アクシデンタル・アントレプレナー)(*7)”。正社員だっていつリストラされるか分からない時代。積極的にノマド的な生き方する人もいる一方、ノマドな生き方をせざるをえない人もいます。
 でもノマドな生き方を成功させている人って、基本的にハイスペックな人が多いように思われます。コンサルタントやシステムエンジニアみたいな高度な専門家、高学歴(*8)、会社員としての経歴などなど。私自身を振り返ってみるとノマドな生き方をして成功する気がしません。
 ま、この本を読んでノマドな生き方を目指すのは勝手ですが、ぶっちゃけ会社員として成功するよりハードルが高いんじゃないかと思っちゃいます。

 話は飛びますが、ノマドは英語で書くと”nomad”、発音するとノーマッド(あるいはノウマッド)です。ノーマッドと聞いて思い出したのがアルフレッド・ベスターのSF小説”虎よ、虎よ!(*9)”。
 顔に虎の刺青をされた男ガリヴァー・フォイルの復讐の物語なんですが、この男の額の刺青が”N♂MAD”怒れる男っていう感じです。madは”怒って、無分別な、気のふれた、狂暴な”などの意味を持つ形容詞なので、”no mad”だと”怒っていない”ですが、なんとなく

  Not (be) mad! = 汝、怒るなかれ!

 って言われてるような気になります。
 就職氷河期でノマドになった人にしたらたまったもんじゃないでしょうが。

 ”仕事をするのにオフィスはいらない”は仕事の仕方のノウハウとしては役に立つ本。ただしノマドな生き方を目指すかどうかは要注意。あんまし無分別にならないようにね。遊牧民だって、行き当たりばったりで移動してるわけではないんだし・・・


《脚注》
(*1)”ロングテール”のようなビジネスモデルとして~
 商品の売り上げを多い順に並べると、売上が少ない商品が長い尻尾のようにず~っと続きます。この尻尾の部分が”ロングテール”で、ここを販売できれば売上増加になりますが、物理的に店舗の大きさの制限があるので多くは置けません。この制限をとっぱらったのがネット通販。最大の成功例が”amazon.com”です。
(*2)”Web 2.0”みたいな~
 ”Web 2.0”従来は情報は送り手(TVや新聞など)から受け手(視聴者、読者)へ一方的に流れるだけだったのがWebの登場により、送り手と受け手が流動化して誰も情報を発信できるようになった状態のこと。
 ことさらに”2.0”ってつけたことで2000年代の中ごろに流行しましたが、Webが登場した時点からできてたことのような気がするんですがねぇ。一度セミナを聞いたことがありますが、今までとどう違うんだかよく分かりませんでした。
(*3)”ステマ”みたいな”~
 ”ステマ”は”ステルスマーケティング(stealth marketing)”の略。消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。”stealth”は隠密、こっそり行うことという意味で、ステルス戦闘機のアレです。
先日”ペニーオークション”というネット詐欺に絡んで芸能人がステマブログ(やってもいないオークションのことをブログに書く)したと問題になりました。
 ま、やってもいないことをやったって言うのは別にネットに限ったことじゃないと思うんですが・・・
(*4)今流行りの”クラウド”だって~
 ”クラウド(クラウドコンピューティング)”って、元々はコンピュータシステムがクラウド(雲)の向うにあって見えない状態のことを指してたんですが、最近は”オンプレミス型クラウド”という企業内に設置された=目の前にあるシステム使うものも出てきてます。売ってる立場で言うのはナンですが、何が何だか良くわかりません。
(*5)東京ドーム4~5ケ分の土地が必要になります
 東京ドームの建築面積は46,755㎡=4.7ヘクタール弱です。
(*6)家に仕事を持って帰ったこともありますが
 情報漏洩がうるさくなった昨今、今こんなことやったら会社から張り倒されます。
(*7)アクシデンタル・アントレプレナー(accidental entrepreneur)
 ”ステマ”もそうですが、こういったカタカナにしちゃうことでなんとなくカッコ良さげに言い換えるのに胡散臭さを感じるのは私だけでしょうか。
 非正規雇用労働者をフリーター(フリーランス・アルバイター)と呼んでなんとなくトレンドっぽくしちゃったのが、現在の中年非正規雇用問題の原因の一端でもあるような気がするんですが・・・
(*8)高学歴
 別に高学歴だから偉いというつもりはないですが、少なくとも人生の一時期において難関校で合格するだけの基礎能力(記憶力や理解力など)があったという点は評価すべきだと思います。
 ちなみに著者の佐々木俊尚は早稲田大学政治経済学部中退、毎日新聞社入社、月刊アスキー編集部からフリージャーナリストとけっこう華麗な経歴の持ち主です。
(*9)虎よ、虎よ!(アルフレッド・ベスター ハヤカワ文庫)
 寺田克也による新版の表紙ではわかりにくいですが、旧版の生頼範義のイラストではよくわかります。
Photo_2

本好きなやつって、なんで必ず原作の方が面白いっていうんだろうね(ビブリア古書堂の事件手帖/今日の早川さん/紫陽花)

 ども、ビブリオマニア(愛書狂)のおじさん、たいちろ~です。
 TVで”ビブリア古書堂の事件手帖”が始まりました。いや~、原作を読んで舞台になっている北鎌倉まで聖地巡礼をしちゃったぐらいこの本を愛でております(*1)。
 主演の剛力彩芽がイメージ違うって賛否両論あったようですが、けっこう楽しみにしておりました。
 ということで、今回ご紹介するのは原作フリークのおぢさんが見たTV版”ビブリア古書堂の事件手帖”であります。

Photo

 写真はたいちろ~さんの撮影。
 あじさい寺こと北鎌倉の”明月院”に咲くヒメアジサイです。

【本】ビブリア古書堂の事件手帖(三上延 メディアワークス文庫)
【TV】ビブリア古書堂の事件手帖(原作 三上延 フジテレビ)
 就職先の会社が倒産して就職浪人となった”五浦大輔(AKIRA)”は、亡くなった祖母の本に書いてあった夏目漱石のサインの鑑定を頼みに”ビブリア古書堂”を訪ねた。そこには古書については人見知りで超絶的な博識を持つ人見知りの美女”篠川栞子(剛力彩芽)”がいた・・・
 北鎌倉を舞台にした推理小説にして、ちょっと大人なボーイ・ミーツー・ガールの物語。
 剛力彩芽が主演で2013年1月よりフジテレビでドラマ化されました。
【本】今日の早川さん(COCO 早川書房)
 SFオタクの早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ラノベ好きの延流ちゃん、希覯本収集家の国生さん。本をこよなく愛するお嬢さんたちを描いた4コママンガ。詳しくはこちらをどうぞ。
【花】紫陽花(あじさい)
 アジサイ科アジサイ属の植物の総称。
 あじさいは花の咲き方で小さい花が球状に固まって咲く”テマリ咲き”と、周りに装飾花(花ではなく萼(がく))が咲く”ガク咲き”の大きく2系統あります。
 栞子さんがTV版でで漱石全集の”それから”だけが別に購入されたと推理した根拠の蔵書印(*2)はテマリ咲きのようです。


 で、結論から言いますと、決して悪くない出来上がりです。上記の紫陽花の蔵書印を始め栞子さんの推理や基本的なプロットはわりと原作に忠実だし、ステンドグラスを配した古書店の雰囲気、ややセピアっぽい映像も好みに合ってます。おっさん臭さ満載のせどり屋(*3)の志田(高橋克実)もいい味出してるし。エンディング・テーマに”ネバーエンディング・ストーリー(*4)”を持ってくるところなんて、本好きのマニア心をくすぐりますし。 

 まあ、無駄に設定を変えすぎてる感じはありますけど。
 せどり屋の志田はビブリア古書堂に居候してることになってますが、原作では橋の下に住むホームレス。確かにTV的にホームレスはまずいんかもしれませんが、第二話で志田の本を返しに行く小菅奈緒とのエピソードなんて川べりのほうが雰囲気あったと思うんだけどなぁ。栞子さんの妹が何故だか弟に変わっているし(*5)。

 で、話題になった剛力彩芽演じる栞子さんですが、まったく別モノ。

〔原作の栞子さん〕
 ・黒髪の長髪に透き通るような肌をした美人。
 ・近眼で、普段は眼鏡を着用。
 ・服の上からでも分かる巨乳
 ・五浦大輔よりも年上のお姉さんキャラ
 ・他人と目を合わせることもできない、人見知り。
  ただし、本が絡む話になるとスイッチが入って饒舌。

〔TV版の栞子さん〕
 ・ベリーショートでやや茶髪の美人。
 ・眼鏡はかけてない。
 ・服の上からでも分かる○乳(自主規制)
 ・五浦大輔よりも年下の見えるキャラ(実際、剛力彩芽は今年二十歳だし)
 ・おとなしく、ゆっくりとしたしゃべり方。時々早口。
  あんまり人見知りではない感じです

 まあ、剛力彩芽は元気美少女のキャラなので、スイッチ入った時はもっとはっちゃけたキャラに変身するぐらいの演出があってもよさそうなのにねぇ。


  本好きなやつって、なんで必ず原作の方が面白いっていうんだろうね

 これは”今日の早川さん”の中で本好きの早川さんが、本をあまり読まない友達から映画の話を振られた時に”映画より原作のほうがずっと面白い”と反論した時に、その友人が言った言葉。
 まあ、本好きってのは往々にしてTV化とか映画化とかされる前に原作を読んじゃってるケースが多く、自分なりの原作のイメージができあがってるのでそれと違うと”原作のほうが面白かった”って言っちゃうんですよね~~
 まあ、ビジュアルに関しては表紙のイラストなんかはあるものの(*6)、文字よりも映像化されたがほう圧倒的に情報量が多いので、原作の文字情報を脳内補完しちゃうんです。なので、映像化された瞬間に別のイメージが固定されちゃうので”う~ん、違和感あるなぁ”となっちゃうわけです。

 ”今日の早川さん”では、作者がこの発言に対して

  決して優越感からではなく、二粒だから当然二度美味しいという
  実りある方向で話をしたいのもですが・・・

 というツッコミをいれていますが、まさにそのとおりです。

 TV版の”ビブリア古書堂の事件手帖”は単体で見ても充分面白いですし、剛力彩芽も高橋克実もなかなか好演しています。で、本好きとしてはできれば原作も読んで欲しいな~~と思うのであります。


《脚注》
(*1)北鎌倉まで聖地巡礼をしちゃったぐらい~
 12年6月にこの本の舞台とあじさいを見に北鎌倉まで行っちゃいました。
 詳しくは「聖地巡礼 ”ビブリア古書堂”の近所に咲くあじさいを見に行きました」(前編後編)をご参照ください。
(*2)蔵書印
 本の所有者が捺印して所有を宣言するためのハンコ。センスの良い物は芸術的な価値があって、蔵書印のコレクションってのもあるようです。
(*3)せどり屋
 掘り出し物のある古本を転売して利ざやを稼ぐ人のこと。最近はBOOKOFFの半額セールの日にスマホとバーコードリーダー使って本買いまくっている人がいますが、どうもネットで転売しているんだそうです。
 せどり屋の世界もハイテク化されているようです。
(*4)ネバーエンディング・ストーリー
 元々は1985年に公開された映画”ネバーエンディング・ストーリー”(原作はミヒャエル・エンデの”はてしない物語”)のテーマソング。
 主人公のバスチアンがコレアンダー書店で見つけた不思議な本”ネバーエンディングストーリー”と出会い、本の世界を冒険するというお話。観たな~、昔。
(*5)栞子さんの妹が何故だか弟に変わっているし
 原作では文香さんという元気印の高校生。上記の小菅奈緒の友達という設定。後から出てくるエピソードで話をしてるのが出てきますが、どうするんだろう?
(*6)表紙のイラストなんかはあるものの
 実際にライトノベルなんかだと、表紙の萌え絵によって売上が左右されるんだとか。まあ、おぢさんが電車の中で読むにはちょっとナニなのですぐにカバーかけちゃいますが・・・

« 2013年1月13日 - 2013年1月19日 | トップページ | 2013年1月27日 - 2013年2月2日 »

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ